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『こんな私でよかったら』配信記念! 作家:中村うさぎインタビュー

※本記事は2014.7.4時点のものとなります。


2000年10月に単行本が発売、2002年に文庫化された、痛快爆笑エッセイ集『こんな私でよかったら…』が待望の電子書籍化! 10年以上のときを経て、著者・中村うさぎさん自身が語る、変わったこと、変わらないことetc.赤裸々でありながら、どこか俯瞰したクールな洞察力あふれるインタビューをお楽しみください。

毎度性懲りも無く無駄遣い!

私の人生って、いつもこうだよ・・・・・・。


※本書は、2000年に角川書店より刊行された『こんな私でよかったら・・・・・・ 借金女王のビンボー日記III』に一部修正を加え、電子書籍化したものです。

借金女王・中村うさぎが贈る

爆笑! 怒涛のハイテンションエッセイ第3弾!

中村うさぎインタビュー

―文庫化から12年。このたび電子書籍化されるにあたって、ご自身で読み返してみたとのことですが、いかがでしたか?

中村:ふだん、自分が書いた本はほとんど読み返さないから、ある意味新鮮。「ほんっとバカだなー、こんなこと書いてるよ!」って思いながら読んでたら、バカっぷりは今も昔もまったく変わらないことに気づきました(笑)。

このころはちょうど買い物依存症のころ。前夫との離婚ネタや友情、恋愛ネタもあるけれど、どちらかと言うと「男なんていらない」って、バンバンシャネルを買いあさっていた時期。"後先考えない、明日のお金のことは心配しない、貯金がない"。その点は全然変わってないけれど、さすがに今はシャネルの前も素通りしますよ。

それにしても、この後、ホストに狂ったり、美容整形にハマったりするなんて、思いもよらないわけで…。後の人生を知っている今の自分から見ると、「まだまだ甘いな、なにもわかってなかったなー」なんて初心に帰ると同時に、「この頃の私にしか書けないことを全力で書いてるな」と懐かしくも思いました。

―変わった点は、やはりご病気をされたことでしょうか。

中村:そうですね。去年(2013年)の夏、なんだかずっと体調が悪くて、そのうち手足が突っ張ったり震えが止まらなくなったりして、さすがにヤバいと思って病院に行ったら即入院。
私、入院中に3回くらい死にかけているんですが、そのうち1回は、完全に心肺停止に陥りました。テレビの電源を落としたとき、ふっとモニターが暗くなるでしょ? 心肺停止、つまり死んだ瞬間ってあんな感じ。三途の川に誰かがお迎えがくるわけでも、お花畑が見えるわけでもなく、ただただ目の前が真っ暗になっただけ。
で、3日後に意識が戻ったわけですが、"一度死んだ経験をした私"から見ると、死ぬことはあんまり怖くない、ある意味ラクだなぁというのが実感です。だってあんなに全身が痛くて辛くて苦しかったのに、その瞬間、ふっとラクになって真っ暗になって、ハイ、おしまい。私の場合、それだけ。

"私"というものが終わってしまう、その意識すらないわけですよ。だから、身体的な痛みはもちろんですが、私が私であるという自意識ゆえに苦しむこともないんです。
私からの解放。私というものに囚われない自由。ものすごい救いだと思いません?

―死んだ経験がある方にお会いするのは初めてなので……貴重なお話といいますか…。

中村:あはは(笑)。そうよね、だいたいみんな、そのまま死んじゃうから(笑)。おまけに私、退院してから、肉体的にはめきめき回復しているからね。
でね、死への恐怖はなくなったけれど、この世に戻ってきた以上、生きなきゃならないわけで、そうとなったら生きてる間くらいは"私"でいないともったいないと思ったんです。だって、死んだら"私"を認識できない。だったら「どんな私でも、たとえそれがくだらない人生であっても、生きている限り中村うさぎを肯定し続けよう」と。

