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坂の途中の家
坂の途中の家
角田光代/朝日新聞出版
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総合評価

262件)
3.9
59
106
68
6
1
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    この本を読んで、主人公の心理状態を自分のことのように感じない、結婚している女性はどれくらいいるのだろうか、というのが一番の感想だった。 読み進むに従い、主人公の女性が最後どのような決断をするのかが気になり、この最後の描き方でこの本の印象は大きく変わると思いながら読み終えた。 納得のいく最後だった。

    0
    投稿日: 2026.01.11
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    人は忘れる。渦中にいる時の気持ちと過ぎ去った気持ちは、まったくの別物だ。読みながらいろいろなことを思い出した。母乳が思う様にでなかった。発達の遅れを指摘された。悩んでいると「もっと大らかに!お母さんの気持ちは子供に伝わるんだから!」と悪意のない励ましに傷ついた。被告人の姿に自分を重ねる里沙子と、あの日の自分が重なる。今、私も経験者としてわかったような助言をしてしまうことがある。でも、あの時、そんな言葉がなんの意味ももたなかったことを思いだした。辛い読書だったけれど、大切な気づきをもらえた。読んでよかった。

    0
    投稿日: 2026.01.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    おどおどしている主人公、どんどん悪くなる状況にイライラしながら読んだ。それでも、確かな気付きを境に自分の意思を取り戻す主人公の姿をみられてよかった。最後の里沙子と水穂の空想の会話は、なんかジーンとしてしまった。ただ話を聞いて、「本当に大変だよね、よく頑張ってるね」「赤ちゃんとっても可愛いね」って言ってもらえたら、それだけで救われるんだよね。

    0
    投稿日: 2025.12.29
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    言葉に出来ない違和感・不快感を表現するのが上手い。勧善懲悪ものかと思いきや、結末はフワッとした終わり方。

    0
    投稿日: 2025.12.16
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    テーマもダメじゃないし読みにくいわけでもつまらない訳でもないけど、とにかく回想部分?が多いので文字が多い。時間がかかりそうなので少し飛ばしながら読んでやっと読み終わった。見開き丸々文字が詰まってて目が滑りまくった笑 周りの見えない攻撃(口撃)とか追い詰めとか確かに落ち込んでるとそう感じる事もあるけど、この話し手は私は病んでないって思ってるけど実際病んでそうで、本当に医者にかかった方がいいのでは?と途中から思った。

    0
    投稿日: 2025.10.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    乳児を風呂に沈め殺害した母親の裁判員裁判の話。 里沙子の夫の陽一郎のモラハラぶりにイライラしてしまう。娘の文香のわざとかと思うようなイヤイヤ期、里沙子の心中が手に取るように分かり胸がざらつく。 水穂に自らを重ね、今の自分の状況が普通ではないと最後は気付く里沙子に安心した。良い方に進んでいけるといいけれど…。 実際にされた事は言葉で表すと『そんなことで?』と思われる事ばかりだけれど、積み重なって見下されて自信がなくなって。でもどれほど言葉を重ねても伝わらないもどかしさが痛いほど伝わった。 陽一郎は里沙子を愛してるのかな?私にはマウントを取って快感を覚えているようにしか感じないけれど。 とても重く苦しい話で、あまり勧めたいとは思わないので✩3にしたけれど、このなんとも言えない違和感を文章にして伝えてくるのが流石角田光代だな、と思った。

    1
    投稿日: 2025.09.11
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    現実の捉え方は人により異なり、その人の主観が強く作用する。乳幼児虐待死についての裁判員裁判を通して、それがリアリティを持って描かれている作品。 どの被告やその親族、陪審員どの視点も理解できる一方で、少数派の意見は通りずらい?と陪審員裁判の課題のようなものも感じた。

    0
    投稿日: 2025.09.11
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    ★★☆☆☆居心地の悪ーい雰囲気といった感じ。1度諦めてからの再読。幼子を浴槽に落として死亡させる、そんな悪質な事件の裁判員、いやその補欠に選ばれた理沙子。裁判が進むにつれて被告人に自分を重ねていく。自分はまともではない、ダメな母親。そう思い込まされていたと気づく。誰よりも陽一郎に腹が立つ。「きみ、おかしいよ」

    0
    投稿日: 2025.08.30
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    小さな子供を持つ専業主婦の里沙子が、乳幼児殺害事件の裁判員裁判に関わっていくことから始まる物語。 裁判員裁判を身近に感じることがなかったので、詳細な記述に私も参加しているような感覚になった。 同時に母親であれば体験したことがあるだろう感情を、今まさに体験していたり、距離を持って振り返って眺めていたり、複雑な感情が入り混じる様子がとても丁寧に描かれている。 そして、水穂という娘を殺めて裁判に立っている女性の裁判員裁判が進むのと同じようにに、里沙子は大きく揺らされながら、自分自身をゆっくり振り返っていく。 不器用で少し頑固、人との距離がやや長めの里沙子だが、その感情や思考、言動がどのようにして生じてきたのか、人の成り立ちを改めて考えさせられた。 今まで経験したことのない私以外の存在だけれども、私の一部のような感情を抱かせる初めての子育てを通して生まれる仄暗い感情に、母親がいかに動揺するか。細やかに描かれており、却って救われる思いにもなった。

    1
    投稿日: 2025.08.10
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    角田さんは好きで何冊も読んでます。 内容を知った上で読んだけど 読み終わった今、すごく気分が悪い。 自分自身の子育ての辛かったアレコレを思い出すんですよね… りさこが水穂にそうだったように… 興味深く読めましたが、辛い気持ちになりました。 角田さん流石です………

    2
    投稿日: 2025.05.30
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    裁判員制度に子育て問題を持ち込む事で、えげつない深層心理が読者にも突きつけられる。少子化対策に関わる人こそ、データでも資料でもなく小説を読んでみた方がいい。

    0
    投稿日: 2025.04.21
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    『きみはおかしいと言われ続け、そのことの意味については考えず、そこで感じた違和感をただ面倒なだけだと片づけて物事に関わることを放棄した。 おろかで常識のない小さな人間だと、ただ一方的に決めつけられてきたわけではない。私もまた進んでそんな人間になりきってきたのではないか?』 終盤で理沙子が自分に問いかけるこの言葉に身が詰まる思いでした。 子育て中の母親だけではなく、誰しもが、状況は違えど「型にはまっていなければならない」そうでなければ「私は間違っている」という法則を信じ込められるような状況に置かれることってあるのではないでしょうか? 理沙子のように裁判を通して自分と自分を取り巻く環境と向き合い、ほんの少しではあるけれど、自分の道を拓いていければよいのかもしれません。初めての育児、子供と二人っきりで社会からなんとなく孤立してしまい、何がわからなくて何を知っているのかさえ自分でもわからなくなる。虐待や育児だけではなく、様々なテーマが織り込まれている作品だと思いました。 内容はとても重くて暗く、時に切ないですがたくさんの人に読んでいただきたいと思いました。

    1
    投稿日: 2025.03.29
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    被告人の水穂に感情移入する里沙子に感情移入してしまう私。育児したことないのにとても共感してしまいました。描写が上手くて本の世界がリアルに思い浮かぶ。角田光代の本を以前に読んだ時もそうだったけど、わからないのに「わかるわかる」って気にさせてきます。 さて、本書の主人公である里沙子は、裁判員裁判の裁判員に選ばれてしまう。補欠だけど。その刑事事件は母親が娘をお風呂に落として溺死させてしまうというもの。育児ノイローゼによる責任能力の有無や、夫や義母などの関係者の供述を聞く中で、里沙子は被告人の女にどうしても自分を重ねてしまう。 育児している人にも読んでほしいし、していない人にも読んでほしいです。どうやっても「伝わらないもの」が存在し、それによって追い込まれる人がいることがわかります。 それにしても「結婚すれば」「子供ができれば」「引っ越せば」相手が変わるだろう、という幻想。この幻想いろんなところで100万回くらい聞いたことある気がするけど、人は環境が変わったくらいで変わらないものですね。 「きみはおかしい」穏やかに妻を攻撃する夫。嫌いなら離婚すればいいのにそれをしないのはなぜか。そういう愛し方しか知らないから。 夫は裁判員という役目を通して自分の知らない世界に出ていく妻に、自分の不甲斐なさを改めて感じ不安になる。そしてそんな夫の攻撃に、決めることも考えることも放棄してきたことに気づく里沙子。溜飲が下がるラストでした。

    6
    投稿日: 2024.12.18
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    主人公の里沙子にすごくイライラさせられる小説だった。被告人の水穂に自分を重ね合わせるのは勝手だけど、ずっと他人に判断軸を任せていることに気づいてなくて終始イライラした。 仕事を辞めたり、母乳にこだわったり。旦那に言われたからとか義母に言われて…っていう他人きっかけの考え方が多すぎる。旦那のご飯の用意などお世話を甲斐甲斐しくやってるから、旦那が何もしなくなるのに。そこに違和感を感じないなら、全部自分がやりたいことだからって思わないとと思った。 ただ、私が結婚も子育てもしてないからそう感じるのだろう。立場が違うから共感しなかった。

    10
    投稿日: 2024.09.22
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    3歳の女の子を持つ母親の里沙子は、乳幼児の虐待死事件の裁判員に選ばれる。自分は良い母親なのか、自分は本当に娘を愛してるのか。夫はなぜ自分のことをわかってくれないのか。裁判を通して、彼女は自分を見つめ続けていく。

    2
    投稿日: 2024.09.17
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    「母親と息子の、彼ら自身も全く気がついていない“連帯”のあり様」には笑った。あるある。 主人公の、だんなさんやお義母さんの一挙一動を勘ぐり、疑心暗鬼になってゆき、どんどん健全な精神を蝕まれていく様は、とてもしんどい。本当に、読んでいてしんどい話だった。身近すぎて身につまされる。ずいぶん昔に叔母が言ってた「角田光代さんの小説はもう最近しんどくって…」は、こういうことか、と。

