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powered by ブクログ【概略】 運動機能が年をおうごとに落ちていく祖父が毎日「早う死にたい」という言葉に対し、孫で無職・国家資格挑戦中の健斗はイラつき、反面教師とする。健斗の母親が祖父に試みている引き算の介護に対し、健斗は足し算の介護を試み、「早う死にたい」という言葉を額面通り叶えようとする。介護というキーワードを下敷きに各世代の思惑が交錯する。 2021年07月07日 読了 【書評】 芥川賞受賞作品行脚、3冊目。 タイトルの「スクラップアンドビルド」が、色々な局面に隠喩として横たわる。健斗の筋トレによる筋肉の破壊からの成長もそうだし、彼女との関係もそうだし、祖父の企みもそうだし、母親のトライもそうだし。 主人公(的な存在かな。健斗視点ですすむから)の、なんともいえない「若さによる自己中心的感覚」が歯切れが絶妙な自分勝手色を出してる。衰えていく祖父(実際はそのフリの可能性もあるのだけど)を見て「あぁはなりたくない」と自身の身体を鍛えるところまではいいけれど、それが驕りになっていくところなんてなんともいえない(笑)三流大学卒で、無職で、行政書士試験挑戦中で、元々がコンプレックスの塊状態だから、筋肉が太くなると同時に傲慢さも太くなっていくという。本来は、強者としての優しさも育まないといけないのに、運動したがらない彼女に対しての上から目線発言や、祖父への強いあたり、はては「祖父の願い(死にたいということ)を叶えてやろう」とするあたりは、筋肉はビルドしたのに精神がスクラップしちゃってるというなんともいえない若さが。 国民年金の使われ方に対する「ザ・若者」的不満も、ステレオタイプで面白い。今日、まさに今、身体に欠損が発生して障害者年金受給者になった時に年金滞納してたら・・・とか、そういったこと、気づかないのも若さなんだよなぁ。 逆に祖父の「老い」は、本当に「老い」だったのだろうか?一か所、「本当はおじいちゃん、元気なんじゃないの?」なんてところがあったのだけど、そこは少し曖昧になってる。これはきっと読者に任せよう、余白を読者に埋めてもらおうってところかなー?自分としては、おじいちゃんは元気だったと思いたい。孫の驕りを矯正したいと思い、最期の一芝居をうったと思いたい。おじいちゃんなりのスクラップアンドビルド。 介護における「足し算・引き算」という考え方は、ゾッとする。優しさで色々と「やってあげるね」という好意(行為)が、運動機能をどんどん奪い、生物としてのチカラを失くしていく。辛くても、本人にやらせる介護(引き算)を・・・と、頭ではわかっていても、当事者の立場になると、それも辛い。 「(母の)おばあさん、ちゃんと自分でやらないとあかんでしょう!」と、父が(母方の)祖母に対し大声で注意してたことがある。「あたり、キツいなぁ」と当時は思ったよ。父ははたして、心の中で「ごめんなさいキツくて」と思いながら、心を鬼にして叱っていたのだろうか。 自分はいつ、両親を叱る立場になるのだろうか。その時、自分が選ぶのは、足し算か、引き算か。
3投稿日: 2021.07.07
powered by ブクログ読書開始日:2021年6月28日 読書終了日:2021年7月4日 所感 読みやすかったが考察が難しい。 健斗の気持ちがわからない。 完璧な尊厳死遂行のために足し算介護を行うが、風呂場のシーンで引き算介護を行った。 目の前の死に耐えられなかったからだ。 いくら身体を鍛えようとその恐怖に耐えられなかった。 祖父の圧に気圧されそうな場面、あれは祖父の生きたいという圧だったのか。 だからミスを犯した健斗を叱責せず、感謝を述べたのか。 やはり全ては表裏一体で、死にたいと思う気持ちが強ければ強いほど生へも気持ちが強くなるのか。 昼も夜もわからない中で、この対極の気持ちで闘っていた祖父に対し、最後は理解と尊敬を示したのか。 こんな感じだろうか…自信がない。 明確な辛さや痛みのある日々のほうがまだマシだ。 慰めてもらうこと前提の弱音 弱者に手を差し伸べている満足に甘んずるばかりで、当の弱者の声など全然聞いていなかった 己の精力や持続力のなさを誤魔化そうとする リハビリはよくて、実務としての歩行はだめ 介護職はモテる男にしか長く務まらない仕事 目先の欲望に執着する人だからこそ、目先の苦痛から逃れるために死にたいと願う 老人を弱らせるのと逆をいけばすべての能力は向上し人生も前進する こうして定期的に祖父になる行為は必要だと感じた 国民年金不払いという政治的行為 専用器具のある所できか鍛えられない不自由さがチューブに繋がれているみたいで嫌なのだ 苦しみに耐え抜いた先にも死しか待っていない人たちの切なる願いを健康な人たちは理解しようとしない。 保身の豚 自分よりよわい肉体がそばにいない 昼も夜もない白い地獄の中で戦い続ける力が備わっている。先人が、それを教えてくれた。
3投稿日: 2021.07.04
powered by ブクログ祖父の介護、自立しきれていない自分と何となく自分に近くて非常に身につまされながら読んだ。 自分を盲信的に追い詰めると「自分が正しく他は間違い」という狭い世界に入ってしまう、そこから(清濁併せ呑む)社会への解放をたったひとつの電車内でやってのけるのが見事。
1投稿日: 2021.06.21
powered by ブクログ自己投影する部分が多く、読んでいて苦しかった。主人公の心情を拒絶しきれず、どんどん感情移入してしまったものの、最後は放ったらかしにされた感覚。
1投稿日: 2021.06.15
powered by ブクログテレビで作者の人となりを見て読んでみたいなと思った、私的には珍しいパターン。ところどころ飛ばし読みしてしまった
1投稿日: 2021.06.14
