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powered by ブクログロシアの2022年2月のウクライナ侵攻より前に出版された、現代ロシアの軍事戦略に関する著書。 NATOと比較した場合の戦力バランス、技術的な差異、ロシアの軍事演習の状況など、新書としては大変詳しい。 ウクライナ戦争前としてのロシア軍事戦略について、著者としての考えをまとめている。 ハイブリッド的な戦争の側面もあるが、ロシアの軍事戦略としては、依然として、古典的な軍事手段の役割が述べられており、ウクライナ戦争以降も、そこは変わっていないように思われる。 当時の視点としては、日本のロシアとの付き合い方について、リアリスティックな見方を示している。 現状は、より徹底して現実を見る見方が重要になるであろう。
0投稿日: 2026.02.23
powered by ブクログ現代戦が古典的な戦力のぶつかり合いであることを再認識できた。新型兵器による撹乱はあるが。露中関係も少し触れてあり参考になったよ
6投稿日: 2026.02.08
powered by ブクログウクライナ戦争前に書かれているが、本書で指摘されているロシアの軍事戦略、つまりはクラウゼヴィッツ的な「軍事力」と、傭兵やSNSなどの非軍事的・非国家的な装置の活用、そして状況に応じて戦術核をチラつかせるエスカレーション抑止などを駆使し、ハイテク化では大きく劣るNATOへの対抗を可能にするという構図は、まさにウクライナ戦争の構図そのものであるように感じられた。
0投稿日: 2025.11.07
powered by ブクログ2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻以前のロシア軍事戦略について解説したもの。この頃は安倍総理の外交政策によりロシアの対日感情が良好であったり、中国との軍事同盟に限界があるとの指摘に、現在の情勢との差異に驚かされる。一つの戦争で国際情勢は大きく変わるものだ。本書で述べられたロシアの兵力整備はウクライナで起きている現代戦の片鱗を見せており、極超音速兵器・ドローンの増勢はロシア・ウクライナ戦争でのトレンドの一つだろう。もちろん、ハイブリット戦争によるサイバー攻撃などは当たり前になりつつある。 本書の語られる現代ロシアでは列強が9.11をキッカケにした対テロ戦争から、大国間の戦争へ揺り戻しを起こす過渡期にあると考える。本書の書かれた頃から国際情勢は大きく変わってしまった。しかし、ロシアの戦略を考察し理解する上で本書は大きな助けになると思う。
31投稿日: 2025.07.10
powered by ブクログ小泉さんのロシア観に興味をもち購入しましたが、 現代ロシアにおける安全保障に対する観念から具体的な政策に至るまでを、多少興味のある人向けですが、とても分かりやすく書かれているので勉強になりました。
0投稿日: 2025.02.17
powered by ブクログ冷戦終結後、ロシアの軍事戦略はどのような構成でなされているのかを解説する。本書p23にあるように、ロシア軍は陸軍、海軍、空軍の三つに加えて、空挺部隊、戦略ロケット部隊、その他の国防省直轄軍事部隊という構成となり、陸、海、空軍に関しては、その大半は5つ(中央、北方、西部、東部、南部)の軍管区ごとに総合戦略コマンドと呼ばれる統合部隊を編成する。このほかにもロシア軍は細かい部隊があるが、著者によると、ロシアの軍事戦略の理解において、上記のものとは別の「準軍事組織」の存在が重要だと強調する。 ロシアはよくNATO拡大を嫌悪するが、その理由はロシアの兵力バランスが崩れて戦略上不利になること、また大国としてのロシアの地位低下を懸念しているためである。 近年、ロシアの軍事戦略ではサイバー戦や情報戦による非軍事的手段が目立つ。しかし著者によると、これらの手段の影響はさほど大きくなく、依然としてクラウゼヴィッツが唱えた古典的な軍事力のほうが戦争の勝利において影響力は大きい。そのため、たとえロシア軍が新テクノロジーを積極的に利用したとしても、戦争の性質に変化は起きないのである。とはいえ、このような軍事的手段と非軍事手段を合わせた「ハイブリッド戦争」は今後も展開されるので、この特徴をつかむことが、現代ロシアの軍事戦略の理解に欠かせない。
0投稿日: 2024.09.08
powered by ブクログ「今や米国にとっての第一義的な懸念はテロリズムではなく、国家間の戦略的な競合である」(米国防総省『国防戦略』2018) ルパート・スミス『軍事力の効用』 「…戦争はもはや存在しない」 核兵器を用いた国家間の大規模戦争は人類の破滅を意味しており、戦争によって達成されるべきあらゆる政治的目的を無意味にしてしまうからである。 「プーチンは、ソ連における彼の前任者や現在の習近平と同じだけの力を持ってはいない。しかし、ロシアは1990年代にそうであったような、弱いガタガタの国家ではないのである」マイケル・マクフォール(ロシア研究者) P.60 「ウクライナ危機の後、NATOは大きく変わりました。あらゆる脅威に対処する「360度同盟」になったのです」NATO加盟国大使 大規模な犠牲が出る決戦を避けて小規模な勝利を積み重ねる「制限戦争」 「国際関係においては、力のファクターが持つ役割は低下していない」(『ロシア連邦国家安全保障戦略』2015) スリプチェンコ 非接触戦争 メッスネル 非線形戦争 P.85 現代の世界では、「より軽い、より大衆的な武器」、すなわち情報を通じた心理戦が決定的な意味を持つ …ひとつながりの戦線を挟んで戦う形態(線形戦争)とはならず、あらゆる場所で人々の心理をめぐる戦いが繰り広げられる …平時と有事の区別は存在しない イーゴリ・パナーリン 情報地政学 カラー革命 2003 バラ革命 グルジア 2004 オレンジ革命 ウクライナ 2005 チューリップ革命 キルギスタン P.95 …ブログやSNSでの言論を萎縮させることだった。特にアクセス数の多い有力ブロガーに実名を義務付けたり、その一部を見せしめ的に逮捕・基礎したり、さらには政権には従わないインターネットメディアが閉鎖されるといった事態が相次ぐようになった。 …ネットユーザーの個人情報を必ずロシア国内のサーバーに保存することが義務付けられ、さらにアクセス元を偽造するために用いられるVPNソフトの頒布も禁止された。 情報安全保障 サイバー安全保障とは違う ユナルミヤ 若き軍隊 「ロシアは2つの同盟者しか持たない。我が陸軍と艦隊である」アレクサンドルⅢ(ロシア帝国皇帝) P.139 …モスクワ言語大学安全保障情報センターのバルトシュは、これを①非軍事的手段による闘争→②ハイブリッドな手法を用いる低烈度闘争→③正規軍による高烈度闘争の3ステップに分類した。住民の扇動のみによっては政治的目的(ウクライナの分裂)を達成できずに民兵による蜂起が起こり、続いてロシア正規軍を投入せざるを得なくなったドンバス紛争はその典型的な事例である。 限定行動戦略 「誰も大規模戦争のことを無視することなどできませんし、そのための準備を怠るなど論外です」ヴァレリー・ゲラシモフ(ロシア軍参謀総長) P.239 ヴォストーク2018 北方領土 防衛白書の編纂委員「北方領土では実施されなかった。これらの活動には「ヴォストーク」という名前がついておらず、そうである以上は別個の訓練活動だ」 「いかなる条件下でも、我々は戦略的抑止力を諦めるべきではありません。それは強化されねばならないのです」ウラジーミル・プーチン P.260 西側の軍事力の方がより宇宙空間に依存しているという事実の裏返し
