Reader Store

鬼平が読みやすくなって帰って来た!(鬼平犯科帳)

シミルボンに投稿された要注目記事をピックアップ!

今回は『鬼平犯科帳』(池波正太郎 著)を取り上げます。

鬼平が読みやすくなって帰って来た!

鬼平犯科帳[決定版](一)

江戸の盗賊たちに「鬼の平蔵」と恐れられている、「鬼平」こと火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)長官・長谷川平蔵。 火付盗賊改方とは、江戸の特別警察。その長官を務める旗本の平蔵は、いまでこそ人あたりもよく、笑顔を絶やさないが、若い頃は「本所の銕」と呼ばれ、無頼の者からも恐れられた男だった。「悪を知らぬものが悪を取りしまれるか」と言い、人情の機微に通じた鬼平が悪を退治する時代小説の金字塔だ。 中村吉右衛門が鬼平を演じたテレビ版をはじめ、映画、舞台、マンガと様々な形で愛されてきたが、2017年1月からはアニメ「鬼平 ONIHEI」も放送され、大きな話題になった。 2017年は池波正太郎の「鬼平」誕生50周年にあたる。これを記念して人気絶大のロングセラー「鬼平犯科帳シリーズ」全24巻を、ふりがなを増やした決定版で順次刊行。 第一巻収録作品は「唖の十蔵」「本所・桜屋敷」「血頭の丹兵衛」「浅草・御厩河岸」「老盗の夢」「暗剣白梅香」「座頭と猿」「むかしの女」の8篇。 伝説の粋人・ジャズ評論家で晩年は大の鬼平ファンでもあった植草甚一(1908~1979)の解説も収録。

歌舞伎役者中村吉衛門が28年間主役を務め人気を博していた時代劇「鬼平犯科帳」(フジテレビ系)が惜しまれつつ最終回を迎えたのは記憶に新しいですが(2016年12月)、2017年1月になんとアニメ「鬼平 ONIHEI」が始まりました。
実は鬼平犯科帳の第一作が文藝春秋「オール讀物」で発表されたのが1967年で、今年2017年は「鬼平誕生50周年」なんです!
満を持して鬼平犯科帳全24巻が読みやすくなった決定版で刊行開始されました。

 

現代のニーズに応えた鬼平犯科帳

 

決定版。今までの鬼平犯科帳の単行本とどう違うかというと、まずは文字の大きさ。
フォントサイズには詳しくないですが今までのが7.5~8ptという大きさだとしたら9~9.5ptには大きくなっています。
そしてふりがなも多くてかなり読みやすくなっています。
ライトノベルのような読みやすさで敷居が低くなっていて、まさか「アニメをキッカケに鬼平を読んでみた」という時代が来るなんて!

鬼平犯科帳とは?

舞台は江戸後期。
残虐な盗賊たちに「鬼の平蔵」と恐れられる火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)長官、長谷川平蔵が主人公です。
火付盗賊改方とは、時代劇で一番多く見る奉行所の同心を警察官とすると、さらに特別な権限のある警察です。
現代のオレオレ詐欺のように犯罪は進化するもので、盗賊は江戸だけでなく他の国を股にかける組織犯罪で、町に火をつけて混乱に乗じて盗みを働くなど残虐性も増していました。
しかし、町奉行所は江戸市中の取り締まりが専門で、他の国の犯罪組織を取り締まることはできないし、江戸の外までは追い駆けられなかったため、市中だけでなく他国に出て犯罪者を捕らえることもできる機動性の高い火付盗賊改方という専門の警察が誕生したのです。
相手は凶暴な盗賊。捕らえるのが難しければ斬り捨てる権限も認められていました。

 

鬼平こと長谷川平蔵はその名の通り、鬼のような形相で悪い盗賊たちをばったばったと斬っていきます。
しかし平蔵は職務に忠実に悪い奴を斬り捨てるだけの男ではなく、時として情けをかけることもありました。
平蔵が許さないのは非道で、殺人、強姦、潰れるような店からの盗みといった人の道に背く者には一切容赦はしませんが、やむを得ない事情で罪を犯した人には情けをかけることがあります。(江戸から追放して数年後には戻って来られるなど)
平蔵が使う密偵も元は情けをかけられて救われた盗賊だったりします。
部下から「おかしら」と慕われ、男気と人情にあふれる名言も多く、どこか大人の男の色気を漂わせた佇まいの平蔵に、読者は登場するキャラクターたちのように惹きつけられてしまうのです。
奥さんにはちょっと甘えん坊なところは女性読者をキュンとさせます。

 

鬼平犯科帳の魅力はキャラクターだけでなく、庶民が舌鼓を打った江戸の料理があります。
「夜鷹殺し」という話に初めて登場した軍鶏(しゃも)料理屋「五鉄」は平蔵のお気に入りで密偵の「つなぎ」の場所として何度か出てきます。
平蔵は若い頃はかなりヤンチャ(酒、暴力、女!)をしており、この店に押しかけては無銭飲食を繰り返して先代を震え上がらせていました。
その後家督を継いで自由にできるお金ができた平蔵は今までのツケを清算したうえ、25両(200万ぐらい)を送ったとされています。
軍鶏はタイから輸入された闘鶏用のニワトリで、一般的に食べられるブロイラーより腿や胸の筋肉が発達しているため固いですが噛むほどに旨味が広がります。ただ臭みがあるためゴボウかネギが必須です。
五鉄の軍鶏鍋は酒、醤油、みりん、水の割り下に、軍鶏のモツとささがきゴボウを煮込んだもので、味はすき焼きの薄いやつと言ったところでしょうか。夏の暑い日にアツアツの軍鶏鍋をふうふう言いながら食べるのが美味しいらしい。
座敷向きに火鉢や七輪で調理しやすい底の浅い小鍋を使用した「小鍋立て」というのが一般的で、当時の文化を詳細に記した江戸繁昌記にも「一客に一鍋、火盆を連ねて供具す」と書かれており、歌川国貞の浮世絵「柳橋きんし」(国立国会図書館蔵)にも酒の肴にひとり鍋をする女が描かれています。
あくまで酒の肴なので2,3人でつつくというようなことも勿論あり、時代劇「鬼平犯科帳」ではよく見るすき焼き鍋で食べていました。
平蔵たちの活躍や平蔵の人情に触れながら当時の料理を想像してゴクッと生唾を飲む。そんな鬼平犯科帳は面白い!(千鶴)

あなたにおすすめの特集