そういう感覚って、10年前はおろか、今まで一度も感じなかった。今、治療で使っている薬の影響で、精神的にはアップダウンが激しいけれど、そう思えたのって幸せな気がする。

生きることって、苦しいこともいっぱいあるけれどやっぱり楽しいはず。おいしいものを食べたり、恋愛でドキドキしたり、振られてどーんと落ち込んだり。その喜びも苦しみも、"私が私である"状態のときでなければ、味わえないこと。生きている限り、天国も地獄もあるから。その両方をとことん味わなきゃ損だなって思います。

―深いですね…。それにしても、買い物依存症、ホスト、全身整形、デリヘル、そして臨死体験。ありとあらゆる体験を、体当たりで見せてくれてるうさぎさんから、読者の方へメッセージをお願いします!

中村:ほんと体当たり人生よね~。ま、それが私の芸風だから(笑)。

さて、まずは男性読者の方へ。

どんなかわいい女性だっておならもするし、鼻くそもほじります(笑)。男の人って、どこか女性に夢を抱いていると思いますが(特におじさま方)、それは幻想です。「女って何を考えているんだ、わからない…」という方にこそ、本書を読んでほしい。 がっかりすると思いますが(笑)、これが女性のリアルです(全員ではありませんが)。女性の本音がつまっています。新しいカタチの実用書になるかと思います。

次に、世の中の女性読者の方へ。

12年前に書いた本書の中で、「恋に仕事に全力投球!」みたいなバリバリのキャリアウーマンがヒロインのドラマについて毒づいていました。その中で、「働く女性の現実はドラマみたいにカッコイイもんじゃない。自己実現なんて嘘っぱち。いつも輝いている必要なんてない。家でジャージ姿で鼻くそほじってるダメな自分だってかわいいじゃん!」って書いています(我ながらいいこと言ってる・笑)。

そんなバリキャリブームの後に、美魔女ブーム、働くキラキラママブーム、ときた。しっかり働いて子供も産んで、その上いつまでもキレイで若くいなきゃならない。じゃあ女はいつ引退できるのよ!? って話。いつまでも輝き続けるなんて無理だから!

私の世代より上の女性は、結婚して子供を産んでお母さんになったら女を引退できたわけ。ある意味、一本道の人生しかなかったの。でも、今の時代、女性が自由になったぶん、選択肢が増えて人生の道はひとつじゃなくなった。何を選んで何を捨てるかは全部自己責任。そうなってくると、選ばなかった人生への未練とかも出てくる。それってさ、自由になったぶん、ちょっと苦しい気もしない?

でもね、何を選択したって人生は続くんです。どっちが正解だったなんて、死ぬまでわからないし、死んでもわからない(笑)。だから、選んだ以上は、その道が正解だったと努力するしかないよね。その努力こそが生きることだと、一度死んだ中村うさぎ的には、そう思うのです。

写真/永田忠彦
文/田中美保(スタッフ・オン)

中村うさぎ(なかむら うさぎ) プロフィール

1958年2月27日生まれ、うお座 AB型。

1991年ライトノベル作家としてデビュー、角川スニーカー文庫より『ゴクドーくん漫遊記』で人気を博す。

その後、ライトノベルを中心に作品を発表していたが自らの浪費家ぶり(ブランド品の買い物、ホストクラブ通いなど)を赤裸々に書いたエッセイ『ビンボー日記』、『ショッピングの女王』が大人気に。

2002年に顔を計12箇所整形し、話題を集めた。その後、2003年に豊胸手術をし、豊胸前・豊胸後のトップレス写真を女性週刊誌グラビアで公表。


現在では、主にエッセイストとして活動しており、女性からの絶大な人気は絶えることがない。


■連載情報■

・サンデー毎日「うさぎとマツコの往復書簡」毎日新聞社 毎週火曜日発売

・バディ「新宿二丁目の女王」テラ出版 毎月21日発売

・「中村うさぎの死ぬまでに伝えたい話」 メールマガジン 毎週金曜日発行

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