0投稿日: 2024.07.01
powered by ブクログ現代ロシアの軍事戦略 著:小泉 悠 紙版 ちくま新書 1572 20世紀後半の古典的な国家間戦争はもはや存在しない ロシアによる現代戦とは、ハイブリッドな全面戦争を意味する 戦略縦深とは、奇襲を受けた時に時間的余裕をもてる緩衝地帯のことをいう ソ連時代にあった東ドイツからソ連本土の距離は800Kmがウクライナが西側になった場合はわずか450Kmになる これは東京・京都間、大陸弾道弾であれば、数分で核ミサイルが到達する距離だ ハイブリット戦とはもともとアメリカ軍が生み出した概念だ ソビエト崩壊も、一種のハイブリット戦とも認識されている 西側は軍事的手段だけでなく、政治・経済・情報などあらゆる手段を用いている ロシアのハイブリット戦争は中東でも展開されている、それは2016~2018のシリアだ PCM戦精密誘導兵器の使用、アメリカが湾岸戦争でつかった手法だ ロシアも2008年のグルジア戦で使用している ツペツナズが特別なのは任務の内容であって部隊を構成しているのは普通の兵士だ ロシアの民兵ワグネルは、作曲家ワーグナーのロシア語よみ、ワグネルのリーダ、ウトキン氏はネオナチの信奉者だ ドローンに対抗するには、電波妨害システム、ドローンはラジコンだからコントロール電波が遮断されると墜落するか基地に戻るしかない ロシアの戦闘の定義 ①武力紛争 国内武力紛争 ②局地戦争 ③地域戦争 ④大規模戦争 第二次世界大戦以来発生していない ロシア軍の演習 ①作戦準備 軍の作戦機関、戦略、作戦レベル、連合部隊の錬成 ②戦闘準備 戦闘環境下で訓練活動、戦場での活動に重点を置いた訓練 ロシア軍の大演習プログラムは局地戦のシナリオ カフカス2009 動員兵力8500名、戦車200両、装甲先頭車両450、火砲250門 オーセニ2008 ベラルーシとの合同演習 ザーハド2009 防空戦 ネットワーク接続 ラトガ2009 NATO軍との大規模戦争 ヴォストーク2014 北方領土をめぐって日本との軍事衝突、米軍が介入 ザーハド2017 北方連邦 防空戦、海上戦、対潜水艦、巡航ミサイル、ドローン、航空機攻撃、NATO軍との北方地域での戦闘 接近阻止・領域拒否(A2/AD) 米軍をできるだけ、本土と遠いエリアで迎え撃つ戦略、中国軍も同様な戦略をもつ エスカレーション抑止 限定核使用による同盟軍の参戦を防ぐ、失敗した場合の核戦争を合わせてシナリオをもっている⇒最悪のシナリオ 通常戦争におけるエスカレーション抑止もあり、超音速機の攻撃を想定 結論 ロシアの軍事戦略は古典的な全面的な戦争をコアとして、非軍事的な手段を合わせて用いる、ハイブリット戦である 目次 はじめに―不確実性の時代におけるロシアの軍事戦略 第1章 ウクライナ危機と「ハイブリッド戦争」 第2章 現代ロシアの軍事思想―「ハイブリッド戦争」論を再検討する 第3章 ロシアの介入と軍事力の役割 第4章 ロシアが備える未来の戦争 第5章 「弱い」ロシアの大規模戦争戦略 おわりに―2020年代を見通す あとがき―オタクと研究者の間で 参考文献 ISBN:9784480073952 。出版社:筑摩書房 。判型:新書 。ページ数:320ページ 。定価:940円(本体) 。発売日:2021年05月10日第1刷発行 。発売日:2022年03月25日第4刷発行
14投稿日: 2023.12.19
powered by ブクログ先に読了した著者小泉悠氏の「ウクライナ戦争」がおおむね2014年のロシアによるクリミア半島併合後から2021年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻を扱う本だったので、それ以前のウクライナ・ロシア関係を学ぶつもりで、その前の時期に書かれた著作として購入した。 著者はロシアの軍事戦略、軍事力、演習をたくさんの資料や研究を使って分析する。書かれたのは2021年2月のロシアによるウクライナ戦闘開始以前であり、その後露呈するプーチンのウクライナ支配への民族的野望について言及はない。 あとがきによれば、現代ロシアの「具体的な戦い方については、これまで日本では十分に論じられてこなかったのではないかという問題意識」をもって、内外の膨大な研究資料を読み解き、わかりやすく書かれている。軍事戦略に興味のある読者には読みごたえがあるはず。 本書第1章では、ロシアのウクライナ領クリミア半島併合やドンバス地方の紛争、そこでのロシアの戦術について戦略的な見地で述べられる。 続く第2章からの前半では、特に近年ゲラシモフ・ドクトリンとして知られているロシアの軍事戦略が、いわゆる火力による物理的な戦闘だけでなく、情報戦・サイバー攻撃・非接触軍事行動を伴った「ハイブリッド戦争」を取り入れて様々な兵器開発や軍事演習を盛んに行っていることが示される。 後半では、ロシアが仮想敵国 NATO だけでなく、非国家武装勢力、イスラム教過激主義などのテロリズムに対する戦略を組み立て演習を行っていることが明らかになる。また、今では経済的には欧米や中国に比べ劣勢にあり、ハイテク技術開発に対しても、西欧や中国に後れを取っていることを背景にして、軍事戦略が組み立てられていると指摘される。 2014年までのウクライナ領クリミア侵攻とドンバス地方への干渉の経緯についての内容は、概ね第1章前半に限られ、以降はロシアの政治的側面ではなく(まさにタイトルどおり)軍事戦略についての著作となっており、より政治的・外交的な内容を期待するとやや期待外れとなる。 それでも軍事戦略を論じる中で、おのずとロシアの戦争観、「西側」観についても的確な指摘がなされていて、興味深い。NATO の東欧への拡大、さらには旧ソ連の CIS 諸国への拡大の兆しにより、ロシアはその「勢力圏」が縮小し、大国としての地位が損なわれると認識したことが述べられる。しかし実際には、冷戦後の NATO の活動はグローバル化し、ロシアを直接の脅威の対象とはせず、米国同時多発テロやアフガニスタンなど第三国での「対テロ戦争」に向けられていたと述べられる。 本書の議論は数多くの客観的資料や軍事戦略研究者などの論文・著作を参照したうえで考察されており、決して著者だけの考えで論を進めることがない点で、専門家ではない一般人の読者としても、偏った考えに傾かず、安心してロシアの軍事戦略や戦争観を学ぶことができるはず。
0投稿日: 2023.10.18
powered by ブクログ2022年のロシアによるウクライナ侵攻を前に刊行されたものであるが、ソ連崩壊以降の「ロシアにとっての文脈」が説明されているのでわかりやすい。 具体的には、ロシアにとっての危機感と、それに対する対外方針の変遷である。 それが妥当かどうかはともかく、ロシアが考えていることがわかるので有益だと思った。
0投稿日: 2023.08.26
powered by ブクログ2021年5月発行なので、クリミア併合後、ウクライナ侵攻前ということになるが、この本を読む限り、ウクライナ侵攻は必然だったように思う。
1投稿日: 2023.03.27
powered by ブクログ非線形戦争について関心を持った。アルメニアのアゼルバイジャンがナゴルノ・カラバフをめぐってずっと衝突していることも恥ずかしながら知らなかった。
0投稿日: 2023.01.14
powered by ブクログ軍事はあまり触れてこなかった分野なので難しい。ロシアが恐ろしく外交巧者だというのはよくわかった。軍が弱体化してんの、「恐ロシア」のイメージがあっただけに意外だった。
0投稿日: 2023.01.11
