幾の感動大陸さんのレビュー
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38
このユーザーのレビュー
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失はれる物語
乙一 / 角川文庫
流石の物語作家・・・外れが少ない
1
じっくり感動させてねと涙で滲んだデザインで選んだ。根本的な失敗は毛色の異なる8つの短編の寄せ集めだった事。表題の「失はれる物語」は障害の知見が浅く思え感動、出来なかった。当事者的立場ゆえ身につまされて…辛すぎて・・・。
が、しかし、コレ以外は意外と面白く良い感じ、かなぁ?
・・・てなわけで、
収録作 面白度ランギング
Calling You ☆☆☆
失はれる物語 ☆☆
傷 ☆☆☆☆
手を握る泥棒の物語 ☆☆☆
しあわせは子猫のかたち ☆☆☆☆
マリアの指 ☆☆☆☆☆
ボクの賢いパンツくん ☆
ウソカノ ☆☆
・・・一押しは「マリアの指」。乙一らしく是非、御賞味願いたい。 続きを読む投稿日:2014.01.04
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わたしを離さないで Never Let Me Go
カズオ・イシグロ, 土屋政雄 / ハヤカワepi文庫
わたしを焦らさないで・・・衝撃の世界に絶句。でも青春小説のワクワク感も・・・
4
代表作の「日の名残り」が執事の独白だったので冒頭からの介護人の感傷的な想い出語りから、これも感動的な福祉っぽい物語かと思ったが、読み進めても状況が掴めず、さらに謎は深まり、その甘い読みは心憎く、ほろ苦…く裏切られエンディングまで、お陰で一気に読了となった。「Never Let Me Go」の収録されたカセットテープを巡る青春小説のワクワク感、精緻で巧みな数多くの伏線、思い返すと頭クラクラで目が冴え翌日は寝不足で酷く疲れた。文章&創作力ともにスゴイ!
続きを読む投稿日:2014.01.04
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魔王
伊坂幸太郎 / 講談社文庫
よげんの書に酔いしれて
7
「魔王」は、余りにも脱力的な突飛過ぎる超能力を秘めた凡庸なサラリーマンvs独裁者?のサスペンス活劇。とは言え、本当にとり憑かれるようにして書き上げてしまったそうで、いつもの精緻な完成度は望めない。そし…て、引き継がれた新たなラッキーな超能力をめぐる後日譚のスロウカーブ的タッチの異なる「呼吸」。ファシズム化って、何か、いとも簡単そうで昨今の世相を予見していて怖くなった。スッキリしない結末のまま時は過ぎ「モダンタイムス」と続く・・・。 続きを読む
投稿日:2014.01.03
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ハーモニー
伊藤計劃 / 早川書房
荒削り感に耐えると報われる魂の救済
2
冒頭の仲良し少女の語らいから興味をそそられ読み始めるも意味不明なプログラム記述のタグ記号や13年後にサハラの紛争地域にいるとか何とも変な展開に嫌気が差して数ヶ月放置してあったが気合を入れて読み終えると…凄いテーマでSFディストピアながら、あの「夜と霧」と対になる程の深い感動があった。やはり、癌に蝕まれた作者の遺作というバイアスが掛かって、より一層切なく想えた。彼自身の「意識」は喪失しても作品が魂の救済に繋がったと信じたい。ハレルヤ! 続きを読む
投稿日:2014.01.03
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イン・ヒズ・オウン・サイト
小田嶋隆 / 朝日新聞出版
小田嶋節、炸裂!
0
読者を意識せず気楽に書き殴った落書き帳で楽しく気楽に読めるが含蓄深いこともあり、思い出して、ふと、読み返したくなる不思議なエッセイ?ボリュームあって、ちょっと、お買い得。
投稿日:2014.01.03
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ありのすさび
佐藤正午 / 光文社文庫
何本も短編映画を観たようなイメージ湧き立つ面白さ
1
ゆっくり読もうと思う間もなく読み飛ばしてしまった、読了が惜しい位、面白かった電子本。長編一篇に5Kgも体重を減らし苦行のように原稿を一枚一枚増やしてゆく孤独過ぎる日常。生活費が自転車操業の駆け出し?作…家の悲哀。女性JAZZボーカルを聴きながら読み進めると相乗効果なのか、構想中の話題などが浮かび上がり、まるで短編映画のようで、なかなか味わい深い出色エッセィ。ただ、創作の苦労話を知ると、ここに触れられている長編がリアル本しか無いのでAmazonしたくなる・・・御免なさい。
続きを読む投稿日:2014.01.03