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個性幻想 ――教育的価値の歴史社会学
個性幻想 ――教育的価値の歴史社会学
河野誠哉/筑摩書房
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総合評価

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    このレビューはネタバレを含みます。

    個性について最初の方は教育に関する個性であったが、辞書的な意味での個性とか障害が個性であるかどうかなど、多方面に渡って説明しているので、だんだん範囲がぼけるようになってきた。教育における個性がどのように扱われてきたかだけでもいいと思うが、それを多くの領域に広げたのは副題の歴史社会学と選書の都合上やむを得ないのかもしれない。

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    投稿日: 2026.03.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    一度でも、「個性」という言葉に何か引っ掛かりや、疑問、懐疑を抱いたことがある人は読むべきだろう。 結論自体はある程度これまで経験的に考えてきたことと重なる部分が多いだろうが、個性という難しいテーマを据えながら実証研究を行ったこと、歴史をたどりながら個性がこれまでどう用いられてきたのかを明らかにしたことは、大変意義のある仕事と言えるだろう。さらに、歴史社会学を学ぶ上でも参考になるだろう。 本書のエッセンスを詰め込んだ文章を以下に掲載する。 「ともあれ『個性』は、これからも引き続き、教育的・社会的な価値であり続けるのだろう。しかし本書において何度も繰り返し確認してきた通り、それは決して素朴に信じられているほどにはイノセントな概念ではない。思えば「個性」の語は、当初からそれを扱う側のそれぞれの立場に応じて、じつに都合よく解釈されてきた。そこに投影されていたのは、ある種の理想や信念や希望であった同時に、偽善や欺瞞や打算であったり、利害や権益でもあったりもしてきた。そして場合によっては抑圧の契機をも含みながら、この社会に深く根付いてきたのである。」(p.255) 個性という語はこれまで、その社会状況を反映する形で都合よく利用されてきた。単なる個の特性を示していた語が、政治的に利用されたり、経済的に利用されたりしてきた。 そうした歴史を知ることで、現在の社会や教育の見方が大きく変わるだろう。

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    投稿日: 2025.01.05