
総合評価
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powered by ブクログ傷ついた心を癒す旅に出た香島紀子は、山間の村で急に増水した川に流されてしまう。ロープを投げ、救いあげてくれた埴田晃二とその夜結ばれるが、翌朝晃二の姿は消えていた。村祭で賑わう神社に赴いた紀子は、晃二がひと月前に殺されたと教えられ愕然とする。では、私を愛してくれたあの人は誰なの……。読者に強烈な眩暈感を与えずにはおかない、泡坂妻夫の華麗な騙し絵の世界。 * 集落が舞台のホラーミステリーのような話を想像していたけど、良くも悪くも裏切られた。情緒的で繊細。何層にも霧がかかった細道を歩くみたいな心細さが永遠に続く。
0投稿日: 2025.08.13
powered by ブクログ1978年。今から約46年前に連載された作品。当時、読む事が叶ったならば、今以上の衝撃を受けていただろう。脳を霧が浸し、脳に艶を残し、脳が眩暈を起こす、艶美な騙し絵の物語。
13投稿日: 2024.09.23
powered by ブクログ人によっては読みにくい1章を越えると、2章からまったく違う雰囲気になる。真相はいくら何でもわからないものか?と疑問を感じるが、小説ならではの仕掛けと楽しみと目を瞑る。ミステリー慣れしていないうちに読むのがおすすめ。山奥の村に古くから伝わる祭りや自然の描写が素敵。粧子があまりに子ども過ぎる点が気になるが、1978年刊行ということで許容範囲か。手紙を送ったり、スケッチブックに日記をしたためたりといった、今は主流ではない習慣も良い。
1投稿日: 2024.07.04
powered by ブクログ館崎がやたら頬を膨らませるのが少し気になる1冊。 中盤までは謎が謎を呼ぶ展開で面白く読めましたが、後半の愛が激しすぎて若干引いてしまった感。あまり入り込めず残念でした。
1投稿日: 2024.05.30
powered by ブクログ少々無理を感じる部分もあるけど、それを補って余りある物語の雰囲気、読者をまんまと騙す構成が素晴らしい。夢か現か、登場人物はもちろん、読者までも幻惑する幻想小説として読んでもいいのではないか。
0投稿日: 2024.04.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
泡坂妻夫さんの作品は騙されることを楽しむようにできているので、ネタバレレビューは見ないで読んだ方がいい。 このレビューもトリックのネタバラシはしていないが、ストーリーに触れているのでこれから読む人はスルーしてください。 同じ物語を2人の視点で語る小説は多々あるが、これは4人の視点で語られる珍しいものだった。 しかも先ほどと同じ状況にいるはずの人物が異なっている。 一章 紀子 川で流されそうになった紀子は晃二に助けられ一夜を共にする。だが晃二は1カ月前に死んでいた。 どういうことだ?幽霊の物語か?実は晃二は生きていた? 二章 晃二 晃二は川で流されそうになった緋紗江を助け一夜を共にする。これがきっかけで晃二と緋紗江は結婚する。 紀子と晃二の出来事より前の晃二が確かに生きていた時の話だ。この後どういう展開になるのか? 三章 粧子 元恋人をたずねて粧子が来た。粧子は晃二と同じ日に毒を飲み、二人とも川に転落し流されて死ぬ。 四章 緋紗江 晃二の屍体は翌日みつかったが、粧子は靴しかみつかっていない。粧子と緋紗江、紀子と緋紗江の関係が明かされる。 終章 粧子の遺体が見つかった時、紀子と緋紗江が偶然鉢合わせする。 読者は四章でこの物語の謎解きができている。 紀子の発した、真相を理解したことがわかるセリフで物語が終わる。 不思議な物語だが種明かしされたあとに読み直してみると、うまく状況の細かい描写ができていると思う。 泡坂妻夫氏のトリックアイデアは私の想像力の範疇を越えている。 1978年と50年近くも昔の作品だと思うと、当時の読者はこの展開には不慣れであるが故目新しさも感じただろう。 しかし、このトリックはさすがに無理がある。 さすがにバレるだろうという状況に全く気付かないで物語が進むのだから、読者が騙されるのもしかたがない。
38投稿日: 2024.03.09
