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青春の日々を彩った、銀河の歴史の1ページ(銀河英雄伝説)

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今回は『銀河英雄伝説』シリーズ(田中 芳樹 著)を取り上げます。

青春の日々を彩った、銀河の歴史の1ページ

“常勝の天才”ラインハルトと、“不敗の魔術師”ヤン・ウェンリー。ふたりの名将が現れたとき、銀河帝国と自由惑星同盟の抗争は新たな段階を迎えた。圧倒的なスケールを誇る宇宙叙事詩、スペースオペラの金字塔。

自己紹介欄に「美術好き」と書き、
ブックレビューも、今のところ美術書しか書いていないわたくしですが、
実は「自分を構成する10冊」の中に、
そっとまぎれ込ませた青春の思い出の小説があります…。

それが、本書『銀河英雄伝説』です。

舞台は遠い未来の宇宙。
帝政を敷く「銀河帝国」と、民主主義国家「自由惑星同盟」が長い戦争を続け、
両者の間に「フェザーン自治領」という交易都市を配した、三国志的な勢力図。

物語は、銀河帝国皇帝の座を奪わんとする青年・ラインハルトと、
そのライバル的な存在である自由惑星同盟の軍人・ヤン・ウェンリーを中心に、
彼らの同僚や部下、友人や家族、あるいは帝国の貴族や同盟の政治家たち、影の勢力、
たくさんの登場人物の思惑や陰謀が絡み合い、
群像劇のように展開していきます。

時に「後世の歴史家によると…」と未来の語りも織り交ぜられ、視点はなかなか重層的。
架空の銀河の興亡史を、歴史小説のように楽しむことができます。

しかしなんといっても最高に魅力的なのは、
登場するキャラクターの多彩さでございましょう…(なにかが目覚める音)

ラインハルト、ヤン・ウェンリーら主役級のキャラクターもさることながら、
脇を固めるキルヒアイス、ロイエンタール、ミッターマイヤー、オーベルシュタイン、
ビッテンフェルト、ユリアン、アッテンボロー、シェーンコップ、ビュコック……
まったくまったく、名前を挙げればきりがないほどのキャラクターがいて、
それぞれに味があり、魅力があり。

当時中学生だったわたくしの心は、すっかりと彼らに鷲掴みにされてしまったのです。

キャラクター同士のやりとりも、小気味良かったり、くすっと笑えたり、
時にキャラと一緒になって「アアッ!?(怒)」と怒りを覚えたり…

大きなことが起こった時にキャラクターが放つセリフに、
そう、そう、あなたならばこう言うよね…!」と拳を握りしめて頷いたり…

戦争の話ですから当たり前のように人が死に、
大好きなキャラクターも死んでしまうことがあるのですが、その時はもう

■この人は! こんな死に方を! するべき人じゃなかった!!!


と膝を折って泣き崩れたり…

この時の悲しみの深さから、
「どんなに本人が嫌がっても、偉い人はちゃんとした警護の人に守られるべきだ…」という
謎の教訓が今もわたくしの胸に刻まれているのですが…
(※ネタバレにつき好きなキャラの名前は伏せます(わかる方にはわかってしまいそうですが))





しかし、そんなキャラの挙動に一喜一憂するのも、多感な中学生だからこそ。
成長すればさすがにそこまでのことはないのでは?と思いがちですが。

わたくしの場合、まったくそんなことはありませんでした…

実はわたくし、中学生以後も2回ほど、田中芳樹マイブームのようなものがありまして。
中学生の時に好きだったキャラクターのことは、
改めて読み返してもやっぱり好きだなあと思ったのですが。
しかし同時に、前とはまた違うキャラのことが気になったり、好きになったりして。
最終的にはあの頃のように、拳を握りしめてその生きざまに心を震わせることもしばしばでした。

高校3年生の頃にはロイエンタールの、あの、自分の内なる情の激しさと
とうとう折り合いをつけられなかった姿に
心惹かれ…

20代も半ばを過ぎた頃には、実はオーベルシュタインが、
あの中で誰よりも強固な意志をもって、歴史における己が役割をまっとうした人なのだ
ということに思い至って、びっくりするほど自分の中で株が爆上がりし…

実は、人生の節目節目で読んでみると面白い小説なのかもしれないなあ、と思います。

だいぶ先ですが、還暦を過ぎた頃に読み返したら、また別のキャラのことが好きになっていそうですね。
年齢のことを考えると、メルカッツやビュコックあたりの心境がわかるようになるのかなと思いますが。
意外と一周回って、ユリアンを孫の成長を見守るような気持ちでいるかもしれません…(ナンバタカオリ)

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