
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
まず、驚いたのがこの美しい表紙は蜷川実花さんが担当してたということ!とっても素敵でした。 話は桜にまつわるショートストーリーで、キャラクターがそれぞれ魅力的だった。大きく変わる訳では無いけど、過去と向き合って自分ってこう思ってたんだを見つける物語だった。 最初の「春の狐憑き」が一番好きだった。狐に憑かれてホントの自分をさらけだして、最後には笑いあって夜の桜を見ながらお花見を企てる。 微笑ましいラストで良かった。 ホッコリしました。
0投稿日: 2025.12.24
powered by ブクログ同じ町とおぼしき、桜がたくさん咲く町を舞台とした短編集。 ああ、桜が咲いてきれいねぇ、というのどかな感慨はどこにもなく、桜の儚さやうすら怖いところに目がいってしまうような、迷い立ち止まっている人が登場する。 「花がかすかな風で揺れる度、頭の片隅を女の薄笑いがちらちらとよぎった。ひらりと首筋に落ちてきた花びらの冷たさに背筋がぞくりとした。」 けれどみな、出会った人との繋がりをなんとか明日へのよすがにしようとしている。偶然訪れた時間を、桜の花びらみたいに慎重に手のひらにのせて、とりこぼすまいとする姿がいとおしい。 「違う絵だろう?どっちとかじゃなくて」
2投稿日: 2025.06.29
powered by ブクログ千早茜さんの本はこれまで何冊か読んで読みやすくて自分に合っているなあと思っていましたが、今回は少し不思議な話の短編集というのもありどうにもその世界観に入り込めず途中で離脱してしまいました…。またほかの本を読んでみたいと思います。
2投稿日: 2025.05.10
powered by ブクログ桜を介して揺れ動く心を描いた7つの短編集。 千早さんの作品は心にすっと染み込んできて、 心地よく読み進めてるつもりでいながら胸がざわざわする。 自分と同じ状況の登場人物はほとんどいないのに、今自分が欲しかった言葉を不意に言われ、ドキッとさせられる。 そんな心地よさと怖さを描ける作家さんだからこそ、雄大さと儚さを併せ持つ桜と相性が良いのだと思う。 心情とリンクする桜の色んな姿を満喫できたのも、 千早さんの繊細な季節の描写に没頭できたのもとても良かった。
10投稿日: 2025.04.06
powered by ブクログまなもんが千早茜作品に出逢ったきっかけの本らしく、帯もまなもんが書いていたので読んでみた。 桜をテーマにした7つの短編集。 千早茜さんのとんでもなく美しく繊細な文章と、少し不思議で幻想的な物語設定に魅了されました。 好みは分かれると思うけど、愛萌さんはこういうのが好きなのね…!ということがよくわかった。 私は人の感情をストレートに表現されたものが好みなので、こういう作品は美術品を観るようで難しかったし読みとけていない部分も多くあると思うが、今回だと 「春の狐憑き」と「花荒れ」が特に好きでした。 温かい紅茶とかを片手に、静かな喫茶店でじっくり味わいながら読みたい一冊でした。 今からの季節、3,4月に読むのお薦めです。
4投稿日: 2025.03.01
powered by ブクログ私にとっては、苦手とする短編集だった。抽象的というか、何かはっきり見えない作風はダメだった。「背中」という1編だけは、私にもはっきりわかる内容だったけど、あとは何とも言えずモヤモヤした。
12投稿日: 2025.02.03
powered by ブクログ暑くなりきってしまう前に読めて良かった。 繊細な心と桜の相性の良さを感じる。 不安定だからこそ美しいのかな。 どの話も語り手がまるで違うのに 空気感が似ていてすぐに惹き込まれる。 胸に秘めたことがあってもそれぞれグッと堪えて生きてる。 そこに静かな励ましを感じる。
0投稿日: 2024.06.11
powered by ブクログ桜と人生をめぐる短編集。 春にぴったりな作品だと思い手に取りました。桜がモチーフとなり、千早さんならではの幻想的な描写が楽しめました。 それぞれ変わった人たちが登場し、その人と関わり心が繋がる瞬間に、なにか救われたような気持ちになる作品でした。
15投稿日: 2024.05.02