powered by ブクログ「泡坂妻夫」の長篇ミステリ小説『湖底のまつり(仏題?:La Fete Du Seraphin)』を読みました。 ここのところ国内ミステリ作品が続いています… 「泡坂妻夫」の作品は、『夢裡庵先生捕物帳』以来なので、1年ちょっと振りですね。 -----story------------- ●「綾辻行人氏」推薦──「最高のミステリ作家が命を削って書き上げた最高の作品」 傷ついた心を癒す旅に出た「香島紀子」は、山間の村で急に増水した川に流されてしまう。 ロープを投げ、救いあげてくれた「埴田晃二」とその夜結ばれるが、翌朝「晃二」の姿は消えていた。 村祭で賑わう神社に赴いた「紀子」は、「晃二」がひと月前に殺されたと教えられ愕然とする。 では、私を愛してくれたあの人は誰なの……。 読者に強烈な眩暈感を与えずにはおかない、「泡坂妻夫」の華麗な騙し絵の世界。 解説=「綾辻行人」 ----------------------- 『幻影城』の1978年(昭和53年)6・7月合併号から10月号にかけて連載された作品です。 ■一章 紀子 ■二章 晃二 ■三章 粧子 ■四章 緋紗江 ■終章 ■解説 晃二 渓流の平らな岩に座り、「紀子」は足を伸ばした… その時、突然、彼女は川が大きくふくらむのを感じ、次の瞬間には濁流に呑み込まれていた、、、 傷心を癒すため旅に出た「香島紀子」は、旅先の峡谷で増水に遭い、危ういところを「埴田晃二」と名乗る若者に助けられた… その夜、彼女は村はずれのあばら家で、男と一夜を共にした。 だが翌朝、なぜか男が消えている… 探しに出た彼女は、村祭で賑わう神社で村人に尋ねると、男がひと月前に毒殺されていたと聞いて愕然とする! では彼女を助け、「晃二」と名乗った人物は誰なのか? 「香島紀子」と「埴田晃二」の出会い、「藤舎緋紗江」と「埴田晃二」の出会い… 似通ったシチュエーションでありながら、微妙にズレを感じつつ、そこに「荻粧子」と「埴田晃二」の出会いにより物語は新たな展開を見せ、そして、「藤舎緋紗江」と「荻粧子」の関係が明らかになるに連れて、徐々に真実が明らかになるという展開、、、 微妙な時間のズレや同一人物を異なる人物とミスリードさせる巧みな叙述トリック、そこに妖艶さが加わり、最初から最後まで集中力が途切れることなく読めましたね… 愉しめました。 以下、主な登場人物です。 「香島 紀子(かしま のりこ)」 会社を辞めて千字村を訪れた女性。 「埴田 晃二(はにだ こうじ)」 千字村出身の若者。自動車好きで東京でガソリンスタンドの修理工として働いていた。あだ名は「パンサー」。 「藤舎 緋紗江(とうしゃ ひさえ)」 大学を卒業したばかりのダム工事の測量士補。 「金海 芳男(かなみ よしお)」 晃二の友人。 「パーゾウ」 千字村の住人。乞食。本名不明。 「深沢 源吉(ふかざわ げんきち)」 千字村の住人。ダム反対運動の指導者。 「荻 粧子(おぎ しょうこ)」 千字荘の投宿者。大学2年生。演劇部所属。 「館崎(たてざき)」 所轄署の刑事。
0投稿日: 2023.08.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
幻想的なミステリー。 引き込まれる。 トリックとゆうより、表現や描写がとても良い。 内容はよく考えたらただのビッチ共だけど それを感じさせない文章力 と当時読んだ私はメモってました
0投稿日: 2023.06.21
powered by ブクログ川に流され、助けてくれた男性。 起きたらいなくなっていたが、訪ねると驚きの返答が。 冒頭と同じ事が、名前を変えてもう一度。 あれ? と読み返し、疑問でいっぱいのまま 読み進めていけば、どういう事? としか。 読み進めていくと、もしかして…がじわじわと進み あぁやっぱり、という最後でした。 緩やかに染みわたるように導かれる最後に 驚きよりも納得でした。
0投稿日: 2023.03.17
powered by ブクログ読み始めると官能的な表現があり、単なる推理小説ではないと感じながらページを捲る。ここで既に泡坂妻夫のトリックに嵌っていたようだ。小説の紹介文にあるような、まさしく騙し絵の世界でした。著者の他の作品も読んでみたい。(本屋さんでなかなか見つからないのが残念)
11投稿日: 2021.10.30
powered by ブクログミステリーでありながら、幻想小説の雰囲気もあり、ラストは迷宮に迷いこんだような気にすらなる。メイントリックは、今では類似の作品も目にするけれど、当時としてはかなりめずらしかったのではないだろうか。できすぎた偶然も、運命にしてしまうと許されるのが面白いなと思った。
0投稿日: 2021.04.07
powered by ブクログ以前何かの小説に出てきて(作品名もどんな感じで出てきたのかももう忘れてしまったけど;)気になっていた作品。最初は少し読みづらさを感じてしまい、なかなか読み進めることができず…。でも読み進めるにつれてどんどん描写の美しさに惹き込まれて、中盤以降はペースアップ。途中、なんとなく先が予想できた部分もあったけど、最後まで面白く読めた。泡坂妻夫さんの作品は他にも気になるものがあるので読んでみたい。
0投稿日: 2021.02.26
