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カーマイン・ガロ インタビュー

~今日から実践できる、“イノベーション”の法則~


※本記事は2011.10.28時点のものとなります。

iPhone、iPad など世界的な大ヒットを次々と生み出したビジネス界のカリスマ、スティーブ・ジョブズ。その言動を徹底的にリサーチ&分析した著書で注目を集めているアメリカのコミュニケーションコーチ、カーマイン・ガロさんが来日。最新刊『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション-人生・仕事・世界を変える7つの法則』のエッセンスを伺いました。

スティーブ・ジョブズなら、どうするか?

“プレゼンテーションが苦手”だと言われている日本人。世界各国で話題になったカーマイン・ガロさんの前作『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則』は、そんなプレゼンテーション下手な日本人の心をギュッとつかみ、20万部のベストセラーになりました。



アップルの共同創設者で、先日までCEOを務めていたスティーブ・ジョブズ。前作では彼のプレゼンテーションのテクニックを分析し、聞き手の心を動かす方法を紹介しました。でも実は出版した後に、読者から、プレゼンテーションについてではなく、仕事やキャリア、リーダーシップへの取り組み方の参考になったという、予想外の反応が続々と寄せられるようになったんです。そこで、“現代で最もイノベイティブ(革新的)なビジネスリーダー”と評されているスティーブ・ジョブズの人生の根底にある、物事の考え方をまとめたのが、この『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション-人生・仕事・世界を変える7つの法則』。彼を成功に導いた“イノベーション”を徹底的に分析し、シンプルで、どんな人でも使える法則に落とし込みました。

“イノベーション”はだれにでも起こせる

本書では、スティーブ・ジョブズのイノベーションを7つの法則に分けて紹介。その考え方は、日本でブームになった“断捨離”にも通じるところがありそうです。


中でもいちばん大切なのは、法則1“大好きなことをする”という考え方です。例えば、スティーブ・ジョブズは大学を中退した後も、文字を美しく書くための手法“カリグラフィー”の授業だけは熱心に聴講していました。それが将来、役に立つ見通しなんて何もなかったけれど、それをやりたいと思った“パッション=情熱”が、後にマッキントッシュの美しいフォントを生み出し、多くの人に受け入れられる一因に。“私は会社に雇われて上司の命令に従う社員だから、好きなことを実行に移すのは難しい”という人もいるかもしれないけれど、“自分が好きなこと”を意識するだけでも、仕事や生活はこれまでより面白くなるはず。まずはそれを信じて、努力することが大切なのではないでしょうか。


本書の解説を手がけ、このインタビューにも同席した外村仁さんは情熱から湧き出る“これがいい!”という信念に基づくカン=直感を信じることが、イノベーションへの一歩になるのだと補足してくださいました。外村さんが日本法人の会長を務めるエバーノート別ウィンドウで開きますでも、コアメンバーたちの信念や直感に基づく素早い判断と、製品に対する情熱があるからこそ、どんどん製品を改良し続け、ユーザーが驚くようなスピードで市場に投入できているのだそうです。


もうひとつ、より実践的な法則としては、法則5 “1000のことにノーと言う”、つまり余計なものをそぎ落とし、大事なことだけにフォーカスするということが重要です。日本でも“断捨離”というムーブメントがあると聞きましたが、まさに、その考え!アップル社は製品もサイトも、極めてシンプル。私もiPhoneを初めて買ったときは、思わず“マニュアルはないの!?”と店員に詰め寄ってしまいました(笑)。でも、あれもこれも…と付け加えていくと、本当に必要なものが際立たなくなってしまうんですよね。特に日本人は“不安だから”とたくさんのことを盛り込みがちなので、例えば、キーワードだけをポンと提示するような、ジョブズ流のプレゼンをしようとすると上司の反対に遭うかもしれませんが、目的は何か、相手の心に響くものは何かと考えて、物事をシンプルにする勇気をもって!

危機のときこそ、イノベーションが生まれる

大きな震災を経験した日本人は、今だからこそ、スティーブ・ジョブズから学ぶことが多いのかもしれません。

イノベーションは、危機のときに生まれることがとても多いんです。アップル社にしても、スティーブ・ジョブズが一度追放されて1997年に復帰したときは倒産寸前。3か月でつぶれると言われていました。そこで彼は社員たちに、顧客たちがどんなにクリエイティブで、アップル製品がどのような役割を果たしているのか原点を思い出させ、その結果、iPodやiPhoneが誕生。アップル社は世界で最も成功する会社になったのです。もしあの危機がなければ、今のアップルはなかった。日本のみなさんにとっても、今はイノベーションを起こすチャンスなのかもしれません。


ちなみにこの日の取材を担当したのは、女性のライター。取材の最後に「難しいビジネス書かと思っていたけれど、女性が読んでもとても面白かったです!性別や会社の規模に関わらず、小さいことから始めればいいのだとわかって、元気が出ました」と感想を伝えると、ガロさんは目を輝かせて…。

うれしいですね。仕事をスムーズに進めるアイディアを出してみたり、育児の方法を変えてみたり。もちろん大きなビジネスを始めるのもよし。この本を読んで、女性もどんどんイノベーションを生み出してくれたら、と思っています。世の中が目まぐるしく変化していく今は、イノベーションを起こすことで、人を喜ばせることができ、自分も楽しくなる。イノベーションは、ビジネスのみならず、人生を豊かにすることでもあるんです。

【解説/外村 仁さん】

日本人は、何か偉大なものに出合うと“すごい!”と神格化して自分と切り離し、そこで思考が停止してしまう傾向があります。スティーブ・ジョブズのことも、そのように“雲の上の人”ととらえている人が多いのではないでしょうか。でもアメリカでは、彼のやり方をまねして、試行錯誤しながら取り入れている企業も多数。この本には、そのような企業の事例や、個人レベルのイノベーションでも役立つヒントがたくさん紹介されています。“今日から使える本”として活用してみてください。

iPhone、iPadなど画期的な製品を次々と生み出し、倒産の危機にあったアップル社を復活させたスティーブ・ジョブズの考え方を、徹底的に解き明かした一冊。ジョブズ流・生き方と、ものづくりのヒントが詰まっている。スティーブ・ジョブズのプレゼンテーションテクニックを分析して好評を博した『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則』(日経BP社)の第2弾。

Profile

カーマイン・ガロ コミュニケーションコーチ

プレゼンテーションやメディア対応、コミュニケーションのスキルを教えるコーチ。Business week.comでコラムを執筆するほか、講演やセミナー講師としても活躍。ニューヨーク・タイムスやウォール・ストリート・ジャーナルなどさまざまなメディアに登場している。世界で十指に入る世界的な広告代理店のバイスプレジデントを務めた経験も。Gallo Communications(英語)

外村 仁(ほかむら ひとし) エバーノート日本法人 会長

1963年生まれ。東京大学工学部卒業。米系経営コンサルティング会社を経て、アップルコンピューター・ジャパンでマーケティングを担当。その後、欧州でMBAを取得し、ストリーミング技術の会社を起業。現在はシリコンバレーでファーストコンパスグループ共同代表のほか、複数のベンチャー企業やオープンネットワークラボ別ウィンドウで開きますなどのアドバイザーを務める。SVJEN(シリコンバレー起業家ネットワーク)初代代表。

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