
総合評価
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powered by ブクログ本著の主人公である広田弘毅は、東京裁判で絞首刑を宣告された七人のA級戦犯のうち、ただ一人の文官であった。「自ら計らわない」ことを信条とした広田が、日本が、軍部の暴走により戦争へと飲み込まれていく悲劇を描いた作品。 かなり広田に同情的に描かれているが、じっさいのところ広田とはどんな人物だったのだろうか。
1投稿日: 2015.08.03
powered by ブクログ文民のA級戦犯としてただ一人、6名の軍人と共に絞首刑になった男・広田弘毅か。これまで東京裁判に関する書を読むたびに、そのあまりにも公平性を欠く手続きなり判決なりに憤りを禁じ得ない。終戦直後に是非もないだろうが、時を置いて国際裁判のあり方を評価するうえで、何よりも戦争に至る経緯を振り返るうえで、処刑してはならない人物だったに違いない。先の防衛省設置法改正で同省の文官統制廃止が報じられている。すぐさま軍官の暴走に結び付けるわけではないが、戦後70年、嫌な方向に向かっている。
1投稿日: 2015.07.28
powered by ブクログ面白かった。 読んでいて陸軍、関東軍が統帥権の名の元に暴走して行ったことがよくわかります。 優秀な外交官がいたのに… その外交官は平和への道を常に模索していたのに…。終戦後に自決した陸軍幹部が多く責任の所在がはっきりしていなかった… 故に文官である広田弘毅へも責任の矢が放たれたのだろうと思うと、悔しい。 読んでいて思ったのは。 幣原喜重郎と吉田茂は強運の持ち主だなと。
1投稿日: 2015.06.10
powered by ブクログ第二次大戦の戦犯とし処刑されたA級戦犯の中のただ一人の文官である広田弘毅。その一貫した矜持を以って駆け抜けた生涯を、感情を抑えつつなるべく史実に基づき描かれている。その抑えた感情は読むものの感情を促すように感じられ、読み進む程深く切なく染みる。 “自ら計らず”“物来順応”“ただ背広を着た男”に代表される、弘毅の人柄を示す言葉を繰り返すことと、 弘毅に関わる人物達を同時に描き比較することでとても効果的に人間、弘毅を浮き彫りにしていく。 人の潔き生き方、足跡を見ていただければ最早説明はいらない潔さに深く感銘し、日頃言い訳がましく生きてきた自分に反省する。 南京大虐殺は中国側による捏造だったという説が囁かれる現在、小説の内容を鵜呑みにするべきではないという気持ちがある一方で、作者の並々ならぬ努力の結果出来上がった名作に出会えた幸運を感じる。
1投稿日: 2015.06.02
powered by ブクログ「自ら計らわぬ」という生き方は一見怠惰とか消極的なイメージとつながりがちだけれど、実は並大抵の人にできる生き方ではない。焦らずどっしり構えていられる精神力と、いざ風が吹いて動き出した時にしっかりと仕事をこなせる自信や経験、能力を備えていなければならない。この本の中の広田さんを見ていて改めてそう思った。こういう偉大な人の伝記的な本は、巷に出回っているいわゆる自己啓発本のようなものよりもずっと生き方の勉強になるし、ずっとずっと貴重だと思います。
1投稿日: 2015.05.25
powered by ブクログ物来順応という、自ら計らない姿勢を貫いたという、広田弘毅の半生について記されている。戦争回避のために奔走した広田は、軍部より幾度も妨害を受ける。戦後の極東裁判においては、その軍部の人間とともに絞首刑の判決を受けることとなる。その理不尽ともいえる状況においても、弁明もせずに自らの戦争に至った責任を負おうとする。そこには外交官として広田の理想像を示した山座の教訓(外交官は自分の行ったことで後の人に判断してもらう。それについて弁解めいたことはしないものだ。)が根底にあったように思われる。 努力の末に得た機会を瓦解させ続けてきた者と同罪として扱われ、果てにはともに死を迎えるという理不尽な状況であるにも関わらず、自ら計らず物来順応という姿勢は、共感を持つことは出来なかった。
1投稿日: 2015.04.12
powered by ブクログ東京裁判で唯一絞首刑となった文官、広田弘毅の人生を追う小説。 1人の男として、「自ら計らぬ」広田の潔い生き様は共感するところが大きいものの一国のリーダーとしての広田を見たとき、「自ら計らぬ」では足りないとも思う。 東京裁判そのものの意義については疑問があるし、軍部の暴走は許されるべきではないが、一国の首相として、「名を捨てて実を取った」がために裁判に不利になったという筆者の主張が果たして通るものか。
1投稿日: 2015.02.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
極東国際軍事裁判においてA級戦犯の一人とされた広田弘毅の生涯を描いた作品である。 このA級戦犯という表現。実に世間では曲解されている。「戦争の責任が重い。ゆえにA級である」という表現は間違いである。極東軍事裁判では、平和に対する罪、通常の戦争責任、人道に対する罪の三つに、戦争犯罪を分類した。それをそれぞれA、B、Cと分類しただけであって、戦争責任の尺度を表す意味とは異なる。 本論は広田弘毅の一生を描いた作品であるが、メインはやはり日中戦争開始以降である。その中では文官出身である広田と軍人出身者らの対立で話を進めているが、やや広田を美化しすぎている感は否めない。もちろん本書が広田からの視点で描かれているため、そうなるのは当然である。しかし軍人が一方的に暴走したといったようなニュアンスがあり、軍人側としても、軍人なりの考えがあって、そのいった行動に至ったわけで、「対広田」といった構図とは異なる。この美化されすぎ感をもって、一つ星ダウンとした。 最後のクライマックスである極東国際軍事裁判では「自ら計らわぬ」を信条とした広田らしい最期の遂げ方といえる。 「万歳万歳を叫び、日の丸の旗を押し立てて行った果てに、何があったのか、思い知ったはずなのに、ここに至っても、なお万歳を叫ぶのは、漫才ではないのか」このセリフが広田のこの戦争に対する思いを代弁しているように思えた。 明日の日本国が、どうなるのか見えなかった当時と同じように、現代も希望を見出しずらく一寸先は闇といえるような状況といえる。この書からはそういった邪念にとらわれず、自然に任せて生きていくことの重要性を学べるような気がする。背伸びしても無駄だ、なるように生きていく、そのようなメッセージを受け取ることができるであろう。何事も慌てず、泰然自若として生きていくほうがよい、そのような考えを本書は教えてくれるような気がする。
1投稿日: 2015.01.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
H26.7.21-H26.9.23 (あらすじ) 東京裁判で絞首刑を宣告された七人のA級戦犯のうち、ただ一人の文官であった元総理、外相広田弘毅。戦争防止に努めながら、その努力に水をさし続けた軍人たちと共に処刑されるという運命に直面させられた広田。そしてそれを従容として受け入れ一切の弁解をしなかった広田の生涯を、激動の昭和史と重ねながら抑制した筆致で克明に辿る。毎日出版文化賞・吉川英治文学賞受賞。 (感想) 初城山三郎作品です。まったく存在を知らない広田弘毅さんですが、近県の福岡出身の外相であるということ、非常に興味のあった東京裁判ものということで面白く読めた。とはいえ、話半ばの最も重要な彼の大臣経験時代、何度もちょっとしたことで内閣が成立しては倒れ、内閣入りを乞われて断り、乞われて受けて、成立しては倒れを繰り返す過程は退屈に感じて読み終わるのに時間がかかってしまった。裁判が始まってからはすぐに読み終えることができました。 最終的に広田という人物が最後まで弁明を行わなかったため、どのような心境であったのかが分かっていないのは残念ですね。 城山さんのこの作品は、きっとこうであったろう、という視点から書かれたものでした。概ね納得しながら読むことができました。
1投稿日: 2014.11.03
powered by ブクログ外交官として最も平和を望み、日米開戦に突き進む軍部に対し、最後まで抵抗した広田 弘毅。運命としか言いようのないめぐり合わせで、総理大臣となる。本人が言う通り「背広を着たやつ」の中で消去法的に選任されるも、淡々と受け入れる。終戦となったあとの東京裁判においても、軍人以外の文民からも戦犯を出したいGHQの思惑によって「死刑」判決を受ける。他の戦犯が自己弁護に走る中、広田は一度たりとも自己弁明はせず、死刑執行を受け入れた。 軍部が声高に叫ぶ「愛国」ではなく、真の愛国者の姿がそこにあり、また人間としての本当の強さも広田 弘毅に感じることができる。 今の日本人は、広田 弘毅にこそ学ぶべきである。
1投稿日: 2014.10.31
powered by ブクログ「長州が作った憲法はダメ」ということの勉強代が高くついた、という(趣旨の)セリフが、しみじみとしていた。「長州が作った憲法」と考えたことは無かったことに気付かされました。 広田にも責任はあるのだから、「泣き落とし」は良くない、殊更センチメンタルなのは良くないとの見解もある(『世界と闘う「読書術」 思想を鍛える一〇〇〇冊』 集英社新書)が、読んで損はないと思います。
1投稿日: 2014.10.03
powered by ブクログ東京裁判における唯一の文官として、またA級戦犯として遇された広田弘毅の話。 戦争は外交の延長という意味を知らずに理解をしていた自分を、またこうした昭和の大きな歴史的史実を理解せずに平和とは、戦争とは、と考えていた自分の頭をガツンとはたかれた感じで読み終えた。 アジアの外交における、日本と中国、また韓国との歴史問題についても、こうした背景を知らずして語る事は本来あってはならない。自分の国が逆の立場であるならば、殺戮の規模や人数の多寡でなく、知らずに付き合うことの方が残酷であり、なかった事にしてしまうには余りにも時間が少なすぎる。と感じた。 明治維新から昭和にかけて国力を伸ばし、外国と肩を並べて付き合おうとする日本のチカラ強さを感じる一方で、軍事という外交に歯止めがきかなくなった現実を垣間見る事が出来た作品であった。 中韓の発言意図とは異なる意味で、日本の歴史教育については一考が必要と考えた。
1投稿日: 2014.09.29
powered by ブクログ外相,首相を務めた広田弘毅の物語.広田を軸に,日中戦争から太平洋戦争,戦後の政治史が描かれる.彼は,協和外交を貫こうとするも当時の陸軍の横暴がそれを許さなかった.結果,戦争を止めることをしなかったという共同謀議を理由に,軍人以外では唯一のA級戦犯となってしまう.東京裁判では証言をしない姿勢を貫いた.終始,「物来順応」の心境であったのであろう.城山氏は,そんな広田弘毅に魅せられ,かつ広田の精神に則って本書をまとめ上げたのであろう.
