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オーブランの少女
オーブランの少女
深緑野分/東京創元社
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総合評価

67件)
3.8
10
34
12
5
0
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    このレビューはネタバレを含みます。

    表題作「オーブランの少女」を読み終え、それ以外は未読ながら思うことありレビューをしたためることとする。以下ネタバレあります!注意してお進みください。 序盤から時代、土地などの記述がなくファンタジー的な作品と思いつつ読みすすめるのだが、世界観の正体が判明していく中で、そういうことか!と思いいたる。背景は第二次大戦ただ中のフランス片田舎であり、ナチス独がユダヤ人狩りの悪政を行っていいる。その中での無知蒙昧なる少女達の物語であった。作者深緑氏のデビュー作であり、氏の作品では「戦場のコックたち」のみ既読である。が、しかし深緑の創作における原点的なもの、これは先の大戦、特に欧州戦線における様々な事象を見つめ直すことにから始まっている!としか思えないのである。「戦場の~」のレビューでも述べているが、ストーリーは実際の空挺団の動きを追う中での創作であった。また未読であるが「ベルリンは晴れているか」は終戦直後のベルリンを舞台にしている。 日本人であり女性である深緑氏が、ここに大いなる興味を持ち(妄執といってもよいくらい)作家生活を始めた、という事実は個人的にも非常に非常に興味をそそられる。氏は1983年生まれのようであり「戦場~」の元ネタである「バンド・オブ・ブラザーズ」が製作されたのは2001年である。20歳未満の女性の一般的趣味嗜好からはかなり外れていると思うのだが、深緑氏がここにのめり込んでいたのは疑えない。おそらくその素養はあったのだろう、そのきっかけを知りたい!と切実に思う。読み物だったのだろうか?歴史書か?はたまた自分を始めとするミリオタらしく戦争映画だったのあろうか?で、あるならば「プライベートライアン」1998あたりからか?氏の成年月日より遡るなら、様々な良作がある中、どんな映画を見たのだろうか?ここにはオタクのシンパシーを感じてやまない。 「ベルリン~」も依然より注視していたが、早急に読破リスト入りすることとなった。とはいえアニメ化された「この本を盗むものは」を探したがなかったので「オーブラン~」たどりついたのである。第二次大戦から離れた氏の作風にも注目している。

    1
    投稿日: 2025.12.23
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    深緑野分さんの2冊目。 「この本を盗む者は」では★1。 もうこの作家さんはいいかな〜と思ってたんだけど、つい手に取ってしまった。 だってさー。 このうらすじだよ。 【美しい庭園オーブランの管理人姉妹が相次いで死んだ。姉は謎の老婆に殺され、妹は首を吊ってその後を追った。姉の遺した日記に綴られていたのは、オーブランが秘める恐るべき過去だった】 そりゃ読みたくなるでしょー。 長編かと思ったら短編集だった。 しかも全てに『少女』が絡んでいる。 ・オーブランの少女   著者デビュー作。   集められた少女たち。   いや、そうはならんだろう。 ・仮面   踊り子の少女。   ジジイが美少女に惚れるとろくなことにならんよ。 ・大雨とトマト   大雨の日にやってきた少女。   脳内妄想右往左往。 ・片想い   昭和初期の女学校。   エスってどっかで聞いたな。 ・氷の皇国   ファンタジー世界の少女。   王族美少女は大体残酷で厄介。 いずれもミステリー仕立ての物語。 「この本を〜」でも思ったことだけど、この人のって設定の説明がくどい印象。だるい。 いろんな世界を舞台に選んでるが、それを書きたいと思ってやってるのだろうが、読んでる方は、特に俺のように頭の回転やスタミナが足りない人間にとってはけっこう大変。 思いきってぶん投げてしまうか、もっと物語に沿って興味を引くようにしないと読んでる方は眠くなる。 それでも短編だけに「この本を〜」よりはまだマシか。 やっと設定を頭に入れて読んでも内容が軽くて「ふうん」で終わってしまう。 苦労して山を登ってもあまり眺めがよくない登山を繰り返してるよう。 ちょっと残念。

    38
    投稿日: 2025.12.03
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    短編集、ダークファンタジーのような幻想的な雰囲気なのに現実味も強くて、それがまたひたひたと怖い。 少女たちの脆さと強かさに心がきゅっと締め付けられる。 切ないけれど、その両極端な部分が諸刃の剣剣のようにまわりを傷つける可能性も自分たちを傷つける可能性もはらんでいてどきどきする。 表題作である『オーブランの少女』がデビュー作とは、物語の完成度がすごい。

    0
    投稿日: 2025.08.27
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    海外の作品かなと思ってしまうくらい異国の描写がうまいです。かと思えば明治の文豪の作品みたいなのもあるし…ミステリーの内容も短編ながらもしっかりと組み立てられてます。

    8
    投稿日: 2025.06.04
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    【オーブランの少女】 大人たちの都合で少女たちは集められ 大人たちの都合で先行きを決められる 抗った二人の少女は…… 人間 このおぞましい生き物 他者の命を奪った者には厳罰を与えるのに 戦で敵の命を奪う者は褒められる 何という矛盾 【仮面】 人は皆仮面を付けているのかもしれない 【大雨とトマト】 外は嵐、日曜日のレストランでの出来事 店主である父親の千々に乱れる想いがちょっと痛々しい 少女はどうするのだろう 【片想い】 高等女学校の寄宿舎、同室の二人の少女の想いと想いが若くて青くて良いなあ 【氷の皇国】 小さな漁村、網にかかったのは人の亡骸 二人の少女におきた出来事が とても とても 悲しい……