powered by ブクログ休職中の主人公と要介護でありながらも健康体な祖父との日常を描いた物語。 「死にたい」としょっちゅう漏らす割には生への執着や己の欲望を捨て切れない祖父と、そんな祖父に若干の嫌悪感を抱きながらも尊厳ある死を与えてやりたいと思う主人公を対比させながら展開していく。 終始薄暗い雰囲気ではあるが、ところどころに織り交ぜられるユーモアあふれる(皮肉っぽい?)文章のおかげでサクサク読むことができた。
0投稿日: 2021.06.13
powered by ブクログ高齢の「もう死にたい」とこぼす祖父と暮らしている主人公が、祖父の希望を叶えるために体を弱らせて死なせてあげようと画策する話。 と言うと暗そうだけど、前向きな主人公の思考が面白かった。えっ前向きにそっち行くんだ⁉︎
0投稿日: 2021.06.12
powered by ブクログ社会に明確な意思でもって抗っているようだが、実のところ目を逸らしていた。焦点を絞ることで向き合わなかった現実へと進んでいく。
0投稿日: 2021.06.07
powered by ブクログさくっと2時間ほどで読了 人の人生の数ヶ月間を覗き見たようなストーリー 何かが起こるわけでもなく、本当に何気ないひとつの話のなかで、生きることを考えさせられる文章 まだ身体が動く元気なうちに、全力で生を感じて意思を持ったスクラップアンドビルドを重ねていきたいなと
0投稿日: 2021.06.05
powered by ブクログ介護、尊厳死、年金、色々考えさせられた。 はじめはひどいやつに思えた主人公は実は1番祖父のことを考えてる?その考え方は間違えてるかもしれないけど、一生懸命向き合ってる。その姿にだんだん胸うたれて泣けてくる。 自分の祖母の実家暮らしや病院を思い出して、悲しくなったし、色々考えさせられた。 使わない機能は衰える、というのは心に残って、子育てにも同じことが言えるな、と思った。なんでも自分でするようにもっていくのが、子どものためだと思ったので、ちょっと過保護気味のうちの子どもだけど、何でも自分でやらせる方向に切り替えようと思った。
0投稿日: 2021.06.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
特段なにかが得られたわけではないけれど、数時間のたのしい時間を過ごさせてもらいました。 じわっとおかしみ漂う作品です。 くすくす笑いながら読みました。 テレビで見る羽田圭介の小賢しい変人キャラと主人公の健斗が重なります。 祖父との交流を通して少しずつ変化する健斗の心情。 突っ込みどころだらけの日常生活。 死ぬとこだった、には声出して笑いました。 言うこととやることが違ったり、いろいろなことに変な理由づけしたり、いいように記憶が変わっていったり。 人間って本当にそんな感じで、適当に生きてますよね。
0投稿日: 2021.06.03
powered by ブクログ鉄筋コンクリート造の団地の1階の階段のような、年中暗くてジメジメした空気を、文章から感じられるのは面白い。
0投稿日: 2021.04.13
powered by ブクログ体が弱りゆく祖父と求職中の主人公健斗の物語。 介護問題は今後の日本の大きな問題だから、無意識にピリピリした気分で読んだと思う。 親の最期、自分の最期、きょうだいの最期、など思い巡らすことが多かった。死の在り方について殺されてでも楽に死ぬのは自分はアリだなぁと思うけど、殺す側はたまったものではないだろう。 「死にたい」と言いつつ生きられるぐらいだし、むしろ生に執着しているとも取れる。 案外人間、力強いよ よく分かんないけど、生きよう!と思った。(わざわざ思うまでもなく生きとりますが…w) 駅でこの本を読んだ。 みんなバラバラの方に歩いて行くけれど、みんな死という一緒の方に進んでいるなぁと思った。その場でそのことを意識しているのは自分だけだと思うとふふっと笑えてくるのです。
1投稿日: 2021.04.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
よくわからんかった。 健斗の考え方がなんか気持ち悪くて ただの変態やんって思った。 相手を思う気持ち、敬う気持ちって なんなんやろう。 おじいちゃんは死にたいって言いながら 1番生にしがみついとるんやと思う。
1投稿日: 2021.04.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
又吉直樹の「火花」と同時に芥川賞を受賞した羽田圭介の「スクラップ・アンド・ビルド」。 (防備録) 28才の若い男性。 “三流大学”を卒業し、何年か働いたが現在は失業中。 母親と、何年か前から同居の母方祖父との3人暮らし。 祖父は介護が必要だが、寝たきりではない。 父親はいない。 母親は、祖父(自分の父親)に対してきつい言葉を浴びせる。 主人公も、本人が死にたいと言っているし、楽に死なせてあげる方法はないかなと具体的に考えたりする。 時に、祖父を邪魔者扱いにし、しかし、急に考えが変わって大切にしようと思ったりする。 祖父は、死にたい、辛いが口癖で、自分でできるようなこともやってくれと言う。母親は甘えるなと怒る。 杖をついて歩くなどしているが、たまに杖なしで素早く動く姿を目撃したりする。本当は、体は十分動くのではないかとの疑いもちらり。 主人公は、失業中だが退職金などで数十万円あり。 彼女もいて割り勘デート。 (最後、自然消滅的にふられる?) 人間の心の揺れ動きと、少子高齢社会の中での若者と老人の経済的支え合いにおける矛盾。 あまりいい会社とは思えない会社に入るため、家を離れる主人公。 そこで終わり。 主人公の友達が何度か出てくる。彼は介護の仕事をしている。介護で4年以上の職歴がある男性の人材は貴重だとのこと。そういう人たちは総じて、共働きしてくれる甲斐性のある女と一緒に生活している場合が多い、とのこと。 「介護はモテる男にしか長くつとまらない仕事なのだ」と。 そうだったのか。