1投稿日: 2014.09.22
powered by ブクログ少し前に『七人の死刑囚』をみていて、あまり多くを語っていなかった広田弘毅という人物に興味を持ったのでこの本を読んでみた。万歳漫才のやりとりはそちらでもあります。 当時の軍と政府の複雑な関係や戦争に至る流れが分かってよかったけど、これがあくまで小説であることを忘れちゃいけないかなと思う。
1投稿日: 2014.08.24
powered by ブクログ外交とは何か。 満州事変前後の日本の政治の混乱と、軍部の関係。 戦争回避に尽力した文官広田弘毅がなぜA級戦犯として処刑されたのか。 中国が嫌いとかアメリカ嫌いとか、そういう本じゃないよ。 書き手の感情を抑えた筆致、冷静で知的な文章。素晴らしかった。
2投稿日: 2014.08.19
powered by ブクログA級戦犯の中で唯一の文官、広田弘毅の生涯。大学三年イコール自分の世代のときには既に外交官補佐のような仕事に携わっていて、やると決めたらとことんやる、その勇気と度胸を持つ人が今の時代には少ないと感じた(自分含め)。人柄、スーツを好む趣向も親しみを感じる。第二章にして波乱。
2投稿日: 2014.07.26
powered by ブクログ「万歳万歳を叫び、日の丸の旗を押し立てて行った果てに、何があったのか、思い知ったはずなのに、ここに至っても、なお万歳を叫ぶのは、漫才ではないのか」文官として唯一のA級戦犯となった広田弘毅。外相として、協調主義を貫き、軍部との対立にもまれた生涯を丹念に描いてる。果たして今の政権にこんな人物はいるのか?と誰もが問いたくなるだろう。「日本のどこかに、静かひ世界の動きを見る人がなければなりませんね」類稀な見識に惹かれる。
1投稿日: 2014.07.22
powered by ブクログ平和外交を目指しながら、最後はA級戦犯として処刑された「背広の人」広田弘毅の物語。 恥ずかしながら、文官として処刑された人がいたこと自体を知りませんでした。 首相、外相として戦争突入を止めることができなかった責任。軍部の暴走を止めることができなかった無念さ。生まれるのが早すぎたという言葉が心に刺さります。
1投稿日: 2014.04.24
powered by ブクログ【読書その63】尊敬する作家である城山三郎の名作「落日燃ゆ」。戦後A級戦犯として唯一文官として処刑された広田弘毅を扱った本。何度読んでも素晴らしい本。戦争責任云々以前に広田弘毅の夫婦関係に感動。
1投稿日: 2014.03.08
powered by ブクログ「軍部の独走」といいますが、ほんとうに軍人がはじめた戦争を止められなかった当時の日本政府と外務省の様子が、とてもよくわかります。◎
1投稿日: 2014.03.04
powered by ブクログ第二次世界大戦に至る激動の時代において、外相から首相まで務めた広田弘毅の生涯を描く。軍部に翻弄され続けた人生。そんな中でも「自ら計らわぬ」「物来順応」を貫く姿勢に胸を打たれる。日本の負の歴史とも呼ぶべき時代に対して、一欠片の希望を持てる一冊。
2投稿日: 2014.02.24
powered by ブクログこの本を普通に読んでれば、戦争の主たる原因は軍部の独走という言葉で片付けられるかもしれない。 けど、誰も破滅を望まず、それぞれの正義を信じて取っ組み合いしながら、戦争に転がっていってしまったということを汲み取りたい。それを眺めながら、戦争の方に転がらないように、時に手を出していたのが広田なんじゃないかなぁ。 そこに勧善懲悪の東京裁判はやはりパフォーマンスにすぎない。自分の外に悪者を見出して退治すれば、平和が訪れると思えるし、一番手っ取り早く安心できる。そして悪者だとみなされた者がA級戦犯として処分された。 日本史でもそう習った。 A級戦犯に文民がいたのも知らなかったし、広田のような人間がいたのも知らなかった。 勧善懲悪の歴史観のままではいけないんだと思う。自分の中にも、取っ組み合いに野次を飛ばしたり、参加して冷静を失う種が必ずある。 自分の中に不安を持つことが、人を冷静にさせるんだと思う。 そういう気持ちで、 礼賛するわけでもなく、蔑視するわけでもなく、A級戦犯という言葉を認識していたいと思う。
1投稿日: 2014.02.22
powered by ブクログ軍人というのは本当に腹がたつ。 しかしその軍人を生むのは争いであり、争いを生む心であり、血の通った全ての人間である。 人間をして争わせる動機は何よりもまず飢えだと思う。 土地であれ、食べ物であれ、資源であれ、力であれ。 そういった意味でそれに固執せず、属さなかった広田の足跡を描くこの作品の持つ意義は大きく、広く親しまれるべき、そうあって当然の作品と思う。 広田はなぜこうまでして自我滅却の思想に徹したのか。 A級戦犯として逮捕された時、広田の最も懸念したのは天皇に累が及ぶことであった。 日頃声高に天皇万歳と叫ぶ軍人被告たちが罪を擦り合い、罵り合う中で広田はその一身に罪を浴びる覚悟で無言の内に天皇への忠誠を示している。 常に協和のために奔走し、軍部に振り回され、その労苦をことごとく踏み潰されながらも諦めなかった信念と執念を尊敬してやまない。 広田を一見仏のような存在として見てしまう瞬間もあるが、これはそんなにややこしいことではなく、ただただ平和を求めた一人の愛国者だったと思う。 家族を愛し、質素に生きた人柄からそれが滲み出、より一層平和への希求心を高めさせる。 構成としては外相就任前と後で大きく分けられると思うが、前半の特に海外赴任時代についてもう少しの記述があれば、より後半との対比の面でも効果的であったろうし、読者としても心休まる止まり木となったと思う。 しかし有事の際の内閣周辺の物々しさは現代からは想像もできないほどで、短期で繰り返される総辞職はもちろん、二二六事件や盧溝橋事件、南京大虐殺、満州事変などの暗殺や策謀は枚挙に暇がないほどで、当時の政治家や軍人は常に死を覚悟していなければならなかったと思う。 そして大日本帝国は世界大戦に突き進み、風車、風の吹くまで昼寝かなと詠んだ広田は巻き添えを食って死刑に処された。 西園寺が広田に言った処世哲学が胸に響く。 騎手にたとえると、調子がよければ障害物を飛び越えるが、馬が何かに驚いたり、足並みに狂いが生じた時にはもう一度はじめからやり直すことにしています、と。
1投稿日: 2014.02.08
powered by ブクログ内容紹介 東京裁判で絞首刑を宣告された七人のA級戦犯のうち、ただ一人の文官であった元総理、外相広田弘毅。戦争防止に努めながら、その努力に水をさし続けた軍人たちと共に処刑されるという運命に直面させられた広田。そしてそれを従容として受け入れ一切の弁解をしなかった広田の生涯を、激動の昭和史と重ねながら抑制した筆致で克明にたどる。毎日出版文化賞・吉川英治文学賞受賞。
1投稿日: 2014.01.13
powered by ブクログこの手の作品は見方によってさまざまな取り方が出来る。 広田弘毅の考え方や姿勢についてひとつの見方を示していると思うが、 立場が違えば全く異質の考え方や姿勢と言うものが出てくるのであろう。 複雑な第二次世界大戦前の国際情勢の中で、戦争回避と他国との協調を目指し外交に注力するが、関東軍の横暴などにより、ひとつずつ積み上げた努力が無駄になっていく無力感に耐えながらも諦めない姿勢。 自分の行動の結果に弁解を全くせず、加えて身内の死から思うところの心境の有様。 極端と言えば極端な人物だ。 でもこの広田弘毅が戦勝国側から見た結果が東京裁判なのかと考えさせられる。
1投稿日: 2014.01.05
powered by ブクログ国際軍事裁判で極刑に処された広田弘毅の生涯をその背景にあった時代描写から描きます。なぜ文官でただ一人極刑となったのか。一人の人物に焦点を当てているけれど、終始客観的な視点で書いている点に好感が持てます。だからといって鵜呑みにはしてはいけないのだろうが。なぜ軍部の議会政治への進出を防げなかったのか、新しい疑問が色々出てきました。
1投稿日: 2013.11.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
