
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
おもしろかった。主人公は、インド独立の瞬間に生まれた。そうであるがゆえに、そのほかの真夜中の子供たちとともに、ポストコロニアリズム、そして愛と平和の独立国家インドを担うべきだった。しかし、真夜中の子供たちとの連帯もままならず、民主主義や多様性尊重に対する強い意志をもたないまま、むしろ剥き出しの野蛮、周辺国へのコロニアリズムに加担していく。主人公がインド国家であり、インド国家が主人公である。そういう苦い歴史と破綻した教養小説を描いている。しかし、わが子の世代にはその矛盾を乗り越えていくことが期待されている。
0投稿日: 2026.05.01
powered by ブクログ「『百年の孤独』以来の衝撃」というフレーズにひかれ購入し、それから長い積読期間を経て本日読了。読んで良かったと思える。 1947年8月15日インド独立の日の真夜中に生まれた主人公、サリームが語る自身の一代記。 生まれながらに超能力を備えた「真夜中の子供たち」の存在を始め、現実に空想的な要素が入り混じりつつも破綻しない魔術的リアリズムの手法や、栄華を求めて宿命的な破滅へと流されて行くサリームを含む一族の、時に滑稽にすら見えるその姿に冒頭の『百年の孤独』の印象が重なる。 読み進める中で、イギリスの植民地という境遇から独立したインドがその後たどる道々の光景を垣間見ることができる。それは多様な者の血と各地の泥や埃、硝煙の臭いで汚れている。特に1965年以降のパキスタンとインドとの紛争から、インディラ・ガンディー首相が非常事態宣言を発令する1971年頃の描写(下巻)については、最近の世界情勢や先日の韓国の一件もあり、自身の未来に不安を覚えさせられる。不変。 読了したものの、急速に現実と空想の垣根が崩れ去るように難解な描写に埋もれて行く結末について、まだ自分なりの収まりどころを見つけられていない。
0投稿日: 2025.02.14
powered by ブクログ名作とかなんとか言われるやつ、これを読んで同じように書いたら?どうなるんだろうか、国語の先生に突っ返されんか、って思うわけだが、まぁ芸術の世界は難しいのですよ。とりあえず文字数は多いが。 いや読んでて面白いかどうかはさておき、いやそんなに楽しいってほどでもないけど、とりあえずインドの謎な雰囲気は伝わってくる。混沌じゃ。 そして主人公の悲惨っぷりというか、描写どおりにAIに描かせたら大変なことになっているのですが。それでも逞しく行きていける姿勢は見習うべき。
0投稿日: 2024.09.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
インドの独立後の話。 小説でサリームとシヴァの取り替え事件から始まるけど、ほとんどサリームの1人がたり。 おじいさんの代からのはなしではぎまるからなかなか登場しないなとおもいながら4ぶんの一 (千ページくらいある)すぎる。 インドの歴史と、照らし合わせたりは難しいからそのへんはスルーしてよむ。 首相から真夜中にうまれたことを記念して手紙がとどく。 血の繋がってない妹を愛している。肉体的にグロテスクに描かれる。大きくて歪な鼻。 糞尿や痰壺などが主役。 英語で書かれたらしいけど、チャツネやいろいろ。 ピクルス工場のオーナーが乳母だったとはね。 運命ってあるのかなと思わせる。
1投稿日: 2023.07.16
powered by ブクログ1947年、イギリスから独立したインドで誕生した作家であるサルマン・ラシュディが作家として注目を集めた長編小説。ラシュディといえば、イスラム教から名指しで命を狙われることになった『悪魔の詩』(特に日本においては邦訳を担った筑波大学助教授がキャンパス内で暗殺された点で有名でもある)が有名であるが、本作『真夜中の子供たち』は著者の出世作として圧倒的な物語世界が描かれている。 著者の作品を読むのはこれが初めてであったが、ガルシア・マルケスなどに代表されるマジック・リアリズムのインド版とでも言おうか、濃厚な物語である。1947年8月15日の深夜0時、独立を果たす瞬間のインドで生まれた500人もの”真夜中の子供たち”は、それぞれが特異な能力を持ってこの世に生を受ける。主人公のサリームもその代表格であり、彼がその特異な能力と共に苦労しながら成長する様が描かれる。 驚かされるのは、同じく0歳で誕生したインドという国家と、サリームという一人の人間を半ばDNAの二重螺旋のように相互の関係性を描き、双方にとっての希望ある未来を描くというこの途方もないコンセプト(誰が国家と人間を相似形にあるものとして描くだろうか?)と、それを取り巻く圧倒的な物語の面白さである。
3投稿日: 2020.12.12
powered by ブクログ語り手たる主人公にまつわる秘密が周囲にも明らかになり、特に両親との関係が変化し、一時離れた生活を送ることになる。そうした変化の中、〈真夜中の子供たち会議〉も統制が取れなくなり、緩やかに崩壊していく。 親族にも死亡や家出などの変化があったが、父を残し、出世した親族のいるパキスタンに移住する。そして国境を画するパキスタンでは、主人公の真夜中の子供たちへの想波は届かなくなってしまう。 この辺りから、主人公の人生は、はインド、パキスタンの現代史に重なっていく。パキスタンにおける軍事クーデターとの接点等を経て、4年後にはボンベイに戻る。そこで持病のような鼻詰まりの手術を受けたことで、テレパシー能力を失ってしまう。1962年の中印戦争の敗北を経て、1963年2月、今度は家族皆でカラチに移住することになり、またパキスタンに戻る。 そして、カシミールを巡る紛争は、1965年の印パ戦争となり、インド軍の空襲により、祖母、両親、伯母、叔母が死んでしまい、主人公もバイクの走行中、爆発を受けてしまう。(ここまでが第二巻) 記憶を失った主人公は、超人的な嗅覚が活用できる軍隊に入っていた。1971年3月、バングラデシュ独立に絡む第三次印パ戦争の勃発に伴い、主人公の部隊はバングラデシュに侵攻する(脇筋だが、主人公の部隊脱走に巻き込まれた3人の兵士は、悲惨な最期を迎えることになり、とても可哀想)。 その地で、真夜中の子供たちの一人である「魔女」に出会い、彼女の助けを借りてインドに戻る。 〈未亡人〉インディラ・ガンディーによる〈真夜中の子供たち〉の処置があり、その後、主人公は「息子」を抱え、故郷に戻り、そしてラストを迎える。(第三巻) 語り手の前半生は、その出生時の特権性から、母国インドの歴史とともにあるべきものと主人公には自己認識されており、側から見たら誇大妄想狂とも取られかねないものであるが、波乱に富んだエピソードが次から次へと続き、最後まで飽きさせない。また、戦争やガンジー政権のような同時代史との関わりが効果的に活かされて物語構造に厚みを出している。 登場人物に感情移入したいとか、技巧を凝らした作り物的な小説は苦手といった人を別にして、小説の醍醐味をたっぷり味わえる作品だと思う。
1投稿日: 2020.06.25