    5
    投稿日: 2025.06.01
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    現在、ドはまり中の深緑野分。様々な書評を見ると、単行本デビューとなる本書「オーブランの少女」を推す声が多数見られたので読みたくなった。だいぶ出版が古くて書店では入手できなかったので、困った時のBOOKOFFで探したところ・・・ありました。 深緑野分のことについては殆ど何も知らないまま作品にのめり込んだので、巻末の瀧井朝世の解説は本当に参考になった。やはりこの本の位置づけはかなり重要なので、この時点で読んでおいて良かった。本としての全体像は実に多岐に亘っており、作者の文章構成力の高さを目の当たりにした。どんなジャンルの作品でも書ける実力が確実にある。本書は短編集なので、一つの作品を読み終える度に、次の作品では私をどの様な世界に連れて行ってくれるのかワクワクしながら作品を読み始めることができる。さて、個別に感想を述べたい。 〇 オーブランの少女 最初は普通の秘密の花園的な世界から入るのだが、急に不穏な世界に引きずり込まれてしまう。この良くあるパターンに知らず知らずのうち引き込まれ、結果として初めに戻る。 〇 仮面 もうアトキンソンが可哀そう過ぎる。医者になるくらい頭がいいはずなのだが、小娘に簡単に騙される。医者に必要な記憶力をいくら持っていても、頭の回転が悪いのではいずれ滅びる。まあ、結果的には嵌められて犯罪者となった訳だが、自分の能力をきちんと把握していないとこうなってしまうのだな。 〇 大雨とトマト 店主、いるよね、こんなオヤジ。でも、オヤジの色っぽい話で終わるのかと思ったら、よもやの募金箱の話で締め括るとは、これもどんでん返しの一種か?募金箱から金を抜いた犯人は、読者は判った。しかし、オヤジや妻は犯人を知らないまま今後も生きていく。オヤジが写真について息子に聞いても、普通なら息子がしらばっくれて終了。 〇 片思い 岩様は江戸時代だったらお岩さんか。でも名前の方が薫子さんとはね。あまりにもギャップが大き過ぎる。お岩さんだと、あまり良いイメージではない。最初は暗くて寡黙だったが、物語の後半では一転して迫力のある台詞が続く。さぞかし水野環ならぬ杉浦友子さんは怖かったでしょうね。題名から考えてもてっきりGLの話かと思ったのだが、さすがのどんでん返しが後半を盛り上げてくれた。 〇 氷の皇国 ありの~ままに~♪の世界の話かと思ったら、なんと、こてこてのミステリー、謎解きミステリーとは全く予想できなかった。しかし、杉下右京ばりの皇后陛下の推理で一件落着となるとは・・・もう素晴らしすぎて感動です。後日談も痛快痛快、満足の極みです。 深緑野分も麻薬・覚醒剤の様な作家。最近の私はいろいろな薬に手を出している。彩瀬まる、村山早紀、そして深緑野分。誰が大麻か、コカインか、LSDかは言及しないが、とにかく禁断症状を抑えるのに心底苦労している。うっかり連続摂取するものなら、知らないうちに長時間読み続けて睡眠時間が削られる・・・やっぱり麻薬・覚醒剤じゃないか!最近ではちょっとしたきっかけで伊坂幸太郎も使ってしまった。一時期やめていたのに・・・脱法ドラッグか?依存症って怖いですよね。もう抜け出せない。誰か助けて。おねがい。

    16
    投稿日: 2025.03.05
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    中学の時に読んで、衝撃的だった。 当時、怖いと思ったけれど、今読んでみるとやっぱ面白い。こういう後味もいいな、と。

    0
    投稿日: 2024.07.05
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    短編集ながら読み応えがあり、楽しめた。 表題作は言わずもがな、「大雨とトマト」「氷の皇国」がとても印象的。訳あって長く積読本化しており、重い腰を上げたつもりがページを捲る手が止まらなかった。 表題作は思いつきで逆から読んでみたのだが、これがストーリー的にも思いのほか効果的で、最終的に「こういうことだったのか」と腹落ちした。 解説もとても良いのでおすすめです。

    4
    投稿日: 2024.05.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ずっと気にはなっていたけど、深緑さんの作品は初めて読みました。短編集ですが共通点は「少女」が主役。個人的には最初と最後の「オーブランの少女」と「氷の皇国」が印象に残りました。前者はラストがとても怖く、後者は切ないながらも穏やかな時間を感じる作品。どれもとても面白かったです。

    6
    投稿日: 2024.03.24
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    深緑先生のデビュー短編集。 まずそのバラエティ豊かさに驚かされる。第2次世界大戦下のフランス、ヴィクトリア朝時代のイギリス、昭和初期のの女学校の寄宿舎、中世北欧の辺境地と舞台も時代も自由自在だ。飽きることなく読ませていただきました。以下、特に印象に残った感想を 「オーブランの少女」 表題作。非常に映像喚起力の高い文章。 緑の庭園、白い館、マロニエ並木、キングサリの藤棚、白いスカート、青い瞳、赤いリボン、軋む歩行具。 なぜ海外が舞台?と思いましたが、なるほどこの残酷な世界はフランス郊外がしっくりきます。 そして残酷な世界には少女達がぴったりなのです。 「仮面」 本当に最終番になってから、ただ醜いとされてたアミラの秘密が記述されます。アミラとは決して分かり合えない隔たりを感じました。 「片想い」 昭和初期の女学校の寄宿舎が舞台。日本が舞台でも変わらず面白かったです。 「氷の皇国」 架空の国の辺境地。時代はわからないけど、多分中世の北欧がモデル(トナカイが住む、白夜と極夜が訪れる地)。最も読みごたえがありました。

    5
    投稿日: 2023.02.22
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    本書収録の「オーブランの少女」で2010年に第7回ミステリーズ!新人賞で佳作に入選した深緑野分が2013年に発表した短編集「オーブランの少女」の文庫版。少女をテーマにした「オーブランの少女」「仮面」「大雨とトマト」「片想い」「氷の皇国」の5作品を収録。時代や場所を変えて描かれる少女たちは妖しい魅力に溢れています。基本はミステリーですが、作品ごとにホラー、ダークファンタジー、エスなど色々な要素が混じりあい独特の雰囲気を漂わせています。

    0
    投稿日: 2023.02.02
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    ミステリーも短編小説も読んだことがなかったが、全て面白かった。 これがミステリーの醍醐味なのだと思うが、最初に読んだ時は全く気にも留めなかった一文が、最後、謎が解決した後で伏線だったと気づいた時の爽快感が素晴らしかった。 短編だからすぐに二度目を読み始めてどこに伏線が張られていたのか確認することができたのも良かった。 ミステリー沼第一歩としてはとても良い作品だったと思う。

    0
    投稿日: 2023.01.30
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    2013年版は装丁が好みじゃないので誰かが紹介してくれなかったら手に取らなかったと思う。 表題作「オーブランの少女」はナチスドイツの侵攻が始まったフランスに作られた訳ありのサナトリウム。「仮面」ヴィクトリア朝時代イギリスが舞台。「大雨とトマト」大雨の日、安食堂にやってきた常連客と突然やってきた少女。「片思い」女学校。駆け落ち。身代わり。「氷の皇国」北の辺境にある漁村に流れ着いた首のない死体。ガラス細工。 欲しいものを手に入れるために少女は衝動的になり、残酷にもなる。怖い。

    1
    投稿日: 2023.01.24
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    「少女」をモチーフとした短編集。イギリスの、フランスの、北国の、大正時代のそれぞれの場所の描写も雰囲気が目に浮かぶし、ちょっとしたミステリーも粒が揃ってて良い感じ。初の深緑野分の本だったから最初の印象が強いのかな、表題作が一番好み。

    1
    投稿日: 2023.01.12
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    友人に勧められ初めて読んだ作家だったが、文体も読みやすく面白かった。 時代も場所もバラバラな短編集で、全体的に仄暗い美しい描写が際立つ。

    1
    投稿日: 2022.07.09
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    庭園「オーブラン」の管理人が殺された。自殺した妹の日記を元に、少女たちの寄宿学校(サナトリウム)で起こった凄惨な事件を辿る。閉鎖された空間で起こる血生臭い事件に引き込まれる。「氷の皇国」も良い。

    14
    投稿日: 2022.05.10
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    最初は怖かったですが、どんどん引き込まれました。これがデビュー短編集とは…その後のご活躍もうなずけます。

