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「はたらく」をテーマに座談会

※本記事は2012.10.5時点のものとなります。

未来を担うU25世代(学生〜入社3年目)に向けた、社会を生き抜くための働き方の指南書としてDiscover21より創刊された「U25 SURVIVAL MANUAL SERIES」。その第一弾として同時発売された、『もっと自由に働きたい』(家入一真・著)と、『自分の強みをつくる』(伊藤春香(はあちゅう)・著)の電子版が、Reader™ Storeにて配信中! 書籍版は発売1ヶ月でそれぞれ3万部を突破するなど、若者から絶大な支持を集めている2冊。2人の若きビジネス・リーダーのイマドキ仕事論を、40代のビジネス・リーダー、嶋浩一郎氏(博報堂ケトル)が紐解きます。

家入さんと伊藤さんの本を読ませていただきました。僕は今年44歳になるんですが、たぶん40以上の世代から見ると、相当にけしからん本ですよ(笑)。特に、家入さんの本は、やりたくない仕事から逃げろ!とか空気を読むな!とかもうやりたい放題。でもね、読み進めるうちに、二人の著書にはオジサンたちも見習うべき点もあるんじゃないかとおもったんですよ。二人には4つの共通点があるんじゃないかと思ったので、今日はそのポイントを中心に話を伺っていきたいと思います。

■ 現状をβ版ととらえる「トライアンドエラー」な行動力

 2人ともデジタルネイティブ世代ですから、考え方がいい意味でネット的ですよね。なかでも2人に共通するのが「トライアンドエラ—」を基本とする行動力。そして、現状をβ版ととらえて進化させられる力。このフットワークの軽さは、40代以上のおじさんたちも見習うべき、現代の行動マニュアルだと思うんですよね。

家入 何か面白いアイデアを思いついたら、twitterを通してとにかくすぐに発信しちゃうんです。で、反響がよければ、自分もやりたいと言ってくれる人たちを巻き込んで、すぐにビジネスを立ち上げます。

 面白いと思ったアイデアは途中の状態でも公開して、公の場で協力者を募ってすぐに具現化していくというのは、とても今的だと思いますよ。 久生十蘭『昆虫図』(現代教養文庫/社会思想社)も、これまたおどろおどろしい話です(笑)。ものすごく短い短編のミステリーなんですが、ちゃんとオチがあって余韻が残る。短編のお手本として、文章の構成やリズムを知りたくて、丸ごと1編書き写したりしていました。

伊藤 そうですね。思いついたらすぐに言うのには、もう一つ理由があるんです。私自身がすごく面倒くさがりなので、人前で言うことによって自分を追い詰めるための手段。背水の陣を敷くんです。

 なるほどね。二人にとってβ版であると状況を認識することは、これからまだまだ進化するぞ!という意志表明でもあるんですね。家入さんは著書に「世の中に小石をなげて」、「絶対に価値のあることをやる」って明言しているじゃないですか。そういう意志とか気概を持ちつつ、現状を次々調整していく姿勢はカッコいいなあと思うよ。

■ 批判を当然と思い、受け容れる

とはいえ、「そんな適当なものを出しやがって、けしからん!」って、怒る人もいますよね(笑)? そうやって人から怒られることに2人ともちゃんと耐性を持っているんだなと著書を読んでいて感じました。これが2つめの共通点ですね。」

伊藤 40〜50代の方からはまず嫌われるし、同世代からも賛否両論です。

 賛否両論はいいことだと思いますよ。例えば映画でレビューが星1つと星5つに真っ二つに割れるような作品を、僕は絶対に観に行きますし。でも最初は苦しくなかったですか?

伊藤 最初はそうでしたが、9年もブログを続けているうちに、慣れてしまいました。

家入 伊藤さんのことは、彼女が大学生だった頃から知っているんですけど、ブログで自分のことをさらけだすというのを、昔からやってる人なんですよね。それこそ、「ブス」とか叩かれたりもしてたしね。

Googleの画像検索で「ブス」の1位になるってすごいよね。

伊藤 そうですね。びっくりはしましたけど、いいネタができたぞって思うようにしました。それに、批判してくる人も、私のことに超関心があるわけで、ある意味、私のことを大好きなんだなって思うんです。

家入くんは?

家入 叩いてくる人の中には、ちょっといじってみると意外と面白い奴もいるんです。今ではそのうちのひとりとたまに飲んだりもしてます。だから、交流を絶ってしまうのは勿体ないと感じています。

それをすることで、コミュニケーション能力は高くなるよね。批判してくる人は自分のことを好きだと思えたり、いじることでコミュニケーションをしたり。今の若者はコミュニケーションができないと言う人もいるけど、お二人はよっぽどちゃんとやってる気がしますね。2人が共通して著書で語っているのは、賛否両論ある状況が当然だということ。そのことを、自分の生活の中にどうやって共存させるかを、書いているんですよね。批判をウェルカムと捉えようという考え方は、会社で働いても、フリーで働いていても、役に立つんじゃないかなと思います。

■ 応援してくれる人を大切にする

2人の本がすでに6万部も売れているということからも、批判する人もいれば、ファンも大勢いるわけですよね。ファンの存在はやっぱり心強いですか?