    2
    投稿日: 2024.08.29
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    ぐっと胸が押さえつけられるよう。子育ての孤立。ニュースとか母親が悪いのかなって思うように印象操作されてる気がする。想像力がなかった。誰しも追い込まれたら罪を犯してしまう可能性はありありのあり

    2
    投稿日: 2024.08.09
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    妊娠出産産後のわけのわからない不安定な心情。 多かれ少なかれきっと感じたことのある恐怖。 よっぽど恵まれた環境にいた人以外は、 理解できると思う。 自分の時はどうだったかを思い出しながら、苦しくなりながらも先を読まずにはいられなかった。 子供がある程度大きくなるまでは、その気持ちはずっと続くものだと思い込み絶望したことを思い出した。

    3
    投稿日: 2024.04.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    裁判員制度に選ばれた専業主婦の里沙子。 3歳の娘を義理の両親に預け、法廷に通う10日間の物語。 事件の内容は幼い我が子を浴槽に落として殺害した事件。 嫌々ながらも裁判員補助として通い始めるが、どんどん事件に引っ張られ、容疑者に自分を重ね合わせていく姿が読んでいてとても息苦しく、たびたび怖さから鳥肌が立ちそうになる。 裁判員制度に参加する前と後で、自分の夫への見方が全く違うものになってしまったところは本当に怖い。 ・母乳育児に苦しみ、半ば囚われるものの終わってみたらめちゃめちゃどうでもよかったことに気づく ・育児がうまくいかなかったり子供の発育に心配なことがあると周りにうまく相談できなかったり見栄をはってしまったりして余計に1人落ち込む ・優しい言葉でも暗に貶められることを言われていたことに気がつく ・自分がとても頭が悪い人に思え、怖くて意見が言えなくなったり自分の発言に自信がなくなる とか、あーわかる!と思うことも多々。 里沙子にとって嫌な思い出の数々がどんどん芋蔓式に思い出されていくところはとてもしんどかった。

    1
    投稿日: 2024.03.24
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    裁判員裁判で補充裁判員になった理沙子。事件は、赤ん坊を浴槽に沈めて死なせてしまった母親の裁判。理沙子は審理の過程でいつしかその母親に自分自身を投影していく。自分は母親失格なのか、夫はモラハラなのか、姑や自分の母親の言葉などすべてが自分の中で疑心に変わり不安定になっていく。子育てや家族のあり方に正解なんてないんだなと思った。

    0
    投稿日: 2024.03.21
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    2歳(3歳近かったかな)の子供を育てている専業主婦の里沙子に、裁判員制度の裁判官の仕事が来ます。 その被告人が、8ヶ月の赤ちゃんをお風呂に落としてしまった母親で、裁判が続くと同時に、里沙子がその被告人に同調していってしまいます。 里沙子の気持ちが痛いほど分かり、途中でしんどくなりました。(特に、子供が絡んでくるあたりは、本当にそういう時あるよね。という感じになり) あーちゃん(主人公の娘)は、自分に何かあっても、ママだけは私の事をまっさきに考えてくれる。という母と子の信頼関係ができているから、あーちゃんはママにたいしてだけワガママになるんだよって、慰めてくれる人はおらんのかーい!(と、思いながら読みました)

    3
    投稿日: 2023.08.16
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    子育てに追われる日々の中で里沙子に送られてきたのは、裁判員の候補者になったというお知らせだった。 子どもを虐待死させたという女の裁判を通して、なんとなく居心地の悪さをおぼえる夫とのやり取りや子育てのストレスと向き合うことになり、これは自分のことではないと思いつつもつい自分と重ねて自分が裁かれているかのような気持ちで裁判の行方を見守る里沙子が最後に下す判断とは。 かつてモラハラされていた日々を思い出してしまった。 この世には、相手を貶めることでしか自己肯定感を上げることができないひとたちがいて、そんなものに付き合わされた日には心がどんどん死んでいく。 そういうのって目に見えた暴力じゃないから本当に厄介で、それこそ正論を振りかざしたりするから下手すると周りからもおかしいのはこっちだってことになりかねない。 みんなもっと自分を大切にね。

    0
    投稿日: 2023.06.22
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    うーん、怖かった〜 なんかこう他人事とは思えない感じが。 子育て中って、ほんと周りから責められているような気になるもの。 子どもは理不尽だし、言葉も通じないし、 母親自身が自分を押し殺していればいるだけ、 我慢を溜め込んでいればいるだけ、 子どもは泣き喚くという。 そして自分は我慢しているからこそ、 そんな子どもにイラつくという。 自分が我慢してたんだ怒りを溜めていたんだと 気づくことがまず最初の一歩だと思う。 それに気づいた主人公はこれからどんな道を歩んでいくのかな。

    0
    投稿日: 2023.05.31
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    ''23年4月25日、Amazon audibleで、聴き終えました。確か、十数年ぶりの、久々の角田光代さんの作品。 なかなかに、凄い小説でした。 アカの他人の事件の補欠裁判員に指名され、裁判を審議していく過程で、いつの間にか被告人に自分自身を重ねていく主人公…自分も、夫と義父義母、娘との間がとても危うい状態である事に気づき…と、苦しい内容でした。 事件を考察することで、主人公が自分を取り戻していく(?諦めていく?)過程が描かれていました。 なんという恐ろしい話ಥ⁠_⁠ಥ 「皆、スレスレなんだよ!」と、首に刃物を当てられたような気がしてます。いや、刺されたのかな?終盤、冷たい汗が出ました。 角田光代さん、audibleに何冊かあるので…もう少し聴いてみます!

    9
    投稿日: 2023.04.25
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    子育てって大変なんだと思う。女性は子供を産んだら母になれるのではなく、子供の成長と共に母としても成長していくのであって、その過程で戸惑い、悩み、時に苛立ち、どうしようもなくなる時ってあるのだと思う。そういう時に周囲に助けを求めることが出来る環境があるか、周囲に助けを求めることは恥ずかしいことではないんだよと支えてあげられることは本当に大切。裁判員に選ばれることの精神的負担に関してもこの本で感じた。

    1
    投稿日: 2023.04.16
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    Audibleにて。 毎日の様に起こっている幼児虐待事件。犯人の顔をニュースで見て、酷い、可哀想、そんなことするなら産まなきゃ良かったのに、と思うのは簡単な事だけど、実際その背景に起こってたすべてを知ることは無理だと思った。 裁判員裁判のことも、実際どういう事をしているのか知れて良かった。

    6
    投稿日: 2023.04.13
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    ずっともちろんお名前は知っていたけれど読んだことがなかった作家さん。 子供がいない(泣き声が嫌い、ぐずられたりしたら絶対イライラする)ので、子供がいる女性とは異なる感想を持つかもしれない。 主人公に結構イライラしてしまった。 というか登場人物みんなイライラしたかも・・・でも、人間のきれいではない感情の表現がとてもリアルで、ドキッとします。 物語はとても面白く、眠いのに夜まで読んでしまうほどだったけれど、描写が細かすぎてなかなか話が進まないのと何度も同じ話(回想)が多かったりで少しもどかしさを感じました。 そして益々子供ほしくなくなってしまった・・・

    1
    投稿日: 2023.01.06
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    何とも、ひりひりするというか、もやもやするというか。自分の経験も掘り起こされる感覚がして、落ち着かない気持ちで、最後まで読んだ。 どこにでもいる夫婦、家族のことが描かれているようなのに、居心地の悪い思いがした。 補充裁判員として、殺人事件の審理に関わる里沙の心情が、痛いほど伝わってきた。

    1
    投稿日: 2022.12.03
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    世の中にはまだまだ自分の知らないことが有るのだなと、本を読むたび思わされるけれどこの本もまたそうだった。 裁判員裁判。補欠裁判員になり乳幼児虐待死に向き合うことになる一児の母里沙子。 被告人に自分を重ね合わせ、自分の家族との現在と過去を振り返り、今の自分の精神状態が普通で無いことに気づき、自分と向き合っていく。 里沙子夫婦が最後どうなったかでは無く、里沙子自身の心がどう決着したかで話が終わるところもまた良かった。 角田さんの作品は八日目の蝉以来だった。 自分はどうか?自分の家族は? 本当に考えさせられた。

    0
    投稿日: 2022.11.24
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    凄く面白かった。 やはり角田さんの本は文章も読みやすく内容も飽きさせず、心の奥にぐぐっと入り込んで離さないものだった。 里沙子が水穂と自分を同化させたように子供のいない私でさえ読み進むつれどんどん彼女たちと自分を同化させ、自分の中の目を伏せていた様々な傷を見せつけられらようで苦しくさえなった。 人にはそれぞれの生きてきた世界があり、異なった価値観があり、物事の捉え方、使う言葉も様々で、何かを本当に理解し合うなんで無理で、誤解し合い、曲解し合い、傷つけ傷つけられながら人と関わるしかなくてしんどい。

