
総合評価
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powered by ブクログ三国志ときたら『横山光輝』。横山光輝ときたら『魔法使いサリー』という事で漫画三国志はあまり興味のない分野だったので放置プレイ状態でしたが、大好きな司馬さんの作品だけにいつか読まねばと思い読み始めてたらクソ忙しさに上巻読むだけで一ヶ月もかかるという巨大スペクタクルになってしまい漫画でええがなと思ったりもしましたが相変わらず面白いじゃねえかと。 最終的には漢の高祖劉邦が勝ち組なんですが、上巻では項羽の凄さ、人道的残虐さが表れて項羽特集的な感じですね。20万人皆殺しはさすがにビビりましたが、項羽の宿敵秦帝国自体の超法治国家ぶりにもにんともかんともって感じです。始皇帝が起こした秦帝国はやはり創始者が無くなったと同時に崩壊へ向かうという事で、私自信の戒めにもなりましたし、私の会社崩壊?望むところです。かかってこいや~!そしてみんな助けろや~!って感じだそ!キュン! 戦国時代の面白さは日本もそうですけど、まあ、スゴイ人間が出てきますわマジで。この項羽特集では伯父の項梁があってこそなんですが、やはり身内以外のその取り巻きでしょうか。当たり前ですが、歴史上の人物は取り巻きによって左右される事が改めて実感しましたね。あ、私の取り巻きはノーコメンツで…。また司馬さんの彼等漢達の表現が相変わらずで、俺達に何か夢を持たせてしまうような、そして今からでも遅くないもっと豪快に生きて行かなければならないような、そして自分ってなんて小さいんだ(色んな意味で)って思ってしまうので早速今日豪快に茶碗で酒飲んで寝ます。 中巻楽しみだ。
0投稿日: 2011.11.14
powered by ブクログ項羽はなんでもできちゃう大丈夫だったから負けてしまった。 劉邦はなんでもはできなかった。ただ人を見る目と人に担がれる才に長けていた。だから勝てちゃった。
1投稿日: 2011.11.04
powered by ブクログ久々に司馬遼太郎を 「項羽と劉邦」は横山光輝のマンガのものが好きで、それと重ね合わせつつ読んでいた。劉邦、張良、韓信といった人物の描写に、より別の深みが加わっているように思う。韓信と酈食其との心の通わせ方がわりに印象的。「侠」という言葉についてもなかなか面白いと思う。張良の仙人への志向のところなどを読んでいると「泣き虫弱虫諸葛孔明」を思い出したりした。
0投稿日: 2011.09.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
漢創立期の話が気になってて読み始めた。 中国史モノを読んでると、劉邦、項羽、韓信の名前は良く出てくるし、実際に背水の陣や四面楚歌がどんなものだったのか知りたい。未だ上巻なのでその辺りは出てこないが・・ 司馬遼太郎は難しいのではないかと思い遠ざけていたが、どうやら私にも司馬遼太郎を読む時期が訪れたようだ。王道で重厚感もあるが読み応えある。折りに触れて挿入される逸話も面白い。 特に後半の殷王朝に纏わる話で、学者(劉鶚)がたまたま、北京の薬屋で買った竜骨に不思議な文字が刻まれていた・・のが殷の甲骨文字だった・・という謎めいた逸話が一番好きだ。中国都市の何とも言えない妖しげな雰囲気を醸し出しているよう。
0投稿日: 2011.08.04
powered by ブクログ司馬遼太郎はこの何千年も前の中国における大きな時代の動きをなんとダイナミックに、リアルに語っていることか。そもそもの文明の起こりとその発展が、いかにそれぞれの土地柄に帰属するかという考察も面白い。前から世界の都市を旅してまわるにつけ、川や海に面した都市のほうが魅力的に感じると言っているが、それがその川や海のもたらす豊かさに起因すると考えるのは自然であるし、あるいは秦のように計画的に穀物が栽培されていた地域から合理的な統治法が展開されたことも納得できる。もう一つこの本で面白いのは人間の根源的な欲求や原動力と高度に政治的な抗争が巧みに組み合わさって時代が動く様が描かれている点である。人は飢えを恐れ、食を与えてくれるリーダーに従う。集団を統治するトップは往々にして個人の保身や面子を気にして意思決定をくだす。それぞれの次元にそれぞれの理屈があり、それらが絡み合って世の中が動く。何千年も前から何も変わっていない…。
0投稿日: 2011.07.30
