ラピスラズリさんのレビュー
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57
このユーザーのレビュー
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サクリファイス
近藤史恵 / 新潮社
さらっと読めるのに深い印象を残す数少ない本
1
題材が自転車ロードレースをめぐる人間模様ということもあって、疾走感・躍動感がある。正直、面白すぎて昨日の夜は1時まで読み込んでしまった。オススメの本です!
『アシスト』というサイクルロードレース独…特のシステムに魅力を感じ、主人公:白石誓が飛び込んだ世界。日本を代表するチーム「オッジ」の若手のホープへと成長した誓が直面する人間関係の軋轢、エースへの尊敬と疑惑、ライバルとの関係、夢のステージ、恋愛の古傷、どのエッセンスも魅力的。です。
読むものを共感させるのは、個人プレーでもない・かといってチーム競技とも言い切れない、ロードレースの世界の微妙な世界が織り成す人間の模様に生々しさ、人間臭さが漂っているからかもしれません。 続きを読む投稿日:2013.10.04
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私という運命について
白石一文 / 角川文庫
一人の女性の29歳から40歳までの揺れる10年を描いた、フィクションの物語
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主人公の女性の揺れる心が切ない。結婚に踏み切れなかった心情、純平との出会いと事件と別れ、運命をはじめから見定めていた人、そして結末・・・
描かれている時代が、自分の生きてきた時代とぴったり重なるの…で、ちょっと共感が持てる小説。 続きを読む投稿日:2013.10.04
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ゴールデンスランバー
伊坂幸太郎 / 新潮社
伊坂さんの本の中で一番読みやすい
2
伊坂さんの本を何か1冊、と言われれば、この本を勧めたい。読みやすいと思います。「敵か味方か」とは、堺雅人さん主演の映画のキャッチコピーでしたが、主人公の前に登場するあらゆる人物が、果たして敵なのか?味…方なのか?手に汗握る展開です。 続きを読む
投稿日:2013.10.04
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オーデュボンの祈り
伊坂幸太郎 / 新潮社
デビュー作にして伊坂ワールド全開!
1
リアルとシュールが入り混じり交錯する伊坂ワールド全開。しゃべる案山子が居たり、人を殺してもいい存在?の「桜」がいるシュールな世界である、「荻島」。
物語の後半になって仙台と言うリアルな世界が絡んでくる…と、荻島がリアルで仙台の方がシュールな世界に感じてしまっている自分が居ます。 続きを読む投稿日:2013.10.04
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博士の愛した数式
小川洋子 / 新潮社
小川さん独特の慈悲深い文章がたまらない
2
ストーリーそのものに何か大きなトリックやどんでん返しがあるわけでもないのに、その文章の暖かみにグイグイ引き寄せられます。数式ネタは数学者の藤原正彦さん(「若き数学者のアメリカ」は、僕の青春の一冊!)…によるものだそうですが、一つ一つのエピソードが光っている。
色々な描写から、舞台は岡山なのだろうと思わせるところは、地元民にとってはツボです。
全てが変わった日、1992年9月11日。忘れもしない阪神×ヤクルト戦(甲子園)の、八木の幻のホームラン・・・。 阪神ファンには忘れられない9.11を小説のターニング・ポイントに設定しているところもツボでした。
読むだけで清涼な気持ちになれた一冊です。 続きを読む投稿日:2013.10.04
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世界の奇妙な国境線
世界地図探求界 / 角川SSC新書
暇つぶしにとどまらない面白い本
2
世界地図を見ていると目につく、なんとも奇妙な国境線。その謎を解き明かしていく「雑学本」。
しかし、バーレ市のように一つの街の中に二つの国の国境が入り混じっていても、上手くやっているところもあれば、バン…グラデッシュのように国境線のために現地の人々が不便を強いられているところもあったり。
第4章では国境紛争にまつわる国境線の話題になりついつい真剣に読み入ってしまう。暇つぶしのつもりで購入した本でしたが、世界の歴史・民族・宗教・紛争について、色々と考えさせられる良本でした。 続きを読む投稿日:2013.10.04