    0
    投稿日: 2022.06.26
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    母親による虐待死事件を巡る裁判員裁判。 被告人の母親と、裁判員(補充)として選ばれた母親の違いなんてほとんどない。 一歩間違えれば、自分が逆の立場になっていたかもしれない。それは子育てを一身に引き受けている母親の大半がそうじゃないだろうか。 母乳神話、成長線に沿った成長、離乳食のペース、排泄の処理、予防接種、乳児湿疹、突発性発疹、夜泣きや卒乳、発達障害の不安…医療従事者でもない、助産師でもない、保健師でもない素人の女性達が、子供を産んだ瞬間に「母親」となる。育児書やネットで調べても理想の子育てしか書いていないし、周囲に相談しても現実的に助けになるわけでもない。他の赤ちゃんとの発達の違いに打ちのめされ、小さな小さな赤ちゃんの命の重圧に押し潰されそうになる。夫や両親達は良かれと思って言うが、心無い一言に苛立ち、突き落とされる。 きっと誰しも少なからず経験していて、その苛立ちが「虐待」まで度を越してしまう事を本当に恐れている。 泣き止まない赤ちゃんの泣き声に、何も考えられなくなるのに「近所から虐待と思われたらどうしよう」なんて恐怖心がいつもある。 読んでいて、凄く共感できて、息苦しくなる話だった。 被告人と環境は違うが、私だっていつだって紙一重だと改めて思わされて、とにかく怖かった。 貧乏より、多忙より、孤独が1番子育てなんてできない。協力よりも本当は理解を求めているんだから。

    4
    投稿日: 2022.04.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    1.この本を選んだ理由  新井見枝香さんの本にでてきたので。 2.あらすじ  2歳の子どもがいる主婦が裁判員制度に選ばれ、同じように幼い子どもを持つ主婦が子どもを殺してしまった事件に関わっていく。 わずか10日間程度の裁判の中で、被告の女性と、自分を重ね合わせていく主婦の里沙子。裁判の中で自分の過去も思い出して、自分も被告と同じ道に進んでしまっているような感覚になっていく。 裁判を通じて、自分を、家族のことを深く考えていく。 3.感想 まず、全く自分とは無縁の話だったので、そういう人間の感想になっています。 ストーリーとしては面白かった。次はどうなっていくんだろうという感じを持ったまま、どんどん話が進んでいく。だけど、気持ちいい感じではなく、イライラする感じが強かったです。 こういう人がいるのはわかるし、多くの虐待事件が起きたり、離婚する家庭が多かったりするので、ありうる話なんでろうとは思います。 にしても、こんな人ばっかり揃うのかよ!と、思ってしまいました。こんな人間どうしで結婚するなよ!とも思ってしまう。もう、読んでてイライラしてきてしまうレベルでした。 もうほんと、登場人物のレベルが低い。陽一郎なんか出されたものを食べるだけで、風呂を追い焚きするボタンも自分で押さない。昭和かよ…!!なんでも、自分でやろうよ。食べたら食器ぐらい洗えよ。という感じで、イライラしてしまうのでした。 私も子育てしてきた人間なので、子育ては予定をたてるとイライラするのはよくわかりますが、それにしても里沙子のレベルは低すぎ。旦那にも怯えすぎ。旦那も義理の母も変なやつでした。男の子二人の母親なんてサバサバして男っぽい人が多いだろうに…。 やっぱり専業主婦になった段階で、イーブンな関係は維持しずらいから、これからの夫婦は、共働きであるべきだなとつくづく思いました。 里沙子も、水穂も、なんで、そこまで人が自分をどう思ってるかに囚われるんだろう。まぁ、でも、承認欲求みたいなもんで、人にどう思われるかを考えてしまうのは、現実的に多いのかな。 4.心に残ったこと 子どもを殺してしまった人間と、自分が重なってしまうなんて、よっぽどだ。 5.登場人物     山咲里沙子   文香 娘   陽一郎 夫 山咲祐二 弟   母   父 芳賀六実 はがむつみ 安藤水穂 安藤寿士 穂高真琴 寿士の昔の恋人 安田則子 水穂の母

    11
    投稿日: 2022.01.23
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    裁判の被告人と主人公が重なる物語。 育児や夫婦関係、嫁姑問題を 事細かに描かれており 誰にでも共感できる部分があるんじゃないかと思います。

    0
    投稿日: 2021.10.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    主人公に感情移入した方が小説は楽しめるし、味わうことができると思っているが、この本では心が疲れすぎるので少し客観的に読むことを意識したかも。自分がもし、子供を産んでまもない主婦だったら読むのが辛くなったかもしれない。それくらい心理描写がリアルだった。 物語が進むにつれて、水穂にどんどん自分を重ねていく里沙子の主観が主に語られるので、読んでいる自分も水穂と里沙子が曖昧になっていった。 こんなに1人の心理描写を描けるのが信じられないくらい精密で現実味がありすぎた。 自分と性格やフィーリングの違う人物についてここまで深く描ける気がしないので、作者の経験や人格も少し入っているように感じた。これは勘違いの可能性も勿論ある。 角田光代の本をもっと読みたくなったので読む。 ☆をひとつ減らしたのは単純に自分の好みはもっとあっさり読める本だから。

    0
    投稿日: 2021.08.11
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    裁判員に選ばれてしまった幼い子を育てている母親と、乳児の虐待死で起訴されている母親のお話。可愛いはずの我が子に異常に苛立ち、無視してしまったり罰を与えようとする心理が、まるで自分の話のようで心が苦しくなる。子育てをして初めてわかった子どもを育てるということ、決して他人事ではない虐待の事件、悪意のない他人のひと言でどんどん追い詰められていく過労の母親。どんなに頑張ったとしても子育てはひとりでは出来ない。

    0
    投稿日: 2021.06.02
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    描写がお上手だからこそ、とにかく苦しかった。主人公の友人になったような気持ちで読んでた。わたしはこんな思いはしないだろうし、こういう夫でもない、それは主人公の劣等感や、劣等感をどうにかしなければという気持ちの強さによるものだと感じた。でもだからと言って、本当に他人事なんだろうか、というざわざわとする怖さも残る。性格の違いや環境の違いもあるにせよ、また違う苦しさに埋まるかもしれないし、逆にこういう友人に苦しくなる言葉をかけてしまうかもしれない。考えること、向き合うこと、やめないようにしたいな。

    1
    投稿日: 2021.04.01
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    『水穂という見知らぬ女性がそのとき両手で抱いていた赤ん坊の重さ、なまあたたかさ、やわらかさが、里沙子の両手に記憶したもののように広がる。まるで自分が泣き止まない赤ん坊を抱いてそこに立っていたかのように。そうして赤ん坊の重みが、両手からふっと消える。視界には、開いた十本の指』… 浴槽に落ちていく幼児。殺人の現場を生々しく実感する主人公・里沙子。 我が国で裁判員制度が導入されて10年を超える年月が経ち、裁判員として参加した人の数は約10万人にも達したという現在。このレビューを読んでくださっている方の中にはすでに経験済みという方もいらっしゃるかもしれません。『個人的には、始まると聞いた時から、できればやりたくないと思っていた』という角田さん。『裁判員が経験を話しにくい雰囲気がある。何とかならないかと思う』という角田さんが描いたこの作品。『過度に感情移入することによって、周りにいる人間の言葉も全部意味が変わると思った』という角田さんの言葉通り、裁判員として選ばれた専業主婦が、被告人に深く感情移入し、そこに自らを投影していく、自らを重ね合わせていく、そして自ら深く入り込んでいく姿に迫っていくこの作品。主人公・里沙子の狂おしく身悶えるような内面の葛藤が全編に渡って描かれていきます。 『図書コーナーにいる文香を見る。このところよく会う萌ちゃんと絵本を開いてくすくす笑っている』という光景を萌ちゃんのお母さんと見る主人公の山咲里沙子。『二時半を過ぎて男の子を連れて二人の母親が帰り』、里沙子も文香を連れて自宅へと帰ります。『結婚したのは、四年前、二十九歳のとき』という里沙子は『二歳年上の山咲陽一郎』と交際一年で結婚しました。『妊娠したら産休をとって、その後また働くのだろうと漠然と思っていた』里沙子ですが『新潟に住む両親と折り合いが悪かった』ということもあり退職を選びます。『寝返りの瞬間。はいはいから立っちができたとき』という初めての事ごとを目にして『やっぱりそばにいてよかった』と喜ぶ里沙子。そんなある日、『ポストに自分の名宛ての手紙を見つけた』里沙子。『裁判所からの郵便物だった』というその手紙には『六週間後に行われる刑事裁判の裁判員候補者に選ばれたので裁判所にくるように』と書かれていました。『裁判がどんなものかも知らない。それに事件になんてかかわりたくない』と思う里沙子。『八月二日から十日間』、その間、『文香はどうするのだ。断ろう。断れないはずがない』と考える里沙子。帰宅した夫・陽一郎に『断ろうと思って電話してみたんだけど』と相談します。『辞退をしたいと伝えたのだが、それは不可能』、『あくまでも今の段階では五十人から百人くらいの「候補者」』にすぎない』といわれたことを話します。『候補がそんなにいるなら、まずだいじょうぶだろう』という陽一郎。そして、八月二日、公判を前に裁判所で説明を聞く里沙子は、『戦慄に近い驚きを覚え』ます。『乳幼児の虐待死事件だった』というその裁判。『私は被告の女性と立場が似ている』、『きっと公正な判断なんてできない』、『この事件に私は選ばれない』、そう考える中、『里沙子は名を呼ばれ、立ち上が』ります。そして、補充裁判員に選ばれた里沙子が十日間の裁判に立ち会っていく中での様々な葛藤が描かれていきます。 2009年に導入された裁判員裁判の舞台を描いていくこの作品では、『法律なんて何も知らない。裁判がどんなものかも知らない。それに事件になんてかかわりたくない』という里沙子が補充裁判員に選出され、十日間の裁判に関わっていく姿が描かれていきます。この作品が週刊誌で連載されていた2011年頃には、まだこの新しい制度が導入されたばかりであり、人々の関心も今よりもかなり高かった一方で、まだまだ選出された人も少ない時代です。そんな中で『法律に詳しい人も、社会でばりばり働いている人も、知識経験の豊富な人も大勢いる』、自分が選ばれるはずがないと考えていた里沙子。専業主婦として家に閉じこもりがちなこともあってその不安は日に日に増していきました。そんな不安を和らげるように『専門知識ではないんです、社会経験で判断できることなので、心配しないでください』という説明を最初に受ける里沙子。実際に作品で描かれる『評議』の場面でも、専門用語はほとんど登場せず、様々な年齢、様々な立ち位置の人々が、自らの経験を踏まえて自由に意見を述べ合う場面が描かれていきます。そんな中で、性別、年代の共通点、そして育児中でもある里沙子は『私は被告の女性と立場が似ている』ということを強く意識します。『八カ月と二歳十カ月』とどちらも育児の真っ只中で専業主婦であるという共通点を持つ二人。考えれば考えるほどに『きっと公正な判断なんてできないだろう』と思い悩む里沙子。そんな里沙子の不安は現実のものとなっていきます。 『あの人がまさか、と、何かの事件が起きたとき知り合いはみんな言う』。何か事件が起きると『あんなやさしい人がまさか』というインタビュー映像が必ずといっていいほど流れるものです。この作品の被告である安藤水穂もそれは同じこと。そして、被告人席に座るそんな水穂の心中に隠された育児の苦悩を証言により知っていく里沙子。『うまく寝かしつけられない、あやせない、体重が増えない等、子育ての自信のなさ』というようなものは、子育てにはつきものとも言えるある意味で一般的な悩みです。それもあって、『そんなの、少し待てばすぐ終わったのに。赤ちゃんのころなんて一瞬なのに。あなたのなかにはおかあさんのもとが入っていなかったの?』と一歩引いた立ち位置で捉えていた里沙子。しかし、被告、被告の夫、そして被告の母親などの証言を聞いていく中で里沙子の内面に変化が生まれていきます。それは『どうして忘れていたんだろう?どうして忘れられたんだろう?』という里沙子自身も同じように苦しんだ過去の記憶でした。『数珠つなぎ的に思い出された』というそれらの苦い記憶。『考えまいとするのに、気がつけば、里沙子は文香が八カ月だったころを思い出している』と、水穂にどんどん自らを投影し、重ね合わせて、そしてその思いに入り込んでいく里沙子。そんな里沙子は『忘れていたのではない、忘れていたのではなくて封印したのだ』と過去に自らが犯した過ちを思い出していきます。それによってどんどん自らを追い込み、自らを追い詰めていく里沙子。ついには『そもそも、私は、文香を愛しているのだろうか』と思い詰める里沙子。そんな里沙子は、『私はあの女性を裁いていたのではない、この数日、ずっと自分自身を裁こうとしていたのだ』とその苦しみの理由に思い至ります。 この作品では、最初から最後まで、里沙子の視点から物語が描かれていきます。そのために読者はもがき苦しむ里沙子の内面をずっと見続け、共有することになります。もっと気楽にやろうよ、もっと肩の力を抜こうよ、そんな風に声をかけてあげたくなる思いに苛まれる読者。でもそれは叶わないことであり、最後まで、そんな里沙子の心の叫びを、耐えられないほどの閉塞感の中で共有し続けることを求められます。そんな角田さんの圧倒的な心理描写を単行本420ページ(文庫500ページ)に渡って体感するこの作品。読者にはそれを受け止めるだけの覚悟が求められる、それがこの作品の一番の魅力であり、逆にある種の近寄り難さだと思いました。 『乳幼児の虐待死事件』を裁く裁判員の姿を描いたこの作品では、そのそれぞれが抱える問題を、被告に自身を投影してしまう主人公・里沙子の内面を通して見事に描き出していました。それは、育児中の母親の孤独であり、圧倒的な閉塞感であり、そして周囲からの目に見えない圧力でもありました。様々なものに一人で向き合い、一人で耐える日々を送る育児中の母親の孤独を描いたこの作品。『乳幼児の虐待』という問題の微妙さ、そして裁判員制度の重さ含め、様々な問題提起を感じさせてくれた、とても重く、とても印象深い作品でした。