powered by ブクログ見事にドツボにはまりました。 二章まで進んだところで読み間違えたかと最初から読み返して、三章でしっかり騙されて、四章でそんなのあり?と。 まるで水中のように真実がボンヤリとゆらめいている。漂うオカルト感も目くらましに一役。 やけに性描写が艶やか。 それゆえに情念みたいなものを感じるのかもしれないが。 11刷 2021.1.4
1投稿日: 2021.01.04
powered by ブクログ性描写が多くて読みにくかった 適当に読み飛ばした それはともかく、地の文で嘘を書くのはミステリとしてアンフェアじゃないんですかね? ミステリの基本ルールだと思いますが・・・ AさんがBさんに化けているときに、地の文でAさんのことを「Bさん」と書いてはいけないわけです それは作者が嘘をついていることになるからです 基本の基本、絶対厳守のルールですよね むしろミステリとしての落ちをつけずに幻想小説のままにしたほうがよかったような 納得できる謎の解決とも言えない気がするし せっかく魅力的な謎を提示しているのに、解決がちょっとがっかりでしたわ
0投稿日: 2020.12.22
powered by ブクログこの世にあるとは知っているけど身近ではない世界観が楽しめるる。土着的であり幻想的。ミスリードも巧みで、ミステリーが苦手だけれども楽しめた。
0投稿日: 2020.11.08
powered by ブクログ再読。 だったので、途中から結末は思い出していた 偶然出会い、一夜を共にした男性はすでに死んでいると聞かされる。 あの男性は誰だったのか、、、 語彙力があって文章が重厚 感覚的に ミステリーを読んだっていうより、文学作品を読んだっていう感じ
0投稿日: 2020.11.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
あの夜愛してくれた人は一月前に殺されていた。あれは一体何者だったのか。 意外な展開に驚きつつ、少しずつ少しずつ物語の真相が見えてくる面白さ。真っ直ぐすぎる愛の恐ろしさを感じる恋愛ミステリー。
1投稿日: 2019.09.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
粧子の恋人を男だと決めつけて話が進んでいく時点で違和感を感じ、何もかもわかってしまったので、 4章の答え合わせも「ああ、やっぱりね」という感じで驚きも特に無く… 41年前の出版当時に読めなかった事が悔しい。
0投稿日: 2019.08.14
powered by ブクログいつぞやなんかのきっかけで再評価された本……だったよねえ? それじたいがだいぶ昔のことなんで、はっきり覚えていない……(´ε`;)ウーン… 耽美文、語彙の豊富さに陶然( ´ ▽ ` )ノ 章が改まるたび激変する世界に呆然( ´ ▽ ` )ノ でも、オチが割れると、ねえ……(´ε`;)ウーン… 人物描写の古臭さは仕方ないとしても(娘ほどの歳の事件関係者とXXしちゃう、ホッペ膨らまし刑事)、最大ポイントになる「人間関係」(今となっては一ジャンルを形成してるほどザラで、先が読めちゃうな)も仕方ないとしても、だ……(´ε`;)ウーン… いくらなんでも、バレないか、「あれ」?……(´ε`;)ウーン… 本気で分からなかったんなら、よくよくのバカだよ、○○さん……(´ε`;)ウーン… そこんとこ、もう一つちゃぶ台返しがあると思ってたんだけどなあ……(´ε`;)ウーン… 初出の1978年当時はともかく、いま読んでもさすがに資料性以上の価値はない作品……(´ε`;)ウーン… 「男なんて不潔だわ!」なんてセリフ、懐かしいね( ´ ▽ ` )ノ いまなら、「くそオヤジ キメーんだよ ウゼー !」……(´・ω・`)ショボーン 2019/08/07
0投稿日: 2019.08.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『乱れからくり』と並んで初期の泡坂の代表作と評される本書は、やはり時代の流れか、当時の読者諸氏を唸らせた衝撃はもはや薄れてしまっていた。価値の多様化が顕著になった昨今では、同性愛が真相のファクターであることが特に奇抜さを齎さなくなってしまった。 しかし、それでも尚、作者は手練手管を使って読者を煙に巻く。 女が男に化けて女をイカせる。この謎の解明は素晴らしい。 しかし本作を読んで痛感したのは、時代がオープンになればなるほど、我々の常識が崩され、謎という暗闇が小さくなってしまう事だった。
2投稿日: 2019.04.21
powered by ブクログ所々の細かな表現がちょっと苦手だなぁとは思ったけど、ストーリーとしては面白く、謎解きを想像しながら読み進めた。恋愛そもそもがトリックになるのが好みではなく、なんとなくのいまいち感を残しちゃったけれど、まあ良かったかな。
