
破天荒な海賊の姫君(村上海賊の娘)
破天荒な海賊の姫君
村上海賊の娘
時は戦国。乱世にその名を轟かせた海賊衆がいた。村上海賊――。瀬戸内海の島々に根を張り、強勢を誇る当主の村上武吉。彼の剛勇と荒々しさを引き継いだのは、娘の景(きょう)だった。海賊働きに明け暮れ、地元では嫁の貰い手のない悍婦(かんぷ)で醜女。この姫が合戦前夜の難波へ向かう時、物語の幕が開く――。本屋大賞、吉川英治文学新人賞ダブル受賞! 木津川合戦の史実に基づく壮大な歴史巨編。
海賊
戦国時代に有名な海賊といえば村上水軍と九鬼水軍が一躍有名です。今回はその村上水軍にスポットを当てます。当時は海賊とも言われていた瀬戸内海を支配しその領海を通行する船から通行料を徴収する事でその船の通行保障の警備を行っていた。戦国時代の前は倭寇とも呼ばれ瀬戸内海だけではなく朝鮮半島や中国、ベトナムなどの東南アジアの海岸沿いの村々を襲い略奪を繰り返した。その棟梁は代々村上氏といい今回の主人公はその村上氏当主である村上武吉の娘である。
物語の前半は野蛮な海賊の娘として瀬戸内海では向かうところ敵なしの主人公『景姫』だが、問題はその容姿が。当時はのっぺりとした色白の薄い顔が美人の条件だったようだが、景姫は顔立ちがはっきりしている上に浅黒い肌であったため、醜女として有名であった。ところがヒョンな事から一向宗門徒を乗せて一向宗が立てこもる大阪本願寺を目指す事になるのだが、ここで織田信長側に付いていた泉州真鍋海賊と出会う。同じ海賊通し話は合うし、なによりも顔立ちがはっきりしている方が美人という瀬戸内海とは美の基準が違っていたこの地が気にいった影姫だったが、折しも織田信長が大阪本願寺を攻め込む時に当たり巻き込まれて行く。
大坂本願寺
大坂本願寺は本願寺顕如を中心とした一向宗5万人が籠っており、織田信長でもその人数と死を恐れずに向かってくる一向宗門徒に恐怖を抱いており正面からぶつかるよりも兵糧攻めを選択する。そのため大阪本願寺では5万人分の兵糧の備蓄が無く、信長からの包囲網を突破して兵糧を運びこむ必要がある。そこに織田家と対抗できる大大名といえば毛利家に白羽の矢があたり、本願寺から嘆願書が届く。毛利家としてもいずれ織田家とは戦う事になることを想定していたので本願寺に味方する腹つもりであったが、毛利水軍だけでは船の数や経験が足りないため同じ瀬戸内海を縄張りとしている村上海賊に応援を頼むのだが、海賊の主である村上武吉の味方になるための条件は娘の景姫を毛利水軍の長、児玉就秀に嫁がせる事だった。生粋の武人である児玉就には傍若無人に振る舞う醜女の景姫を娶る事など到底飲める条件ではなくむげに断ってしまう事から物語は進む事になる。
泉州海賊との出会い
信長軍のいる木津砦で泉州海賊真鍋氏と出会う事になる「景姫」だがここでは傍若無人に振る舞う顔立ちのはっきりした女性は美人という評価になり、真鍋海賊たちのあいだでは評判の美人となり浮かれていたが、目の前で一向宗と信長軍の戦が始まり…。戦とは己の家を守るための物。一向宗門徒のように非力な百姓が相手だとしても倒さなければならない相手になる。戦をしらない「景姫」にはその事がまだ理解できず…。
物語の内容は実際に読んで武士と海賊の文化の違いを把握しながら読み進めてもらうとより深く理解できると思います。
作者の和田竜氏の著書で有名なものは「のぼうの城」ではないでしょうか。主人公を面白おかしく描く主本などが似ており、実写化される事を期待したい1冊です。(ライトブルー)


