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対馬の海に沈む
対馬の海に沈む
窪田新之助/集英社
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総合評価

210件)
4.2
88
75
26
7
0
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    読後感としては感動というよりも憤りである。どんな組織にもあり得る不正の慣習が続いていることに。 作者の取材力にはただただ脱帽。

    0
    投稿日: 2025.08.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    夏休みの読書に、一気読みでした。 農協という組織・仕組みが有する欠陥や限界について著した論評は多くあるが、そこからさらに踏み込んで組合員も含めたムラ社会としての暗闇の部分に焦点をあてている点に面白さを感じた。 一つの物語としても面白いく読めたし、この国のどこかで実際に起こっているかもしれないことだと認識し、ヒヤリとさせられる場面もあった。

    2
    投稿日: 2025.08.13
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    スーパー営業マンの手口には裏がある。 何を正義とするのか。立場によって異なる主張。 組織ぐるみの不正だったとするならば、その組織が責任を取らなければならない。 少なくともこの本に出てきた共済金絡みのJA諸組織は監査機能が壊死している。

    0
    投稿日: 2025.08.13
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    巨大組織JAの不可解な構造、体質に踊らされたのでしょうか。 不正だけど活躍した一人の活躍に恩恵を受けた組合員にJAグループ。 一人のせいにして、他は知らぬ顔。まるで石破総裁を吊し上げる自民党議員に見えて腹が立った。

    0
    投稿日: 2025.08.11
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    2024年 開高健ノンフィクション賞受賞作。 2019年 長崎県対馬の岸壁から車が海へ飛び込み、運転していた男が溺死した。 男はJA対馬の職員で共済事業(保険)や信用事業(金融)などで桁外れの成績を上げ続け「神様」と呼ばれていた全国一のトップセールスマン。 しかし彼の死後、22億円に及ぶ巨額横領が発覚。 人口僅か3万人の離島で彼はどのようにして巨額の契約を取り続けることができたのか。真相を探るうちに見えてきたJAグループの深い闇。そこに群がる人々の欲望。果たして巨額横領は彼一人の犯行だったのか、見て見ぬ振りをしていた組織ぐるみの犯罪か。 最近のコメ問題からも何となく透けて見えるこの国の「農協」という巨大組織の深い闇とその権力構造。興味深く読ませてもらいました。

    0
    投稿日: 2025.08.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    黒幕というか元凶みたいなのは島民達であることがグロイ 西山自体はその代理人みたいな立ち位置でただ良いように使われていただけに見える 代償として富、力、名声を手に入れていたのか JAはあんまり力入れてこの事件を探っているようには見えない 直接の被害者みたいのがはっきりしないからかな あえて被害者を上げるならJAではなく掛け金を払っている保険契約者と思う 災害発生後に気合入れて写真撮りまくっているのめちゃくちゃ滑稽に感じる

    0
    投稿日: 2025.08.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ノンフィクションはあまり読まないのですが、キャッチコピーが完全にミステリーだったので気になり手に取りました。 これも先日読んだ『星を継ぐもの』と似て「一介のJA職員がなぜ自ら海に飛び込んだのか」を膨大な時間と膨大な人数のインタビューによって明らかにしようとする作品でありました。 考えられる動機毎に章分けされて話がまとめられ、後半になるにつれ死んだ西山だけではなく、彼を取り巻く環境の闇の濃さが増したり、範囲が広がっていくのは並のホラーでは味わえない恐怖を得られました。 とは言えそこにはフィクションのように超自然的な事や、性格が破綻した人がいたからという訳ではなく、誰もが持っている自分は損せずに得をしたい楽をしたいという欲望の数々と、一人のお人好しの欲求と類い稀な営業能力が不幸な結合をしてしまったためであって、その出会いがなければ彼は死ぬ事は無かったのかなと思うものの、現在においてもこの図式はどこかで生きてるんじゃないかと、そういう意味で背筋が冷えました。 終章で明らかになった小宮の西山に対する心配が西山に伝わらなかったのがなんとも切ないなとも思いました。伝わっていたら西山にとって悪くない未来になっていたような気がします。

    1
    投稿日: 2025.08.10
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    ガバガバJAのザルさ加減に脱力。 だけの話じゃなく、日本の村社会構造についてや、その中の同調圧力の功罪について言及している。 罪が人を作るのか、人が罪を作るのか。 ミステリー小説のような語りも読みやすく、人物像も深掘りされてて面白かった。 (けど、やっぱり、ここまでの不正ができてしまうのはJAの仕組みがだめだと思う。性善説のフリして穴がデカすぎる!!こんなに穴がデカかったらみんな落ちるよね、て話)

    7
    投稿日: 2025.08.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    本当はNGなんだけど、「自分だけちょっとなら許される」と思う人たちは結構いる。それがズルズルと広がっていって、ここまで大事になったんだな、という印象だった。 個人的にそういう「ちょっとしたルール違反」みたいなのがものすごくストレスになるので、あまり関わらないようにしてるけど、全然やったことがない人生かというと、決してそんなことはない。でも、あまりにあっさりと「私がちょっとだけなら大丈夫」とそのルールを超えていくタイプの人はいるよねと思う。 悪いことをしている自覚がない分、タチが悪い。 この件も、JA対馬で、不正にかかわっていた人たちが、主犯とされた西山だけでなく、島民も含めた関係者全員、「そんなに悪いことをしたつもりはない」と思っている気配が濃密に漂う。 自分の悪事と向き合うのはストレスとはいえ、見えてくるのは、圧倒的な「自分たちは弱者だから」という言い訳のようなもの。 根本にあるのは、田舎で、産業もなく、衰退している島だから、“全国”からお金を多めにもらっても、いいんじゃない?ってことだよね。 なんというか日本社会が抱える問題と限界を煮詰めたような話。 ついでに言うと、私自身は土地への思い入れみたいなものがものすごく希薄で。23区の中では最弱!みたいなエリアとはいえ東京に生まれ育ったからというのはあるだろうけれども、自分の地元に「一応土地勘があるから便利だよね」以外の感情を抱けない。 彼らの故郷に対する肩入れっぷりには、なんというかすごい以外の言葉を持てない。 不正で相当な稼ぎをしたとして、それを持って都会に出ていくんじゃなくて、地元に不動産を買って事業をしようって、ものすごい地元愛じゃない? その愛の結果がこれだけの不正につながるのはなんとも皮肉。 それにしても、この本は徹底した調査で、こっちが気になることは全部書かれていた。 ものすごいノンフィクションを読んだと思う。

    2
    投稿日: 2025.08.05
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    すざましい本。出会えたことに感謝しかない。何気なく手にした本なのに、読了後の圧倒的な闇力が胸を撃つ。手を止めることなく一気に読んだ。 組織は腐敗する。いま日本中の業界団体で腐敗臭が立ち込めていることは想像に難くない。この圧倒的なムラ社会の日本においては避けられないことだと思う。島国根性が日本社会を押し上げ、そして壊滅へと向かわせる。悲しいかな永遠に続く文明は無いということなのだろう。

    1
    投稿日: 2025.08.04
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    人口わずか3万人の長崎県の離島で、日本一の実績を誇り「JAの神様」と呼ばれた男が、自らが運転する車で海に転落し溺死した。44歳という若さだった。彼には巨額の横領の疑いがあったが、果たしてこれは彼一人の悪事だったのか………? 職員の不可解な死をきっかけに、営業ノルマというJAの構造上の問題と、「金」をめぐる人間模様をえぐりだした、衝撃のノンフィクション。 読了するまでに読むのを止めようと何度か思った。よくぞ最後まで漕ぎ着けたと安堵している。当方長崎市に住んでいるが、育った故郷の鹿児島(ムラ社会)でも似たような事例がいつ起きてもおかしくない、九州だけでなく日本全土にも温床があるように思えてきた。高齢者にとって郵便局に絶対的な信頼を置くのと同様、農協は古臭いけれど騙しはしないだろうという暗黙の信用を勝ち取っている。田舎の(ましてや周囲を海で囲まれた島)の狭い人間関係や因習に縛られて暮らしているならば、巻き込まれ呑まれながら生きていくのもある意味で”術”なのだろうか。悲しく怖い。抗った数少ない人たちは左遷、辞職、強いては病に倒れていた。 本作で第22回開高健ノンフィクション賞受賞している著者も本作を書いた後、身体を壊したと添えている。

    48
    投稿日: 2025.08.04
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    対馬とJA、あまりにも闇すぎるだろ…。 内容もさることながら、筆者の筆力が高くて臨場感がある。 長崎県民なので、より一層興味深く聞けた。JAには近寄らないようにしよーっと!

    2
    投稿日: 2025.07.30
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     対馬という人口が3万人もいないという過疎の島で、日本一の営業成績を挙げる農協職員が車ごと海に沈むという場面からこのノンフィクションは始まる。いくら孤島には他の保険会社が少ないとしても、農協の共済を販売する担当者がこのような地域で日本一の成績を何年も継続して上げ続けることなんてどう考えてもおかしい。それがずーと見過ごされ続け、彼が不正に他人の保険金を横領した金額は22億円に及ぶというのに驚かされた。 実際に契約者が被害に遭って正当な保険金を横領されたというのであれば、社会的にも大きな問題になったのだろうが、多くのケースで彼の顧客もそれなりの利益を得ており、彼の同僚や上司そして長崎県農協まで彼を取り巻く組織全体が彼の不正により利益を得ていた構図のようなのだ。まあ、農協とか郵便局とかそんなことがあてもおかしく無いだろうなって思ってしまいます。オーディブルで聴きましたが、とても聴きやすかったです。 ほんとはあり得ないことなんだけれど、実際に成り立っていると思われること、たとえば「百年安心の年金」、「絶対お得な保険」とか、「いくら国債を発行しても日本の財政は問題ない」とかって世の中には結構信じたくなるような情報が氾濫するけど、「そんなわけないよね」っていうのが正しいのだ。

    99
    投稿日: 2025.07.30
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    西山氏の行いは違法であるのは明らかである一方で、彼は反対者を排除こそしたが、多くの人に富をもたらしたことも事実。 うまい汁を吸った人は農協職員や組合員など数え切れないほどいる。取材を通じて筆者はそこまで突き止めて書き切った。 西山氏の行いは、私利私欲と対馬農協への貢献とのバランスが崩れたことで瓦解した。少数いた正義感から西山氏を告発した人間ははいじょされてしまったが、多数の西山に加担した者の思惑が逆転した。そこから犯罪が明らかになる。 正義を貫徹しようという意思とは違う論理。 多くの人は西山氏が何らかの不正を働いてることを多かれ少なかれ感じながら通帳と印鑑を渡していた。共犯関係にあることは明らか。 しかし、誰が西山氏を避けることができるだろう?正義を貫くことは自分の不利益にしかならない。

    0
    投稿日: 2025.07.30
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    JA対馬職員の自殺から日本の病巣に切り込むルポルタージュ。 サラッとしか触れられては居ないがヘイトスピーチや原発利権についても語られる。日本社会がカネと縁故で不正義を覆い隠すシステムで動いていることを痛感させられる。

    2
    投稿日: 2025.07.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    久々ノンフィクション、面白かった。不正とか闇の真実あるある的な終わり方(その人だけが悪いんじゃなくて社会全体が悪い的な、みんなが加害者だったみいな)だったけど、これが事実としてあった事がすごい。意味わからん桁の横領不正してる時の西山氏の気持ちが気になる。そこまで金や名誉に執着してた理由はなんだったんだろう。結局買いたいものがあったというよりかは、自爆営業(西山の場合、自爆してないけど)や不動産投資(金を金で作る)だったわけで、何か欲しいものがあったわけじゃない。何か西山にしか見えてないものがあって、それがどうしても手に入れたかったのだろか。それは、お金や名誉がないと実現できない代物だったのかもね

    0
    投稿日: 2025.07.26
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    西山の罪を暴く事は農協の闇を暴く事であり、それは日本社会を暴く事に結果繋がるんだけどこれ宗教学だよな、って話しで飲みたいよ。

    6
    投稿日: 2025.07.23
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    岸壁から転落した車が海面に浮かぶ。フロントガラス越しに見える運転手。意識はあるが助ける手立てはない。3万人足らずの島。乏しい市場を相手に、飛び抜けた数字を残してきたJAのライフアドバイザー。12回に及ぶ全国表彰。沈みゆく車の中で何を思ったか。…22億円の横領は彼一人の手によるものだったのか?取材から見えてくるのは過大なノルマに破綻するモラル。弱みが利権を生む。儲からない農業を金融収益で賄うという構造。その根を辿れば、この国の農政の問題へと行きつくだろう。食の供給を担う組織を立て直すのは他所の国ではない。