1投稿日: 2019.02.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
これぞ本格派ミステリー。 ダムの底に沈んでいく東北の過疎の村が舞台。お祭りの場面は幻想的。 女性は、旅先の川で溺れそうになったところを助けてくれた村の男性と一夜を共にしたが、男性は一か月前に毒を盛られて殺されていた。すべては夢だったのか、男性は幽霊だったのか。。。読み進んでいくうちに、だんだんとトリックがわかってくる。後で前の章を読み返してみると、トリックのヒントがあちらこちらに、ちりばめてある。 官能小説のようなところが多過ぎたり、官能シーンの会話が文語的で不自然だったり、一夜を共にしただけで結婚したり、刑事が事あるごとに娘のことを想ったり、ほおをふくらませたり、緋紗江がなぜか刑事と結婚したり、紀子が角の細工に不思議と気付かなかったりと、細かいところで違和感もあったが、全般的によかったと思う。
1投稿日: 2019.01.29
powered by ブクログ思ってたんと違う! 古い作品だけど自分が田舎者だからか、あまり古くさくは感じない。奇祭、葡萄酒、男女の交わり等々、日常と非日常を反転させるアイテムの使い方がすごい。解説で”眩暈感”と表現されていたけど、確かにそう。 でも、本格ミステリを期待して読むと多分肩透かし。最後の謎解きも、下品すぎやしませんかね… あと、みんな頰をふくらませすぎじゃない?かわいい。
1投稿日: 2019.01.14
powered by ブクログこれは面白いミステリーでした。 ミステリーらしいミステリー。古典。 幻影小説なのかと思いきや… 時系列トリックかと思いきや… 紀子、晃二、粧子、緋紗子そして終章 各所に散りばめられた付箋はちゃんと掬い上げられて一つの線になっていく。しかもちっとも無理がない。 過疎化の進む村…怪しくも哀しい風習を受け継がれた祭り。 人は一瞬で恋に落ちる。 人は何度でも恋をする。 という大前提のもとがあってこそのヒューマンミステリー 2019.1.9 今年の2冊目
3投稿日: 2019.01.10
powered by ブクログミステリ。恋愛ミステリ。 1978年に書かれた作品ということで、文章に古臭さはある。 各章ごとに視点となる人物が変わり、徐々に明らかになる真相。 読み進めるほど面白くなっていくように感じた。 トリックが現実的かどうかは些細なことで、純粋に構成が美しい作品。 背表紙の通り、小説の形をした"騙し絵"。芸術的だと思いました。
1投稿日: 2019.01.06最後まで展開がよめない
独特な文体と研ぎ澄まされた表現力に文学作品の匂いを漂わせる。ただ中身は手の込んだミステリーです。 現在から過去へと時間が交錯して、最初に提示された謎が次第に明らかになります。 最終的に提示されたトリックはやや無理筋な感じはしますが、プロットがしっかりしていて最後まで展開がよめない。 読んでいて楽しかったです。
1投稿日: 2018.10.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
独特な文章・表現をする作者さんだなと思いました。 主人公の女性は傷心を癒やす旅先で出会った男とセックスする。が、その男は一ヶ月前に死んでいた。その男の正体は、死んでいた男の元妻で、男は元妻の元カノに殺された。元カノも自殺。(もう訳がわからない) セックスシーンが比喩ばかりでなんとも分かりづらい… 読んでいて後半の展開も予測できてしまうし、同性愛者のこんな頭がおかしい女いるか?と現実味がなさすぎて、ドキドキ感も皆無。半笑いで読んじゃいました… ただ、男のフリをした女がどうやって挿入したのかだけ気になる…そんな物語。笑 周りでの評価が良かっただけに残念感が半端ない。 ただ、情景が綺麗で美しく感じました。こういう田舎の集落的なところってまだあるんですかね。人生で一度はいってみたい。
1投稿日: 2018.08.08
powered by ブクログまず最初に読みやすさに驚いた作品。そして一つ一つの描写の中に伏線があり、見事な作品だと感じました。 旅行先で川の増水に巻き込まれた紀子は助けてくれた男性と晃二と体を交わします。しかし翌日には彼の姿は消えていて、彼は一か月前に殺されていたと知ります。 読んでいくにつれて謎が膨らんでいく作品です。世界観や情緒あふれる描写が美しく楽しめました。
1投稿日: 2018.06.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
濡れ場の美しさ、語彙の豊富さに感嘆。 勉強になります…… ミステリーとして「エ?あ?」と惑わされる感覚は素晴しく、真相が見えるまではわくわくしながら読みました。 が、どう考えても無理がある…… 残念……という感は拭えず。 とはいえ、非常に美しい犯罪の光景、そして真実だとは思います。