powered by ブクログ始皇帝の死後、秦の統率力が弱まり、天下は大乱の様相を呈し始める。そこで立ち上がった項羽と劉邦は、やがて・・・。 授業の穴埋めに、2年生の漢文の授業を取ったところ、題材が「項羽と劉邦」。しかしもともとこの授業、その、あんまり身を入れて受けるつもりがなかったので、じゃあ本で学んどけばいいか、という流れで本書にたどり着いた。 読む動機が不純であったことを、今とても悔やんでおります。 まず長い。始皇帝が秦という国の制度を作るまで、いわば話が項羽と劉邦に移るまでだけでも結構な長さがある。しかも、中国が舞台のせいか、あまり登場人物に感情移入ができない。なので話がなかなか進まず、イライラ。授業では、ストーリーは要点だけを習うので、どんどん先にいってしまい、余計にイライラ。こんな読み方をしてしまい、本当に申し訳ない。と思いつつ、司馬さんの本ってこんなかんじだったっけ?という思いも、一方では少しした。 というのは、あまり登場人物が生き生きして見えなかったからだ。たくさんの人が出てくる上に、舞台背景の説明も中国モノでややこしいので、少々硬い印象を抱き、読みにくかったのである。司馬作品といえば、登場人物の魅力でぐいぐい引っ張る印象があったので、その波がいつまで経っても来ないことに「あれ?」と思ったのだ。 まだまだこの上巻は物語の前書きみたいなもので、面白くなるのはこれからなのだろう。しかしこんな、「授業をサボるため(?)」に読むような読み方をするのは、私の場合物語そのものを楽しめなくなるようなので、ここでひとまずやめます。また、いつか余裕ができたときに、自分のペースで再びチャレンジしようと思う。
0投稿日: 2011.07.29
powered by ブクログ面白い・・・ なんだか今も昔も変わらないね~って思いながら読めます。 今のところ思い入れできそうなのは誰だろう???
0投稿日: 2011.06.29
powered by ブクログ大森さんお勧め。タイプの違う二人のリーダーの戦いが非常に面白いです。リーダーシップの勉強にもなります。
0投稿日: 2011.05.26
powered by ブクログ初司馬遼太郎でしたが、読みやすかったです 間に中国の歴史や風俗など、解りやすく解説されていて、少し賢くなれたような気がします(笑) 人の上に立つ人はに、確かに戦や政治の能力も必要だけれど、人に好かれたり受け入れたりする能力の方が大切なのかな と、少し思った 上巻からだけでも、項羽がどのように最後を迎えていくのかが解る感じですね…… それでも項羽が好きだから仕方が無い
0投稿日: 2011.05.18
powered by ブクログ豪傑2人の対立とおもいきや、劉邦の弱さにびっくり。 その弱い劉邦が、結局は天下を治める・・・、世の中はわからない。 がっかりさせられた劉邦に対し、それらを取り巻く魅力的な武将・客が 活躍し、結果的には天下をとるのだが、彼らの個性が二人の対決を 盛り上げる! この話を読んでいると、項羽と劉邦のどちらが適した上司か?と考えさせられる。ワンマンでつぶれた項羽をみると、やはり人を使うことがいかに大事か と痛感させられる。 まだ私は人を使う歳ではない。今は下っ端として、下っ端なりの準備をしていくだけか・・・。
0投稿日: 2011.05.04
powered by ブクログ中国大陸における項羽と劉邦、二人の英雄による戦いの話。 対極的な二人が面白い。戦争に勝ち続けたが最後に負けた項羽。負け続けたが最後に勝った劉邦。 武の天才、カリスマのあるリーダー、項羽。無能だが人の話を聞く耳を持っていたリーダー、劉邦。 あるべきリーダーを考える上でも興味深い。
0投稿日: 2011.04.17
powered by ブクログ前々から中国史に手を出そう出そうと思いながらようやく(汗 魅力的な殿方像とはなにかしらと改めて考えて本書に手を伸ばしました。まだ読んでる途中ですけど、賦役で遠方に呼びつけておいて間に合わないから死罪ね♪って法家主義ってひでー! ホント、ちうごくの古代は面白いっす(汗 始皇帝の死から時系列には並んでますけど基本的には一章ごとの群像小説って感じで、蘊蓄いっぱいで一ページに幾つも知らない熟語があって辞書ヒキヒキ、読んでます。でも秦の章邯将軍が哀れ過ぎる、、、(泣
0投稿日: 2011.04.16