    3
    投稿日: 2022.05.07
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    第七回ミステリーズ新人賞佳作入選作である、表題作を含めた短編集。 美しい庭園を管理する老姉妹が亡くなった。姉は謎の老婆に殺され、妹は首を吊って姉の後を追った。 なぜ殺されたのが、謎の老婆は誰なのか? この庭園にまつわる謎とは何なのか? 舞台設定や世界観など悪くないが、読むスピードはあがらず、表題作のみ読んだ。

    1
    投稿日: 2022.04.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ――  深緑さんの書く残酷な少女性、というのはきっと今後、ひとつの象徴となっていくんじゃないだろうか。  良くも悪くも、原石のような短編集でした。  テーマ設定やプロットは完成されていて、けれど魅せかたやストーリーテリングなど、技術的な部分に硬さや甘さが見える。それでも、作家自身の魅力がしっかり現れているというのは流石だなぁと思いました。出るべくして出る、とはこういうことなんだろうなぁ。  特に感じるのはなんというか、ミステリセンス? みたいな部分。ハコのデザインと、ひとつの真実で世界が一変する快感のつくりかたは抜群。まぁ読んでいる方は快感でも、登場人物にしてみれば幸不幸が判然としなかったりするんだけれど、そういう、真実の善性みたいなところも描きどころではある。腕の見せどころ、というか。  その分設定偏重なところで、唐突さやガイドバイアスの強さを感じてちょっと読みが躓く部分もあったりするんだけれど、そこはもうちょい。  一変する世界、反転する世界という点で、ミステリに少女はよく似合う。なるほどそう云われるとそんなのばっかり読んでいるかもしれない。  これからも、楽しみです。星3.3

    0
    投稿日: 2022.01.02
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    短編小説? 最初長編かと思って読んでたけど違ったぽい笑 なんか良くわかんなかったから途中でやめた2020/12/06 12:48

    0
    投稿日: 2021.09.20
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    「オーブランの少女」☆☆☆☆  病気を抱えた少女たちが集められるサナトリウム(療養施設)があった。そこでは治療と同時に教育も受けられる。しかし、そこでは少女たちは本名ではなく花の名前で呼ばれ、家族を含めて外界と隔絶された生活を送っていた。  どうやら施設には秘密があるらしい。安易に人身売買のための施設かと考えたが、それでは説明のいかないことも多い。果たして真相は?  オーブランの庭園の描写がきれいだった。緑豊かな様子、庭園に差す光。『この本を盗むものは』で見られた色彩豊かな情景描写の原点はここにあったのだな。 「仮面」☆☆  主人公の男アトキンソンは医者をしている。ある患者のメイドの妹はとても美しい少女で、彼は恋をしてしまう。そして、メイド姉妹がひどい扱いを受けていることを知った男は主人の殺害を計画する。  なんとなくオチが読めてしまうのと、悪意に塗れただけの世界が好きになれなかった。 「大雨とトマト」☆☆  男が営む飲食店に少女がやってきて、「父を探している」という。男には妻子がいるが、むかし一夜だけ関係を持った女がいて……。  またもオチが読めてしまううえにイヤミス。 「片想い」☆☆☆  主人公の少女は女学校に通っており、同室には同級生にも下級生にも慕われる人気者の友人がいた。二人は親友関係にあったが、友人は何か隠し事をしているらしい。  オチは読めるが後味は悪くない。 「氷の皇国」☆☆☆  ある皇国で、皇位継承権のために皇女が弟である皇子を殺害する事件が起きた。しかも皇女はその責任をメイドや兵士になすりつけて処刑しようとする。弁明しようにも、裁定人となる皇帝もまた傍若無人で、憶測による皇族への反論を許さない。  皇女が犯人であることが明らかな殺人事件において、禁止カードが多い中でどうやって皇女の罪を明らかにするかと考えるのが面白い。ただ、最終的な解決策が禁止カードの一つで、「実はこれ禁止じゃないんですよね」という感じで出てくるのが納得いかなかった。それでも、閉ざされた国の寒々しい情景は印象に残った。深緑さんにはやはり情景描写が生きる作品を書いてほしい。

    5
    投稿日: 2021.09.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    短編集 ・オーブランの少女 少女たちの幼くもあり美しい。花など情景の描写も美しい。しかし内容はおぞましく読み終わったあと最初の方をもう一度読み返した ナチス表題にしてるのねーお姉さん生きてたのスゴすぎる。生命力すご 序盤で約ネバやん!?てなった 百合感あるよね ・仮面 姉妹愛 そんなおもしろくはない ・大雨とトマト オチで少しえー!てなる どんでん返しではないけど 息子かえってきてたらどうなってたんや ・片想い 環様と岩本様の百合小説? って思ったけど、、色々な百合展開でワーとなった。 時代は違えどやっぱ女子校だとこういうのありそうーてかあるよねって思った ・氷の皇国 途中で飽きた 面白くない

    0
    投稿日: 2021.09.02
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    少女にまつわる短編集 ・オーブランの少女 美しい庭園で過去に起こった恐るべき事件。施設が崩れていく描写は読むほどに緊迫感が読み手に伝わる。愛らしい少女たちを取り巻く不遇な運命とそれに逆らう2人の少女の美しい友情に胸を打たれた。 ・仮面 大人を欺く少女に寒気を覚えた。 ・大雨とトマト ラストの少女のセリフと、料理屋の店主に息子がいるという事実を頭の中で反芻してそういう事か、と理解すると同時にため息をついてしまった。 ・片想い 異国の内容が多い本書の中で純和風な文章が数多く目立つが、非常に読みすい。 当時の女学生たちはこのような暮らしをしたり、恋愛観を持っていたのかと思うと興味深かった。 ・氷の皇国 ケーキリア姫の美しい容姿の描写と、その残忍性。16歳でも大人の女性と変わらないと思わされると同時に、その内面はやはりどうしようもなくどこまでも子供なのだと思わされる言動が見られてどうしても最後まで憎むことが出来なかった。 総評 全編を通して、世界観がしっかりとしていて、登場する少女たちも美しい子から、個性溢れる子ばかりで彼女たちの儚く愛らしい姿と、決して愛らしいだけではない闇や狂気、おぞましさを感じさせる結末に感嘆を抱かざるを得ない。これが著者のデビュー作だということなので、他の作品への期待も高い。 ミステリとしては、およそ結末に予想がつくであろうが、そこも含めて読了後にかなりの充足感を与えてくれる1冊と言える。

    1
    投稿日: 2021.09.02
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    これがデビュー作だなんてすごい。 あらすじにあるとおり時代も国も違う少女たちを主人公に、 テイストがこんなにも違う五つの物語が収録されているのに驚きです。 表題の「オーブランの少女」とトリの「氷の皇国」が衝撃的で濃くて 特に心に残りました。 北村薫さんのベッキーさんシリーズが好きなので「片思い」も良かったな。 環さんを守りたい岩様が可愛らしかったです。

    0
    投稿日: 2021.08.30
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    世界観の作り込みが見事で短編集とは思えないくらい濃かった。 読み終わった瞬間どっと疲れるほど物語に引き込まれた。 愛らしい少女はどこにもいない。 おぞましいのに読む手が止まらない表題作。 残酷で美しい「氷の皇国」。 ミステリー関係なく、少女小説として読んで欲しいくらい。