    1
    投稿日: 2025.07.22
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    ■あらすじ 国境の島 長崎県対馬。男が運転する車が海に転落。男の名は西山秀樹、44歳、JA対馬の職員。その死はJA対馬だけでなく、JAグループ全体にも衝撃を与えた。 なぜなら、西山はJAの共済事業において、日本一契約件数を誇る凄腕営業マンだったから。対馬は人口3万人足らず離島、御多分に洩れず過疎化も進む。そんな島で、トップセールスの座を維持し、『モンスター』『神様』等の異名を持ち、絶大な権力を掌中に収めていた。 一方で、西山には巨額横領の疑惑もあり、死後明らかとなった被害総額は約22億円にものぼる。 彼を自死に向かわせたものは何か。横領の真相は何か。 ■感想 確かに主犯は西山であり、手口は詐欺であり、横領であり、共済金の不正請求という刑事事件。 でも、本書が描く本質はそこではなく、なぜ、これほどまでの犯罪が、長年にわたり『見て見ぬふり』され続けたのか?ここが本書の核心である。 ①『村社会』の共犯性と沈黙の風土 →『島民もグル』『島民も共犯』 ・印鑑も通帳も「まあ、西山さんに任せときゃ安心」と一任。 ・不正の匂いはあっても、誰も声を上げない。 ・JAの内部でも『島の英雄』扱い。 これって、もはや『善悪』『倫理』のレベルの話ではなく、〈信頼という名の依存〉が生んだ現象であり、しかも、それが閉鎖空間の島内で起こったがために、社会的チェック機能がまったく作動しなかった。 ②JAという組織のブラックボックス JAは本来、農業者のための協同組合。現実は金融機関・保険代理店・就職先・政治装置のハイブリッド組織。この事件を生んだJA対馬を例に取れば、人事は馴れ合い、監査機能は形骸、『数字よければすべてよし』という空気が充満。 主犯の西山はその企業風土と構造を熟知。その構造の歪みを逆手に取り、悪用したプロフェッショナルと言える。 そもそも…狭小な国境の島『JA対馬』が全国トップの共済実績?常識に照らすまでもなく、人口比見れば〈それ自体が異常値〉。 ③地理的孤立と情報遮断の副作用 地理的にも文化的にも『離島』であることゆえに外部の目が届きにくい。 ・異常な数値(売上)にもかかわらず放置 ・内部告発も揉み消される ・マスコミすらスルー これらが重なることで、〈誰も気づかなかった〉のではなく、〈誰も気づきたくなかった〉という空気に包まれていったと推察。 ■感想 じっくりと事件の全貌を読み込み、まず思ったのは、これは『事件』の顛末までを追ったドキュメントではなく、島に宿った『病理』の一切合財を明らかにしたドキュメントであるってこと。 繰り返すが、西山ひとりが悪だった、という単純な物語では片付けられない。取材に応じた西山を知る人たちの多くは、西山を罵るどころか、同情にも似た感情を見せる。 西山が私服を肥やすためには、契約者の請求がなくてはならず、台風被害を理由に書類と証拠写真を偽造し、保証を配る。それだけでない。同僚・後輩にもその手口を伝え、上席者の目を盗み承認印を捺した。契約件数はこうやって作られ、『モンスター』『神様』と崇められ軍団を率いた。 もちろん、職員の中には西山の不正を質すべく不正の丹念に調べ上げた者も現れたが、実質上、西山が組織を掌握していたことにより、その都度揉み消され、告発者は左遷の憂き目に。〈組織ぐるみ・島民もグル〉と見なされても仕方がない。 ■最後に 最後までグイグイと読ませ、海の底に沈んだ真実を浮き彫りにしたのは、著者の執拗な取材と筆力に負うところが多いが、日本農業新聞の元記者だけあって、JAの実態にも明るく、その知識に基づく丁寧な解説が読者の理解を促したのは大きい。 紛れもないノンフィクションなのに、国境の島の『静かな狂気』をはらんだ構造的腐敗をえぐり出したピカレスクロマンの様にも読めた一冊。

    2
    投稿日: 2025.07.14
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    人口わずか3万人の長崎県の離島で、日本一の実績を誇り「JAの神様」と呼ばれた男が、自らが運転する車で海に転落し溺死した。44歳という若さだった。彼には巨額の横領の疑いがあったが、果たしてこれは彼一人の悪事だったのか………? 職員の不可解な死をきっかけに、営業ノルマというJAの構造上の問題と、「金」をめぐる人間模様をえぐりだした、衝撃のノンフィクション。保険に携わる仕事をしているため、首を傾げざるを得ないJAの保険金支払システム。普通の会社ではこんなことあり得ないんだけど、JAなら…と思って読んでました。不正請求も横領ももちろん悪いのだけど、それを許していた周囲の人や会社のシステムはどうなのよ?なんだかやるせない気持ちになりました。

    9
    投稿日: 2025.07.08
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    ここ最近読んだ中で一番好き。理由は書けないけど、背景をだいぶ前から気にしていたから。現実で起きてる話なのに、まるで推理ミステリーみたい。これ、まだ裁判続いてるんだよね?最後どうなるのか気になる!

    3
    投稿日: 2025.07.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2024年 第22回 開高健ノンフィクション賞受賞作。 JA対馬の「JAの神様」と呼ばれた男西山が、自らが運転する車で海に転落し溺死した。人口3万の対馬でLA(ライフ・アドバイザー)としてJAで全国トップの実績を挙げた男の不正を巡るノンフィクション。西山が不正を行ってトップLAになった背景には、JA対馬が組合長以下黙認、島の住民である契約者も不当な利益を享受して西山に印鑑・通帳を預けて契約を任せるなどいわば島全体が共犯関係であり、それは親族や地縁を中心とする人間関係や場の雰囲気を大事にする日本の共同体のあり方が根底にあるという。また、内部告発を行った2名からも話を聞き、それがつぶされた事情についても具体的に記している。しっかり取材をしたノンフィクションで、JAから発表されたLAの犯行というストーリーではなく、この島ぐるみでの共犯という構造を解き明かしている。 JAの事業は経済事業(農産物集荷販売等)、共済事業(保険)、信用事業(貯蓄・融資)からなり、共済事業を悪用したもの。JAは、経済事業は赤字で共済事業、信用事業を合わせた金融事業の黒字で成り立っている。金融事業には上部から降りてくるノルマがあり、これを各JAはこなさなけらばならず、それは各職員に割り振られる。この構造では、ノルマを割り当てられた職員には契約偽造などの悪事を働くインセンティブがあり、それを防ぐチェック機能がなければ悪事が起こるのは必然と言える。ノルマという制度自体問題ではあるが、それは措いておいても上部団体のチェック機能が全く働いていない点が制度的な問題であり、この点についての記載がほとんどなかったのが残念。チェック機能は、組織を悪事から守るとともに、個人を悪事に走らせることから守るためのものでもあり、チェック機能が働いていれば、西山もここまでのことをすることにはならなかったはずである。西山の人物像についても親族や友人、同僚などに幅広く取材し、義理人情に厚い「田舎のヤンキー」だったのではないかと記している。一番罪が重いのは、ノルマで縛りながら体制整備を怠ったJA共済連であり、その上でJA組織全体を統括するJA全中である。全国のJAにミニ西山はまだいるのではと思わざるを得ない。 【目次】 序章 事故 第一章 発覚 第二章 私欲 第三章 軍団 第四章 ノルマ 第五章 告発 第六章 責任 第七章 名義人 第八章 共犯者  終章 造反

    0
    投稿日: 2025.07.03
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    職場の上司の勧めで読了。ノンフィクション。JA対馬でおきた、巨額不正事件のルポ。 人口3万人しかいない離島の対馬で、日本一の実績を上げ続けるJAの「神様」と呼ばれる男。44歳の若さで、自分で運転する車で海に突っ込んで亡くなった。なぜ過疎地で長年日本一の実績を上げ続けられたのか。本当に1人でこんなことができたのか。その謎を追う取材。 離島の狭いコミュニティで、互いに利害が密接な経済圏の中、大規模な不正を何年も続けて暴かれなかったのには理由があるだろう。 普段はフィクションばかりを読むので、ノンフィクションで実名のルポの迫力に圧倒されて一気読み。こういうことは大なり小なり社会に溢れているのだと思うと、信仰心のない私は自分の倫理観で生きていく覚悟が必要だと感じた。

    2
    投稿日: 2025.06.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    その内容にぐっと引き込まれ、一気に読み終えてしまいました。著者の筆致が見事なのか、読み進めるうちにまるで私自身が著者になりきり、困難な取材活動や関係者とのやり取りを追体験しているかのような錯覚に陥ります。 物語は一人の男性の死から幕を開けますが、読み進めるにつれて、その背後に潜む巨大な不正が徐々に明らかになっていく展開には圧倒されました。 著者が最後に記していたように、もし私自身があの渦中にいたら、作中で非難されていた方々と同じ行動をとってしまっていたかもしれない。その可能性に、正直なところ恐ろしさを覚えます。かつて、某テレビ局の報告書を読んだ際も、これと似た感覚を抱いたことを思い出しました。 同時に、もし私がこのような不正の渦に飲み込まれそうになったとき、どうすれば踏みとどまることができるのだろうかと自問しました。その答えは、やはり家族や友人といった、直接的な利害関係のない存在なのではないかと感じています。 そして、あらためて思うのは、閉じた世界にいると不正を是とする文化に染まりやすいということです。そう考えると、インターネットに晒されること、つまり情報が外部にオープンになること自体は極めてポジティブな側面を持つと言えるでしょう。時には炎上といった現象が起きることもありますが、それすらも「閉じた世界」の弊害を防ぐという意味では、ある種のポジティブな役割を果たしているのかもしれません。

    2
    投稿日: 2025.06.26
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    「地面師たち」を彷彿とさせる悪者たち。だかその母体組織がJAともなるとだいぶ話は違ってくる。大規模な組織腐敗を暴く名著。非常に面白かった!お米の価格も…、とか思ってしまいますよね。

    2
    投稿日: 2025.06.24
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    JA対馬の職員による不正についてのノンフィクション。 かなり掘り下げてあって取材力のある著者だなと思いながら読んだけど、なんだか自分にはあまり刺さらず。

    5
    投稿日: 2025.06.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    沈む間、ただただ虚空を見つめるというその強さとか虚しさとか悲しさとか覚悟とかがぐっと胸に迫ってきて、かといって許したくもないんだけど、ただただつらく、一言で言うなら田舎の嫌なところが全部詰まってたなあという気持ちです…。

    2
    投稿日: 2025.06.17
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     あんどうとりさんから、オススメいただきました。ありがとうございました。  「JAの神様」と呼ばれた西山善治氏、彼はJA対馬においてライフアドバイザーとして10年以上全国大会で表彰をされてきた、スーパーライフアドバイザーでした。対馬は、人口3万人の長崎の離島であり、ライフアドバイザーとはJAで取り扱う様々な保険の営業マンです。その額は22億円にものぼり、年収も4000千万円!!2019年2月25日に、自ら命を経った西山氏…その裏には、巨額の横領の疑いが露見する…。さらに調べを進めると、不正の手口も明らかになっていくが、果たして西山氏一人でこんなことができるものなのか…徹底した取材に基づき真実を明らかにしていくノンフィクション…。  ウチもね、JAの共済にはお世話になっていて、そのライフアドバイザーさんから保険の見直しをしましょうって…色々説明をしてもらって、保険にかける額を少し減らしてもらいました。ちなみに、ウチは自動車も生命保険も、建物共済もみんなJAだったりします。JAの職員にノルマが課せられていることも知っていたし、そうそう、私の生命保険なんて親が私が働き始めたときに勝手に付き合いもあるから入ったからその後の掛け金は自分で払うんだよ…とか言われて入ったものだし…田舎はこういの、あるんですよね!!だけど、今は私が子どもたちの保険を勝手に契約することはできないみたい(あたり前だけど)です。  そんなこともあって、興味をもったんですね!ただ、この事件のことは知りませんでした。西山氏も悪いけど、JAの体質も良くないですよね…西山氏だけが悪者??でもそれをチェックする体制は?というか、どんどん契約を勧めるように逆に働きかけていたんじゃん!!西山氏を信じて、共済の保険に加入していた方もたくさんいたと思います。だけど、自分の保険ってそんなに日々見直したりはしないし、ちょっと小難しいと思いませんか??保険加入者のことを第一に、親身になって相談にのってくれるライフアドバイザーさんもいるのだから、そういう人材を育てるところに力を入れてほしいです。

    83
    投稿日: 2025.06.17
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    とても良いルポルタージュでした。 読みやすかったです。 JAだけでなく、日本のムラ社会や人との関係についても考えさせられました。 ここまで深く広くこの事件の背景を調べ上げ、裏に潜むものを明らかにしたのは、とてもスゴイと思いました。 本当に良い本だと思います。

    1
    投稿日: 2025.06.14
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    実際にあったJA対馬における職員の22億円横領というか詐欺というか不祥事件を追ったノンフィクション 数年にも亘りこんなことができたのか!という驚きが先に立つ