powered by ブクログ当初、横山光輝作のコミックで「項羽と劉邦」を読み始めた時は、司馬作品を読むつもりはなかった。中国史を活字で読むことに抵抗があったためである。しかし、横山作品を読んでいくうちに、あまりの面白さに「より詳しく読みたい」とハマってしまい横山作品のコミックと並行して司馬作品を読むことにした。 この司馬作品は連載開始が1977年で、1987年連載開始の横山作品よりも10年も前に描かれたものである。よって、日本においても数ある項羽と劉邦本の中でも司馬作品はパイオニアといっていいだろう。本作品は、活字だけに一人一人の登場人物の描写が精緻で奥深い。司馬作品は全3巻しかないにも関わらず、その三分の一である本巻においてはそのほとんどを秦時代末期に割いており、ほとんどが人物描写である。その分、歴史的な事件や戦いは割とサラリと触れるだけであり多少物足りないと感じる点もあった。 私にとっては、初めての日本史以外を舞台とする司馬作品であるが、論調や史観は他作品と同様であり読み易い。坂の上の雲を読んだ時、司馬氏の取材能力には度肝を抜かれたものだが、こんな古代中国を舞台にしてもこれほど緻密な描写が出来るとは、改めて驚かされる。
0投稿日: 2011.03.20
powered by ブクログ中国史は『三国志』(漫画)しか読んだ事がないので馴染みが薄いけど、おもしろく読めた。司馬遼太郎の描く歴史人物は何か一部が非常に突出して優れているが、他が欠落していると言う人物が多い。武勇の項羽VS人徳の劉邦と言った感じです。
0投稿日: 2011.03.18
powered by ブクログ通勤時間が伸びて読書時間ができました。初司馬遼太郎です。劉邦が皇帝になると聞くと、どうにもこうにも劉邦のサクセスストーリーとして私の視線は偏ります。劉邦とその子分たちのやりとりが好きです。しかし人の趨勢が大河に押し流されるように目まぐるしく変わり時にあっけないことに冷えるような心地もします。司馬史観の影響力は絶大ですね。怖い怖い。
0投稿日: 2010.12.04
powered by ブクログ司馬遼太郎氏の筆力と豊富な知識量があっての名作…!と言いたいんですが、やはり素材(元ネタ)の魅力があっての面白さであると感じました。 個々のエピソードだけでも十分面白い。 劉邦という人物の魅力がはかりしれない… ホントにごろつき同然のやくざ者で、ずば抜けて頭が良いとか武力があるというわけでもなく、むしろ空っぽだからこその無尽蔵の器があって、だからこそ自分を持て余し気味の才能ある人物たちを従えることが出来たんだろうか。
0投稿日: 2010.10.05
powered by ブクログ項羽と劉邦に興味があれば司馬遼太郎のこの本を読んでみることをお勧めします。垓下の歌とか虞美人と項羽の話を教科書で読んで興味を持ったなんて方にも、中国でも日本でも使われる故事成語も多く生まれた楚漢戦争に興味がわいたという方にも読んでもらいたいなぁ
0投稿日: 2010.08.30
powered by ブクログ初めて読んだ司馬遼太郎の本。 高校生の時に父の本棚から拝借して読みました。 あんまり面白いので夜通し読んで、気が付いたら朝。 なんて思い出があります。 「四面楚歌」の元になったお話のくだりは涙なくして読めませんでした。
0投稿日: 2010.07.31
powered by ブクログ中国で尊敬される上司は、お酒が飲めて鷹揚なことだと聞いたことがあります。 そんな話。 今考えると、どう考えても仕事の出来るのは項羽なのですが、成功するのはなんとなく愛される劉邦なのです。 しかし、司馬遼太郎は近藤局長もそんな人物に描いていたし、単純にこの人の仕事観に基づくリーダー像な気もします。 男は結局、愛嬌?
0投稿日: 2010.07.31
powered by ブクログ小説というのは似顔絵を文字にしたものだと思いました。特徴を強調して個人を浮き上がらせている、という点において。 司馬さんの本らしく、人物描写は非常に緻密で、内容にも引き込まれましたが、いかんせん知識不足により中国の地名が分からず、背景説明されてもなかなか頭に入ってこないのが難点でした。勉強すればいいのでしょうが、日本を舞台にした話のほうが好きです。 自分の性格に照らし合わせて考えると、リーダーになるなら劉邦型を目指すべきだな。
0投稿日: 2010.05.23
powered by ブクログ文句無しに面白い。 広大な中国大陸で天下を賭けた死闘が繰り広げられる。 圧巻の描写、勇壮なる戦士たち! 面白い、ヒマ潰し所の騒ぎではない。 傑作!