    1
    投稿日: 2021.08.25
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    『オーブランの少女』 オーブランの美しい庭園で、ここの女管理人の老婆が殺される。その死体の近くにいた犯人とおぼしき人物は、人というにはあまりにも朽ち果てた姿で立っていた。たまたま娘と二人でこの庭園を散歩している途中、その惨劇に遭遇した「わたし」は、とある事情で入手した昔の日記を読み、ここで当時起きた恐ろしい出来事と、それが引き起こしたこの殺人の真相を知る。 『仮面』 霧深く、凍えるような寒さのロンドンの深夜。 貧乏で冴えない風采の町医者が、患者である女性を殺害するシーンから始まる。その動機は、あどけなく可憐な幼い踊り子の少女を救うため。彼に人殺しを持ちかけた人物の本当の目的は。。。 『大雨とトマト』 外は大雨。お客は常連の男性ひとり。そろそろ店を閉めたいオーナーだが、そこに一人の若い女性が入ってくる。彼女が注文したものは、トマトだけのサラダ。なぜ彼女はこんな大雨の中、わざわざこの店に入り、そしてトマトだけをひたすら食べ続けているのか。 彼女の顔をどこかで見たことがあるように思えてきたオーナーは、若かりし頃、一度だけ関係を持った美しい女性にどことなく面影が似ていると感じ始める。 『片思い』 昭和の香りが色濃く漂う作品。 物語の舞台は女子学生寮。一方は美しくみんなの憧れのお嬢様、もう一方はがっしりした体格の活発な女の子。正反対の見た目と性格の二人は、そのおかげなのか仲良くやっていた。あることがきっかけで、お嬢様の秘密が露見するまでは。 クラシカルなタイトルがいい。恐らく誰しもが一度ならずとも抱くこの思いが甘酸っぱい香りを放つのは、少年と少女のときだけなのかもしれないなと思う。 『氷の皇国』 イメージとしては極寒のロシア(行ったことないけど)。 ユヌースクの皇帝は、自国の民に対して非常に冷徹で残酷だ。 あるとき、彼の跡継ぎである息子が城内で毒殺される。食事後にすぐに死んだため、配膳係の二人の少女が疑われ、無実の罪を着せられる。 二人を待つのは、公衆の眼にさらされての死刑だ。 皇帝の息子を殺害したのは誰なのか。 犯人だといきなり告白した、少女の父親が真犯人なのだろうか。それとも、賢く美しい皇帝の娘が弟を殺害したのであろうか。それとも犯行を否定している少女のうち、どちらかが犯行に及んだのか。 その動機は切な過ぎるほど自分勝手で許しがたいものだったのだが。。。 ファンタジーとミステリーがほどよく溶け合う、味わい深い物語となった。 短編にしては長いのかもしれないが、その長さがほどよくいい。 まるで海外の小説のような雰囲気を持つ5つの短編。本のタイトルにもなっている『オーブランの少女』に出てくるサナトリウムのような施設は、以前読んだカズオ•イシグロの『わたしを離さないで』を彷彿とさせた。 くすんだ鈍い色を放つ味わい深い陶器のような、そんな感じの本だと思った。

    0
    投稿日: 2021.08.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「未知のものを怖ろしく思うとき、それを映しているのは自分の眼だということを忘れてはならない」ーーというようなことを自分に言い聞かせていなければ、無邪気に陶酔するか、恐怖でこころを凍りつかせてしまうかのどちらかだったと思う。精緻に組まれた謎はそれだけうつくしい。この特徴は表題作「オーブランの少女」と最後を飾る「氷の皇国」にひときわ目立った。 作者・深緑野分はたしかに、ひとのこころに「鮮烈な色」を刻んでいく作家だと感じた。

    0
    投稿日: 2021.05.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    どのはなしの少女も、特別なものがあるわけではないのだけど、印象的。 「オーブランの少女」は、映画「エコール」ぽいなあと思ったら、やっぱり念頭にあったらしい。 「片想い」も、「倒立する塔の殺人」ぽい。 どちらも好みのモチーフ。対になる少女たちの関係性も好き。 あまりミステリとは思わずに読んだけれど、最後のはなしの謎解きはおもしろかった。 架空の国の設定もよかったし、作中で過去にあったこととして語られるのもいい。 初めて読んだ著者さんだったけど、他のものも読もうと思う。

    2
    投稿日: 2021.03.15
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    少女が主要キャラとして出てくる以外、時代も国も舞台の異なるミステリ短編集。 風景描写が素晴らしく美しい。 特に表題作のキングサリや、最終作のランプの階段なんかは夢のよう。 なのに、起こる事件はえげつなく、その落差がまた面白い。

    1
    投稿日: 2021.01.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

     オーブランの少女  1番面白くて印象に残ってる作品。今作のインパクトが強すぎて、他の作品が薄れるくらい強烈。  隔離された施設と少女、優しい大人たち。約ネバみたいな裏がありそうな雰囲気が好き。美しいヴィオレット先生が悪鬼に成り果てる様が怖かった。自我を失っても管理人の姉に復讐する執念が凄まじい。手記編のどこまでが真実か、私はどこまで脚色したのか、想像力を掻き立てられる。  仮面  美人だったアミラが自分で顔を築いてつけた理由が気になる。同情しやすくするためか、それとも表情を読めなくするためか。いずれにせよ、ポーリーンの仮面なんかよりも、アミラの顔面の方がずっと仮面っぽい。  大雨とトマト  2階の妻、1階には美人な娘と謎めいた常連の男。上下で翻弄される主人の慌てっぷりが面白かった。かつての浮気相手っぽい人が客だったらそりゃ焦るわな。しかも、外は大雨で出れずに缶詰状態とか地獄すぎる。  娘が名刺を捨てたは何故だろう。もう産むのを諦めたのかな。泣いてたって事は主人の息子にヤリ逃げされたとか。息子が店に居たら真相明らかになったのになー。とんでもない修羅場になりそうだが...。  片想い  エスという関係がピンと来なかった。親友でもなくレズでもない...うーん、分からん。  得をしてるのが環だけでズルい。友子と岩様はすれ違いの片想いで切ない。でも、友子への片想いを受け入れる岩様はカッコよかった。両想いよりも片想いの方が強い絆を生み出すのかもしれない。  氷の皇国  1番面白くなくて途中で読むのやめた。建物や人物の描写がクドイ。名前もカタカナばっかで頭に入ってこない。読んでて疲れたので断念。