powered by ブクログ千早さんテイスト満載な一冊でした。 艶めかしくダークで、とても純粋で正直な登場人物がたくさん。 ”危ないって思うまでは目を奪われることを恐れなくていい。『異形のものに神宿る』と申しますでしょう。何が良くて何が正しいかなんて一概に言えません。昔の人は今よりずっと大らかでしたよ。” ”露悪的に見えても遠回りしているように見えても、それは完成するために欠かせない工程なのです” ”無理して自分を納得させなくていい。生涯、自分の幽霊を見るような生き方はしなくていい” 私は桜が好きだろうか?? 桜の思い出はいくつかある。 でも、その桜の光景ではなく、思い出すのは誰と一緒だったかだけだったりする。
2投稿日: 2024.02.29
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千早さん作品では珍しく、大切な人とつぎの約束があった。2度と会えなかったりしなかった。正直、私は桜があんまり好きじゃない。毎年「美しさ」を人間にしゃぶり尽くされて、アスファルトで黒ずむ花びらを見ると目を背けたくなる。私の喜びは、誰かの苦しさを踏みつけた上にあるんだろうなと自覚してしまう。どこまでを世の摂理として受けいれるべきなのか、最近よくわからない。 ・画びょうで壁にぎゅっと貼りつけるような言い方 ・人間なんて単純なものです。自分にとって価値があるものにね、金や時間を注ぎ込むんですよ。 ・人が完全にわかり合うことはできないと私は思う。でも、繋がることはできる。美しいもの、優しいもの、鮮烈なもの、そういった心動かすものに触れた時、人の心は一瞬溶ける。そんな時に共感する誰かに出会えたなら、とても幸福なことだ。その瞬間はきっとその人の支えになるだろう。
1投稿日: 2024.01.18
powered by ブクログ桜がモチーフの短編集。 「あたしは…クラスの子たちより言葉を知っていると思う。言葉の数とかじゃなくて、その意味や味を知っている。例えば、失望とか、羞恥とか、後悔とか、孤独とか。だって、あたしはそれらの言葉を口に入れて、噛みしめて、涙がにじむくらいその苦しみを舌に浸み込ませて、やっと飲み込んできたから。そして、飲んだ後もその言葉たちによって内臓をぐちゃぐちゃにされたから。【初花】」 その言葉の、経験に基づいた本当の意味を知っている人と、そうでない人とで、同じ言葉を発していても、その重みが異なると感じることは度々あるけれど、その感覚が「言葉の味」という表現で、上手に描写されている文章。 「人々の流れの中で、私は古い建物や展示物の建物や展示品の一部になる。そして、乾いた時間に静かに埋もれる【春の狐憑き】」「お酒に酔えないわたしが溺れるのは恋愛なのよ、きっと。…わたしは他人を操りたい。操りながら束の間の関係に溺れたい。…過去も未来も日常の煩わしい想いもなく、ただ、肉体として存在するだけのわたしになりたい【エリクシール】」 美術館で働く女性も、夫への復讐を続ける女性も、“我を忘れ、自分が自分でなくなるような感覚”を渇望している。表立っては言いづらいけれどたしかに存在する、正気を狂わすような欲望が、どの作品にも登場し、読み手に揺さぶりをかけてくる。 「私がはじめて見た桜は紫色をしていた。【あとがき】」人と人は完全に分かり合えることはないとしつつも、「泣きたくなるくらい幸福」な景色を誰かと共有することを支えとし、そこに幸福を見出す作者にとって、桜は美しさや心動かすものの象徴なのかなと思った。
9投稿日: 2023.10.22
powered by ブクログ千早さんの優しい文章。 心を落ち着けるのにちょうど良く、すっと入ってくる。 桜の花ひとつとってもいろんな人のいろんなストーリーがあることを気付かされた。 自分の桜の思い出は、大学生の新歓、子どもと歩いた桜並木、とかかな? 桜の季節に読み返したい本。 来年の春は部屋にも桜の挿し木を飾りたいと思いました。
2投稿日: 2023.08.25
powered by ブクログ桜のように切なくて淡いお話だと思いました。また桜の咲く季節になったら読み返したいな。より桜が好きになれます。
2投稿日: 2023.08.06
powered by ブクログ【2023年87冊目】 私が初めて千早茜さんの作品に触れたのは「男ともだち」だった。衝撃を受けた。あまりにも好みの作品だと思った。今でも全ての作品を読めているわけでたいはないが、無条件で、両手をあげて、白旗を振って、私は千早茜さんが書いた作品が好きであることを認めざるを得ない。 本作は「桜」をモチーフにした短編集だ。「管狐を飼っている」という一風変わった"尾崎さん"に救われる話から、"お酒"をテーマにした話、"刺青"をテーマにした話まで、バラエティに富んでいる。富みすぎているといっても過言ではない。 7つの短編集はいずれも味わい深くて、次はどんなお話が飛び出すのだろうとドキドキしなからページをめくり続けたのだが、特に好きなのは先に上げた3つのお話である。 加えて、巻末に千早茜さん自身の「あとがき」が収録されているのが僥倖だ。作者の物語以外の時の言葉を聞けるのは読者にとっての何よりのボーナスタイムだと思う。 やはり大好きな作家さんだと改めて思った作品だった。これからも自信をもって推していきたい。