1投稿日: 2018.05.17
powered by ブクログ泡坂妻夫に、一時期はまっていた。 推理小説と名のついたものを読みまくっていた頃である。 亜愛一郎、ヨギガンジーのシリーズを、電車の中で読みふけっていた。 その作風は、手品師で推理作家という作者のプロフィールに相応しいものだった。 どの話を読んでも、どういうトリックか頭を絞りに絞って、それでもさっぱりわからず、結末を読んでは「えー!!」と驚愕したり、「え・・・?」と脱力したりしていた。 面白い。面白いのだが、たて続けに読んでいると、その緊張と緩和の差に疲れを覚えてくる。それもあってか、次第に読まなくなっていた。 そんな泡坂妻夫にまつわるニュースが目に入ったのが、2016年の12月である。 絶版タイトルが復刊するというのだ。有隣堂という書店限定で!! 未読の本である。 書店の企画で復刊させようというのだから、間違いなく面白いはずだ。 しかし、その書店が近くにない。東京、神奈川、千葉のみにある書店である。 どうしたものかと悩んでいたら、2017年4月、復刊企画はさらに大きくなったらしい。近所の書店の棚でみつけて、こうして手にとることができた。 帯にはこうある。 「! ATTENTION なるべく予備知識を持たずに読まれることをお勧めします。」と。 帯も、背表紙のあらすじも、推薦文も、書評も、そのへんのレビューも、友人知人のオススメ文句も、人物紹介さえ、一切見ざる聞かざるで読めと。 『その女アレックス』(ピエール・ルメートル)で、そんな注意をあちこちで目にしたが、読んで納得、この作品もそれに匹敵する。 その時も、私はその忠告に感謝したが、今回も同じだけ感謝する。 そしてその御礼として、私も未読の方々に、厳格に述べておくとしよう。 なにも知らずに読むこと。 そのほうがぜったいに面白い。
1投稿日: 2018.03.03
powered by ブクログ【あらすじ】 傷ついた心を癒す旅に出た香島紀子は、山間の村で急に増水した川に流されてしまう。ロープを投げ、救いあげてくれた埴田晃二という青年とその夜結ばれるが、翌朝晃二の姿は消えていた。村祭で賑わう神社で、紀子は晃二がひと月前に殺されたと知らされる。では昨日、晃二と名乗っていた人物はだれか。読む者に強烈な眩暈感を与えずにはおかない泡坂妻夫の華麗な騙し絵の世界。 【感想】
0投稿日: 2018.01.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
序盤の詩的な表現が、少々読みづらさを感じさせるものの、後半になるにつれて表現も平易に。 時間的なズレが感じさせるミステリーな展開は、引き付けられました。 あの人が暗躍してるのか、いやあの人か、というドキドキもありました。が、この結末はちょっと無理があるなと。
1投稿日: 2017.11.13
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2017/11/03 40年前ってのがすごい、新しく感じる。 同じ状況同じセリフをなぞっている?その二人は誰なのか? 同じ人が演じているのだもの、同じ流れになるのかな笑
1投稿日: 2017.11.03
powered by ブクログ傷ついた心を癒す旅に出た香島紀子は、山間の村で急に増水した川に流されてしまう。 紀子は、埴田晃二という男に助けられ、その夜結ばれるが、翌朝晃二の姿は消えており、晃二がひと月前に殺されたと知らされる。 昨夜の男は誰だったのか? 様々な人間が複雑に絡み合うミステリー。 本屋のPOPで、「衝撃のラスト!予備知識をつけないで読んでください」的なことが書いてあって気になって購入。 ある意味衝撃のラストだったけど、ミステリーというよりも、文学的というか幻想的というかなんというか…。 ライトなミステリーでは無かったかな。
1投稿日: 2017.10.02
powered by ブクログ幻想的で甘美な世界へ。死んだはずの人間に命を救われたという女性。導入部から心を掴んで離さない卓越した筆致に酔いしれる。紀子とは違い、あえて川の流れに身を任せて読んでいった。
2投稿日: 2017.09.24
powered by ブクログ<幻想と蠱惑の底に静む優艶> 泡坂さんのは,「幸せの書」しか読んだことがなかったのだけど,全く作風が違っていて驚いた. すごい作家だとは知っていたけれど,トリックのみならず「文章」で驚かされるとは. 一言でいうと,言葉,そこから醸し出される雰囲気がもう,「○○い」. 今でいうと「○○ミス」となるのだろうか. まさに「映像化不可能」.
