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大沢在昌 大人気シリーズ『新宿鮫』待望の1~9巻入荷! インタビュー記事もご紹介!

※本記事は2013.9.13時点のものとなります。

大沢在昌の作品

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『新宿鮫』の作家・大沢在昌のインタビュー

『時代の半歩先を行くハードボイルド』

※本インタビューは2011年に行いました。

主人公の“新宿鮫”こと新宿署のアウトロー刑事・鮫島警部が、新宿を舞台にさまざまな犯罪組織と対峙する「新宿鮫シリーズ」。鮫島の恋人・ロックバンドボーカルの晶や、鮫島の上司であり数少ない理解者である桃井課長、鑑識課の藪など、鮫島を取り巻くレギュラー陣も魅力的。今回、鮫島が対峙するのは、22年もの長期刑を終え、新宿に戻ってきたヤクザも恐れる伝説の一匹狼。彼は“ある警官を殺す”という復讐だけのために獄中生活を送った男だった…。

――待ちに待った『新宿鮫』が、5年ぶりに帰ってきました!記念すべき、シリーズ10作目です。しかし、5年という歳月は、ファンにとってはかなり長い期間かと…。

大沢在昌(以下O):そう言ってもらえると、とてもうれしいですが…、いつもいつも鮫島君のことばかり考えているわけにいかないですからね(笑)。シリーズ1作目の『新宿鮫』を書いたのが21年前。デビューから今まで、新宿鮫シリーズを含めて86冊書いています。ということは、このシリーズ以外の作品は76冊。ね?なかなか忙しいでしょう?(笑)だから、そろそろ鮫島君に会おうかな、という前向きな気持ちにならないと書けないんです。

――ということは、ついに、鮫島さんが恋しくなったんですね?(笑)

O:鮫島を恋しく思ったことなんてない、ない(笑)。担当編集者の“そろそろ…”っていうプレッシャーに負けた、というのがほんとのところです。まあ、それは冗談だとしても、このシリーズは、書き始めるとかなり気合いを入れなければならない。書いている最中は、新宿鮫の世界にどっぷり浸り、鮫島自身と真剣に向き合わないといけない。だから体力・気力ともかなり使うんです。毎回、書き終えた瞬間、“鮫島、お前の顔なんか二度と見たくねえっ!”と思ってる(笑)。でも、ありがたいことに読者の方の期待値も高いので、お待たせした分、その期待にしっかり応えたいと思っています。

――そんな、渾身のシリーズ最新作『絆回廊』のテーマを教えてください。

O:オヤジの純情(笑)!オヤジによるオヤジのための純情小説です。なんて言うとまだ読んでいない方にとっては???かもしれませんが、読むと納得していただけるはずです。ただ、『絆回廊』というタイトルは、作品を書き始める前につけたもの。このタイトルに決めた時点で、いろいろな人たちの“絆”がテーマになる、ということははっきりと頭の中にありました。新宿という街でさまざまな絆が交差する“交差点”のような物語だと。もともと新宿鮫シリーズ自体、そういった物語なんですが、今回は特に、桃井課長が背負ってきた過去、謎の大男が抱え続けてきた過去、鮫島自身の過去…。それぞれの“過去”の絡みが出発点になって物語が動き始めるという点が今までとは違うかもしれません。

――とりわけ今回は、今まで主題となってきた「警察vs暴力団」という組織の対立よりも、「個人vs個人」の衝突が色濃く描かれていたような気がします。

O:そうですね。前作『狼花』は、組織の対立が大きなテーマでした。その中では描き切れなかった個人の問題を今回はしっかり描きたかった、というのはあると思います。言ってみれば、人生なんて、点ではなくて線じゃないですか。振り返れば、それぞれが歩いてきた道が線となって存在する。それは直線ではなくて、グルグル回っていたり上がったり下がったり…。いろいろな形の過去がシンクロしながら今に至り、今この瞬間に立っている場所で交差する。そんな個と個の強いぶつかり合いのようなものを描きたかったんです。だからこそ、今回、新宿鮫という物語から退場する人間がいるのは必然でした。あんまり言うとネタバレになってしまいますが…。

――確かに。鮫島は本作品の中で、彼にとって非常に大切なものを2つも失いました。彼にそんな試練を与えたのは、10作目という節目だからでしょうか?