東京裁判で極刑を宣告された7名のA級戦犯の中で、唯一の文官である広田弘毅の物語。軍人よりも文官が優勢な欧米諸国には、文官主導の侵略戦争というイメージが拭えなかった。そのため、交渉による戦争の回避、戦争開始後の早期平和的解決に奔走した広田弘毅ではあるが、戦争途中時前後の日本において外相や首相を歴任していたため、白羽の矢が立ってしまった。日中戦争勃発時の首相である近衛首相を始めとする、その他の主要な文官が自殺をしていたため、広田しか残っていなかったことも大きい。広田は一切の発言をせず、むしろ彼自身は自らが死ぬことで文官の贖罪とし、天皇への波及を回避することができると考えていた。 広田は柔道好きで、学生の頃地元福岡の柔道場に通っていたが、そこが玄洋社の運営であり、後に右翼の大巨頭となる頭山満と出会うことになる(この関係性が極東裁判にも多分に影響した)。頭山翁の紹介で、広田は障害の師と仰ぐ外務省の山座円次郎と運命的な出会いを果す。「山座の前に山座なく、山座の後に山座なし」と言われるほどの山座から東大時代、外務省入省以後に大きな影響を受けた。その中でも、「外務省に入った以上は、最初少なくとも十年くらいは、外交の何物であるかということを十分に研究して、決して徒に気炎などを吐くようなことをしてはいけない。これが非常に大切なことである」、「小村さんは決して日記をつけなかった。自分もそうだ。外交官は自分の行ったことで後の人に判断してもらう。それについて弁解めいたことはしないものだ」、「外交官としては、決して表に出るような仕事をして満足すべきものではなくして、言われぬ仕事をする子とが外交官の任務だ」という言葉を特に心に刻んでいた。 言葉通り、ひたむきに勉強を重ね、多くを語らず、同期の吉田茂とは異なり自ら図らず、時には閑職にさえ甘んじながら、戦前に外交官出身での唯一の首相経験者となる。そんな彼の人生が、詳細な記録にもとづいて綴られている作品。
1投稿日: 2013.11.23
powered by ブクログ2013/10/26 戦争、歴史について知識がまったくなかった。広田という人物も名前も知らなかった。 A級戦犯ときいて悪いイメージだがこの人は別だ。当時の日本がどうしようもない状態であっても戦争をしないよう外交を行った。考え方やものごとの見方など勉強になる。 それにしても当時の日本軍ってひどかったんだな…
1投稿日: 2013.10.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
新鮮な問題意識を提起してくれる。 そもそも 戦争とは 何だろうということ。 その推進力の 分析が必要だ。 この作品は 経済の分析が 弱いのではないかと思う。 全く財界、財閥が浮かんでこない。 軍隊と政治の関係で描かれている。 天皇の思想が どうだったのか。 その形成過程、主義、素顔、人間性など。 つまり まわりの人々の 意見をまとめた 天皇イズムでなく。 軍隊の上層部が なぜ暴走していったのか。 戦争犯罪人を裁いた裁判。そして、戦犯とされた人たち について、もっと知りたい。
1投稿日: 2013.10.01
powered by ブクログ自ら計らわぬ、という信念自体は共感できるが、自分がA級戦犯になることで妻や子供にも一生の苦労をさせることになるのに、信念にのっとって受け入れるということが本当に美しいのか?私には疑問に感じる生き方だった。
1投稿日: 2013.09.23
powered by ブクログ以前よりきになっていた戦前戦後の空気が自分なりに少しばかり垣間見えた。 この時代の作品をさらに読んでいこうと思った。 当時の男子の考え方を見ることによって、現代を生きる自分も自分の職務を全うしなければと。 まぁ、いろいろと甘えのある生き方だけども・・・
1投稿日: 2013.09.21
powered by ブクログA級戦犯で絞首刑になったただ一人の文官、広田弘毅の生い立ちから死刑に至るまでの物語。 膨大な資料を元に、淡々と描かれた筆致はドキュメンタリーのよう。 軍部の暴走を止め、あくまで外交による解決を懸命に試みた広田。 にもかかわらず戦後の東京裁判では、自らの弁明を一切せず判決を粛々と受け入れた。 当時、被告たちに対して厳しい弁論を浴びせた首席検事ですら「なんという馬鹿げた判決か。」と言ったという。 本書で描かれている広田弘毅は強く、そしてあくまで平和外交を目指す「背広の人」であり続けた。
1投稿日: 2013.09.09
powered by ブクログ昭和の戦史・政治を一人の外交官、外相、元総理の生涯を軸にまとめ上げたノンフィクション。東京裁判で絞首刑を宣告された七人のA級戦犯の中で唯一の文官・広田広毅。 大正から昭和、そして、戦争へ至る過程、戦中、東京裁判。 主に、広田氏という外交官の視点から、官僚の世界、政治の世界、軍部の暴走、当時の世論などが感じ取れました。 広田氏の考え方や生き様は、現代に生きる私たちにとっても好感を持ち、尊敬できるものだと思います。 広田氏は平和外交、国際協調を目指し尽力していたが、当時の日本にとって戦争は不可避なものだったとわかりました。 そもそも、当時の憲法、政治や軍隊の組織の観点からも歯止めが掛けらるものではなかったし、明治維新後、日清・日露戦争と勝利したと思い込んでいる多くの人々は、戦争に浮かれたような風潮もあったように感じられる。いや、情報操作によって、そう仕向けられていたのかもしれない。 戦争で多くの命を失い、国土を焼かれ、他国を侵略し、多くの代償を支払った末に敗戦した日本。終戦から68年。対中、対韓関係を始め、未だに戦争の後遺症は残っている。現在、憲法改正や、集団的自衛権などの議論が高まりつつあるが、自分を含め今の若者を中心にそうしたことへの関心が急速に薄れていることに危機感を感じる。 本書の終盤で東京裁判の様子が描かれるが、筆者は少々広田氏に傾き過ぎているような気がする。 筆者や、当時の人々からすれば、文官として戦争回避に努めた広田氏を、他のA級戦犯同様に絞首刑とすることは重すぎるという意見も多かったようであるが、私の感想としては、広田氏自身もそう感じていた通り、外務大臣、元総理として戦争を回避できなかった責任を取らねばならなかったと思う。 いずれにしても、人それぞれ見方はあると思うが、20~30代にも是非読んで欲しい一冊です。
4投稿日: 2013.08.12
powered by ブクログ東京裁判のA級戦犯、元首相、外相の広田弘毅氏の物語である。日本の変な教育制度のせいで、戦前、戦後の歴史をほとんど学んでおらず、広田弘毅といえば、なんとなく戦争時の偉い人で、戦争を推進し、敗戦とともに処刑された人、そういう認識でしかなかった。 もちろんこの本は著者の主観もあり、事実の面ではすべて正しいということではないだろう。特に、この本では広田氏の考え方、心情といった内面にスポットを当てており、その部分はすべて鵜呑みにはできないと思う。 しかし、そのあたりを割り引いても、広田氏の生きざまは、今の現代社会においても、外交官、もしくは部下やお客様を預かる組織のリーダーとは何かを教えてくれ、感銘を受ける。「先を見通し何をすべきか」「責任をとるということはどういうことか」。特に裁判から処刑に至るまでの彼の一貫した姿、家族とのやりとりには図らずも涙してしまった。 自分もリーダーとしてこれだけの覚悟を持って仕事をしているか、部下を守れているか、そして責任を遂行しているか、改めて考えさせられた。責任を常に考えながらも「自らは図らない生き方」はかっこいいと感じた。 また、もう1つ別の視点から考えると、軍部の独走を止められない政府、この根源は「統帥権の独立」というお題目であり、己の組織の利益のためにバラバラに動く組織であり、何より皆を従わせることができる判断を行うことのできる役職が誰もいなかったということだと思う。組織の理念、お題目、そして組織の在り方、このほころびは組織を潰すということを改めて感じた。
3投稿日: 2013.08.08
powered by ブクログ明治11年、貧しい石屋の長男に生まれ、苦学力行して外交官となった広田弘毅。 二・二六事件直後に総辞職した岡田内閣のあとを受けて総理大臣までのぼりつめた彼は、しかし戦後の東京裁判で絞首刑を宣告されたA級戦犯のうち、ただひとりの文官となった。 明治、大正、昭和。 時代は激動を極め、事態が目まぐるしく回転するなか、粘り強く良識ある外交政策によって収集をはかり、戦争防止に懇親の努力を傾注しながら、その努力に水をさし続けた軍人らとともに処刑される運命。それでも尚、すべてを受け入れ流れに身を任せる「自ら計らわぬ」生き方を貫き通し、戦争責任について決して自己弁護せぬまま十三階段の上に立った“平凡な背広の男”の生涯。
1投稿日: 2013.07.22
