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銀河鉄道の父
銀河鉄道の父
門井慶喜/講談社
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総合評価

191件)
4.2
68
78
27
2
1
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    宮沢賢治の父といえば、厳格なイメージだったが、これを読むと冒頭でいきなり息子を溺愛していて微笑ましい。父親として、家長として、厳格でいなければと、気を引き締めながらも、心の裏では「かわいい」と思ってしまう親心。 乳児〜少年時代の賢治への親バカっぷりは思わず笑ってしまうほどで、「わかるわかる」と共感の嵐。そしてこの頃の政次郎の献身エピソードが、後半の展開に深い感動を引き起こす。 父とは、親とは…いつの時代も子どものこうふくを祈り苦悩するのは変わらない。 映画もぜひ見てみたい。

    7
    投稿日: 2023.05.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

     宮沢賢治の生涯を実父の視点で綴った作品。父という存在の機微を感じながら、賢治の生涯を簡易に把握するにはちょうど良い。 「大人の世界もおなじだが、議論に勝つのは弁の立つ人間ではない。話を聞かない人間なのである」(58頁) 「胸が全焼した」(252頁) (内容紹介)  明治29年(1896年)、岩手県花巻に生まれた宮沢賢治は、昭和8年(1933年)に亡くなるまで、主に東京と花巻を行き来しながら多数の詩や童話を創作した。  賢治の生家は祖父の代から富裕な質屋であり、長男である彼は本来なら家を継ぐ立場だが、賢治は学問の道を進み、後には教師や技師として地元に貢献しながら、創作に情熱を注ぎ続けた。  地元の名士であり、熱心な浄土真宗信者でもあった賢治の父・政次郎は、このユニークな息子をいかに育て上げたのか。  父の信念とは異なる信仰への目覚めや最愛の妹トシとの死別など、決して長くはないが紆余曲折に満ちた宮沢賢治の生涯を、父・政次郎の視点から描く、気鋭作家の意欲作。

    2
    投稿日: 2023.05.24
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    駅の映画のポスターで興味を惹かれ、原作があると知り、直木賞作品とはいえ「結局は今をときめく俳優を出す(だけの)映画」になるレベルののだろうなと思い読んでみたら、ごめんなさい。ストーリーも文体もめっちゃ好き 笑 宮沢賢治の生涯はなんとなく知っていたけど、事実かどうかはおいておいて、新時代の父親の苦悩と幸せとが楽しめる。僕の父親はどうだったんだろう。僕は知ることはない父親の気持ちを疑似体験できました。岩手県の方言もなんか可愛い

    4
    投稿日: 2023.05.17
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    映画化されるので知った作品。 宮沢賢治の作品は読んだことがあるけれど、こういう人生だったという視点が面白い。 ダメダメなんだけど愛してしまう、そしてダメダメと思いきや、人としてできている部分もある。 宮沢賢治の作品を改めて読みたくなった。

    2
    投稿日: 2023.05.09
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    映画を観る前にと、読了。 父親視点から語られる賢治像が、これまで持っていたイメージとは一味も二味も違う角度で見えて、賢治の人間臭さが非常に伝わってきた。放蕩っぷりが凄い笑。 父親と息子。最も近い関係性だからこそ、上手く距離を縮められない互いの意地や不器用さが、終始絶妙に描かれていて、現代にも置き換えられる親子像がリアルだった。

    5
    投稿日: 2023.05.08
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     岩手旅行に出発する前に宮沢賢治の作品が読みたいと思い、本屋へ。童話や詩集を購入するつもりが、映画化の文字に惹かれ賢治の父の物語を購入してしまった。家族や環境に甘え、好きなことに突き進む賢治は最初は甘ったれのボンボンだと思ったけど、迷いながらもその時々で自分の進むべき道にまっすぐに邁進する賢治とそれを支える家族の姿にあたたかさを感じた。賢治の作品の背景を知れたのもよかった。もう一度、宮沢賢治の作品を読み返してみたいと思う。

    4
    投稿日: 2023.05.07
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    2017年の直木賞受賞作。映画化されると聞いて予習がてら図書館で借りて読んだ。宮沢賢治の父・政次郎を通して宮沢賢治の生涯を描く物語であり、受賞当時は「新たな宮沢賢治像の発見」と評価された作品。父・政次郎の質屋や家長としてのプライドと、長男として生まれながらも父の期待に応えられない賢治の、石のようにでこぼこながらも愛ある日常風景を感じ取ることができる。 宮沢賢治には作品も解説書も相当多くの本が世に出ており、新規性を開拓するのが難しい分野でありながら、本書はそれを見事にクリアし、伝記らしい側面や、宮沢賢治の心変わりの早さなどが垣間見えたりして小説として面白い。若干文体が詩的で癖がある書き方だが、読んでいるうちに慣れる。 全体的を通してはハートウォーミングファミリーストーリーであるので、宮沢賢治×家族の話を読みたい、というかなりニッチな層を狙った作品でもあり、適度な脚色の入れ方も魅力。ライトな宮沢賢治を知るための副読本として読むと良いだろう。 法華経の件が、職がないことへの逃避と思しき入り方をしていたのは初めて知ったので意外だった。桜の家でのトシと賢治の交流の描写も温かくて素敵だった。

    2
    投稿日: 2023.04.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    賢治の父・政治郎が主人公 長男・賢治が生まれ、父親となったその日から見送る日までを。 ○父さんの中の父さん!政次郎自身の父との関わりや葛藤も描きながら 小さな賢治、そして最後の病床につく賢治を看病する姿に胸をつかれる 政治郎が深く広く賢治を受け止め、軽やかな口調で語られる 受け止めつつも、困ったところも、きちんと見つめている 他の家族も賢治のことが大好き ○東北弁のあたたかさ ○宮沢家の家系や家業のこと、賢治の生涯のことをたどることができた ○生前にお父さんに本を見せることや新聞掲載出来たことがよかったなあと思う ○トシはこんなに才気煥発な娘さんやったんやなあと。

    10
    投稿日: 2023.04.26
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    「注文の多い料理店」や「雨ニモマケズ」を著した宮沢賢治の幼少期から臨終後までの出来事を見守っていた父親の愛情が感じられた。大病を患った時の看病やお金の無心にもとことんまでつきあった親、そして兄弟姉妹も皆、賢治のことが大好き。この家族が過ごした日々は大変なことが多かったけれど、人生を駆け抜けた賢治にとっては最高の家族だったと思った。

    8
    投稿日: 2023.04.22
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    宮沢賢治の印象がだいぶ変わってしまいました。 親がサポートしたから今これだけ名前が知られていると思うと、親の愛情って果てしないと思いました。 私はここまでできないなぁ〜

    3
    投稿日: 2023.04.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    溶岩がほとばしる 溶岩とはことば 浄土と法華 国柱会の話など、 さらいと聞いたことはあったけど、 フィクションと注はあるにせよ イメージがありありと伝わってくる。 トシに対する印象も変わった。 全集と合わせて読みたい。

    0
    投稿日: 2023.04.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白いです。 フィクションなのでしょうか。 宮沢賢治のお父さん目線で書かれた本。 宮沢賢治は、お坊ちゃま育ちだったのですね。 お父さんも学びたかったが、家業を継ぐことを指示され出来なった。そのため、子ども達を学校に行かせた。 何が正しいのでしょうね。 我が子の子育てにも悩みます。 理系の大学生の次女。やりたいことがわからないから大学院に行くか考えていると。 私は、だったら就職した方が良くないか?と思いますが…夫は、理系は今は大学院に行かないと就職に不利と。でもね、中途半端にプライドだけ高くなっても、仕事につかないとしょうがなくないかな…と思うのは私だけだろうか…。

    5
    投稿日: 2023.04.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    彼の作品はともかく、一生を俯瞰で見れば、理想は高いが腰の座らない、自立のできないパラサイト息子だった。 だからかわいい息子だったのか、だけどかわいい息子だったのか。 小説だと言い聞かせないと、これが事実だったんだと思ってしまう説得力。 子どもの頃の賢治は、近所の子どもたちの遊びのリーダーだった。 腕力があるわけでもないのに、友達は彼に従った。 なぜか。 ”ひとたび、――こうする。と言ったら何があっても意見を枉(ま)げなかった。なるほど無敵だろう。大人の世界もおなじだが、議論に勝つのは弁の立つ人間ではない。話を聞かない人間なのである。” 理想主義者で、人見知りで、まっすぐで、勤勉で、体が弱くて、甘ったれ。 ああ、我が子だったらたまらんなあ。 ところが父・政次郎は違った。 天保生まれの父に厳しく育てられた政次郎は、成績優秀だったのに、「質屋に学問は必要ない」と進学を許されなかった。 政次郎の父・喜助は、傾いた家を建て直すため自分にも家族にも厳しい人だった。 だから政次郎もそうなるはずだった。 ”あやしてやりたい衝動に駆られた。(中略)家長たるもの、家族の前で生(なま)をさらすわけにはいかぬ。つねに威厳をたもち、笑顔を見せず、嫌われ者たるを引き受けなければならぬ。” ところが、厳しくしようと思う端から、愛情があふれ出てしまうのである。 賢治が小学校に上がる前、赤痢になった時、隔離病棟で寝ずの看病をしたのは母のイチではなく、父の政次郎だった。 さすがにそのようなことをする父親は、当時皆無である。 でも、江戸時代の庶民の家では、職住近接で共働きが当たり前なので、割と父親も子どもの面倒を見ていたと聞いたことがある。 明治初期に来日したイザベラ・バードも、日本人男性ほどよく子どもの面倒を見る人たちはいないのではないかと驚いていた。 だから、政次郎は明治という新時代の父親(本文より)というよりも、時代遅れの男なのかもしれない。 政次郎は賢治のことをとてもよく見ている。 だから頭ごなしに怒るということがあまりない。 ”子供のやることは、叱るより、不問に付す方が心の燃料が要る。” とはいえ、鉱物のための標本箱を買ってくれと言われて、500箱も買うのは親ばかじゃないか? そんな調子で賢治は亡くなる数年前まで親にお金を出してもらうことを当たり前だと思っていた節がある。 地道にコツコツよりも一気に大きな話に夢を見るのである。 当然全額親に出資してもらうつもりで。 けれども、妹トシはそんな兄の長所も短所もわきまえたうえで、兄の応援をする。 幼い頃から仲の良かった兄妹。 ふらふらしている賢治よりよほどしっかりして、頭もよく、気働きのできるトシを「男だったら」と残念に思う政次郎。 トシの死は、手放しで嘆くことができない分、賢治よりも政次郎の方が辛かったかもしれない。 賢治が倒れたとき、そばで看病したのは政次郎だった。 世間的な成功を収めることはできなかったが、賢治はやっぱり政次郎にとって大切ないとし子なのである。 政次郎の信仰する浄土真宗と賢治の信仰する日蓮宗との対立。 学問が許されなかった政次郎の、進学をしても結果を出すことのできなかった賢治へのもどかしさ。 どこを取っても読みごたえのある作品でした。 読んでいるとき、iPodからの音楽が一切聞こえていませんでした。 そのくらい夢中で読める本。