powered by ブクログ良い意味でも悪い意味でも無く予想とは違った本だった。 事実をありのまま述べると言うより個人的見解が多いと言うか。 それと新書にしてはかなり難解だった。内容の1/3も理解してないかも。それでも一読の価値はあると思う。
0投稿日: 2022.12.12
powered by ブクログシリアへのロシア関与などマスコミでほとんど報道されていない情報が時系列に沿ってまとめられている。 表面に出てくるウクライナ以外のことを知るには、専門家の厚みのある情報収集力に頼るのが良いと感じた。
2投稿日: 2022.11.05
powered by ブクログウクライナ侵攻を機に、ロシアについて軽く知っておきたいと手に取ったが、軍事的な専門用語が目白押しでかなりハードな内容だった。現在のウクライナ戦争やそこでのロシア軍の予想外の苦戦についての著者の意見が聞いてみたい。
0投稿日: 2022.10.27
powered by ブクログ同胞だった東欧諸国がなし崩しにNATOに取り込まれて、今ではベラルーシを除いてウクライナが最後の砦となり丸裸にされたような帝国主義者プーチンの妄執ぶりも無理からぬものだと思えてくる。大国の夢を捨てきれないながらも、現実的に弱者の戦略を駆使して戦いを放棄しない
0投稿日: 2022.10.18
powered by ブクログハイブリッド戦争と同じような内容だったが、ロシアは最終的に物理的軍事力を捨てない。 「現代国際社会」を良しとせず、被害者スタンスにある限り、ロシアはやるだろう。 で、やっちゃって、思った以上にうまく行っていない現実。この先どうするのか。 小泉先生のリアルの分析は外せない。 後、中村逸郎先生。
0投稿日: 2022.10.11
powered by ブクログユーゴスラヴィア、セルビアにはじまり、グルジア(バラ革命)、ウクライナ(オレンジ革命)、キルギス(チューリップ革命)、チェニジア(ジャスミン革命)からアラブの春に至るまでの民主化ドミノを、NATO およびアメリカによる謀略の結果であると捉え(事実、まんざら「陰謀論」でもないところがある)、これを非軍事手段による永続戦争であると定義した上で、ハイブリッド戦争(SNS を通じた人心操作から戦略核兵機使用まで、軍事・非軍事両面による目的遂行または状況作成のための行為)で応戦する現代ロシアの軍事戦略を描く。 2022年2月末に始まったウクライナ戦争を予言するかのように、2021年5月に刊行された現代ロシア軍分析の最前線で、最新の政治思想・軍事思想を網羅して圧巻。ウクライナ戦争を理解する上で、必読の一冊。
1投稿日: 2022.10.09
powered by ブクログロシアは地政学的にNATOに対して脅威を感じており、正面戦争である場合では劣勢でもある。この情勢に対して、ロシアは非対称かつハイブリッドに軍事的な戦略を立てている。 またロシアは永続的に非線形な戦争継続を考えており、クリミア半島の一方的な併合以来、ある意味戦争は続いているとも考えられる。ヨーロッパ諸国との対峙において、敵の接近を拒否するために、地理的な不利を抱えているため情報戦的なイメージによる撹乱や妨害を企てる。場合により、核の限定使用もちらつかせるし、使用する可能性もある。 本書ではこういった客観的事実を分かりやすく解説している。 こういった事実は2022年2月以来のウクライナ対ロシアの戦争でも現実となったことでもあり、起きた事実の背景に対する理解を助けてくれる。この内容が当戦争の約一年前に初版が出されており、その断面のロシアに対する筆者の予見的な分析力が興味深い。筆者の小泉氏は最近ではテレビでもよく解説で出演することが多いが、こういった素晴らしい人物がいたことも正直知らなかった。 この書籍で日本が忘れてはいけないことは、 ロシアにとって日本はあくまで西側諸国の存在であり、永続的な戦争の対象でもあることだ。 本書でも解説があるとおり、ロシアはハイブリッド戦や非対称戦のイメージだけでなく、国家間紛争も意識した演習を近年行ってきており、まさにウクライナとも国家間の紛争を開始した。 この事実は重く受け止めなければならないし、ロシアとの関係の裏には戦争があることを日本国民はあらためて理解しなければならない。
0投稿日: 2022.08.21
powered by ブクログロシアによるウクライナ侵攻以降、非常に読まれている本として図書館の予約も後をたたないが、思ったより全然難しい(専門的)内容で驚いた笑 これが浸透してる日本、いいなぁ笑笑 表層でなく、深く知りたいと考えている人がいかに多いか。そして所々ついていけなかった私。 唯一わかったことで大事なのは、2022年の侵攻が両国にとって突然始まった出来事ではないこと。クリミア侵攻しかり、その前から、むしろソ連時代から、続いている関係性における今回の侵攻であるということだった。
0投稿日: 2022.08.17
powered by ブクログロシアの軍事戦略の本質は核兵器と中国流超限戦のハイブリッド。元帝国が必死に自己を大きく見せようと足掻いている姿が示されている。自身に魅力がない乱暴者と気付いていようが、変えられないんだろう。
0投稿日: 2022.08.16
powered by ブクログロシア・ウクライナ戦争勃発の前に書かれた本書。いまはほとんど予言の書のようになっているはずだ。 研究の営みはここまで物事を明らかにできるのかと感嘆した。
0投稿日: 2022.08.09
powered by ブクログ曖昧で追いつけていなかったクリミアから今回のロシア侵攻までの流れを学ぶことができた気がする。 特にハイブリッド戦争と目されるものがどのよな位置付けであったかについても。初期対策をされてない状況では、初見殺しになるのだなと素人ながらに。 今回のロシアのウクライナ侵攻が特に東側で古典的な戦闘になっていると聞いていたことも、この本を通して腑に落ちる気がした。とにかく、使えるものはなんでも使って成果を上げるのが大事、という姿勢なのかなと素人ながらに思った。 一般回線を使わざる得なくなったり、情報戦で撹乱されていたり、今回のロシア軍側で聞いたような話もあり興味深かったです。
0投稿日: 2022.08.01
powered by ブクログ本書の発行はロシアによるウクライナ侵略の前だが、テーマといいタイミングといいドンピシャではある。 著者は「人」とも「夜」とも知られるこの道の第一人者。 書名の通り現代ロシアの軍事戦略を多角的に分析、解説したもので非常に参考になる。 ソ連時代からのしがらみを拗らせつつ、経済的資源に劣るロシアが自らの文脈の中で必死に生き残ろうとしていると読めるが、どういう結末に向かうのだろうか。
0投稿日: 2022.07.04
powered by ブクログロシア政府・ロシア軍が自国をどう認識しているか、それによりどういう戦い方をするべきと考えているか、とてもよくわかった。 軍備・兵力的に劣勢の状況で、非軍事手段に注力しつつ、主力をどこにしているか、重要人物の発言から丁寧に読み解いている。 組織や兵器の話は、筆者が相当好きな分野だと思われ、充実している。が、私はついていけず振り落とされた。 組織や兵器の説明について図や表が少なく、「これなんだっけ」とか「これとこれの関連はどうだっけ」と思うことが結構あり、理解が難しい。好きな人はすらすら頭に入ってくるのかもしれないが、素人の私には辛い。
0投稿日: 2022.06.04
powered by ブクログ筆者自身も言っているが、「オタク」が書いたロシアの軍事に関する本。内容は、流石オタクと言ったところ。
0投稿日: 2022.05.29