powered by ブクログ「平和につくした外交官が、なぜ、A級戦犯となり、絞首刑となったのか?」 本の帯に書かれていたフレーズが気になって読んでみました。 元首相・外相 広田弘毅の生涯を事実に立脚してたんたんと描いた作品。帯とは、ちょっと違うかな?って気はしたけど、読んでみてよかったと思います。 あの時代のことは、もちろんよく知らないです。当時を見る目は日本人である自分も偏見をもっているだろうと思います。 あの時代にこういう平和への希望を捨てずに国の中枢で執念を持って動いていた人がいたのか、と衝撃的でした。 「善き戦争はなく、悪しき平和というものもない。外交官として、政治家として、戦争そのものを防止すべきである。」 外務相として後輩への指導も行った彼の言動には、学ぶものがありました。 「きみ自身が最後の責任者として、外務大臣として考えなくてはだめだ。この大使はどういう訓令を出すべきかといった立場から考える。それを考えるためには、欧米局にきている電報だけ読んだのではだめだ。他の局へきている電報まで目を通すのだ。」 (中略) 広田は慎重であった。できるだけ多方面の情報を集め、各方面とのバランスを考えながら事を進めて行くやり方で、極端に他の方面を刺激したり、あるいは強い反対を引き起こすようなものは、実際には力になり得ないという考え方だった。」 「人間短所を見たら、どんな人間だってだめだ。逆に、長所を見て使うようにすれば、使えない人間は居ないんだ。」 その人はA級戦犯として、平和外交への動きを妨げてきた陸軍大将らとともに絞首刑で最後を迎える…。どんな気持ちだったのだろう。その最後の場面は、少ない彼の言葉と、環境から察するしかないが、そのところが非常に詳しく描かれています。「自分は生まれるのが50年早かった。」と話したことは、まさしくそうだったのではないかと思われてしまいます。 広田の生涯の中で、非常に印象的なのは、自分の仕事を執念を持ってやり遂げようとするところ。そしてその行動と結果を持って自らを語る。その姿勢にまた非常に感銘を受けました。 ある種、「樅の木は残った」の原田に通ずるような気がします。
4投稿日: 2013.06.24
powered by ブクログブクブク交換の交換本。 普段は読まないジャンルだけど・・・ 内容の深さに何とも言えない気持ちになりました。
1投稿日: 2013.06.17
powered by ブクログ「自ら計らわぬ」行き方を貫き極めて困難な時期に政権を担った広田弘毅。戦後の東京裁判で追求される戦争責任に対しても最後までこの行き方を貫きA級戦犯として処刑された。あの時代にも平和の為に懸命に努力した偉大な政治家がいた事を知らなければならないと思った。
1投稿日: 2013.05.27
powered by ブクログ城山三郎の最高傑作。書中の広田もとても魅力的だ。 小説なら満点。只し、 外相時の日英関係を悪化させたこと、 総理の時の彼の最大の失策、軍部大臣現役武官制復活は、その後の歴史が示す通り。 極東裁判での極刑、もちろん彼に罪は無い。
1投稿日: 2013.05.02
powered by ブクログ大学受験の勉強中、広田弘毅の印象は薄かった。 ごろ合わせで覚えるに過ぎなかったかもしれない。 外交官として、閣僚として、首相として、そしてA級戦犯として・・・ 大正から昭和という時代に広田弘毅がなした功績がよく分かる本だった。
1投稿日: 2013.04.21
powered by ブクログ文官でありながらA級戦犯として絞首刑となった広田弘毅の生涯。 常に協調外交を目指し戦争回避に努めた人物が、大元の原因である軍部の人間と共に処刑されてしまったという事実は、なんとも皮肉でやるせない。彼の生き様、信念にとても感銘を受けた。近代史の勉強にも役立つ一冊。
1投稿日: 2013.04.13
powered by ブクログ日本史の教科書で学ぶ限りでは、広田弘毅は軍部大臣現役武官制を復活させ、文官でただ一人死刑となった極悪人みたいな印象を受けてしまう この本を読んで印象が180度変化した かっこいいなあ、この人 戦争直前の日本は、武官・文官・国民と、日本中が一つになって戦争に突き進んでいたのだと思っていた しかし実際には、広田のように、文官たちは和平の道を模索し続けていた 戦争が始まってしまってからも、文官は軍部のやり方に抗い続けたと、どうして教科書には書かれていないのだろう 筆者の淡々とした書き方と広田の生き様がよくマッチしていて、とてもいい感じ
1投稿日: 2013.03.29
powered by ブクログA級戦犯として処刑された唯一の文官、広田弘毅の人生を通して、彼の生きた時代を描く傑作。 彼の人生哲学として「自ら計らわぬ」という言葉が何度も出てくるが、それは必ずしも私の読後の印象とは異なる。彼個人の職位や生死に関する事柄については確かにその通りかもしれない。しかし、日本の将来に対しては、自分の正義を貫こうと必死で計らい続けた姿が、この本にはくっきりと描き出されている。 職位や生死に関する「自ら計らわぬ」には、私は共感できないけれど、だからこそ尊いと感じる。そうやって、自分の計らわぬことと計らうことについての覚悟を決めて、手の届く範囲の目標を一つずつ達成していくような人こそ、ずっと遠くまで行けるんだろう。 そんな広田でも、日本の歩みを、彼の正義のほうへ向けることはできなかった。彼はこれ以上何かできたのだろうか。「自ら計らう」タイプだったら結果は違っただろうか。 できたと言えば、広田への敬意を欠くように思えるし、できなかったと言えば、過去から学ぶことの放棄とも思える。 手の届く範囲から、一歩ずつ考えてみたい。遠くまで行けることを信じて。
3投稿日: 2013.03.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
自ら計らわぬ、風の向くままにの広田弘毅の生涯を見る。 第2次世界大戦がなぜ、どのように起こったのかをその渦中の人物を追うことで見えてきた。 また、外交の大切さと軍の力、政治とはなにかも改めて知ることができる。 詳しくはわからないけど、どの人も日本のために行動した結果であるのだと思う。その人のもつ情報量や先見性によっては満州国の必要性を求めることは正義となる。広田など賢い外交官は、全く違った平和を求めたことが正義。 万人に共通の価値観などなく、他社と話をすることで理解していくものなのに、昔は今みたいに電話もネットもないから手紙で何か月後とかのやり取りになる。それでは価値観の共有もなにもなく、自身で考えた結果のみがすべてになるのだと。 昔の人の外国語の勉強の仕方がとても面白かった。外国語を読んでは訳し、訳した語を翻訳したものと照らし合わせる。その逆もまた。
3投稿日: 2013.02.16
powered by ブクログ第二次世界大戦突入のギリギリまで外交により戦争を回避しようと奔走し、東京裁判では一切の弁解せずに絞首刑を宣告された元外相で元総理、広田弘毅の人生。自分を貫き通した男とその家族の物語。 日本のために命を賭して闘い続け、責任を果たしていく姿には深く考えさせられるものがありました。時代は違えど、こんな気概を持って国難に挑んでいく政治家が出現して貰いたいものです。
1投稿日: 2012.12.05
powered by ブクログ極東国際軍事裁判でA級戦犯として唯一、文官でありながら絞首刑となった広田弘毅。 福岡の石屋の息子として生まれ、外交官→外相→そして総理大臣へと・・・と書くと、立身出世の話かと思われそうだが、彼は自らを売り込むことがなく、あくまで「自ら計らわず」を信条として、職務を全うする。外相・総理大臣就任時は満州の関東軍の暴走により戦争の道へと歩もうとする日本を必死に外交努力で戦争を回避しようとするも、日本は太平洋戦争へと進んでしまう。 そして戦後の軍事裁判では、自らの無罪を主張することなく、静かに処刑の日を迎えることになる。
1投稿日: 2012.11.16
powered by ブクログ城山三郎さんの作品はこれまで読んだことがなかったのだけど、出張先のホテルの近くにあったブックオフで目に留まって衝動買い。読んでよかった。 実直な外交官から太平洋戦争直前に外務大臣、総理大臣になった広田弘毅。小手先で要領よく生きることをよしとせず、世界の大局を見ながらあくまで誠実に職務にあたり、戦争を回避しようとした姿勢にまず感銘。それでも、軍部や暴走や社会の空気が結局は戦争を引き起こしてしまう。戦後の極東裁判では、唯一の文官の処刑者になったが、結局戦争を起こしたことに責任はあるのだからと、裁判の際も一切の言い訳をせず、淡々と運命を受け入れた。 正しいと思うことはきちんと表現しないと、結局何もなきことと同じであるのは、国際交流の基本であり、その意味では彼の裁判での姿勢には同感できない。また、リーダーとしての結果責任を問われるなら、戦争という結果に弁解はできまい(なぜ彼だけが、という疑問は残るが)。しかし、外交官時代からの、目先の出世や政治的駆け引きには目もくれず、世界の大局を見ながら冷静にそして実直に動いた姿勢は、現在の日本の政治家、官僚も学ぶ点が多いのではないか。 目の前の事象を感情的に煽り、また煽られて、という現在の状況を広田弘毅がみたらどう思う?きっと戦前の状況に似てきた、と嘆くのではなかろうか?