    4
    投稿日: 2023.02.22
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    宮沢賢治。教科書で取り上げられるからこそ、それ以上の作品はあまり読もうとしない作家のひとりだと思う。この本は、賢治が主人公ではなく、その父に光が当てられている。とはいうものの、賢治についても、父政二郎を鏡として、しっかりと描かれている。宮沢賢治に興味を持ってこなかった人も興味をもち、宮沢賢治を読んでみようと思わせる作品。

    1
    投稿日: 2023.02.21
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    祝映画化ですね。宮沢賢治が菅田将暉さんのイメージになってしまう前に。 現在では、国民的作家となっている宮沢賢治。その父政次郎の視点と気持ちで描かれた彼の一生涯と家族の物語。国語便覧では、隠された部分の賢治の足跡も詳らかにされています。 祖父と父がその才覚で質屋として財をなし、裕福さと父親の深くも甘い愛情が、作品の基礎となっていたのかなと思います。生活力が乏しい息子を厳しく諭しきれず、見放す事など到底できず。息子愛を、明治時代の父権としての形状を保ちながら、影で存分に発揮する。時々、漏れる心の声が微笑ましい。ハッカ飴を忍ばせる場面が好きです。 岩手だからか、なんとなく石川啄木と混同しているエピソードがあったかもしれない。じっと手を見ながら“雨にも負けず”を書いたようなイメージになってしまっていた。 あの自由な言葉遣いは、豊かな自然、裕な家族、思った以上に奔放な性格からの創作でしょうか。 ゴッホの弟、一葉の妹、賢治の弟と弟妹達の支えあっての天才達ですね。

    58
    投稿日: 2023.01.16
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    心から子どもが心配で愛しくてたまらない、厳しくしたいのについつい甘やかしてしまう父の政次郎 賢治もそんな父に憧れがあったのだろうか 子が自分より先立つのは本当につらい… “銀河鉄道の父”には賢治の父政次郎、作品を生み出した賢治のふたりの意味がある? 死後に世に知れ渡る賢治、家族の支えあってのことだったのだな

    1
    投稿日: 2023.01.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    親にとっては、子どもはいつまで経っても子どもなのだなあ。 親から見た賢治は、いたずらっ子で、地に足のつかない、危なっかしい子ども。でも、なんだかんだ言いつつも、賢治を理解しようとする。不器用だけれど寄り添おうとする。 失うことが分かっているから、後半は薄目で読んだ。つらい。 最後に「アメニモマケズ」を賢治の「いたずら」だと言うところが好き。

    2
    投稿日: 2023.01.08
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    自分が知っている宮沢賢治とは、違う一面が多々あり、非常に面白かった。どこまでがフィクションなのか?小学6年生の国語の教科書に、「やまなし」とともに、宮沢賢治についてのことが載っている。その内容と比べながら読むと、なお、興味深い。言葉は悪いが、やりたい放題の息子と、厳格なのに子どもにあまあまの父。宮沢賢治の本を読み直しなくなる1冊である。

    2
    投稿日: 2023.01.02
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    宮沢賢治の父の政次郎からみた宮沢賢治の物語 宮沢家は商いの家で 政次郎は質屋で成功をした 賢治、清六、トシ、シゲ、クニの子宝に恵まれた 威張ることなく 子供の進みたい道に進ませて 病の子供には自ら看病をして 自らも病気になる 温かい心の広い愛のある人だった 父、経営者、主人 葛藤をしながらも父としての愛を貫いた政次郎 職や学校を転々として病いばかりの賢治 最期は自分のありたい姿を貫き凛としていた賢治 政次郎も賢治も精一杯生きる姿に脱帽

    5
    投稿日: 2022.12.06
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    門井氏の本は「家康、江戸を建てる」に続き2作目。歴史小説という事で実在の人物を元に小説を書いているのだが、何故だか前作も含めて人物像の表現にハマらない。 宮沢賢治の駄目っぷりに対して父親の愛情が強すぎて一寸引いてしまう。昔の頑固親父でありながら、賢治が病気すると一人で看病し過ぎて、自分が一生治らない病気になってしまう。質屋の後継の件もそうだし、莫大な花巻市の講習会への援助とか、どうこの父親を表現したら良いのか悩む。

    46
    投稿日: 2022.12.06
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    面白く読めた。自分の子供時代を思い出し、また自分の子供への接し方について共感したり考えさせられたり。。亡くなった父親を思い出すことも多かった

    1
    投稿日: 2022.11.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    子供との距離感は難しい。特にこの時代の男親は、ほとんど話さず背中を見て学べという姿勢がほとんどではないだろうか。その中で、賢治の父のあたたかさ、人情深さには胸打たれた。岩手訛りがまたいい。ありがとがんす、と父にお礼を言う賢治がかわいかった。 賢治は、逆に聖人のようなイメージだったのが、無邪気さ、だらしなさも感じられた。父にたいしては畏怖があるかと思ったが、賢治側の語りになったとき、それだけではないことがわかってほっとした。 息子を看病する子供時代と死に際の、父の行為と回想は、たまらなかった。 命をかけてのこした宮沢賢治の作品をもう一度、読み返したい。

    1
    投稿日: 2022.10.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    宮沢賢治が好きで購入し、積んでしまっていたのをようやく読んだ。 賢治は決して立派な人間ではなく、むしろ父の政次郎こそが堅実で勤勉な素晴らしい人間のように思える。ある程度賢治に対する嫌悪感にも似た感情が溜まってきた中盤からの流れが圧巻である。 あまりにも有名な「永訣の朝」それから「春と修羅」、その後の賢治はどこか浮世離れした超俗の人間へと、世間一般的なイメージの宮沢賢治へと変わっていく。そんな中、超俗、世俗関係なくただただ賢治の父であり続ける政次郎の思いが実に痛ましい。病床の愛息を強く叱咤しながら、同時に己を責めるシーンで涙が出てしまった。 数年前に家族で旅行に行ったイーハトーヴの景色を思い出す。良作だった。

    3
    投稿日: 2022.10.14
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    愛が溢れすぎている。 賢治の生涯から一通りのストーリーは元々知っているのに、帰りの山手線で泣いて不審者になってしまった。

    0
    投稿日: 2022.10.03
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    雨ニモマケズ…のこの詩は知っていたものの、宮沢賢治本人や、その生い立ちに関しては恥ずかしながらほとんど知りませんでした。 父である政次郎さんの視点から宮沢賢治の事が書かれていますが、賢治に対する愛情の深さに、序盤から涙がでて止まりませんでした。 宮沢賢治のよき理解者であり、父親になることで弱さを痛感し、心配し、そして共に喜び、見捨てず賢治に寄り添う父政次郎さんがとても魅力的でした。 宮沢賢治のイメージもガラッとかわりました。優秀ではあるけれど、明るいし、いたずらもするし、自由だし、お金の無心もするし、でも私たちと同じように悩み、もがいていた人生だったのだ、と。 東北の方言も懐かしく、岩手山の雄大な景色を想像しながらよみました。 映画化される、と聞いて読みましたが、そちらもとても楽しみです。 そして、自分の亡くなった母を思い出しました。

    3
    投稿日: 2022.09.19
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    後半は涙が止まりませんでした。 宮沢賢治を父・政次郎の視点で描いた作品。 子に対して厳しい態度を取ることもありつつ、この時代にしては過保護とも言える子どもへの愛情あふれる姿や考えには心を打たれました。 多くの言葉を発しないのは時代ゆえか、男性ならではか、はたまた政次郎の不器用さか。 結果論も含まれますが、同じ親としては政次郎の頭の良さや器の大きさに尊敬の念を抱く部分もありました。 一方で、宮沢賢治がいかにして童話作家・詩人となったのか今まで特に関心がありませんでしたが、本作を読んだ後では作品に対する視点が大きく変わることとなりました。 特に作中で強く印象に残る「アメニモマケズ」は今後涙なしには読めない気がします。 切なくも心暖まる家族小説でした。 こんな良作で今年の読書生活をスタートできて幸せです。 2021年1冊目。

    1
    投稿日: 2022.09.03
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    宮沢賢治の父目線で描く賢治の一生。 天才童話作家である宮沢賢治の父は息子をこよなく愛する父親像が描かれ、賢治はお坊ちゃんでありながら、家業を継ぐこともなく、やりたいことをら突き詰めつつ、親にお金を無心するような息子。 それに振り回されつつ、喜んで甘やかしてしまうお父さん。遠い存在の宮沢賢治が生きていた生き様がとても身近に感じられ、作品を今一度読んでみたいと思った。