    67
    投稿日: 2020.09.29
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    ⭐️5つで良いのかどうか… 裁判員制度について考えるきっかけをもらった、と言うことと、事件内容はさておき、登場人物の心理描写が共感できないものの、詳細で揺れ動く感情表現が素晴らしく、恐怖すら感じた、と言うことで5つ。 乳幼児を自宅の風呂場で水の中に落として死亡させてしまう、という虐待事件の判決に関わる。 なんとも重い内容で読み進めるのが辛い。 ただ、被告人と境遇の類似で、主人公の女性が裁判員補佐として関わり、自分と重ねて考えてしまう、女性にありがちなところ、次第に夫や義母にまで猜疑心を抱き、公判なのか、現実なのか区別がつかなくなっていく心理に静かな恐怖を感じる。 読むのが辛いかもしれないが、一読の価値はとても高いと思う!

    3
    投稿日: 2020.08.24
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    なかなか明けない梅雨。毎日毎日バカみたいに降る雨。 相変わらず減らない感染者数。 そんなときだったからかもしれないが、主人公の女性の独白が8割を占めるこの小説は、途中からとても読むのが億劫になってしまった。 生後8か月の自分の娘を浴槽に落として殺害した安藤水穂の裁判。 補充裁判員に選ばれた山咲里沙子は、もうすぐ3歳になる女の子の母親で現在は専業主婦だ。 子育ての苦労や苦しみ、不安や周りからのプレッシャー、だんだんと悪い方へ悪い方へと傾いていく気持ち。そして最終的には最愛の我が子をこの手で殺めてしまう。。。子を持つ母親として、里沙子は水穂の気持ちを想像し、理解しようとする。がしかし、そうすることは里沙子自身の子育てにまつわる過去と現在を今一度見直すきっかけとなっていく。 裁判の間、里沙子が真剣に考えていたのは水穂のことじゃない。 他の裁判員との意見の食い違いで、水穂を庇うような発言をしているが、実はそれは水穂と重ね合わせた自分を守っているだけだ。 「私もまた、進んでそんな人間になりきってきたのではないか。 そのような愛しかたしか知らない人に、愛されるために。」 物語終盤の里沙子の言葉。 彼女ならどのような立派な愛し方ができるのだろうかとわたしは思う。 彼女はこれまで、陽一郎という夫を、文香という娘を、どんな風に愛してきたのだろうか。 確かに無意識の他人からの言動に、不意に傷つけられることがある。それがトラウマになってしまうことだってある。相手は悪気もなければ、もしかしたら善意や好意からやっていることなのかもしれないのに。 だから人との付き合いは難しい。 自分が傷つけられてきたということは、自分だって誰かを傷つけてきたということだというのが、里沙子には分かっていないような気がした。自分ばっかり被害者のような言い分だった。いや、彼女の気持ちを他の誰かにぶつけたわけではないから、言い分っていうのとは違うな。みんな自分勝手に色々なことを思うから。わたしだって口にはしないだけで、さんざん頭の中で被害妄想的なことを考えたり、極悪非道なことを願ったりするわけだ。 さて、この裁判が終わった後、里沙子はどうするのだろう。 『そんな愛しかた』しかできない人とは離婚するのだろうか。それとも、離婚したからといって生活もできないし、子どもも手放したくないし、といことで自分の都合のいいように物事を見るようにして、今まで通り生きていくのだろうか。

    0
    投稿日: 2020.08.03
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    正直に言いますと、主人公の心理が丁寧に描かれ、共感するところも多かったのですが、とても読むのがしんどい小説でした 私自身は、人は法で裁かれるべきであり、心情や感情の介入をまねく裁判員制度には反対です その難しさが描かれているのみならず、「地方特有の考え」やコンプレックスから来る「えらいわね」の評価に、子供に追い抜かれることに嫉妬する親の様 人が気付かない理不尽を悪意の表れと感じて、愛情なのか自身がひねくれているのか判断ができず、六実のように笑って済ませられないために自らが生み出した沼にはまっていく主人公などと、感じさせられる部分は多いです 冷静に考えれば隠す必要がないことに、変な引け目を感じてしまうことなど身につまされる思いがしました 単純で面白い小説ではありませんが、多くの人に一度は読んでもらいたいと感じました

    3
    投稿日: 2020.07.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    児童虐待死事件を起こした女性の裁判に、補充裁判員として参加する女性。公判が進むうちに、家(家族)という密室の中で、見下され次第に自信を失っていく被告人の女性は、今の自分自身なのではないかと主人公は思い至り… 心理描写が多く、読み進めるのに集中力と精神力が必要。特に同じような経験をしたことがある人にとっては。

    1
    投稿日: 2020.04.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    補欠裁判員の里沙子が、子どもを殺してしまった被告の水穂に自分を重ね合わせて、苦しみ、そして気付くお話。途中は私も主人公同様、大分苦しくなった。 私も元夫との結婚生活では本当に辛い毎日だったし、洗脳的な状態だったと思う。そこから抜けた今が本当に幸せで・・・。そして、インスタ等を見ていると、今まさに辛い毎日を送っている人がたくさんいて。そんな人達が早く気付き、救われますように、、水穂のような人が生まれませんように、、と願う。

    2
    投稿日: 2020.03.07
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    角田光代にはまったきっかけになった本。 主人公の感情の揺れが自分のものかと思うくらい、感情移入してしまった。 ちょっとした言葉や態度からの、すれ違い…みたいなものに、若干恐怖心を感じたほど。 角田さんの感情描写、ホントすごい!!