0投稿日: 2010.05.23
powered by ブクログ★2010年22冊目読了 『項羽と劉邦(上)』 司馬遼太郎 評価B 秦帝国による法に基づく統治が、その苛烈な専制政治の反動として、陳勝.呉広の乱を招き、その鎮圧の隙に、南の楚から項羽、劉邦がのし上がっていく過程を描く上巻である。 司馬遼太郎らしく、丁寧にその描写がなされるが、北方の作品を読んできた私にとっては、ややスピード感に欠ける印象を受ける。しかし、これは時代のなせるワザであって、作者の問題ではないであろう。 同じ系列で、宮城谷昌光が挙げられるが、物語性という点では、同じレベルという印象。下巻での展開に期待をしたい。
0投稿日: 2010.05.05
powered by ブクログ才能の項羽と、器量の劉邦。当時の対極的なふたりがどう考え、どう生きてきたのか。当時の世界観に浸りながら、自身と重ね合わせて読んでみると、非常に学ぶところが多い一冊である。
0投稿日: 2010.04.30
powered by ブクログ始皇帝の死を隠匿して帰るシーンは本当にリアルで、確かな史実の裏付けと想像力の素晴らしさを感じました!
0投稿日: 2010.04.25
powered by ブクログ司馬先生の本は歴史モノの中でも格段に読みやすくて好きです。 「張良みたいな軍師好きだろう」と思って読み始めたら蕭何のかっこよさにすっかりやられました。なんというグッド丞相。
0投稿日: 2010.03.14
powered by ブクログ自分は、中国史が好きなのですが、その中でも楚漢戦争の時代が一番好きです。再確認という意味合いで読んでみました。
0投稿日: 2010.02.05
powered by ブクログ歴史小説ってこんなに面白かったんだと認識。 司馬遼太郎の作品はさすがとしか言いようがない。 続きも読みます。
0投稿日: 2010.01.09
powered by ブクログ項羽と劉邦に限らず司馬遼太郎の作品は、涙が出るほど面白い(;ω;) 小説なのに、漫画読んでるみたいに吸い込まれる。 項羽に追い詰められたときの劉邦の慌てふためきようは、 どことなく愛嬌があって、おもしろい。 追い詰められたときの「明るさ」って重要だと感じさせられる。
0投稿日: 2010.01.04
powered by ブクログ覇王別姫、法三章、四面楚歌、鴻門の会…漢詩でおなじみの色んな文言が詰まっている、かの英雄伝ですね。 まったくキャラの違う二人の男、項羽と劉邦の戦いの物語です。 虞美人…登場は短かったけど、透き通ってきれいだったな。
0投稿日: 2009.12.20
powered by ブクログ司馬遼太郎の古代中国を舞台にした歴史小説。中国を統一した秦の始皇帝が亡くなり、漢帝国として再度統一されるまでの物語。 一つひとつの戦争には強いが最後には負けてしまう項羽、反対に戦争には弱いが最後には勝ってしまう劉邦の二人の人物が好対照に描かれています。 項羽が四面楚歌の状況で虞美人に送った「垓下の歌」は項羽の愛馬「騅」の名を現代にも残しました。 新潮文庫全3巻ですが、読み進むうちに面白くなるので、一気に最後までいってしまいます。 この本はビジネスの世界では人材をどう活用するか、あるいは活用しないかということにもつながるものですが、そういう固いことを考えず、2200年以上前の中国を舞台にしたエンターテインメントとして読んでいけばよいと思います。
0投稿日: 2009.11.08
powered by ブクログずっと読みたいと思ってはいるものの… 『さらば、わが愛』も、項羽と虞姫のお話だったし。 読み始めてますが、面白いです。
0投稿日: 2009.10.16
powered by ブクログ司馬遼太郎さんの作品には学ばせてもらっていますが、今回もとてもためになった。 項羽と劉邦。 生まれ、バックグランドから年齢や性格までありとあらゆる面でタイプが真逆な二人の対決。 項羽は本当に武将らしい武将と言う感じで、その強さや男気はものすごいものがあるから、項羽こそ、普通に想像されやすい大王。 その項羽と比べるとほとんどの部分で秀でているものがない劉邦の長所は、徳、愛嬌のみで、それらのおかげで多くの優秀な士に慕われ大きな勢力を作っていく様が本当に面白い。 時代が時代だったというのもあるのだろうが、人の心をつかむ為に必要なのは必ずしも能力ではなく、愛嬌であったり、その人のために自分の能力を駆使したいと思わせる力なのかもしれない。 これは最近の、例えば企業などの組織にもいえることなのかも知れないけど、人間は本来、自分の能力を十分に発揮して生きていきたいもの。個人主義的になってきたとか、自己実現がどうとかいうけれど元来そういう欲求はみんなあるのかもしれない。そのような欲求をより多くの人に発揮させることが出来るような、人並みはずれた懐の深さや器の大きさを持っていたのが、劉邦の、誰にも負けない強みだったのだろう。 毎度の事ながら説明が多くて読むのが大変ですが、勉強になりました◎