伊藤 何かする時に、応援してくれる人と批判する人がいるのは、ネットでもリアルでも一緒です。でも応援してくれる人の声を素直に聞かないと自分が動けないですから、その声を信じて行動に繋げるようにはしています。 家入 例えば何か新しいものを出した時に、自分を応援してくれる人たちがいればそれをより広げてくれる。そういう人たちのおかげで、ゼロから生み出したものでも、スタートはゼロからではないというのは有利なことだとは思います。でも一方で、信者ビジネスをやっていると言われることもあるんですよね……。 嶋 実際には、もっとカジュアルな関係なんですよね? ちょっと嫌になったらフォロー外しちゃうとか、それぐらいの。

家入 そうなんです。だから信者ではないんです。

伊藤 似たような考え方を持っていて共鳴してくれるから、私の行動を応援してくれたり、賛同してくれるのだと思うんですが、そういう関係を信者と言われるのは嫌ですね。もっとフラットな関係でいるつもりですから。

■ マルチタスクな仕事の仕方

2人は「マルチタスクな人」という点でも共通しているよね。僕自身も本屋をやって、イベントをやって、CMや雑誌を作ってと、いろんな仕事を平行してやるのが好きなんです。お互いに越境して影響し合うから。会社に入ると、決まった部署で決まった仕事が普通だから、どこまで譲れるかによって働き方は変わってくるのかもしれないね。

家入 僕はとにかく面倒くさいのが嫌なんです。何かやろうとする時に、人との関係性を考えてやっぱりやめたってなるのが嫌で。だったら、やりやすいように別の会社を作っちゃえばいい。面倒くさいことをやらないようにしていたら、自然とマルチタスクでかつ独立した働き方になってきたのかもしれません。

僕は逆に会社が合う方だと思っていて、サラリーマンカルチャーが大好きなんです。面倒臭いことは確かにいっぱいあるんだけど、社内の人たちがいてくれることで違うことができたり、リソースが活用できたりもしますからね。

伊藤 私も嶋さんと同じタイプです。いろんな人に自分のできないことをやってもらえると、自分が想像していた以上に広がっていくんです。あと、ブログ書いたり、執筆や講演、コミュニティ主催等マルチタスクではあるのですが、会社員であることと、まだ転職したての20代の下っ端であることは、わきまえていたいと思っています。平日は基本的には会社の仕事しかしないようにしています。マルチタスクでも、時間的には切り分けるようにしているんです。

偉いね。

伊藤 お給料もらっていますから。電通にいた時もそうでしたし。

伊藤さんの著書は、自分がなりたいキャラクターを日常で演じようという話ですよね。僕は会社員にこそ、伊藤さんが言っているような「キャラクターを演じること」が効果的なんじゃないかと思うんです。やりたいアイデアのために部署を越えた仕事をするにしても、「あの人キャラが立ってるよね」って思われることで、いろんな壁を突破できることがあると思うから。会社員こそ、演じた方がいい!

家入 「伊藤春香」と「はあちゅう」。確かに、2つ名前があるっていいね。僕ももう1つ名前欲しいな。

伊藤 まあちゅうとか? かわいいですよ。

家入 (笑)なんかコンビ名みたいだね。

今日からまあちゅうでいいんじゃない?

家入 僕、何をやっているかをひと言で言えない人が、格好いいと思うんです。一昔前は胡散臭い人だったのかもしれないけど。はあちゅうも会社には入っているけど、何をやっている人なのかをひと言では言えないでしょ? ましてやはあちゅうだし。

それが、2人の共通点として挙げた「マルチタスカー」だと思うんですよね。そういう人の方が、今の時代に合っている気がします。

■ これから手にとってくださる読者の方へ

読者の方々へのメッセージをお願いします。 家入 3年も我慢するのはやめようということですね。一般的に社会では「3年」というスパンが基本になることが多いですが、やりたいことが決まっているなら、3年後じゃなくて今やればいいんです。 伊藤 本の中で強調したのは、コンプレックスがある自分です。ダメな私でも、本に書いたようなことを考えることでちょっと進化することができたから

あと、おじさんたちは、もっと若者をけしからん!って怒るべきだね。

伊藤 怒ったりして、今の若者に嫌われちゃうんじゃないかなんて心配している方がいるとしたら、そうではないと言いたいです。友達みたいな接し方はやっぱり何か違うと思うんですよね。40代・50代の方には、役割があると思うので。それを私たち若者も、意外と受け入れているように思います。

家入 確かに。もっと怒ってください! 40〜50代の方で、伊藤さんの本を読んでくれた人はいた?