    2
    投稿日: 2020.01.06
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    仕事を辞め育児に専念する主婦、補充裁判員に選ばれる。娘を義父母に預け、似た境遇の被告について裁判員としてガチで考えられさせることで、自分の行動や考え方、夫や娘や両親・義父母との関係性を深く内省する。 かけた労力に見合った成果が得られて、良かったです。他の裁判員たちも、それぞれに、何を得られたんだろうと思います。

    0
    投稿日: 2019.09.18
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    読み応え十分。何度も読み返したくなる感じ。 補充裁判員として、幼児虐待の事件の証言を聞くことと自分を重ね合わせた主人公の心の動き。 登場人物それぞれが良かれと思って動くこと、それに伴う受け止め方が恐ろしくも感じられる

    1
    投稿日: 2019.09.16
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    裁判員制度。 導入された時こそ「もし選ばれたら…」なんて考えてたけれど、今や自分の身に降りかかるなんて日常の片隅にも思わないくらいになっていた。 自分にそっくりな家庭環境の女を裁くための裁判。 こんなことも、実際にないとは言えない。 幼子を抱える母であった頃の自分に重ねては、被告や主人公の抱えるいろんな思いがリアルに響いた。 夫の描き方も。すごくあるある。 ラストは少しだけ光が見えて良かった。 理沙子が自分らしく暮らしていけますように。 もしも裁判員に選ばれることがあれば是非経験してみたい。かも。

    1
    投稿日: 2019.09.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    相手の言葉や態度で、相手の感情に関係なく自分の怒りや恐怖心が増す。わかる。 子どもがいないので所々理解できなかったけど、被告人と同化してしまう主人公 里沙子にはとても共感した。 里沙子のピンと来ないところ、考えすぎるところにイライラしたけど、それは自分の嫌なところだとうっすら気づいて、里沙子じゃないけど戦慄した。 元気なときじゃなければ読むのを控えた方がいいなあと読了してから思った。

    1
    投稿日: 2019.08.25
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    子育て経験がないので、あまり興味を持てないまま読み始めたが、途中からページをめくる手が止まらなくなりました。「子育ては大変」「母親を孤立させないように」等、周囲が表面でわかったような顔で言ってることの無責任さ、空虚さ。自分も善かれと思って発した言葉で知らず知らず誰かを傷つけてたのかも知れません。 裁判員として虐待死の事件に関わりながら、精神的に追い詰められていく里沙子ですが、ラスト近くでは、これまで自分で考えることをせず、実の母親や夫・陽一郎の意に沿うように楽な方に流されてきたことに気づきます。さらに彼らは決して自分を憎んで損なおうとしているのではなく、そういう愛し方しかできないのだと理解します。 電車の中で、連れの男性に大声で何度怒鳴られても言い返す女性が出てきますが、そのエピソードが効いてます。 ラクしてばかりではなく主張しないと始まらない。言いたいことが通じなくても諦めてはいけない。その後の里沙子が自分と娘・文香のためにどんな選択をしたのかは描かれませんが、自立の方向へ人生を踏み出すのではないかと思わせる終わり方に希望を感じました。

    0
    投稿日: 2019.08.17
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    読んでいて段々犯人の事を書いてるのか、主人公の事を書いてるのかわからなくなる。主人公の追い詰められて行く感情が読んでいて苦しいし、フラストレーションを感じた。子育てはここまで母親を追い込んでしまうのかと改めて勉強になった。

    6
    投稿日: 2019.08.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    乳児を死なせた母親の水穂と、裁判員に選ばれた里沙子が次第にシンクロしていく様にぞわぞわとした嫌な感覚を覚えた。 かばいたかったのは自分、憎しみではなくて愛情、のくだりはストンと腹に落ちたけれど、最後まで梨沙子が被害妄想を感じていて、陽一郎をそのような愛し方しかできないと決めつけているのが引っかかった。 育児をしている母親だけでなく、みな多かれ少なかれ不安を抱えていて、その表出の仕方が人によって違い、また受け止め方も違う、そういうことなんじゃないだろうか。

    0
    投稿日: 2019.06.29
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    一気読み。 ただのなんてことない台詞に含まれる悪意のようなものを感じ取る母親達の描写が秀逸で、言葉にならない重苦しさがずっと続いた。 その事件に至るまでの描写が生々しく、水穂の心情やパニックに陥った時のことを、理解は出来ずとも想像できてしまって...辛かった。水穂の友達になってあげたかったな。

    0
    投稿日: 2019.06.28
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    私は小さな子供もいないので、こんなに周りの言動に振り回され、そのイライラが弱者(子供)に向かうのかと逆に驚いたというか、引いた。 後半にかけて特に話が盛り上がるという訳でもなく、裁判員制度に興味があるので、そちらの展開も楽しみにしてたが、そうでもなく。 私的には消化不良な内容であった。

    0
    投稿日: 2019.06.19
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    前半は、私小説のようなリアルさが続いて、読んでいて苦しかった。まるで自分のことのようで、ここまで苦しい小説はなかった。 女性の自己暗示や、その周りにあるモラルハラスメントを、ここまで言葉で表現できるのはすごい。 334ページあたりからの描写は本当に文章に力があって、そこから一気に読んだ。 すっきりする終わり方ではないし、前半は本当にきつかったけど、無駄な描写はなかったなと思う。

    1
    投稿日: 2019.06.12
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    読みながら、起伏のない単調な小説だな、と感じることもあったが、読み進める内に、これが日常なんだな、と思えるようになった。 理沙子の感嘆表現として、「あっ」ではなく、「あ」の表現が、なにげない日常を上手くあらわしていると感じた。 裁判員裁判を補欠の立場から描くという視点も良かった。 子育ての日々での、義母や夫など周囲の何気ない言動が、時として大きな負荷を掛けることもある、と言葉の大事さにも改めて考えさせられた。

    0
    投稿日: 2019.06.12
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    2019年15冊目。 妻に読ませたくない本、だそうです。ぼくはどちらかというと読んでもらった方がいいんじゃないかと思ったくらい。それは夫として父親としての自分に自信があるってことじゃなくて、様々な角度からの見方に気付かせてくれるすごい本だから。 人間関係とはどうも複雑なようで、一対一の関係だけじゃないから、相手の心理状況・身体状態によって同じ言葉を伝えても捉え方は変わってしまう。逆もまた然り。そんなつもりじゃなかったってのは言い訳にもならないし、責任転嫁したって自分さえも守れない。だけど、だからこそ口酸っぱく伝える必要があるし、伝え方を工夫する必要があるし、伝わり方だって考えなきゃいけない。 相手に同じことを期待するのは野暮だけど、せめて愛してもらえるように愛せよってことに帰結する。少なからず自分からは傷つけることが少なくなるようにしたいな。それも相手の捉え方次第だけど。

    13
    投稿日: 2019.06.09
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    主人公と自分が重なるところがあり、ノンフィクションのような錯覚に陥るほどの中身で、なんとも言えない恐怖、不安、悲しみが押し寄せてきた。これまで、自分が言葉に出来なかった夫、子供、親族に対する心情が表現され、自分が感じてたのはこれだ!っとスッキリするところもあった。きっと誰しもこの複雑な感情があるのだろうと思うと、少し心強く感じた。

    0
    投稿日: 2019.06.06
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    この話も感情移入し過ぎてしまった。 角田光代さんの話はどれも、「ああ、私の気持ちを代弁してくれてる」と感じてしまう。

    8
    投稿日: 2019.05.17
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    ずいぶん前に古本で買って何故か読まないでいたが、WOWWOWドラマ化前に読んだ。キャスト分かっていたから、どうもそのイメージで読んでしまったな。 裁判員は未経験だが、主人公の気持ちが自分なりに理解でき、十数年前の育児時代の色々なことを思い出し、辛すぎて涙が出てしまう場面もあった。 育児経験者であれば共感する部分が多かれ少なかれ必ずあるのではないだろうか。自分の心理状態によって、本当の親切心でも、何気なく言われた事でも思い詰めて堕ちていくことはあり得るのだ。 被告人と重ね合わせ、自分との区別がつかなくなる様が、かなり細かな心理描写で凄い。角田さんの実に上手いところだ。 裁判員制度についても少し理解できた。 どんなに公平な目といっても、裁判員の捉え方で被告人の見方も差異が生じてしまうものなのかも?とも思えた。

    0
    投稿日: 2019.05.06
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    WOWOWでの放送に備えて読む。主人公里沙子は子供を殺した母親の裁判員裁判で補欠裁判員に選ばれ、その犯人の境遇を自分と重ね合わせてしまう、夫、義母、実母だけではなく実の子供にさえその言動に疑惑を持ってしまうという心理サスペンス風な話である。全ての言動にこんなに敏感になってしまえば辛いとは思うが、女性は本当にこのように思ってしまうのだろうか。男にとってはある程度結婚して時間が経てば妻に不満を持っても諦めてしまうのが普通のように思うが世間ではどうなのだろうか、世の中いい加減に生きた方が楽なように思うのだが。

    0
    投稿日: 2019.04.21
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    補充裁判員に選ばれた山吹里沙子が、被告の安藤水穂が娘の凛を殺してしまった状況を自分の子育ての記憶と絡めて、さらにそれぞれの夫 陽一郎と寿士の言動を比較してあれこれ思い悩む物語だが、里沙子の3歳の娘 文香のいやいや時期への悩み、夫の実家とのやり取りでの葛藤など、現代の母親の苦労話の集大成のような感じだ.水穂が子育ての中で孤立していたことが娘を風呂で溺死させた原因の一つだと、裁判員らとの議論で里沙子が主張するが、あまり理解してもらえない場面が気になった.裁判員制度の概要も理解できる内容であり、参考になった.

