
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
映画「PERFECT DAYS」を観て、興味を持って読んでみた。 「パトリシア・ハイスミスは不安を描く天才だと思うわ」 「恐怖と不安は別の物だって彼女から教わったわ」 これは、この本を買った客に対して古書店の店主が発したセリフ。 読んでみて改めて、このような短くてピリッとしたセリフを書く脚本家はすごいと思った。 確かに、「不安」はほとんどの作品で一つのテーマになっていたように思う。といっても似た作品は一つもない。 特に良かったのは、 ・かたつむり観察者 ・モビールに艦隊が入港したとき ・ヒロイン ・空っぽの巣箱 いただけなかったのは ・クレイヴァリング教授の新発見 ・野蛮人たち 全体的によいんだけど、古いだけにやや粗さが感じられた気がする。 かたつむり観察者 The Snail-Watcher 意外で恐ろしい結末。かたつむりが増殖していく描写がまさしく秀逸。 恋盗人 The Birds Poised to Fly 恋人からの手紙を待つ男女は、今にも飛び立とうとしている小鳥たち。 返事さえ来ればすぐに飛んでいこうと待ち構えている。 ラブレターを盗んだことにより遭遇した女の、 何があっても相手を信じる気持ちに男は触発される。 邦題を恋盗人にしたのは、ややずれている気がする。 すっぽん The Terrapin 子供の言うことに耳を貸さない母親が怖い。 そして最後はスプラッター。 アメリカでもすっぽんを食べるとは知らなかった。 モビールに艦隊が入港したとき When the Fleet Was In at Mobile 最初は主人公の女性の行動が理解できないが、 回想が進むにつれて次第に同情してきてしまう。 艦隊が入港したときは、彼女の運命を分けたとき。 結末は殺人犯として逮捕されるよりもずっと怖い。 クレイヴァリング教授の新発見 The Quest for Blank Claveringi またカタツムリ。 パニックアクション映画のような感じだった。 愛の叫び The Cries of Love 友達同士がホテルの同じ部屋で暮らしているという状況が分からないが、好きな友達にいたずらをしては仕返しされるという、子供じみた老婦人のめんどくさい関係。 アフトン夫人の優雅な生活 Mrs Afton, among Thy Green Braes 精神科医に夫について相談に来た有閑マダムの正体が最後に明らかになる。 ちょっと気の毒な話。 原題は、18世紀のスコットランドの詩人 Robert Burns の代表作の一つ "Afton Water”の冒頭を引用したものっぽい。詩では「アフトン川よ、緑の丘をぬって(やさしく流れよ)」のような感じ。 夫人がこの詩から名前を取ったのかは定かではない。 緑の丘の間を流れる優雅なアフトン川と、実はそうではないアフトン夫人の間にアイロニーを感じる。 ヒロイン Heroine 人の役に立つ行動をするために、自ら災いを引き起こしてしまう少女。 過去の家庭環境や、シッターになってからの行動の端々から危なっかしさが感じられ、不安を煽られる。 もう一つの橋 Another Bridge to Cross イタリアの海沿いの明るく牧歌的なロードムービー的な短編だが、死のイメージが全体を貫いているのが対照的。主人公からも、死の世界に取り込まれそうな危うさが何となく感じられる。その中で、泥棒の少年だけはいきいきとたくましい。 野蛮人たち The Barbadians 近所で騒がしくキャッチボールをする大人げない男たちに石を落として追いやったかに思えたが、彼らはまた集まってキャッチボールを始める。男たちにいらつくばかりであった。 空っぽの巣箱 The Empty Birdhouse 過去の行動に対する後悔や不安が幻覚を見せるのか。妻だけではなく夫も見ることで、現実だったのかと思えば安心するが、やはり現実ではなさそうな描写もあるので、そうだとするとなおさら怖い。途中から不気味な猫も出てきて、何が不気味なのかもはっきり書かれないのだがやっぱり不気味で、強さを助長する。結末に至っても話が終わらないところも怖い。
0投稿日: 2026.07.29
powered by ブクログ映画『PERFECT DAYS』で1冊の古本として出てきたので気になって手に取ってみた。 愛情が凶器になっていく様を感じられる短編の物語。相手の気持ちは真には把握できないからこそ、自分の中で愛情は歪んだ形に育ってしまうのだろうと思わされる。人間臭さを感じさせる主人公たちだった。外国文学の訳なので少し読みづらいし、文化や情景が汲み取りづらい部分もあった。 (この本が出てくることも映画の伏線の一つだったのかな)
8投稿日: 2026.07.20
powered by ブクログかたつむりにまつわる2編は少し異色なような気もするが、多くは自分でも自覚しない人生の空虚さのようなものを何かに仮託して描く短編となっている。その結果として重大な事件が起きたりまた起きなかったりするのだが、結末の見事さや筋の運びといった要素には重きを置いていないので、一つ一つ異なる後味が残る。『もう一つの橋』など、短編を成り立たせるのに十分な事件がいくつも起きるのだが、短いページの中でそれらの事件が背景となり、最後に印象に残るのは主人公の満たされない人生の空虚さであったりする。恐ろしくテクニカルであり、こんな小説があるのか、と驚いてしまう。
10投稿日: 2026.06.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