0投稿日: 2009.10.15
powered by ブクログ400年余り続いた漢王朝の樹立者、劉邦。乱世の時代、王朝樹立までの道は険しく、劉邦軍は敗北に次ぐ敗北を重ねた。それでも最後の一線に勝利し、項羽率いる楚を破って天下人となる。自分よりも軍人としては数段優れた項羽というライバルに、劉邦が勝利することができたのはなぜなのか?読みながら「勝つ」とはどういうことか、真の強者とは何か、そんなことを考えた。 劉邦には項羽のような周囲を圧倒する猛々しさはなく、武力では劣っているし、戦略や深謀遠慮の面でも臣下の張良や韓信らに頼りっぱなしである。しかし劉邦には不思議な人徳があった。劉邦はその人徳で張良・韓信・ショウ何をはじめとする才長けた人物を味方につけることができたし、夏侯嬰のように劉邦のためなら命も惜しがらない腹心の部下を持つことができた。また農民あがりの劉邦には農民の心がよくわかったので、兵士たちに村の略奪を禁じた。だから劉邦に征服された土地の人々も、劉邦を王に押し上げる推進力となった。劉邦が最後に勝者となったのは「人を味方につける力」、すなわち人望を有していたからなのだろう。 一方の項羽には圧倒的な武力とカリスマ性があった。司馬さんも項羽のことを度々「天才」と評している。しかし項羽の並外れた資質は独善的な行動や他者に対する猜疑心と背中合わせだった。また無数の者を生きながら抗にするような、手の付けられない残酷な面もあった。項羽のようなリーダーには、周囲の者たちの評価が大きく分かれるだろう。片や項羽の強さを頼もしく感じ、彼についていけば安心だと思う者がいれば、片や項羽の自分以外の者の意見を聞き入れない狭量さに辟易する者、暴れだしたら何をするかわからない激しい気性に怯える者もいただろう。やがて氾増法師というブレーンを失ったように、有能な部下を使いこなすことにかけては劉邦に劣っていた。項羽は彼一人を見れば非常に優れた軍人だったが、彼の率いる軍隊は組織として脆弱さを抱えていた。
0投稿日: 2009.08.08
powered by ブクログ私の古代中国感の原点となる作品。歴史でならった秦の始皇帝が、等身大の人間に…というか、自分と大して変わらない卑小な感情もあた人間に見える。なおかつ、普通の人とは大きく異なった感性であったから、偉大な事業を成し遂げたのも実感できる。 そして劉邦や項羽のような英雄達、張良や陳平などの軍師たち、武勇の将軍も、口舌の徒も、いろいろな人達の雑多なエネルギーが渦巻く、大陸の風を感じられた傑作である。
0投稿日: 2009.07.11
powered by ブクログB.C.3世紀末に秦の始皇帝は中国史上初の統一帝国を創出し戦国時代に終止符を打った。しかし彼の死後、秦の統制力は弱まり、陳勝・呉広の一揆が起こると、天下は再び大乱の時代に入る。 まだまだこれからです。 おもしろいですが、地理が全然わかりません。 秦が衰退し始め、項羽が活躍し始めたので、ここからがおもしろくなりそうな予感。 上巻は序章って感じがします。 P.146 建物の中には、椅子やテーブルはない。この大陸の人々が、土間をつくり、そこに椅子を置いて腰をかけることを始めたのは、一般にははるかに後代の宋初になってからで、この時代には存在せず、劉邦とその同時代人は、のちの日本建築と同様、床を張ってその上にじかに座るという生活様式を共有していた。 P.156 事実であるかどうかよりも、これが事実として噂が広まったことの方が重要であった。 P.299 人の話のどういう場所にユーモアを感ずるかということで、その人間の格調が察せられる、というのが項梁の人間観察のやり方の一つだった。
0投稿日: 2009.06.12
powered by ブクログ天下を取る人望とは何ぞやと。 勝ちを千里の外に決することではわしは張良に及ばない。民を慰撫して補給を途絶えさせず、民を安心させることではわしは蕭何に及ばない。軍を率いて戦いに勝つことではわしは韓信に及ばない。わしはこの三人の英傑を見事に使いこなした。しかし項羽は范増一人すら使いこなせかった。これがわしが天下を取った理由だ。 面白かったです。上中下巻ありますが、ぜひ読んでみて下さい。劉邦かわいかったですw