powered by ブクログメモ 経済、科学技術、軍事でもはや米国と並ぶ超大国ではなくなったロシアが2014のウクライナ、2015のシリアなど攻勢をしかけ、成果を収めたのは何故なのか? そこには古典的な軍事力の指標「ミリタリーバランス」では測りきれない要素が働いているのではないか? それを様々な角度から検証した。出版が2021年5月。そこまでの時点でのロシアの「領土」への考え方が示される。 2014のウクライナ介入では、劣勢にみえたロシアの軍事力が見直された。特殊部隊、民兵の動員、人々の認識を操作する情報戦、電磁波領域やサイバー空間での「戦闘」、これらでクリミアを瞬く間に併合した。 ロシアが暴力の行使=軍事的闘争に訴えずに政治的目標を達成するという思想は1990年代に浮上し、2010年代は西側との「永続戦争」という文脈で大きな地位を占めるようになった。 だが、実際の軍事戦略においては依然として軍事的手段は後退したとはいえない。・・ドンパチである。 <「状況」を作りだすための軍事力> ○2014のクリミアやドンバスにおいて軍事力が作りだした「状況」はウクライナを紛争国家化することだった ○ウクライナを征服して完全に「勢力圏」に組み込むのではなく、同国が西側の一部となってしまわないように(NATOやEUに加盟できないように)しておけばよかった。 ○「勝たないように戦う」ことがウクライナにおけるロシア軍の任務だといえる。 ロシアの軍事演習からみると、ロシアの想定している様々な戦争の形態は、最終的には大国との軍事紛争である。イスラム過激派や非合法武装勢力の背後にはそれらを「手先」として操る大国が存在し、最終的には核兵器の使用にもつながりかねない、というのが現在のロシアの戦争観である。 しかし正面戦力ではロシアは劣勢なのである。まずは「損害限定」戦略。これでも劣勢を補えないと「エスカレーション抑止」に訴える。限定的な核攻撃や「警告射撃」で戦闘停止を強要したり、第三者の参戦を思いとどまらせる。 ●まとめると、ロシアの軍事戦略はクラウゼヴィッツ的な戦争をそのコアとしつつ、非クラウゼヴィッツ的なそれにも備えた「ハイブリッドな戦争」戦略である。 ・クラウゼヴィッツ:プロイセンの軍事学者(1780-1831)「戦争とは他を以ってする政治の延長である」「戦争の本質は単なる『強制力』ではなく、物理的な破戒をもたらす『暴力』である」 ・国に直属した軍隊が一番強い。上の命令が下まで届くし、それを守る。民兵や軍事会社はそれぞれ個人の思惑や思想があるので、まとまらない。 ・ドローン兵器など新しい兵器が出てきて戦い方は変化するが、さらにそれを阻害する兵器や方法が考え出される。 ・・テレビでは分かりやすい解説の小泉氏。兵器や軍事、ちょっと難しかった。 2021.5.10第1刷 2022.3.30第5刷 購入
7投稿日: 2022.05.18
powered by ブクログロシア軍事の専門家、ユーリーイズムイコこと小泉悠先生のロシア軍事戦略本であり、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻の直前に書かれた(2014年のロシアによるクリミア半島強奪よりは後)もの。 ソ連崩壊後、東欧共産圏があるいは民主化し、あるいはカラー革命を起こしてきたが、ロシアから見ると、これらは全て西側による謀略であり、正規軍を用いたクラウゼビッツ的戦争ではないが、しかし、情報戦世論戦などを取り入れたハイブリッド戦争を仕掛けられているように見える、と。 この時期のロシアは勢力圏の縮小、経済的社会的混乱から国力を落としてきたが、それでも仕掛けられた戦争に勝利して生き残るためにハイブリッド戦争の手法を鏡面措置として採るのだ、と。 こうして俯瞰すると、クリミアやドネツクへの侵攻は、現地の親露派の分離運動から始まりそれでは勝てないとなると特殊部隊投入から正規軍投入と、徐々にエスカレートしていくのも、まさにハイブリッド戦の要領である。 この辺りのロシア的発想ロシア的行動を読み解くには本書は大いにおすすめである。 本書では時期的に触れていないが、しかし、ロシアによるウクライナ侵攻はあまりに手際が悪いのは何故だろうか。続編を待ちたい。
0投稿日: 2022.05.17
powered by ブクログ軍事情報の機密性はどの国でも高く、他国が正確な必要十分な量のそれを得ることは難しいだろう。 しかし本書では、ロシアの公的な軍事関連の発表や実際の演習•紛争行動や、それらに関連する米国含めNATOの分析を幅広く集め、さらにそれを分析し考察されている。 ロシアの軍事専門家である著者。ロシアのウクライナ侵攻を契機にメディアに引っ張りだこである。 著者が自身でロシア軍事の「オタク」と評するように、本書はその「オタク」的知識が、テレビとは異なり十分に発揮されているように思われる。あまりの筆のノり具合に、多少の軍事知識を持っていないとその疾走感に振り落とされそうになってしまうので注意が必要です。 ロシアは虚実織り交ぜ冷静に戦略的に行動している程度が他国に比べて強いと思われ、また何を考えているのよくわからないという漠然とした恐ろしさを感じさせる。 本書のような(高度な)分析をしている人間やその分析を理解して戦略を立てている国家、組織が存在している一方で、それすらも承知の上でロシアは軍事戦略を立てているのではないかと思わずにはいられない。 ロシアの軍事戦略に関して、本書を通じて理解はかなり深まる。しかしその理解は不十分であり今後もそうであり続けるだろうという認識を持っておくのが無難そう。
1投稿日: 2022.05.15
powered by ブクログロシアの軍事戦略がわかった。現在のウクライナ戦争でもこの考えに基づいて行動しているように思う。本に書いている通り、最終的に核使用に至らないことを祈る。
0投稿日: 2022.05.03
powered by ブクログロシアが「弱い」ということが意外だった。サイバー空間含めた非軍事手段を含めたハイブリッドな戦略が意識されつつも、軍事手段の重要性は落ちていないという。現下のウクライナ情勢、それから北朝鮮を見るにつけ、自らが非合理的だと相手に思わせる戦略がもっとも合理的ということが現実に即して理解できる。
0投稿日: 2022.04.30
powered by ブクログロシアとは被害妄想な構ってちゃんなのかな。 軍事ドクトリンも年々先鋭化しているようで、エスカレーション抑止のための核使用を正当化している節がある。 瞬く間にクリミアを併合した彼の国にしてみれば、ウクライナ侵攻には正当性があり当然成功裡に完了するシナリオだったのだろう。そのような訓練も周到にしていたように紹介されている。 今、「孫子」を併読しているがウクライナ侵攻が上手くいかない理由に納得しているところ。
1投稿日: 2022.04.23
powered by ブクログロシア-ウクライナ問題につき有益な情報を発信している小泉氏の本を書店で発見、読んでみた。 近年のロシアは情報面からのアプローチの印象が強いが、この本を読むと単に兵力など物理的な力だけで戦うのは予算面などから無理があり、結果として「ハイブリット戦略」にならざるを得ないのだと感じた。 軍事演習から何が見えるかなど普段あまり意識してなかったが、出てくる範囲でも色々と解釈ができるのだということを知ることができ、その点でも大変勉強になった。
0投稿日: 2022.04.17