3投稿日: 2023.08.02
powered by ブクログ念願通り、桜を眺めながら読みました。 どのお話もひらひらと美しかった。 ひとつ選ぶとしたら、春の狐憑きが好きかなー。 以前、ある桜好きの人が、 桜はあんまり縁起の良いものでは無いと思う と言っていたけれど 私は桜には不思議な良い力があると思ってる。 花荒れ、でも描かれていたけれど 何度でも、幸福な夢のような日々が咲くことを期待させてくれる そんな力を持っていると思う。 春の物思いのお供に。星5⭐️
0投稿日: 2023.04.03
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―― 季節には間に合いませんでしたが。 初見作家週間その2。桜にまつわり、ひととひとの繋がりを物語にする短編集。 首飾り、と云うタイトルが、作中にも登場する桜の花弁を繋げて作る首飾りとも重なり、連なってひとつの作品になっている。直接繋がってるわけじゃないけれど、モチーフとして根っこにあるような。 そのあたり桜に親しんでいる日本人としては、とても取っ付き易いのかなと思いました。 以下は個人的な好みの話になります。 んー、ちょっと合わないかなという感じ。 文章的にも物語的にも、なんだか肩肘張った感というか、頑なな雰囲気があって。特にネガティブな表現に対するとその雰囲気がちょっと、当たりがキツイ。短編ということもあるのだろうけれど、キャラクタがとても硬直した人間観を持っているひとみたいにみえてしまって、あまり好きになれませんでした。なんていうか、怒ってると敬語になるひとが沢山いるみたいな。棘々して頑なになることで自分守ってる女子みたいな。うーん? とにかく自分自身の持っている桜に対するイメージにどの物語もまったく合わなかったので、桜をモチーフにした短編集、という自分好みな枠だったこともあり、反動で評価は低め。 桜のある種不気味な、無責任な、呪いのような部分を強く感じているひとには、いいかもね? ☆2.2
0投稿日: 2022.05.07
powered by ブクログ桜モチーフの短編が七つ入った1冊。 千早茜作品は幻想入り交ざるような思いと生活がとても好きで、本作もその行き来が心地よかったです。儚さ、日本の風景、身近な桜の様々な要素が人々の記憶や一瞬の風景に結びついて、描かれていきます。 決して答えを出してくれるわけではない物語。読み手によって色を変えるような短編は淡さも感じますが、心地よい余韻とともに残る感覚がありました。 どの短編も正直好みですが、「春の狐憑き」「白い破片」「初花」「樺の秘色」が特に好きでした。 何度でも読みたくなります。
0投稿日: 2022.04.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
7編、桜がモチーフでありながら、趣きが様々で面白い。 文章もとても綺麗で、それぞれに桜のイメージが湧いた。色彩豊かというよりもモノクロのシーンに時々、色がつくような感じだった。 好きなのは『エリクシール』『背中』
0投稿日: 2022.04.20
powered by ブクログ桜にまつわる7つの短編物語。ここで千早茜さんの書く物語は多くの人が求める涙と感動という類なものではなくて、むしろ世の中で生きにくさを感じているような人々に焦点をあててその心の中のありのままを、桜のモチーフに重ね合わせて書き上げているような印象がしました。 昼間の桜と夜の桜、青い空の下で穏やかに咲く桜と雨にうたれて冷たく花弁を散らしながら咲く桜は皆印象が違いますが、そんな違いをより繊細に感じ分けて書いているような気がしました。桜の季節に読めて(終わりに近かったですが)とても良かったです。どこか妙で現実離れしているようだけどじわじわと心に染みてくるこういうお話を、私はもっと読みたいのだな、と改めて感じました。
0投稿日: 2021.04.07
powered by ブクログ桜をテーマにした短編集。 それぞれ独立した話ですが、内に秘められたほのかな色香や静謐さが漂う雰囲気が共通の素敵な作品でした。