0投稿日: 2009.04.17
powered by ブクログ私が一番最初に読んだ司馬遼太郎さんの小説。 今まで読んできた小説にはなかった、補給の概念に驚いたのを覚えています。
0投稿日: 2009.04.12
powered by ブクログ前半は劉邦について多く書かれ、項梁(項羽のおじ)と項羽は後半で活躍します。 劉邦は愛嬌があるけれどダメダメで、項羽は激情家のお坊ちゃんといった感じです。
0投稿日: 2009.03.20
powered by ブクログ共に英雄とされて伝説となっている二人だがその性格や生い立ちは天と地ほどにも違う。負けて、負けて、負け続けて、最後に一度だけ勝った劉邦がその後300年続く漢王朝の始祖となったという歴史の現実がとても皮肉で興味深い。これを読んでいると、とにかく劉邦という人物がいかにダメダメだったかを思い知らされる気分になる。だが、そのダメダメこそが彼を皇帝へと押し上げた要因だったというのが「上に立つ者」の資質を問うている司馬遼太郎の見解だろうか。「空な人」は、その分他者を受け入れる余地がある。能力もカリスマ性も血統もあらゆる面で劉邦より勝っていた項羽が、資質としては明らかに劣る劉邦に敗れた事実。だから歴史は面白い。
0投稿日: 2009.02.21
powered by ブクログいやー、久々に本読んで興奮した。 上巻は秦滅亡から項羽と劉邦の台頭まで。 三国志に比べると策略も単純だし、人物のキャラクターも薄いけど、項梁が秦に攻めに行ったところから一気に面白くなったよね。 今んとこ、蕭何、項羽が好き。劉邦はなんか好きになれないな。 これから変わるかも。 早く続き読みたい。
0投稿日: 2009.02.20
powered by ブクログテストの漢文対策で読み始めた本。 しかし読んでいくとなかなかに面白い! 最後のほうは、漢文対策のことなど忘れて読みふけっていました。
0投稿日: 2009.01.25
powered by ブクログ負けっぱなしの劉邦が優秀な仲間に支えられて項羽に対抗する。 劉邦に武力も知略もなく、あるのは大きな徳だけ。自分に出来ないことは人に任せ、わからないことは恥ずかしげも無くわからんと言うその人となりは愚直ともいえる。 別働隊として勢力を拡大した韓信は第三勢力として劉邦に対抗できたにもかかわらず、そうしなかったのは韓信自身に野心が無かったことがあるにせよ、劉邦の存在がいかに特別だったかがわかる。それでも、劉邦の魅力というのはなかなかわかりにくい。 実際中国では項羽の方が英雄として人気があるような気がする。 秦という国は世界初の統治国家でその近代性は紀元前200年という時代には早すぎたらしい。 司馬遼太郎による人物評は鳥の目と虫の目を使い分けたもので、その虫の目というのはフィクションに頼るところが大きいものの、それだけ奥行きのある人間像が出来上がる。どの登場人物も皆魅力的で読む人によって好きな人物が違ってくるという群像劇の基本みたいなものをあらためて楽しめた。 08.12.19
0投稿日: 2008.12.19
powered by ブクログ全3巻。 時代物を読む人達の ほとんどが読んでる司馬遼太郎。 大嫌いなんです。 自分。 途中で著者が出てきて、 ずらずら自説を説かれたり、 うんちく言われるとげんなり。 歴史好きじゃなくて小説好きなので。 こういう人たちは学者とかやればよいのに。 説明文を読みたいんじゃなくて物語を読みたいの。 もう読まないわこの作家。 と思わせられた本の一つ。 でも長いの割と読んでしまったので 有名どころ読んでみようか悩み中。 この人長いの一杯あるので。 くそう。
0投稿日: 2008.12.05
powered by ブクログ実は司馬遼太郎の本がかなり好きで 中学高校時代は良く読んだものです。 最近になって読む機会があり さらっと読んでみたのですが 示唆に富んでいる本だなと 今回は思いました。 今まではあぁ面白いなぁとか わくわくするなぁとかしか思っていなかったと思うのですが 最近読んだ感想は人物像や人望についてなど やっぱり受け手によって本は変わりますね。 ちなみに、項羽は武力等において非常に優れた 人材だったけれど人望はなく 劉邦は武力はなく、心意気のようなものも欠けていたように 描かれているが、人望はあります。 歴史上の最後の勝利したのは劉邦というのは そういったほかの人がつい助けたくなる人の 人望の有意義さを示しているのではと 感じました。 数年経っただけの同じ人間の意見でさえ 変わるのだから違う人格だったら 言うまでもないだろうと思います。 今、ふと漢文の「いわんや」「且つ」とか思い出しました笑