powered by ブクログ著者のロシア製兵器へのオタク愛により、ありがちな兵器スペックと配備数のみでの軍事力比較が足元にも及ばない、意図と運用を踏まえた圧倒的な分析力、また東側からの視点による軍事戦略の解説により、西側から見ると理解不能なロシアの動きがドクトリンによるものであることなど、マスコミの解説がいかに表面的かも強烈に感じさせる内容。 この分析の延長線上には、【執筆時には起きていない】ウクライナ紛争も有り得ると確信させる分析。 情報資料の量的な面では及ばないが、小泉氏のロシア軍事戦略に対する分析力は、防衛省をも上回っているのではないかと。
0投稿日: 2022.04.15
powered by ブクログ現代ロシアの防衛戦略、軍事力の解説書。そしてロシア政治の考え方、ロシアの思惑等が良くわかる本。ウクライナ侵攻以前の著作であるが、ウクライナ侵攻に至ってしまう思考も分かる気がした。 どうしてロシアが他国に侵攻するのか理解できないという人は、本書を読んでロシアの価値観、考え方に触れることがお薦めである。
0投稿日: 2022.04.10
powered by ブクログロシアのウクライナ侵攻を受けて、報道番組でよく見るようになった小泉悠さんの著作ということで読んでみました。 軍事関連書は初めて読むので、最後まで読み切れるか心配だったけど、無事、読了。 (兵器の細かい部分は今ひとつ分からなかったけど。) 旧ソ連時代の冷戦が終わり、ソ連が崩壊して西側諸国と距離感が近づいたと思っていたけど、私の考えは甘かったです。(自身の無知を反省。) ロシアの想定している敵国が透けて見えて、今のウクライナ情勢を読み解くのにとても良い本でした。
0投稿日: 2022.04.07
powered by ブクログ上の子(新高2)から借りて読んでみた。イズムィコ先生についてはTwitter上でのおもしろ全裸中年男性としては知ってて、いちおうウクライナ情勢等もあり、とは言うもののこの本自体はウクライナ侵攻以前の刊行。 全面戦争というものが減ってゲリラ戦なりサイバー戦争なりが増えてるってのは何となくイメージあったけど、まとめて文章で読むとおもしろい。
0投稿日: 2022.04.05
powered by ブクログ【感想】 2022年2月24日、ロシアがウクライナに宣戦布告し、侵攻を始めた。この報道を目にしたとき、私は本当に驚いてしまった。それは、21世紀の時代に「真正面から堂々と殴る」という戦術がここまで通用すると思っていなかったからだ。 本書はウクライナ戦争に先立つ2021年5月に書かれたものだ。ロシアの地政学的・政治的目標やそれを成就するための構想、またテロリストや大国との戦いに備えた軍事的・非軍事的戦略などを幅広く解説している。プーチン政権下でのイデオロギーはもちろんのこと、ロシアが有している具体的な兵器や、過去十数年に渡って行われてきた大演習からロシアの「戦争観」そのものを読み解こうとする広大な内容であり、かなりマニアックな部分まで踏み込んだ密度の濃い一冊となっている。 本書で頻繁に取り上げられているのが「ハイブリッド戦争」という概念である。簡単に言うと、軍隊による物理的破壊といった古典的な侵略方法ではなく、ネットでのサイバー攻撃、現地住民を抱き込んでの独立運動の扇動、ハッキングとスパムによる通信中枢の掌握といった「非軍事的」な要素を交えながら戦うことである。 もともとハイブリッド戦争はロシアが最初に始めたものではなかった。というよりもむしろ、「ロシア国内が敵からのサイバー攻撃に常に晒され続けている」という認識のもと、それに対するカウンター戦術としてロシアが導入しはじめたものだ。 ロシア政府は、非軍事的手段による戦争(情報戦争)が国内で現実に起きていると考えていた。実際にプーチンは、野党指導者たちを、「アメリカの息がかかった体制転覆者」とみなしている。自国政府を批判するものは何であれ西側から送り込まれた反動勢力に違いなく、アメリカが自国を正当化し世界の覇権を握るためにロシアを内部から崩壊させようとしている……。もちろんそれは被害妄想に近いのだが、この心理がロシアの政治思想の土台を決定している。その結果、政府が国民を徹底的に監視し、不満分子を抑え込み、若者に愛国教育を施しておくという強権政治が国内に浸透し、西側諸国との認識に差が開いていった。たとえ仮想敵が国内の反体制派であっても、その背後には彼らを操る大国が存在する、というのが現在のロシアの「戦争観」である。 その結果としてだが、クリミア、ドンバスで起きた紛争は、まさに軍事的手段と非軍事的手段を駆使して体制の混乱を生み出す「ハイブリッド戦争」の様相を呈していた。指揮通信統制への妨害などにより行政機関やインフラが占拠され、ある地域のコントロールが謎の勢力に奪われる。いつの間にかそこで「独立のための住民投票」が始まり、ロシアへの併合が決まっていく。これを軍事力で奪回しようにも、前線ではロシア軍の強力な電磁波作戦能力で軍事作戦が麻痺・混乱させられ、後方地域はドローン攻撃やサイバー攻撃に晒されていく。まさに身動きが取れない状態である。 戦争の法則そのものが、よりスマートに変化している、と言えるのかもしれない。政治的・戦略的な目標を達成するために非軍事的手段が果たす役割が増大し、これが住民の抗議ポテンシャルと相互作用することで、敵国内部からの独立・反乱という形で紛争が具現化するようになった。 ―――――――――――――――――――――――――――― 私が本書を手に取ったのは、ロシアが引き起こしたウクライナとの全面戦争の裏にある戦略を知ろうと思ったからだ。しかし、本書を読めば読むほどそれが徐々に分からなくなっていった。 最初に言った通り、この戦争は「真正面から堂々と殴る」という古典的なものだ。ロシアが20年近くをかけて生み出した「情報戦」で人心を掌握する、またウクライナの裏にいる大国と相対しながら、圧倒的不利な状況の中でも「損害限定戦略」や「エスカレーション抑止」を駆使して目標を成就する、といった要素が、この戦争には全くない。ウクライナの中立化と南部クリミア・ウクライナ東部の主権を握ることがプーチンの狙いであるが、その合意がなされるまではあくまで物理的攻撃によってウクライナを締めつけ続けるだけであり、ゼレンスキー体制を内側から崩壊させるといった非軍事的戦略は今のところ見られないままである。 筆者は本書のおわりで、今後のロシアのスタンスに対して見通しを立てている。 ――権威主義体制の下にあるロシアと、これを受け入れない西側という構図――すなわち「永続戦争」は今後とも続いていく公算が非常に高い。しかもこの間にロシアが2000年代のように飛躍的な経済成長を遂げるとか、技術革新の最先端に立つことは見通しがたいとすると、質量ともに劣勢なロシアが西側との軍事的対時を続けるという状況にもおそらく変化はないだろう。つまり、本書で見たような「ロシア流の戦争方法」は少なくとも2020年代から2030年代くらいまでは中心的な軍事戦略に留まるのではないかというのが筆者の見立てである。 この「ロシア流の戦争方法」は、このウクライナ戦争で砕け散ってしまった。 何故ロシアが宣戦布告という思い切った手段を取ったのか、そして何故プーチンの戦略が古典的なものに逆戻りしてしまったのか。拡大し続けるNATOを止めるための時間と手段が残されていなかったのかもしれないが、真相は謎のままである。 ――――――――――――――――――――――――――――― 【まとめ】 0 ロシアが企てる「ハイブリッド戦争」 軍事バランスでは米国に劣るはずのロシアがクリミア半島占拠のような振る舞いに及び、実際に成果を収めることができたのは何故か。 ウクライナで実際にロシアが用いたのは、国家・非国家を問わずに幅広い主体を巻き込み、現実の戦場に加えてサイバー空間や情報空間でも戦うという方法であった。これは西側諸国で「ハイブリッド戦争」と呼ばれるものである。古典的な軍事的手段だけでなく、非軍事的手段を併用して戦争を進める傾向が現れてきた。 