    0
    投稿日: 2022.08.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    孤高の修羅をあるいた天才が育った家庭は、こんなにも愛にあふれていた。 『銀河鉄道の父』 門井慶喜 (講談社文庫) 作家・宮沢賢治の人生を、父・政次郎の視点から描いた物語である。 父目線で見る宮沢賢治なんて想像したこともなかったので、すごく新鮮だったし、面白かった。 頭はいいのに生活能力ゼロの息子。 そんなダメ息子が可愛くて仕方なくて、わかっちゃいるけど甘やかしてしまう父。 この小説はもちろんフィクションだけれど、実はあながち大げさというわけでもない。 年譜ではさらっと読み飛ばしてしまうような、ほんの時々名前が出てくるだけの政次郎だが、実際に、付きっきりで病気の息子の看病をして自分も病気をもらってしまったり、夢ばかり語る息子にこまめに金銭援助をしたり、なのにこんなに苦労をかけられた息子の死に際には「えらかった」と褒めたりしている。 今まで深く考えたことがなかったが、よくよく考えてみれば、明治時代の厳格な父親像とはかなりかけ離れている人なのだ。 そんな歴史に埋もれていた政次郎さんが、血のかよった一人の悩み多き人間として魅力的に描かれているのがとてもいいし、それに付随して、どうしても神聖視されてしまいがちな宮沢賢治を地上に引きずり下ろし、ただの息子として人間臭く描いているのがよかった。 「ヲトコウマレタタマノゴトシ」 宮沢賢治爆誕の瞬間である。 長男誕生の知らせを仕事先の京都で受け取った政次郎は、花巻に戻り、赤ん坊と対面するが…… 「近づけた指を握られ、 (あっ) 政次郎は目の奥で湯が煮えた。 あやしてやりたい衝動に駆られた。いい子いい子。べろべろばあ! しかし自分は威厳のある家長、 (弱みは、見せぬ)」 この括弧でくくられた心の声がいいな。 これが結構、読んでいて楽しかったりする。 息子を甘やかしてしまう自分に、 「(いつまで、こんなことを) ため息をついた。われながら愛情をがまんできない。不介入に耐えられない。父親になることがこんなに弱い人間になることとは、若いころには夢にも思わなかった。」 さて、そんなふうに、政次郎の甘々さと賢治のダメダメさに苦笑を禁じ得ない前半から一転、トシの病気、賢治の病気と、物語はどんどん重苦しくなっていく。 子供を二人も若くして亡くした政次郎の気持ちはどんなだっただろう。 賢治が死に向かう場面は読むのが辛かった。 もちろん、私も一人の親として読んでいる。 病床の賢治と、賢治を看病する政次郎との会話は穏やかで、ぱちり、ぱちり、とストーブの薪がはぜる音と、時折おちる沈黙とが時間を濃くしていく。 こんなにずっとそばにいたのに、死の瞬間だけ立ち会えなかったというのも何か、この親子にしか分からない繋がりの深さみたいなものを、逆に考えずにはいられない気持ちになって、やっぱり涙腺が緩んでしまう。 ところで、物語中には賢治作品がいくつか登場するのだが、それは、現代の私たちが読む何かしらバイアスのかかったものとはちょっと違う。 いや、同じなんだけど、やっぱり何かが違う。 当時まだ、海のものとも山のものともつかなかった謎の心象スケッチが、家族との生活の中で書かれたものであるという当たり前のことが改めて感じられたし、さらに政次郎がそれを読み解くということが、すごく自分の中では新しかった。 これを読み始めたとき、なぜ“父”目線なのだろうと不思議に思った。 しかしよく考えれば政次郎は、宮沢賢治の“誕生”から“死”まで、さらには死後、作品が認められ世に出るまでを、全部見届けた人だった。 反抗もしたけれど、越えたくても越えられなかった父親である。 「ふりかえれば、政次郎ほど大きな存在はなかった。自分の命の恩人であり、保護者であり、教師であり、金主であり、上司であり、抑圧者であり、好敵手であり、貢献者であり、それらすべてであることにおいて政次郎は手を抜くことをしなかった。 尊敬とか、感謝とか、好きとか嫌いとか、忠とか孝とか、愛とか、怒りとか、そんな語ではとても言いあらわすことのできない巨大で複雑な感情の対象、それが宮沢政次郎という人なのだ。 『……おらは、お父さんになりたかったのす』」 大嫌いは大好き。 この親にしてこの子あり。 すごくいい話だったなぁ。 いい経験させてもらったなぁ。 そんな感謝の気持ちで読み終えた。

    0
    投稿日: 2022.08.26
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    これまでの宮沢賢治像をいい意味で壊してくれた。ある程度、知ったつもりでいたがこうして家族としての物語は初だったし、あぁ、このころにこの作品があるのかなとか、こうしてこの作品は生まれたのかとか。 作中にもあるようにことばは滅亡しないしね。

    0
    投稿日: 2022.07.28
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    父の目から見た、宮沢賢治の一生。父からの深い愛情を受けながら、宮沢賢治文学を作り上げていく様子が描かれている。 この本を読むまで、宮沢賢治がこんなに奔放な人間とは知らなかった。自分の思いついた道を突き進んでいく。そこには父との葛藤があり、父への想いがあり、二人はお互いに大きく影響されながら、二人の人生を生きて行った。 東北弁での会話が、親子の愛情や葛藤をよりリアルに浮き出させている。 (岩手出身の母親が残していった本。この本を読んで何を感じたのだろうか?)

    0
    投稿日: 2022.06.25
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    この作品は、直木賞の選考でも、かなり評価が高かった、と言うことはどこかで聞いた覚えがあり、実際、伊集院静さんの選評には「一回目の選考から文句無しの各選考委員の支持を受けました」と書かれている。 しかし、文庫化されているのを知り、 何とはなしに作品紹介に目を通すと 【清貧なイメージ で知られる彼だが、その父・政次郎の目を通して語られる彼はひと味違う。家業の質屋は継ぎたがらず、「本を買いたい」 「製飴工場をつくってみたい」など理由をつけては、政次郎に金を無心する始末】とある。うーんこれは文豪=くず、のパターンか?と、少し前に読ん だ「やばい文豪」 を思い出す、、、 ところが、実際に読んでみて、私の印象はちょっと違った。実家が裕福で、甘ったれのおぼっちゃんで、やりたくない (できない、の方が正確かもしれない) 仕事はやらず、見通しが 甘かったり、 お金の無心をする息子、確かにそれはそうなのだけど、何というか、その言葉の羅列から想像する、どうしようもないちゃらんぽらんでいい加減な息子とは違う。 読んでいて、お坊ちゃんだなあ、トシが長男で賢治が次男だったらねえと思ったり、政次郎に対しても、なぜそこで援助してしまうかなあ、と思うことは多々あるのだが(苦笑) それでも、「お話を作る」 と言うことに対する質治の秘めた強い思いには胸を打たれたし、 教員として頑張る姿にも、賢治の生きられる場所がそこにはあったのだなあと温かい気持ち になった。 と、それよりもこの作品は 「銀河鉄道の父」である。 「父」が主人公の小説だ。なぜ、賢治が主人公の、賢治から見た父や母、妹、自分の人生、じゃないのかな、と思ったのだが、これが良かった。 私は女なので、父から見た息子や娘と言うのがどういうものなのか、実感を持って感じたり、想像することはなかなか難しいので、特に、「」で実際に発せられている言葉ではない、()で思っている気持ちや、本文として説明されている政次郎の思いが、微笑ましかったり、切なかったり、母親にはない感情だな。と思ったり、とても新鮮だった。 ところで、ストーリーとは全く関係ないのだが。 卓袱台と言ったら、昭和のイメージ、 おやじがひっくり返してる。そんなどこかの漫画やコントのイメージそのままだったのだが、終わりの方に出てくる卓袱台の描写が印象的だった。『上座も下座もない車座』なるほど。 この時代には、むしろ『新時代の家』だったのだ。

    3
    投稿日: 2022.04.05
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    父の愛情深く、時に厳しい理想の父親像が描かれていた。文章中に宮沢賢治の作品の一部が挿入されていて宮沢賢治の作品を読んだ時も違った感覚になりそうだと思った。

    0
    投稿日: 2022.03.13
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    宮沢賢治の父が実は子煩悩だったという話 宮沢賢治がらみの話でよくある描かれ方として、父は宮沢賢治の創作活動や農業指導に関しては否定的というのが一般的 それが、実は甘々な父だったという解釈の物語 言われてみれば、何だかんだ言って結局は進学させていたり何かと資金援助してたりというのは事実らしいですからねぇ そんな解釈も有りといえば有り あと、宮沢賢治も天才的な聖人の描かれ方ではなく、地元では優秀とそれていたが上の学校ではそこそこだし 子供の頃に火事を起こしながらしらを切ったり、父親に仕送りの無心を何度もしたり 鉱物の研究と言いつつ実験代と書籍代を無心、製飴工場(父親の出資で)、人造宝石(父の出資で)といった杜撰な事業計画で商売しようとしていたり あと、妹へのちょっと危ういシスコン傾向、父親への嫌がらせのような改宗等々 かなり拗らせた反抗期っぷり エディプスコンプレックスの変異形にも思える 父親を超えたいという欲求、妹という肉親への執着とかね まぁ、私自身も親には結構お金の面で世話になってきたから読んでいて結構心苦しかったんですけどね 一番印象的だったのは、父が「春と修羅」を何度も読み返すところかな 息子の初の本をしみじみと読みつつも 妹の遺言を自分で邪魔したにもかかわらず、勝手に美化した詩にして公表という手段に出たことへの怒り そしてその怒りのぶつけようのなさ 色々な感情の混ざり具合とその緩急がすごいよなぁ あと、最後のあたりの「雨ニモ負ケズ」の解釈 賢治の人間性について後の世で賛美される詩を「私はなりたいと言ったただの夢、言葉遊び」とバッサリと断じるのは、それまで賢治とのやりとりがあった父だからこそだとは思った 確かにこの物語を読んだ後だと、決して聖人君子というわけではなかったかもと思えてくる ただ、銀河鉄道の夜や他の童話の作品性についての評価は相変わらず高いですけどね

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    投稿日: 2022.03.09
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    どうしようもなく甘ったれで坊っちゃんな賢治と、謹厳で在りたいと思いながら、そんな息子を愛しみ甘やかしてしまう父。実はお金に不自由のない、それでいて周囲には蔑まれる質屋の息子だったことや、早逝してしまうけれど、病に倒れるまではむしろ活き活きと才気煥発なしっかり者だった妹(トシ)の姿など、宮沢賢治の作品世界とはおよそ結びつかない実際が描かれていながら、少しも嫌な気がしないのは、お互いをありのまま受け入れ赦し合う家族の物語だからだろうか。 どことなく漂う可笑しみが心地良かった。