    0
    投稿日: 2019.04.16
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    裁判員制度が既に日本にも導入されている中 恥ずかしながら不勉強な私 この作品はそんな私に勉強しておかないといけないのだな ときっかけを下さいました 個人的にはもっと大きな展開があるのかと期待していたのですが これが現実なのでしょう 読了後しばらくしてから納得しました 虐待はいつでも起こり得ること たくさんの描写にゾッとしました 夫婦は血の繋がりのない他人 主人公夫婦がその後どうなったのか気になるけれど それも野暮な発想なのでしょうね。。

    0
    投稿日: 2019.04.11
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    こんなに心が痛くなる本を読んだのはいつぶりだろうか。 結婚する前に読んでいたら, こんな結婚しなければ良いと白けていただろう。 子どもを授かりたくて体温計とスケジュールとにらめっこしていた頃に読んでいたら, こんなにもほしいと願った我が子にそんなことするなんて全く信じられないと白けていただろう。 でも, 親になって読んだこの内容は他人事で済まされない内容だった。水穂にも里沙子にも自分が重なることはなかったけれど, 同じくらいの月齢を持つ母親同士のなんてことない会話や助産師から言われる言葉・義母との折り合いのどれもがちょっとタイミングが違えば誰にとっても引き金になりうることは胸が痛い程分かる。

    0
    投稿日: 2019.03.28
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    書評の通りで「主人公は私の気持ちの代弁者か」と思わせるような、主人公の心理描写。フィクションなので誇張はあるものの、女性読者には、多くの共感を得られると思う。 一方の支配的な言動に、他方のネガティブな被害的認知。家族関係の輪廻。心理的虐待についても、考えさせられた本。

    8
    投稿日: 2019.03.24
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    子供を殺した母親とその裁判の補充裁判員になった主人公の話。 子供をもつ母親なら、多かれ少なかれ彼女達に共感できる部分があると思う。が、それ故にほんのささいなボタンのかけ違いで、自分にも起こりうるのではないかと言う恐怖を感じながら読み進めた。 今まさに子供が産まれたばかり、または小さな子供がいるという男性はどういう感想が多いのだろう?

    1
    投稿日: 2019.03.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「私もまた、進んでそんな人間になりきってきたのではないか。 そのような愛しかたしか知らない人に、愛されるために。」 物語終盤、この二文に 私は吸い寄せられて、目が離せなくなった。 いびつな愛し方でも良いから とにかく愛がほしくて。 大切にされたくて。 苦しいはずなのに、 自らその苦しい世界にいつづける。 過去の自分にも思い当たる節がある。 今の自分の中にも まだわずかだが残っている。 自分が思う、自分の1番嫌いなところ。 思い出したくもないつらい日々。 この本に登場する二人の女性も、 愛される形が少しいびつだった。 裁判員の補欠になった里沙子。 子供を殺した水穂。 どちらも 夫や親からのいびつな愛で 無意識に 苦しめられていた。 一人はそれに気付き、 一人は気付かぬまま子どもを殺す。 虐待はほんの少しのボタンのかけ違いから 起きるのかもしれない。 ニュースで取り上げられる度に 「なんでそんなことを」 「信じられない」 と言う人がいるけれど。 虐待するかしないかは もしかしたら紙一重なのかもしれない。 決して虐待は他人ごとではない。 そう思わせてくれる本だった。 私にとって 近い将来訪れるであろう、 いびつな結婚生活を タイムマシンに乗って 見に行ってきたような感覚だった。 このままだと、あなたの将来は こうなりますよと。 あまりにリアルな家庭内の描写、 義父母とのやりとり。 他人には見せない、 他人にはわからない、 人間の奥底にある感情。 当事者だけが感じるいびつさ。 違和感。 これを里沙子は必死に他の裁判員に伝えようとするが、 うまく言葉にできない。 結局最後まで伝わることはなかった。 それほど曖昧で表現の難しいことを この本は巧みに描いている。 きっと、 救われる読者は 私だけではないだろう。 第二の水穂が生まれないように、 第二の里沙子にならないように、 私はまっすぐな愛で 大切な人を守れるようになりたい。 独身の人も、 既婚の人も、 離別した人も。 全ての人に読んでほしい。 人生に大きく影響を与える一冊だった。

    1
    投稿日: 2019.03.14
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    乳児を虐待死させた事件の裁判員となった一児の母の物語。読むと、なんとなく夫が嫌いになり、明確に義父母が嫌いになり、何よりも幼児が嫌いになる。

    0
    投稿日: 2019.03.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    裁判員裁判の審判員の補欠に当たり、児童虐待死の事件に関わることになったヒロインのお話。 裁判員裁判の流れなども忠実に描かれていて、なるほどーと思いながら読みました。 ワイドショーやニュースで取り上げられる事件を、色んな角度から見て困惑するヒロインの心情が良く伝わりました。 同じ母親として、同じ母親の立場の加害者を裁く、理解に勤める姿は知らず知らずに自分と重ね合わせてしまい、もし自分ならと取り組みますが、その夫が微妙(笑)姑も微妙(笑) 絶妙にイラッときます(笑) そして、その微妙さがヒロインの胸をざわつかせていく…。 誰しも思う、もしあの時別の道を歩いていたら…一番近くて一番遠い未来。 ラストは読者の想像に任せる意味合いもありますが、もう少し読みたかったです。

    0
    投稿日: 2019.03.05
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    角田光代さんにしては暗めの話。育児中に読んだ。 子供を産んでいなければ、遠い話と感じたであろうが、どこにでもありうる感情。 しかも、他人には言い難い話なので共感した。

    0
    投稿日: 2019.02.21
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    義母から薦められて読んだ。 どこにでもある夫婦の、何気ない日常から、ここまで掘り下げながら、それでいて誰にでも当てはまりそうな流れに持って行ってなおかつ不安にさせる文章技術たるや。 つい、自分の夫婦の会話を反芻しながら、何か似たような事例がなかったか探しちゃったし。笑笑 とりあえず、今まで通り鈍感力発揮しながら生きていこう。と思った一冊。

    0
    投稿日: 2019.01.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    裁判員裁判の補欠裁判員に選ばれてしまった、子育て中の専業主婦の話。 この題材を扱った小説を読むのは初めて。自分でも制度が開始する前に、裁判所主催?の説明会にも行ったくらい興味があるから、実際の裁判の様子も感じられて面白かった。 子どもを虐待死させた主婦を裁く裁判。主人公にとって他人事とは思えなくて、段々自分も同じことをするんじゃないかって追い詰められていく。 旦那さんから見た主人公とか、姑とか、ほんとに善良に見えた人が別の角度から見ると全然違ったり。ぐずる子どもにイラついて置いていこうかと間がさしたところをたまたま旦那に見られたシーンは、こういうことありそうだなって思った。1回お互いに不信感が芽生えたら修繕は難しそう。 ラストで、旦那との離婚を考え始めたのはおかしくないけど、この主人公あんまり娘のこと好きじゃなさそうなのに離婚したら娘の親権は取ろうとしてるのが違和感があった。

    0
    投稿日: 2019.01.09
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    自分と母親、自分と娘の関係性を顧みた。母は、私が高校生の頃、完全に抜かされた、と感じたそうだ。その時は嬉しそうに話しているようにも見えたが、少し寂しく思う部分もあったのだろうとこの本を読んで理解できた。自分も娘に対して彼女は一生懸命泣いて訴えていてもその事がかわいくて笑いながら対応する事がよくある。これが過度になると彼女は自分の悩みなんて取るに足らないもの、それに悩む自分は足りていないと思うようになることもありえるのだろうか、と思った。あとがきにもあるが、角田光代の本は自分ごとのように思わせてくる力がすごい

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    投稿日: 2019.01.08
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    凄い。 傑作、という言葉では言い尽くせない凄みがある。 文句なく、今年読んだ小説の中では群を抜いている。 主人公の女性が周囲の人たち(娘、夫、義父母、友人…)との間の価値観の齟齬を感じるや否や、坂を転がり落ちるかのように孤独と不信と焦燥に陥っていく様が物凄いリアリティで描かれていく。 そんな主人公が唯一共感を覚える相手が、補助裁判員として関わることになった実の娘の殺害の罪に問われた被告人の女性であった。 もちろん主人公は被告人の女性と言葉を交わしたことはない、これからも交わすことは決してないであろう。 だが、一つ間違えれば自分自身が被告人の立場になっていてもおかしくなかったのではないか、と考え込んでしまうような深い共感に主人公は囚われていく。 そしてその共感は、他の裁判員たちにはまったく理解されない、話がまったく噛み合わない。 おかしいのは周囲なのか、それとも自分なのか? 事件の真実はいったいどこにあったのか? すべては闇に包まれていく。 このように、すべてを自分自身で受け止めて、悪い方へ悪い方へと深みに落ち込んでいく感覚は、出産・育児の経験の有無にかかわらず女性特有のものではなかろうか。 この繊細さは男性には表現できない。 角田光代が小説家としての一つの頂点を極めた一作と言ってよいのではないか。

    1
    投稿日: 2019.01.06
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    12月-13。3.0点。 裁判員に選ばれた、2歳児の母親。裁判の事件は、乳児を風呂に落として殺害した母親。 事件と自分を重ねていく主人公。 角田光代らしく、女性の心理を細かく描写していく。読むのに少し時間がかかったが、流石の描写。

    0
    投稿日: 2018.12.28
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    子ども殺しの裁判の補充裁判員に選ばれたとして、自分も幼い子供を育てている親だとしたら・・・。 子どもを育てるのが楽しいというのは、苦しさを乗り越えて振り返った時に美しい思い出としての宝物に出会えるからなんでしょう。ちゃんと育つのか、間違えて死んでしまうんじゃないか。なんでこんなにいう事聞かないのか。私を苦しめようとしているんじゃないか。なんで夫はそんなに他人事なのか。何故親は余計な干渉をしてくるのか。ネットや雑誌で出てくる正しい親たちの姿と自分を比べてしまい落ち込む。思わず叩いてしまった子供のほほ。 そんな誰しもが感じるであろう子育てのフォースの暗黒面をこれでもかと書かれていて、男でも陰鬱になるので読むのが結構つらい本ではないか。でもこれを読んだ経験者は大きく頷くのかもしれない。 子どもを憎たらしく書き過ぎじゃないかと思う節がありますが、実際どうなんでしょうね。自分はどんな子供だったんだろうか。 救いがあったのか無かったのかもちょっと分からんです。