    0
    投稿日: 2025.06.14
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     これはスゴイ本だ。JA対馬の職員が長年にわたって不正を行っていた。それが隠し通せない状態になり、クルマごと海に飛び込んだ。本書はこの事件を追ったノンフィクションであり、関係者はほとんどが実名で登場する。この不正が長期に発覚しなかった背景や、JAの組織としての体質を丹念な取材を基に書かれている。協力者の存在、JAが職員に課す過大なノルマと自爆営業等々。そして「死人に口なし」という現実。本当に悪い奴は誰か? 開高健ノンフィクション賞受賞作    自分も地元のJAの准組合員になっている。親父から「相続」したようものだが。そして、同級生がJAの理事長を務めていた。その職を退任後は、JAの子会社の社長に天下っていた。ところが、その会社の経理担当職員が5000万円超を使い込むという不正をしていた。それがばれそうになり、やはり自死したのだ。同級生は責任をとらされて社長を退任し、相応の賠償金(?)を支払った。この職員だが、8年以上にわたり不正な引き出しを行っていたという。なぜこんなに長期にわたる不正を見抜けなかったのだろう。  そもそもJAは不祥事が多すぎる。うちのJAでもこれ以前にも不祥事があり、その不正を行っていた期間が数年にわたっていたのだ。いったいどういう監査体制なのだろうか。

    51
    投稿日: 2025.06.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    農協にはライフアドバイザー(LA)という保険の営業員がいる。二万人ほどいるそうだ。そのなかで全国トップに立つ営業員はどこの事業所に所属しているのだろうか?長崎にある対馬の事業所である。 この時点でふしぎな話だと思う。対馬は年々過疎化が深刻になっている。どんなに優秀な営業員でも、そもそも人がいなければ契約をとりようもない。 しかし、なぜか毎年のように対馬に所属するひとりのLAが全国でも有数の実績をあげ、表彰されていた。そして海に車ごと飛び込み、死んだ。 勘の良い方なら察せられるように(悪くても察せそうだが)、このLAの実績は不正によるものである。これは第三者委員会の調査によっても認められているし、本書の著者によるリサーチでもおなじである。 しかし、本書の独創性は、本件を個人による不祥事件としてではなく、事業所からJA全体、顧客となっている対馬に住む人々、ひいては日本社会におけるムラ社会的な慣習にまで射程範囲を広げて捉えていくところにある。 全体として良かったが、個人的におもしろかった箇所を挙げる。 ひとつは、窓に紙を当てて筆跡を偽造しようとしているところを外から村人に見られているシーン。すこし笑いそうになったが、外部の人間にばればれにも関わらず、追求すらされずに長年に亘り不正が働かれつづけた理由は、本書の要所でもある。ムラ社会的な悪しき相互扶助ともいえる共犯関係があったからである。 もうひとつは最終盤、「天皇」とさえ呼ばれ、ほとんどのひとびとを掌握していた主犯の権威が崩れたきっかけである。 おなじ事業所に勤めていた臨時職員の送別会が開かれる際に、主犯格の男は「やらんでいい」という。その臨時職員は不正に協力的でなかったからである。だが、その臨時職員は長年勤めていたし、まわりからの人望もあった。送別会はその男を除いてこっそりと行われたが、その席では男への反発が話題に上がっていた。要は、みなが臨時職員の味方についたのである。 本件は確かにムラ社会的な宿痾が大きな要因としてある。だが、それを打破するきっかけとなったのも、ムラ社会的な同調圧力による付和雷同のメンタリティだったということである。

    1
    投稿日: 2025.06.11
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    面白かった。初めのページからクライマックスみたいで、車で海に突っ込んで命を落とすシーンで、一気に引き込まれる。 亡くなったのはJA対馬の職員である西山。彼は全国JAの中でも永年トップの成績を残し続け、「天皇」とも崇められていた存在だった。なぜ彼は亡くなってしまったのか?人口過疎地である対馬で、いかにして成績トップを出し続けることができたのか? のちにJA最大の22億円超の横領の不詳事件が発覚。横領を行ったのは亡くなった西山その人。人口が減り続ける過疎地域の対馬の北部で、いかにして多額の契約を取得し、成績を上げ続けたのか。JA対馬は長年それに気づかなかったのか? 不正の手口とJAの中の闇に迫るルポルタージュ。地道な取材に基づいた事実と、状況から導き出される結論に唖然とした。とても面白かった。 ただね、途中の不正の手口に解説部分が、同じような内容の繰り返しで少し冗長に感じた。もっとコンパクトにしたほうが、洗練されてもっと読みやすかったと思う。 亡くなった西山がどのようにして闇落ちし、栄華を極め、没落していったか。組織を利用し、最後は組織に取り込まれてしまったのか。被害者は誰なのか。考えさせられる内容だった。 全て事実のノンフィクション。金融機関勤務の自分から見て、JAのガバナンスはどうなってんねん!と叫びたくなる内容。悪いことは絶対バレるよ。気をつけよう。

    13
    投稿日: 2025.06.09
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    JA対馬で共済を売りまくり、何年も日本一の実績を誇っていた男(西山)が、巨額の横領の疑いを受けている最中に、車ごと海に飛び込み死亡した。不正調査の後処理は、彼一人の責任で結論づけられたが、そこには組織的な関与があったのではないか、という疑惑を追ったノンフィクション。面白かった。 事件は、いくつかの階層で描かれる。 ・西山個人としての不正 ・共済販売ノルマの厳しさを背景としたJA対馬の組織的な不正 ・JA中央と地方組織の歪な関係を背景にした長崎共済連の不正黙認 ・不正の痕跡に気付きながら、きちんと対処しなかったJA全中 ・西山に通帳と印鑑を預けていた契約者(被保険者)の存在 上記の中でも、被保険者も実は共犯関係だったのでは?というところが、個人的な驚きポイント。そして、被保険者だけでなく、関係者のほとんどが西山本人に罪をなすりつけて逃げ仰ているのが、本書の胸糞ポイント。 また、不正の根源たる大悪人と思われていた西山も、様々なしがらみにとらわれており、単純な悪人ではなかったのでは?というあたりが、本書の哀愁ポイント。神様として祭り上げられていた西山が、ある時から周囲に切り捨てられていく様は、諸行無常を感じるところ。 不正なんてするもんではないというのは簡単だけど、特に産業のない対馬で、色んなものが噛み合った結果が、本書の事件なんだろうなあ、という感想。

    1
    投稿日: 2025.06.07
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    JAのイメージは、地域密着のアットホームさだと思っていた。そのイメージが一瞬にして覆ってしまうほどの衝撃。 対馬という地で優績表彰を受け、神様とまで呼ばれていたライフアドバイザーの西山。 受注額、そして不正額の規模の大きさに唖然としてしまう。手口を知れば知るほど、とうてい一人で出来ることではないなと。 JAという組織自体に対して不信感でいっぱいになってしまった。(親が何か契約していた気がするぞ…) 告発された小宮さんの人柄が素晴らしくて、だからこそこんなことになってしまったのが悲しい。

    46
    投稿日: 2025.06.06
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    西山善治の44才での自殺、JA対馬の闇を明らかにした。西山の驚くべき不正の裏に、個人に全てを負わせたJA全中のノルマや締め付けがあり、その構造を見直すことなく彼におぶさった体制が恐ろしい。

    0
    投稿日: 2025.06.04
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    不正の責任は本当にただ一人にあるのか?不正をさせたのは何なのか? すごい話だった。 人というのは所属する集団の標準偏差の中でしか考えられない生き物なんだと改めて思った。みんながやっているからやる、良いことでも、悪いことでも。狂っていても、みんなが狂っていたら、それは正常である。 現代社会ははっきり言って狂ってると思うが、自分も社会という集団の中の狂った構成員の一人であることを自覚して生きていきたい。

    2
    投稿日: 2025.06.03
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    事実は小説より奇なりである。 今まさに備蓄米の件りでJAが注目されていることもあってか、作中にも出てくる”日本の恥の文化”の悪い面をJAという媒体を使って出し切ったらこうなるという小説を読んだかのような気分だ。

    11
    投稿日: 2025.06.03
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    すごすぎて読み始めたら止まらず一気読み。 西山への感情が最初の方と最後では全く変わった… もちろん悪人なんだけど… 本の締めくくりが悲しかった

    0
    投稿日: 2025.05.31
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    対馬のJA職員、西山義治(44)が車ごと海に突っ込み溺死した。彼はLA(ライフアドバイザー)という役職につき、2万人いるLAで数百人が選ばれる優績表彰にほぼ毎年選ばれ、さらに数人しか選ばれない総合優績表彰を12回も受けていた。人口1.5万人程度の対馬でいかにして、この実績を生んだのか、彼の起こした不正の実態や協力者について、丁寧な取材が綴られていく。 島としては佐渡、奄美大島の次に大きいけれど、巨大な田舎で産業もない対馬で起こったJAの不正事件に興味があり手に取りました。昔から国境の島であり、独特の雰囲気を持ち、民度高めの印象を持っています(個人的意見、2回行ったことあり)。しかし、この事件は重いもので、なかなか読み進めるのが辛かった。暗いもの。最後の一番事件に協力したのは…、とか、一番親身になったのは最初に不正を訴えようとして、今は癌闘病していて、結局左遷のうえ、事件を揉み消された小宮さん。やるせなさすぎる。JAは強すぎて構造改革不可侵なところもあるけど、絶対に国には農業必要なので、今の米問題しかり、農家が救われる組織になってほしいです。 難しいので大人向け。高校以上。エロ関係や殺人はないので、読みたがれば小学生でも問題なし。

    4
    投稿日: 2025.05.26
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    村社会でのみ成立した荒ワザだったように思う。 あんな所業は、ひとりではなし得ない。協力者が居てこそのこと。そのあと誰も責任を取っていない。“誰も損をしていない”のだとか。 おそらくJAのシステムや体質はこれからも変わりないのだろう。 起こったことのグロさに目眩を感じると共に、モヤモヤしたものが残った。

    2
    投稿日: 2025.05.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    開高健ノンフィクション賞受賞ということで、圧倒的面白さ(面白さというのは少し不謹慎だが)を期待して読んだ。 JAのある職員の死から暴かれる、不正。 その不正は、他の職員どころか町の人々(組合員たち)まで関与していた。 彼らは亡くなった職員のお陰で、JAから詐取した保険金を手にしたり、何らかの恩恵に与っていたにも関わらず、彼の死後、我関せずといったありさまだ。 赤信号みんなで渡れば怖くない的な集団心理のようなもので、自らの罪を自覚していないのかもしれない。 悪事は大勢ですれば、その分個人の罪悪感は薄まるのだろう。 著者は、「彼ら一人ひとりの無数の手が西山の背中を押し、死の淵へと誘ったのではないか」(p293)と書いている。 結果としてJAも組合員も、全ての罪を西山(亡くなった職員)一人に押し付けた。 けれど、彼らが西山の背中を押したというのは言いすぎではないだろうか。本書を読むと、彼自身の金銭の行き詰まりが彼が死を選んだ大きな理由に思われるからだ。 もちろん、著者の言わんとしていることも分かる。けれど、それは少し感傷的な見方だと感じる。 やはり悪事に直接手を染めた人が悪いのである。 そうせざるを得なかった理由として、脅しや命の危険などがあれば別だが(本書を読む限り本件にはそのようなことはなさそうである)。 また、JAという組織やその体制が一番の問題である。 職員が詐欺を働くことが出来る抜け道のようなものがあることが問題である。その意味では、西山一人を悪者にして済む話ではない。 そう考えると、彼もある意味では組織の怠慢による犠牲者であるともいえる。 本書をきっかけに、組織として二度と同じことを犯さないよう改善を期待する。(が多分無理だろう) 著者は、ルース・ベネディクトの「菊と刀」に出てくる日本の「恥の文化」を引き合いに、仲間によく見られようとすることにプライオリティを置く、日本ならではの価値観が今回の共同体ぐるみでの詐欺の要因だったのではと説いている。 なるほどと納得した。特に地方など共同体の結びつきが強い地域ほど、そのような意識は高いのだろう。閉鎖的な環境が悪事をさらに拡大させ、助長させていったのだろうと思う。

    0
    投稿日: 2025.05.23
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    金を前にすると人はいかに弱い行動になるのか?を痛感させられた。コンプライアンス体制は人の心の弱さを守るためにあるね。

    0
    投稿日: 2025.05.21
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    巨大組織JAと地域住民達が抱える闇を描いた作品。いくつものどんでん返しがありページをめくる手が止まらない。

    0
    投稿日: 2025.05.20
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    対馬で、ある1人の男が酒に酔った状態で運転し、崖から転落。その後、溺死した。 死んだのはJA対馬で圧倒的な業績とカリスマ的人望を誇る西山。 彼はなぜ死んだのか。筆者の取材をもとに描かれたこのノンフィクション作品はさながら自分も現地に足を運んでいるかのような臨場感が感じられる。読んでいくうちに明かされるJAという巨大な組織の悪しき構造とムラ社会の閉鎖性によって生まれた不正。 今も日本のどこかでこれに近いことが行われているかもしれないという恐ろしさを感じた。