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    投稿日: 2022.01.11
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    小学校の国語の教科書で読まされた宮沢賢治の伝記や「よだかの星」はあまりにも暗いという印象でした。そのため、宮沢賢治の作品には距離を置いてきました。アパさん(https://twitter.com/honwoyomusaru?s=21)の主催された読書会で「銀河鉄道の夜」が課題本になり、賢治の童話を数点読んだところ、その世界に惹かれました。賢治の人となりを知りたくなり、手に取ったのが本書「銀河鉄道の父」です。 明治29年(1896年)、岩手県花巻に生まれた宮沢賢治の生家は祖父の代から富裕な質屋。 本書は地元の名士であり、熱心な浄土真宗信者でもあった賢治の父・政次郎が賢治をいかに育て上げたのかを描きます。 当時はまだ家父長制度の色濃い時代で、家族における男女の役割が完全にわかれていた時代。そんな時代背景の中で、政次郎の賢治に対する、不器用な愛が時にはユーモアを持って描かれます。小学校のときに抱いた賢治の暗いイメージは、この本で払拭されました。 この本で感じたのは、賢治は様々な種類の性格を持つ人物だということ。まじめさ、優しさ、山っ気、そして好奇心。父の信念とは異なる信仰へ目覚め、最愛の妹トシの臨終の際に見せる父に対する態度を見ると、政次郎にとっては扱いにくい息子だったと思います。「まじめだが、しかし沈鬱な人間でない」賢治は好人物であり、政次郎を含めたくさんの人に愛された理由が良くわかります。 本書のクライマックスは賢治の臨終の場面でしょうか。著者の門井慶喜さんは賢治の臨終を「賢治一流の(遊び。いたずら)だったかもしれない」と表現していますが、ここまで賢治と政次郎の関係を観察してきた私は素直にそう思いました。「雨ニモマケズ」の政次郎の解釈も納得できました。 お勧めの直木賞受賞作。ただ、本書を読む前に「銀河鉄道の夜」(私の場合は角川文庫版)を含むいくつかの作品を読まれることをお勧めします。

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    投稿日: 2021.12.31
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    宮沢賢治の生涯を父政次郎の視点から綴った物語。 以前、花巻の宮沢賢治記念館を訪れたが、小説になったことでより宮沢賢治について知ることができた。 宮沢家の質屋を継ぐ才能はなく、手のかかる息子のようだった。その息子のために幾度となく手を差し伸べるのは現代の父のように感じた。

    0
    投稿日: 2021.12.25
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    『銀河鉄道の父』 最期に近い賢治へ。父より。 「本当の詩人なら後悔のなかに宿痾のなかに、あらたな詩のたねを見いだすものだべじゃ。 何度でも何度でもペンを取るものだべじゃ。 人間は寝ながらでも前がかける。」 ------------ 希少性⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 文学史⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 生き様⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ ------------ 1.購読動機 話題の書であるため、読みたいリストの一冊でした。ようやく2021に読了できました。 ------------ 2.物語 知らない人はいない宮沢賢治。 その父親が主人公です。 後述によれば、宮沢賢治の父親の正式な出自は世の中に一冊も存在しません。 著者門井さんが調べ、そしてさらに作品へと紡いで下さったおかげで、私たちは宮沢賢治が生きた時代を堪能することができます。 ------------ 3.父としての威厳と賢治への愛情 長男である賢治への愛情。 ① 度重なる入院の看病を賢治の母親に任せることなく、やりきる姿。 ② 学業の傍ら、賢治が石に関心をもてば、東京で標本箱をお土産に買ってあげる姿。 ③ 稼業に学問は不要であるという先代のいわれを賢治には言わず、学の楽しみの機会を与える姿。 ④ 地元新聞に賢治の詩、小説掲載あらば、その新聞を大量に購買して喜びを表現する姿。 ⑤ 最期の病にふした賢治に、ペンを握れ、書き続けよと励ます姿。 宮沢賢治と彼の作品が、賢治の父、母、そして妹、弟たちの支えがあって、この世界に生みだされたことを知ることができました。

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    投稿日: 2021.11.23
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    有名な童話作家、宮沢賢治をその父政次郎の視点から描いた作品。史実を追いながらも、父と子の感情的交流を捉えた家族小説。 賢治は幼い頃は勉強ができたが、長じては生活力がなく甘えたような日々を送る。政次郎は、それを苦々しく思いながらも父としての甘さを常に捨てられない。 そのような関係性の中で、二人の間には確執が生まれるが、賢治が童話や詩を描くことを発見するに至り、その確執が消えていくのが感動的である。 ともすれば暗くなりがちなテーマも、ユーモアたっぷりの筆致で描かれて、一般的なイメージの宮沢賢治とは別の側面を捉えた点が傑作と感じる。同時に家族小説としても完成度が高いと思う。

    1
    投稿日: 2021.11.20
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    【感想】 ・宮澤賢治は才能豊かだと思うし全集待ってるくらい好きやけど何者にもなれないタイプの人物であるようには思ってました。そんな賢治でした。 ・子育て中のお父さんが読んだら「来る」でしょう。 【内容】 ・宮澤賢治の父を主人公に子どもたち特に賢治との関係を描く。 ・小説。なのでどこまでが事実に近いのかはわからない。取材と調査はきっちりしてはると思うけど事実を埋める部分は虚構で、著者の姿が出ているでしょう。 ・このお父さんは知的で冷静に自他を分析し将来を見据えてる人でした。過保護やけどそれすら意識してた。 ▼簡単なメモ 【アザリア】賢治が参加した盛岡高等農林学校の同人誌。他に小菅健吉(こすげけんきち)、保阪嘉内(ほさかかない)、河本ヨシユキ(かわもとよしゆき)などが中心人物だった。 【イーハトヴ】《岩手だじゃい。まあ一種のもじりです。イーハトヴの物語とはつまり、おらたちの物語なんだじゃい》p.387 【石川啄木】賢治が衝撃を受けた『一握の砂』の詩人。盛岡中学の先輩。 【イチ】政次郎の妻。二十歳で賢治を生む。もう一軒の宮沢家「宮善」の宮沢善治とサメの長女。最高学府は寺子屋。 【書く】《書けたから、書いた》p.335 【学歴】賢治が盛岡中学校~盛岡高等農林学校。トシが花巻高等女学校~日本女子大学校家政学部予科。シゲが花巻高等女学校。清六が盛岡中学校。 【家族】《賢治はこの時期、家庭内で、父の過剰な存在と妹の過剰な不在とになやんでいたのかもしれない。》p.307 【喜助/きすけ】政次郎の父。「質屋に学問は必要ない」というのが信条。恐ろしいまでに融通がきかない堅物だが没落した宮沢家を再興した。胡散臭い質屋という商売を近代化したとも言える人物。 【キヨさん】トシのために看護婦会から派遣してもらった看護師。他の看護師が感染を恐れてか去っていったが最後まで付き添ってくれた。 【キン】政次郎の母。 【クニ】賢治の妹。だいぶ年は離れている。西洋風のくっきりした顔立ち。 【黒壁城】賢治の入った盛岡中学の寮。正式名称は自彊寮(じきょうりょう)だが門が黒塗りなのでそう呼ばれるように。 【原稿用紙】この本では、普通の文具店で普通の、イーグル印の原稿用紙を見いだしたとき賢治の創作意欲に火がついた。一挙に何十編もの作品を書いた。 【賢治】詩人、作家、農学者。少年時代は子どもたちのリーダー役だった。それはリーダーシップというよりは人の言うことを聞かないからそうなったという感じらしい。石集めが趣味になり「石っ子賢さん」と呼ばれるようになったりした。どうも商売に向かないタイプで甘ちゃんだが愛情がありすぎて政次郎は押さえつけることができない。 【賢治のペン】《賢治のペンは、いうなれば、垂直線しか引けなかった。》p.318 【講習会】大沢温泉で知識人たちを講師にした勉強会。運営が逼迫したとき政次郎がスポンサーとなって彼色に染めた。最終的には仏教の講習会になった。約一週間から十日ほど泊まり込んで行われる。 【国柱会/こくちゅうかい】賢治が入会した宗教団体。田中智学が創設した。日蓮宗系。 【桜の家】喜助の隠居所として建てた。トシが亡くなる八日前まで療養した。賢治が稗貫農学校を辞めた後暮らした。 【佐々木経造/ささき・けいぞう】盛岡中学の寮の舎監。軍隊上がりの体育教師で怖い。 【サメ】清六を可愛がる外祖母。 【シゲ】賢治の妹。四歳ほど年下。下ぶくれで目の小さい日本的風貌。素直で大人しい。従兄弟(政次郎の妹ヤスの息子)の岩田豊三と結婚し、純蔵、フミ、セイ子、杉子、祐吾の子を成した。 【治三郎】政次郎の弟。写真撮影が趣味だった。賢治の名付け親であり「治」の字は彼からのもの。二十八歳で病死。 【時代】宮澤賢治が生まれた年(一八九六年、明治二十九年)には三陸沖の大地震があり二万人が死に、北上川が氾濫を起こし、さらに内陸部の大地震があった。小学校在学中には日露戦争がおこり形の上では日本が勝利し一等国に仲間入りしたと多くの国民が信じるようになった。十九歳の頃第一次世界大戦勃発。 【質屋】《たいへん物理的な意味において、質屋というのは、春でも寒い商売なのだ。》p.162。「こちらから、客に何かを聞いてはいけない」p.166 【小学校】賢治がガキ大将になり、「石っ子賢さん」になり、すべての教科で「甲」を取った。トシも同様に優秀だった。 【商才】《商才というのは、その何割かは、口説ときかん気で成っているのである。》p.134 【浄土真宗】政次郎の信仰。「人間を、高めてくれる」と考えている。宗祖は親鸞。 【心象スケッチ】賢治の造語。「詩」くらいの意味。 【人造宝石】賢治が考えた事業のひとつ。すんごい甘い事業計画でマジっすか? って感じ。他にイリジウムがどーとか、飴を作る工場とか、なんでやねんという計画多し。 【製飴工場/せいいこうじょう】盛岡高等農林学校を卒業したら賢治が経営してみたいと言った仕事。「なんで?」と思ったが政次郎もそう思ったようだ。結局特に本気ではなかった感じ。 【清六/せいろく】賢治の弟。十歳くらい年の差がある? ちょっと頼りない。賢治への敬慕の念が強い。子どもの頃から機械いじりが好きだった。質屋を畳んだ後の「宮沢商会」の当主となる。 【関豊太郎/せき・とよたろう】盛岡高等農林学校の教師。賢治を気に入る。 【父】《父になるというのは精神的な仕事だと思っていたけどこんなに物理的とは知らなかった。》 p.16。「お前は、父でありすぎる」p.52。《子供のやることは、叱るより、不問に付す方が心の燃料が要る。》p.82。《父親であるというのは、要するに、左右に割れつつある大地にそれぞれ足を突き刺して立つことにほかならないのだ。》p.95。《決断と反省の往復である。》p.132。《息子の親孝行というのは、煎じつめれば、資金を積み立てるという正の行為ではないで負い目の借金を返すという付の域の行為である。》p.162。《ため息をついた。われながら愛情をがまんできない。》p.242。「……おらは、お父さんになりたかったのす」p.337。《家族の俯瞰は、家長の義務のひとつである。》p.361 【卓袱台】新時代の家具。 【中学校】質屋に学問は必要ないという喜助を政次郎が抑え、賢治の希望を叶え盛岡中学に進学させた。 【天災】天災は儲かるというのが質屋の法則。 【童話】《性格的に、むかしから自分は大人がだめだった。》p.336 【読書】《本を読むと、なまけ者になる。》というのが商家の常識(p.43)。まあ、本を読むという行為をしてるから他の行為の時間を取られるわけで読書に価値を見いだせないハタからはそう見えるんやろう。実際は勤勉に本を読んでるとも言えるんやけど。 【トシ】賢治の妹。一歳ほど年下。賢治に懐いている。賢治が盛岡中学の寮に入った後自己主張が激しくなる。「男ならいい経営者になるだろうと」と政次郎は思う。花巻高等女学校に進学。文才はむしろ賢治よりあったと思われる。 【トシの入院】本作では創作者としての賢治がなかなか現れないがトシが東京の病院に入院したとき無聊を慰めるために童話のようなものを話して聞かせた。 【農民】農民が富むと質屋が痩せるということになるらしい。ゆえに賢治が高等農林学校に進学するのは家業である質屋に対する裏切りでもあった。 【畑】桜の家に移って賢治の作った畑には食べるものではなくパンジーやモクセイソウやポピーが植えられたらしい。 【春と修羅】賢治の最初の本。関根書店発行。自費出版。最近の古書値の相場はよく知らないけど百万円前後で大外れではないと思う。政次郎に教えてあげたい。ああ、でも、全集が出たときには存命だったようで、ある程度は報われたのかな。《文学的感動など他人からの到来物にすぎないが、この感動は、政次郎には、おのが身の裡からの天寵なのだ。》p.407 【稗貫農学校】稗貫郡長の葛博の求めに応じて賢治が教職に就いた学校。後の花巻農学校。 【肥厚性鼻炎/ひこうせいびえん】賢治の病気で手術した。鼻の粘膜が分厚く固くなり極度の鼻づまりとなる。 【病気】《病気に長所があるとするなら、それは人と人をへだてる心の垣根をあっさりと取り払い得ることだろう。》p.158 【文信社】賢治が初めて就職した出版社。ただ、仕事内容は帝大生の講義ノートの複製で怠け者学生のための冊子だった。 【政次郎/まさじろう】主人公。賢治の父で彼が生まれたとき二十三歳。賢治が赤痢にかかったのを機会に理想とする家長像が吹っ飛び親バカとなる。看病で病院に泊まり込み腸カタルを得、その後夏になると固形物が食べられなくなった。《自分はそんなに強い人間ではない。強く見せる義務にしたがっているだけなのだ。》p.199。学歴こそないが、この作品では冷静に他者や自分を分析できる知的な人物。そして、常に真摯な人物。 【宮沢家】花巻にある。質屋、古着屋をいとなむ地元でも有数の商家。徳川時代末期宮沢右八がひらいた呉服屋「井づつ屋」が始まり。その孫の喜太郎がつぶしたがその弟の喜助が再興した。 【黙読】賢治がとらわれた《悪しき習慣》p.303 【盛岡高等農林学校】中学を出た賢治が進む学校。全国初の高等農林学校。官立で実業専門学校にあたり高校ではない。 【盛岡中学校】賢治が進む中学校。 【ヤギ】政次郎の姉。婚家を追い出され実家に戻ってきた。後に宮城に嫁ぐ。 【八木英三】代用教員。賢治を「石っ子賢さん」にした張本人。 【羅須地人協会】賢治が桜の家で始めようとしていた何か。

