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夏日狂想(新潮文庫)
夏日狂想(新潮文庫)
窪美澄/新潮社
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総合評価

6件)
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    このレビューはネタバレを含みます。

    おまえが死んだら、僕はどうやって生きていけばいいのか! ありふれた言葉なのになぜか沁みてしまった。 橘だけでなく、水本もそう思ったんだろうと。 なのに男たちは礼子を悪く書く。愛しているのに悪く書く。 今の男たちも、自分の愛している人の悪口を友達に言うのだろうか。 女たちも自分の愛している人の悪口を言うのだけれど。 愛していることをいうと場が白ける。 馬鹿らしいなと思う。 悪口を言うとほんとうになるかもしれないのに。 あいつは毒婦だとか。 そんなことはないのに。そばにいたらわかるのに。 そう思い込みたいだけ。 愛は思い込み。 思い込んだまま、自分に暗示をかけて、愛しきって欲しい。 おじいさんになっても、おばあさんになっても。

    0
    投稿日: 2025.09.18
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    購入済み 2025.08.21読了 あー、いい作品だったなー。いい時間が過ごせたなー。 詩人、中原中也の恋人だった長谷川泰子のモデル小説。 奔放でありながら、自由と自立をもとめて生涯を全うした礼子。力強く、まっすぐに、謙虚に、生きた姿がうつくしかった。

    0
    投稿日: 2025.07.24
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    モデル小説。窪さんの文章は本当に読みやすくて歴史の勉強にもなって、終戦記念日間近に読めた事も私の中では良かったな。 あの頃を生きた人物達に思いを馳せる事が出来ました。 装丁の写真が美しい。

    47
    投稿日: 2025.07.09
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    前情報なく購入。 水本が登場してすぐに「これはもしかして中原中也では?」と思い、調べてみるとやはりモデルは中原中也。 もしかして…と思わせる窪美澄がすごい。 中原中也に詳しくない私でも気づくかくらいに、彼という人間が表現されていた。 中原中也と小林秀雄の恋人だった長谷川泰子がモデル。 波乱万丈の人生を歩んだ礼子の物語。 創造という世界で生きていくことの狂気。誰かを愛するという苦しみ。 狂おしいくらいの想いに、私の心も震わされた。

    13
    投稿日: 2025.07.05
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    窪美澄さんの描く女性って、なんでいつも無様で必死で愛おしんだろうなと思うんだけど、それはきっと出てくる女性が自分の意思を持って、自分で選択したという事実を揺るがないものとしているからだろうと思う 選択したことが上手くいってもいかなくても選んだのは自分、それが何より自分の尊厳を守る。モデルは長谷川泰子で中原中也と小林秀雄との関係で知られている 長谷川泰子は二人の男を弄んだ毒婦と言われることが多いが、彼女にも晩年というものがあり、ただ二人の男のあいだにいた女というわけではない。その後の彼女の人生はどんなものだったろうというのを恋愛小説の名手である窪美澄さんが血肉の通った一人の女性として描いてくれた 彼女の懊悩も喜びも、いずれもが鮮明で読んでいておもしろかったし、ラストの場面は想像したら美しくて震えた。最後の最後にああいう場面を持ってこれることの思い切りの良さがかっこいいと思った

    3
    投稿日: 2025.07.03
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    中盤まではなかなか話に入り込めずもう少しで読むのをやめてしまうところでしたが、水本の死の辺りから一気に引き込まれ、後は一気に読まされました。戦争の記述では昭和天皇への怒りが生じ、広島訪問での学校の悲劇には涙が止まりませんでした。最初の本が売れた後からのエピローグの様な最終盤は沁み沁みと心に深く届き、とても良い本だったと思います。

    8
    投稿日: 2025.07.02