    0
    投稿日: 2025.05.18
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    「みんなやってるから」で責任逃れする、あるいは罪の自覚すらない人たち 大なり小なり、ムラ社会的コミュニティで起こることが想像できてしまう、自分だって同じことをしてしまうかもしれない とても面白かった、けど喉に何かが詰まったような読後感

    0
    投稿日: 2025.05.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    対馬の海に沈む 著者:窪田新之助 発行:2024年12月10日 集英社 第22回開高健ノンフィクション賞作品 2019年2月25日、対馬の海に、1台の自動車が車止めに衝突して飛び越え、運転者ごと突っ込んだ。 10メートルほど先の海上で、白い車が沈んでいく。目撃者にフロントガラスを向けていた。一人の目撃者は、運転席に座る男性は意識があり、目を開いていたと証言している。早く車から出ろと何度も叫んだが、男は微動だせず沈んでいった。 西山義治、44歳。JAの神様といわれた職員だった。過疎化が進む対馬で、全国でもトップクラスの営業成績を上げていた男。この死はJA対馬だけでなく、全国のJAにも衝撃だった。事故ではなく、自死に思える。神様、モンスター、天皇の異名を持つ男に、一体、何があったのか。広い意味での農協グループである日本農業新聞の元記者でもあった著者は、4年近くがたった2022年11月に、対馬へと向かい、その真相に迫ろうとする。JAにとって23億円近くもの被害が、そこにはあった。 西山義治は、JA対馬の上対馬支店に勤務し、JA共済の営業で断トツの営業成績をあげ、全国組織であるJA共済連が毎年、東京の有名ホテルで開催する「JA共済優績ライフアドバイザー全国表彰式」(LAの甲子園)で、就職した1997年度以降、ある1年を除いて「優績表彰」を受け続けてきた。その表彰を受けた中でもとりわけ優れた実績をあげたLAにだけ与えられる「総合優績表彰」を12回も受けている。LAの甲子園には、CM出演している有村架純や浜辺美波、イメージキャクターを務める仲間由紀恵ほか、数多くの著名人も来賓。彼には「SLA(スーパーライフアドバイザー)」の称号が与えられていた。 基本給や賞与、管理職手当など500万円を超える収入とは別に、歩合給があり、最も多かった2017年度には3285万円余に達し、合わせると4000万円近くとなり、年収はプロ野球選手並みと豪語していたらしい。 西山の手口については第二章に大方のことが書かれている。共済事業は「ひと、いえ、くるま」を扱っていて、彼が不正をして大きく稼いでいたのは「いえ」が最も大きかったようである。続いて「ひと」。 台風被害の多かった長崎にあって、建物更生共済は対馬の人たちには重要である。瓦が飛んでも共済金が出る可能性がある。西山は元々の人当たりのよさにより契約を獲得していったが、台風で瓦が飛んで10万円の共済金が出るケースでも、うまくやって40万円、50万円を申請して引き出していた。そうして加入者(組合員)を喜ばせ、別の共済にも入ってもらう。例えば「ひと」の共済。終身共済や医療共済、民間でいうと生命保険の類いである。さらには、人をどんどん紹介してもらって契約を増やしていく。 ここまでは、不正の線を越えているかどうかは別として、民間の保険会社などでも似たようなことは行われていると思われる。しかし、西山はこれにとどまらない。何万件という建物被害の写真を用意し、建物被害をでっち上げて共済金を申請していたのである。しかも、それを自らの懐に入れていた。手口は、借名口座および借用口座と呼ばれる口座での共済金受取である。信用した顧客から印鑑を預かって出し入れをしている借名口座、顧客に無断で口座を作ってしまう借用口座。建物所有者の知らない間に共済に加入し、存在しない台風被害で共済金を受け取っている、というケースがバレることもあったが、その都度、彼はうまく誤魔化した。 しかも、そうしたお金を懐に入れるだけでなく、それを原資に新たなでっちあげ共済加入を増やしていく。そのたびに歩合給も入ってくるので莫大な収入となっていく。基本収入と歩合給で年間4000万円あっても、実はもっと多くのお金を得ていたことになる。なぜ、バレない?それは、顧客も西山においしい思いをさせてもらっていたので、強く追及しなかったわけである。顧客も、うすうす、あるいははっきりと、彼の不正に気づいていたのである。 一方、どうしてJA内部でバレなかったのか?実はバレていた。しかし、追及が思うようにできなかった。その原因を、著者は、厳しいノルマだと分析する。全国レベルから、県のレベルを通じて、各JAの単協に厳しいノルマが課せられる。通常ではとても達成できないノルマ。泣かされるのは、共済の職員たち。家族や親戚、友人、知人だけでは足りず、自爆営業をする。これは郵便局でも随分知られていること。西山は、そんな職員に手を差し伸べ、自分が都合した原資で彼らのノルマを賄っていった。それは、とりもなおさずJA上対馬支店はもちろん、JA対馬にとってもノルマ達成への大きな貢献となる。さらには、JA共済長崎県にとっても。全国レベルにすら大きな貢献となる。だから、不正に感づいていながら、それを見逃していたというのが実情だった。 著者は、諸悪の根源はノルマだが、それによって自分もいい目をしたJA職員、幹部、そして顧客も、いわば共犯者なのだと指摘する。 非常に評価の高い本だし、大変な人気本でもある。しかし、ちょっと追及が甘いというか、ノンフィクションとして掘り下げて取材することなく、自らの感想で真相について締めくくっている甘さを感じた一冊でもある。そして、何より文章が冗長に過ぎる。 **************** (読書メモ) 西山義治:対馬農業協同組合(JA対馬)正職員、享年44、SLA 西山はるみ:妻 青江伯夫:JA共済連会長 桐谷安博(きりたにやすひろ):JA対馬前組合長 <不正調査に乗り出した職員> JA対馬・上対馬支店 支店長:米田(こめだ)昌隆 次長:橘信明、不正発見者 JA対馬・本店 組合長:縫田(ぬいた)和己 専務:古藤(ことう)俊泰 常務:武末文弘 総務部長:井上正也 金融部長:豊田脩二、上対馬支店前支店長 吉野栄二:桐谷の前任組合長、2008年当時にも西山に不正疑惑があった 佐々木富雄→吉野栄二→桐谷安博(西山が勤務した時の組合長) 永尾好史:JA対馬総務部審査役兼対馬支店長、西山と仲がよかった タゴウ:元職員、仲がよかった、謎の人物 比田勝式代:上対馬支店の元職員女性、「西山の子分」と言われる、西山から自宅のJA建更(建物更生共済)で1度の被災なのに高額な共済金を何度ももらう、西山に「シャチハタを預けていた」と証言。貯金担当。 西山敏徳:父 西山梅子:母 稲谷明伯:はるみの父 稲谷章子:母、かつて第一生命トップセールス 阿比留茂敏:第一発見者 阿比留ユリ子: 以南八重子:いなみ 鳥居邦嗣:町議、西山は家族ぐるみのつきあい 山田幸弘:株式会社ヤマダ社長、西山の顧客、西山のブランド嗜好を証言 序章 事故  プロ野球選手並みの年俸。2017年の歩合給は3285万3646円。基本収入500万円、歩合給を合わせると4000万円近く。 西山は自分と妻、3人の子供を契約者か被共済者かにして、多額の掛け金を支払っていた。2018年度に限っても、4027万円に及んだ。終身や医療など「ひとの共済」だけで140件。「いえの共済」は17件、自動車共済は6件だった。 妻は専業主婦、親は年金暮らし、いくら年収が4000万円近くても、これほど払えるわけがない。 農協は「総合農協」と「専門農協」に大別できる。 ①総合農協(大多数の組合員はこちら) 農業や生活に必要な物品販売、農畜産物や加工品の集荷や出荷などをする「経済事業」、 貯金の受け入れや資金の貸付をする「信用事業」、 共済商品の開発と販売の「共済事業」 ②専門農協 園芸や果樹、畜産や洛のなど、品目別に農家が設立した農協。主業は経済事業。 単位農協(単協)は全国に506(JA対馬など) JA共済蓮(全国共済農業協同組合連合会):共済事業を束ねる 農林中央金庫(農林中金):信用事業を統括 全国農業協同組合連合会(JA全農):と経済事業を統括 全国農業協同組合中央会(JA全中):JAの指導的立場 JA経済連(8道県) JA信連(32都道府県) 第一章 発覚 顧客に無断で共済金を請求、解約。顧客から預かっていた「借用口座」や顧客に無断で作った「借名口座」に入金、出金。掛け金の収納や共済金と返戻金の支払いといった取引の内容を入力し、それらのデータをJA共済連に一括して送信する機能を持った「共済資金収納管理システム」を不正に操作して、共済金や返戻金を借名口座に入金していた。合計6億9224万円。(45P) 第二章 私欲 西山 前職:大洋真珠株式会社・対馬事業所、本社は神戸市、真珠の養殖。高卒後に就職、仕事中に怪我をして膝の皿を損傷してあまり動けなくなり、居づらくなってやめ、公務員を目指そうとしてそれ向きの学校にも入ったが、結局、JAに。 JAは 1996年1月:試用期間開始、農業関連資材や、生活物資の購買事業、共済の営業でも実績をあげ始めていた 1997年4月:正式採用、この年にLAに 2002年9月号「LA News」で大々的な西山特集、ノルマは長期共済8億円→80億7千万円達成、年金共済50万円→3544万円達成 ブランド品(時計など)、ウイスキー、フィギュアなどは値上がりするので投資感覚で購入 日常の食べ物に興味なし 死亡数年前から不動産投資を開始 「JA対馬不祥事第三者委員会」の調査報告書:簡易版(8ページ)、中間報告書、最終報告書 「鈴木」という人物から証言を得る。西山の手口は・・・ ・顧客の名前を借りて架空の契約を作る。 ・被害を捏造したり顧客に無断で解約したりして、支払われた共済金を自ら管理する口座(借名口座、借用口座)に入金させて懐に入れる。 ・不正に基づく実績を積み重ねることで得た歩合給を原資に同様の犯行を重ねていく 全く別の家屋が被害に遭ったときの写真を使い、罹災したように見せかけて共済金をせしめる。(89P) パソコンに残された3万9千枚の写真。同じ写真で別の被害をでっち上げて共済金を申請。 第三章 軍団 2017年版のJA共済連の映像に登場。営業成績抜群の西山を持ち上げる2人。 長瀬陽介: 田郷祐輔:「俺になにかあったときには、タゴウにぜんぶ話しとるけん」と生前に西山が言っていた元職員、「西山の金庫番」のあだ名、上対馬支店勤務(2016.3までいた)→美津島支店次長 大江勝司:西山と最もよく飲食をともにした職員、本店購買部勤務 職場で西山軍団を結成していた。「俺の軍団に入らないか」と声をかける。 ワンピースのルフィが「おれの仲間になれ!!」と呼びかけて「麦わらの一味」を募ってきたのと似ている。 西山軍団の不正に関し、西山の死から少なくとも3ヶ月前より証拠隠滅が始まっていた。西山個人のPCを2018年11月にOS再インストールしてデータ消去。 2018年6月、西山を好き勝手させていた桐谷蓮広組合長から、縫田和己組合長になり、雰囲気が変わった。 JA共済連には23億円もの損害をもたらしたが、JA対馬には経済的損害を与えたくないため、購買部に未払いだった600万円を遺言で妻に支払わせた。 西山は午後7時ごろに仕事を終え、松村征彦の運転する車で美津島町鶏知にある自宅に送ってもらった。午後8時30分ごろ到着、今度は後輩の後藤崇が運転する車で厳原町の繁華街へ。 最初穂店で大江と後藤が同席、焼酎を1、2杯飲むと、1人でスナックに。後に大江が合流。 日が変わって25日月曜日の午前3時ごろに帰宅。大江の運転する車で。 午前7時に貴重、30分ごろ自宅を出た。電話で大江や橘信明に電話、はるみにも。平松にも。 午前8時40分ごろ、海へ飛び出す。 第四章 ノルマ 西山軍団に職員が入った最も大きな理由は、ノルマと自爆営業から逃れられる特典を得られるからだった。 共済事業のノルマは厳しかったが、他にもノルマがあった。 信用事業:年金口座の開設や貯金の獲得、投資信託の販売など 経済事業:ジュースや茶、JA全農が扱う通年のカタログギフト「旬鮮倶楽部」の販売など。JA上対馬支店の臨時職員対馬は自動車、スーツ、ソーラーパネル、電化製品、宝飾品の販売ノルマもあった。 その他:日本農業新聞、雑誌「家の光」、農業の担い手やJA役員向け雑誌「地上」、小学生向け「ちゃぐりん」の販売ノルマもあり、JAの職員はこの三誌のなかから年間購読する雑誌を選ばせている。JAによっては複数部、例えば10部を義務づけるところもある。 共済事業 共済農業協同組合連合会(JA県共済連):都道府県段階、2000年にJA共済連に統合されて現存しない 全国農業協同組合連合会(JA共済連):全国段階 信用事業 信用農業協同組合連合会(JA信連):都道府県段階、32都道府県に残る 農林中央金庫:全国段階 経済事業 経済農業協同組合連合会(JA経済連):都道府県段階、8府県に残る 全国農業協同組合連合会(JA全農):全国段階 政治活動やJAへの指導・監視 農業協同組合中央会(JA中央会):都道府県段階 全国農業協同組合中央会(JA全中):全国段階 第五章 告発 西山の不正疑惑は2019年1月19日に持ち上がる 内部告発はそれ以前。少なくとも2人から。どちらも西山の元上司。 ●小宮厚實:2008年~JA対馬・上対馬支店次長、2010~支店長 小宮が告発書の写しを持って出向いた先は、当時の執行部3人と共済部長の自宅だったが、留守にしていた桐谷安博組合長を除く3人に手渡したものの、黙殺された。 2021年3月11日、JA対馬は賞罰委員会を開催。執行部は縫田和己組合長、古藤俊泰専務、武末文弘常務に交代。 小宮と西山の対立 西山が小宮を排除するために開催した宴会「職場を明るくする会」 上対馬支店の西山軍団だけでなく 中対馬支店・松村征彦支店長 本店購買部・斎藤正和部長  も出席(175P) 小宮が参加したら、つるし上げの会になっていたであろう。 開催後に発表された2012年度の人事異動で、小宮は職員が2人しかいない上県事業所の所長へと左遷。 ○宮原安典:小宮の後任支店長(2012-2016)、西山を好き放題にさせたと関係者たちが言う支店長だった ●豊田脩二:上対馬支店前支店長、小宮より先に西山不正の疑惑を指摘していた人物、2020年に依願退職 上対馬支店に次長として赴任した際、西山に直接不自然さを指摘して軋轢。直後の人事異動で上県事業所にLAとして飛ばされた。 しかし、2016年に支店長として戻ってくる。西山の不正を調べ、本店総務部長の古藤俊泰、共済部長の斎藤正和、代表監事の扇千摩男に報告。しかし、3人とも後の第三者委員会の調べに「記憶がない」と答えている。 <平成20年度の不適正契約問題> 吉野栄二組合長は、調査報告書を理事会に報告せず、幹部の職員や共済の担当者に周知することもしなかった。 不正が指摘され、このときはLAの甲子園を出場辞退。 2009年4月、上対馬支店から厳原(いづはら)支店への異動を命じられた西山。しかし、わずか3ヶ月で戻された。6月に桐谷が組合長になってから。 第六章 責任 「ひと・いえ・くるま」 三つの共済商品 竹末千文:JA対馬の元職員、終身共済や医療共済で不正をするのに西山が協力を求めた人物、退職後に生命共済の契約に関わる「面接士」の資格を取る。「生命共済面接士資格認証試験」合格、登録。西山に請われるがまま、契約者本にと面接することなく、架空の面接士報告書を作成。 竹末は、自宅の土地と建物を消費者金融に根抵当権を設定していたが、一部が解除されていた。おそらく西山から受け取った報酬で返したのだろう。 第七章 名義人 鶏知(けち)地区の宅地「ひな壇」を開発したのは、有限会社タニムラ。 ●糸瀬満:上対馬町西泊で建設業を営んでいた有限会社糸瀬総建の元代表、裁判資料に西山が扱った借名口座や借用口座の名義人として登場、その妻や母親の名前も。今は事業をたたんでタニムラで働いている。 借用口座や借名口座に出てくるのは合計40人だが。そこに妻、母、妹、親戚、友人、顧客・・・が出てきていて、顧客は27人。顧客とは誰のことか?西山は死亡時点で4047人分の契約を取っていた。そのうちの27人。 ひな壇のうち、西山が購入したのは5区画。賃貸住宅を建てる予定だった。うち2区画は立元がすでにあるが未完成。外壁のみ完成。残る最上段の区画だけは、12世帯が入居できるエレベーター付きの四階建ての賃貸住宅にするつもりだった。総工費2億円。 5区画に入居するのは合計20世帯。家賃は160万円になる計算。 西山は、ひな壇の土地購入資金を、糸瀬の妻名義になっている借名口座と借用口座を経由し、直接タニムラに支払っていた。それが共済絡みの金であることを、糸瀬は2018年8月の段階で知っていた。西山死亡の1年前。著者が取材段階で、悪びれることもなく認めていたが、マネーロンダリングに利用され続けていたことを指摘すると、突然に早口になり、しどろもどろになりながら、最後には答えなくなってしまった。 さらに、糸瀬が預けていた印鑑を使い、被害にあった建物の修理についての見積もりをずっと偽造していたことも知っていたと糸瀬は言った。 ●姉川正育:姉川建設代表 西山、その義理の両親の自宅を建て、ひな壇の最上段区画を除いて賃貸住宅を施工した。 姉川とその親戚も、借名口座と借用口座の名義人になっていた。 年金共済に頼まれて契約したが、無断で解約されていたことが西山の死後に判明し、JAから弁済を受けた。 西山の口利きで家屋の周山を多数請け負ったが、なぜか未払いになったまま。 西山のおかげでたくさんの仕事を請け負ってきた。共済絡みの仕事を頻繁に受けていた。 さらに、西山は、姉川建設の見積書を偽造していた。共済絡みの金を詐取するため。ただし、西山に預けていた印鑑は悪用されず、西山が別に印鑑を用意して押していた。 ●もう一人の男性によると 西山は、鶏知の病院隣地でコンビニとジムを経営したいと考えていた。 第八章 共犯者 JA対馬の組合員数は、個人、法人・団体合わせて3718(2018年3月)。 西山は2281世帯4047人と契約。組合員数超え、対馬の人口の1割以上。 西山の前期の手口 「建物更生共済」に加入している家が自然災害に遭ったとき、通常の査定で10万円しか共済金が出ないところを50万円に査定して、40万円を客に設けさせる。また新しい契約に入るよ、という気持ちにさせる。噂も広がり契約件数が伸びる。 西山の後期の手口(第二章のパターン) 顧客に無断で契約者や被共済者にした契約を作り、被害を捏造して共済金を詐取する。 契約の多くを年度末の3月31日に解約させて、翌日の4月1日に同じ商品や新たに改良された商品で契約させる。成績が上がる。 自然災害にそう遇うものではないが、捏造して同じ家屋が何度も被害に遭ったことにして共済金を請求する。しかし、そんなことをしたらバレるが、同じ建物でも契約者が毎回違っていたら、JAの場合はチェックをかいくぐれる。夫で契約して自然災害、妻で契約して自然災害、に遭ったことにする。 生来の「人当たりの良さ」に加えて、「対応が迅速」「悩みごとは何でも聞いてくれる」「清潔感があった」といった評判を得ていた西山。 共済の不正により客にもたらせたお金は、展示即売会で宝石を買うことにつながり、家電はソーラーパネル、自動車などの購入にもつながった。だから何でも成績を上げられた。 こうした手口を教えたのは、なんとJA共済連長崎の職員だった。JA対馬がLA制度を導入した後、西山らに共済の仕組みや営業手法などを教えるため、JA対馬に出向してきた。彼が西山に不正の仕方を教えたとのこと。数年間の出向期間中、西山にさんざん飲み食いさせてもらっていたという。 その男は、後にJA長崎県中央会が運営していた長崎県農協研究所に出向、内部監査士の資格試験や階級試験の運用が業務としてあった。西山軍団のメンバーは、その資格試験に易々と合格していた。みんな一発合格。問題を教えていたという。 終章 造反 2018年の秋に、一つの大きな穴があいた。 JA上対馬支店の臨時職員として長年勤めてきた女性の送別会が開催された。西山だけ招かれなかった。送別会開催に強く反対した西山。彼女が不正に加わらなかったので、西山は嫌っていた。他の職員はノルマから逃れられるから不正に荷担。だから彼女は正社員にならなかった。 西山は不動産投資のからみ多額の金が必要になり、近しい職員にいい目を見させるということをしなくなっていた。 共済の被害を偽装して不当な金の恩恵に与った職員がいた一方で、その逆もいた。差別があった。 また、差別は組合員にもしていた。差別された組合員から恨みを買い、発覚を早める一つの流れになっていったという証言も。 送別会は、こうした話題で異様な盛り上がりを見せた。西山を崇拝していた人たちの間で、メッキが一気に剥がれ落ちた。小宮が対象だった「職場を明るくする会」の西山つるし上げ版と化した。