短編集でありながら、一冊を通して感じたのは 「人間はこんなにも不気味で、身勝手で、狂気を秘めているのか」ということだった。 殺人や犯罪そのものよりも、日常に潜む執着や妄想、嫉妬、意地悪、孤独が静かに描かれており、その積み重ねが読者にじわじわと不快感を与える。 どの作品にも派手などんでん返しは少なく、読後に残るのは爽快感ではなく「嫌なものを見てしまった」という感覚だった。 特に印象に残ったのは『アフトン夫人の優雅な生活』で、最後に真実が明かされた瞬間は背筋が寒くなった。一方、『ヒロイン』は恐怖こそ強かったものの、タイトルの意味が最後まで掴めず戸惑いも残った。 『かたつむりの観察者』『クレイヴァリング教授の新発見』では異様な執着が描かれ、『すっぽん』では虐待への報復、『恋盗人』では罪、『愛の叫び』では幼稚な意地の張り合いと、それぞれ題材は異なるものの、描かれるのは常に人間の暗い感情だった。 総じて、「人間心理を描く巧さ」は十分に伝わった。しかし、読み進める手が止まらなくなるような面白さとは違い、終始重苦しい空気が続くため、自分には少し合わなかった。 “傑作なのは理解できる。でも好きかと言われると違う。” そんな一冊だった。 人間の狂気や執着を描くのは圧倒的に上手い。 でも、自分は『続きが気になってページをめくる本』の方が好きなのだと、改めて実感。
0投稿日: 2026.06.25
powered by ブクログ初のパトリシア・ハイスミス作品。短編集で、その大半が結構怖くて、気持ち悪い系。怖いもの見たさで読み進めてしまう感じ。怖い中にも、辛い、せつない気持ちが織り交ぜられているものもあり、読みごたえがあった。
10投稿日: 2026.02.23
powered by ブクログ映画「PERFECT DAYS」を観て、興味が出て読んでみた。 11の短編が入っている。 どれも不思議で、怖くて、気持ち悪い話。 半分ほど読んだ。「かたつむり観察者」がおもしろかったかな。
12投稿日: 2025.12.30
powered by ブクログ変な言い方かもしれないが、上品でしっかりしたクラシックなホラーで心地いい。ちょっと長いが星新一みもある。短いスティーブン・キングみもある。
7投稿日: 2025.10.02
powered by ブクログハイスミスの短編は、タイプの異なる独特な世界観がコンパクトに詰まっていて、とても面白かった。 ハイスミスの魅力は何と言っても心理描写。 主人公の頭の中を覗くように「なぜそんなことをしてしまうのか」が見えてきて、人間の本質が浮き彫りになる。 最初は「この人ヤバい」と思っても、だんだん「でもそうなる気持ちも…」と共感してしまうこともあって、善と悪の境目がグラグラしてきてクセになってくる。 私は頭の中で、不安や心配なことを自問自答して脳内反省会をしてしまう癖があるので、登場人物たちの不安や、それを必死に落ち着かせようとする姿に共感してしまった。 これで自分が読むハイスミス作品は4冊目。『太陽がいっぱい』のリプリーのことをなぜ嫌いになれないのか…その理由が少しずつわかってきた気がする。 『かたつむり観察者』★3 カタツムリを愛して飼育した結果、ものすごい数に増殖してしまい… 『恋盗人』★3 隣人のポストから手紙を盗み読みし、隣人になりすまして勝手に…リプリーっぽい。 『すっぽん』★5 毒親が料理用に生きたすっぽんを買ってくると、11歳の息子はすっぽんを可哀想に思い、殺さないで欲しいと母に頼むが…。 読後に善悪を考えてしまう作品で、いちばん印象に残った。 『モビール艦隊が入港したとき』 ★3 暴力的な夫を殺害した主婦が、逃亡先で不幸な人生を振り返る。彼女の行く末は… 『クレイヴァリング教授の新発見』★4 無人島で肉食の〇〇かたつむりに襲われる。 カタツムリ版ジュラシックワールド。 カタツムリが2作品も入ってるなんて。ハイスミスのカタツムリ愛が興味深い。 『愛の叫び』 ★5 孤独な老婦人二人。お互いを必要としながら暮らしているのに、相手が嫌がることをして悲しむ姿を見て喜ぶという、奇妙なハイスミスっぽい世界観。 『アフトン夫人の優雅な生活』 ★5 過激な運動に取り憑かれた夫を心配し、精神分析医に相談するアフトン夫人。医師が夫に会いに行くと、思いがけない展開に… 『ヒロイン』★5 念願の保母の仕事に就けたルシール。 2人の子どもたちをあらゆる危険から命がけで守りたい。どうすればこの想いを雇い主の奥様に理解してもらえるか、ルシールは考えた… 『もうひとつの橋』 ★3 妻と息子を亡くした男が、不幸な家族や、貧しい少年に親切を尽くすが… 『野蛮人たち』 ★3 ご近所騒音トラブルは、国境も時代も超えて存在する。 『からっぽの巣箱』 ★4 謎の生命体「ユーマ」を目撃したことをきっかけに、主人公は過去の罪悪感と向き合うことになる。
103投稿日: 2025.09.09
powered by ブクログ「もうひとつの橋」がよかったかな……。個人的には好きなのはあの2人のお婆ちゃんたち。次のチャンスを虎視眈々と狙う。