O:いや、それはまったくないですね。8作目でも12作目でも、新宿鮫という大きな舞台の中で、今回のように鮫島個人に大きな動きが必要であれば、物語はそう動く。それがたまたま10作目だった、というだけです。ただし、このシリーズではいつも、現実の半歩先のクライムシーンを描こう、ということを意識しています。警察や犯罪組織、正義の在り方から犯罪そのものについてまで、“何をどう書けば時代の半歩先を描けるのか”を常に考えている。そうすることで、今の時代のハードボイルド、あるいは警察小説になると思っています

――そういう意味では、鮫島という“ヒーロー像”にも変化があったように思います。

O:そりゃあそうですよ。昔は直情型というか、わりとすぐに手が出る男でしたが、今ではずいぶんと老練で粘っこく、いやらしい攻め方をする刑事になりました(笑)。それは、鮫島が変わっただけでなく、日本の犯罪組織の在り方や犯罪の質が変わったという背景があります。かつてのような露骨な在り方ではなくて、組織も犯罪も非常に知能的になっていますから。そういった時代の動きについては、一生懸命勉強しています。ただ、もともと鮫島をいわゆる無敵のスーパーヒーローとして書いてきたつもりはありません。彼は普通の人なら100で止める努力を120まで頑張る男なだけ。人並み外れた勇気や体力、ケンカの腕前があるわけでもない。ただただ粘る、絶対に諦めない、愚直なくらいの努力家なんです。彼のその部分は、ずっと変わってないはずです。

――そんな、ある意味でタフな男・鮫島の、もろさや弱さ、迷いなど、人間味溢れる描写に、ますます鮫島ファンになった女性は多いはずです。(※注:インタビュアーは女性です)

O:女性は傷ついた男を癒したい生き物ですからねぇ…(笑)。でも、実は今回、一番気合いを入れたのがまさにその部分でした。大切なものを失った後の鮫島の感情をどう描くか。弱ったり迷ったり苦しんだり、珍しく動揺しながらも信念を貫き通す彼の姿と、それをこっそり助けてくれる周囲の人々とのやりとりは、本作品の見どころのひとつだと思います。最初に今回のテーマを聞かれたとき、“オヤジの純情”って言ったでしょう?それは、オヤジたちの真っ直ぐな信念や愛情といった、“人間を衝き動かす強い感情”をしっかりと描いた、という意味でも“オヤジの純愛小説”だと思うんですよね」


――ちなみに、鮫島の変化と、大沢先生ご自身の変化とリンクしている点はあるのでしょうか?

O:え、俺?うーん、昔に比べて短気になったかな。そういう意味では鮫島の変化とはリンクしてないか、ヤツは粘り強くなってるわけだし(笑)。でもね、1作目を書いたときは34歳で、今は55歳でしょう。20年以上も時が経てば、人間、変わらない方がおかしいわけで…。特にこのシリーズは、書き手も物語の登場人物たちも常に変化している。そんな風に、書き手が自分の気持ちに正直に、嘘をつかずに書いていることも、これほど長く続けられている理由だと思います。あ!俺の変化ね、もうひとつあったよ。“六本木自警団”の回数が減ったこと!

―― …すみません。“六本木自警団”とは何でしょうか?

O:夜の六本木を飲み歩くこと(=パトロール)のことです(笑)。もういい加減、そんなパトロールしなくていいって周囲には言われますけどね、しなくちゃいけないと自分で思い込んでるっていう話もある。やっぱり仕事っていうのは、それ以外の喜びを得るための手段であって、目的ではないわけですよ。目的はアフターワークにこそあるので。そして、稼いだ金は、小さく夜の世界に寄与する、と。それはもう信念ですよ(笑)。要は人間、“にんじん”が大切なんです。そのにんじんのために仕事を頑張ろう、っていうね。ボクの場合のにんじんは、飲み歩く、ゴルフ、釣り、ゲームなわけで……。

――“美脚”もにんじんですか?(※注:大沢氏の美脚好きは有名)ちなみにどんな脚がタイプですか?

O:ずいぶんマニアックな質問だな(笑)。もちろん美脚もにんじんのひとつですよ。だいたい、男が好きな女性のパーツは、1位が胸で2位が脚ですから。脚といってもいろいろあって、ふくらはぎとか足首とか足の指とか、好きな部分は細か分かれますよね。俺の場合は、ふともも!ガリガリじゃなくて、ほどよく肉がついた、細くてスッとした太ももね。理想は『少女時代』の脚です。って!こんなオチでいいの?これ、『絆回廊』のインタビューだよね?(笑)

Text / Miho Tanaka(staffon)

Profile

大沢 在昌 (おおさわ ありまさ) 作家

1956年名古屋市生まれ。1979年『感傷の街角』で小説推理新人賞を受賞し、デビュー。1991年『新宿鮫』で吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞を受賞。1994年『無間人形 新宿鮫Ⅳ』で直木賞、2004年『パンドラ・アイランド』で柴田錬三郎賞、2010年に日本ミステリー文学大賞など、受賞歴多数。「新宿鮫」初の短編集をこの冬に刊行予定。

公式ホームページ:大極宮

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