    2
    投稿日: 2021.01.18
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    重厚なストーリーと、細部までこだわった緻密な描写で定評のある深緑野分さんのデビュー作品集。深緑さんというと長編のイメージがあるけれど、本書はタイトル作品をはじめとする5編の短編小説で構成される。共通項は「少女」である。 大人でもなく、子どもでもない、どこか不安定な存在である少女。そして、大人の狡知と、子どもの残酷さを兼ね備えた存在である少女。本書は、時代も国も、はたまた住む世界さえ違う少女たちを描き、そのどれも高い物語性を帯びている。さすが深緑さん、デビュー作からしてこれか! 深緑さんの作品は、不思議とどこか海外文学のような雰囲気が漂う。考証を重ねて構築された世界観がそう感じさせるのか、どこか突き放したような視点がそう感じさせるのか、最新作はこれまでとはまた違うテイストのようなので、読むのが今から楽しみで仕方がない。

    12
    投稿日: 2020.11.22
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    オーブランの少女(表題作)を含めた短編集です オーブランの少女は描写が美しくてそれでいて残酷で最後までストーリーに意外性があるのに全体として纏まっているというかなりハイレベルな作品でした これがデビュー作とは、、、才能があるのでしょうね。 とくに"オーブランの少女"と"氷の皇国"は美しい描写と残酷さ、起承転結の巧さが光っていました。

    1
    投稿日: 2020.11.15
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    日本人が日本語で書いているはずなのに、 ディケンズの翻訳ものを読んでいるような 「高貴な」感じが漂っている。 舞台設定も、どことも分からぬ異国 (後に判明しますが)だったり、 大正時代(?)の女学校の寄宿舎だったりと、 今となっては誰も「正解」を知らない世界で... 中々の「異世界」感(^ ^; でもその設定の中で、 揺れ動く登場人物の心象が丁寧に綴られており、 また日常の何気ない生活の一コマが ありありと眼に浮かぶリアリティがあって(^ ^ ものすごい「名作感」がにじみ出ている(^ ^; 創元推理文庫だし、一応はミステリに分類しましたが、 「謎解き成分」は主ではない感じ。 何と言うか、もっと「純文学感」が前面に出てる(^ ^; ...やたらと「感」が多いですが(^ ^; それほど、読んでて色々と感じるところがある、 と言うことで、一つ(^ ^;

    0
    投稿日: 2020.07.30
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    面白かった。 本当に今までどこに隠れていたの? といいたくもなる物語の名手だと思う。 これからの活躍に期待している作家さん。 どこか日本人ぽくなく、海外作家的な雰囲気がある。

    0
    投稿日: 2020.06.20
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    少女にまつわる5つの短編ミステリー。 それぞれ全く異なった時代や国を背景にし、その描かれる世界観が魅力的。ミステリーだけれどファンタジーを読んでいる気分になる。 とくに自然の風景を伴う描写が好きでした。 解説でモチーフや発想の起点となった作品が紹介されていたのも個人的に嬉しいポイントでした。

    0
    投稿日: 2020.06.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    短編集だが、各話とも異なる世界観があり、長編になってもおかしくない。次は、どんな時代のどこの話だろうとワクワクしながら、読むことができる。

    0
    投稿日: 2020.05.24
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    「戦場のコックたち」を読んで、この本も読んでみたいと思った。 異なる時代、異なる場所を舞台にした“少女”を巡る5つの物語。 ひとつにテーマを決めて書くのはなかなか難しいと思うが、これが変幻自在。 どの話も捻りが利いているが、謎解き以前に、設定に合わせてガラリと変わる文体やせりふ回しでそれぞれの時代や舞台を醸し出す語り口に惹かれた。 オーブランの少女…「戦場のコックたち」を読んだ後なので、作者が第二次世界大戦下のヨーロッパについて何かしら書かねばならないという思いが強いことを改めて知れる。 仮面…時代の雰囲気といった点ではこの作品が一番。哀れな男とそれを利用する少女の強かさが際立つ。 大雨とトマト…ちょっと風変りなお話。登場人物の素性に意外性あり。 片思い…これも昭和初期の雰囲気を良く映す。謎解き以上になかなか男前な彼女の心情が佳い。 氷の皇国…長編のような人物や背景描写が多少かったるかったが、それを過ぎると一気の展開。良く練れたファンタジーの体で、ここに書かれた以外のエピソードも読んでみたいと思わす。

    2
    投稿日: 2020.05.05
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    解説にあった「物語の起爆剤としてのミステリー」という言葉がこの作品を表していると思う。 凝ったトリックやあっと驚く仕掛けだけがミステリではない。 物語に深みを与えるフレーバーとしてのミステリ要素はもっと評価されて欲しい。

    0
    投稿日: 2020.03.09
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    あれこれと雑事に時間をとられているうちに、すっかり久しぶりのブックレビューとなってしまいました。。 手元立て込みやすく、読書すすみ難し……などと、思わずマイ慣用句をつぶやいてしまいたくなりますが、負けずに、めげずに、今年も少しずつ読んで、書いていきたいと思いますっ! というわけで、新年1冊目のレビューは深緑野分(ふかみどり のわき)『オーブランの少女』です。 もともと、皆川博子さんがインタビューで今気になる若手作家として名前を挙げられていて、読んでみたいな〜と思っていた作家さん。 本屋大賞にノミネートされていた『ベルリンは晴れているか』にもひかれつつ、ちょっと仕事や生活のタイミング的に大作に手を出しにくかったので、短編集・かつ・文庫版と気軽に挑戦できる要素が揃ったこちらから読んでみることにしました。 書名にもなっている「オーブランの少女」をはじめ、いずれも「少女」が主人公か、若しくは話の鍵を握る存在となっているミステリが集められた本書。 まず、私、昔からこの「少女」が美しく、儚く、一途でそれゆえ残酷さを発揮する、というお話がミステリを問わず大好きなんです〜〜。 そして、ミステリは謎解きのスリルも重要だけど、それが展開されるシチュエーションの美しさも大切にしたい派(え? そんな派閥あったっけ、というツッコミはおいておくとして)でありまして。 なので、その2つがバッチリ満たされた表題作「オーブランの少女」と本書のラストを飾る「氷の皇国」の2編が特に印象に残りました。 中でも「オーブランの少女」は、冒頭の美しい花園を管理する謎めいた老女2人の描写から、夢のように美しく展開される少女たちの友情物語、そしてやがてそれを侵食する殺人事件と炙り出された歴史の怖さが圧巻で。 怖い描写の部分が恐ろし過ぎて、これ小さい頃に読んでたら絶対に夢に出てきて困っただろうなーと思いつつ、光あればこそ闇が際立つことも、改めて感じた作品でした。 そして、「オーブランの少女」も「氷の皇国」も、過酷な少女時代を生き抜いて、歳を重ねた老女の存在が描写されているのがいいな、と。 若くて、視野が狭くて、感情的にも未熟だった自分を何らかの形で受け止めて、人々から存在を半ば忘れ去られながらも淡々と暮らす老女もまた、「少女」という存在の一つの発展型なんじゃないか。 勝手な深読みかもしれませんが、人生はやがては実を結んでいくのだという作者のメッセージに思えて、まさに「少女」と「老女」の中間地点にいる自分には、不思議と明るい読後感が残りました。 次回は長編にも挑戦してみたいと思います。