2投稿日: 2025.09.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ヴィム・ヴェンダース監督「PERFECT DAYS」(パーフェクトデイズ)にて、平山(役所広司)の妹の娘ニコ(中野有紗)が、平山の部屋の文庫本を読んで、 「おじさん、わたし、この『すっぽん』って話好きかも。ヴィクターって男の子の気持ちがわかるっていう意味」 母が迎えに来たとき、 「おじさん、ねえ、おじさん。わたし、ヴィクターみたいになっちゃうかもよ」 という場面が強烈だったので、積読を崩してみた。 勝手に初読のつもりでいたが、実は「厭な物語」(文春文庫)で「すっぽん」のみ既読だった。 再読してみて、確かにこの作品への言及は大きい要素だなと思った。 また、他の短編も読んでよかった。 作者が同性愛者で、雌雄同体のかたつむりへの興味が云々ということは知っていたが、「かたつむり観察者」、「「クレイヴァリング教授の新発見」が強烈に恐ろしい話で、むしろ笑ってしまった。 また、「恋盗人」、「ヒロイン」、「からっぽの巣箱」のような主観の歪みというか偏りがポイントになる話も多く、好みだった。 奇妙な話という点で藤野可織とか、謎動物が象徴になるという点で小山田浩子とか(特に「からっぽの巣箱」)を連想した。 ◇序――グレアム・グリーン ■「かたつむり観察者」‘The Snail-Watcher’ ■「恋盗人」‘The Birds Poised to Fly’ ■「すっぽん」‘The Terrapin’ ■「モビールに艦隊が入港したとき」‘When the Fleet Was in at Mobile’ ■「クレイヴァリング教授の新発見」‘The Quest for Blank Claveringi’ ■「愛の叫び」‘The Cries of Love’ ■「アフトン夫人の優雅な生活」‘Mrs. Afton, Among thy Green Braes’ ■「ヒロイン」‘The Heroine’ ■「もうひとつの橋」‘Another Bridge to Cross’ ■「野蛮人たち」‘The Barbarians’ ■「からっぽの巣箱」‘The Empty Birdhouse’ ◇解説 関口苑生
11投稿日: 2025.07.22
powered by ブクログ11の物語からなる短編集。 映画「PERFECT DAYS」に出てきたことをきっかけに本書に興味を持ち、読んだ。 11ものストーリがあるので、好みのものとそうでないものがあるから、星を付けるのはなかなか難しい。 一番良かったのは、最初の「かたつむり観察者」。何とも言えないおどろおどろしさに、読んでいる最中にゾクゾクし、読み終わってからもジワジワと脳裏に残った。 全体を通して不穏な空気がそこはかとなく感じられるのは彼女の技量であり、らしさなのであろう。
0投稿日: 2025.06.20
powered by ブクログ「太陽がいっぱい」で有名なハイスミス。といってその作品は読んだことがないし、映画もまた観たことがない。なんとなく手に取った本作ですが、意外や意外楽しめました。 とにかく・・・かたつむり!!気持ち悪くって忘れることができないほどのインパクト・・・
0投稿日: 2025.04.28
powered by ブクログかたつむりがとにかくきもい。すごい。 翻訳者の方の功績ももちろんあるだろうが、不快と恐怖と細かな違和感みたいな感情を表現するのがうますぎる。 めちゃくちゃよかった。
1投稿日: 2025.04.16
powered by ブクログミステリー仕立ての純文学という感じで普段あまり読まないタイプ、というか似てる人があんまいない感じがする。たまにはこういうのも良い。 『ヒロイン』という短篇が一番印象に残ったなーと思いながら解説を読むと、デビュー作だったらしい。初めて触れる作家だとばかり思ってたけど、映画『太陽がいっぱい』やヒッチコック『見知らぬ乗客』の原作者であったとのこと。改めて観直してみたくなった。
0投稿日: 2025.04.13
powered by ブクログシャーリイ・ジャクスンから毒気を少しばかり抜きとり、世にも奇妙な物語をひとさじ足したような作品集。 「すっぽん」は他の短編集で読んだことがあったけれど、ハイスミスの作風がここまでバラエティ豊かだとは! ヒッチコック風の「かたつむり観察者」、シャーリイ・ジャクスンみを感じる「愛の叫び」「野蛮人たち」、切ない読後感の「もうひとつの橋」が特に好き。 日常に得体の知れないなにかが入り込み、もう今までの日々には戻れない...という「からっぽの巣箱」もよかった。 ある事象が起きたときに、なぜか過去のやましい記憶を(ほんとうはなんの関係もないとしても)関連づけてしまう、不思議な感覚に共感を覚える。 すっかり虜になってしまったので、ハイスミスの他作品も読んでみようと思う。
5投稿日: 2025.02.13
powered by ブクログ題名通り、11編を収録した短編集。 心を壊してしまった人の話や、人が心を壊していってしまう話が多めなので、読後感はあまりよろしくない。
0投稿日: 2025.01.19
powered by ブクログ映画「perfectdays」にて取り上げられた本。 それを機に読む人も多いだろうが、私もその1人。 映画の中で、「不安を描く天才」と評されていたハイスミスだが、まさにその通りだと感じた。 人間の根底にある、軸としてある恐怖や狂気を短編で上手く表現している。ハイスミスならではの、含みのあるラストは読者の不安感を拭わせることは無い。 短編でサクッと読めて、それぞれ違った物語が展開されつつも、全体的なテーマとして不安がある。バッドエンド好きには刺さりそう。
0投稿日: 2025.01.04
powered by ブクログ私がもってるのと違う表紙だな、これ…。私のはもう『うずまき』みたいで華麗キモイのです。さすがハイスミス、イヤミスの11編ですが、かたつむりが苦手な人は絶対読まないほうがいいw
0投稿日: 2025.01.01