0投稿日: 2021.03.17
powered by ブクログ2021/3/15 22/30 リアルな生活感を感じた。自分が老後になったらどういう思いで毎日を過ごすのかしら、と恐くも感じた。
0投稿日: 2021.03.16
powered by ブクログめちゃくちゃ、面白い。 例えが秀逸!!! 薄いのにめちゃくちゃ濃い!! まるで、エシレバターサブレを食べた時に、口の中に広がるバターの芳醇な香りの余韻の如く! 読み終わった後に物語全体を頭の中で反芻して、本作の主張するテーマが幾つかあったことに気付いて、その余韻が至福です。 概要簡単に言うと、 じいちゃんは死んだほうがよか と言い続ける痴呆の祖父と祖父の為に、殺してあげようとする無職の孫の話。 物語は常に孫視点で進んでいき、孫の心の中で思った事が、ありのままに書かれています。 孫は、祖父さんが如何に鬱陶しくて弱い存在かを語りつつどうすれば殺してあげれるのかを淡々と、考えていくのが、めちゃくちゃシュールで作家の筆致センスが光っています。 例えがとにかく秀逸。 少しだけ誇張して、わかりやすい例えが多くて思わず笑ってしまう事も多々ある。 電車とかで、急ぎ足で空いた席に座る人 居ますよね。 優先席で寝たふり?をして、老人に席を譲らない人 居ますよね。 筆者が巧く例えを書いてますので、ぜひ見てみてください。 想像できるなーーーわかるわーーーと思ってるはず。 本作の表向きのテーマは、少子高齢化の日本において、老人と若者の比較が常に描かれています。 よくある、年金、社会保険料 若者負担する問題はいいとして、身体の弱い老人と、無職のやる気のない若者 どちらが暇で、どちらが精神的に参るでしょうか。 面白い比較ですね。 後は、老人への優しさ とは何かを主人公が事あるごとに考えます。 老人に席を譲ること、歩ける老人を車椅子で楽に移動されせること これは優しさ? ・求められていない善意 ・プロの過剰な足し算介護 これは考えた事無かったので、面白い視点の問題提起でした。 介護者への優しさに見えるその介護も、おぼつかない足取りでうろつく年寄りに仕事の邪魔をされないため 転倒されて責任追求されるリスクを減らすため 介護等級をあげて、国からの支給額を増やすため なのかも?面白いです。 以下ほんの少しのネタバレです。 表向きのテーマを見つつ、終盤を迎えると、本作のテーマが別にある事がわかります。 今までは社会的弱者の祖父さんと無職の自分の比較しかしていなくて、自分という存在意義があることを正当化していたが、祖父さんから離れる事で、世間と自分の比較をする。 井の中の蛙 だった。 できる側 の人間と思っていたが、比較対象が祖父さんだけだったからで、世間と比較すると、何も大した事なくて、普通の人じゃん と気付かされて終わり。 スクラップ・アンド・ビルド とは主人公の感情、考え、心の中を表しているのかなと思いました。 読む人によって感想が色々と分かれそうな作品なので、他の方の感想もみてみたいと思います。
6投稿日: 2021.03.06
powered by ブクログ「じいちゃんなんて早う死んだらよか」。ぼやく祖父の願いをかなえようと、孫の健斗はある計画を思いつく。自らの肉体を筋トレで鍛え上げ、転職のため面接に臨む日々。人生を再構築中の青年は、祖父との共生を通して次第に変化してゆく―。瑞々しさと可笑しみ漂う筆致で、老人の狡猾さも描き切った、第153回芥川賞受賞作。
0投稿日: 2021.01.30
powered by ブクログテレ東の「バス旅」で著者の羽田氏を良く見るのに、著作には触れたコトなかったなぁと「ふと、思い至って」読了しました。 芥川賞受賞作、人生を「スクラップ・アンド・ビルド」している青年を祖父との関わりの中で描いた作品です。1ページあたりの文字が少なめなのに150ページと、ボリューム的には非常に軽め。 微妙に毒を感じる展開ながら、読後感はそう悪くないです。 ただ、明快に「ここをこうしてこうなった」という筋書きではないので、本著から何を感じれば良いんだろうなぁとちょっとモヤモヤしました。 主人公は、ふと思い至って「早う死んだらよか」と常々ぼやく祖父の「魂の叫び」を真摯に受け止めて「自発的尊厳死の手助け」を始める。祖父を観察する中で自分の若さを意識し始め、筋トレを始め、中途採用面接を受け…と変わっていく。 どうにもこの大前提となる信念がおかしいよなぁと思いながらも、とは言え結末では主人公はそれなりの新生活に辿り着いていて…、これは、何かを信じてそれに向かって動くことで、何かが良くなるかもしれない、というメッセージなのでしょうか。ダイスを転がすコトの重要性と言うか。 不安とともに生きていくのが世の常ですが、少しだけ勇気をもらえる1冊でした。
14投稿日: 2021.01.14
powered by ブクログだれもが感じたことのある肉体の退化、追いに対して強くなっていく様は自分化させやすいし、根本としてはなににでも当てはめられる状況。
1投稿日: 2021.01.10
powered by ブクログ楽に死にたいと常に言いながら、本当は労られたい老人。 その姿を見て筋トレに励む孫。 ラストはよく分からないまま終わった。
1投稿日: 2021.01.10