    0
    投稿日: 2025.05.17
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    地方だからこそ起こった悲しい事件。日本のどこの地方にもあり得るし、地域の荒廃や組織がそうさせていく可能性は大いにあるのではないだろうか。そういう意味では第二、第三の事件を産まない為に何か出来ればとそう思わせる書籍でした。

    6
    投稿日: 2025.05.16
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    評判どおり面白かった。読む前のイメージよりもJAの闇の暴露という力みはなく、ニュートラルな文章で読みやすかった。 JA共済でものすごい件数の契約をとってきてLAの神様と呼ばれた西山の死後、西山が22億円以上の横領をしていたことが発覚した。 その不正の手口はかなり早い段階(第二章)で明らかにされるが、こんな大規模な不正を西山ひとりでできるわけがないという疑問から追及がつづく。JA対馬による不正の隠蔽、過大なノルマを解消するために協力をした西山軍団と呼ばれる同僚たち、さらには不正と知りつつも利益を享受してきた対馬の住民まで共犯の疑いが出てくる。 国境の島、辺境の地の、田舎のヤンキーのひとりが違法行為をしたというに留まらない。おそらく同じような不正は日本中のあちこちで起こっていると思てくる。 今まで一緒に不正を助長してきたにもかかわらず、潮目が変わるように違法行為が「発覚」してもいい雰囲気になるのがリアルで怖い。 読み終えてから冒頭の献辞に納得する。

    2
    投稿日: 2025.05.13
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     1台の軽ワゴン車が岸壁から海へダイブし、「運転手は微動だにせず沈んでいった」という目撃証言から始まる本書。まるでミステリーのような構成に引き込まれ、その展開にのめり込みました。  亡くなったのはJA対馬職員・西山義治(44歳)。過疎化が進む小さな離島で、彼はJA共済事業で全国トップクラスの実績を誇る凄腕営業マンでした。  次第に絶大な権力を掌中に収めながら、巨額横領(総額22億円)の疑惑もありました。  著者の窪田さんは、JAグループ「日本農業新聞」出身。小さな先細りの島で、異様な営業力と組織の権力を得た人間は何者だったのか、たった一人の犯行なのかと多くの疑問を抱え、一つ一つの細かな証言・事実を積み上げるように、執拗にかつ執念で取材を進めます。  JAの組織構造や多事業、特異な仕組みの理解も得られましたが、常軌を逸した虚偽と捏造の手口、大規模不正の背景と経緯に、唖然とするしかありませんでした。これは虚構ではない実話なのかと、驚きをもちながらさらに没入しました。  地道な取材の結果、対馬の海の底に沈んだ真実が見えてきます。有能で踊り続けた、いや踊らせられた一人の男…。その破滅は、共犯とも言うべき組織や顧客の闇と病根をあぶり出します。  人間、悪事と知りながら、自分に害が及ばす、あわよくば利する状況であれば、加担せずとも黙認・許容する身勝手さや弱さがあるという事実を突きつけられます。やるせないのは、同種の問題が社会に横たわり、日常的に報道で見聞きする現実です。  深刻な社会問題へ警鐘を鳴らすとともに、私たちの組織や人への向き合い方を鋭く問う一冊でした。2024開高健ノンフィクション賞受賞作。

    94
    投稿日: 2025.05.11
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    あるJAの不祥事を追ったノンフィクション。事件発覚から四年経ってから伝手もなく取材を始めた著者には感服です。内容は資料と証言から作られているため、全てが事実かはわからないが、真に迫っていると感じた。

    9
    投稿日: 2025.05.02
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    話題になっていたので読んでみました。 ノンフィクションであることがフィクションのミステリーよりも怖い。 とても惹かれたまま読了してしまった。 手に取ってよかったです。

