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松岡圭祐の読み方

書評サイト「シミルボン」に投稿された要注目記事をピックアップ!

今回は風竜胆さんのコラムをご紹介します。

松岡圭祐の読み方

私が松岡作品を最初に読んだのは、千里眼シリーズの何冊かだ。元航空自衛官で現在は臨床心理士の岬美由紀の活躍を描いたものである。その活躍ぶりは、ハチャメチャといってもいいくらい。中には、友人を救出するためアフガニスタンに乗り込んで大暴れするような話もある。荒唐無稽と言っても良いくらい活躍ぶりなのだが、これがまた何とも痛快無比で面白い。エンターテインメント小説として読んだら最高だろう。しかし、この時点ではまだ松岡作品に完全に嵌っていたわけではない。

本格的に松岡作品を読み始めたのは、「万能鑑定士Q」シリーズからである。このシリーズの事は以前から知っていたのだが、しばらくの間食わず嫌いという状態が続いていた。しかしある時試しに読んでみると、おばあちゃんの知恵袋的なトリビア満載で、中には数学パズル的なものもあり、それまで読んでいたミステリーとは違ったその魅力にいっぺんでその魅力の虜になってしまった。清原紘さんによる表紙イラストも秀麗で、作品に大きな魅力を付加しているように思える。

万能鑑定士Qの探偵譚

『わたしは横領着服などしていません・・・・・・』無実を主張し、波照間島から去った謎の女性。樫栗芽依と名乗った彼女は、未使用の偽札を残して姿を消した。鑑定家に徹しきれない自分を恐れ、事件に関わることを避ける凜田莉子。だが、小笠原悠斗には島からの撤退命令が出ていた・・・・・・。悠斗への想いと自らの道を確かめるため、莉子は再び「万能鑑定士Q」として、羽ばたけるのか? ヒロイン・コージーミステリの原点、最高傑作!

出てくる数学パズルの例を少し紹介してみよう。例えば、4枚のカードがあり、表裏にそれぞれ(91,78)、(65,52)、(49,36)、(27,14)という数字が記載されているとする。このうちどの2枚を表にして、残った2枚を裏という組み合わせにしても、その合計が206となる(万能鑑定士Qの探偵譚)。もうひとつだけ例示すると、二桁の数字がランダムで出る機械を50回動かした場合、特定の数字が出る確率と出ない確率は7:5で出ない確率の方が大きくなる。もし特定の数字が出る確率を50%にしようと思えば、機械を69回作動させなくてはいけないというものだ(万能鑑定士Qの事件簿Ⅹ)

これらが成立することは、割と容易に数学的な証明ができるのだが、もちろん作品中には証明など与えられてはいない。だから証明を、自分で考えてみるというのも、理系読者の楽しみになるのではないかと思う。私自身も松岡作品に限らず小説中にこういったものが出てくると、頭の体操として自分なりに証明を試みてみるようにしている。こういったことも作品のひとつの読み方になるだろうと思う。

万能鑑定士Qの事件簿 I

東京23区を侵食していく不気味な“力士シール”。誰が、何のために貼ったのか? 謎を追う若き週刊誌記者・小笠原は、猫のように鋭く魅惑的な瞳を持つ美女と出会う。凜田莉子、23歳──瞬時に万物の真価・真贋・真相を見破る「万能鑑定士」だ。信じられないほどの天然キャラで劣等生だった莉子は、いつどこで広範な専門知識と観察眼を身につけたのか。稀代の頭脳派ヒロインが日本を変える! 書き下ろしシリーズ第1弾!!

特等添乗員αの難事件 I

掟破りの推理法で真相を解明する水平思考──ラテラル・シンキングに天性の才を発揮する浅倉絢奈、22歳。新人ツアーコンダクターとして国内外を飛びまわる彼女は、旅先で発生するトラブルから難事件まで、予想もつかない手段で瞬時に解決する。中卒だった彼女は如何にして閃きの小悪魔と化したのか? 鑑定家の凜田莉子、『週刊角川』の小笠原らとともに挑む知の冒険、ここに開幕。人の死なないミステリ最高峰、αシリーズ第1弾!