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    投稿日: 2018.11.20
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    裁判員について全く知らなかったので、勉強になりました 日経夕刊で酒井美紀が紹介していて、 読んでみたいと思いました。 子をもつ前と持ってからでは、感じ方が違う。 他の本もまあそうだけど、読みながら辛いこともあった。うちの夫にも当てはまると考えてしまう。

    1
    投稿日: 2018.11.12
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    裁判員制度。。自分もなる可能性はゼロではないんだなぁと思いつつ。話を読んでると子育て中に感じた事に共感。自分が追い詰められてる圧迫感。私は幸い周りに恵まれてたというか鈍感だったけど、一歩間違えたら水樹側に行ってしまう。。という恐怖は拭えない。子育て中の母親には鳥肌もののホラーだなぁ。

    0
    投稿日: 2018.11.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    裁判員裁判の裁判員に選ばれた里沙子はごく普通の専業主夫として子どもとサラリーマンの夫と暮らす女性。 ある日届いた裁判員制度の候補使命書類で指名されたことによって彼女の生活や心の中が変化していく。 今回の事件は彼女と同じ子どもを持った女性がその我が子を風呂に突き落として殺害したというもの。 本来選ばれないと思っていた彼女がその裁判の補欠裁判員として選ばれ、その事件の証言や裁判を裁判員として体験していくことによって、彼女の家庭のことと自分の心とが同化していき、悩み考え苦しんでいく。 ある日だれにでも届くかもしれない裁判員への通知。そしてその時自分はどのようにその事件と向きあうのか!?そして自分の生きている世界とその事件をどのように整理して判断を下すのか? ひょっとしたら自分にいつか訪れるかもしれないこの制度。それをいつもの角田光代のちょっと暗く重たい小説が引き込んでいく。

    0
    投稿日: 2018.11.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    虐待がテーマ?なのかな。 子育てを経験した母親は共感しやすい内容なのかも。 と、思ったけど、みんなは共感しないのかも。 共感した私はやっぱりそっち側の人間なのかも?とも思えた。 私も思い込みが激しい方だし、ネガティブだから。 きっとこうだろうって相手の気持ちを決めつけがちで。 本当は違う事たくさんあるんだろうなって。 私の中では最後が尻つぼみだったので★3 だって結局何も変わってない。 その後どうなったのかもわからない。 モヤモヤだけが残った。

    2
    投稿日: 2018.11.05
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    私と同じような思考回路の人っているんだ、が最初の感想。 子どもを旦那のいるところで、出来るだけ泣かせないようにしていた頃を思い出す。 後から聞いたところだと、私の思い込みだったようだが。 その時は本気で旦那が怖かった。

    0
    投稿日: 2018.10.28
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    「八日目の蝉」「紙の月」に続く、新たな代表作 子育て中の主人公が、ある日補充裁判員に選ばれる。 公判中の10日間が裁判の内容と彼女の毎日と共につづられる。 乳幼児の虐待死事件の当事者と自分を重ね合わせ夫婦関係や家庭の有り様を考え始める。 子育てに不安を覚え、反抗期の娘に手をやき、夫の一言に顔色を伺い、義母との関係にうんざりし。 主人公は、被告人と自分の共通点を感じ日を追うごとに共感する。 私は彼女だったかもしれない。

    0
    投稿日: 2018.10.15
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    妻と夫、夫の両親、妻自身の両親、以前からの友人、ママ友との人間関係。妊娠、出産、子育て、キャリアを通じてかかる女性への重圧。傍から見れば何気ないことも本人にとっては大きくのしかかる。乳児虐待殺人事件の補充裁判員となった主人公里沙子は裁判を通じて被告である母親と自らを重ね合わせ、見て見ぬふりをしていた自分自身に気付く。自宅、夫の実家、裁判所のみで構成される400p超、最後までハラハラしながら一気読み。

    0
    投稿日: 2018.10.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    育児のタイヘンさ微に入り細に入り描写していく。角田さんは子どもさんはいないことを考えるとこの顕微鏡的細かさは凄いですね。心の襞の奥まであますとこなく書いていくのでリアリティを超えて息苦しい感じがする。 『赤ん坊は一日機嫌が悪かった。昼間に離乳食を吐き、ぐずり、泣き、泣きつかれて眠り、目が覚めて泣く。抱っこしても、おっぱい飲ませても、おしゃぶりを口にあてても泣く。乳腺炎で胸は痛み、頭痛もしていた。泣き声を聞いているとどんどん痛みが激しくなっていくようだった。』という感じだ。 ただ育児の顛末を書いたのでは単純なので、裁判員制度で、子どもを浴槽で窒息死させた女性の事件を審査するという形で、二重の育児ノイローゼを書いていく形にしている。 併せてその時夫はどうなのか。親身になってくれるように見せて圧倒的有利な立場をとることで妻を見下し追い込んでいっているというシビアな描写をしていく。 『憎しみではない、愛だ。相手をおとしめ、傷つけ、そうすることで、自分の腕から出ていかないようにする。愛しているから。それがあの母親の、娘の愛しかただった。それなら陽一郎もそうなのかもしれない。意味もなく、目的もなく、いつのまにか抱いていた憎しみだけで妻をおとしめ、傷つけていたわけではない。陽一郎もまた、そういう愛しかたしか知らないのだ。』 愛も欲望だからそういう見方もできるような気がする。このサディスティックに攻め込んでくる角田さんの筆力に舌を巻く。

    0
    投稿日: 2018.10.02
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    犯罪者心理に寄り添う、という点では、「八日目の蝉」「紙の月」と同じ。しかし、前者が「動」なら今作は「静」というか...ただただ公判日数を重ねる展開。それにつれ心情的に追い詰められていく主人公里沙子。子供のいない自分にも気持ちは痛いほど伝わったが、自分は「動」の作品の方が好みかもしれない。読み返すのは少しきつい。

    0
    投稿日: 2018.10.01
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    しっかりと読み飛ばせない、読みごたえのある一冊。補充裁判員に選ばれた主婦が境遇の似た被告に自分を重ね合わせていく

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    投稿日: 2018.07.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    苦しい、苦しいけれど読まずにいられない。育児中の母親の神経をすり減らしていく日常、里沙子の妻として母親として葛藤する深層心理、そのどれもがリアルで驚愕。よくここまで掘り下げられるなぁ。 里沙子の自己投影にはついていけない面もあったが、「母親として生き抜くことができなかった もうひとりの私」という一文がストンと胸に収まる。母親の日々って、無意識のうちのその幻との戦いの連続だと思うから。苦しいけれど読んでよかった。 離婚しないという水穂の夫に優しさを通り越して、やはりどす黒いものを感じてしまうのは考え過ぎか。

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    投稿日: 2018.07.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読んでいる間中、ずっと息が苦しかった。 子どもを殺した母親を裁く補充裁判員になった主人公の里沙子は、被告人である水穂の境遇を聞くにつれ、自分自身のそれと重ねあわせ、考えないようにしていた自分の心の闇、夫やその家族の透明な悪意に気づくことになる。 いわゆるワンオペ育児。 子どもの数だけ正解はあるということに気づけない時、育児に対する不安は自分への非難に容易にすり替わり、世の中の母親がみんなできていることを自分だけができない、だめな母親だと自分を責め、気の休まる瞬間もないような生活に落ちていく。 相談してもわかってもらえない孤独。 自分だけがダメだと言われるんじゃないかという不安。 子どもすら自分を嫌って、憎んでいるのではと感じてしまうほど。 親に頼ってもそれは晴れることがない。 学生時代の友達にも相談できない。ましてやママ友に。 だって、自分が誰よりも自分にダメ出しをしているんだもの。 これ以上のダメ出しなんて受け止められない。 ただ一言。 夫に心からねぎらってもらえたら。 夫の叱責に怯え、夫のねぎらいを狂おしいほどに求める里沙子と水穂。 水穂を自分に重ねる里沙子を、私は自分に重ねて読んだ。 ただ私がふたりと違うのは、私は我慢をしなかったのだ。 言いたいことは、喧嘩になってもストレートに夫に言った。 彼女たちはなぜ夫に、自分の気持ちを伝えることができなかったのか。 結婚した時からずっと、巧妙に、優しい言葉でなじられていた。 見えない悪意でがんじがらめに縛られていた。 いつの間にか自分が、どうしようもなくダメな人間だと思わされていた。 ここがもう、苦しくて苦しくて。 それが愛だと言われても、そういう風にしか愛を表現できないと言われても、それはあまりに一方的すぎるのではないか。 ひとりだけが我慢を強いられる家族の幸せってない。 「お前はダメなやつなんだから、おれが守ってやらないと何もできないんだから」 それは愛の言葉ではなくて呪いだろう。 呪いに気づいてしまったなら、もう今までどおりには過ごせない。 里沙子が選ぶのは、対等に言い合う夫婦なのか、それともすっぱりと離婚することなのかはわからない。 私は、大事な話をしているときにテレビから目を離さないような人を、夫とは呼びたくないけどね。(絶対許さない自信がある)

    0
    投稿日: 2018.06.18
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    主人公のネガティヴにはかなりの違和感を感じる。 なぜそこまでネガティヴになれるのだろう。 自分には理解できない表現が多かった。 周りは何故わかってくれないのだろうと他のせいにする時点でネガティヴではないのかもしれないが。