0投稿日: 2021.03.01
powered by ブクログ何の繋がりも無い短編集かと思いきや、最初の章で出てくる桜が有名な美術館が登場するので、もしかしたら同じ街の出来事なのかもしれない… 「エリクシール」、死別した奥さんと同じ格好を今の奥さんにさせる描写があって、めちゃくちゃ胸糞悪かった…
0投稿日: 2021.01.19
powered by ブクログ桜の季節だけどお花見できないなと思って3月の終わりに読んだ。この人の作品は憂鬱な気持ちのときにこそ読みたい。どの作品も憂鬱なときにも読める静けさがあって、さらっと読めるのに響く文章があって、救いや希望というほど華々しく明るい終わりではないのに読み終えると、「んー、しかたないな、低空飛行ながらもやってくしかねーよなー、ふー」という気持ちになる。不思議だわ。
0投稿日: 2020.05.12
powered by ブクログ桜にまつわるショートストーリー。 切なく儚げでかわいい桜。 大好きな人と毎年心穏やかにみれたら幸せだろうな。 話は恋愛もののご都合主義感があって、つらい気持ちになった。
1投稿日: 2020.04.14
powered by ブクログ面白かったです。 身近で桜が見られる季節は過ぎましたが、作中で咲き誇り舞い散る桜がありありと思い起こされます。 お話は苦いものが多かったですが、「エリクシール」「花荒れ」が好きでした。 人が完全にわかり合うことはできない。でも、綺麗なもの素敵なもの、心が動いたときは伝えていきたいなと思います。
0投稿日: 2019.05.08
powered by ブクログ「犬も食わない」で千早茜さんの文章がとても好きになり、4月ということもあり本書を手に取りました。 彼女が選ぶ言葉の数々が非常に好きです。 誰でも抱えているだろうちょっとした”何か”を選ぶ視点、それを優しく包み込むような描き方、全てに救いが感じられる着地点。 あとがきを読み、さらに好きになりました。
3投稿日: 2019.04.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
桜で繋がる短編集。 千早さんらしく、ちょっと変わっていて厄介な問題を抱えている人達の7つの物語。 特に『花荒れ』が印象深い。 桜はずるい。 あっという間に消えてしまうくせに、人を惹き付けて止まない。 毎年春になれば咲くと誰もが知っているのに、いつだって桜を見る度に目も心も奪われ切ない想いが込み上げる。 春先のちょっと肌寒い季節、桜に誘われて出逢う人達。 ぼんやり淡く漂う空気感がそんな迷える人達を一瞬で惑わす。 けれどどの短編もラストはほんのり明るい。 「桜」の不思議なパワーが人と人を繋ぎ合わせる。 「あとがき」にあった、アフリカのザンビアで千早さんが見たという紫色の桜が見てみたくなった。
5投稿日: 2018.03.24
powered by ブクログ桜に纏わる短編集。一言で『桜』といっても、一話一話趣向が凝らされていて、狐憑きや、幽霊が出てくる話もあれば、本物の桜ではなく刺青の桜の話もある。『エリクシール』『背中』『樺の秘色』あたりが色っぽさもあって好き。千早さんが描く桜は青空に映える薄ピンクなものではなく、花曇りの中で見る桜のよう。ただ、どの話も最後には雲間から薄く光が射しこんでくるように感じられて良かった。物語でいいお花見をさせて貰った気分です。
3投稿日: 2017.04.07
powered by ブクログ今年の冬は暖冬とかで、高松市で、梅が開花したと、報道していた。 梅と違って、桜は、なぜか日本人の心の花のような感じがする。 「歳を重ねると、後何年この桜を見ることが出来るのだろう?」と、言っていた人たちを、毎年春になると思いだす。 この小説は、桜と人生を描いた7つの物語が、描かれている。作者が、アフリカのザンビアで、満開の紫のジャカランダと言う名の花を見て、桜と同じ荘厳さを感じたことから、少しずつ構想を練って描いたものらしい。 最初の「春の狐憑き」は、幻想小説の様な話なのかと、おもったが、「白い破片」は、小池真理子風の様な男女の話。 「初花」は、ステージママと少女。 「エクリシール」は、夫が死別した妻と同じようになるように、現在の妻に仕向けることにショックを受けた妻の心境。 「花荒れ」中年男性と初老の男性。の会話で、愛人(?)と、甘党の話。 「背中」大学の資料館でのアルバイト青年と刺青に興味のある女性との話。 「樺の秘色」は、祖母が亡くなった庭に少女の幽霊が見える女性と、カメラマンの話。 どれもこれも、共通するのは、桜の花のみ。 変な人?、変わった人達が、登場するが、人それぞれ、問題を抱えながら人生を歩んでいる。 親子でさえ、完全に分かり会えることはないけど、つながる事が出来る。 美しい物、優しい物、心動かす物、等に触れあった時に、そして、それに共感を覚えることが出来たら、幸福だと、感じることが出来る。