powered by ブクログ11個の短編小説。 サスペンスというか不安というか不快というか、それでいて、思わず気になってしまうような。 映画「perfect days」で気になって読んだが、良い小説は人間の感情をよく捉えているものだと改めて感じた。
0投稿日: 2024.12.26
powered by ブクログすごく独特な世界。 不気味。怖い。恐ろしい。 人間の奥底の、のぞいてはいけないどす黒いところを描く。 犯罪者側から書ける人なんだな。 ヴェンダースの映画「パーフェクトデイズ」で作中人物が手に取る作品。
0投稿日: 2024.11.05
powered by ブクログ面白いね 解説で稀有な作家と評されるがまさにその通りだと思う。 いわゆる人間の心理を描く繊細さが群を抜いて優れている。 11個の短編の登場人物全てが印象的だった。 それはなぜか。 その答えは彼らが唯一無二であるからだ。 現実の個人が全て異なるのならば、小説の世界の個人もまた全て特異であるべきだ。 この理想にパトリシア・ハイスミスは究極的に漸近した作家といえる。 つまり、登場人物のそれぞれが何かの経験をした時に生じる心理的運びが異様で、奇妙である。 「そうはならないだろ」と突っ込みたくなるが、ふと思い直す。 他者の心理など理解できないのが普通だ。他者とは本来的に奇妙で理解できない存在のはずだ。寧ろ、人々がそれぞれ精神のズレや異様さを抱えて生きている。我々は潜在的な狂気を抱えている人間と社会で互いに同居している。この方がよっぽど現実に即しているのではないか。 他者とは異物なのだ。容易に理解できる他者の方が寧ろ異常なのだ。 ハイスミスの小説は人間の狂気の潜在性と生々しさ、それらと同居する不安を描き出す。これこそ小説の追求すべきリアリズムではないか。 えてして読みにくい小説は長期的に読者を揺さぶり、読みやすい小説は飲み込みやすいがゆえに容易く排泄される。 登場人物がテンプレートにハマった感情移入しやすいものであればあるほど、小説全体は手触りと色彩を失っていく。 彼女の小説は読みにくい。嫌な後味が読後に残る。理解も感情移入もし難い、歪な手触りを持った作品だ。それゆえに我々の胃袋を揺さぶる。揺さぶる。
0投稿日: 2024.08.21
powered by ブクログパーフェクトライフに出てたので図書館で予約^_^一年以上待ってきたのに1ヶ月返せない はっきり言って和訳が下手 そのままだもん わかりにくい すっぽん、不思議でした
0投稿日: 2024.07.15
powered by ブクログ短編なのに読み応えがあり、世界観が出ているのが凄い。作者自身がカタツムリ好きなのが分かる。カタツムリが出てくる作品って珍しいのに、11の物語の中で2回も出てくるなんて。「クレイヴァリング教授の新発見」は衝撃でした。あっさり見つかるところから始まるのが意外。 個人的には「すっぽん」と「ヒロイン」が好きでした。
0投稿日: 2024.05.07
powered by ブクログ映画『太陽がいっぱい』の原作であるトム・リプリーものなどで知られるパトリシア・ハイスミスの短編集。タイトル通り11作品を収録している。原題は“Eleven”(アメリカでは“The Snail-Watcher and Other Stories”として刊行)。原著は1970年刊、短編集としては最初のもののようだ(短編自体はずっと以前から書いており、例えば収録作の1つである「ヒロイン(The Heroine)」は1945年に発表されている)。日本での刊行は1990年、その後、2005年に改版されている。 サスペンスやミステリとして評価されがちなハイスミス作品だが、本人はそう見られることを必ずしも快くは思ってはいなかったようである。 本書に序を寄せたグレアム・グリーンは、ハイスミスを「不安の詩人("the poet of apprehension")」と評している。 サスペンスといえばサスペンスなのだが、ドキドキ・ハラハラ、スリル満点、というのとは少々違う。 登場人物たちは、少しずつ、ほんの少しずつ、常軌を逸していく。よくよく考えるとなんだかおかしいのだが、そう思う隙を与えないほど、一歩ずつ、徐々に道があらぬ方へ向かっていく。読者が気がついた時には、呆然とするような場所に連れていかれている。まったくの異世界というわけではない。遠いようで実は遠くない場所。あなたが、私が、もしかすると本当に到達するかもしれない場所。その紙一重の緊張感が、この不穏なハイスミス・ワールドを支えている。 1作挙げるとすれば、「ヒロイン」だろうか。実質的な文壇デビュー作という。 主人公のルシールは若い娘。若干、精神的に不安定なところがある。前にいた勤め先ではメイドとして働いていたが、今度は子供たちの保母として雇われた。子供が大好きで、働き者である。主人一家は親切で、子供たちもルシールのことを気に入ってくれた。 美しい家。かわいい子供たち。恵まれたお給料。絵に描いたような幸福が訪れるはずなのに、そう、もうおわかりだろう、そうはならないのだ。 幕切れのシャープさは本作品集で一番ではないか。 「モビールに艦隊が入港したとき(When the Fleet Was In at Mobile)」も印象深い。暴力的な夫を「眠らせて」逃げ出してきたジェラルディーン。彼女がそんな羽目に陥ったのは、田舎のモンゴメリーから大きな港があるモビールに行ったからだ。工場で働こうとしたのだが、あきがなく、ウェイトレスとして働きだした。そのうち港に小さな艦隊がやってきて、町は水兵や士官であふれた。ジェラルディーンは、船で薬剤師として働くダグラスと恋仲になった。いずれ彼と結婚するつもりだったのだが、少しずつ不運が積み重なっていく。 