2投稿日: 2012.10.31
powered by ブクログ城山三郎の代表作の一つです。東京裁判で絞首刑となった7人のA級戦犯うち、唯一の文官であった広田弘毅の生き方を描いています。 外交官、外相、首相と身分・立場は変わっても、国を思い、世界を感じて、戦争回避にまさしく命を賭した生き方。 軍部の統帥権独立での行動により、結果的に戦争を避けることができなかったことに対し、一切の自己弁護をせず、軍人と共に処刑されることを受け入れる生き方。 「自ら計らわぬ」というその生き方を淡々と描いています。
2投稿日: 2012.10.27
powered by ブクログ広田弘毅と吉田茂は同期なれど、人生は本当に対象的。 広田は自ら計らず、誠実に生き、人望があった。 しかし、母は断食死、次男と妻が自殺、自分は死刑という人生。 吉田は政治好きでわがままに生きた。 しかし、先日読んだ『父 吉田茂』の印象では、 家族は裕福に楽しく暮らし、引退後もこりんに世話をしてもらいながらゆったりと過ごした。 「自ら計らず」という生き方は、本当に尊いのだろうか。 尊いとしても、それは正解なのだろうか。幸せなのだろうか。 時には吉田のように、わがままに自己主張をし、 使える手はすべて使って、自分の思うように生きても良かったのではないだろうか。 そんなふうにも思う。 人生とはなかなか奥が深い。
6投稿日: 2012.10.19
powered by ブクログ東京裁判で絞首刑を受けたA級戦犯7人のうち唯一の文官である広田弘毅の生涯をつづった伝記小説。城山文学の名声を高めた作品だけあって綿密な調査と取材に裏打ちされたリアリティが放つ重厚感に圧倒される。満州事変、日中戦争へ時代がうごめく中、軍部の積極政策対外務省の協調政策のつばぜり合いが克明に記されている。時代や軍部に翻弄されながらも、”物来順応”の姿勢で常に国の事を考え、総理大臣と外務大臣の要職を務め外交による国家防衛を目指した。東京裁判の際、責任回避する軍人をしり目に決して言い訳をせずに厳粛に責任をとり自ら極刑を受けた広田弘毅。最後のモノノフだな~。
2投稿日: 2012.09.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
その当時のそれぞれの立場や思惑、思想や理想、そして現実。 信念、希望、野心に彩られた国の中で起こるもう1つの戦争。 あの戦争が起こってしまい、 敗戦国となってしまった事実真実が垣間見えたように思えた。 政治は今と未来に評価されるものなんだろうけど、 どんな信念があっても結局結果が答えを導き出してしまい、 個人の評価は後回しになってしまうのか。 今現在の政治家達がどのような考えでどれくらいの想いや、 信念を持っているのか分かりませんが、 (分からないのも問題だけども) 国内外のストレスが肥大している今、どういうふうな答えを 用意するのか、この時代の政治家だったらどうするか、 そんなことを考えてしまうな。 それにしても自決された人は責任について考えたのだろうか? 全責任を持って自決する、そこには日本の歴史があるのだろうけど あれだけの大きな事に対する個人は小さすぎないのかな、と。 広田さんの言われただろう言葉、東京裁判に対する姿勢についても 考えさせられました。 東京裁判についてもっとしっかり知りたいもんだな。
2投稿日: 2012.09.14
powered by ブクログ文庫版の、前毎日新聞論説委員長、赤松大麓氏の解説が適切で素晴らしい。 「外交官は自分の行ったことで後の人に判断してもらう。それについて弁解めいたことはしないものだ」という先輩外交官山座円次郎の言葉に影響を受け、東京裁判での絞首刑を受け入れる運命。 「自ら計らわぬ」生き方。 閑職に追いやられて、「風車、風の吹くまで昼寝かな」と詠む。 平和交渉を粘り強く行うも、統帥権独立をかざして暴走する軍部に押しきられる虚しさ。 夫の未練を少しでも軽くするために、東京裁判中自害する妻への愛情。 どうもこの時代に生きていた人は、今の人たちとは根本的に異なる覚悟で生きていたとしか思えない。 吉田茂は、「自ら計らって」パワフルに生きていたんだな、という印象。どっちが幸せかは分からない。こういう生き方しかできない、これを選んだ、あとはどうなろうと仕方ない、ということなんだろう。
1投稿日: 2012.08.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
第二次世界大戦のA級戦犯でただ一人の文官、広田弘毅の生涯を描いた作品。 「背広を着たやつ」「自ら計らわぬ」など、彼の生涯を表す言葉が心に染みいる。 外交官を目指した経緯、目標となった先輩、外交官になってからの地道な努力がつぶさに描かれている。 そして、外相、総理をすることになり、常に戦争防止に努めてきた。 しかし、戦争は起こり、悪者が裁かれた。 「こんなに大きな戦争があったのだから、軍人だけでなく文官にも(いわば)犯人がいるはずだ」 広田は、警察に同行を求められたときから、処刑を覚悟していた。 自身も、戦争を止められなかったことを自覚し、「無罪」となかなか言わなかった。 しかし、たった一票で死刑が決まった時、検事ですらその判決に異を唱えたい気持であったという。 他の人なら戦争を止められたのか?疑問は尽きない。 統帥権の独立、という難しい問題をはらんだ戦争。 私なんかが大きな口を叩けないけど、こういった人がいたことを知る必要があると思う。 そして、いつも広田の心の支えとなった妻。 裁判の途中で、自らが重荷とならないように、そっと自害した。 その後も、広田は妻宛てで手紙を送り続けた。 家族のきずな、とくに夫婦の強い関係が読み取れた。 夢中になって読んだ。とてもいい本だと思う。
2投稿日: 2012.08.20
powered by ブクログ文官の中でただ1人東京裁判で絞首刑を執行された人物。 「自ら計らわぬ」を信条に生き抜く広田。自分の生命に対してさえもその信条を貫き通した。A級戦犯に名を刻むが、ただのA級戦犯ではない。彼が持つ信条があの時代どう生きたかはこの本で。
1投稿日: 2012.08.19
powered by ブクログ東京裁判で唯一文官でありながらA級戦犯として絞首刑となった廣田弘毅が主人公。 統帥権は政府から独立して天皇にあるとしながら具体的な意志決定から天皇を遠ざけたゆがんだ明治憲法。大陸で暴走していく陸軍、特に参謀本部。その中で主人公は「自ら計らず」という姿勢を崩さず外交努力を積み重ねるが、軍の暴走を止められない。諸外国からの信任や外交官としての姿勢が評価され、外務大臣から首相にも。 後半は東京裁判を舞台に、主人公が「自ら計らず」自己弁護を一切拒んで絞首刑とされていく様子を描く。廣田の絞首刑判決にキーナン主席検事さえ『なんと馬鹿げた判決か』と嘆いたという。 廣田弘毅。ほとんど知らなかった。自分が廣田の立場だったら戦争を回避できたと胸を張って言えるほど廣田を知らない限りはA級戦犯として切り捨てることなどできない。
1投稿日: 2012.08.16
powered by ブクログ本と著者の名前だけは知っていたが、中身は全く知らないまま知人に勧められて購入、一気に引き込まれて奇しくも終戦記念日の昨日無事読了。近現代史ってややこしい上に授業であんまりやらないしちゃんと知らない、と自覚してたので、日本人として読めてホントに良かった。勿論これは歴史の一側面であり、頭から鵜呑みにしてはいけないと思うが、それでもやはり文人広田弘毅という生き様に感動するとともに、今まで何も知らなかった自分の無知に改めて気づかされた。近現代史系の本をもう少し読まなきゃダメだなぁ、と反省しきり。もっと若い頃、出来れば高校時代には読んでいたかった1冊。
1投稿日: 2012.08.16
powered by ブクログ広田弘毅が、尊敬する政治家になった瞬間でした。 彼は文官で唯一処刑されてしまった人間で、それ故誤解をしていました。 ただ彼は、自分の信念を貫い抜き通しただけなのです。
2投稿日: 2012.08.03
powered by ブクログ極東裁判において、文官の中で唯一A級戦犯として絞首刑に処せられた広田弘毅。しかし、彼の真の姿は首相・外相として、戦争回避に粉骨砕身した男、広田弘毅である。 強大な時代の波の中において、最後まで流されず、「背広を着たやつ」としての生き方を全うした彼の生き方に、人としての清廉さを感じ、心から尊敬出来る生き方だと感じた。
1投稿日: 2012.07.22
powered by ブクログまだ途中ですが、読んでいると涙が出そうです。本当にみなさんに「広田弘毅 」という人がいたことを知ってもらいたい…そして、歴史を知ってもらいたいと思いました。私は大学の講義をきっかけに読み始めましたが、これまで出会ったどんな本よりも心を揺さぶられ、日本という国について考えさせられました。そして、今や誰よりも広田弘毅先生を尊敬しています。彼が日本にいたこと、してくれたことを無駄にしないよう生きていきたいです。
1投稿日: 2012.07.20
powered by ブクログ東京裁判で絞首刑を宣告された七名のなかで、一人は文官であった。元首相、外務大臣廣田弘毅。廣田は背広が似合う男だった。モーニングも燕尾服もフロックコートも似合わなかった。其の廣田の生涯と昭和史を綴った物語。 東京裁判の本を学校の図書館で借りてみた事があり、興味を持った。私の考えとしては、廣田には絞首刑は重すぎると云う思いに至った。一番の疑問が、絞首刑を執行する時分の廣田の発言だ。「いまマンザイをやっていたでしょう」是には諸説あるが一体どう云う事だろう。私は廣田に一度会ってみたいと思った。 何時も思うのが、あの戦争は何であったのかだ。東條がおこしたのか、昭和天皇か、参謀本部か、日本国民全員か。が一つだけいえるのがたれか一人だけが責任者と云う事があり得ない。