    4
    投稿日: 2020.01.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    少女が作り出す偏った世界が冷酷で甘美で、瞳を覗き込んでも窺い知ることのできない謎が広がっているようでした。‬ 表題作の美しい庭園、白いワンピースを着て手首にリボンを結んだ少女たちが目に浮かぶ。少女たちの無垢な美しさに惹かれ、この世界に迷い込んでしまいたいような気持ちにさせられる。

    0
    投稿日: 2019.10.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    短編集なのでいくつもの話を読んできたはずなのに、一番初めに読んだ本の題名にもなっている「オーブランの少女」が頭から離れない。始めに出てきた痩せて化け物になっていた人の正体がまさかあの人だったなんて、自分には最後の最後まで分からなかった。話の最後のシーンから、冒頭のシーンまでの間、どれだけの時間が流れたのか、あの化け物は下水の中で何を考えてきたのか等、色々と想像してしまう。読んでいて化け物の姿がありありと想像でき、頭にこびついてしまった。 綺麗だった人が醜く変貌していく様を描くのが上手なのかもしれない。この落差に惹かれてしまった。

    0
    投稿日: 2019.10.01
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    初めて読む作家さん ミステリ短編ひさびさだが、ミステリの頭ではなくて、いつも小説を読む感じで読めた。おもしろかった、ちょうどよいボリューム感。各短編、色が思い浮かぶ感じで、きれい、話は怖いのもあるけれど。

    2
    投稿日: 2019.09.01
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    デビュー作である表題作ほか、少女を切り口にした短編を5話収録した作品集。 ヨーロッパや日本、架空の北の国など舞台となる場所は様々だが、いずれも現代ではなく古めかしい時代設定。甘やかな秘密の気配と、その裏にある残酷で哀しい真相をうまく取り合わせてミステリー仕立てにしているものが多い。 それぞれの雰囲気がよく出ていて、海外の作品を読んでいるような気分に。最後の「氷の皇国」はファンタジーの長編にもなりそう。

    0
    投稿日: 2019.08.16
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    面白かったです。 初めて読んだ野分さんのお話ですが、再読でも惹き付けられました。 歴史ものや、日本の食堂での一夜、女学校、ファンタジーとバラエティー豊かなミステリでした。 どれもその世界にすっと入っていけます。 特に、「オーブランの少女」「氷の皇国」が好きでした。 オーブランの美しく病弱な少女たちは実は…とその壮絶な崩壊。序盤で書かれた悪鬼の正体がわかると恐いです。 氷の皇国は、ファンタジーでミステリな作品大好き…となりました。傲慢な皇女も、それを軽くあしらう皇后ヴェータも良いです。 野分さんはこの短編集ですっかり虜になり、「戦場のコックたち」が文庫化されたのでいそいそと買いました。読むのが楽しみです。

    2
    投稿日: 2019.08.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    私にとっては初読みの作家さんになります。 読んでいて、ものすごい才能に溢れた人だなぁって! シャーリー・ジャクスンのような「オーブランの少女」 は最高(^^) これから注目したい作家さんにまた出会えて幸せ。

    1
    投稿日: 2019.07.31
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    日本人の作家が書いたことに驚き。 作者名を明かされずに読んだら海外作家だと誤解してた。それくらい異国の雰囲気作りが巧い。 どれも少しずつテイストが違って面白かったが表題作には衝撃を受けた。 花々咲き乱れる美しい庭園、そこに秘められた忌まわしい過去、外界と遮断された病気や障害持ちの少女たち……。 花の名前をお仕着せられ腕に色違いのリボンを結んだ少女たちが、祝福された庭園で戯れる情景が涙がでるほど美しい。 情景描写が非常に秀逸で、豊饒な世界観にどっぷり浸れる。 ミステリー小説というより、少女たちの残酷さやおそろしさ、儚さや愛らしさ、哀しみにフォーカスした幻想小説の趣。 ごくほんのりとだが同性愛(に限りなく近い女性同士の友情)要素も含むので、その手の話が好きな人にもおすすめ。奇跡的なバランスで成立する箱庭のような子供時代を描いた、寄宿舎ものとしても出色。 皆川博子の海外ものが好きならハマる。 表題作は誰が被害者で加害者と、一面的に断罪できないのがなんともやりきれない。 狂気に侵された人間も元は善人で、崇高な理想や目的、なにより最愛の人を守りたいが為に行動したのだと思うと、強すぎる責任感故の悲劇だったのかもしれない。 生き残った少女たちの決断は非情に思えるが、それこそ少女性の秘めたる二面性、無垢な愛らしさと表裏一体の無邪気な残酷さを体現してぞわっとした。 真相を知ったあとで読むと、滅んだ庭と犠牲者の復讐を代行する老後の彼女たちがやるせない……。 ラストから数行目ではうるっときてしまった。 そんな傑作短編。

    1
    投稿日: 2019.04.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「少女」を共通モチーフにした短編集。 国も時代設定も様々な少女達。 どの少女も時代の波に翻弄されても、時にしたたかに懸命に知恵を絞り、時代を駆け抜ける姿が清々しく好感が持てた。 特にヨーロッパの史実にミステリーを組み込ませた表題作と、深緑さんには珍しい日本を舞台にした『片想い』、架空の北国を舞台にしたミステリアスなファンタジー作品『氷の皇国』が面白い。 『解説』で「ミステリーを、話を進める起爆剤としてとらえている」とする一方で「謎解きよりも、自分のなかの喪失感をどうやって書くか、みたいなところを考えているかも」と語っておられる深緑さん。 今後は更に、喪失感を深く掘り起こすヒューマンドラマが読んでみたい。 深緑さんの短編は初めてだったけれど、どの短編も一捻りあってとても面白く夢中になった。 すっきりとまとまりもいいし深緑さんはこれが3作品目だったけれど今作が一番好き。 これからもこんな短編集や、長編のファンタジー作品も読んでみたい。

    7
    投稿日: 2019.01.22
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    短編集。真っ向の犯人当てと言うより、物語の核に謎がある。異国の描写が読みやすい。人に対してドライな印象を持った。小川洋子を感じた。表題作と氷の皇国が好き。

    0
    投稿日: 2018.10.13
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    内容(「BOOK」データベースより) 美しい庭園オーブランの管理人姉妹が相次いで死んだ。姉は謎の老婆に殺され、妹は首を吊ってその後を追った。妹の遺した日記に綴られていたのは、オーブランが秘める恐るべき過去だった―楽園崩壊にまつわる驚愕の真相を描いた第七回ミステリーズ!新人賞佳作入選作ほか、異なる時代、異なる場所を舞台に生きる少女を巡る五つの謎を収めた、全読書人を驚嘆させるデビュー短編集。

    0
    投稿日: 2018.08.09
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    一度目より二度目、繰り返し読むとますます感動が深くなるよ。あさってに横浜でトークイベントがあるそうです。サイン貰えるみたい!楽しみ!