1 NATO拡大 東欧諸国とバルト三国がNATOに加盟したことによって、ロシアの戦略縦深(敵の侵略に対して余裕を持てるだけの広大な空間)が失われた。加えて、NATOに対する兵力の数的優位も喪失している。 そうした軍事的脅威はもちろんだが、ロシアにとってより受け入れ難かったのは、NATO拡大の政治的側面、すなわち東欧や旧ソ連諸国に対するロシアの影響力が大きく損なわれることであった。 NATOの拡大をロシアが苦々しく思っていたのは、それが「大国」としてのロシアの地位を損なうものとみなされたからである。「大国」はロシア語で「デルジャ一ヴァ」というが、この言葉は単に「規模の大きな国」という意味ではない。一言でいえば、外国の作った秩序に従うのではなく自らが秩序を作り出す側の国であるということだ。 本来は欧州の集団防衛を意図して結成されたNATOが、今や世界中のあらゆる紛争に介入すること、しかもこれらの軍事行動が安保理の承認を経ずに行われてきたことが、NATOを脅威とみなす理由となる。 したがって、ロシアから見ると、まだNATOに加盟していない国々――アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、グルジア、モルドヴァ、ウクライナ――の中立をいかに維持するか、そしてロシアの勢力圏を脱出しようとする国があれば、軍事力行使に訴えてまでもこれを阻止するというのが、グルジア戦以降のロシアの基本方針だった。 2013-14のクリミア、ドンバスで起きた紛争は、情報戦による人心掌握、ドローンによる遠隔攻撃、電磁波スペクトラム(EMS)を活用した指揮通信統制への妨害、電力網のハッキング、偽のネットワークへの接続といったサイバー戦争の様相を呈していた。多数の死者が出るわけでもなく、行政機関やインフラが占拠され、ある領域が国家のコントロールを離れるが、ロシア軍の姿ははっきり見えない。そのうちに法的整合性のない「住民投票」が始まり、勝手にウクライナから「独立」したり、ロシアへの「併合」が決まっていく。これを軍事力で奪回しようにも、前線ではロシア軍の強力な電磁波作戦能力で軍事作戦が麻痺・混乱させられ、後方地域はドローン攻撃やサイバー攻撃に晒される。 こうした事態に面した西側諸国の間では、国家が暴力を用いて戦う「古い戦争」に対して、多様な主体と方法を混在させた戦いをロシアが行使し始めたのではないかという考えが生まれた。「ハイブリッド戦争」論の登場である。 2 ハイブリッド戦争 戦争の法則そのものが実質的に変化している。政治的・戦略的な目標を達成するために非軍事的手段が果たす役割が増大し、これが住民の抗議ポテンシャルと相互作用することで、敵国内部からの独立・反乱という形で紛争が具現化する。敵対手段を使用する際の重点が変化してきたのだ。 これはロシア内部においても例外ではない。ロシア政府の中では、非軍事的手段による戦争(情報戦争)が国内で現実に起きているという認識が存在していた。実際にプーチンは、野党指導者たちを、「アメリカの息がかかった体制転覆者」とみなしていた。もちろん多くは妄想的であるが、今やロシアはそうした「外国政府による非線形戦争」に晒され続けている、いわば「永続戦争」の戦時下にあるといえる。 これは一種の強迫観念だ。社会を徹底的に監視し、不満分子を抑え込み、若者に愛国教育を施しておかなければ、ロシア社会は西側の「非線形戦争」にあっさりと屈し、政権が転覆せられてしまうに違いないー―そうした強烈な精疑心がその背景には透けて見える。 3 ロシア軍の軍事戦略 非軍事的手段が古典的な軍事的手段と併用される場面は増えているが、戦争の中心を成すのはあくまでも軍隊である。非軍事的手段はその活動を支援する重要な要素の一つだ。ICTのような新テクノロジーは戦争の性質を変えつつあるが、軍事的な局面と非軍事的な局面の間には、暴力の行使という決定的な溝が存在する。 ロシアのシリア介入を成功に導いた要因の一つとして、「限定行動戦略」がある。これはどういうものか。 限定行動戦略の出発点となるのは、ロシアが遠隔地への軍事介入の際に抱えている制約である。 ・国土が広いあまりに防衛線が長く、遠隔地に大兵力を送り込む余裕がない ・兵站能力に大きな制約がある ・地政上兵站線が伸びすぎて、大量の人員や整備を安定して送り込めない そこでロシアが採用したのが「限定行動戦略」だった。これは空軍力や偵察・指揮能力といった、大国でなければ持ち得ない能力だけを現地国に提供し、これに現地の紛争参加勢力を糾合することにより、ロシアから遠く離れた地域でも大規模な軍事作戦を遂行する、というものであった。 今後の地域紛争では、大国による介入をいかにして阻止・回避しながら「新しい」手段による低烈度紛争を戦うかが焦点となってくる。 4 ロシアが備える未来の戦争 2007-2008年のロシア軍大演習で想定されていた対テロ戦争とは、領域支配をめぐる非国家主体との組織的戦闘であったと言えるだろう。より具体的には、イスラム過激派思想をイデオロギー的な支柱とし、旧ソ連域内の一部を世俗政権から奪還してシャリーアの導入を目指すゲリラ組織との戦いがこの時期の対テロ戦争であったことになる。 一方、2008-2009の演習では、NATOとの大規模戦争を想定し、空爆への対処、防空戦指揮システムを破壊しようとする敵特殊部隊の撃退訓練が行われた。また、数的にも技術的にも優勢なNATOに対して戦術核兵器を使用することで通常戦力の劣勢を補ったり、核の力で戦闘の停止を強要するという構想が練られている。 軍事演習は2010年代前半には対テロ組織、中盤には対大規模国家の様相を呈し、ウクライナ危機後の2010年代終盤では非国家主体とその後ろ盾となる大国との戦争を想定している。 2000年代末から2020年代までのロシア軍大演習で想定されていた戦争は、①「カフカス」や「ツェントル」に見られるイスラム過激派との対テロ戦争、②PGMを駆使するハイテク化軍隊との「第6世代戦争」、③より古典的な大規模戦争を想定した総力戦、④大国に操られたプロキシとの「新しい戦争」である。 5 弱いロシアの大規模戦争戦略 米CNAコーポレーションのマイケル・コフマンは、欧州正面におけるロシアの対NATO軍事戦略は、A2 / ADをその構成要素の一部に含むものの、より広範で複雑な「損害限定戦略」であると評した。この「損害限定戦略」とはいったい何なのか。 第一に、損害限定戦略においては、米国の来援を阻止したり、欧州戦域内における米国の行動の自由を拒否することはできないと前提される。したがって、西側との大規模戦争勃発時におけるロシアの現実的な目標は、その初期段階において米国のPGM攻撃を吸収・拡散させることによる抗堪性を確保し、防勢及び攻勢を通じて高価値アセットを消耗させ、指揮統制通信に対する攻撃によって作戦を混乱させることに置かれる。こうした打撃を小規模または大規模に行って米国の組織的な軍事作戦遂行能力を一定期間麻庫させ、迅速な勝利の達成を不可能にさせることにより、戦争継続に関する政治的決意を鈍らせるというのが損害限定戦略の基本的な考え方である。 第二に、以上の目標を達成するにあたっては、防勢と攻勢を組み合わせた「能動的防御」が不可欠となる。特に重要なのは主導権を握るために実施される予防的・デモンストレーション的・限定的攻撃である。 第三に、損害限定戦略は特定の領域を前提としたものではない。ここで追求されているのは、敵が組織的な軍事作戦を遂行する能力の全体を妨害することであって、これに資するアセットはあらゆるものが動員される。 こうした損害限定戦略が失敗に終わった場合には、戦術核兵器の使用によって通常戦力の劣勢を補ったり、戦闘の停止を強要したりする可能性が残されている、というわけだ。 物理空間からサイバー空間に至るまで、あるいは核兵器からレーザー兵器までのあらゆる手段を用いて敗北を回避しながら戦う――これが「弱い」ロシアが2020年代初頭までにたどり着いた大規模戦争戦略である。