powered by ブクログ第153回(2015年)芥川賞受賞作品。 あらすじ 主人公の田中健斗28歳は、母親とその父に当たる祖父と3人で東京の南西部の集合住宅に住み、失業中ではあるが資格試験の勉強をしながら、就職活動もしている。 祖父には5人の子供がいて、その内の1人である主人公の母の所に今は住んでいる。祖父は88歳になり、もう死にたいなどと言いながら家族の世話になり、介護施設を利用して生きている。 娘に当たる健斗の母は祖父に冷たく接する。健斗はその介護についてある考えに到達する。老人を手厚く介護すれば弱り、死にたいという老人の思い通りになるのではないかという考えである。 広辞苑によると、スクラップ・アンド・ビルドの意味は、古くなった設備を廃棄し、新しい設備を設けること、とある。 この作品に即して考えると、祖父と主人公との関係になっていて、日頃祖父が弱音を吐きながら死にたいと言い衰えて行くのに対して、自分は筋力トレーニングニングなどで鍛えて強い自分を作り上げている。 この小説で重要な要素となっているのは、行動理念である。 老人を始め人に優しく接するという一般的な行動理念と、それに対して祖父のように死にたいという老人の望み通りにするために、優しく対応することで、つまり身体の負担を取り除き弱らせ死に近づけるという行動理念である。 どちらも共通しているのは優しくすることであるが、人に優しくすることは一般に早く希望通りに死に向かわせることではない。 もう一つ、使わない能力は衰える。医学用語に廃用性萎縮というのがあるが、使わない身体部位は弱くなり衰える。 以下、引用したくなった表現である。 「健斗は自分の今までの祖父への接し方が、相手の意思を無視した自己中心的な振る舞いに思えてくるのだった。家に生活費を入れないかわりに家庭内や親戚間で孝行孫たるポジションを獲得し、さらには弱者へ手をさしのべてやっている満足に甘んじるばかりで、当の弱者の声など全然聞いていなかった。」 「そんな究極の自発的尊厳死を追い求める老人の手助けが、素人の自分にできるだろうか。」 「後期高齢者の介護生活に焦点を絞った場合、おそらく嫁姑間より、実の親子のほうがよほど険悪な仲になるのではないか。」 「全世界老人はごまんといてこれだけの情報社会になっているというのに、老人に穏やかな尊厳死をもたらしてやるための現実的手段についての情報がない。」 「『人間、骨折して身体を動かさなくなると、身体も頭もあっという間にダメになる。筋肉も内臓も脳も神経も、すべて連動してるんだよ。」 「過剰な足し算介護で動きを奪って、ぜんぶいっぺんに弱らせることだ。使わない機能は衰えるから。要介護三を五にする介護だよ。バリアフリーからバリア有りにする最近の流行とは逆行するけど」 「柔らかくて甘いおやつという目先の欲望に執着する人だからこそ、目先の苦痛から逃れるため死にたいと願うのだ。」 「祖父が社会復帰するための訓練機会を、しらみ潰しに奪ってゆかなければならない。」 「使わない能力は衰える。」 「生きたい者にはバリアを与え厳しくし、死にたい者にはバリアをとり除き甘やかすというふうに、個別のやり方を考えるべきだろう。」 「なにより、健斗は筋力トレーニングを行ってから数時間は続く、肉体と精神に活力が漲る感覚にはまっていた。」 「使わない機能は衰える。今までがそうであったなら、その逆をゆくしかないのだ。」 「ぽっちゃりな身体を作ってしまう豚のようなメンタリティーは心底嫌い。」 「つまりここでも人真似などせず、個別の相手にあわせた自分なりのやり方を見つけなければならないのだ。」 「苦痛なき死という欲求にそうべく手をさしのべる健斗の過剰な介護は、姉たちによるなにも考えていない優しさと形としては変わらないが、行動理念が全然違う。」 「誰にも命令されないのに死ぬほど辛い鍛錬をやる自己規律、精神性の高さでは明らかに自分のほうが勝っている。」 「祖父は苦痛や恐怖のない死を求めている。孫としてはそれを助けなければならない。」
11投稿日: 2020.12.31
powered by ブクログもっと精神蝕むようなショッキングさを期待してた反面、どちらかというと単調なストーリーに、そこが読みやすさではあったのですが、肩透かしを喰った感は否めない。 ですが、スクラップ(老人の希死念慮)とビルド(若者の肉体感、将来性)のコントラストがまざまざと表現されていて、主人公の直球な思考回路もなんだか好感がもてて、おじいちゃんの弱者然の態度の苛つき加減とか、思考が揺さぶられるところは読み応えがありました。ぼくもまさにこういった介護に生活のウェイトが大きくなることだって全然可能性あるし、他人事じゃないと。 個人的にはテストステロン、急降下とか筋繊維とか何度か親近感が湧きます、良いよね筋トレ。
2投稿日: 2020.11.29
powered by ブクログ少しずつ身体の機能が衰えていく老人と、無職ではあるものの、まだまだこれから自分の能力を上げていくことができる若者の対比のお話。 表面上の優しさと中身のある優しさ。 介護生活の中で、おじいちゃんが望む形で一生を終えられるようにと「死なせる」ように導いてあげる。苦しんで死んでしまうのは阻止しようとする優しさが素敵である。 本当に心からおじいちゃんに対して優しいのは主人公なんだと思う。 面白い。
1投稿日: 2020.11.24
powered by ブクログ人の老いを、筋肉痛と超回復、ニュータウンの興亡、恋人とのすれ違い、退職と再就職と言った多層的な絡みの中で描くことで、ただ純粋に生きようとする力の滑稽なまでの力強さを強烈に感じた シニカルな描き口がとても心地よく、かつあまりにピュアで偏見にさえ満ちた主人公の見方に半ば呆れつつどうしようもなく引き込まれる危うさを覚え、自分の中にあるものの見方の危うさへの気づきに気がつけばそれが再編されていた とにかくすごい小説だ
1投稿日: 2020.11.16
powered by ブクログ体も頭もろくに動かず生きているだけの状態。 自分もしんどいし、周りもめちゃくちゃイライラしてるし...寝たきりの状態なら自分もそうなるしな。 少子高齢化でこういう人増えるし、的確に世間表している作品だなと思った。
1投稿日: 2020.11.08