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    投稿日: 2021.11.03
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    宮沢賢治の作品そのものは読んだことがあっても、作者その人ましてやその父親まではそれほど知る由もなかった。 父親として、変わっていく時代を生きる一人の人間として、息子、娘たち、妻や父、そのほかの家族や関わる人々を見つめる視線は保護者のそれから必然的に傍観者に変わってゆく。見つめる先にいるかつてのか弱い子供たちはそれぞれの人生を生きて不幸なことには自分よりも先にその命を閉じてしまう。 自分よりもよく生きてほしい。親ならそう思わないではいられない気持ちは自分を焦らすことしかできず、当の子供たちは知ってか知らずか親の思ってもみないように成長していく。親は傍観者にしかなれず、そこに幸せを見いだすしかない。

    0
    投稿日: 2021.10.18
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    父でありすぎる。 この一言で全てを言い表してしまうかのようなすばらしい言葉。 作中にもこれらのすばらしい言葉がちりばめられてて、大変面白かった。 ( )でくくった言葉がツッコミみたいでちょっとおもしろかった。

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    投稿日: 2021.09.30
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    あらすじ 文豪宮沢賢治の代表作であり、未完の傑作です。 大自然をもとに独自の視点で童話や詩を手掛けてきた彼は、晩年にいたるまで創作活動を止めませんでした。自由奔放で活気にあふれた賢治。 そのような彼を陰で支えていた人物をご存知でしょうか。その人の名は宮沢正次郎。 宮沢家の大黒柱であり、晩年にいたるまで自由奔放な賢治を叱責し、激励した人物です。 本書は、正次郎に焦点を当てた直木賞受賞作。 天才宮沢賢治を支えた、偉大な父のお話です。 感想  お父さんが作った文豪?作家? ろくでなしの息子だね。

    2
    投稿日: 2021.09.01
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     宮沢賢治の父・政次郎の視点から、賢治の生涯を描いた一冊。天才肌であった一方で、金持ちのボンボン、かなりのワガママ坊や、今で言うニートのような生活をしていたという、宮沢賢治の新たな一面が垣間見え、とても斬新だった。当時の理想的な父親像と、賢治を甘やかしたいという政次郎の心の揺れ動きを、精緻なタッチで描いていた門井さんの描写がとても良かった。これほどまでに宮沢賢治が世に知られるようになったのは、ひとえに政次郎のお陰であったのだろうと、深く感じたところである。やはり父親の存在は大きい。  加えて賢治が、宇宙的大生命を説いた法華経の「寿量品」を重んじていたという記述は、興味深かった(p. 489)。科学的な・天文学的な宇宙観だけでなく、仏教的な宇宙観を賢治が保持していたということを顧みた上で『銀河鉄道の夜』を読み返すと、示唆に富むことが多いのではないかと思料する。  余談だが、本書の良点は、現代思想の観点から宮沢賢治を把捉していた点にあると思う。学校、病院、軍隊、規律化、ジェンダー問題等々、ポモ思想ど真ん中の論題が、本書の随所に描かれていた。きっと門井さんは、フーコーが好きに違いない。一般的な時代小説とは一風変わった、現代思想的な着想で描き込んだところに、本書のエッセンスが詰まっているものと思う。

    0
    投稿日: 2021.08.23
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    父・政次朗からの視点で描いた宮沢賢治。 病床の息子を看病し、苦心しつつも仕送りをする優しい父親らしい一面、稼業や宗教を巡る対立、小学校は優秀な成績で卒業しても優等生とはいかず、所々でつまずきがありうまくいかない賢治の人生が読みやすく書かれていて良かったです。 宮沢賢治のみでなく、宮沢家の家族愛も感じた。

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    投稿日: 2021.07.04
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    宮沢賢治を父親から描きだすという視点が興味深かったので読んで見た。何という溺愛か、息子の看病に駆けつける父親はこの時代には相当珍しかっただろうが、とにかく父親の中の父親である姿に笑ってしまった。

    0
    投稿日: 2021.05.07
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    数々の名作を生み出した宮沢賢治の人生を父親の目線から書かれているという斬新さ。父でありすぎる、親バカでありすぎる父親がそんな自分でいいのかと葛藤しながらも結局最後まで親バカである自分に逆らえない様が親子の愛の尊さを実感させてくれた。父なくして子あらず、宮沢賢治の傑作たちは父親がいてこそのものであったとこの本を読んで思う。父が改宗をしようかと心に決める最後のシーンではその親バカぶりの極みに少し微笑んでしまった。

    0
    投稿日: 2021.04.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    賢治を溺愛する父・政次郎のお話。 賢治の内面にはあまり触れることなく、 常に父からの視線のみで賢治が描かれているので 読者の自分も政次郎の気持ちにシンクロしてしまう。 なんて我儘で甘えったれで計算高く、勉強は出来ても人間的に不出来な息子なんだと。 それでも突き放すことなく手厚く援助するバカ親政次郎。 しかし結核で苦しむ37歳の息子の胸に手を当て子守唄を歌う父の姿は神々しくも感じられた。

    0
    投稿日: 2021.04.10
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    父でありすぎるという言葉がしっくりくるお話でした。厳格な父であろうとして、でも息子に甘くて。そんな人間らしさが好きと思える話でした。 読んでよかった、満足です。

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    投稿日: 2021.03.14
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    貸していただいた本。 おそらく自分では手にしなかっただろうと思います。 名前は知っていた作家さんの伝記物語。それも父親目線。 男親の気持ちって想像したこともなかったです。

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    投稿日: 2021.02.28
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    明治の時代にこんなにも子どもを溺愛し過保護に育てたお父さんがいたんだと、読み始めたら夢中になって読めました。 宮沢賢治の作品は学校の頃の授業で触れたくらいで、きちんと読んだことがないのでこれを機に読みたいと思いました。

    0
    投稿日: 2021.02.23
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    第158回直木賞受賞作。家業の質店、浄土真宗信仰を嫌って、法華経信仰、高等農林学校進学などいつも反抗する賢治。父政次郎は厳しく接し壁となろうとするもいつも心配で金銭的援助をしてしまう。今も愛される世界はこの裕福な家があってこそ生まれたようです。

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    投稿日: 2021.02.18
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    宮沢賢治の父親政次郎の視点で宮沢家を描くことによって,父親という存在の意義の一端を極めて普遍的に提示する.亡くなった後に,その偉業が認められるケースは数あれど,偉業をなしたのに世に出ることなく埋もれさられていくケースが一体どれだけあるのか,これは偏に残された家族に依存する.その点でも,政次郎は一人の人間として賢治の才能を,そして妹トシやその他の兄弟達の才能を強く認めていたのだと胸を熱くする.