逃避行と回想が交錯する。ジェラルディーンはどこで間違えたのだろう。モビールに艦隊が入港したときには、彼女のその後の運命は決まっていたのかもしれない。 「愛の叫び(The Cries of Love)」は一緒に暮らす老女2人の友情と確執。2人はひどく傷つけあいながら、なおもともに暮らしている。それはもう腐れ縁と呼ぶしかないのかもしれないが、あるいはある種の愛情であるのかもしれない。 ハイスミスが同性愛者でもあったということを何となく思い出させる。 絵画・木工を嗜み、ネコを愛したハイスミスだが、もう1つ、やや変わった趣味として、かたつむりの観察がある。1作目「かたつむり観察者(The Snail-Watcher)」、5作目「クレイヴァリング教授の新発見(The Quest for Blank Claveringi)」などにその観察眼が活かされている。いずれも十分にグロテスクに描かれ、さて、ハイスミスは本当にかたつむりを「愛好」していたのか疑念も生じるが、丹念な観察こそ「愛好」だと言われれば、それはその通りなのかもしれない。 かたつむりではないが、「すっぽん(The Terrapin)」もぬめりとした手触りを感じさせる作品。思春期の少年ヴィクターと、息子への関心がどこか薄い母、そしてすっぽんの物語だ。 この作品は、映画「PERFECT DAYS」(2023)の中で触れられている。主人公の姪、ニコが、自分もヴィクターのようになるのではないかと不安を覚えるのだ。この物語を読んで不安になる子であればおそらくヴィクターのようにはならないだろう。けれど、不安を覚える気持ちもよくわかる。そんな作品。
10投稿日: 2024.04.15
powered by ブクログ職場に置いてあったキネマ旬報をペラペラめくっていると、ヴェンダース新作「PERFECT DAYS」の記事があった。その記事の中にこの本──とくに「かたつむり観察者」についての記述があり(どうやら映画の中で役所広司がこの本を手にするらしい)、それで興味を惹かれて読んでみた。記事の終わりに「読むのは勧めない」と書いてあったのも良かった。ヴェンダースがハイスミスの小説を自作の映画に登場させるのは合点がいく。「アメリカの友人」はハイスミスが原作(「贋作」「アメリカの友人」)だから(原作はアラン・ドロンで有名な「太陽がいっぱい」の続編らしいが関係ない)。 図書館で借りて本を開くと、十一の物語の初っ端が「かたつむり観察者」で、おもしろく読んだもののあまりの生理的不快感でよっぽどもう閉じようかと思った。もしおもしろかったら買おうかなーと思っていたけど、どんなに面白くてもこんなキモすぎる話が載っている本買うのはよそうと決意して、次の「恋盗人」を読むと、うってかわって恋物語であったが、「これは俺じゃないかよ!」という胸の張り裂ける身体的な痛み──それはたとえるなら銀杏BOYZ「ナイトライダー」の歌詞からロマンチックさを剥ぎ取ったときの、自らに襲いかかる陰湿さの自覚……にまたも嘔気をおぼえ、「面白いけど買わない!」の気を強くした。この私の決意は、「クレイヴァリング教授の新発見」でいよいよ確固たるものになる。とかくキモチワリーー!!!!!!!!のである。未読の人のために内容は伏せるが、「またかよ!!!!!!」なのである。 私は心配になる。ハイスミス女史はいったいどういうつもり、というか、どういう気持ちでこんな文章を書いてるのか?オエーーっとか自分でも思うのだろうか?それとも……。 しかし、「ヒロイン」にぶちあたって、私は思いなおす。「この短編集を買わなければいけない。買って、手元に置かなければならない」。 なぜか?あまりにも面白すぎる。あまりにも!面白すぎる!エクスクラメーションマークで文節を区切るほど面白い。だけどわかって欲しいのは、私はこの短編集を面白がりたくなんかなかったということ。先にも書いたけど「どんなに面白くても買いたくない」みたいな、イヤヨイヤヨの気持ちで読んでいたということ。大嫌いになりたいのに、そんな気持ちは既視感があった。何かに似ていた。 あれだ!!「死ぬほど大嫌いな上司と出張先でまさかの相部屋に」シリーズである。何のシリーズなのかは書かないが、そういうシリーズというか、ジャンルがあって、べつだん好みでもないが、とにかくあの時の〈私〉の表情がおそらくはいま現在の私のそれだ。 実際、あらゆる表現の中から推敲した上で言葉をえらばずに書くか、私はこの本を読んでいるときになんというか小説におかされているような気分だった。私は人間の暗部、残忍さ、そして狂気を描く小説を避けるようにさいきんは読書をしていた。そういうものを否定したいのではなくて、今の私には、もっと明るくて、のんびりしていて、読む中で励まされる気分になることが必要であり、また志向していたからだ。暗くてキモいのなんか読みたかないよ、とそっぽを向く私にハイスミスの小説群は襲いかかってきた。私は恍惚としながら怯えていて、怯えている。こういう作品が好きだった、その自認から抗えなくなっている自分に。 私はこの小説を手元に置くだろう。誰かに薦めることはよそうと思っている。それでも、私からもしもこの小説を勧められても、読まないで欲しい。私にまだ理性の残滓が残るうちの、これは忠告である。マジ面白いので読んだほうがいいよ。よかったら貸すよ。
5投稿日: 2023.12.19
powered by ブクログ図書館の新着コーナーにあったので読んでみました。文庫本の出版自体は2005年です。映画「太陽がいっぱい」の原作者なんですね。狂気とか不可思議な世界は普段の生活の延長線上であり、その正気と狂気の境界のちょっと狂気側を描写したような作品群。いわゆる解決とかオチはなくモヤモヤとした余韻を味わえました。読みやすい一冊でした。