    1
    投稿日: 2025.05.01
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    対馬は私の先祖縁の地であるため、タイトルを見てすぐ読まなくてはと思いました。そのため、書評もあまり吟味せずてっきり小説と思い、読み始めてからノンフィクションだと言うことに気がつきました。 対馬には旅行で足を踏み入れたこともあり、また歴史的地理的な特徴もある程度の知識があるので、この本の中身には本当にこの島で起こったことなのか、事実にしては度を越した出来事ではないかと、衝撃を受けました。 人口がたった3万人にも満たない離島で、JA対馬の一職員により共済事業部門において22億円を超える横領が行われていた…と言います。読み進めていくうちに、農協の巨大な金融事業が背景にあることがわかります。 疑惑の中心人物西山は、その共済事業の営業を行う「ライフアドバイザー」略してLAの言わばトップセールスマン、「LAの神様」と崇められていた存在だったと言います。 何故このような巨額の不正が行われていたのか、それは何故長いこと発覚せずに済んでいたのか…筆者は数々の疑問を解くべく謎の死を遂げた西山の足跡を辿ります。 私が読み進める前に抱いたこの事件の違和感、何故あの島でこんなだいそれた事件が起こったのか…筆者も西山が事件の中心人物であるには違いないものの、その背景にあるJAという巨大組織の特殊性や離島という地域の特徴なども踏まえ、深く掘り下げて取材を進めていきます。 最後に出したこの事件の結論は、普段知ってか知らぬふりしているかの態度が誰でも不正に間接的に関与してしまうという事に思い当たり愕然とするのでした。

    2
    投稿日: 2025.04.30
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    国境の島で異例の好成績を上げるJAのセールスマンが謎の死を遂げる。その職歴を追う中で浮かび上がる農協の闇。果てしないノルマの中、組織ぐるみで架空の取り引きをでっち上げていく。その中で犠牲となった一人の男の哀しい生涯。 開高健ノンフィクション賞受賞作。

    1
    投稿日: 2025.04.28
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    読み終えたのは3ヶ月ほど前なのですがその時の主人公に対する評価は「対馬の鼠小僧」=「金持ちから金を盗み庶民に還元する奴」でした。でも最近、こいつ殺されたんじゃないか、と思い出し始めました。対馬の住民がみんなで口封じ。これが本当ならマジで怖いなと思いますが可能性は結構あるように思います。読んで自殺する人には全然思えなかったので。 物語は主人公=西山義治(44)が事故死する衝撃のシーンから始まります。冒頭で主人公が事故死といえば『アラビアのロレンス』ですがロレンスにも暗殺説があります。西山は早朝に飲酒状態で猛スピードで海に転落し、漁師の見ている前で海に沈んで行きました。この事件は2019年に報道された時にかなりニュースになったのを覚えています。彼は「JAの神様」と言われ、人口3万人の対馬からJA共済の営業のNo. 1を何度も獲得しました。そんなことは普通に考えて不可能ですが、この本の作者は元JA、その手口を細かく明らかにしていきます。ざっくり言うと①顧客の判子を預かる②不正に被害請求、のコンボで、顧客となった島民が共済の掛け金以上に得をするスキームを組んでいました。JAのノルマは共済以外にも多岐に渡りますが、他でも西山のやりたい放題で、彼は営業成績のトップを取り続けました。 JAの自爆営業の闇は以前にも話題になりましたが、この本の面白いところは「島民&同僚が見て見ぬ振りをして、直接&間接的に西山の不正の恩恵を享受していた、と言う点を、直接的ではなく間接的に読者に伝えている」という点です。何を言ってるかわからねーと思うが、「ガイアの夜明け」的な手法ですな。島民へはあくまで西山の不正のドキュメンタリーとしてインタビューしながら、実は不正に加担している島民を批判しているという。 読後すぐに私が思ったのは、西山が不正請求を通じて対馬の島民にJA共済の共済金をばら撒いている、金持ちから金を取って庶民に配る鼠小僧の構図でした。鼠小僧が死ねばばら撒かれた金をもらった島民はもらい得です。しかし、捕まって色々話せばどうでしょうか。殺された、というシナリオの方がしっくりくるような気がします。物語の最後では、冒頭の西山の死のシーンが、わざわざ再掲されます。まんまやくざの殺し方だなと思うのは私だけでしょうか?目撃者の証言はどれほど信用できるでしょうか?もちろん警察も。

    1
    投稿日: 2025.04.28
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    一気に読んだ。唖然とする事実ばかり。みんなを苦しめるノルマによって皆が悪のループにハマっていく。他の業界でもありそうな話。いろいろ考えさせられた。

    1
    投稿日: 2025.04.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人って怖いな〜だけでは済まない話。亡くなった西山さん自身の性格(これは筆者の憶測も含まれるが)、彼が身を置いていた環境、彼を取り巻く人間たち、そしてJAという巨大組織の杜撰な管理体制と厳しいノルマ制度、責任の所在を押し付け合う関係者たち…自身の潔白を証明するかのように筆者からの質問をごまかすその有り様は、まさに醜悪と言える…が、しかしこれは対岸の火事ではない。これはたまたまJAという組織で起こったのであって、いち企業で働く自身の身にいつ降りかかったとしても不思議ではない。むしろ、似たようなことがすでに起きていないか?ノンフィクションだからこそ、より問題を身近に、そして現実感を持って感じられた。 亡くなられた西山さん、そしてJAの体制に最後まで疑問を持ち、なによりも西山さんを気にかけていたという小宮さんにお悔やみ申し上げたい。またこの本を書き上げてくださった筆者にも感謝の念を伝えたい。

    1
    投稿日: 2025.04.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    本作『対馬の海に沈む』はフリーのジャーナリストの窪田新之助氏による、JA対馬所属の社員の自死と、彼の起こした不正およびその原因について迫る力作であります。 本作で第22回開高健ノンフィクション賞受賞。 ・・・ 一言でいうと、本作、まるでスリラーのごとく面白い。ぐんぐん読める。 共済販売を手掛けるスター役職員の自死から、彼が行っていた壮大な不正が次々と明らかになるという流れ。 あろうことかその不正はむしろ組織ぐるみで行われていたこと。更には、その不正で彼の上司や地域統括的な人たち、あるいは共済の名義人(お客さん)までもが意識的・無意識的に不正にかかわり、その不正のおかげで「おいしい」思いをしていたこと。 加えて、過去にもこの不正を告発した職員がいたものの、ことごとく潰され左遷をされてきたということ。 ただ、こうした事態を引き起こした理由の一つは圧倒的なノルマ。 人口や過去の販売状況に関わらず中央から一方的に降ろされるノルマ。これをやり遂げる・どうにかするために、評価方法を熟知した社員がこれを不正当事者に教え、当事者は拠点、いや、エリアのノルマをも広くこなし、やがて救世主・神となっていきます。 最終的に彼は自死を選びますが、歴史的な土地柄、組織ぐるみの不正、告発者の左遷、不正当事者の権力の潮目の変化など、あたかも小説かのような展開に驚きが隠せませんでした。 ・・・ 私、読中から自己の辛かった時代を思い出しました。 かつて証券会社でどぶ板営業をしていた経験があります。 これ、一言でいうと、人をおかしくします。 厳しいノルマ、年功関係ない完全実力主義。論理とかロジックとかが分かる職員が偉いのではなく、人をたらし顧客の金を回転(売買)し、手数料が稼げた奴が偉い。顧客に損をさせても、手数料を稼ぐ奴が偉い。その方便を考えて本気で顧客に迫ることを続ける奴が出世します。 言ってみれば、弱肉強食のジャングルのような職場でした。 そんなストレスあふれる職場ですから、不正(顧客の資金ちょろまかし)もたまにあり、職場不倫(役員がやめたこともあったなあ)や連夜の酒浸りは常態でありました。 幸い不正はせずに辞めましたが、あのままいれば心を病むか、体を壊すか、身持ちを崩すか、していたと思います。 そんなことを思い出させる作品です。 ・・・ とういことで、最近話題のノンフィクションを読んでみました。 ノンフィクションを読んでいて度々思いますが、気の毒なのは、不正当事者となった方の家族の方々。 当事者にはお子さん方もいらっしゃったそうですが、普通に育ってくれればと願わずにはいられませんでした。 読み物としては抜群に面白い、小説のようなノンフィクションでした。おすすめ。

    1
    投稿日: 2025.04.24
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    『対島の海に沈む』窪田新之助(著)  著者は、『日本発ロボットAI農業の凄い未来』や『誰が農業を殺すのか』(山口亮子共著)、『人口減少時代の農業と食』(山口亮子共著)を手掛けた。これらの書籍は私のFacebookでもレビューしている。そして、話題の本書を読了した。  読書中、そして読み終えた後も、非常に重苦しい気分に襲われた。2019年2月、対島の海岸から1台のワゴン車が海に飛び込んだ。その運転手である西山義治は溺死し、享年44歳であった。彼はJA(農業協同組合)の職員あり、明らかに自死であった。  西山義治は共済事業を担当し、ライフアドバイザーという職についていた。彼は「スーパーライフアドバイザー」として、毎年全国1位に輝く優秀な男であり、「ライフアドバイザーの神様」とも称されていた。人口約3万人の対島において、2281世帯4047人の契約を獲得していた。農協の組合員数3718人を超える契約数であり、非常に目立つ存在であった。その上、美男子であり、人付き合いも良好で、常に笑顔を絶やさず、負けず嫌いであった彼の年収は3000万円を超えていた。こうした農協職員が存在するだけでも驚きである。著者は、多くの関係者に丹念にインタビューを行い、西山義治がなぜ海に飛び込まざるを得なかったのかを浮き彫りにし、その「犯人」を探し出す作業を進めていった。  農協には経済事業と金融事業が存在するが、対島の耕作面積は1.1%で、経済事業は成り立たない。農協職員は嘱託や臨時も含め、約80人が在籍している。西山義治は農協職員の給料を捻出してきた男でもあり、組合長からも「彼のおかげで給料が払えた」と評価されていた。  しかし、横領疑惑が発覚し、その金額は確定できているだけでも22億円に上った。横領疑惑がささやかれる中、西山義治は身辺整理を行い、自死した。これは、彼に残された唯一の選択肢であった。そして、この出来事を通じて、農協の体質が次第に明らかになっていく。  共済事業にはノルマがあり、そのノルマが達成できない場合、自ら加入するという「自爆」が横行していた。そのノルマ達成が厳しく求められ、スーパーライフアドバイザーとしてそれに応えてきた西山義治は、自己と家族のために、ひとの共済を140件、いえの共済を17件、自動車共済を6件契約していた。2018年度の年間掛け金は4027万円に達し、これは給与以上の金額であった。このような無謀な行為が可能であった理由は問題であり、また農協組織の杜撰さをも示している。さらに、著者はこの22億円の横領事件が西山義治の単独の犯行であったのかを追求していく。  西山義治は時計を愛し、フィギュアを集め、そのコレクションはプレハブに溢れていた。特に「ワンピース」に強い愛着を持ち、農協内では「西山軍団」を結成し、反対者は左遷するほどの人事権を握っていた。西山は、肉と魚にアレルギーがあり、手をつけるのがタコ料理だけで、野菜が嫌いだった。毎日仲間たちと宴会をするが、静かに飲むタイプだった。  こうした状況の中で、横領事件が組織的な犯行であることも明らかにされ、組合長や長崎県の共済責任者たちがなぜ知らんぷりをしているのかも暴かれていく。農協の無責任体制が徐々に浮き彫りになっていくのである。  さらに、この事件が明らかになる前に、告発者が存在し、農協の幹部に告発書を提出していたが、その内容は握りつぶされ、告発者は左遷されてしまった。その告発書は、まさに農協の姿勢を問い直すものであった。そして西山義治を追い詰めた「犯人」を明らかにしていく。著者がここまで詳細に描き切る手腕には深い感慨を覚える。  私自身も、身近にそのように追い詰められ、死を選択せざるを得なかった有能な男性を知っているため、この本の持つ重みをますます実感する。このような筆力を私には備えることができないと思い、著者の力量に圧倒された。この本は、農協職員や組合員にはぜひとも読んでほしい一冊である。農協の闇に、事実として迫っている。

    9
    投稿日: 2025.04.16
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    開高健ノンフィクション賞受賞作品。20年以上に渡りJAのトップ営業マンが22億を着服していた事件を追った作品。舞台は長崎県対馬市、人口僅か3万人弱の農協。漁業が主な産業の島でどのような手段で不正が為されたのかを克明に記している。不正を暴こうとした上司を組織ぐるみで葬る等、つい最近も聞いた事があるような姑息なやり口とか、人間の負の部分が怖すぎる。 不正を働いてもまだ地元の英雄的に扱われる事に封建的な島でのインタビューの反応にご苦労が伺われた。

    16
    投稿日: 2025.04.15
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    開高健ノンフィクション賞受賞作。 寝る間も惜しんで一気に読んだ本は久しぶり。 JAのNo.1営業マンによる、22億円の横領事件。 世の中にこんな悪いやつがいるのか!一体どんな手口で?衝撃の真実が!?などと考えながら、ハラハラしながら読んだ。 それが、なんてことはない、普通の人間(達)の話。人間あるあるの話。人間だったら、日常生活していれば、こういうこと、こういう気持ちになること、当たり前にあるよね、という話。人を助けたり、助けてもらったり。 その当たり前の人間感情が、ここまで大きな事件に繋がった。 いつでもどこでも誰にでも起こり得そうな話。 大きな衝撃だった。

    10
    投稿日: 2025.04.14
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    よく調べられている点は面白い。 ドキュメンタリーはこういうものかも知れないが、筆者がやや自己陶酔している書き方に見えてしまったので星3つ