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    投稿日: 2018.04.05
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    ひさびさに持っていかれる作品を読みました。 私は子供はいないけど主人公の不安、違和感、言いたいこと、思うことにすごく共感を覚えてすごい読んで疲れました。 まえに、起きたことに感情が伴って初めて人は出来事と捉える、と言われたことがある。 旦那の帰りが遅い、という事実を嬉しいと捉えるか不安と捉えるかで同じ事実がことなる出来事に見えてくるわけだ。 まさにそんなことをぐるぐる考えさせられたお話だった。 2018.3.30

    0
    投稿日: 2018.03.30
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    自分と同じような境遇の母親がが起こした子供の虐待死。その裁判員裁判に参加する事で自分とその母親が重なってゆく。主観と事実をどのように切り分けて考えるのか。全ては主観でしかないのではないだろうか。

    1
    投稿日: 2018.03.30
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    重い。誰にでもある育児の不安、ストレス、夫婦間の力関係というか、働く夫と、育児に専念する自分の葛藤みたいなもの…。 裁判員に選ばれてしまい、幼子を虐待死に至らしめた母の裁判に関わることになり、その中で自分を、自分と夫との関わりを改めて考え始める。

    0
    投稿日: 2018.03.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    うっすら心理ホラーの味わい。 正解などどこにもなく、起こってしまった悲劇が「決して取り返しがつかない」という現実が冷酷過ぎるからか…… 考えてみれば、男女、夫婦、親子、家族という関係は究極の密室で、分かり合えない、そして自分と相手以外不在の空間で(下手をしたら、この「自我」や「他人」すらもなかったりして……)傷つけ合うというのは必然なのか。 主人公のあまりの暴走には戸惑うが(夫は私を憎んでいる!と確信してしまったところ)、何が「正解」なのかまるで分からないのがリアル。 ただ、容疑者の夫が「別れない」と宣言したのは、悪意にしか思えない…… なんて怖い小説なんだ。

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    投稿日: 2018.01.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

     日々流れる虐待のニュースを見て、「我が子になぜそんなことができるんだろう…」という浅はかな感想しか持てなかった自分を恥じた。自分が産んだ小さな命を前にして、はなから粗末に扱ってやろうと思う親などほとんどいないのだ。自分だって、我が子に手をあげることがあるかもしれない。それがたまたま死に至らしめるような行為となるかもしれない。そんな風に現実味を帯びて感じさせてくるところに、この小説の恐ろしさがあった。  視点人物である里沙子は、裁判員に選ばれる。しかも、自分と同じ女児を持つ母親の、幼児虐待事件。母親と折り合いが悪く親に頼らず育児をしている、仕事をやめて専業主婦をしているなど、容疑者と自分の間には共通点が多い。次第に彼女は自分を映し出す鏡となり、今までかかわることを放棄していたものと向き合っていく。  彼女がこれまでの人生で続けてきた「逃げ」には、自分にも身に覚えがありすぎる。母の喜ぶ言葉を発する癖は、30すぎた今でも消えない。窮屈さの原因を突き止めるのが怖いから。考えないのが楽だったから。

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    投稿日: 2018.01.19
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    『八日目の蝉』、たいへん話題になったので映画を見た人、本を読んだ人もいると思う。『紙の月』も映画化されていた。その作者、角田光代さんの最新小説が『坂の途中の家』である。怖くないはずがない(いわゆるホラーという意味でなく)。 夫と小さい娘がいる平凡な主婦の里沙子が、裁判員を引き受けてしまったがあまりに、被告の姿に自分を重ねはじめ、裁判が終わるころには……。 この里沙子の人生観、夫との距離、実母や義母とのつきあい、いやいや期の娘へのいら立ちが克明に描かれていて、ちょっと目をそむけたくなるほどに生々しい。 読んでいる人は、この人の何かしら、どこかしらに共感してしまって、せっかく忘れていたあれやこれやが思い出され、まことにいや~な気持ちになること請け合いである。 つまり…!! そう、里沙子は被告の水穂に感情移入し、わたしたちはいつの間にやら里沙子にすっかり感情移入してしまうという入れ子構造。 この本の語りには、巧妙な仕掛けがある。計算に計算をつくして私たちを罠に陥れる。最後まで気づかない人も、きっといる。見た目も声も話し方もかわいらしい角田さん、こんな意地悪をばん!と臆面もなく出せるなんて、本当にたいした人である。

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    投稿日: 2017.12.15
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    めっちゃ正直に書く。 この本を読んだり、熊本市の女性市議による赤ちゃん連れでの議会入り問題を考えたりすると、 「あー、子供を産まなくてよかった」て思うわ。 だって子供は女性一人で作れるわけでもないのに、いつも子供のことで大変な思いをするのは女性の方が圧倒的に多い。 不公平すぎるし、そんな状況で子供なんて欲しくない。

    0
    投稿日: 2017.11.26
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    これぞ角田さんの真骨頂。 紙の月、八日目の蝉、のよう。 まるで自分が主人公になったような切迫感があった。 被告人と自分がシンクロする恐怖。 私も子育てのころに気持ちを思い出した。 夜、泣き出して、どうやっても泣き止まない息子。 まだ布団の上で寝ているだけの息子を自宅に置き去りにして自宅を出た。 近所のおばちゃんとすれ違い、こんな時間にどうした?という顔付きをされた。 近所を一周して帰宅して、ちょっとだけ楽になれたあのころ。 今だって、こうしてる瞬間だって、そういう母親はどこかにいるんだろう。 手をかけるかどうか、は子細な違いなんだと思う。

    0
    投稿日: 2017.11.26
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    読み終わった時なんとも言えない開放感でなんか安心というかぐっときた。 裁判員制度の補欠裁判員に選ばれた主人公が被告人と自分を重ねてその期間を過ごす。 はじめは事件の内容に焦点を当てた話と思ったので序盤にそれがさらっとかかれていて拍子抜けして読み進めるのが途切れ途切れになったけど、読み進めていくうちにどんどん入り込めた。

    1
    投稿日: 2017.11.06
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    17/11/04読了 補欠裁判員に選ばれた専業主婦が、裁判を通じて自分をみる。 喉をかきむしりたくなるような、ひりひりする気持ちとともに読んだ。男性読者の感想をきいてみたい。

    0
    投稿日: 2017.11.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    専業主婦でもうすぐ3歳になる娘の子育てをする里沙子。 平凡な日々が、突然、裁判員に選出されて一変する。 乳児を浴槽に落として殺害した母親の事件について 証言する人によって変わってくる被告への感情。 義父母宅に娘を預け、毎日裁判員として気の滅入る話、 言葉に棘を感じる夫や、義父母の言動。 同じ母親として、被告人の母親にたいする怒りと同情。 孤立した子育て、その場の環境や言葉の選び方によって大きく変わってくる意味合い。 一筋縄ではいかない子育てってほんとうに。 子供が生まれたばっかりの頃は、何に対しても敏感で神経質になっていて、しゃべらない赤ちゃんと二人っきりっていうのは、孤独だった。 主人公の孤独が切ない。 でも、もうちょっと手を抜いても、大丈夫なのに。 言葉って大切。

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    投稿日: 2017.10.31
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    本作では、育児をめぐっての夫との関係、夫の実家との関係が、わかりすぎるほどわかる。 口に出せば、大したことではなくなってしまう程度の不満。 わかっているから口には出さないけれど、だからこそそれは孤独に心の奥にしんしんとたまってゆく。 私にとっては、もう何年も前のことだ。 今は子どもも大きくなり、また違った悩みがあるが、本書を読んでいる間、私の心は当時に完全にワープして苦しかった。 『八日目の蝉』以降、角田光代の書くお話は、どうしてこうも心にグサグサと刺さるのだろう。 自分の体験と重ねあわせ、既視感とともに読み進めるのは、時につらすぎて、何度も手を止めて深呼吸しなくては先に進めない。 でも、そういうお話を読んで共感している人が山ほどいるとしたら…悩んで、それを乗り越えようともがいているのは、私一人ではないといつも勇気づけられるのだ。 だからまた、読みながら苦しくなるのがわかっていても、角田光代を読んでしまうのだろうと思う。

    12
    投稿日: 2017.10.30
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    2016年1月、発売してすぐに購入したが、読み終わるのに随分と時間を要した。 ストーリーがしっくりこなかったのか、話題が重かったせいなのか、読み進めようと枕元に置いておくものの進まない…(いつしか、BOXティッシュを置く土台となっていた。) こないだ出張があり、現地で比較的自由な時間があるだろうなと思い 持っていく本を選んでいるときに手にしたのが『坂の途中の家』だった。 残り200ページ以上残っていたが、なぜか一気に読むことができて、読み終えることができた。 裁判員制度なんて、予備校の時に勉強した記憶があるけど身近なものではないし 結婚も子育てもしていないから、主人公に自分を置き換えることもできないけれど、けっこう感情移入して読むことができた。 ※去年は、読み始めても飽きてしまい全然進まなかった。 自身の環境の変化があったせいなのか、弟&妹の子育て(姪3人)の様子をみることが多くなったせいなのか。 結婚して、子供産んで育てる! 幸せストーリーのように思えるけれど、母親は大変なようだ。勝手に追い込まれてしまったり、助けの手が悪魔の手に見えてしまったり。端から見ると、単なる被害妄想じゃないのかな?と思ってしまったり 夫婦間だけでなく、お互いの父母の関係もあったり複雑だった。 坂の途中の家… 人生の坂、なんとか登りきってほしい。 (自分なりにタイトルを解釈) にしても、角田さんの題材が社会派というのかスリルのあるテーマになってきた… (誘拐とか横領とか) もしかしたら、来年あたりに『坂の途中の家』もドラマ化、映画化されたりして…

    0
    投稿日: 2017.10.23