3投稿日: 2015.12.15桜をモチーフとした短編集
好きな作家の一人です。 読んで気持ちが晴れる話とは言えないですが,いろいろ想うところはあります。 まぁ「男ともだち」が秀逸なので,まずはそちらから読んでみて欲しいです。
2投稿日: 2015.08.23
powered by ブクログ桜は不思議な存在。幸せな気分にしたり、切なくしたり、時には狂わせそうなくらいな時もある。その桜にまつわる各々の話…そんな話を読みながら 私にとっての桜は…なんて想いを馳せてみる
1投稿日: 2015.04.18
powered by ブクログ桜をめぐる7つの短編集。 丘の上の美術館や、長い石段、神社の境内など、一つの街を舞台にした物語たちであることも示唆されている。 それならばきっと、彼らが見ている桜の花も、違う桜ではないはずだ。 少しセンチメンタル過剰な気がしないでもなかった。 けれどそれはまあ、桜の樹の精の霊力みたいなもののせいということだろう。もしくは管の中に棲む狐の瘴気に中てられたとか。 「人が完全に分かり合うことはできないと私は思う」 とあとがきで述べられているけれど、確かにそうだと自分も思う。 けれど、同じものを同じ場所で見ることはできるはず。 だからと言って、隣でそれを見ているあなたが、私と同じことを感じているはずなんてないのだけれど。 「桜を毎年見たいと思うのはね、その美しさを共有できる人がいるって思いたいからだよ」 図らずも私たちは、この景色を共有してしまっている。 この景色だけは。
1投稿日: 2015.03.03
powered by ブクログ桜をモチーフにした、寂しい女の人が多く出て来る話。 切ないような冷たさが、よく合っていて、読んでいると自分まで苦しくなってくる。 冒頭、管狐の話はハードカバーからずっとお気に入り。 人に接するのが苦手な主人公が、思いっきり変わった世界を持つ男にゆっくり近づいてゆく。 夫への復讐に他の男と遊びながら、癒されてゆく女や、遊びでしかなかった関係を引きずりながら日々を過ごす男。 求めているものが手に入らない苦しさの中で、桜という刹那の美がそれぞれの瞬間に彩りを添えていく。 決して美しいだけではない、ぶるっと寒くなる感覚も多いが、空気感の好きな作品。
3投稿日: 2015.02.15
powered by ブクログ「桜」に纏わる連作短編。 淡々としているのにすっと胸に入り込んでくる作品ばかりだった。おばあちゃんお話が一番良かったかな。
1投稿日: 2015.02.09
powered by ブクログこの物語の流れる時間はとてもゆっくり.急いではいけない,そう語りかけてくる.そして丁寧に読み進める行為はとても心地いい.いつまでも読んでいたい.日常のふとした出会い,幻想的であり現実的,そして希望であったり哀愁であったり,いろんな色を醸し出す作品でした. 以下あらすじ(巻末より) 烈しくも切ない、桜と人生をめぐる7つの物語 あたたかい桜、冷たく微笑む桜、烈しく乱れ散る桜…… 桜の季節に、人と人の心が繋がる一瞬を鮮やかに切り取った、感動の短編集。ステージママを嫌う子役の女の子(「初花」)、謎多き愛人をめぐる二人の男(「花荒れ」)、 見知らぬ女性から「青い桜の刺青の標本を探して」と頼まれる大学資料館のアルバイト(「背中」)……現代に生きる男女の幻想、羨望、嫉妬、自己回復、そして成長を、気鋭の作家が描き出す。
4投稿日: 2015.02.04
powered by ブクログ『桜』をテーマにした短篇集。 ストレートでありながら変化球でもある、そんな不思議な味わいの短篇が並んでいるが、幻想味は薄めか。 『あとがき』に『なかなか変な人たちが多くでてくる』とあるが、この場合の『変』というのは、登場人物の感じるもどかしさや生きづらさにかかっているような気がした。 逆に『あとがき』の冒頭、『私がはじめて見た桜は紫色をしていた』から始まる、著者の子供時代の回想が、まるで幻想小説の書き出しのようで良かった。ある意味では収録作よりも好きかもしれない。
1投稿日: 2015.02.02