powered by ブクログ如何にも芥川賞的な作品。 朝、図書館で借りてページ数も少ないのですぐ読み終えると思ったがグッと引き込まれなかったのか淡々と読み進めて思ったより時間がかかった。 でも決してつまらなかった訳ではなく高く評価されるのも納得の作品。 他の作品(読み始めてすぐやめた)は内容・表現とも結構過激でグロテスクなものだったが、この作品は現代日本が抱える問題、人間の心理を細かく描いてるのも作者の才能が垣間見える。 作者を少し見直した?作品。
1投稿日: 2020.10.22
powered by ブクログ母、息子、祖父の話。 息子の視点で描かれており、死にたいとよく呟く祖父への考え方が歪んでいると思った。 ただ、高齢化社会の現状を顕著に書いている作品でもあると思う。
1投稿日: 2020.10.20
powered by ブクログ老人と、主人公である無職の身で不安定な20代後半の孫との関係性は、若者が支えをしている老人と彼自身の人生をいかにコントロールしていくかについてと読めた。すごく小さなサークルの中の物語だけに自分(主人公)と他者(老人)との関係をメタファーにした社会性の強さが物語にあるんだろうなーとうっすら思うんだけど、僕の浅はかな読書力ではそのまま読んだだけだった。でも「現代の自立とは何か」の問いかけに作者が独自の答えを出していて面白かったですよ。
1投稿日: 2020.09.26
powered by ブクログ153回の芥川賞の作品と知って読んでみた。内容は割と簡単でさくっと読める(ページ数も150ほど)。ただ、登場人物に共感するよりかは自分とは違う考えを持った人のとる行動に自分自身を客観視させられている気分になった。内容はあまり濃いものではなかったが、老人などへの親切心が本当に相手のためになっていることなのか?と自分の常識を考えさせられる作品になった。
2投稿日: 2020.09.21
powered by ブクログ主人公の物事の少し捻くれた物事の捉え方に親近感が持て、個人的には読みやすく興味深い内容だった。しかし終わり方が釈然としないというか、突然な印象で、作中に出てきたいくつかの要素を消化できていない点が、残念だった。
1投稿日: 2020.09.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
羽田圭介さんが芥川賞を受賞した作品。 主人公は、母とクリントイーストウッドの2歳上の祖父と暮らす、行政書士試験と転職活動をしっかりしている男子。 祖父は「早く迎えば来て欲しい」と受け手からの励まし前提で口にする。 母は甘えてくる祖父(自分の父)に手を貸さず自分で自分の事をさせる考え。 デイケアや入院先では手取り足取り介助してあげる。 主人公は、祖父の早く死にたいという願望を叶えてあげようと、身の回りの事を世話してあげつつ、祖父を反面教師に筋トレで自らの肉体に鞭打つ。そのような環境にいる彼は、駅でもエレベーターを使うくらいグウタラな彼女と徐々に距離が空いていく。 「優しくしないとダメになっちゃうんだよ」と彼女に放った言葉と祖父へのケアの対称性が心にのこる。 部屋の中で蠢く何かは何を示唆していたのか。 筋トレに励む様子や論理的な思考の主人公は、羽田さんそのものとして想像された。
2投稿日: 2020.09.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
芥川賞の作品は難しい先入観があった。 この本は、読みやすかったが終わりがイマイチ。 祖父と孫の物語。 介護が必要な祖父は、早く死にたいが口癖。孫である青年は、祖父を苦しまず尊厳死させようと模索し、必要以上の補助をした(要介護3→5へ)。しかし、結果は上手くいかず青年は鍛えられた身体と精神で就職内定が決まり、家を出ていく。青年の人生が再構築されるまでを描いている。 まぁ、祖父と青年の内面的な戦いの話。
1投稿日: 2020.09.03
powered by ブクログ健斗は、自分を血縁者である祖父と重ね合わせていたように感じました。 そして自分と、老いて肉体も精神も弱くなった祖父とを比較して、自分は強いと存在価値を確かめていた気がします。 恋人の亜美に対しても、自分の価値基準から亜美を見下して安心感を得ていたような、少しずるい人だと思いました。 祖父が死を願っているから尊厳死を叶えてあげようとする様は、自分が祖父に早く死んでほしいからなんじゃないかと疑いましたが。 尊厳死につながるといいつつも介護をしっかりと行っていたり、いざ祖父が死を迎えそうになると必死に止めたりと 祖父に対する思いも確かに持っている。 血縁者といえども、綺麗事だけじゃ介護は務まらない。 被介護者との関わり方を考えさせられる話でした。
2投稿日: 2020.08.10
powered by ブクログ死んだらよか、と繰り返す祖父と、その言葉を受け取ってゆるやかに死に向かわせようとする孫の話。 個人的には好きな文体だった。 年老いて口では死ぬ死ぬと言うが本当は生きたい祖父の感情、やろうとすればできるけど、しんどいから孫や家族に何でもやらせる祖父が妙にリアルで心に残った。
1投稿日: 2020.08.01
powered by ブクログただ、年老いてなにもできないで過ごす1日はどんなものだろうと想像してゾッとした。ただベッドに横たわっているだけ。死を待つだけ。そんな退屈な日々は想像するだけで怖い。
1投稿日: 2020.07.20
powered by ブクログ他人より、身内の年長者のことを知らない&話を聞くことがためらわれる感覚が、じぶんにもあったなと思い出された。 もっと話を聞きたかった、と思うことも 利己的、自己満足なことなのかなー 「家族」の枠内にいるから、 親しい・知っていると刷り込まれているのかも。 祖父の老いや母の苛立ちの描写がリアルで、 読んでいるときはややつらかった。
1投稿日: 2020.05.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