1投稿日: 2017.09.10
powered by ブクログ東北のダムに沈む村でおきた奇妙な男女の話。 前半はつまらなくて全然読み進まなかったけど、後半からの急展開、ハテナだらけで一気に読めた。
1投稿日: 2017.09.09
powered by ブクログ『しあわせの書』に続き、泡坂作品二作目。…うーん、生憎わたしには合わなかったなぁ。初めのうちは折原的作品かと思い——ふむ、パーゾウが怪しいぞっ!と踏んでたんですが… (^^;; 星二つ半ってとこですかね。イマイチでした。
1投稿日: 2017.09.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
前日の夜に愛し合った男が翌朝には消え、さらに1ヶ月前に死んでいたと知らされ、じゃああれは誰だったのか?読み進めるうちにパズルのピースが嵌るように謎が解けていくーーという帯の文句に誘われて購入したものの、「見事!」というよりは「えー……」という読後感。 最初の紀子と晃二のやりとりと、その後に出てくる緋紗江と晃二のやりとりが酷似していて、どちらかが同一人物、あるいはどちらかが頭の中で繰り広げたフィクション、妄想、二重人格かーーと思っていたところ、結末はそうきたか、という感じ。 いくら男性的な体とはいえ、抱き合って男女の違いが分からないということが果たしてあるのだろうか、というのが最後まで理解できずに☆-1。 あとは自分の国語力の無さによるところが大きいけれど、分かりにくい、難解な描写が多いのでやや取っ付きにくい本ではありました。 布石とそれの回収方法はとても綺麗でした。 緋紗江の身に、これからまた同じようなことが起こるのではと、ぞっとさせるような薄ら寒さを含んでいるくせに、情熱的な愛の言葉で締めたラストも秀逸。 最後に。初版1978年と知って衝撃。「恋愛は男女でするもの」が当たり前でなくなった現代では真新しさに欠けるけれども、当時は目から鱗、の作品だったのではないでしょうか。
1投稿日: 2017.08.19
powered by ブクログ騙されました。最初は意味がわからず、読み進めていくうちにあれ?これって何かおかいしいと思うようになり、最後にはそうだったのか!!と全てがつながりました。 とても読みやすくあっとゆうまに読めてしまいました笑 晃二と一夜を共にし恋に落ちた紀子、粧子と緋紗江の特別な関係から生まれる晃二への思い。 色んな人の思いが巡り巡ってあの奇妙な出来事に繋がったんだと!!!
1投稿日: 2017.08.05
powered by ブクログ湖シリーズの2冊目として読んだ。三度同じシチュエーションが描かれ、その度に謎が深まって楽しく読めた。
1投稿日: 2017.07.09
powered by ブクログ傷ついた心を癒す旅に出た香島紀子は、山間の村で急に増水した川に流されてしまう。ロープを投げ、救いあげてくれた埴田晃二という青年とその夜結ばれるが、翌朝晃二の姿は消えていた。村祭で賑わう神社で、紀子は晃二がひと月前に殺されたと知らされる。では昨日、晃二と名乗っていた人物はだれか。読む者に強烈な眩暈感を与えずにはおかない泡坂妻夫の華麗な騙し絵の世界。
0投稿日: 2017.06.21
powered by ブクログ失恋を機にある山奥の村を一人訪れた紀子は、川で溺れそうになった所を一人の若者に助けられ、彼の持ち家である空き家で一夜を共にする。 翌朝姿を消したその人・晃二を探すが、彼は一月前に毒殺されていた。 紀子が出会ったのは誰なのか。晃二は何故死んだのか。恋い慕う人を求めて突き進んだ先に何があるのか。 全般に散りばめられた官能的な描写が、眩暈と共に作者が描く騙し絵の中へと誘ってくれる。 今読むとどうしても時代の差を感じるけれど、お陰で閉鎖的な雰囲気と狂気の香りが増している。 章が変わる毎に驚き慌てて前章を読み返すのを繰り返し、まさかないだろうと早々に否定した予測をまさかの力技で実現されてしまった…。 古典の再販とは言え、結末に本気で驚くミステリーに出会ったのは久しぶり。
2投稿日: 2017.06.20
powered by ブクログストーリー展開は面白い。 時や人物がシンクロして不思議な感覚になる。 また登場人物が話の中で繋がっていくのも上手く練ってあると思う。 ただ男女の絡みの描き方が官能小説じみていて読み心地がよくない。 その時代的な物なのか、作家の年齢的な物なのか分からない。 以前に「乱れからくり」を読んで面白かった印象があったのでいつか読み直してみたい。