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    投稿日: 2021.01.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    父から見た、宮沢賢治の物語。 読むと、偉人宮沢賢治がとても身近に感じられる。そして、彼の作品を違う目線で読めそうな気がする。賢治がどうしようもなく自由奔放な息子だったようだけれど、あの時代は厳格でなければならない父親が、とても愛情深く子どもたちのことが大好きでなんとか力になろうと奔走したり悶々とするところが可愛かった。良くも悪くも宮沢賢治という人がとても身近に感じられ、強い親子愛が美しい傑作だと感じた。直木賞受賞作品。

    0
    投稿日: 2020.12.11
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    一気に読んでしまった。お父さん、強くも脆く、でも深い愛情で家族を、賢治を支えている。丁寧で幸せな物語でした。

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    投稿日: 2020.11.14
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    宮沢賢治の童話は大好きだ。 造語に惹かれる。 でも彼の家族については妹の他は考えたことがなかった。 父親のこんなにも大きな愛で支えられていたとは。 賢治をめぐる人たちを活写していて飽きさせない。 門井慶喜はすごいなあ。 「家康、江戸を建てる」も面白かった。 先日岩木山をゆっくり見てきた。 花巻からの雄大な風景 賢治の童話が一層好きになった ≪ 父の愛 厳しく甘く 花開く ≫

    9
    投稿日: 2020.11.10
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    ーお前は父親過ぎる 作中のこの言葉が全て物語っている。全編とおして、一人で生きていけるようにという思いに、話が進むにつれて、この子らしく生きていけるようにという思いが深まっていく。 基本的に父親目線で進む話のなかで、賢治目線で描かれる父親の存在が好き。

    0
    投稿日: 2020.10.27
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    あたたかな父が悩むさまに安心と信頼を知る 明治大正昭和の時代に、素直な想いを言動に移して子を育てる父がいた。 父は時代錯誤な言動であることに悩みながらも、子や周囲はその愛に助けられ、安心し、信頼関係を築いていく。 そんな姿は、現代でもそのまま父親の見本となる。 率直な気持ちと言動は、私がまるで子として育てられたように私に染み込んできた。 私もまた子にこうしてやりたいと、あたたかい気持ちにさせてくれた。

    0
    投稿日: 2020.10.21
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    宮沢賢治の生涯を、対立と愛情が相半ばする父・政次郎の視点から描く物語。 ここで描かれる宮沢賢治は、自分の夢想に金を無心し、構って欲しがりのモラトリアムで、勤勉優秀な商人であり明治の気骨も持った父・政次郎はそれに対して苛立ちながらも慈愛が勝って為す術がない。なんだか今風だな。 こういう本を読むと、最早終わってしまった父と私のことや、どこで間違えたのかと自問する私と息子たちのことを考えてしまうのだけど、この本においてはそういうことに苛まされることがなかった。 ということは、そういう視点ではあまり私の感興をそそるところはなかったということなんだな、残念ながら。 サクサク読めて、知ってるつもりだった宮沢賢治の生涯についても改めて知れたので、まあ、そこは良かった。

    7
    投稿日: 2020.10.15
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    父の話だった 確かに 時代を思えばちょっと変わっている それとも私が父を知らないからか・・・ あれほどまでに愛せる 父は偉大なり

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    投稿日: 2020.10.05
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    尖っていない、普通の善良な人間が暖かく書かれている。父と息子の関係は、普通はこんな感じには、まず見えないのだが。。

    1
    投稿日: 2020.09.10
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    子育てはなかなか親の期待通りにはいかないもの。この時代にあって、対立はありながらも、理解のある父の愛情があったからこそ宮沢賢治の作品があるのだと思う。翻弄され大変な思いをしながらも、存分に宮沢賢治と向き合ったからこその充実感も感じられた。とても読みやすく、長くても起伏に飛んだストーリーで飽きずに読めました。

    0
    投稿日: 2020.09.05
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    宮沢賢治の作品を読んでいなくても大丈夫。 主人公は賢治の父(政次郎)であり、詳しい心理描写に読み手が感情移入しやすい。 対して、賢治の心理描写は殆どないため、その言動から心情を推し量るしかない。この手法が上手く作用して父子のすれ違う感情の「もどかしさ」に引き込まれてしまった。 後半から両者に変化が出てくると、テーマであろう『親子関係』(特に父子関係)が、万人共通であることに気付かされ感動がドーンと最後まで続いた。 読んでよかったと思える本です。いやぁ〜本って本当にいいですねー。(水野晴郎風に)←古すぎ!

    3
    投稿日: 2020.09.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    賢治の妹トシは、薄幸の人のイメージだった。ここでのトシは若くして亡くなったが、それまでは活発で明晰、むしろ活動的な人物だ。 同様に宮沢賢治を単に夭折の童話作家としか思っていなかった。父親に迷惑をかけ続け、紆余曲折を経ての作品群。読んでみよう。

    0
    投稿日: 2020.08.24
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    ページ数を感じさせない面白さでした。宮澤賢治の父の視線というところが終始飽きさせない仕掛けだったと思います。

    0
    投稿日: 2020.08.19
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    2020/8/10 読了 たまたま目に入り、読み始めた。 出たときに、読んでおきたかった。宮沢賢治は、注文の多い料理店しか読んだことがなかったけど、こんな人生を歩んだ人が書いた童話をもっと読みたいなと思った。父の愛情の深さが、またいい。自分に子ができたら、こんな親になりたい

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    投稿日: 2020.08.10
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    明治、大正時代の父や家族の在り方を あらためて思い知ったという感じかな この時代 宮沢家のような金持ちの家では 家長の存在が絶対的で 口のききかたや食事の席順まできっちり決まっている 賢治の父は 子どもを抱いたりあやしたりしたいのに 家長の尊厳を守るためグッと我慢している が、7歳の賢治が病気になった時 ついに「愛情を我慢できない。不介入に耐えられない」 と、病院に泊まり込んで看病する このあたりが切ないねえ その後も 手を差し伸べたい、甘やかしてはいけない 意志を尊重したい、世の中そんなに甘くない 常に葛藤しながら 家長として家も守らなくてはいけない あの宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の陰には 父のこんな苦悩があったとは… そして 「雨ニモマケズ」は何故カタカナなのかを知る

    1
    投稿日: 2020.08.07
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    賢治 妹トシが その時そのときに自分を精一杯出した様子 それにホトホト困り果てながら 楽しむこともできた父 政次郎の様子 どちらも楽しい。宮沢作品の哀しさの奥にある生命の煌きをこれからも一層味わわせてくれる作品だと思いました。

    0
    投稿日: 2020.08.02
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    主に作品でしか知らない宮沢賢治をその父親の目を通して描いた、直木賞受賞作。 賢治とともに、彼の父親の物語でもある。 命の恩人であり、保護者であり、金主であり、貢献者であり、ほぼ絶対者であった父親。 厳格であり、それでいて妙に隙だらけであり、誠に憎めない父親像を、著者は提示した。 学業成績は抜群であるが、製飴工場をつくると言い出したり、人造宝石にうつつを抜かしたり、あるいは宗教にのめり込んだりと、生活力のまるでない賢治を、父親はそれでもひたすら支える。 ここまで、子どものために尽くした父親も稀ではないか。 作家としての賢治も、妹トシとともに父親の存在抜きには語れない。 宮沢賢治の作品を、また読んでみたくなる。

    14
    投稿日: 2020.07.29
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    宮沢賢治という人が今ひとつ理解できないまま終わってしまった。 優等生からの蹉跌。親のすねを齧りながら信仰に身を捧げ、野心ばかり大きい典型的なダメ男。そこから後世に名を残す作家となるまでには最愛の妹の助言や死、そして何より偉大な父への複雑な思いが背景としてあったのだろう。が、父の視点がメイン(タイトルからして当然なのだが)なせいか、賢治の心の動きや成長に寄り添って読むことはできず、物足りなさを感じた。 その代わり父が生き生きと描かれている。一家の主人であり、威厳ある「明治の父」を体現しようと心を砕きつつも、堪えられない親バカぶりが何とも愛らしい。この人の大きな愛と包容力が結果的に賢治という偉大な作家を生んだことには疑いようもない。時代は違えど、子の健康や行く末に気を揉む気持ちは普遍的で、深く共感することができた。