死んだらよか・楽に死なせてやりたい、という理性からくる行動と、いざというときに垣間見える死にたくない・死んでほしくないの本能が面白かった。
5投稿日: 2020.05.24
powered by ブクログ修飾語が長くて、読みづらい文体だった。あと言葉使いが汚いところもあんまり好きじゃないなぁ。でも健斗とおじいさんの関係はうまく表されてると思う。
2投稿日: 2020.03.15
powered by ブクログ早く死にたいという祖父の願いを受け止めて、ひそかに手助けを画策する青年の、ブラックでおかしな物語。 転職先を探しながら祖父の世話をする主人公が、「使わない機能は衰える」を逆手に取る発想がおもしろい。それまでのスパルタで自立を促す介護ではなく、自立できなくなるようにあえて世話をし続ける。同時に、自分は筋トレに目覚め健康的な生活を取り戻し、ニートな生活からの脱却を図っていく。 どこまでが本心なのかわからない青年のひたむきな努力が滑稽で、さらにはじつは生きることに執着している祖父の狡い姿も見えてきて、皮肉混じりの笑いを誘う。 私の周囲でも、親の介護が話題となることも増えてきた。でもこれは、重い素材を扱いながらも、そんな現実の暗さは微塵も感じさせないユニークな作品だった。
3投稿日: 2020.03.14
powered by ブクログツイッターで読書家の方にオススメされて読んでみた。 第153回芥川賞を受賞した作品とのことで。いざ読んでみると、芥川賞にしては癖が少なくてサラリと読める。 構造はシンプル。休職中の28歳の男性<健斗>が主人公となる。彼には同居している母親と祖父がいる。この祖父と主人公の関わりが物語の主軸となる。 介護を必要としている祖父は、善人でも悪人でも無い。とてもリアルな老人として描かれているように思う。 祖父は何度も「自分なんて早く死んだらいい」と言う。本心でそう思っているというより、口癖のように繰り返す。 そんな祖父を見て、健斗は「尊厳死アシスト」を思いつく。徹底的に介護をしてやり、能力を奪い、死を早く実現させようという計画である。 そのプロットだけを見ると末恐ろしいのだけど、物語のテイストはどこか可笑しい。読み味はライトで、読後感も悪くない。青年としての健斗の心理の揺れ動きが、瑞々しさを感じさせたためかもしれない。 それから、祖父が過去を改変して覚えている点は沁みた。何度もそう思い込む内に、それが真実であるかのように記憶されることはあるらしい。「天の光はすべて星」を思い出す。 とは言え、傑作すぎることもなく、駄作というわけでも決してない。ちょうど星3つくらいの印象。 (書評ブログの方も宜しくお願いします) https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E4%BA%BA%E7%94%9F%E5%86%8D%E5%87%BA%E7%99%BA%E3%81%AE%E7%8B%AD%E9%96%93%E3%81%A7_%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%93%E3%83%AB%E3%83%89_%E7%BE%BD%E7%94%B0
6投稿日: 2020.03.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
3 じいちゃんなんて早く死んだらよかといいながらできることもやってもらおうとする祖父の狡猾さと、自己都合退職して再就職中で人生再構築中の孫健斗との共生と変化を描いた作品。尊厳死、年金・保険制度などについても考えさせられる。 ヘルパーの過剰な介護、家族の優しさからの自分でやらせようとする介護。死にたいのなら自分で体を動かすチャンスを奪い尊厳死をアシストする健斗。労働者ヘルパーは自分が楽に仕事をするために「優しさ」を発揮するだけで、被介護者自身の意向に沿ったケアではない、行きたい者にはバリアを与え厳しくし、死にたい者にはバリアを取り除き甘やかすという風に個別にやり方を考える必要がある。表面的には同じでも中身は違う。「使わない機能は衰える」の逆をいくために、健斗は体を鍛えたり勉強したり。
1投稿日: 2020.02.02
powered by ブクログ近くにいる祖父の存在が、主人公の生き方を構築しているように感じた。生きるために必死な祖父、生きることに対して前向きな主人公の二人の存在が、決して恵まれてはいない環境下でも輝いて見えた。
1投稿日: 2020.01.10
powered by ブクログ社会的に中途半端な無職の青年とその老いた祖父の物語。何か特別な事件が起きるわけでもなく、ただその日常が綴られていく。世代交代、という意味でのスクラップアンドビルドなのか、青年の成長という意味での言葉なのかわからないが、確かにスクラップアンドビルドな内容ではあった。なんのかんのと生にしがみつく人間の理な小説のように感じたが、正直これっぽっちも面白くはなかった。この主人公は端から見れば甘ったれで腐ってるよね。
1投稿日: 2019.11.27
powered by ブクログ芥川賞受賞作だから読んでみた。あの羽田さんの作品だから何か読んでおきたかった。 主人公は税理士だか公認会計士だかの資格試験を控えて勉学に励みながらニート生活を送る青年。 同居家族は母と要介護の祖父。 祖父は足腰が弱り、杖をついてどうにかトイレには行けるものの、風呂には介助が必要な状態だ。 記憶力も衰え出して気持ちが弱くなり、「もう死んだほうがいい」と繰り返す祖父の願いを叶えるのが本当の孝行なのだと青年は思い立つ。そこから、祖父の身の回りのことを一切合切やってあげ、脳みそも筋肉も骨も神経も使わせないことに心を配る生活が始まる。使わないものはどんどん衰え死に絶える。祖父の望みどおりだ。 それと対比するように、自らは過酷な筋トレにより筋細胞を痛めつけ、再生を促す。祖父のようにならないように、と気持ちを奮い立たせる。 気弱な祖父への苛立ちと、自らの生への執着を生々しく描いた作品。 なんだけど、面白かったかと問われると、なぞ。