ところで、松岡作品の一番の魅力は、ヒロインのひたむきさだろう。「万能鑑定士Q」シリーズの凜田莉子の高校時代の成績はオール1(よく卒業できたな!?)であり、「特等添乗員α」シリーズの朝倉彩菜は引きこもりの中卒だった。「水鏡推理」の水鏡瑞希は三流とはいえ一応大学はでているのだが、公務員試験には判断・推理という分野が出題されるので、推理なら探偵だと思い込み、探偵会社でバイトを始めるという勘違いぶりである。このように、元々はダメダメ人生を歩いていたヒロインだが、良い師に巡り合い、その才能を開花させている。どのヒロインも、とっても魅力的で、その魅力だけでご飯三杯はいける気がするのだ(笑)。

しかし、これが「探偵の探偵」になると、がらりと雰囲気が変わってくる。それまでのシリーズが「人の死なないミステリー」として、暗さは感じられなかったのに比べ、こちらはかなりダークな内容を描いたものになっているのだ。この作品は、妹を死に追いやったストーカーに加担した探偵を探すために、自分も探偵となる紗崎玲奈の生きざまを描いたものだが、探偵業のダークな裏側を描いたような内容には驚いた。

ただ、これは完全に「万能鑑定士Q」などの世界とは別物だと思っており、これまでとは少し違う路線のものを始めたのだろうくらいに思っていたのだが、この後、まさかの「万能鑑定士Q」シリーズとのコラボ作品となる「探偵の鑑定」が出てきたのは意外だった。おまけに、これで二つの作品が完結するというのだから二重の驚きだ。もっとも「万能鑑定士Q」シリーズの方は、この後「万能鑑定士Qの最終巻 ムンクの〈叫び〉」が出て、これで本当の終わりとなってしまい、懸案だった小笠原との仲も、収まるところに収まったという感じである。

松岡作品は、どのシリーズをとってもエンターテインメント作品としては1級品だろう。いったいどのようなトリックが用意されているのか。それを考えながら読んでいくとなかなか楽しい。また、適度に散りばめられた小ネタともいっていいような内容もなかなか興味深い。

ただ、最近少し思うのだが、どうも作者は科学技術方面には意外と疎いのではないかということだ。特に自分の専門に近い分野ではツッコミどころが目立つ。とくに最新作の「水鏡推理」シリーズは、科学技術に関する不正がテーマなので、ツッコミどころを探す楽しみも増えている。もしかすると、松岡氏、私のようなひねくれた読者に対して楽しみを与えるためのサービスかと思ってしまうほどだ。

探偵の探偵

調査会社スマ・リサーチが併設する探偵学校スマPIスクールに、笑わぬ美少女・紗崎玲奈が入校する。探偵のすべてを知りたい、しかし探偵にはなりたくない、という玲奈、なぜ彼女は探偵学校に入校したのか? スマ・リサーチの社長・須磨康臣は、彼女の驚くべき過去をつきとめる。須磨は玲奈の希望を鑑み「対探偵課」を設けた。紗崎玲奈はひとり、悪徳探偵を追う対探偵課探偵となった。

万能鑑定士Qの謎解き

幾多の人の死なないミステリに挑んできた凜田莉子。彼女が直面した最大の謎は大陸からの複製品の山だった。しかもその製造元、首謀者は不明― 仏像、陶器、絵画にまつわる新たな不可解を莉子は解明できるか

例えば「探偵の探偵Ⅴ」では、水力発電所において、本来は取水部において流量調節を行うために設ける水槽が、なぜか発電所の最下部にあるし、発電所の中にもなんだか怪しげな機械が設置されている。「万能鑑定士Qの謎解き」では次世代ガソリンの盗難防止のための監視が、普通では行わないようなパズル的な方法で行われている。そして「水鏡推理Ⅴ」ではなんとゴム手袋ひとつで、活線のまま変圧器の入れ替えをやっているのだ(電圧にもよるが、普通はこういうことをやると、まず死にます)。そんな突っ込みどころにも関わらず面白いということは、松岡作品を間違っても理系ミステリーとして読むのではなく、パズルミステリー、エンターテインメント小説として読むべきということなのだろう。(風竜胆)

松岡圭祐作品

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