1投稿日: 2012.06.29
powered by ブクログ東京裁判で文官としてただ一人死刑となった元首相広田弘毅の生涯。 淡々とした筆致の中に、作者の思いが凝縮されていると思える名作。 現状の問題や誤りを批判し、正論を主張することは比較的容易だ。 正義の実現が限りなくゼロに近い可能性でも、許された状況の中で最善を尽くすことの困難と尊さを思う。 この作品に描かれた広田の、信念や人生観に圧倒された。 また、昭和史に登場するさまざまな人物描写も興味深い。
1投稿日: 2012.04.08
powered by ブクログ軍部の暴走によって、広田の和平へ向けた外交努力はそのほとんどが無駄になった。そして日本は泥沼の戦争に突入し多くの人々を死に追いやり、ポツダム宣言を受諾し敗戦を迎える。広田はこの間、首相として外相として戦争遂行に大きな影響を及ぼしたとして、極東国際軍事裁判で死刑を宣告される。法廷では証言台に立つことをせず、一切の弁明をしなかった。自身の生き方・考え方を貫いたのだが、本当にその選択は正しかったのだろうか。いみじくもキーナン主席検事は「何というバカげた判決か」と嘆いたのである。 妻静子も自害しているのだから。
1投稿日: 2012.03.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
A級戦犯・・・。 日本人として生きてきて、歴史も一応軽くは勉強して、 生きてきたけど、日本陸軍の暴走、敗戦の昭和戦後史って、 何か耳にはするけど、心には入っていない―。 なんかそんなエアーポケットだった。 どこか他人行儀の、歴史と一括りの遠い世界の話なんだと 勘違いしていたけど、実はまだ65年くらいしか過ぎてない。 「落日燃ゆ」 東京裁判で絞首刑を宣告されたA級戦犯の中で唯一の文官であった元総理、外相 広田弘毅。 「自ら計らわぬ」という生き方を信念に生きた人の生涯を通じて、 激動の昭和、日本という国が暴走して行く様、 戦争という悲劇の、主犯は誰か?勝者が敗者の中に原因を押し付けようとする東京裁判を描いていく。 この作品を通じて、非常に日本人の同情を誘った広田。 今ではまた違う視点での論述もあるみたいですが、日本人として昭和を眺めるひとつのきっかけになる本だと思います。 司馬遼太郎が描かなかった昭和史。 そろそろ踏み込んでいこうと思います。 右むけば右むく、左むけば左むく、そんな主体性のない国民性で、 いつかまた万歳万歳叫ばないといい、…そう思います。
2投稿日: 2012.03.17
powered by ブクログ史実としてでなく、歴史小説として読むべき。 広い視野を持つことが、清廉さに繋がるのだと感じた 「自ら計らわぬ」広田の生きざま。 しかし、何のために「自ら計らわぬ」のか。 次回読むときは、それを念頭において読みたい。
1投稿日: 2012.02.04
powered by ブクログ筆致は淡々としたものだが。 しかしこれだけ理不尽な死というものがあるだろうか。 まあ、広田本人は理不尽とも何とも思っていないのだろうが。 それにしてもごく一部の日本人のせいでこの戦争は引き起こされたような気がする。防いでも防いでも執拗に戦争を仕掛けていこうとする、この時代のやばい空気が伝わってくる。
1投稿日: 2012.01.29
powered by ブクログ外相・広田弘毅という大人物の生き方とともに、戦前の日本の動き・考えをよく理解できる一冊。自らの使命・役割を『国家』という大きな視野の中で捉え、生きていく様が描かれており、圧倒される。
1投稿日: 2012.01.07
powered by ブクログ文官でただ一人死刑になったA級戦犯が、どんなに清廉で自ら計らわぬ生き方を貫き、その結果処刑されたのかを生を受けた時点から書き起こした小説。 あまりの人間の大きさ・正しさに、全てをそのまま信じるには無理があるとも思うが、官僚としてまた政治家として、非常に有能で私心のないことは現在でも必要とされる資質であろう。 しかし、この本で最も印象に残るのは、日本という国の組織として意思決定できない未熟さだ。国家の最重要案件にかかる事項についても、組織として判断するのではなく、強い主張をする個人の判断によって国策が決定されてしまう。かといって、その判断する者が英雄的に支持されて行うのではなく、責任も取らない。 この国家としての致命的な欠陥は、憲法が変わった今でも全く変わっていない。だからこそ、英雄待望論が常に巷間にあるのであり、安易な人気取りによる政治が行われてしまう。そして、これを解決しようとする政治家もまた、ミイラ取りがミイラになるのである。 常に、わずかばかりでもその解決策がないか、考え続けているが、この本を読んだ後でもやはりその想いは暗澹たる気持ちの中へ吸収されるばかりであった。
2投稿日: 2011.12.18
powered by ブクログ初読は高校生の時、試験期間中に一気読みして(試験前になると部屋の掃除がしたくなる、アレね。)号泣し、次の日試験が終わってから日本史の先生に、いかに感動したかを滔々と語った思い出が。 今回改めて読んで、やっぱり泣く。 こんな人がいても、それでも戦争へと向かった日本。 「長州のつくった憲法が、日本を滅ぼすことになる。」と言った広田。 日本だけではなく、広田自身をも滅ぼすこととなった。 あくまで小説であるから、どこまでが史実であるか注意する必要はあるけれど。 確かにあったはずの、戦争回避への努力。 和平に対する強靭な意志、誠実で粘り強い交渉、それらを圧倒的な力で踏みにじる。 その強大な、残酷な力。 その力の源はどこにあったのか。 私は知らなければならない。
1投稿日: 2011.12.03
powered by ブクログ広田弘毅って知らんかったけど、戦争に突き進む日本にこんな気骨のある総理大臣がいたことに感動!淡々とした文章もいい
1投稿日: 2011.11.17
powered by ブクログA級戦犯、ただ一人の文官廣田弘毅。 暴走していった陸軍にただ一人毅然と外交第一で 事を運ぼうとした姿勢に感服する。 折しも今の日本は突然降ってわいたようにTPPへの交渉参加を 表明したばかり。 今の日本が本気で海外と外交で渡り合えるだけの胆力が あるのかどうか。本気で命がけで外交をするということが どういうことなのか?どじょう総理には是非読んで欲しい一冊。
1投稿日: 2011.11.12
powered by ブクログ広田弘毅が実際何を考えていたか、 史実がどうなのかは置いておいて、 こうありたいと思う人物像を城山三郎が示してくれている。
1投稿日: 2011.11.07
powered by ブクログ最初にこの本に出会ったのは、中学3年生の時に、公民の宿題をやるために、父の本棚を物色していた時でした。 広田弘毅は、「自ら計らず」という信念を持って、東京裁判で戦犯として、処刑されましたが、私だったら、自分が死刑にされるかどうかのときに、貫くことができないだろうと、中学生ながらに強く感銘を受けたことを覚えています。
1投稿日: 2011.11.06
powered by ブクログ『総理という仕事を、自分は最後の御奉公と思って引き受けました。』 『どうも自分は大物と思わなくちゃいけないらしい。かんじんの連中は、みんな自殺したりしてしまったからね。無責任だよ、みんな。この裁判で文官のだれかが殺されなければならぬとしたら、ぼくがその役をになわなければなるまいね。』
1投稿日: 2011.10.30
powered by ブクログ戦後,A級戦犯として死罪になった人たちの中で、 唯一の文官だった広田弘毅の人生について書かれた小説。 以前「指揮官たちの特攻」という城山三郎氏の本を読んだのですが、あまり氏の文体に慣れず、城山作品に苦手意識を持ってました。 今回も、最初はやはりあまり面白さを感じなかったのですが・・・ 終盤に近づくにつれて、急激に面白くなりました笑。 特に終戦~東京裁判のあたりが、ぐいぐい引き込まれた&泣けました。 広田弘毅が主人公の小説なので、広田弘毅について良く書かれているのは当然ですが・・・ これを読む限りでは、広田弘毅は時代の犠牲になったとしか思えませんでした。 生まれるのがあと50年早ければ、もしくは遅ければ、まったく違った人生を歩んでいたんだろうなあ、惜しいなあ、と思わざるを得ません。 この頃の日本では、政治では文官と軍人の対立、 軍部では海軍と陸軍の対立、さらに陸軍内でも内部の対立があり、ぐちゃくちゃ。 そんな中で広田弘毅は何回でも国債関係を修復させようと奔走。 しかし、その度に頓挫させられ、さらに、軍部の暴走を止められず結果的に巻き込まれてしまったがために、戦犯に指定されてしまう。 しかも政治家・軍人が皆、東京裁判で無罪を主張する中、一番客観的に見て罪がなさそうな広田が「軍部の独走をとめられなかった自分にも責任はあるので無罪とは言えない」って思って自分を擁護するような事を決して口にしない。凄いです。自分の生死が関わっているのに、覚悟が決まりすぎです。 死刑の直前に「マンザイ」と言った痛快な皮肉も、広田らしくて実に面白かったです。 戦後日本に必要だった人材とは、こういう人だったんだろうなあとしみじみと思いました。 戦後日本の再建の立役者として吉田茂がよく挙げられますが、これを読むと、腹黒な人物に思えてしまいます・・・w また吉田茂側から書かれたものを読めば違うんだと思いますがね(;´∀`) 普段、軍隊側から書かれたものを読むことが多いのですが、これは逆に文官側から書かれていたので、新鮮でした。 軍に関する研究は好きなのですが、別に軍がやったことを称賛する気持ちはさらさらなく、組織の腐敗や組織の問題点に興味があるので、こういった本もいいなーと思いました。 それにしても本当に戦前の政治史は面白い。興味が深まる小説でした。