0投稿日: 2008.11.30
powered by ブクログ一応上巻だけ読んだのだけど、その後残り2冊も読もうという気持ちが起こらなかったみたいだ。四面楚歌のところだけは読んだ覚えがあるけれど。中学生で司馬遼太郎を読む人も多いかもしれないけど、僕には難しかったんだろう。その頃熱中していた三国志を読むようなつもりで司馬遼太郎を読んでしまった。だが明代に書かれた小説と、現代の小説とでは、心理描写などがあまりに違い過ぎる。その後、現在(2008年)に至るまで司馬遼太郎は読んでいない。別に読みたくないんじゃなくて、機会がないだけ。そのうち読みます。
0投稿日: 2008.10.04
powered by ブクログ劉邦の名前の由来さえもわかる、いろんな知識が入ってくる、小説。 始皇帝ってすごい!と思っていたが、この小説だと、単なる1人の人間である。 項羽の残酷さは、早くも登場。 項羽と劉邦の本格的な戦いはまだ始まっていない。 2008年04月04日読了。
0投稿日: 2008.05.10
powered by ブクログ項梁が死んだ時に泣くかと思った。今のところ項羽が好きです。てゆうか司馬さんが項羽大好き視点な気がするので仕方ないと思う。2008/5/12
0投稿日: 2008.04.15
powered by ブクログ司馬氏の書くものってホント引力がありすぎるなーと思います。 特に劉邦の絶妙なダメさ加減とほっとけなさが素晴らしい(笑)。
0投稿日: 2008.02.18
powered by ブクログ前200年頃。漢帝国の創始者となった高祖劉邦と楚の武将項羽との話。 劉邦は沛県で三男として誕生し任侠の徒として暮らしていたいわゆるヤクザ者で,逆に項羽は楚の将軍項燕の孫といういわゆる良い家柄に生まれ,劉邦を配下に従えていたが,部下を恐怖で縛るようなところも多く,人心も得ることが出来ず,結局は劉邦に敗れてしまいます。項羽は非常な人間に言われることも多いですが,近親の人間には非常に優しかったとも言われているそうです。 功があれば必ず賞す。これが劉邦軍の原則であったようです。項羽軍はどうかといえば,すべての手柄は項羽のものだから,功が賞されることはありませんでした(それほど項羽自身が強かった)。項羽の下についた者も決して心服したわけではなかったそうです。このため,劉邦のもとではいろいろな才能を持った人間が,それぞれ得意とするジャンルで,じゅうぶんに腕をふるうことができたようです。 また,劉邦は犠牲者の遺族を厚く遇することを忘れていません。それがわかっているので,自分の身を捧げようとする者が現れます。逆に項羽のような自信過剰の人物は,全てを自分の功績と考えるので,他の者がどんな犠牲を払っても,それに感謝する気持ちは薄かったということです。 仁にして人を愛し,施しをこのむ,と史記に書かれた劉邦は,人を愛したゆえに,人からも愛されたのでしょう。
0投稿日: 2008.02.03
powered by ブクログ中国の漢と楚の戦の話。 中国の戦の歴史は奥が深くて面白い。国士無双と言われた韓信も登場する。著名な一冊なのでおススメ。
0投稿日: 2007.10.27
powered by ブクログイマイチ。 話が前後したりで、理解するのも苦労したし、 何か主人公2人ともあまりかっこ良くない。 まぁ実在した人間をありのままに描いたら 完全な人間なんてそうそうはないと分かってても、 やっぱ英雄でいてほしいよね。 3つの中では下が一番面白かった。
0投稿日: 2007.10.23
powered by ブクログ司馬氏の作品はどれも秀逸ですが、好きな時代のこれをあげてみました。 ほかに「花神」「空海の風景」「燃えよ剣」など、どれも大好きです。
0投稿日: 2007.06.30
powered by ブクログ楚漢抗争期を描いたいわずと知れた名作。この作品の項羽、劉邦像は、そのまま日本人が抱くイメージとして定着しちゃってるんじゃかなろうか。主人公の2人をはじめ、登場人物はみな人間味があふれていて、氏の人物造形の上手さがうかがえる。 また、氏の特徴として、ところどころに薀蓄が振りまかれており、これを楽しめるか冗長だと思うかで、評価が変わるかもしれない。
0投稿日: 2007.04.30