    0
    投稿日: 2020.07.25
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    直木賞受賞作ということで手に取りました。 宮沢賢治の父からの目線から描かれた賢治のことが 描かれているというので、もしかしたら純文学みたいに 少しお堅くて読みずらい文体かと思っていました。 けれど読み出してみたら岩手弁などの方言や昔の言葉は あるものの、その他は普段と変わらない文体だったので 読みやすかったので良かったです。 この作品を読むまでは殆ど宮沢賢治という細かい人物像は知らず、 作家で偉大な人というイメージだったので、 きっと厳格で人で何をしても優秀で完璧な人だろうと 想像していました。 けれどこの作品を読んだらその想像を遥かに超えて 意外と人間らしくて少し親近感がわきました。 この時代の大人の人達と比べると少し世間離れした ような所もありますがそれが何とも 微笑ましいとまで思えてしまいました。 父親の視線からいつも温かく見守られていて 小さい頃から長男を育てるということで大事に育てられて いるということがよくうかがえました。 父親が賢治に対しでだけはとても甘く育てているのが 分かります。 それに対して父親もダメだと分かりつつも、 賢治の言う通りにしてあげてしまうのが何とも憎めないです。 理解のある父になりたいのか、 息子の壁になりたいのかと悩んでいたり、 いつまで自分はそんなに強い人間ではないのに、 強く見せる義務にしたがっているだけのだと 誰かに訴えたかった。 などと父親としての自覚も自分では重々に心得ているのに、 甘くなってしまうのは父親の幼少の頃の夢などが 重なったり、賢治の身体が弱かったりとした要因も あるのだと思えました。 けれどいくら賢治に甘いとか優秀ではないとか描かれていますが、 この時代の一般の人と比べてみたら兄弟共に それぞれ素晴らしい功績があり、恵まれた仕事にもついているので 教育の仕方が悪いとは思えませんでした。 むしろ子供たちの事をよく観察してその子たちに 合ったのびのびとした教育がされたこそ良かったのかと思います。 それにしても賢治の妹トシに対する愛情は兄妹の感情とは また違ったようにも見えて、それが将来を決める 作家への道への道しるべとなって凄いパワーだと思いました。 トシとの別れは本当に悲しくて読んでいるのが辛く感涙します。 今の時代の父親とはとても違いますが、 子供たちを温かく見守りながら、 自分も父親として手探りをしながら成長して していっているのでこうゆう父親像が理想だとも思うので、 現在父親になっている方、これから父親になろうとしている方など が読むと参考になるかとも思いました。 宮沢賢治の作品はあまり読んだことが無いですが、 「銀河鉄道の夜」や「注文のない料理店、 特に「雨にもマケズ」の作品の生まれ方を知ったことに よってとても興味がわきこれをきっかけに一度じっくりと読んでみたいと思いました。 また、門井さんの作品もこの作品でとても読みやすく 描写が細かく、特に心理描写が細かく描かれていて 温かみを感じたので他の作品を読んでみたいです。 この作品を読んで宮沢賢治についてがらりとイメージが 変わり本当に読んで良かった作品でした。

    0
    投稿日: 2020.07.11
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    のめり込んで読んでるとそこだけに集中出来ていいよね。無。 多分月並みな感想だけど宮沢賢治像に奥行きが出た。 育ちや親子関係には同感するところも多く。 恵まれてても苦労はするし広く読まれるようなお話や詩を書けるんだなあ。 しかし自分の親世代以前に生まれていたら、毎日ちゃぶ台ひっくり返すなり障子破るなりしたくなるだろうな…

    0
    投稿日: 2020.07.05
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    宮沢賢治の父の視点を中心に、賢治の生涯を描いた作品。 日本の父親は、賢治の父に共感できるのか? 母性社会でありながら、社会システムによって「父性」を確立している日本独特の家族構造が垣間見えた気がした。 臨場感あふれるタッチで、読者も宮沢家の中に招き入れた作者の技量は素晴らしい。 実在の人物を題材に物語を作ることは、その人物の印象を壊さぬよう、史実と照らし合わせて描かねばならぬため、非常に難しいものだと思う。それが近い時代の人物であればあるほどに。 この物語における賢治は、主に父の視点を通して描かれていることもあり、核に迫りづらかったのが残念。 追記 どうしても拭いきれない違和感は、時代考証不足ではないかと推察 現代の父親が宮沢賢治の父だったら、というライトノベルのような作品

    0
    投稿日: 2020.07.03
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     宮沢賢治の作品は教科書にも音読テキストにもよく使われている。「どっどど どどうど どどうど どどう」ーー新任教師だった20代当時の私を大いに悩ませた、風の又三郎の冒頭部分。自分が母となり子が成人した今、この本を読み終わって、また違った「どっどど」を奏でられそうな気がする。  賢治の父に焦点を当てて物語が進む。そこにあるのは、明治維新から大正デモクラシーに至る激動の世界で家族を守る父の姿であると同時に、本音では子どもが可愛くて仕方がないパパの姿でもある。家業を継がず行く末が案じられる賢治との精神的攻防が特に面白い。そして、優しい母と聡明な妹弟たち。賢治が詩や童話を書くことによって、たまったマグマが放出されるように解放されていったのは、この家族がいたからこそだ。

    11
    投稿日: 2020.06.29
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    宮沢賢治がいい年してお父さんにお金貰ってたりでダメダメなのが意外だった。 お父さんは昔の厳しいお父さんだけど、賢治には甘く家族思いの人だなと思った。 最後、死んだら息子に会いたいから改宗しようかなと言う所が癒された。 妹のトシも文才があつたようだから、いつか機会があったら読みたい。

    6
    投稿日: 2020.06.27
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    あとがきにもあるように、大作家の父の物語ではなく、むしろとっても現代的な父親の物語。 幼い頃は、神童でどんな立派な跡取りになるかと思いきや、頭でっかちの金の苦労のないボンボンに成長。あぁ、どうして・・・と思いながらも、自分の選んだ道でなんとか自活してくれればと願い、なかばあきらめながら大人になった息子を見守る(いうか、今も昔も、見守るしかできないものかも) 。そのため息の小さな音が聞こえてきそう。 賢治のすぐ下の妹との別れの場面が、とりわけ印象的でした。その悲しみを文学に昇華させてしまう作家・賢治の姿を見て、娘の死を汚されたように感じる父としての思いと、時に冷酷なほどに作家としての道を歩もうとする息子への愛が、同時に湧き上がってくるところが圧巻でした。 それにしても、宮沢賢治の作品は、独特で、似たジャンルのものがないように思います。様々な作品でもモチーフになっている銀河鉄道の夜を、また読んでみたくなりました。 多くの兄弟のうち、上の二人(長女さんは相当の才媛だったのですね)以外は長寿だったというのも初めて知りました。

    1
    投稿日: 2020.06.26
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    直木賞を取った?とかで平積みになっていたので手に取ってみました。宮沢賢治の家族、大変だったんだなぁ… 子供なんてそんなものなのかもしれないけど、親に同情してしまう(笑) とはいえ結構この構図は普遍的なものなのかもしれないな、とも思いました。 親の期待を一身に受けた長男と、それにこたえたくてもこたえられなくて悩む子供とか、あまり目にかけてもらえなくて僻む下の子とか軽視された女の子とか。男性にとって男親ってのはナントモ複雑な存在なのかなぁ、なんて思いました。超えたい、見返したい、感謝したい、でも反発してしまう。家族関係って難しい。 今の世の中は男親も育児に普通に参加することが当たり前になって良かったなぁと思いました。やっぱりコミュニケーションは大事ですよねぇ。

    0
    投稿日: 2020.06.25
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    解説にもあった通り、現代にも通じる父親の葛藤がそこにある。 「雨ニモマケズ」、「銀河鉄道の夜」の本文が出てくる度に、感動・興奮!!

    2
    投稿日: 2020.06.19
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    宮沢賢治の文筆家としての最大の功績は 『銀河鉄道』 という『言葉』を産み出した事ではないでしょうか? これ程、人をワクワクさせてロマンチックな言葉があるでしょうか? イーハトーブ、クラムボン、雨にも負けず・・・ 賢治が産み出したどんな言葉よりも作品の題名に付けられた『銀河鉄道』という言葉が私は大好きです! 本作品はそんな賢治の父親 宮沢政次郎が主人公の物語。 賢治の父親として、宮沢家の家長として、質屋の旦那として様々な葛藤の中、明治から昭和という時代を生きた親子の物語! 是非ぜひお読み下さい!

    9
    投稿日: 2020.06.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    宮沢賢治の父親がこんなにも子思いで、親ばかとは。それに対して宮沢賢治はこんなにも我儘で穀潰しとは。もう二度と彼の童話や「雨にもマケズ・・・」の詩を同じように味わえないかも。でもこんな父がいたからあの銀河鉄道の夜が生まれたと納得もできる。

    4
    投稿日: 2020.06.09
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    宮沢賢治の父親を中心とした物語である。 やはり話の後半では賢治が結核で亡くなる流れではあるが、全体としてほっこりとする暖かな雰囲気がある作品だ。 父親の人間臭く、温かな性格がそうさせている要因だ。 宮沢賢治と言う人物や彼の作品は、宮沢家の人々あってのものであったと思う。 特に賢治の父親は大変だったんだと実感する話だ。

    7
    投稿日: 2020.06.09
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    37歳で病没した夭折の詩人、宮澤賢治の生涯を父親の立場から描いた作品にして158回直木賞受賞作品。これだけの有名人であり書も残された人。またこの不幸な人生を淡々とまた、時にはユーモラスに描かれて感動した。また、息子や娘に先に逝かれてしまう父親の無念、男尊女卑の時代いろいろと感じるところがあった。

    0
    投稿日: 2020.06.04
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    賢治の父政次郎を中心とした家族の中の宮沢賢治。これだけの愛情を注がれて成長し模索する賢治。これまでの漠とした宮沢賢治のイメージからはなれより身近な感じがした。妹を失う賢治、子を失う親。辛いことがたくさんあったであろう父親の晩年を思う。

    2
    投稿日: 2020.05.29
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    やられた…。 声を押し殺しながらすすり泣いた。 私は父にまんまとやられたのだ。 私の父はかなりの読書家だ。 父が読んだものは全て私におりてきて、読みたい本は積読に、興味のないものは売る箱に分ける。 父からこれを読んだ方が良いと直々に言われることはないのだが、本書に限っては読んで欲しそうだった。 仮に言われなくても、宮沢賢治なるものが目に入り、直木賞受賞作の帯を見たら、私はすぐさま積読も飛ばして読むだろう。 そして実際に読み終えたのだ。 本書は宮沢賢治の父親の目線で心の声も含めて語り口調で執筆されている。 賢治の家族構成派というと… 父 政次郎 母 イチ 長男 賢治 長女 トシ 次女 シゲ 次男 清六 三女 クニ と、なんとも大家族であり、その船の舵を切る政次郎は大変極まりない。 中でも、賢治に対する愛は深く、後継(賢治の家は質屋だった)を守る為に、幼い賢治が赤痢で入院すれば医者の反対を押し切って自ら看病し、自分も病気になるという、なんとも過保護な面があった。 当時、家の家長がこの様な行動に出るのは異例らしい。 かと言って過保護な面ばかりではなく、厳格な父親として描かれており、そんな政次郎を本書は「決断と反省の往復である」と綴っている。 読み進める度、政次郎と賢治の関係は自分と父に似ていると嫌でも思わされた。 (父は私に何を伝えたいのだろう…) 本書では何故賢治が童話を書くようになったのかも読み所のひとつであり、宮沢賢治の絵本を読むのが好きな私にとっては色んな作品の制作秘話が知れて、非常に興味深い作品だった。 そして再びまた父のことを思う。 要するに政次郎が賢治を思う気持ちと同様に、私のことを思っているということなのだろうか…? とんだ過保護な親だ。 そして問題だらけの娘は父にプレゼントする本を探しに行こうと決める。 今度はそっちが泣く番よ、と。