2投稿日: 2017.06.19
powered by ブクログ最後まで読みきったものの、なんだか好きではない作品。 性描写が気持ち悪過ぎて笑えました。 作者は気に入っているようで、何度も何度も登場させていましたが。 風景の表現は見事でした。 壮大な自然に触れたくなります。 ただ、祭の説明は知らない単語ばかりが並んでいて、流し読みしてしまいました。 オチも想像がつくレベル。 フィクションとはいえ違和感は拭えません。
2投稿日: 2017.06.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ヤンデレメンヘラこわい。 この話、1978年の作品らしんですが、そのころにゃ「ヤンデレ」とか「メンヘラ」ってことばはなかったよね。いまでこそそういうキャラクタは多いけど、その頃に読んだらきっとものすごい衝撃だったんだろうな。 ミステリだと思って読み始めて、ミステリではあったんだけど、結構な部分でセックスしちゃってるので、あれこれ官能小説? って首を傾げてました。露骨にやってるわけじゃないけどさ。耽美的な。勉強になるなぁ。 途中、粧子のくだりのまんなかあたりで、「あ、これ、Pっての、女だな」とは気づきまして、そうすると、最初紀子が会った晃二が誰かも分かる。まさか漆塗りの小箱のなかがそういうものだとは思わなかったけど。 ラストのオチも好きですが、緋紗江はともかく、刑事さんには幸せになってもらいたい。
1投稿日: 2017.05.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2010年代の今読むならば、台詞回しにしろ情愛シーンの描写にしろ、何とも呑み込み難い陳腐な表現にどうしても感じられるが、執筆当時の流行と風俗に思いを馳せれば腑にも落ちる。 開発が進む昭和の山村を舞台とし、当地の祭りなども小道具として用いて土着民俗ものの匂いすら漂わせている本作は、松本正張作品にも通じる空気を纏っている。 多様性というものが叫ばれて久しい昨今に生きる我々にとっては、使われている叙述トリックのタネやプロットからもはや大きな驚きは得られず、さすがにそらちょっとしんどいやろ! とツッコみたくもなるが、あくまで古典を味わうという感覚で。
1投稿日: 2017.04.29
powered by ブクログ20170417 最初はなんだか置いて行かれたような気分になった。章が進むにつれ、勘違いだったのかと思わせ、最後に、そういう事か!と納得させてくれる。良い本でした。
1投稿日: 2017.04.17
powered by ブクログ不思議な雰囲気の小説だった。描写は繊細で、話の流れもわかりやすい。埴田晃二という人物の周囲にある不可思議が章を重ねると浮き上がる。最後まで読めば納得のいく緻密な構成。非常に読みやすい。ただ、魅惑的かつ細かな性描写も含まれるためそこは人を選ぶかもしれない。
0投稿日: 2017.04.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ストーリーは面白いけど、晃二の正体がう~ん。 同じ系の叙述トリックは読んだことあったから3章くらいからなんとなく読めてたし、伏線は張ってるんだけど、ずるい感じがする。
2投稿日: 2015.08.15
powered by ブクログ『妖女のねむり』と同じく、幻想的な雰囲気たっぷりのミステリです。 一晩を共にした人が、実は1カ月前に死んでいたという魅力的な謎とともに、自身の記憶と一致する部分もあれば、齟齬を感じるといった主人公の不安もこちらに伝わってくるようでした。 途中、明らかに意図的なデジャヴを誘う記述も、読者の目を廻す役割を担っています。 物語も後半に差し掛かると、怪しげな女性の目撃などで、より妖しい雰囲気が漂い始めます。 そして明かされる真相は、やっぱり妖しいものでした。トリックというよりは、イリュージョンを見せられた気分。右手に注目を集めておいて、左手で小細工をするような、まさにマジシャン泡坂妻夫らしい仕掛けです。 『妖女のねむり』に勝るとも劣らぬ傑作です。
3投稿日: 2015.04.23