    0
    投稿日: 2017.12.14
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    表題作の語り手が、事件に関わってしまった自分の娘に対して何の感情も示さないのが、事件そのものより怖い。

    0
    投稿日: 2017.11.15
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    図書館で。 面白くない訳では無いけれども…という感じ。 オーブランの少女は色々無理がある気がする。ユダヤの女の子のシェルター、という着眼点は面白いけどわざわざ生活苦の子供たちを集めたのもなんだかなぁ?という感じだしオネエサマの豹変ぶりもちょっとおかしい。さらにその後のエピソードまで年が立ちすぎてないか?というような。なんか…うん、無理があるんですよね…。 大正ロマンみたいな女子学生さん二人の話が一番可愛かったかな。あまり罪のない感じが。他の話はあまり印象に残らなかったかな~ 

    0
    投稿日: 2017.07.03
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    誰からお借りしたかわからなくなっている本 多分、Tぬっぽい それはさておき、最初海外設定かぁという感じで、取っ付きにくい印象だったのが、なかなかに唸らせる内容に驚き。 どの話も重たく響いてくる感じでした。 たまにこのくらいダーク?な感じのものを読みたくなるかも。

    0
    投稿日: 2017.03.17
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    美醜を突き詰める気高い筆致、一貫した無常観に作家性の強さがあって、作者は今後すごいことになりそう。というかもうなってる?

    0
    投稿日: 2017.02.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    単行本で出た時から読みたかった一冊。文庫化を待ってた。 ≪オーブランの少女≫ 美しい〝オーブラン〟で起こった管理人の老婆の姉妹の姉の方を裸でやせ細った人間だったもの(としか言いようのないもの)が殺すというショッキングな事件が起きる。ともに管理をしていた妹もその後自殺してしまう。主人公の娘は、妹の老婆から死ぬ前に日記と思しきノートを託されており、それを知らされたのは二人が亡くなって三年たってからだった。小説家だった主人公はその日記をもとに真実を編みなおす。オーブラン、そこは昔病気を患う少女たちを預かるホスピスだった。そこに一人の少女が迎え入れられる。彼女は静かなここの生活を送りながら、ある事件をきっかけに日常は変化していく。はたしてオーブランの正体は?死んだ姉妹、そして二人を殺した狂人の正体は。 《仮面》 二十世紀初頭のイギリス。医師は患者であるバルベル夫人のもとを訪ねていた。冬の町は恐ろしく冷たく、そして殺人に来訪した医師のブーツを重たく濡らした。バルベル夫人の元には使用人がいた。ひきつれた火傷の跡、曲がった鼻、しかしその瞳だけは恐ろしく美しいアミラという少女。彼女にはたった一人の美しい妹がいた。バルベル夫人の死んだ夫の経営していた店で踊っていたリリーという少女。医師は姉妹のために夫人を殺した。そしてしれは事故として膜を閉じるはずだったのだ。医師が世界が反転するのは、夫人を殺した翌朝のことだった。 《大雨とトマト》 父親の経営していたレストランを継いだ主人公は、大雨の日に店を開けたことを二日酔いの頭で後悔していた。閉めてしまいたい店の中には男が一人。何が気に入ったのか毎日のように食べにくる男は、今日も不味そうに肉を噛んでいた。男が帰れば店を閉めようと思っていたところへ、店のドアが開く。大雨の中入ってきたのは少女だった。彼女は店主をみると少し惚けて、そして何故今日ここに来たのかをトマトサラダを食べながら話し出す。彼女は「…父を探しにきたんです」といった。見たことあると感じた少女の顔を、店主は記憶の中から掘り起こす。それは彼が犯した唯一の不貞の相手の顔だった。美味いと思っているわけではないのに毎日食べにくる男の理由と、少女の探している父親とは。 《片想い》 まだ女が学問を大手を振って学べなかった時代の女学校。そこに転校してきた環と仲のいい薫子は環の隠している真実を、彼女に持ち上がった異性不純交際の噂をきっかけに問いただす。噂の真相と、環とはいったいどんな人間なのか、語られる真実に少女は胸を焦がす。 《氷の皇国》 寒さの厳しい北国。その端に位置する漁村に首なし死体の正体を巡って、村の酒場は繁盛していた。そこで放たれるいくつもの推理がひと段落したあと、年老いた吟遊詩人は一つの物語を語りだす。ここが昔氷の皇帝の国だったころのこと。死体の首は何故なかったのか、何故この村に流れ着いたのか、そしてたった一人その死体に涙を流した老婆の負った過去とは。 短編集。物語に引き込まれる文章と、そして人物たち。この作家さんが好きになりました。ほかの小説も読む。

    1
    投稿日: 2016.12.08
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    少女は、秘密を抱いて微笑む。 表題作だけでなく、どの作品も、何かしらの偽りや秘密を持った少女が登場する。明かされた真実は残酷だったり、やるせなかったり、切なかったり。後味は、それほど悪くない。さっぱりした文章だと思う。特に舞台が外国のものは、翻訳小説のように感じた。 「オーブランの少女」管理人の姉妹、老女の死体、それらの正体は誰なのか? 重要なのは、真相としてここで述べられている手記も、語り手の脚色を含むということ。閉ざされた庭といえば、「秘密の花園」だが、もっと怪しげである。 「片思い」これだけは舞台が日本、おそらく少し前の。女学校の生徒たちの友情と秘密。吉屋信子のような世界。女子校、女子の世界、女子の友情(優しいver.)、というものを楽しみながら読めた。

    0
    投稿日: 2016.09.01
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    傑作『戦場のコックたち』の著者である深緑さんの処女作となる短編集です。作品の舞台は架空の国家、19世紀のイギリス、現代の日本など様々ですが、いずれの作品も少女が主人公もしくは物語の鍵を握る役割として登場するところが共通しています。 表題作「オーブランの少女」をはじめ、海外の翻訳小説を読んでいるような独特の雰囲気と舞台設定の妙が印象に残りました。作者の筆力によるところが大きいと思うのですが、海外を舞台にした作品でありがちな「つっかかる」ところがほとんどなかったので、読み心地は非常に良かったです。 難点をいえばミステリとしてはちょっと弱いところがあったことと、「大雨とトマト」は設定が現代の日本ということで本作品集の中ではちょっと浮いた感じがしました(展開自体は割と好きではあるのですが)。とはいえ本作はデビュー作。『コックたち』を経て、次回作でいったいどこまで飛躍してくれるのか非常に楽しみであります。

    0
    投稿日: 2016.08.08
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    ファンになってしまった……『氷の皇国』は手がかりの配置や事件後の途切れることのない緊張感、意外な人物の推理によるクライマックスの盛り上げなど1番好み。ケーキリア皇女がな、本当に良くてな……。