1投稿日: 2020.08.22
powered by ブクログハイスミスが1970年に出した短篇集。処女長篇『見知らぬ乗客』以前に書かれたものも含む。グレアム・グリーンの序文付き。 ハイスミスって短篇もこんなに上手いのかと驚く(長篇もまだ『キャロル』しか読んでないけど)。ものすごく型がきっちりしているので展開は読めるのだが、スリリングな語り口に引き込まれ、不安を掻き立てられてしまう。津原泰水が自作『11』の解題で『ナボコフの1ダース』と一緒にこの『11の物語』を引き合いに出していたけれど、たしかにナボコフを連想させる技巧派だなぁ。 しかし何が面白いって11作収録のうち2つもヒトがかたつむりに殺される話が入ってるとこ(笑)。普通サイズのかたつむりが大量発生して圧死させられる「かたつむり観察者」と、5m近い巨大かたつむりに噛み殺される「クレイヴァリング教授の新発見」でバリエーションがついているのもこだわりがすごい。読み終わったあと思わず〈かたつむり 歯〉で画像検索したら純粋に恐怖です。 最後に収録された「からっぽの巣箱」も意思疎通がとれない生き物と一緒に暮らす不気味さを書いている。ここにでてくる「ユーマ」(UMA?)というイタチのような動物は高山羽根子『居た場所』の「タッタ」を思い出させる。「すっぽん」では動物側にシンクロした子どもが親を殺すし、ハイスミスはきっとヒトの生理で理解できないタイプの動物にオブセッションがあるのだろう。 個々の作品だけではなく、短篇集としての並びもよい。同居している老女たちがお互いに嫌がらせして仲直りして、やっぱり嫌がらせを繰り返す「愛の叫び」から、妄想の“夫”の精神状態を医師に相談する「アフトン夫人の優雅な生活」を経て「ヒロイン」に達する流れは、それぞれ完結しているのに三つでひとつの作品のようでもある。中でも最初期に書かれたらしい「ヒロイン」が、集中でも一番すごいと思った。お給料燃やそ、から家燃やそ、に移る歪んだ論理とスピード、そこに至るまでの心理描写の積み重ね。犯罪者視点の物語ってその心理を“わかる”と思うからこそ怖いので、ハイスミスの“わからせる”力はこちらの善悪観に揺さぶりをかけてくる。 「ヒロイン」のあとが「もうひとつの橋」なのも家族の喪失というモチーフが響き合っているし、これと「野蛮人たち」との2篇は「愛の叫び」「アフトン夫人」「ヒロイン」と対をなすように男性の心理を描いたもの。そして最後は夫婦が共通の不安を抱えて暮らす物語「からっぽの巣箱」にて、繰り返される運命の予兆を感じたイーディスの声にならない悲鳴で幕を閉じる。作品だけでなく作品“集”の構成も完璧だ、ハイスミス。
1投稿日: 2020.07.08
powered by ブクログ短編集です。落ちがなかったり、あっても消化不良という感じ。 落ちは無いんかいっ! まぁあくまでも好みですよ、好み。 結末は余韻が残る感じの小説が好き、って言う人結構いるみたいなんですけど、私はちょっと苦手。村上春樹とか吉本ばななとかも好みじゃない。(何様?) でも作品が書かれた時代(一番面白かった「ヒロイン」が書かれたのは1945年)やミステリーの一時代を築いた功績を考慮して、「太陽がいっぱい」は今後読んでみたい。 映画とは結末が違うらしいし。
0投稿日: 2020.05.07
powered by ブクログ別のアンソロジーで「すっぽん」を読んでから、ハイスミスの短編が読みたくて探していた一冊。 後味が悪いというのとはちょっと違う、自分が今立っている地面がゆらゆらするような不安感というか、異常と正常を隔てる薄い膜が双方向にたわんで、破れそうでギリギリ保ってるようなヒリヒリ感というか。読んでて疲れる一冊。 前書きと解説を読んで、何故か藤村操を思い出した。 "万有の真相は唯一言にしてつくす、曰く、不可解"
0投稿日: 2020.03.08
powered by ブクログ映画の原作者で有名だが、この短編集でも、残酷で、常に自分の思いに縛られ、次第に深い心の底の暗黒に向かっていく。最後にはその中に落ちて命まで落とす。昔みた映画の雰囲気も感じられる、そんな話が集めてある。 映画「太陽がいっぱい」はアラン・ドロンのキャラクターで、悲劇性が増した。だが後で公開された「リプリー」同じ原作でもこちらはトム・リプリーという主人公の心理が心に残った。ジャケットを借りて、富豪の息子に間違えられてから運命が狂いだす、マット・デイモンの細かな表情も所々覚えている。その時は未だパトリシア・ハイスミスは存命していて、この本を買って読もうとしたのを覚えている。 でもそのままになっていた。 かたつむり観察者 かたつむりの観察が趣味だったが、最初は数匹飼っていて観察していたかたつむりが増える、周りが止めさせようとしたが嬉々として楽しんでいる。仕事が忙しくて書斎を覗かなかった一週間の間に増えたかたつむりが。 恋盗人 恋人からの手紙を待ちかねたドンは色々な理由をつけて自分を慰めていた。隣りのボックスに入った手紙が三通残ったままになっていた。気になって盗み見たら、返事を待ち焦がれる文面だたった。彼はこっそり何度も返事を書いて、ついに会うことになった。 すっぽん 母がすっぽん料理を作るという。すっぽんに興味を引かれ、友達に見せる約束をした。だが母は来客用の料理にするといって包丁でばっさりと解体して煮立った鍋に放り込んだ。 モビールに艦隊が入港したとき 売春婦だったが昔はよかった、モビールで見初められて結婚したが夫は暴力的で、殺して逃げ出したはずが。 