
アドラーだけじゃない岸見さん(嫌われる勇気)
アドラーだけじゃない岸見さん
(僕は数的評価ができません。すべての本は★3つ、「シミル評価」Bに統一します)
世間でなにがはやってるとか、売れてるとか、どうもそういったことにキャッチアップするのがすごく遅い。この岸見一郎+古賀史健『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』(ダイヤモンド社)が出る直前の2013年秋から、同書が話題を呼んでベストセラーとなっていた2014年の春先にかけて、そんなこととはつゆ知らず、僕は岸見さんのそれ以前の本をせっせと読んで、アドラーの発想をおもしろく感じていた。
具体的には、『アドラー心理学入門 よりよい人間関係のために』(ベスト新書、1999)を皮切りに、『不幸の心理 幸福の哲学 人はなぜ苦悩するのか』(唯学書房、2003)『困った時のアドラー心理学』(中公新書ラクレ、2010)、『アドラー 人生を生き抜く心理学』(NHKブックス、2010)、『よく生きるということ 「死」から「生」を考える』(唯学書房、2012)、そして岸見さんが訳したアルフレート・アドラーの『生きる意味を求めて』(1933。アルテ《アドラー・セレクション》)である。
まさに2013年の晩秋から14年の春先、僕は岸見さんに導かれて、アドラーの心理学に接しつつあったわけだ──まさにベストセラーになりつつあった『嫌われる勇気』という本の存在すら知らずに。
そのあと少し遅れて読んだ『嫌われる勇気』は岸見さんの単著と違って、岸見さんをリスペクトする古賀史健さんが一種の「対話篇」のように構成した形になっている。プラトンの対話篇におけるソクラテスや、『論語』における孔子、初期仏典におけるブッダ、福音書におけるイエス、『歎異抄』における親鸞のように、ここでの岸見さん(をモデルとした賢者)は、人に問われるまま自らの──あるいはアドラーの──思想を語っている。
大雑把に言うと、人生がうまくいかないときに、なにか原因があってうまくいかないと原因論で考えるのではなく、うまくいかないことにしとくとある意味で都合がいいからうまくいかないのだ、というのがアドラーの目的論だ。そこから、人は自分がなにを与えられて(持って)いるかではなく、与えられて(持って)いるものをどう使うかが勝負だ、という考えかたが出てくる。
岸見さんといえばアドラー系カウンセリング、アドラーといえば岸見さん、みたいなふうに受け取られているが、岸見さんはもともと臨床心理ではなく哲学の研究から出発している。上記の原因論から目的論への転換はアリストテレス的だし、与えられて(持って)いるものをどう使うかが大事という発想は、ストア派やヴォルテールのようでもあるし、またニーチェの言う「運命愛」という発想をも想起させる。
この本でもっとも秀逸なのは、『嫌われる勇気』というキャッチーな題名だ。
僕らが生きている社会は、「人が自分をどう思うかを制禦したい」という無謀で果てしない欲求が渦巻き、その欲求は性質上、必然的に、つねにフラストレーションに見舞われる運命にある。その欲求の「叶わなさ」を見切ることが、この本をつうじてアドラーから得ることができる、生き抜くコツなのだと思う。(千野 帽子)
ウィーン精神分析学会の中核メンバーとして活躍しながら、やがてフロイトと袂を分かったアドラー。彼の残した心理学は「個人心理学」とも呼ばれ、『嫌われる勇気』のヒットに象徴されるように時代を超えて共感を生んでいます。本書はそのアドラーの考えをもとに、カウンセリングを重ねてきた著者が、現代人の悩みにズバリ答える本。自分自身のこと、友人との関係、職場の人間関係、恋愛、夫婦や親子関係……。様々な具体的シーンを設定し、困ったことをアドラーの教えで解決!
人はトラウマに翻弄されるだけの脆弱な存在なのか?
精神的閉塞感に一石を投じる勇気の心理学
過去は変えられなくても、「今現在」そして「未来」は変えられる。トラウマを振り切って、強い意志と勇気と希望をもって人生を生き抜こう! 理論と実践が緊密に結びついたアドラーの心理学の真髄を、その人生と織り合わせながらひも解く。現在日本の精神的閉塞感に一石を投じる知的興奮の書。
前399年ソクラテスの刑死事件からプラトンの著作活動が始まった。師を弁明するための真剣な営為、それが哲学誕生の歴史的瞬間だった。対話篇の迫力を香気ゆたかに伝える名訳。
かくしてひとり離れて修行し歩くがよい、あたかも一角の犀そっくりになって――。『法句経(ダンマパダ)』とともに原始仏典の中でも最古層とされる『スッタニパータ』。最初期の仏教思想と展開を今に伝えるこの経典は、釈尊に直結する教説がまとめられ、師の教えに導かれた弟子たちが簡素な生活のなかで修行に励み、解脱への道を歩む姿が描き出される珠玉の詞華集である。2400年前の金口直説を平易な現代語で読む。(講談社学術文庫)
愛弟子が親鸞の教えを正しく伝えるべく、直接見聞した発言と行動を思い出しながら綴った『歎異抄』。人々を苦悩から救済するに努めた親鸞の情念を、わかりやすい注釈と口語訳で鮮やかに伝える決定版。








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