
Serendipity ~偶発的な出会い~ vol.37 動物×カメラ女子の、読書生活

大の動物&カメラ好きで、月に1回は動物園に足を運ぶという英玲奈さん。人気情報番組『王様のブランチ』では今年の3月までレポーターを6年間務め、作家へのインタビューも数々経験。お気に入りの動物園「井の頭自然文化園」で行われた取材では、多彩な趣味についてや本とのつき合い方、好きな小説のタイトルまで、お話がポンポン飛び出しました。
動物園でパワーチャージ!

高校1年でモデルの仕事を始め、撮られているうちに“撮ること”にも興味が出てきたのが、カメラを始めたきっかけ。高校卒業後は写真の専門学校に行って本格的に学び始めたのですが、写真って好きじゃないものを撮るのは全然楽しくない!そこで、撮りたいと思ったのが、もともと好きだった動物です。まずは飼っている猫や街猫を、そのうちもっといろいろな動物が撮りたくなり、学校が終わった後に動物園に立ち寄るように。撮り始めたら動物のことももっと好きになり、動物園通いが止まらなくなりました。

今までどれだけの動物園に行ったかわかりませんが、東京近辺の動物園だけではなく、仕事で地方や海外に行くときも、撮影の合間に時間が取れれば、迷わず動物園に行きます。アメリカ・インディアナポリス動物園、スペイン・バルセロナ動物園、つい3日前も京都市動物園に行きました。動物園って、都会の中でも自然が多くてホッとするんですよね。しばらく行けないとストレスがたまってくるほどです。今日お邪魔した「井の頭自然文化園」に来るのは10回目くらい。初めてこの動物園に来たとき、“熱帯鳥温室”というコーナーになぜかいた小さなキツネの一種・フェネックの、あまりのかわいさにハマって。フェネック見たさにこの温室に通い、中にある長椅子に座って歩き疲れを癒したり、読書をしたりするようになりました。リピートしているうちにフェネックは繁殖して増え、温室から外の檻に移動。動物のかわいさはもちろん、動物園のそんな移り変わりや飼育員さんたちの工夫などを見守るのも楽しいんです。
動物園にはたいていひとりで来ます。デートで来るのもいいんですが、私の場合、どうしても撮影がメインになってしまうし、ひとつの動物の前に1時間、なんてこともザラ。それに、動物に話しかけながら撮影するので、まず引かれますね(苦笑)。人間の場合、知らない人からいきなりカメラを向けられたら嫌じゃないですか。動物も同じだと思うので、撮影する前はきちんと敬語で挨拶をして、「撮影させてください」とお願いしてからシャッターを切ることにしているんです。これはだれに教わるともなく昔から自然としていたことなんですが、数年前『王様のブランチ』で、大尊敬する動物写真家・岩合光昭さんと猫を撮る、という企画でご一緒したら、岩合さんも猫に向かって「やぁ」と挨拶してから撮ってたんですよ! 「よし! 私、間違ってなかった!」と。それ以来、自信をもって大きな声で動物に話しかけるようになりました。「いいヒゲだね~」「キレイな毛並みだね」などとほめてあげると、「え? そう?」みたいなまんざらでもない様子でいいポーズを取ってくれたりするんですよ。言葉は、ちゃんと伝わっていると思います。
情報収集は、本から入る

動物園に行ったら、本を買って帰るのも習慣です。上野動物園のような大きな動物園だと、飼育の熱意や苦労が伝わる本が出版されていたり、海外の動物園でも図録や、その国ならではの図鑑などがすごく面白い!知らない動物の生息地や生態、動物名の英訳を知るのも楽しいし、例えばオーストラリアだと、私たちにとっては遠い存在のタスマニアンデビルが本の表紙になっていたり、チェコの動物園だとなぜかホッキョクグマがイチオシだったりと、その国ならではの動物それぞれとの距離感みたいなものもわかります。
書評家志望の少女が、ブックコーナーのレポーターに

こんなふうに“本”に愛着があるのは、本だけは惜しみなく買ってくれる家庭で育ったからかもしれません。子供のころから本は大好きで、先ほどお話した動物写真家・岩合さんに出合ったのも小学生時代。当時は岩合さんが偉大な写真家であることも知らなかったのですが、学校の図書館で岩合さんの飼い猫の生い立ちが写真とともに綴られている『海ちゃん-ある猫の物語』を読んで、海ちゃんの死について書かれているラストに号泣したことをよく覚えています。小学校の卒業アルバムで“いちばん好きなもの”に挙げたのは宮沢賢治全集、将来は書評家になるのが夢でした。
今思えば“書評する”なんて恐れ多いことですが、この3月まで6年間レポーターを務めていた『王様のブランチ』では、本のコーナーを担当し、たくさんの作家さんにお会いするチャンスもいただきました。中には気難しい方もいらっしゃるし(笑)、作品をきちんと読みこんでいるか試されているような気がして、毎回相当緊張しましたが、読む本のジャンルが広がったり、その才能のすごさを改めて思い知る、とてもありがたい経験でした。
作家インタビューを経て、募る憧れ

