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二月に憂鬱な君へ
二月に憂鬱な君へ
西條奈加/東京創元社
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総合評価

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    このレビューはネタバレを含みます。

    以下、大いにネタバレです。ご注意ください。 「向日葵の少女」 自分のことで頭一杯の人だらけですね。資金援助をするとはいえ、既に結婚した娘に執着して、その家庭のありように口出しする親。事情があるとはいえ、抗うでもなく離婚に応じたりその後会いもしないのは、その程度のご縁だったということだが、子どもの気持ちはどうやら全く顧みていない両親。順風満帆の時しか見ずに、幸せな家族という思い出だけを温めていたその空々しさを、切り裂いたのかもしれない。 そして、子どもの知佐子の気持ちを無視したのは祖父母と両親だけではない。知佐子自身もだ。離婚した当時ならともかく自分の意志で行動できる歳になっても、父親とはコンタクトを取っていない。自分が傷ついたことを絵に託し父親を嫌な気分にさせたところで、可哀そうな子どもからは抜け出せない。子どもの頃にされたことときちんと向き合った方がいい。見捨てられた知佐子ちゃんを助けてあげられるのは、もはや自分だけなのである。だからこそ、お蔦さんは二人を会わせることにしたのだと思う。自分の気持ちを優先した親なので和解なんかしなくていいけれど、子どもの知佐子ちゃんの気持ちは解放してあげて欲しい。 そのあとも、相手に確認したら取り越し苦労だったとか、好意と称して自分勝手に振る舞うことの不愉快さといった話しが続く。人との係わりは、不測の事態が起きたり、利害がぶつかったり、大事に思うことが違ったり、上手くいかないことだらけだ。それでも、それぞれを尊重し向き合えば落としどころはあるかもしれない、と希望が持てる展開だった。

    2
    投稿日: 2026.09.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【収録作品】 向日葵の少女 青い鳥 二月に憂鬱な君へ 渦中の人 春の朝(アシタ) 深い緑の部屋 家路 神楽坂で、料理ができない祖母のお蔦さんと料理上手な高校生男子の望が暮らす日々を描くシリーズ第5巻 お蔦さんの気っぷの良さと啖呵が気持ちいいシリーズ。 「向日葵の少女」 切り裂かれた絵を別れた父に渡してほしいという依頼。 「青い鳥」 認知症の老婦人と女子高校生の交流。 「二月に憂鬱な君へ」 不思議な宛名が書かれた便箋に添えられた暗号のような図とメッセージ。 「渦中の人」 不倫で巷を騒がせている有名人の来訪。 「春の朝(アシタ)」 楓の父親である放浪の画家蝉丸こと奉介への思い。 「深い緑の部屋」 ギャラリーストーカーの撃退。 「家路」 鈴木フラワーの央子の結婚話。 ギャラリーストーカーの話については、この間読んだ本にもでてきたし、「ギャラハラ」みたいな言葉にして認知を広めたほうがいい気がする。ほんとに気持ちが悪い。 料理してくれる孫、いいなぁ。

    5
    投稿日: 2026.08.13
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    さすがにシリーズも五作目となるとマンネリ感。最初の頃は、懐かしい神楽坂の路地裏を粋なお蔦さんと散歩しているような楽しさがあったが…。マンガチックな挿し絵よりも“蝉の赤”見たかった。

    1
    投稿日: 2026.08.12
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    お蔦さん、やはり粋で格好いい ギャラリーストーカーにも舌鋒鋭く立ち向かい、やり込めてしまえるのがすごい 日常の困りごと、お蔦さんに相談すれば何とかなると思える安心感 楓の心配も解決し、望も嬉しそうでよかった 料理上手で美味しそうなご飯描写、お腹空いてくる〜

    2
    投稿日: 2026.08.10
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    「お蔦さん」シリーズの最新刊。 このシリーズを一言で表せば、「粋」の一文字である。 それは、核となるお蔦さんの存在からくるものだろうが、 所作もさることながら、ものごとの決着のつけ方もだ。 関りはするけれど、奥まで踏み込まない。 余計なお節介はしない。だが、冷たいわけじゃない。 その言動も、筋が一本通っている。そして、ぶれない。 加えて、洞察力、推理力が半端じゃない。 こんな、おばあさんが欲しかった、いや、 なりたかった。もう、ムリだけど…。 「粋」であることは、その生い立ちや生活環境ばかり じゃない。 きっと、生き方そのものなのだろう。 それは、積み重ねであるからして、今、ここから、 なんて、もう、手に入るわけない。 後は、「ホント、不粋だねぇ」なんて言われないような 生き方をするしかない。

    4
    投稿日: 2026.07.08