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powered by ブクログ891 浜岡 究 拓殖大学言語文化研究所講師。専攻は、大西洋周辺域研究を軸とした歴史・文学・語学。著書は『あいさつはボンジーア!なんとかなりそうブラジル・ポルトガル語』(三修社)ほか多数。訳書に『アソーレスの黒い火山島』(彩流社)ほか。 はじめてのポルトガル語 (講談社現代新書) by 浜岡究 ブラジルでもポルトガルでもビールは cerveja ですが、生ビールとなるとブラジルでは chope、ポルトガルのリスボンのあたりでは caneca、コップに入れた生ビールを imperial といいます。コインブラの街以北に行くと imperial といわずに fino といいます。 bom という形容詞も便利なことばです。 bom は形容詞で、代表的な意味は「よい」です。女性形は boa です。ポルトガル語の名詞には男性形と女性形があり、冠詞も名詞の性によって変化し、形容詞も変化します。名詞が複数形になると冠詞も形容詞も複数形になります。これを「性・数の一致」といいます。これについては、次章で学習します。 ポルトガル語には日本語のひびきに似た単語や表現があります。その中には、ポルトガル語圏ではあまり言わないほうがよいとも思われるものもあります。それらはどのようなものでしょうか。 「人間」と似た音声がポルトガル語にあります。それは ninguém です。この語は、「誰も~ない」を意味して英語ではnobodyに相当します。 アイと言えば、恋愛を思い浮かべる人も多いかと思います。ポルトガル語で ai は、痛み、苦痛などを表すものです。早い口調でアイアイと言えば違いはわかりますが、アーイーと音調なども上下させて発音する場合もあります。気持ちがいいときに発する「あーいー!」とはまったく違います。喜んでいるのではなく困っているのかもしれませんので、知っておくことが必要です。 日本に住む日系ブラジル人が暴漢に襲われたとき、 ai といったところ、これが気持ちいいときの「あーいー」と勘違いされ、殴り続けられ死亡したという話を耳にしたことのある方もいらっしゃると思います。 ポルトガル語の動詞に「かゆいところをかく」という意味の coçar があります。「私がかく」となると1人称単数の動詞の変化で coço となります。「尻」を意味する単語に cu があります。そして、 douro ですが、英語のofに相当する前置詞 de と「金」を意味する名詞 ouro が短縮した音声は、「道路」に似ています。ですから、「高速道路」と言えば、「私は金の尻をかく」という音声に似ているのです。しかも、尻の横のほうをかくのではなく、真ん中あたりを意味するのが cu なのです。高速道路に限らず、「高速」には注意しましょう。 日本語で大声を出して「おーい。ここ、ここ、この席が空いているよ」の「ここ」は「うんち」を意味するポルトガル語の音声に似ています。大声でなくても、地図や図面を広げて会議をする場合、ペンや指でさしながら「ここで」とか「ここから」とか日本語で言うと、聞いているブラジル人は笑ってしまうかもしれません。「ここ」という日本語をうっかり口にしないように……。 ポルトガル語に herói「英雄」という単語があります。語頭のhは発音しませんので、エロイになりますが、日本語とはだいぶ意味が違いますので、注意しましょう。 ポルトガル語に sacana という卑語があるのです。白水社刊『現代ポルトガル語辞典』によると「他人の手淫をする人」ともあります。このサカナというポルトガル語は、ポルトガル語圏では普段の生活の中で人を軽蔑する意味で実際に使われていますので、「魚」は言わないほうがいいでしょう。 -ar動詞の半過去形の活用は次のとおりです。 amar(愛する) を例にみてみましょう。 ヨーロッパにあるポルトガルの首都リスボンは遊ぶところ、コインブラは勉強するところ、ポルトは働くところと言われています。ポルトガルの3大都市は伝統的にこのように比較されています。 ポルトガルでは朝食のことを pequeno almoço といいます。直訳すると「小さな昼食」です。朝から「ミニ昼食」のようなものを食べるのかというとそうでもないです。例えば、朝早く7時ころに食べる人もいれば、10時頃に遅めに食べる人もいます。人によってはパンケーキとコーヒーとか、またある人はエッグやハムなどをしっかり食べたり、まちまちでしょう。ですから昼食の前に食べるものであり、大小を言っているものではありません。 ポルトガルやブラジルにしても、つきあってみればとても穏やかな性格の人ばかりで、仲間意識がつよく、 amigo(友だち) の感覚で誰とでも気軽に話し合ってくれます。人当たりも感じが良くて優しい物腰です。国家や民族の歴史的な形成の経緯から、個人の尊厳が重視されるようになったと思われます。日本の調和重視主義がいいのかラテン系の個人重視がいいのかは別として、相手を侮辱するにしても、棄て台詞を公にいうことも徹底的にやってしまうことのある理由も民族の歴史的経緯から理解できないことではないでしょう。われわれ農耕民族の日本人には理解できない、人間としての個人の尊厳を要求する過激さがラテン系の人びとの深層心理にあるのではないでしょうか。 わたしたち日本人がヨーロッパの複数のことばを勉強すればするほど、共通点が見えてきます。新たな発見ができて、楽しくなります。ここまで外国語の重要性が言われ、世界も狭くなり、外国を理解することが必須の時代にありますが、筆者がポルトガル語を教えている中で、まだわたしたち日本人にはその楽しみがあまりなく、学習の困難さだけが身にしみているようです。どうか、本書を読まれた人びとの意識が変わって、ヨーロッパやヨーロッパのことばが話される南北アメリカ大陸について興味を持つようになってほしいと思います。
0投稿日: 2024.06.21
powered by ブクログ【メモ】 ポルトガルとブラジルの言語の違い: 1.発音が少し違う。 2.目的語の位置が違う。 3.ブラジルでは、書き言葉と話し言葉がかなり違う。 4.単語が違うものが多い。 ※ブラジルのTVドラマがポルトガルで放映されているので、ブラジルのポルトガル語がポルトガルで通じないということはない。
0投稿日: 2012.07.21
powered by ブクログブラジルポルトガル語の入門書。他にも入門書は持っているが、これは文章がメインなのにわかりやすい。例文が多く、口語での使い方も記載されているのがとてもいいです。
0投稿日: 2011.03.22
powered by ブクログ新書で学ぶブラジルポルトガル語。カラーや図表を多用した語学書が多い中、文字ベースでここまで使える参考書に仕上げた筆者の力量に感服しました。頻出動詞、よく使う言い回しはもちろん、初級本ではあまり触れられない接続詞、つなぎの言葉にまで説明は及びます。必要な文法事項は一通り解説されていて、しかも非常にわかりやすいです。新書版なので持ち歩きも便利です。これは、文句なく5つ星!
0投稿日: 2011.02.04