powered by ブクログ傷心を癒す旅に出た紀子は、東北地方の山村で急に水量の増した川の岩場に取り残される。しかし、地元の若者・晃二に助けられ、その夜、彼の家で紀子は抱かれる。しかし、晃二は1か月前に毒殺されていたのだ。紀子を助けた人物は何者なのか? トリック自体は前例もありますし、ややアンフェアな気もしますが、幻想的な雰囲気と、一体何が起こっているのかという不可思議さ相まってがとても魅力的です。まさに「騙し絵」という言葉がピッタリな恋愛ミステリーです。
1投稿日: 2013.10.27
powered by ブクログずっと気になっていた作品。ようやく読みました。 読み終えてまず思ったのは、なるほど~、でした。 どうして多くのミステリ作家がこの本の名を挙げるのか。 読んで納得です。 なんといいますか、よく騙し絵にたとえられているようですが、そうではなくて。 終章の前に4章あるのですが、それぞれ視点が違います。 その4章がそれぞれの絵を描いていて、その4枚を重ねて透かして見ると初めて本物の絵が浮かび上がってくるような。 だから章を重ねるごとになんとなく真相の予想がついてきてしまったのはしょうがないのでしょう。 それでもその仕事は職人の技としかいいようのない巧みさ。 まさに溜息のでる美しさでした。
2投稿日: 2013.03.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2011、2月読了 初版は1978年だそうです、泡坂氏の作品全てを読んでるわけではありませんが、今のところ全くハズレなし!この『湖底のまつり』も凄いミステリでした。 以下ネタバレあると思いますのでご注意ください。 全4章からなっておりそれぞれの章の書き手が異なります、なんとなく叙述の匂いがプンプンしてました。読み返しながらここが大きなヒントじゃ?とか、ここは伏線になっててここに繋がるんじゃ?とかかなり集中して読んだつもりですが、さっぱりわかりません??新しい事実が露見すると前の事実が否定され、伏線がここに繋がると思えば、また別のとこにくっついて…というような読者を迷宮の奈落へ突き落としてくれる作品です。 それで最後は納得の結末が用意されてるので、唸るしかなかったです。 とまぁミステリとしての完成度は非常に高いと評価するのですが、突っ込み所はあるかもしれません。人によっては相容れないかも? 個人的に特筆すべきは、性描写がまるで官能小説のようなというか…日本語ってスゴイな!と思いました。というか日本語を操ってスゴイ物語を紡ぐ作家さんがスゴイのです。誤謬の多さ巧みさ、立体感あふれる描写にエッチなシーンがとても鮮明に浮かび上がってきます。 官能的な描写がこれほど印象的なミステリはかつて経験したことがなかったです
1投稿日: 2012.03.15
powered by ブクログ幻想的な舞台で、同じようなラブシーンが二度くりかえされる。これに合理的な説明はつくのか… 結末に賛否両論はあるだろうけど、個人的には「アリ」だった。荒唐無稽なからくりも、筆力と雰囲気作りで物語世界に引っ張り込んでくれるなら大歓迎。もってっちゃって下さい!
1投稿日: 2010.07.10
powered by ブクログ同じ「幻影城」出身の連城三紀彦氏が「『湖底のまつり』は泡坂妻夫という幾筋縄あっても縛れそうもない、したたかな作家が、絵筆をペンにもちかえ、文章で描いた一幅の絵-それもただの絵ではなく、どんな小短編でも大ペテン師であり続ける氏が、大掛かりな詐術で描いた巨大な『騙し絵』なのである。」と解説した、氏の第三長編。 騙し絵である以上、内容は語りません。 ただ、より一層、楽しむために、一つだけ。 是非、第一長編「11枚のとらんぷ」・第二長編「乱れからくり」を読み終えてから、こちらを読んでみて下さい。 騙し絵だけに、何も騙りませんよ~(^_-)-☆
1投稿日: 2010.02.13
powered by ブクログ他の作品とは趣向がかなり違うけれど、読み進めるにつれて深まる謎。消え行く村での伝統の祭や、一夜の甘美な体験。目の前にその情景が見えるような錯覚をおこし、ドキドキしながら読み進めました。同じ趣向の作品「妖女のねむり」もおすすめで。
1投稿日: 2007.02.11
powered by ブクログ読後、確かに眩暈はする。タイトルの付け方もいいし、性描写も巧いとしか言いようがない。しかし、人物に全く共感出来ない。「騙し絵」を違和感なく完成させるため、ストーリーに無理があるような感じが拭いきれない。ロス・マクドナルドの「さむけ」を思い出した。共通項は少ないかもしれないが、眩暈とさむけの読後感はよく似ていると思った。
1投稿日: 2005.08.07