伊藤 いましたよ。転職のきっかけになりましたとか、おじさんだけどためになりましたって言ってくれたり。嬉しかったですね。

とにかく、最初の20ページを読んで「けしからん!」と思って読むのをやめないで!ということは言っておきたいですね。後半にその先が出てくるので。

伊藤 若い子たちのことがわからないという方に読んでもらえたら、少なくとも、今こういう子たちがいるんだということはわかってもらえると思います。

2人ともほんとにいい意味で、考え方がネット的。トライアンドエラーでいろんなことをとりあえずやってみる、賛否両論が当たり前で、マルチタスクな働き方をしている。40〜50代も学ぶべきではないかと思います。
それに、こういう共通点を持って仕事をしている人たちのなかでも、完全に独立してやっている家入さんと、会社に勤めながらやっている伊藤さん。読み比べると、そのレンジも面白いと思いました。2人の著書を読んで感じた共通点は、僕自身も普段から大事にしていることでもあるんです。2人よりもずっと年上の人が読んでも、きっと面白いと思いますよ。

Profile

家入一真

1978 年生まれ。起業家/投資家/クリエイター。悪ふざけをしながら、リアル・ネットを問わず、カフェや WEB サービスや会社など、遊び場を作りまくっ ている。JASDAQ 最年少上場社長。40 社程の若手 IT ベンチャーにも投資している。解放集団 Liverty 代表、JASDAQ 上場企業 paperboy&co. 創業者、カフェ運営企業  partycompany Inc. 代表取締役、ベンチャー投資企業partyfactory Inc. 代表取締役、クラウドファンディング CAMPFIRE 運営企業ハイパーインターネッツ代表取締役。個人名義でも多数のウェブサービスの立ち上げを 行うクリエイターでもある。

伊藤春香(はあちゅう)

美容クーポンサイト「キレナビ」編集長/ソーシャル焼き肉マッチングサービス「肉会」代表。1986 年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。在学中にブログを使って、「クリスマスまでに彼氏をつくる」「世界一周をタダでする」などのプロジェクトを行い、女子大生カリスマブロガーと呼ばれる傍らレストラン、手帳、イベントなどをプロデュースするなど、「はあちゅう」名で幅広く活動。2009 年電通入社後、中部支社勤務を経て、クリエーティブ局コピーライターに。2011年12月に転職し、トレンダーズで美容クーポンサイト「キレナビ」編集長に。愛称は「はあちゅう」。現在は会社員として働く傍ら、個人としてウェブサービスの運営や講演・執筆活動を続けている。

嶋浩一郎

編集者・クリエイティブティレクター/博報堂ケトル代表取締役社長・共同CEO 1968年生まれ。1993年博報堂入社。スターバックスコーヒーなどで販売された若者向け新聞「SEVEN」編集ディレクターなどを経て、02年から04年に博報堂刊『広告』編集長を務める。2004年「本屋大賞」を立ち上げ、現在NPO本屋大賞実行委員会理事。06年に既存の手法にとらわれないコミュニケーションを実施する「博報堂ケトル」を設立。

カルチャー誌『ケトル』(太田出版)編集長のほか、食材カルチャー誌『「旬」がまるごと』(ポプラ社)プロデューサー、エリアニュースサイト『赤坂経済新聞』編集長など、メディアコンテンツにも積極的に関わっている。編著書に『CHILDLENS』(リトルモア)、『嶋浩一郎のアイデアのつくり方』(ディスカヴァー21)、『企画力』(翔泳社)、『このツイートは覚えておかなくちゃ。』(講談社)、『人が動く ものが売れる編集術 ブランド「メディア」のつくり方』(誠文堂新光社)がある。

■若者の「はたらく」を読み解く■

B&B

「これからの街の本屋」を掲げ、2012年7月に東京・下北沢でオープンした書店。ブックコーディネーター・内沼晋太郎による本とアイデアのレーベル「numabooks」と、嶋浩一郎が代表を務めるクリエイティブエージェンシー「博報堂ケトル」が協業でプロデュースしている。書店名の「B&B」とは「BookとBeer」に由来しており、店内でビールをはじめとするアルコール類なども楽しむことができる。また、雑誌の特集と連動した企画や新刊発売記念のトークイベントなどを中心に、毎晩イベントが行われている。

HP:http://bookandbeer.com/

twitter:@book_and_beer

facebook:B&B

U25|SURVIVAL MANUAL SREIES―生き抜くために自分の仕事をつくる。

漠然とした不安を抱えるU25世代(学生~入社3年目の若者)に向けて、 厳しいと言われる時代を明るく生き抜くための新しい働き方を提案するシリーズ。

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