    0
    投稿日: 2025.03.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    小宮さんいい人だな。小宮さんみたいになれないよ。 西山だけでなくJAも恩恵を受けた島民も悪い人がたくさんいて怖かった。死ぬまで猶予があるのも怖い。 改善は難しいだろうね。ノルマ嫌だね。 木工品を見せてあげるという提案を丁重に断るところちょっとおもしろかった。 対馬が日露戦争のためにふたつに分断されたなんて知らなかった。そんなことが可能なんだ。島なのに別の地域に行くまでに2時間かかるって相当大きいんだな。佐渡、奄美は対馬以上に大きいって凄い。LAの甲子園は地方の人は不利じゃないのかな。 悲しいけどいいタイトル。

    1
    投稿日: 2025.03.30
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    腐敗した組織、厳しいノルマなど今なお続くブラック企業体質を見せつけられた。 人の欲のどす黒さの真相に挑んだ著者の執念の取材姿勢に脱帽です。

    1
    投稿日: 2025.03.29
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    よくありそうな不正についてのドキュメンタリー。 長々と、不確かな証言とそれに基づく推論が続く。 しかもその推論になにか新しい驚きがあるわけでもない。 しかし、終盤。 題材となった事件の原因の掘り下げ方、切り口に心を動かされた。 持って生まれたもの。 時代、国、地域、社会。 自らどうすることもできないものに翻弄されていく人々の姿と、そこに向ける筆者の眼差しがこの本の読みどころ。 前半、中盤は我慢して、最後まで読み通すことを、おすすめしたい。

    2
    投稿日: 2025.03.28
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    組織の腐敗が発生する条件がいくつかある中で、JA対馬は綺麗にその全てをクリアしていたのだろうと思う。 ちょっと小狡いことをすれば自分が得するようなことはたまに出てくるけども、それをしない自分を好きになるような美学を大事に生きていきたい。

    1
    投稿日: 2025.03.25
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    対馬の農協で長年行われたという不正事件について、丹念な取材に基づいて書かれた本。 書類上は自殺した犯人の単独犯とされているが、調べれば調べるほど組織ぐるみであることが明らかにされていく。 嘘の口座、預けられる印鑑、署名の偽造、あらゆる手段を使って、汚れた金は増え続けた。そして、渦中の人物の周りには軍団とも呼ぶべき甘い汁に集まる面々が。 こういった犯罪を抑止する監査機構も骨抜きにされ、見過ごされていく。さらには不正に気づいた同僚は左遷され、告発は無視される。 農協の闇が暴かれた良書であった。対馬というムラ社会、また日本の同調圧力、事勿れ主義などが全て犯罪の後押しとなっていく。 犯人は本当に犯人と言えるのだろうか、あるいは被害者でもあったのではないだろうか? 日本の恥部を直視しなくてはならない辛さを感じる本であった。

    3
    投稿日: 2025.03.24
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    骨のあるジャーナリズムだった。組織の悪いところが全部詰まってる。農業やJA関係者はぜひ読むべきだ。そうでない人も

    1
    投稿日: 2025.03.21
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    2019年2月、長崎県対馬で車が海に転落し、運転者が死亡する事故がありました。死亡したのはJAのトップLA(ライフアドバイザー)西山氏。JAの全国組織において、”LAの甲子園”と呼ばれる業績表彰で常にトップに君臨し続けたカリスマ的なLAとして名を馳せていました。JA対馬の共済事業の総契約数の1/3をたった一人で達成し、歩合給を含めた年収は4000万円を超える”LAの神様”とも呼ばれる程の実績でした。 人口3万人そこそこの対馬を拠点に、なぜ全国一の実績を上げることができたのか。著者の取材で西山氏は損害保険の被害を捏造したり、組合員の印鑑などを自ら所有して数多くの契約を解約・新規契約したりする手口で実績を上積みしていた事が判明します。 これだけを見れば、単に一人のLAによる不祥事という構図に見えますが、この事件の背景には対馬全体を舞台にした、もっと人間のドロドロした背景が存在することが、本書を読み進めると明らかになって行きます。 JAは過酷なノルマを各県レベルの組合に課し、それが各LAにも課されています。西山氏が全国トップレベルの実績を上げることで、同僚LAは西山氏から業績を付け替えてもらう事でノルマを逃れ、県レベルや営業所レベルの幹部は”全国一位のLAが属する”ことで報奨金や各種表彰の恩恵を受けており、西山氏の強引とも言える営業に目をつぶる事で、自らもその甘い汁を受け続けていたのです。 さらに、数千人におよぶ西山氏の保険・共済の契約者も、家屋や家電製品の破損に関して台風被害に見せかけて修理・更新したり、実際の被害額以上の支払いを受けるなど便宜をはかってもらい、西山氏・JAの職員/幹部・契約者の3者にとって西山氏が不正をした結果としての突出した業績を上げることについて、利害関係が完全に一致していたがため、長年発覚することがなかったという構図であったのです。 最終的には不正の発覚を恐れて自殺したであろう西山氏は、”不正をした”という意味では罪を問われる立場であることは確かです。しかし全ての罪を亡くなった西山氏に背負わせて、当時いい思いをした数多くの人が、その事について黙っている状況に、西山氏もある意味では被害者なのではないか、この一連の出来事で、本当に罪を負うべき存在は何なのか、という疑問を突きつけるノンフィクションでした。

    2
    投稿日: 2025.03.21
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    これがノンフィクションなのか…。 著者の窪田氏が丁寧な取材で暴き出すJAの闇と対馬の海に沈んだ西山という1人の優秀セールス。 JAだから、地方だから起きた事ではない。 これはどこにでも誰にでも起こりうることなのではないか。 第二、第三の西山を生み出す可能性はどこにでもあるんじゃないか? それぐらいちょっとしたトリガーと機能していれば止められたかもしれない抑止力と…。 読了後に残るこのモヤモヤは自分がそこにいて拒絶、告発する側に回れたか?という自信がないからだろう。 東野圭吾の作品にあるような切なさ、虚しさが残る。

    2
    投稿日: 2025.03.20
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    どの様な組織でも些細な所から不正が始まり広まる。 そしてその当事者は悪いのは当然だが、周囲も同様に罪がある事を考えさせられる。 コンプライアンスとガバナンスは一定大切である事を証明する話。

    1
    投稿日: 2025.03.16
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    真実は小説よりも奇なり。その言葉の通りのノンフィクション。良質のミステリーを読んでいるときの謎解きよりも震える。 日本の文化的な弱さや農協の組織的な歪さ、ムラ社会の残酷さ、人間の業ともいえる欲深さ、いろんな汚さがひとりの野心的な男を死に追いやった、その記録。

    1
    投稿日: 2025.03.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    営業という仕事の闇をつくづく感じてきた身だが、これほどまでに個人に頼り、周りは言いなりになり、そして甘い汁をすう。皆がしているから、周りもそうだから、という理由で様々な悪知恵を許していいものでもない。そして、今まで活躍し、お偉いさんとの関わりを多く持って来た人が、突然自死を選ぶとき、それはどういう時なのかということがよく分かる。 JAに限らず、明るみに出ていない多くの闇が日本にはまだまだ存在するんだろう。 組織の上にいる人が思うように会社を動かし、個人を動かし、私腹を肥やしていくのはなんとも変な仕組みだ。 「人として」誠実でありたいと強く思う。

    1
    投稿日: 2025.03.10
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     丁寧な取材に基づく、農協の金融事業の闇を暴く労作。  全体に書きなれていない感があるが、ノンフィクションに必須な地道な事実の積み上げという点では比類がない。  この本を読んで関係するJAや県連、上部団体は何を思う?

    0
    投稿日: 2025.03.09
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    友達が面白かったというので読んでみることに。自分では絶対手に取らない本。ただ字面を読んでいるだけだとノンフィクションというのを忘れてしまうほど小説のように感じる。よくよく精査してみればおかしなことばかりなのになぜ表面に出てこないのか。すぐにばれてもいいようなものなのに。優秀なLAとして何度も表彰されているのはなぜなのか。共犯者ばかりではないか。西山が死んで誰も責任を取っていない。 でももし自分が顧客で何でもやってくれて掛け金よよりお金が入ってくるなら任せてしまうかもしれないと怖くなった。 最後に西山に何とも言えない複雑な感情を持った。憐れみというべきか。

    2
    投稿日: 2025.03.07
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    ノンフィクションだけど、組織の中での上司と部下、職場仲間、顧客と営業など、人と人との関わりが深く掘り下げられる人間ドラマを描いた読み応えのある本だった。大勢の人に慕われ頼られ支持された西山。彼が苦境に落ちた時に仲間として苦悩を分かち合ってくれる人はいなかった。JAの不正の闇は深く暗い。責任を取るべき人がきちんと自分の罪責に向き合っていない。不祥事を招いた組織の瑕疵も改められていない。ということは、第二第三の西山が生み出される可能性があるということなのだろう。

    1
    投稿日: 2025.03.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    対馬の海で溺死した、JAのセールスマン。 界隈では神様や天皇と呼ばれていた彼の行った悪事と、その裏側の真実。 罪は彼本人だけではなく、JAや対馬のムラ社会といった組織にもあった。 この詐欺行為では誰も損していなかったといわれる事もあるが、実際にはいる。 それは、不正に与せず告発した職員や、善良な組合員。

    1
    投稿日: 2025.03.05
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    ▼配架・貸出状況 https://opac.nittai.ac.jp/carinopaclink.htm?OAL=SB00557515

    0
    投稿日: 2025.03.03
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    すごく期待して読みました。JAというものの正体を知ることができたと思います。 しかしこの不祥事件についての結末がわかりません。 すんなりわかったのではノンフィクションとしての価値が下がるのでしょうか。大きな犯罪がなされたのに司法がどう裁いたのか、誰がどう罪を問われたのか書かれていません。 開高健賞には私の好きな三浦英之の「五色の虹」が選ばれていますし、今回の選考委員の堀川惠子が素晴らしいノンフィクションの書き手であることも知っています。他の委員も納得のメンバーです。 例えばp.207に農林中央金庫の担当者が書類の偽造を「見抜いた」が表沙汰にはしなかった、これが「事実とすれば」といった記述がありますが、こうした曖昧さがいくつも見られます。 全体的にみて感傷的で、事実を知りたい気持ちが削がれてしまいます。小説ならいいのですが。

    13
    投稿日: 2025.03.03
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    ノンフィクションは好きで、見つければ読んでしまう。 この作品は取材のマメで、本当に分かりやすく描かれていた。 驚いたのは、昭和の話ではなく、平成、令和という2000年代の話。 地方あるあるの「ムラ社会」がこうした犯罪を生み、死者に罪を被せて、組織、上司たちは知らぬ顔。 仕事で営業・ノルマと聞くだけで自分には無理と思うが、そうした無理した仕組みも未だ見直されないのは本当に厳しい社会だと思う。 このフィクションはJA職員も含め、多くの人たちに読んでもらいたいと思う。

    7
    投稿日: 2025.03.02
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    大学のとき、親が会社員のため奨学金を申請出来ずバイトに明け暮れ苦学生だった自分に比べて、友人は実家が農家で奨学生だった。彼女は毎月の仕送りも十分あり、短時間バイトで娯楽費を稼ぎ、年賀状で見た親戚の集合写真の背景に写る立派な床の間、成人式での高額の振袖、免許取得後にハイスペックの新車のプレゼントなど、随分羽振りがいい生活をしていたのが不思議で、奨学金の申請基準の不公平差にずっとモヤモヤしていた。 この本を読むと、彼女の家は代々共済絡みで農協から〇〇な恩恵を受けていたのかも、と思ってしまった。

    1
    投稿日: 2025.03.01
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    2019年、22億円を横領した嫌疑をかけられていたJAの職員が、対馬の海に飛び込んで自殺した。人口3万足らずの国境の島で、22億円もの大金がどこから生まれ、どこへ消えたのか。そしてなぜ、 20年近くに及んだ横領行為に誰も気がつかなかったのかーー。 ...あらすじだけで白飯一杯いけそうであり、内容も言わずもがな。おそらくは調査委員会の出した報告書をプロットし直す構成が続くが、ある人物の証言をきっかけに、吐き気を催すほど醜い真実が浮かび上がる。最後の1ページまで気が抜けない。 こちとら一昨日出た飲み会の内容すら覚えてないのに、10年前の飲み会に誰がいて何が話されたかまで立証する、ひたすら真実を追い求める筆者の(ジャーナリストの)ストイックさに脱帽である。