1投稿日: 2011.10.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
登場人物多いし、組織は複雑やし、読むのにえらい時間かかった。国の中枢にいながら足の引っ張り合いや自己都合優先の主張がまかり通る状況は、今と一緒。すっかり暗い気持ちになったぞ。
0投稿日: 2011.10.07
powered by ブクログあくまで小説として、だが、面白い。 小説としてと前おいたのは、主人公である広田寄りの内容で有りすぎるからだ。 史実ではなく、歴史小説として楽しむのが正確だろう。 ただ、あえてもう一度言うが、面白い。
1投稿日: 2011.09.29
powered by ブクログ廣田弘毅については、A級戦犯に指定され、唯一文官として絞首刑となったのはもちろん、軍部大臣現役武官制の復活、日独防共協定の締結、国策基準の制定、割腹問答による内閣総辞職など、軍部に屈服した近衛首相と同系列の外相・総理といった印象を今まで持っていた。 しかし小説の中の廣田は、良き父親で、信念を持った実直な人物だった。そして何より政治生命に命をかけていた。国際協調に尽力し、軍部の独走を必死にくいとどめようとした。戦争の原因は、廣田弘毅らではなく、明治憲法に含まれた欠陥こそがあの戦争を生んだのだと信じてしまう程だ。 けれど、著者の城山三郎がもちあげる「自ら計らわず」「無欲」という廣田の信条も、リーダーシップや責任感のなさを表すものにすぎない。平時であるとか、かれが官僚であるとかならともかく、非常時の首相・外相の掲げる信条としては、まったくふさわしくない。近衛文麿が公家の無責任さだとすれば、廣田には官僚出身者の無責任さがあった。 要するに、いくら当時の国際情勢や日本の法制度に構造的な問題があったとはいえ、廣田個人に責任がなかったとまではいいきれない、ということである。 戦後長い間、戦争協力をした国民という不名誉な評価に、腑に落ちない気持ちやら、いわれのないうしろめたさだけを感じつづけた人びとが、そういう晴れぬ想いを廣田弘毅に投影したのではないだろうか。 小説としていかに感動的であったとしても、この本に描かれた広田弘毅は、戦後日本人の自己弁明が仮託された姿、日本人の心情的な自己弁護でしかないのかな思う。
1投稿日: 2011.09.25
powered by ブクログ東京裁判で死刑になった唯一の文官、広田弘毅の生涯を描いた作品。 確か北岡伸一先生はこの本が広田を英雄化しすぎていると授業で言っていた。 そういうことも考えると、この本がすべて本当なのかはこの本1冊読んだだけではわからない。 ただ、小説として読んだ感想は言えます。 広田さんは素晴らしい人なんだな。派手さはなくても「自ら計らわぬ」生き方を貫く。 目立ちたがり屋の俺にはできないな。 んで一歩引いた目から全体を見渡せる人。それでいてベストの選択肢、次善策を次々打っていける人。 これだけのマインドとスキルを備えた人は稀有だ。周りの人と比較してもそれは明らか。 自分は吉田茂みたいな生き方しちゃいそうだなぁー、うん。 さてさて、あと1つこの本で見逃せないのは東京裁判ですねー。 この裁判にはやっぱりすごく疑問がある。 なんで核兵器を投下した国が平気で日本を裁けるの?っていう…。 この本を読んでその手続きなんかにもかなり疑問を持った。 なんつーか、そういう意味でまだ太平洋戦争は終わってないのかなぁ。 日本とアメリカ…。このままでいいのかな。 なんてつらつら考えました。 とりあえず東京裁判の叙述はかなり読みやすくて情景が浮かびました! 巣鴨に跡地とかあるのかなぁ…。
2投稿日: 2011.09.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
第2次世界大戦のA級戦犯として絞首刑となったただ一人の文官、広田弘毅の一生を追った伝記。外交官として首相として、軍部の独走を抑えぎりぎりまで戦争を避けようとして努力した彼が、なぜ裁かれなければならなかったのか? 統帥権の独立 ― 軍事上の判断は、陸海軍大元帥としての天皇の権限である統帥権に属するものとして軍部は暴走していく。時には元帥の意志とは逆の行動も正当化してしまう。関東軍による満州事変、満州国の成立から日中戦争まで、転がるように戦争に駆り立てられる日本。そして、長い暗い戦争が終わると東京裁判が始まる。「自ら計らわぬ」を信条としてる広田は自分を擁護する積極的な発言することを一切拒み、責任を自らに背負い込み静かにこの世を去った。
1投稿日: 2011.09.04
powered by ブクログ極東軍事裁判で文官として唯一A級戦犯として処刑された元総理大臣、広田広毅が主人公の実録風小説です。 大体史実に沿っていますが、戦争反対の立場をとりながら処刑されてしまったというスタンスを作者が取っているため、多少美化されています。 しかし、それを抜きにしても、明らかにリンチ裁判として後世その過ちが戦勝国からも認められている軍事裁判で、何も批判せず主張せず処刑台の露と消えていった広田の生き方は確かに考えさせられるものがあります。 中国や韓国、朝日新聞や日教組の誤った刷り込みにより自虐史観に囚われている多くの日本人にぜひ一度読んでもらいたい1冊です。 平和に対する罪とはいったい何なのか、どうして負けた国だけがその代償を払わなくてはいけないのか、いまだに世界で戦争がなくならない時代だからこそ、こういった本を読んでそれを考えてみるべきではないかと個人的に思いました。
1投稿日: 2011.09.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
間違いなく自分の記憶に残る一冊である。内容的にも、文章的にも、自分への教訓としても。高校時代に父親に薦められて読んだ時は、東京裁判における悲劇の文官というような読後感としか持ち得なかったが、今回読んだ時の雰囲気は全く違ったものであった。吉田や幣原との対照によって明確になる広田の真摯な生き方や最後の手紙のやりとりで分かる広田夫妻の絆の深さ、そして東京裁判時に明らかになる広田の信念の強さ。何もかもが生々しく力強いものであった。「自らを計らわぬ」という生き方は共感しうるし、自分の心の中で大切にしていきたいと思う。 現役武官制を認めたことが主な死刑判決の理由になったという事実から導き出される教訓は以下の2つだと考えられる。1つめは、外国人判事による裁判は許されてはならないということである。文官と武官との曖昧な上下関係や軍部や政界の現実に合わせ政策の歴史的背景などを彼らが付け焼刃で理解できるとは思えないし、またこのような政治的色彩が強く、慎重を期すべき裁判であるので、外国人判事は望ましくない。2つ目は、多少踏み込んだものであるが、政治家には何らかの刑における免責事項が必要であるということである。政治は混濁合わせた世界で、毒を持以て毒を制することが必要な時もあると認識しているが、そういった意味で広田のことは軍部の暴走を止めるために、現役武官制という妥協策をのんだだけであって、彼に死刑を正当化するほどの理由があったかは疑問であると、素人ながら思う。 だが、推測だが、政治はすべて結果責任であるという考えをもっているがゆえに、そのようなことを仕方ないこととして受け入れ、また文民統制を取り入れた日本国憲法が施行されるのををじっくり見守っている広田の姿勢にはこころを打たれるだけだった。
1投稿日: 2011.08.11
powered by ブクログ『自ら計らわぬ』生き方を最期まで貫き通した広田弘毅という人がいたということを今更ながらに知ることが出来、良かった。 九章からは興味深く一気に読んだ。読み終えた後、裁判中の映像で姿を見たが涙が出た。
1投稿日: 2011.06.30
powered by ブクログ日本が軍事国家として第二次世界大戦に突入していった当時は、首相や天皇ですら国家の意思決定に実質的に関与できず(国民が関与できないことは言わずもがな)、その時々で最も強力な組織を動かしている複数の人物が恣意的に国家を動かしている状況だった。 広田弘毅は、そのような状況の中で半ば押しつけられた形で首相職に就き、わずか8ヶ月間の在職中にも信念を持って戦争回避の道を模索していたにもかかわらず、東京裁判でただ一人文官として絞首刑に処せられた。 最終的な責任主体が存在しない日本の政治システムというものが当時から全く変わっていないことは情けない。だが、本著は、そのようなシステムの中で政治の舞台に立つ者がどのように立ち居振る舞うべきかを考える格好の材料を提供してくれている。
1投稿日: 2011.05.26
powered by ブクログA級戦犯の絞首刑を言い渡された七人のうち、たった一人の文官・広田弘毅。 外交官としての彼の生き様が描かれる。 「自ら計らわない」と言いながらも激動の昭和を生きた広田の変わらない姿勢が印象的。
1投稿日: 2011.04.23
powered by ブクログ美談にするな。それでは批判意識を向けにくくなるではないか。単なる軍部批判はもはや神話だよ。政治家の責任にしっかり向き合わせてくれよ。
0投稿日: 2011.04.11