powered by ブクログ◆項羽と劉邦、ともに秦を滅ぼしつつも、やがて道を違える二人の英雄。二人の運命を決めたのはいったいなんだったのか…
0投稿日: 2006.11.08
powered by ブクログ高1のとき読んで、中国歴史に興味をもつきっかけになった本です。 全3巻なのにぱぱっと読めちゃいました
0投稿日: 2006.06.22
powered by ブクログこんな時代のことは、全く無知なわけですが、でも、司馬さんの文体で書かれると、ぐぐっとひきつけられます。
0投稿日: 2006.05.28
powered by ブクログ司馬遼太郎氏は自身のエッセイの中で、膠着語に属する日本語の特質に触れ、機能的な構造を持つ為に理論性に優れた印欧語族よりも感情表現に適していると大約述べている(その説に異論はあろうけど)。その上で、氏の目指す文章は「いかにしてその感情性を抑えるか」に力を注いでいるとのことである。 確かに本書の巻頭から息を呑むような精緻・静謐な文章に圧倒された。しかし、「氏の目指す文章」の裏を返せば「努力せねばどうしてもその情緒性が溢れ出てしまう」のであろう。氏はエッセイ中触れてはいないが、氏の小説の持つ魅力とは静謐・緊迫の文章に垣間見えるその情緒性ではないだろうか。 上中下巻を通じて実に堪能したが、読後特に心に残ったのは夏侯嬰とその妻との挿話であった。 物語は劉邦が関中制覇を成遂げた最初の成功譚に引続く崩落の過程に副えられる。敗戦・逃亡の緊迫の中に織り成される夏侯夫妻の生き様が実に瑞々しい。 高潔な文章というのはこのことを言うのだと思う。
0投稿日: 2006.02.25
powered by ブクログ劉邦は嫌い。項羽と虞美人が好きな私は典型的に少女漫画好きだと思う。この方の書かれる不器用な項羽と儚くも強い虞美人は、嘘でも良いから幸せになってほしかった。
0投稿日: 2005.12.03
powered by ブクログ高校時代に読んだ本。自分の生き方に影響を与えた一冊です。 始皇帝を前に、項羽と劉邦がそれぞれ述べた言葉。この言葉がその後の両者の運命を物語っていると感じました。 頭脳明晰のエリート項羽と、仁徳とカリスマ性のある劉邦。 その対照的な二人が戦乱の時代を駆け抜けていく。 やがて二人は天下を二分する戦いで対峙することとなる。 司馬遼太郎の中でもお気に入りの作品です。
0投稿日: 2005.07.09
powered by ブクログ時代小説は日本において、組織論という側面からビジネス本としての価値が高いというコラムを読み、そこで紹介されていた司馬遼太郎著『項羽と劉邦』を読んでみることにした。時は紀元前三世紀末。秦の始皇帝が中国を統一したところから物語は始まる。紀元前という時点で中国の偉大さを痛感した。始皇帝の圧政とその未熟さ、そして従うも地獄という圧政ならばいっそ戦ってしまえということで各地で同時に巻き起こる反乱。そして世は戦国の時代に逆戻りという中での、猛将項羽と人望の劉邦の対比。名将でありながら一瞬の迷いで死んでいく武将や、策謀を張り巡らしつつも来るべき死をどうにもできない参謀など、大乱の世ならではの栄枯盛衰を描きつつ物語は進む。まだ上中下の上しか読んでいないけれども、しんしんと心に積もるように面白い。『項羽と劉邦』というくらいだから、最初から天下分け目のヒーロー対決かと思った自分が浅はかだった。なにしろまだ項羽と劉邦は同じ陣営に属して戦っているのである。しかしその後二つの勢力は相まみえ、劉邦が天下を取るのであるけれど、まだ項羽が猛将であり、秦を滅亡させるかもしれないというあたりまでしか描かれておらず、劉邦はその人となりを紹介されたくらいで、未だその神髄を発揮していない。そもそもきっかけとなったコラムには劉邦の人を吸い込むような人望の高さということが書いてあったのだ。地方ではそうなっているけれど、天下を揺るがすようなことにはなっていないので、まだ読みたい部分にはほとんど触れていないことになる。それでいてこれだけ面白いのだから恐ろしい。とにかく中巻を読まねば。
0投稿日: 2005.05.25
powered by ブクログいつかは読んでみたいと思っていたのですが、娘に先を越されて薦められ、近々読むつもりですが、難しい漢字を飛ばして読んで意味がわかるでしょうか???心配
0投稿日: 2005.01.12
powered by ブクログ項羽と劉邦のキャラクターもさることながら、2人を取り巻く群臣たちの人物に引き込まれます。あーまた読みたくなってきた。
0投稿日: 2004.12.31