1投稿日: 2019.10.09
powered by ブクログ介護って難しい。 出来ることは自分でやらせて、出来なくて必要なことを補助する。言葉にすると簡単だけど、葛藤ばかりだと思う。 若いうちから自分の老後を考えないと、若い人に苦労をかけたくない。 親は別だけど。 祖父は孫の将来を心配して、成功を願ってた。 自分に構うなと。 高齢者は経験が違う。 健人はまだまだ幼いけど、成長している。 「健人はじいちゃんが死んだらどげんするとね」 何を思って口にしたんだろう・・・ 急降下。
1投稿日: 2019.06.29
powered by ブクログ仕事を辞めて就活中の青年と、自宅でほぼ寝たきりのおじいさんの話。 介護に甘えっぱなしのおじいさんの、やれあそこが痛い、ここが痛い的な構って欲しいアピールとか、実は軽く余力残している感じとか、この人をイラつかせる設定の力加減が絶妙でした。 逆に主人公は、誰に言われるでもなく善意でおじいちゃんの介護をしていること自体は偉いと思えるのに、それ以外のなんだか無駄に自信過剰な感じが妙に鼻に付きました。 例えば、筋トレだったり、勉強だったりと、自分の行動とその結果に対する信頼度が半端ないというか、、なんつーかこいつモテなそうだなーって漠然と感じたので、彼女がいるっていうのがなんだか不思議でした。
1投稿日: 2019.06.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
【内容】 「じいちゃんなんて早う死んだらよか」。ぼやく祖父の願いをかなえようと、孫の健斗はある計画を思いつく。自らの肉体を筋トレで鍛え上げ、転職のため面接に臨む日々。人生を再構築中の青年は、祖父との共生を通して次第に変化してゆく―。瑞々しさと可笑しみ漂う筆致で、老人の狡猾さも描き切った、第153回芥川賞受賞作。 【感想】 リアリティがある文章であり、 老人の介護、若者のニート&転職といった内容は、 まさに現代を象徴する様な小説だと思った。 唯、好き嫌いを問われたら、 あまり好きな小説では無いかな。 主人公の、ニートの癖に理屈っぽい感じや、 祖父と比較し、自分の方が力があると自負するところや、 生きている意味を見出しているところがムカつく。 これが筆者の一部分だと思うと気持ち悪いと思った。 あと救いが無いような気がして。他人事ではなく。 脳卒中で自宅介護・デイケアでリハビリする母、 同じ家で暮らす契約社員で、数年前に叔父のコネで正社員として転職した弟のようで。 もし祖母や父が亡くなり、 弟が家を出たら実家で暮らす母一人だけになったら、 私が住む家の近くの老人ホームにでも入れようか、 という話を家族・親戚間でしていた。 私はそれしか無いし、あまり深く考えていなかったが、 過剰な介護をしないところか、不干渉し過ぎではないか、食事内容、他人との交流など、あらゆる面を真剣に確認しなければならないな、と思った。 母本人は「どこでも良いよ、あとは死ぬだけだし」「◯◯ちゃんの負担にならないところで」とか言うだろうが、 この話の祖父のように、身体が弱ったって生きたいのだ。 中にはそうじゃ無い人も居るかも知れないけれど... 自分がやった方が早いけれど、 自分で出来ることは母にやらせなければと思う。 「死にたい」とか「もうダメ」とか聞くと、 しんどくなるけれど、それはもう口癖だと思って流そう。 上手く話題が変えれるよう、大人になれればと思う。 自分が歳をとったら、 完全に病気にノックアウトされるまでは、 自分のことは自分でするようにありたいと願う。 介護問題を考える上で、 著書は良作だと言えるかも知れない。
1投稿日: 2019.04.29
powered by ブクログこれは好き…! ちょい要介護の祖父が口癖のように呟く「死にたい」願望を叶えるべく、過剰介護と称して献身的に援助する孫の健斗。 苦しみながら死ぬのは祖父らしくないからとあくまで尊厳死にこだわり援助する健斗は優しい孫? また日々弱る祖父の身体を毎日目にするからこそ張り合いが生まれて筋トレ就活その他諸々に精力的になっていく妙にストイックな姿も、なんとも言えないおかしみがあった。 これは愛情なのか不謹慎なのか、どちらとも言い切れないけど、祖父と孫との間に生まれた共闘関係は不思議と晴れやかなラストを迎える。 モブ・ノリオの介護入門を思い出した。
4投稿日: 2019.04.15
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バラエティーに出ている羽田さんしかしらなくて、純文学ってだけの予備知識で読み始めた。 暗!!!い!!!!そんなに厚くない本だし、字も大きめだし、って読み進めてしまったけど、かなり気合いを入れないと大変だ。具体的に言うと、スーパーサイヤ人になるくらい気合い入れないと無理だわ。私はもう少しで舞空術を修得するところだった。 純文学って、人間の汚いところとか、敢えて目を逸らしてきていたところを陳列して、「ほら!!!こんなに!!!醜悪です!!!!」っていうジャンルなの?それが悪いとかじゃないんだよ。でも綺麗でふわふわキラキラして夢のようって作品は純文学になり得ないの? 難しいよ~簡単な言葉で、難解な謎掛けもないのに、なんでこんなに難しいの~!! 本の帯には「青年の稚気VS老人の狡猾さ!」とある。なるほど。 かつて自分も持っていた幼稚さとか、いずれ迎える老いだとかを直視したくなくて、こんなに読み終えたあとにモヤモヤするのかな。 最後まで読んで、落ち込んでツラいとかそういう話ではないよ、大丈夫!たぶん!おそらく!
