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海賊島の殺人
海賊島の殺人
沢村浩輔/東京創元社
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総合評価

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    このレビューはネタバレを含みます。

    海洋冒険小説と推理小説の要素を合わせたエンタメ小説。 海賊が主人公となるわけだが、多島斗志之さんの海賊モア船長シリーズのように、海賊が商船を襲ったりというようなシーンはほとんどない。 ただ、キャラクター、雰囲気、そしてロマンという点では申し分ない。  そして推理小説要素の方はどうかというと、帯やタイトルからは"本格"という雰囲気が漂っているが、本格推理ではない。 連続殺人の犯人はアッサリと特定され、主となるのは「謀略」。 誘拐され、幻影島の宝を処分することがバロウズの計略だった、というのはとても驚いた。 また、首を持ち帰るためにジーナの酒甕を盗んだというのもしっかり納得。 ...が、こういう風に書くとどうも中途半端などっちつかずな作品に見えてしまう。 しかし実際はそうではなく、解説の宇多川さんの 「大胆不敵な構成に見えて、じつはふたつのジャンルの魅力をもっとも引き出すために考え抜かれ、繊細極まりないバランスで創造された物語」 という評が見事に当てはまっている。

    2
    投稿日: 2021.09.09
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    表紙が気持ち悪かったり、登場人物がカタカナだったので期待しないで読み進めましたが、だんだんと物語に引き込まれていきました。 魅力的なキャラクターが多く、冒険とミステリのバランスも良かったと思います。 ただ表紙が残念。

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    投稿日: 2020.01.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ○ 総合評価 ★★☆☆☆  前半は海賊の黄金時代を描く冒険小説、後半(全386ページ中199ページ)から本格ミステリへ切り替わる異色作。結果的には、海賊冒険小説と本格ミステリという組み合わせとなっている。  もっとも読む前は、そのような構成になっているとは知らず、「夜の床屋」という異色の連作短編集の作家である沢村浩輔の作品として、どのような仕掛けがあるのかを愉しみに読み始めた。  物語は、海賊討伐の英雄レイモンド・バロウズ卿が、海賊連合《南十字星》の首領アルバート・リスターに誘拐されるところから始まる。プロローグでは、リスターのほか、チャールズ・グレンヴィル、ジーナ・ウェンライト、バラクーダ、リック・カーティスといった海賊船長たちが紹介され、舞台が整えられる。  主人公は海軍大尉アラン・クリフォード。伝説の海賊ハンク・ウイリアムズの息子「バート・ウイリアムズ」として海賊に潜入する。元役者ダニエル・ソープの協力で見事に伝説の海賊の息子になりすまし、ハンクの財宝が眠る幻影島を目指す展開は、まさに海賊冒険小説そのもの。ここまでは非常に面白く、「このまま冒険小説として進んでも十分楽しめる」と感じた。  そして幻影島で財宝を発見し、《南十字星》に迎え入れられた直後、リスターが殺害される。ここで一気に本格ミステリへ切り替わる。「ここからどんな謎が待っているのか。」と期待したのだが、この期待ほどには盛り上がらなかった。  リスター、グレンヴィル、バラクーダ、カーティスと船長たちが次々に殺害され、バートとソープが捜査を進める。しかし、事件そのものに魅力的な謎やトリックが少なく、推理も伏線の確認が中心。真相は、実行犯がキャニング、黒幕がバロウズ卿というものだったが、どちらも途中から十分予想できる内容で、大きなサプライズはなかった。  黒幕であるバロウズは、自ら誘拐を演出し、キャニングを利用して幻影島の財宝を処分しようとしていた。最後はキャニングとの決闘となり、エピローグでは海賊島に残る財宝を巡って、バロウズとバートたちの新たな対決が示唆される。  文章は読みやすく、登場人物も比較的整理されていて混乱しない。サービス精神も過剰ではなく、最後まで気持ちよく読める作品だった。それだけに惜しい。  印象に残ったのは、推理ではなく海賊たちの冒険。作者は本格ミステリとして書いたのだと思うが、ミステリとしては、残念ながら謎もトリックも弱い。一方で、冒険小説として読むには終盤が推理寄りになり過ぎてしまう。どちらにも振り切れず、中途半端な印象が残った。  いっそ冒険小説として最後まで突き抜けるか、あるいは本格ミステリとしてもう一段謎を練り込んでいれば、かなり好きな作品になっていたと思う。素材は魅力的だっただけに、惜しさの残る一冊だった。評価は★2

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    投稿日: 2019.02.11