クレイヴァリング教授の新発見 生物学者の教授は、新発見をした生物に自分の名前をつけたかった。おおかたつむりがいるという島に一人で上陸した、探した末に見上げるようなかたつむりを見つけた。でも来たときの船が流されて。 愛の叫び 二人で部屋を借りて暮らしていた老女はお互いに嫌気がさしていた。相手の嫌がることをして部屋を別に借りたが、二人とも眠れなくなった。 アフトン夫人の優雅な生活 精神科医に定期的にやって来るアフトン夫人は、夫のことについて様々な相談をする。医師は直接本人と話したいと思って訪問するが。 ヒロイン メイドの仕事がとても気に入った、家も子供たちも、優しい母親も。どうしたらもっともっと気に入られれるのだろう。給料も貰いすぎぐらいだ。恩返しをしないといけない。もし災害が起きて献身的の助けたということになればもっと認められるだろう。 もうひとつの橋 妻と子を事故で失い、会社経営も興味がなくなって、旅に出た。泊まったホテルのそばで少年と知り合った。裕福そうな人たちばかりの中でハンドバッグがなくなって。 野蛮人たち 4階から見下ろすと、大声で少年たちが野球をしていた。声は近所迷惑で住民は困っていた。彼は窓から石を落とした、誰か怪我したのか、死んだりはしてないか。不安だったが、しばらくしてまた大声が聞こえだした、そしてあちらこちらの窓に石が投げられ始めた。 からっぽの巣箱 平穏な日々を過ごしていたが、空っぽだった巣箱でチラリと黒い目と影を見た。夫に言って調べたが巣箱は空っぽだった。ところが黒いすばしっこい影が家の中を走るようになった。夫もそれを見た。 どの作品も、日常の何気ない中から現れた恐怖、悲しみ、やむない衝動が不幸につながっていく。平凡な日常が壊されるかも知れないという恐れや、愛情を求める余りに犯した罪や、生活の中から芽を吹いてくる恐ろしい兆しを書いた、暗い短編集だった。 始まりと結末だけでは語れない、しだい次第に緊張感が張り詰めていく、導かれていく細部がとても読み応えが有る 「かたつむり」は虫好きの息子が飼ったことがある。書いてあるように小さい丸い卵をどんどん産んでそれが孵化する、小さなかたつむりの群れに恐れをなして山に捨てた。 肌があわ立つような作品だった。 「ヒロイン」も面白い。両親に恵まれなかった少女が雇い主に気に入られようとして気持ちがエスカレートしていく、若い時の作品でデビュー作だそうだ。 忘れることを許されぬ11篇 その通りだった。
0投稿日: 2019.12.29
powered by ブクログパトリシア・ハイスミスの短編集。序文はグレアム・グリーン。 どれも嫌〜な感じで面白かった。幸せな結末を迎えることはない、というのが如何にもハイスミスらしいというか。 カタツムリを題材にした2編『かたつむり観察者』『クレイヴァリング教授の新発見』は、『主人公の執着心が破滅を招く』という展開も共通している。どちらもぬめぬめ感が伝わってきてなかなか不気味w 執着心といえば、デビュー作『ヒロイン』の主人公もかなりのもの。 そういえば『すっぽん』は既読だった。何処で読んだんだっけな……。
0投稿日: 2016.05.10
powered by ブクログ「太陽がいっぱい(リプリー)」の作者でもあるハイスミスの短編集。 デビュー作「ヒロイン」を含む11編が収録。 「かたつむり観察者」では、淡水に棲むというカタツムリ(料理用)の生態に興味を持った主人公が書斎をカタツムリに占領され。。。 どんどん繁殖していく様子が丹念に描かれて恐怖感をあおる。 「クレイヴァリング教授の新発見」では、南海の孤島に棲むという巨大カタツムリを探しに行った教授が味わう恐怖を描いている。実際何メートルもあるカタツムリが襲ってきたらいくら動きがのろくても怖いだろうな。
0投稿日: 2015.10.22
powered by ブクログ以前「見知らぬ乗客」だったかな?デビュー作、めずらしく投げ出してしまったが、数年ぶりに手に取ってみて正解でした。きっと自分が成長したのだろう(と思いたい)。 かたつむりに魅せられた男の奇妙な話とか(なぜかカタツムリの話が二編も入っている。ハイスミスはカタツムリに何か思い入れがあるのだろうか)、日常の延長線上に待ち構えていそうな、夫婦の最悪な結末が描かれている「モビールに艦隊が入港したとき」とか、私が好きな主題のひとつである”いかれた人”たちが描かれている「ヒロイン」「アフトン夫人の優雅な生活」とか。不気味、とは違うんだけど、どこか一本ずれているような世界に酔い続けていられる短編集でした。
1投稿日: 2014.06.09
powered by ブクログ20131008読了。 タイトル通り11の短編集。 この作者の本は初めて読んだが、第1話のカタツムリで度肝を抜かれた。グロい。グロすぎる。でも、映像にしやすそうな話。 どの話も、あっけらかんとひどいストーリーが展開されていく。読み終わった直後に、うわっっ!と衝撃を受けることしばし。
0投稿日: 2013.10.11
powered by ブクログ全部読み終わってみると星ごこ付けずにはおれんかった…。やはりかたつむりです。かたつ無理。 単純に端的に最大の こわい・きもちわるい かたつ無理が表現されているとおもいます。たまらん。 全体的には救いようがない感じ。もやもやぞわぞわしながら、悪いことがおきそう、だめなオチがきそう、と思いながら読んで、あ、だめなパターンやな、となります。「すっぽん」「からっぽの巣箱」とデビュー作やという「ヒロイン」がよかった。ぞわぞわしながら読みました。あっ、いちばん好きなのはかたつ無理の2作ですっ!