1投稿日: 2019.04.03
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無職の28歳が祖父を過剰介護で弱らせて早く死なせてあげようとする話。 短くて一気に読めた。 主人公の本当の優しさは理解されないって気持ちが痛いほど分かる。 老いと若さについて考えさせられた。
2投稿日: 2018.11.25
powered by ブクログ介護の話だと思っていたら それだけでわなかったです。現実には生まれたからには 死に向かっているんだけど どう生きるか?どう死ぬか?が問題なんですね。 「死んだらよか」って言ってるおじいちゃんも 死ぬのはこわいんだよね。 仕事がない健斗も社会的に死んでしまいそうなのがこわいんだよね(-_-;)
1投稿日: 2018.07.28
powered by ブクログ字が大きくてページが150p程度なので軽く読める。 死にたい死にたいと言う介護の必要な祖父の意思を尊重し祖父へ過剰な介護をする健斗。 筋トレと就職活動と祖父への介護に勤しむ主人公の心の内を描いた作品。 老人、介護、尊厳死、肉体と精神の再構築などがテーマなのか。 何れにしても、何も考えないでダラダラ読めるのが良い!
2投稿日: 2018.07.14
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じいちゃん、なかなか図太い人。 「死にたか」って言いつつ、全然その気ないんだもん。こういうお年寄りはたくさんいると思う。弱者のふりをして、その実、なかなかに強い。 主人公は、苦しみのない安らかな死をもたらすために過剰な介護に勤しむが、端から見れば、やり方は間違ってるけど、祖父想いの優しい孫。 仕事を辞めて、人生のお休みみたいな時期に、自分より弱ってるように見える祖父を横目にひたすら身体を鍛える。なんだか分かりやすい。 お風呂のシーンが印象的。祖父の手を半ば振りほどく形で風呂から出た健斗が戻ってくると、祖父が溺れそうになっている。 慌てて助けたが、祖父は健斗を責めるでもなく、何も言わない。 優しくしてくれる健斗を敵に回してはいけないと思ったか、と最初は思った。でも、大事な孫を責めるなんて考えもしなかったのかも、と思ったら、老いてもおじいちゃんはおじいちゃんなのだなぁと、凄みを感じる。 最後も、祖父は健斗を優しく送り出してくれる。 「死にたか」と言うこのおじいちゃんが、長く生きてくれれば良いな。
2投稿日: 2018.07.14
powered by ブクログ昭和一桁生まれ、戦争を知っている人たちは、本人が意識しようがしまいが心の持ち様がちがう。それを強く感じた大阪北部地震です。本作に登場する爺ちゃんもそう。「死にたか」が口癖の祖父。その願いを叶えてやりたいと思う孫。しかし祖父の尊厳を守ろうとする孫の「良い話」というわけではありません。死ぬつもりもなさそうな祖父の様子を見て、孫が体を鍛え始める辺り、いつもながらに羽田さんはブラック。今回の地震後、そういう皮肉めいた見方ではなく、命があればそれで良しという両親の姿に驚き、意外にデカかったな我が両親と思うのでした。
1投稿日: 2018.06.23
powered by ブクログ老人との関わりの物語だが、主人公が淡々としているのでさらっとしている。チョットさっぱりしすぎていて現実感が無い感じ。
1投稿日: 2018.06.18
powered by ブクログ死にたい死にたいと言いながら、生きている限り生にしがみつくのが人間ですね。筋肉も脳みそも使わなきゃ弱る。
1投稿日: 2018.06.05現実の切ない家族
母親と母方の祖父の3人で暮らしている主人公。 本人は再就職活動中である程度時間があるので祖父の介護も手伝っているのですが身体が弱って来て何かあると「死んだらよか」を繰り返す状態。 主人公は体が弱って来て楽しようとする祖父を見て色々考え行動をしていきます。 なんて言うのか身近な話だったので祖父の表現がかなりリアルに見えました。 それに伴う家族の反応も見たことのあるような感じで読んでいると切ないですねw さらに友人や恋人も出てきますが本当にありそうな反応でこちらも切ないです。 介護に対する家族の言動や社会の在り方、老人の狡猾さのようなものを示しつつ劇的な展開があるわけでもなく何も解決せずに終わるこの物語は本当に現実的ですねw 2度目を読みたいかと聞かれるとそうでもないのですがびっくりするほどの現実感に感動しましたw
0投稿日: 2018.06.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
要介護者を持つ家族が抱える問題、過剰介護、尊厳死、いろいろなことが書かれていた。 健斗は『尊厳死』と言っていたが、母親も健斗も、祖父という厄介者を排除したいと思っているだけのように感じた。 母親は「特別養護老人ホーム」へ、健斗は「死」へと。 最後の方でイイ感じにもっていこうとしていたが、読んでてあまりいい気分の作品ではなかった。 毎回感じるのだが、芥川賞作品はどうも自分には合わないらしい。
1投稿日: 2018.06.01
powered by ブクログとりあえずどれかを読んでみたかった作家の、芥川賞受賞作品が文庫化された、ってことで入手。しかしまず驚いたのは、そのフォントの大きさに、なのでした。もう一編、中編作品を抱き合わせれば良いのに。内容は、介護問題に対する新しい視線提起。介護が嫌だからやってあげずに放っておく、ではなくて、あれこれ積極的に世話を焼くことによって本人には何もさせず、身体機能の衰えを加速させることによって早く楽にさせてあげるという。逆転の発想ですね。結構残酷だけど。
1投稿日: 2018.05.21
powered by ブクログ家で邪魔者扱いされる祖父と主人公「僕」の関係を描いた作品。 やることもなく、年齢による不快さの中で生きる祖父。死にたいと口にしつつも、体だけは健康であり、その願いは叶えられそうにない。 そこで、僕は祖父の願いを叶えるべく、色々なことを祖父に行う。そんな中、僕の内面も変化が訪れる。
1投稿日: 2018.05.16
powered by ブクログ【ベストセラー芥川賞受賞作、待望の文庫化!】「死にたか」と漏らす八十七歳の祖父の手助けを決意した健斗の意外な行動とは!? 新しい家族小説の誕生を告げた芥川賞受賞作。
0投稿日: 2018.05.01