    1
    投稿日: 2016.07.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    美しき庭園に隠されたもうひとつの庭の物語、醜い姉と美貌の妹を巡るヴィクトリア朝ロンドンの犯罪譚、寂れた食堂の亭主を翻弄する過去の思い出…。 異なる場所、異なる時代を舞台に描く、少女たちをモチーフとしたミステリ短編集。 表題作の「オーブランの少女」に、まず驚かされました。 最初に色とりどりの花が咲く美しい庭園が活写され、その後不穏な殺人劇が繰り広げられるのですが、その対比が鮮烈な印象を残してくれるのです。 情景が目に浮かんでくるような物語世界の構築力・リーダビリティは新人離れしていて、瞠目しました。 割と好きなのは「片想い」。 これは日本の戦前の女学校が舞台になっていて、いわゆる「エス」が出てくるのでわたし好みでした~。 制限の多い時代の女性の細やかな心の動きが活写されていて、頬がゆるみました。 前向きなラストの読後感が良かったです。 どの短編にも現れる、強靭さと脆さが危ういバランスで同居している、そんな季節を過ごしている「少女」たち。 平気で残酷なことをする同じ心で、愛するものに惜しみない愛情を与えることのできる彼女たちは、いつか自身が変容し、大人になった時に初めて通り過ぎた季節を思い返すのでしょう。 彼女たちの息づかいを間近で聞いているかのように、もどかしさや切なさが伝わってきて、素敵な緊張感を味わうことができました。

    3
    投稿日: 2016.06.15
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    「オーブランの少女」ナチスドイツ。 「仮面」霧深きロンドン。 「大雨とトマト」現代日本。 「片想い」エスの文化の日本。 「氷の皇国」架空の北欧の王国。 舞台も文体もフレイバーも全然異なる、幅の広い短編集。 表題作の陰惨さ、「片想い」のゆりゆりしさ、「氷の皇国」の魔性。 豊潤な翻訳小説のよう。まさに。

    0
    投稿日: 2016.06.02
  • 少女は生きる、したたかに。

    美しい花々が咲き乱れる園、オーブランに集められた少女たちには、何一つ不自由のない暮らしが約束されています。ただひとつ、外の世界に出られないことを除いては。 カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』にも似た雰囲気を持つ物語の中で、彼女たちは自分の将来に不安を覚え始めます。誰が何のためにこの楽園を作ったのか、果たして真相はーー? 表題作ほか、それぞれに異なる時代と場所を生きる少女たちの謎を描いた短編集。 どれも印象的で、一度読んだら忘れられない作品になりそう。

    11
    投稿日: 2016.05.31
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    強か。少女といえども女性ということなのだろうか。ほんのり怖く、逞しく生き抜く少女たちの物語。 あらすじ(背表紙より) 美しい庭園オーブランの管理人姉妹が相次いで死んだ。姉は謎の老婆に殺され、妹は首を吊ってその後を追った。妹の遺した日記に綴られていたのは、オーブランが秘める恐るべき過去だった―楽園崩壊にまつわる驚愕の真相を描いた第七回ミステリーズ!新人賞佳作入選作ほか、異なる時代、異なる場所を舞台に生きる少女を巡る五つの謎を収めた、全読書人を驚嘆させるデビュー短編集。

    0
    投稿日: 2016.05.05
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     5編の作品を収録した短編集。 各短編に共通しているキーワードは”少女”  元気な少女、儚げな少女、したたかな少女、と単に少女といっても、色々なイメージが浮かんでくるのですが、この短編に出てくる少女たちは、そうしたいずれのイメージのどれかには当てはまる、そんな気がします。  表題作の「オーブランの少女」は儚げで美しい、しかし残酷な短編。  老婦人の姉妹の殺人事件。その真相は二人の子ども時代にある、という話です。  箱庭のような美しい土地”オーブラン”で共同生活を過ごす少女たち。安心、安全な生活を過ごしながらも、彼女たちを監督する先生たちの言動や、集められた少女たちの境遇など、その生活はどこか不穏で、危うげな雰囲気が漂っています。そうした美しさと危うさのバランスが絶妙!  そして、その危うさの真実が明らかになる後半も、思わぬ展開でビックリ! ミステリですが、単にミステリの枠に当てはまらない不思議な短編でした。  もう一つ印象的だった短編は、最後に収録されている「氷の皇国」  舞台となるのは、皇帝の独裁によって支配される古代の王国。そこで皇太子殺害の疑いをかけられ、死刑に処せられようとする少女が主人公の短編です。  それまでの短編が仕掛けや構成で魅せるタイプのミステリだったのですが、そこから一転してのロジックを使った本格ミステリが展開されます。  舞台設定も珍しく、また主人公たちが死刑から救われるのか、というハラハラ感も加わり、非常に楽しかった短編です。  各短編本当にバラエティー豊か! 少し先が読めるものもあったものの、手を変え品を変え、様々なタイプのミステリを仕掛けてくる、著者の深緑さんの筆力はかなりのものだと思います。  そして、それぞれの短編に共通する一種の残酷さや、したたかさも物語に、いい刺激を加えてくれているように思います。  デビュー二作目の『戦場のコックたち』でものすごく話題になった深緑さんのデビュー作だけあって、その実力の片鱗を感じさせられる短編集でした。 第7回ミステリーズ!新人賞佳作「オーブランの少女」

    1
    投稿日: 2016.05.03
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    舞台となる国、時代は様々ですが、どれも見事な筆致で描かれています。キャラクタの設定も良くできています。少しブラックなところがあるストーリーも魅力的です。

    0
    投稿日: 2016.04.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    先日読んだ「戦場のコックたち」がなかなかに面白かったので作者のデビュー作も読んでみました。 で・・・まあなんというか「創元」っぽい感じの話だな、と。割と軽めの短編集なんですが「少女」をモチーフにというテーマがあるようで。 それなりに面白く読みましたが、女性作家に多い「なんとなくイヤミスっぽい」感じが多かったように思いました。「少女」で「創元」だもんなあ。まあそうなるかなあ。 とりあえずタイトル作の「オーブランの少女」についての感想なんですが・・・まあデビュー作だから荒削りなんでしょうけどもちょっと無理やり感が。たとえば、実はユダヤ人狩りをのがれさせるために少女たちを・・・ってわざわざ重篤な病魔に侵されてる少女を無理して隔離しておく必要があるのだろうか?家族の心情として。ユダヤ人狩りをのがれても病気で普通に命を落とす可能性も相当高そうな。だったら生き残ることができる可能性の高い健常な姉妹を名前を偽って送り込んだほうがいいんじゃないのかな?そもそもなんで少女だけで少年は入れないのか?とか。。。書いてはあったけど自分が読み逃したのかな。 まあ細かいこと気にしないでこの何とも言えない雰囲気を楽しめってことなのかもしれませんけどね。

    0
    投稿日: 2016.04.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    表題作の『オーブランの少女』の他、『仮面』、『大雨とトマト』、『片想い』、『氷の皇国』が収められています。 どれも、とても丁寧なミステリなのですが、それ以外に、一貫して「少女」がテーマになっているのも、読んでいてとても面白いです。 少し、夢野久作の『少女地獄』のような雰囲気も。 国も時代も違う、5作品のどれもが、情景がするすると浮かんでくるのは、本当に凄い。 『オーブランの少女』は、シャーリィ・ジャクスン好きの人なら、きっと大好きな作品。

    0
    投稿日: 2016.03.27
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    深緑野分のデビュー作。 5編収録だが、舞台がそれぞれ異なっていて、作風の幅を感じた。 表題作にもなっている『オーブランの少女』と『仮面』が好みだった。

    0
    投稿日: 2016.03.22