    2
    投稿日: 2025.03.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    CL 2025.2.24-2025.2.28 非常に入り組んだ不正の仕組みを丹念な調査で解き明かし、ほぼ全容を明らかにした著者の取材力に感嘆する。 ただ、わたしは全く西山が可哀想とは思わない。そもそも不正に手を染めたきっかけのときにちゃんと善悪の判断がつくような人だったらこんなことにはならなかった。確かに周りの要因も多いのは間違いないし、結局西山ひとりに罪を被せたようになっているのもそのとうりなんだけど、不正の始まりの案件、もしこの時小宮が同じことを頼まれていたら間違いなく断っていたと思う。結局は西山の道徳観念の乏しさがどんどん不正を大きくしていったんだと思う。最後にひとりだけ亡くなってしまったのも追い詰められたと言うより単に逃げただけ。わたしには西山を同情する気には全くなれない。

    1
    投稿日: 2025.02.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ダレる事なくしっかり導く筆力に脱帽。 序盤では怒りの対象であった犯人に対して読み終わる頃にはむしろ憐れみすら感じるとは… しかも途中で、じゃあも仮りに自分もうまい汁を吸わされていたとしたら果たして仲間に入らなかったと言い切れるだろうか?と考えるとなんとも言えない気持ちになった なにはともあれ見事な構成で興味の持続と終着点で味わう感覚まで全てが素晴らしかった。

    1
    投稿日: 2025.02.27
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    圧巻の取材力。普段はこうしたノンフィクションを読む度、どこかしらに不完全燃焼感があるが、こちらは一切ない。「オススメの本はなに?」と尋ねられたら、即この本を挙げたいレベルに良きです。

    3
    投稿日: 2025.02.25
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    2024年開高健ノンフィクション賞受賞作 元々は農協の機関紙の記者をしていて現在はフリーランスの方が書いたノンフィクション作品です。 事実は小説より奇なり、と言ったりしますが読後はまさにそんな感想を抱きました。 本作は、JA対馬が生んだ全国トップセールスマンの不審な死についての描写から始まります。この描写がタイトルにもなっています。 対馬は人口3万人弱であり長崎県に属する離島です。そんな狭いマーケットを相手にして、通常では考えられない程の共済の営業実績をあげ続けた人物がいました。それが本作の主人公とも言える故西山義治氏です。(ちなみに共済とは自動車保険、火災保険、生命保険などのことで保険会社でなくJAが販売する保険商品のことは共済と呼びます) 西山氏は圧倒的な成績で毎年、JAの全国大会で最優秀担当者として表彰されるなどしてJAの中では全国的にも有名な人物だったようです。 共済の営業実績に基づく歩合給を含めると年収が4000万とかになっていたようです。 その人物がどのようにして営業実績をあげていたのかが丹念な取材により克明に記されています。 営業活動の過程で大規模な不正が行われており、その不正にJAや関係する組織は西山氏の成績にあやかるために不正に見て見ぬ振りをして来たことも描かれています。 不正の内容は多岐にわたりますが、台風などの自然災害を悪用した共済金(一般には保険金)の不正請求が主たるものです。災害被害の偽造、ねつ造、過大請求のオンパレードです。 JAでは彼の死後に不正は彼一人によるものとして処理したようですが、そんなわけないだろうというのが著者の主張です。 先日、三菱UFJ銀行の貸金庫事件がメディアで大々的に報じられていましたが、それに匹敵するいやそれ以上に大きな問題を孕んでいるように思います。 西山氏による不正で多くの対馬の島民が本来得られるはずのない利益を得て甘い汁を吸って来たはずです。 それらのことがなかったことにされて多数の不正受給者にはお咎めなし。 まさに死人に口なしで、西山氏一人に罪をおっかぶせるのは到底納得できるものではありませんね。 著者の窪田さんの執念の取材には頭が下がります。 本書はたくさんの人に読んでもらいたいと思える一冊です。

    150
    投稿日: 2025.02.23
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    まず作者の取材力に脱帽。世の中のメディアはこうであってほしい。書かれているJA対馬の闇は想像以上に黒く悪寒を感じた。 JAと同時に「人間」の醜さが顕になっていき虚しくなった。全ての人に読んでほしい。

    2
    投稿日: 2025.02.22
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    農協といえば、主に農業や農家のための仕事をしていると思われがちであるが、実はその売上げ・利益の大半は金融事業によって賄われており、とくに保険関係の共済事業は総資産約60兆円と国内最大手である。 対馬―日本海に浮かぶ人口3万人の離島に、この共済事業で全国トップの実績を誇るLA(ライフアドバイザー)がいた。西山義治は毎年数億円もの共済商品を販売し、10年以上全国大会で表彰される成果を出していた。西山氏は2019年2月に帰らぬ人となった。その死後、彼が約22億円もの資金を不正に流用していた疑惑が発覚したのだった。 どうして小さな島で全国トップレベルの営業成績を収めることができたのか。また何十億円もの不正蓄財を可能にした手口とはいかなるものだったのか。西山氏個人だけの問題なのか、はたまた組織的な犯行だったのか。調査が進むに連れて西山氏とJA対馬を取り巻く異様な状況が浮かび上がってくる。 JA共済のLAに課せられる厳しいノルマの飴と鞭、田舎ならではのヤンキー的な内輪意識と敵愾心、契約や共済金払い戻し等のプロセスの杜撰さ等々、様々な要因が西山氏のモラルを破壊していく。そして多かれ少なかれ、中央組織と地域の末端におけるヒエラルキー構造の下では起こり得る事件なのだと、公務員や大企業まで含めた組織に内在するリスクとして他山の石とすべき内容となっている。

    5
    投稿日: 2025.02.18
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    JA対馬元職員・西山は、⾃然災害で契約者宅に被害が出たなどと偽って共済⾦を請求したり、契約者に無断で解約したりするなどの⼿⼝を繰り返し、不正流⽤によって9年間で17億7621万円を得ていたという。本書はその事件を追ったノンフィクション。 なぜ9年間に2,400件にも及ぶ不正があったにも関わらず、その間、西山の所属する組織(JA関連の上部組織を含む)は不正を見抜けなかったのか? 顧客はなぜ西山の言うなりに通帳や印鑑を預けっぱなしにしていたのか? 著者は関係者への取材を通して次第にそれを明らかにしていく。そこには西山個人を超えた「闇」が広がっていた……。 第22回開高健ノンフィクション賞受賞作品。

    4
    投稿日: 2025.02.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2日かけて読んだが、1日目中断して就寝したらひどく寝つきが悪かった。 「周囲の人たちが不適切な共済絡みの金を受け取ることが当たり前になっている状況のなかで、一人それを拒むことなどできたのだろうかーー。私には、そんな自信はなかった。」(p.294) ↑ここなんですよね…。私も本当に自信がない。だからこそ本書に登場する小宮さんみたいな人物には尊敬の念を持つし、そのようにありたいということは考える。

    4
    投稿日: 2025.02.13
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    圧巻のノンフィクション作品。真実を求めて執念の取材をする筆者に圧倒された。突きつけられた真実は日本社会に根深く潜む根底の文化までたどり着くところに作品の奥深さを感じた。一読の価値あり。

    7
    投稿日: 2025.02.12
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    久しぶりにハードカバーの本を読み切った。 過疎地のJA対馬の職員でありながら、共済商品の圧倒的販売実績で全国一位の座に居座り続けた男が車で海に飛び込んで死んだ。 その男には22億円の横領疑惑が掛けられていたが、その男を生み出した組織の構造・背景には何があったのかを詳らかにする傑作ドキュメント。 面白い。

    4
    投稿日: 2025.02.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この事件のことを耳にしたことはあったが、真相を全く理解していなかった。 JAで起きた巨額の横領、しかも主犯は自殺、という、対馬でのセンセーショナルな事件についての調査報道。「西山一人が悪い」という世間評になっていたが、調べ尽くされた結果うかびあがるのは、なんの変哲もない田舎町の人間社会の闇。誰もが、自分は悪くない、と、詐欺の自覚すら生まれない程度の「おいしい思い」をしている。あぁ対馬なら起きるだろう、と地元民として妙に納得した。

    3
    投稿日: 2025.02.04
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    2019年対馬で自殺したとされるJA職員西山は、共済を売りまくり12回も優責表彰された。その裏側には巨大な不正があったとするドキュメント。 面白かった。こんな事件があったことを知らなかった。自分が西山の側にいたとして不正に関与しないと言えるだろうか。保険という商品に付き纏う普遍的な課題なのか?

    3
    投稿日: 2025.02.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    人口3万人余の小さな島である対馬で、その1割以上から契約を取り付けスーパーライフアドバイザー、「LAの神様」と呼ばれていた西山義治が車で海に転落し死亡した。 彼は、借名口座や借用口座を作り、建物共済を契約、建物の被害を捏造、多額の共済金を振り込ませていた。 これを単なる不祥事件として片付けることへの違和感から著者は関係者などに徹底した取材を行う。 そこから見えてきたのは、西山が小さな単位農協職員を苦しめるノルマを逆手に取り、組織での求心力や影響を伸ばしていたという事実だった。彼は共済だけでなく、信用や経済事業でも実績を挙げていた。そして、彼に救われた職員、組織の上層部、さらには県の共済連までもが、彼の行動を見て見ぬふりをしていた。 彼の不正に協力、加担した職員は多く、彼に反発したり、告発しようとした職員や上司は左遷や排除の憂き目にあった。 著者の取材は、それだけにとどまらなかった。西山のことを悪くいう住民がいないという事実の裏には、住民と西山の間の持ちつ持たれつの関係があり、いわば「共犯者」がいたのである。 著者は、この事件の背景には、巨大組織であるJAグループにはびこる過重なノルマ、内部告発を黙殺しようとする土壌、親族や地縁を中心とする人間関係や場の雰囲気を大事にする日本の風土があると考える。 一個人による不正事件の裏に潜む構造的な闇に光を当てた渾身のルポルタージュである。

    2
    投稿日: 2025.02.03
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    JA対馬のトップセールスマンの死から、様々な歪みが見えてくる本。全くニュース等でみた記憶がないが、今巷で騒がれている貸金庫の事件よりもはるかに根深い闇を感じさせる。 正しく評価することの難しさを痛感させられた。

    3
    投稿日: 2025.02.02
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    社会の嫌なところをまざまざを見せつけられる悲しい事件。そもそもこの規模の事件なのに聞き覚えがなくて、それ自体に違和感を覚える。 田舎出身の私からすると、いつ自分の身に降りかかってもおかしくないと思った。例えば自分の親が甘い蜜を吸っていたら、それを知った子どもは止められるだろうか。しかもそれが生活に直結する仕事に関わっているとしたら。 閉鎖的な田舎は存在する、今も。極論かもしれないけど、こういう同調圧力に嫌気がした若者も多いわけで、是正しないと人口流出は避けられないだろう。 感想を書けば書くほど私自身もヒートアップして、小宮さんの気持ち分かるなと思った。人に欲がある限りなくならない気もするが、正義が正義であり続けられる社会になることを祈っている。

    3
    投稿日: 2025.02.01
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    対馬で自動車ごと海に沈んで亡くなった男は、かつてJAで 全国No.1の営業成績を叩き出し続けた男だった。 対馬でなぜ全国1位?22億円の損失を与えた事件なのに、あまり知られていないのはなぜ? JAと全く関係ない身からすると不思議な事ばかりだが、最後まで読むと驚愕の事件概要が姿を現す。ひとりで取材するには余りにも大き過ぎる事件なだけに、本書の内容は圧巻である。関係者の大半が実名で登場するのは、「自分は悪くない」と思っているから。 この本が話題になっても、JA全体の(あるいはそれ以外の業界でも)当事者たちは、あってはならない不正について、何とも思わず記憶の彼方に忘れていくのだろうなあ。

    3
    投稿日: 2025.01.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    全く知らない事件でした。 農家なので普段からJAは身近な存在。農業だけに関わらず銀行を始め多岐にわたる業務内容で田舎には特に欠かせない。ノルマの話は知っていてうちも共済など利用しているけど感じたことはありませんでした。 私も組合員で島の人と同じ立場になった時にどういう判断をするだろうか、同じように共犯者にならないと言い切れない…深く考えてしまいました。 もう一度読み直したくなりました。 最近、銀行での横領が話題になりましたがこちらの事件のほうが寒気がする、もっと深い問題として取り上げられてもおかしくないと感じました。 作者の徹底的な取材に感銘を受けました。

    5
    投稿日: 2025.01.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白かった。 しかし、地方の営業所で営業職として働いたことのある人間ならば多かれ少なかれ顧客との共犯関係の構築による信頼関係を築くことや実績を上げるためにコンプライアンスのグレーゾーンを行き来することは業界は違えど見聞きしたことはあるので、この著者の驚きや意外性みたいなものにはそこまで共感できなかった部分はある。 しかし、目に見えないある種の島内の「産業」のような状況になっているとも思えたし、その調査、取材力でここまで状況を解き明かすのはすごい。 自分は「〈賄賂〉のある暮らし 市場経済化後のカザフスタン」を読んだ時のことを思い出した。この本では、公的な機関のポストや許認可権を商品化し、売買しているカザフスタンの状況を描いている。自分には公職の腐敗を拠り所にした「産業」のようになっているカザフスタンの状況が重なって思い出された。

    5
    投稿日: 2025.01.19