もともとファンだった作家さんに「会いたい」と言い続けて実現したことも多々。江國香織さんは、女子高に通っていたときに『神様のボート』を読んで、大人の恋愛に憧れた一冊。例えばスーパーで歯磨き粉の銘柄をメモって作品に生かすような、女性ならではの繊細なリアリティがあって、話し言葉の選びもすごくキレイ。お会いしてますます好きになりました。乙一さんは、『夏と花火と私の死体』という“死体目線”で語られる作品で、ミステリーの新しい魅力に開眼させられた作家さん。
『箱庭図書館』は読者が書いた小説を乙一さんがまとめ直すというユニークな企画作品なのですが、乙一ワールド全開ですごくピュア&切ない読後感。インタビューでは質問に対して1分くらい考え込んで黙ってしまうこともありハラハラしましたが、すごく真摯に答えてくださる素敵な方でした。ピュアといえば、太田光さんもハズせません。『文明の子』などを読んでいると、世の中のことをすごく考えていて、「未来をよくしたい」という気持ちがすごく伝わってきます。絶対にかなわない妄想ですが、太田さんは結婚したいくらい好きです(笑)。
ほかにも、“いじめられる側”の気持ちを代弁している天童荒太さんや、暗がりで読むとぞっとしてしまうような女性の怖さを描いている新津きよみさん、ご自身のひりひりするような体験を作品に投影されている村山由佳さん、山本文緒さん、また薬学の知識など知らない情報がギッシリ詰まっている高野和明さんの『ジェノサイド』etc.。挙げだしたらキリがありませんが、読み終わって自分が何か成長していると感じられるような作品に、特に惹かれますね。
以前、猫の雑誌にエッセイの連載をしていたことがあり、その難しさを多少なりとも味わったからでしょうか、“書ける人”への憧れはすごくあります。それに、作家さんへのインタビューという経験を通して、どのような言葉で何を伝えたいのか、言葉の選び方をすごく意識するようになりました。またいつか、書くお仕事にもチャレンジしてみたいですね。そして…ずっと「30歳までに“イイ女”になりたい」と言い続けていたんですが、実はあと1年を切ってラストスパート!さまざまな分野で活躍されている先輩女性たちがどのように20~30代を過ごし、どんな恋愛をして何を考えてきたのかに興味が湧いてきて、『妹たちへ』などこれまであまり読んでこなかったエッセイ分野も開拓中です。まずは大人の女性として、漢字をちゃんと書けなきゃイカンだろう、と、漢検のテキストも購入済み(笑)。本から学ぶことは尽きません。
Text/Akiko Sakai(staffon)
英玲奈さんの素顔を拝見!
大好きな1冊

地球動物記/ 岩合光昭(著)/福音館書店
英玲奈さんが“神様”と崇める、動物写真家・岩合光昭さんの写真集『地球動物記』はとても大切な1冊なので、取材当日もほかの本とは分け布袋に入れて持参。「岩合さんの本はたくさんもっていますが、野生動物の一瞬を切り取ったこの写真集はその魅力が凝縮された集大成。いつか、こんな写真を撮ってみたい!」
お気に入りの読書スポット

「井の頭自然文化園は小ぢんまりした敷地にベンチがいっぱいあって、混雑もそれほど気にならないのんびりした雰囲気がお気に入り。“熱帯鳥温室”には以前は長椅子があって読書をしながらうっかりウトウト…なんて至福の時間を過ごしていました。実は、今は長椅子は撤去されてしまったのですが、小さいベンチは健在。独特の雰囲気があるステキな場所です」
自宅の本棚

ベッドサイドの本コーナー。「ここに置いているのは、これから読みたい小説や、サインをいただいたりして思い入れのある本、料理本や漢字の本などの実用書、最近読んだマンガなど。すぐにいっぱいになってしまうので、読み終わった小説は、実家に避難させています」
読書のおとも

「『王様のブランチ』を卒業するとき、お世話になったライターさんからいただいた猫柄のブックカバーとしおりを愛用中。自宅では、骨盤エクササイズチェア“エアリーシェイプ リゾート”に座りながらカシウエアのブランケットをかけて、読書することも」
Profile
英玲奈(えれな) タレント

1983年2月生まれ。高校時代にモデルデビューし、タレント・女優として活躍。『王様のブランチ』(TBS系)では今年3月の卒業まで、6年間レポーターを務める。一眼レフでの写真撮影、読書、料理、バイク、釣りetc.多趣味なことでも知られる。現在は『健康カプセル! ゲンキの時間』(CBC/TBS系全国ネット)や、クルマ&バイク好きを生かして『D1GP 2012』(BSフジ)にレギュラー出演中。
http://ameblo.jp/erena-0209/