24投稿日: 2022.04.02
powered by ブクログ『現代ロシアの軍事戦略』小泉悠 読了。 小泉氏の話がわかりやすかったので本も読んでみようと手に取った本書。ウクライナ情勢について報じられる毎日において、とてもアクチュアルであった。 ロシアは軍事的には決して強いわけではない。でも思想国家であり、軍事に関するアイデアや工夫は多くある。 攻撃力を高めるのではなく妨害力を高めたり、戦争に加担しながらも参加はせずに地政学的な影響力を維持したり、民間の軍事会社を上手に使って国家と軍事を切り離したり、核兵器をちらつかせてエスカレーションの抑止力として機能させる。 ロシアは経済が停滞していて、プーチン体制の維持にも影。そしてこの傾向はまだ続くという。現代においてもその可能性は高い。ウクライナ侵攻を受けても、たぶん政権転覆は容易ではない。 大変勉強になった本でした。ありがとうございました。
1投稿日: 2022.03.30
powered by ブクログ課って積んだまま読んだつもりでいたことに気づいて読み始めたのがウクライナ侵略開始後。ウクライナがなくなるのが咲か、読み終わるのが咲かと思っていたが、ウクライナが予想以上に善戦し、まだ健在である。(NATOからの情報・物資両面の援助があるとはいえ) さて、本書であるがクリミア電撃占領二代表されるハイブリッド戦略その他のロシアの軍事戦略についての「先行研究」である。問題は、あれだけ大規模な演習を繰り返していたのに、なぜ、勧進能くらいな本格侵略ではウマ空位化なかったのかについてだが(そもそも、侵略側の将官が次々と敵弾に倒れていくとか21世紀とは思えない)、是非とも紺地戦争の「戦後」に、続編を小泉先生にはお願いしたい。 何が違ったのかと。 ウクライナの泥濘にはまったロシア軍の明日はどっちだ?(エスカレーション戦略をとる前に諦めてくれるとよいのだが…
0投稿日: 2022.03.25
powered by ブクログ軍事系に、あまり関心のない自分でも、これまでの戦争の変遷や各国の思惑、軍機などの特徴がわかるのだから、非常に分かりやすくまとめられているのだと思う。2014に比べて今回ここまでロシア苦戦している状況も、この本を読んであれこれと考えさせられだ。
0投稿日: 2022.03.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
いつか読もうと思っていたのだが、ロシアのウクライナ侵攻が起こったため、急遽前倒しで読むことに。 戦略縦深(内藤先生がバッファーと言っていた)という考え方や、ハイブリッドな戦争(あくまで軍事力が中心)など、今まで知らなかったロシアの軍事思想を知ることができた。
0投稿日: 2022.03.19
powered by ブクログflier要約 https://www.flierinc.com/summary/2946 ==== 小泉悠(こいずみ ゆう) 1982年千葉県生まれ。早稲田大学社会科学部、同大学院政治学研究科修了。政治学修士。現在は東京大学先端科学技術研究センター(グローバルセキュリティ・宗教分野)専任講師。専門はロシアの軍事・安全保障 ==== 現在の世界情勢を踏まえてアマゾンの書籍でも売り切れになっておりなかなか手に入らない書籍。 私はこの手の内容にやはりどうにも興味が持てず、だからこそ知識もないためあまり理解ができなかった。
0投稿日: 2022.03.14
powered by ブクログ現時点で、ウクライナ危機や第二次ナゴルノ紛争以降に出た、これら最近の国際紛争の分析を含む数少ない新書だ。仕事が早くて驚くばかりである。ロシア・ウクライナ戦争が始まり、タイムリーということで手に取った。 ウクライナ危機の当時、「ハイブリッド戦争」という用語が多く用いられたのを記憶しているが、筆者はこれを「ハイブリッドな戦争」と呼ぶ。 ロシアでは非軍事手段の研究や実践化が盛んであるが、安全保障(非軍事的脅威に対するものを含む)の根底にあるものはクラウゼヴィッツ的な古典的戦争(軍事手段)であり、非軍事手段はそれを補うものとして位置づけられるということである。ウクライナやシリアの「成功」事例では、端的に言えば「結局最も効果あった・不可欠だった要素は軍事力だった」ということだ。 ※個人的には、筆者も述べているが、ウクライナ危機を説明する上でしばしば用いられる呼称「ハイブリッド戦争」の定義が多様であるように思われる。宣戦布告をせず体裁上戦争という形を取らず他国に隠密に浸透していく・・・という特徴をもつ国際紛争について、そのように呼称する場合もあるのかなと思う。 筆者は、ロシアはNATO・中国に対し軍事劣勢であると述べる。特に、西側の非軍事的戦争手段(民主化運動など)に晒されており「永続戦争」状態であるという認識が強まっている。優勢な軍事力に対抗するために、軍事手段と非軍事手段を結び付けたうえ、防空、ミサイル、電子戦、情報戦、対宇宙、戦術核により敵戦力(非軍事含む)を妨害する構想であり、最終的にはエスカレーション抑止で戦闘停止・他国参戦停止を狙うという戦略であるという。
2投稿日: 2022.03.13現実がエスカレーションしないことを願うばかり
奇しくもウクライナへの侵攻開始というタイミングで読み始めてしまった。 本書に書かれている理論やシナリオと、現在進行形の事象との位相差(重なり合いとズレ方)が刺激的でした。 個人的には全く知識の無い分野で隅から隅まで評価不能である一方、分かったようなことを言う人々への警戒レベルは一段上がった感じがします。
0投稿日: 2022.03.09
powered by ブクログハイブリッド戦争という事は何気なく知っていたが改めて調べてみると。 ハイブリッド戦争とは? …「政治的目的を達成するために軍事的脅迫とそれ以外のさまざまな手段、つまり、正規戦・非正規戦が組み合わされた戦争の手法である。いわゆる軍事的な戦闘に加え、政治、経済、外交、プロパガンダを含む情報、心理戦などのツールの他、テロや犯罪行為なども公式・非公式に組み合わされて展開される。」 サイバーテロなどは最近多くなっているが、武器を持たなければそれで良いとう風潮にならないか心配である。ロシアという国の立場も理解できなくはないが、さすがに武力行使は許されることではない。 今後の世界の動きが心配にもなってきた。
0投稿日: 2022.03.06
powered by ブクログ筆者がロシア軍事オタクすぎて、分からないものが多かった。(あとがきではこれでも分かりやすくした的なことはかいてたけど) でも、現在進行中のロシアVSウクライナ(NATO)の対立がある中で、なんとなくロシアのやりたいこととかどう攻めて行くのかとか、これからの戦争事情についてわかったし、改めて考える機会になった。 ハイブリッド戦争も戦争の一部と考えるのであれば、経済制裁であったりその他間接的な攻撃も戦争と捉えられて日本も加担してることになっているのでは?? 戦争すべきではないという固定概念にとらわれるのではなくて根本的に何がいけないか、やっていいこととやってはいけないことの線引きをする必要がある。
0投稿日: 2022.03.04