0投稿日: 2012.10.13
powered by ブクログ2012.01.27 読了 『クリスマス12のミステリー』を読んで、海外の短編小説の波が押し寄せて来たので、続いての本書。 パトリシア・ハイスミスの短編小説集である。 いちばん最初の「かたつむり観察者」。 不気味さ、気持ち悪さが異常。読んでいてこんなに吐きたくなったのは初めてかもしれない。もちろん褒めている。こんな描写ができるというだけで尊敬。 以下、読了後のコメント。 いや、すごい。 なんだろう、この、ボクシングでいうところのコーナーに追い詰められた上でボコボコにされる恐怖感。 恐怖というか恐れなんだろうと思うけれども、それを直接的に描写しているわけではない。読む側の想像力だ。おそらく、想像力が豊かであればあるほど彼女の世界の見え方が変わるんだと思う。そしてたぶん好きか嫌いかはっきり分かれるんじゃないかな、この作品群は。 長編もぜひ読んでみたい。
0投稿日: 2012.01.21
powered by ブクログ何といってもかたつむり・・・。食欲をなくすにはぴったりの作品をはじめとした短編集。文学的なものを読みたいけど、長編は、というときにいいかも。 心の中の不安をゆっくりとかき混ぜられるられるような。 狂気のふちを爪先立ちで歩くような。その境目は決して高くない。いつ向こう側に渡っていても、気づかないくらいの危うさ。
0投稿日: 2011.09.19
powered by ブクログシュールかつ不条理。で、不気味。でも大きなどんでん返しがあるわけでもない。味わう読書が苦手な私には合わないか。余生に読む本?
0投稿日: 2011.06.15
powered by ブクログ「読者を選ぶ本」だと解説にある。確かに狂ってる。大小のカタツムリによる襲撃のおぞましさ。シャリシャリと噛み砕く音が聴こえてくる。
0投稿日: 2010.08.16
powered by ブクログ「太陽がいっぱい」のハイスミスの短編集。 *かたつむり観察者 *恋盗人 *すっぽん *モビール艦隊が入隊したとき *クレイヴァリング教授の新発見 *愛の叫び *アフトン夫人の優雅な生活 *ヒロイン *もうひとつの橋 *野蛮人たち *からっぽの巣箱 表紙のカタツムリがエグいです。でもって、中にも…。 カタツムリとか、ナメクジとか、そういうの苦手な人は、回れ右しましょうww 小学生の頃、アラン・ドロンのファンでした。はは。 でも、ベストが「ボルサリーノ」とか「ブーメランのように」であって、「太陽がいっぱい」はむしろ嫌いだった。なんか、若すぎでバカっぽい<をい ともあれ、そういう経緯があったので、漠然と「太陽がいっぱい」の話も、パトリシア・ハイスミスも名前も知ってた。 一言でいえば、よくも悪くも、巨匠です。 パトシリア・カーロンを読んだ時、名前が同じせいもあるのだろうが、ハイスミスを思った。で、すごいいいけど、やっぱりハイスミスの前にはカーロンは小粒だと思った。 あと、比較する作家ってなかったなぁ…。 なんか、まとまりがなくなってきてますがww 巨匠は、巨匠です。読んで損はない。つか、読まなきゃ、今、この時代に生まれたことの恩恵をみすみす逃しているようなもんっす。 それぐらいの巨匠です。 「ヒロイン」はデビュー作なんだそうで…。 すごい、すごすぎる。 何気ない一文に主人公の異質さをとりこみ、驚愕のラストへともっていく手法。まるで手の込んだタペストリーのようで、手触りを愛しいんで、ふと後ろに下がったら、描いているのはとんでもない絵だった、そんな感じ。 ホント、すごかったっす。
0投稿日: 2010.05.09
powered by ブクログもっと強烈なものを期待したんだけど、どうしても古さを感じてしまう。読み込みが足りないのか、著者の意図が分からないものもあったし。 ただ、いくつかの短編では、日本のジメッとした陰湿な恐怖とは違う、陽光の中で感じる恐怖のようなものが感じられたので、読んでみる価値はある。
0投稿日: 2010.04.30
powered by ブクログ8月7日読了。「このミステリーがすごい!」1991年度海外編の第9位の作品。「短編集とは、暗がりで受ける見知らぬ人からのキスのようなもの」とはスティーヴン・キングの弁だが、なるほどこの小説の全身の産毛をさらりと撫でられるような感覚はまさにそれだ。作者自身かたつむりの研究家でもあるようで、かたつむりに関する2編の短編はいずれもぬらぬらとしていて、夢の中を走るようなスロー感があり面白い。(エスカルゴなんて絶対に食べたくなくなるが・・・)コミカルな話・奇妙な話も多いが、全体的に突き放したような冷え冷えするような、酷薄なムードも感じられる。
1投稿日: 2009.08.07
powered by ブクログ初ハイスミス。何故か謎解きミステリを期待して読んだが全然違った。ホラーだった。蝸牛的読書速度でどうにか読み終わった。短編集でよかった。絶叫系の恐怖ではないが、背後から冷風を当てられるような怖さがある(特に「かたつむり観察者」)。人の思いが思い込み、狂気に変わる様を扱った作品が印象的だった(「ヒロイン」「すっぽん」「モビールに艦隊が入港したとき」)。登場人物が近所の隣人かもしれないし、身の回りにいそうな感じがした(「愛の叫び」)
0投稿日: 2008.11.29
powered by ブクログ気持ち悪いです。 かたつむり恐怖症になることうけあいです。 ありえない展開にどきどきします。 短編集なので、読みやすくておすすめです。
0投稿日: 2006.07.14
powered by ブクログ家に閉じ込めて外に出してくれないばかりか、暴力を振るう夫にクロロフォルムを大量に嗅がせて、家から脱出する。昔家族と一緒に行ったことのある楽しい思い出の土地で一泊する。そこで、学校時代の同じクラスの男の子と出会い、楽しい会話がはずむ。しかしその男の子は警官で、捕まるのかと思えばその逆だったが、でも絶望の中に突き落とされる。 たまには読んだことのない作家の本でも読んでみようと、短編集をみつけたので買ってよんでみましたが、そうそういつも面白い作品に出会うわけではなかったようです。特に、ナメクジの話が2話もあったりして、ちょっと私には会わなかったようです。でも、最初に紹介した話はよくできていると思いました。 2006.06.23読了
0投稿日: 2006.06.28