    10
    投稿日: 2020.05.28
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    宮沢賢治の父、政次郎と家族の物語。 教科書にも掲載され誰もが知っているが、方言が強く、解説を読んでもピンとこなかった宮沢賢治の詩や童話。文中にも出てくる風の又三郎、永訣の朝、雨ニモマケズ、銀河鉄道の夜など、その背景に父の強い愛情や妹の死、賢治の生活、病気があることに思い巡らしながら改めて読んでみたい。子供の時とは違った気付きがありそう。

    0
    投稿日: 2020.05.25
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    文学への目覚め、なんて言うと大仰だけど、自分が初めて「文学」を意識して読んだのは、やはり宮沢賢治だった。ということを、思い出した。 母(父ではなくて)から譲り受けた角川文庫版『セロ弾きのゴーシュ』は、日焼けもひどくて、カバーもぼろぼろで、手荒に扱ったら破れてしまいそうだけれど、実家を出て何度か引越しを繰り返した今でも本棚の中に並んでいる。奥付を見返してみたら、発行は自分が生まれるよりもだいぶ前の年だった。 ほかの、例えば漱石やなんかの文庫本は、読み返してある程度ぼろぼろになったら、処分したり買い替えたりしてきた。 けれど、そのゴーシュだけは、いくらぼろぼろになってもなんだか手放す気になれなくて今も居る。きっと、これからもそうなんだろう。もう絶版になってしまって、おそらく二度と手に入らないから、というのもあるけれど。 自分の子どもにも、きっと宮沢賢治を読み聞かせてやろうと思う。 そうして、この作家が、どんなふうに他人を愛して、他人から愛されたのか、どんな気持ちでこの物語を書いたのか。 それから、どんな気持ちで今、自分がこの物語を読み伝えていこうとしているのか、ということも。

    0
    投稿日: 2020.05.24
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    「お前は、父でありすぎる」 宮沢家の家族愛があってこそ、宮沢賢治が生み出されたんだと、そう感じた一冊でした。 もう、最初からずーと、ツンデレの物語だったんですけど、それ以上に、時代を考えるとこんな家族の在り方は、もの凄く奇跡の1つになるんだろうなー、と。 「だからお父さんはぼくをつれてカムパネルラのうちへもつれていったよ。あのころはよかったなぁ。」 ――銀河鉄道の夜 銀河鉄道の父、を読んで、銀河鉄道の夜、を読むと。 心を鷲掴みにされる。 その二重の意味で、すばらしい本でした!

    0
    投稿日: 2020.05.23
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    直木賞受賞作。 宮沢賢治の父は困ったちゃんの息子にとても過保護。今では十分にあり得るが、この時代には珍しい。私も父親になったからこそよくわかる。やっぱり、我が子はかわいいのだ。

    3
    投稿日: 2020.05.21
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    父親からの視点の宮沢賢治として 宮沢賢治の真実と 併せて読んだ 息づく人物像 が ノンフィクションで こんなにも素敵に物語となっている 最高

    1
    投稿日: 2020.05.15
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    門井慶喜『銀河鉄道の父』講談社文庫。 第158回直木賞受賞作の文庫化。大傑作。岩手県民が敬愛する岩手の偉人・宮沢賢治。岩手県民はもとより日本国民の殆どが彼の遺した数々の傑作を知っていると思う。しかし、賢治を育てた父親がどんな人物だったかを知る人は岩手県民でさえ少ないだろう。宮沢家の厳格で時に親馬鹿な父親・政次郎が見つめてきた宮沢賢治とは……そして、賢治の実像は……如何にして傑作童話を書くに至ったのか…… 本作では宮沢賢治という人物は父親を始めとする家族の愛情を受けながらも、家業の質屋を継ぐには頼りない浪費家の秀才として描かれている。賢治も所詮、花巻の片田舎に住む市井のひとりに過ぎず、完璧な人間ではないのだ。あの手この手で何度も父親に金子を無尽する辺りの描写が面白い。人生をさ迷ううちに詩人・童話作家としての道を見出だした賢治は…… やがて賢治に訪れる僅か37年余りの人生の終焉。その時、父親の政次郎は…… 雨ニモマケズ 風ニモマケズ …… 松尾芭蕉の辿った奥の細道や弁慶が座った岩とか持ち上げた石とか、日本全国の至る所に彼らの足跡があるように岩手県内の至る所に宮沢賢治の足跡がある。花巻近辺は言わずもなが、一関市の東山にある石砕工場、紫波に現存する親友の生家など、様々な場所に賢治の足跡があり、こんな所にも賢治は足を運んだのかと驚かされる。 本体価格920円 ★★★★★

    37
    投稿日: 2020.04.28
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    直木賞受賞作の文庫化ってことで入手。タイトルに惹かれる部分もあり。父視点ではあるけど、あくまで主人公は宮沢賢治。かつて、伝記みたいなものを読んだ気もするけど、殆どその人生については知識ゼロ。そっか、こんなエキセントリック少年だったのね、みたいな。そして、当然彼のことは物語作家として記憶している訳だけど、本作における大部分を、創作活動以外の描写にあてられているのも興味深い。リーダビリティの高い名作群が、どんな背景から織りなされたのか。それが理解されるにつけ、もう一度読み返したく思えたりも。そんな一作でした。

    0
    投稿日: 2020.04.28
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    父から見た息子。あるいは息子から見た父。この二つの間に横たわる感情や思い。それは愛や尊敬、感謝などといった優しいものだけでは決してありません。 同性であるがゆえの対抗心、自分の道を反対し阻もうとする壁、育ててもらった負い目。子にかける期待や親心は時に届かず、もどかしい思いにかられ、子どもはただ反発するのみ。それでも父は息子を思い、息子は父をどこかで「超えられない」と感じている。父と息子の関係性というのは、愛憎という言葉だけでは言い足りない、複雑なものを孕んでいるように思います。 父親は息子に厳しく接し、必要以上に会話も世話もしない、というのが当たり前だった時代。幼少期の賢治が入院すると知るやいなや、政次郎は周囲の目も気にせず、感染覚悟で賢治の元を訪れ、看病にあたります。 この場面でいつもなかなか話せない鬱憤を晴らすかのように、賢治と話すことを楽しんでる政次郎の描写がいい。悪いこととは思いつつも、賢治が入院して良かった、と頭の片隅で思う政次郎の様子。そこから一気に自分の中で、彼の人物像が固まった気がします。そんな政次郎の様子を、政次郎の父であり賢治の祖父にあたる喜助は『父でありすぎる』と苦言を呈します。 小学校に通う年になり、石や土など自分の興味を見つけていく賢治。そんな賢治ににわか知識を披露して悦に入ったり、賢治に上手く言い含められて高い買い物をする政次郎。この場面が本当に楽しそうなのもまた印象的。釈然としない思いを抱きながらも、鼻歌を唄いながら買い物をする政次郎の様子は、そうした父親の楽しさを描ききっているように思います。 小学校を優秀な成績で卒業し、進学し寮に入ることになる賢治。それを見送る政次郎の場面も秀逸! 自分の手が届かないところに息子が行くのを実感し、思わずなみだする。さらにそのなみだの描写がすごい。"なみだ”という直接的な表現をギリギリまで避け、あくまで身体的な感覚で描写するのです。そして政次郎の気づかずうちに"なみだを流している”ということを、感覚的に表現します。素晴らしい描写ってこういうことをいうのか、と実感しました。 年を重ねるごとに、賢治は父親の政次郎の枠には収まらなくなっていきます。家業である質屋を継ごうとせず、夢物語のような事業や学問の道を志し、また家の宗派も否定し、別の宗派にのめり込んでいく賢治。政次郎は賢治を叱り、なんとか道を軌道修正しようとするも、一方で賢治の社会に相成れない弱さを知っているからか、ついついお金をせがまれれば、それを渡してしまいます。 そんな宮沢家に起こった悲劇。政次郎の娘であり、賢治の妹のトシの死。賢治以上に大きな期待をかけていた娘の死、家族の中で最も賢治の理解者に近かった妹の死。それはまた二人に大きな影響を与え、そして賢治はついに童話『風の又三郎』の執筆に取りかかります。 この執筆の場面もすごかった。父と子の複雑な関係性については先に書きましたが、それを深く感じたのがこの場面を読んでのことでした。なぜ賢治は子どものための物語である童話を書いたのか。ここに到るまでの半生、父への思いから賢治は自問し、その回答に到り、そして憑かれたように『風の又三郎』を書きます。賢治が抱く、父への決して口に出して伝えることのできないある思い。それが転化される描写は圧巻です。 しかし賢治にも病気の魔の手は迫り、政次郎は子どもの頃のように賢治を看病することになり、そして…… 大人になった賢治の看病が、冒頭近くで書かれた賢治の看病シーンとつながり、そして最終章である「銀河鉄道の父」へ。賢治にとってかけがえのない親であり、一方でターニングポイントにおいては、賢治の壁にもなってきた政次郎。そんな彼が語る『雨ニモマケズ』の解釈は、自分にとってはとても新鮮で、賢治をずっと生で見続けた彼だからこその解釈だと思いました。そして『銀河鉄道の夜』に対する思いと、ラストふと政次郎が思いついたこと。これがまた、賢治への思いに溢れているように感じます。 『銀河鉄道の父』は天才作家の宮沢賢治とその父政次郎という、一見特殊な親子象を描いているように思います。でもそこで描かれていたのは、ある意味では普遍的な父の、そして息子の可笑しさと哀しさだったように思います。終始みずみずしく活写された、特別だけど、特別ではない、そんな家族と父子をめぐる小説でした。 第158回直木賞

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    投稿日: 2020.04.26