powered by ブクログtwitterでおなじみイズムィコ同士の本だからと数か月前に買ったのですが、読み始めた途端にプーチンが書いてある通りのことを始めるという、唖然とすることが起きました。 ロシアは他国より弱くなったことを前提にハイブリッドな戦い方を身に着けたようですが、同じような準備を日本はしているのか、気になるところです(準備をしても、先に攻撃を開始してはいかん)
0投稿日: 2022.03.04
powered by ブクログロシアによるウクライナの侵攻(2022年2月25日現在)を受けて改めて、ロシアが何をしたいのか、何を目指しているのかを知るために購入。ロシアのハイブリッド戦を含む戦争戦略が整理されていて、非常に勉強になった。2021年の出版だったが、本当に適切なタイミングな出版だったと思う。同著者による『「帝国」ロシアの地政学 「勢力圏」で読むユーラシア戦略』も改めて読み直したい。
0投稿日: 2022.03.01
powered by ブクログ表題のとおり現代、すなわち冷戦後のロシアの軍事戦略の発展について具体的に論じている。 ロシアはとかく中国の影に隠れがちであり、その行動様式や考え方も中々理解が進まないなかで、本書はそのニッチな部分を分かりやすく読者に提示した本。巷間言われるようにロシア人の発想のほとんどが軍事/安全保障(残りが経済)とすれば、本書の内容がロシアの行動様式全般を基本的に解説していると言っても過言ではないと思う。 全体的に面白かったが、一番良かったのはハイブリッド戦についての考察。ゲラシモフ参謀総長の演説が良く引き合いに出されるが、その演説全体を見ても、近年のロシアの大演習を見てもハイブリッド戦は、全体を有利にするための味付けであって主眼はPGMを中心とした古典的軍事力にあるということ。 また、中東での限定行動戦略についても、戦力投射能力などの限界を踏まえた上で、ロシアがハイエンドの航空宇宙軍の能力と地上戦指揮官を派遣して、頭数はロシア式にトレーニングした現地部隊で戦わせるという方法も中々練られたものと思った。 最後に、日本は結局西側であり、中露分断は幻想、安保と経済・社会を分けて付き合うべしとの提言もその通りだと思う。 全般的に分かりやすくまとまって、ロシアの安保観、戦い方がよくわかる良書。
0投稿日: 2022.02.08
powered by ブクログ国力的にはそれほどでもないロシアが、なぜ軍事的影響力を保持できているのか。 テロや国内騒乱の背後に西側の影を見て、小規模、あるいは地域的な武力紛争も国家間の大規模紛争に繋がりうるとの認識の下、軍事力を中心に据えつつも非軍事的な影響力も行使したハイブリッドな戦争を行う。そして、軍事力を、勝利のためではなく、特定の状況を作り出すために行使するところに、ロシアの軍事戦略の特徴がある。
0投稿日: 2022.01.28
powered by ブクログ「軍事」とでも言えば、火器や車輛、艦船、航空機というようなモノを好む好事家が関心を向ける分野とか、平和に反するとか、何か「ネガティブなイメージ?」なのかもしれない。が、「“国益”を叶える」ということの「数多在る“手段”の一つ」という観方も在り得るのが「軍事」だ。巨大な戦力を誇ったソ連軍の後裔たるロシア軍や、ロシア軍を動かすロシアの政府ということに関して、近年の動向等を詳しく説く本書は非常に興味深い。 比較的近年の問題意識ということになると見受けられるが、「“国益”を叶える」ということの「数多在る“手段”の一つ」ということで「ハイブリッド戦争」というような概念が説かれている。「ハイブリッド」?これは正規の軍隊、非正規の戦力、その他の情報技術や宣伝や心理戦というような何らかの方策や、「可能な限りの様々なモノの混淆=ハイブリッド」によって「“国益”を叶える」というのが「ハイブリッド戦争」の概念だ。 この「ハイブリッド戦争」の概念というモノは、或いは「近年の“軍事”の要素も絡めたロシアの動向」を形容する手段として登場し、説かれて来た一面が在る。そういうような事柄について、近年の“事件”も題材にし、加えて“理論家”とされる軍の高官等が説いている事柄にも眼を向けて解説しているのが本書である。 「ハイブリッド戦争」の概念だが、如何に「平和!!」な国に住んでいるのであっても多分、「憶えておくべき…」なのかもしれない。所謂“サイバー戦”や“情報戦”というのが「ハイブリッド戦争」なるモノの大きな要素となるが、それを効果的に動かすためには、「精鋭部隊による実力行使」も在り得るのだ。実際、長くソ連軍は基幹的な将校や下士官は職業軍人が担って、兵員は徴兵で賄うような具合で大規模部隊を擁するような傾向を帯びていたが、近年は志願兵の職業軍人で賄うより小規模な部隊を各地に配して迅速に展開し、着実に目的を果たすことを目指す傾向になっているようだ。 「軍事」というのは「好事家が関心を向ける分野」ということに留めておいて構わない訳でもない筈だ。本書は「巨大の“ソ連軍”の後裔の今日?」という角度で「今日の“軍事”?」を考える切っ掛けを与えてくれる。広く御薦めしたい一冊だ。
1投稿日: 2021.06.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
戦争とは人間同士の意思のせめぎ合い(マクマスター) サントペテルブルグから150kmにNATOのエストニア国境 バルト海、黒海もNATO加盟国が半数以上 ロシア軍 ドローン2000機 電磁波妨害兵器 サイバー攻撃 兵士の私物スマホへ偽情報 真冬に電力会社へのマルウェア 行政機関やインフラの占領下、政治的に独立や併合が成立 NATO 360度同盟 領域防衛部隊WOT(ポーランド) サイバー空間作戦指令センター(指令本部内) 欧州ハイブリッド脅威研究拠点(フィンランド) ハイブリッド戦争 支持を人民から得る。紛争地域化し、勝たないように戦う。 プーチンの恐れるもの 原油価格停滞による経済停滞、西側経済制裁、新型コロナウイルス シリア紛争への介入「限定行動戦略」 ローテク無誘導弾による空爆が主 GLONASSによる長距離巡航ミサイルや偵察衛星も 旧式爆弾+照準装置のみ最新鋭=ロシア式には精密攻撃 民間の犠牲の残虐性をメディア抑制で覆い隠す 航空宇宙軍指揮による現地統制+特殊作戦部隊+民間軍事会社 アルメニア・アゼルバイジャンの ナゴルノ・カラバフ紛争 ロシアが、脱出を図るアルメニアを支援せず、アゼルバイジャンも勢力圏としたい トルコが味方に付くことを アゼルバイジャンが読む 停戦と同時にロシア軍が平和維持軍を派遣 NATOとの「第6世代」大規模戦争 PGMによる「非接触戦争」には技術的に不利、 大規模師団を解体、地上部隊の機動性で迎え撃つ +核兵器 インフラに依存する航空機や艦艇はPGMの標的になる 広大な戦域に分散隠蔽され動き回りながらNATOの中枢を打撃しうる長距離PGM 地域紛争や非合法武力勢力の背後に大国 中露 一枚岩の軍事同盟にはならない「協商」へ ロシアの全面は欧州と中東、中国は台湾から南シナ海 関心領域は重ならない 対衛星攻撃 ロシアの宇宙劣勢 対衛星攻撃用ミよりも 通信妨害、偽電波 レーザー兵器 衛星スパイ衛星 光学式宇宙状況監視SSA タジキスタン 大気園内極超音速兵器 非核弾頭の破壊力の弱さを運動エネルギーでカバーするエスカレーション抑止 従来より低高度で飛行軌道を変化し迎撃されにくい 弱いロシアの大規模戦争戦略 物理空間からサイバー空間まで、核兵器からレーザー兵器まで、 あらゆる手段で敗北を回避しながら戦う 西側との対立=永続戦争 日本が西側にいる限り、安全保障、領土の歩み寄りは期待できない 権威主義的な中国とは同じ価値を認めあえる友好国 「西側の一員」としての立場を固め直す戦略
0投稿日: 2021.05.21