powered by ブクログ歴史小説なるもの、初めて読みました。 太平洋戦争のA級戦犯として処刑された広田弘毅の生涯が記載されています。 首相として外務大臣として、戦争回避のために尽力を尽くしながらも、軍部の暴走により、努力は報われず、結局は、一緒に処刑されてしまうという、なにか悲しい話と思います。 この本の中で、和平のために尽力をして、最後まで諦めなかった広田の姿勢はすばらしいと思うし、とてもまねできないと思います。 しかし、裁判にむけて、戦争責任を感じて、口を閉ざしてしまう姿はどうか?って思います。日本復興に向けてもうひとがんばりしてほしいとも感じたし、事実を自らの口で裁判で伝えることも大事なのでは?と思いました。 まぁ、責任のとり方って人それぞれなんでしょうし、それまでの語り口からこの方の考え方を思うと、結局は、こうなるんだろうなって思います。 (「自ら計らわぬ」という生き方を貫いたということですね) さて、自分はエンジニアなので、この話からプロジェクトリーダとしての教訓を強引に導き出すと(^^;; ステークホルダコントロールの重要性 ステークホルダの協力を得られなければ実現できない 正しい体制、しくみが正しい決定を生む 体制やしくみってとても大事 そして、決して諦めない 最後の最後まで諦めない かなと。
3投稿日: 2011.03.19
powered by ブクログ戦争を回避する為に尽力をつくしたのに、戦犯となり東京裁判で死刑となってしまう、、、。おそらく美化されているのだと思うけれど『黙して語らず』あるがままを受入れ刑に望む姿はたまらない。文句なしに面白い。
1投稿日: 2011.02.21
powered by ブクログA級戦犯の中でただ一人の文官であり外交官・広田弘毅の生涯。 史実とは(多分意図的に)違う部分もありますが、そこらへんは割り切って読むと面白いです。
2投稿日: 2011.02.06
powered by ブクログ軍人に混じり、A級戦犯として絞首刑になった、ただ一人の文官・廣田弘毅。軍国主義の加速する日本で、戦争を止めようと力を尽くした廣田弘毅の波乱の人生を綴る。
0投稿日: 2011.01.27
powered by ブクログ別宮暖朗『誰が太平洋戦争を始めたのか』や猪瀬直樹『昭和16年夏の敗戦』(そして映画『東京裁判』)を思い出しながら読んだ。そういえば加藤陽子『戦争の日本近現代史』もこの2冊の間に読んだのに、あまり印象に残ってないらしい、私… 広田弘毅を主人公にしていて、彼を美化しているというか善人に描きすぎてるきらいはあるものの、そして昭和四十九年刊行と少し古いものの、『誰が~』や『昭和16年~』よりも読ませる文章だった。 とはいえ、私が軍人を悪者にして済ますことなく(おそらく)少しは深い読みができているのは、先に『誰が~』や『昭和16年~』を読んでいたから。やはりいろいろ読むのが大切ですネ(いまは木下順二『オットーと呼ばれる日本人 他一篇』を読み始めたところ;因みにこれと『落日燃ゆ』、また映画『東京裁判』などは、イアン・ブルマ『戦争の記憶』を読んで知ったのでした)。 で、広田より誰より、吉田茂の印象をガラリと変えられてしまった一冊。いままでは、何はともあれ日本の経済発展の立役者、くらいにしか思ってなかったのが、だいぶイメージ悪くなっちゃいました^^ そうかー、外務省で同期だったのかー。で松岡は2年上で、重光は5年下だったのね…と考えると、歴史上の人物が急に(と書くのも恥ずかしいが)生身の人間として立ち上がってくる。 読み終わったらどうしてもまた観たくなって、今夜わざわざオフィスから持ち帰って、『東京裁判』観直してるとこ。静子さん、本当にきれいな人だったんですね…
0投稿日: 2011.01.18
powered by ブクログ日本がどのようにして戦争への道を歩んだのかや、敗戦後の東京裁判に対する理解が深まった。ただ、あくまでもこれは広田弘毅を中心とした見方なので、他の同時代に関して別の角度から書かれた本も読んでみたいにと思った。軍部の暴走が加速して行く中、必死にそれを食い止め戦争阻止のために粉走した広田弘毅が、最終的に広田の邪魔をし続けた軍人6人と共にA級戦犯として死刑になってしまうラストは何とも言えない気持ちになった。暴走する関東軍はじめ現場の軍人たちと、それを止められない中央の軍人たちや政府の文官たちとのやり合いやそれに伴う葛藤が丁寧に描かれていた。当時の陸軍という組織に興味が湧いた。国を思う気持ちは同じなのに、なぜ制御不能に陥り暴走してしまったのか。組織の運営の難しさを非常に感じる。この失敗は現在の様々な組織にも通じるところがあるのではないかと感じたので、また深堀りしてみたい。あと、この小説を読んでいると吉田茂が嫌いになる。笑 そういえば、吉田茂について詳しく知らないので彼についても調べてみたいと思う。
0投稿日: 2011.01.17
powered by ブクログ東京裁判で文官で唯一A級戦犯として処刑された広田の生涯を著者が綿密に描き出した名作 時代に翻弄されながらも、懸命に戦争回避を訴え、更には自ら計らわずと東京裁判でも証言しない姿が印象的でした
0投稿日: 2011.01.11
powered by ブクログ戦前外相を勤め東京裁判で有罪となった広田弘毅。 外務省で活躍し、戦争に反対していたが、時代の流れには逆らえなかった。
0投稿日: 2011.01.02
powered by ブクログあらゆる方面から衝撃をうけた。多少の美化もあるだろうけど、こんな人がいたことをもっと多くの人に知ってほしい。
0投稿日: 2010.12.18
powered by ブクログ広田弘毅 東京裁判で死刑判決を受けたA級戦犯の中で唯一の文官であった元総理、外務大臣の人生を描いた小説。 日中戦争、太平洋戦争への引き金となったのは、旧長州藩が作った大日本帝国憲法の中にある「統帥権の独立」であることが分かる。 文官VS軍部の構図 さらにその軍部の中でも 陸軍VS海軍 さらにその陸軍の中でも 参謀本部VS陸軍省 というように統一の意思決定、命令伝達が行き届かない中での戦争突入、 戦争回避、平和構築を目指す外務省を、軍部が足を引っ張る。 総理大臣ですら命令できない欠陥構造が浮き彫りになっています。 統帥権の独立を主張する軍部は天皇ですら止められず、欠陥国家であったことが他国には理解できなかっただろう。 広田は「自ら計らわぬ」の精神で無罪を主張するでもなく弁解もなくただただ裁判を受け入れた。彼は人生を通じてこの生き方を貫いている。自らアクションを取るのではなく人生の風に身をゆだねそれにあえて逆らうことはしない(同じく外務官僚出身の吉田茂とは対照的だ。) それは邪魔されたとはいえ外交努力によって開戦を回避できなかった責任を自ら感じているから。また、この敗戦の後始末を一身に背負うことで過去を清算することが最後の仕事であると悟ったからであろうか。 これ見ると過剰なまでに文官統制が叫ばれる理由が分かる。 次は東京裁判について詳しく知りたくなった。
0投稿日: 2010.12.04
powered by ブクログ「自ら計らわず」と思いつつ総理大臣にまで上り詰めた広田弘毅の話。東京裁判で裁かれた唯一の民間人。当時の有名人も多数出て来て最後まで飽きずに読めた。
0投稿日: 2010.11.22
powered by ブクログ固くない文体、しかしいい文章だった。平易すぎるとも感じさせない。ゼミの読書感想文で本書を取り上げたぐらい気にいった。ただ、歴史”小説”であることに注意したい。 初めての歴史もの。
0投稿日: 2010.11.11
powered by ブクログこの夏、テレビドラマで城山三郎原作の「官僚たちの夏」が放送され、大変な好評を博したという。ちょうど、総選挙から民主党政権に変わる時期で、民主党が「脱官僚」を旗印にしていただけに、逆説的な意味で注目もされたようだ。 官僚たちが、日本の手痛い敗戦を受け、日本の復興、さらには、高度成長時代に日本のますますの発展のために、まさに、我を忘れて、仕事に没頭した気骨を表した作品といえよう。 もっとも、テレビのない我が家である。残念ながら私はそのドラマを見てはいないが、雑誌やネットで、その人気ぶりは理解していたつもりである。 そういう空気もあり、先般の出張の折、なんとなく城山作品を持って行こうと思い、改めて、本棚を見る。 「落日燃ゆ」文庫本を鞄の中に放り込む。 城山作品としては、「男児の本懐」が一番印象に残っている。「粗にして野だが卑ではない」は、この題名に惹かれて一気に読み終えたことを覚えている。「落日燃ゆ」は、いつ読んだのか。とりあえず、本棚に転がっていた。 アマゾンでのブックレビュー。 「東京裁判で絞首刑を宣告された七人のA級戦犯のうち、ただ一人の文官であった元総理、外相広田弘毅。戦争防止に努めながら、その努力に水をさし続けた軍人たちと共に処刑されるという運命に直面させられた広田。そしてそれを従容として受け入れ一切の弁解をしなかった広田の生涯を、激動の昭和史と重ねながら抑制した筆致で克明にたどる。」 その通りであるが、実は、そうでもない。「抑制した筆致で克明にたどる」とあるが、それでいて、明らかに、城山の歴史観が色濃く反映されている。城山の歴史観を、必ずしも「抑制」することなく、決して「克明」とは言えない、乱暴な筆致も散見される作品だ。 「盧溝橋事件」、及び、「いわゆる南京事件」に触れるくだりなんぞは思わず、一度、本を膝の上に置いてしまった。この小説は、昭和49年にに出版されたという。昭和40年代後半という時代を考えると、いわゆる知識人の中で、城山三郎のような歴史観、社会観を持った方のほうが多かったのだろうか。 極めつけは、広田が絞首刑にあう場面である。 絞首刑は、いわゆるA級戦犯とされる者のうち4人づつ二回に分けて行われた。広田は二組目。最初の組の4人が万歳を行った。 次、広田たちの組の番。広田は、教誨師でもある花山信勝に、「今、マンザイをやっていたでしょう」と述べ、その後、広田はその「万歳」に加わらなかったと、城山三郎は書いている。 しかも、城山は、広田は、それを意識して「漫才」と言い、最後の痛烈な皮肉と書いてもいる。さらに、「広田には、寒気を感じさせる声である。生涯自分を苦しめてきた軍部そのものである人たちと、心ならずもいっしょに殺されていく。このこともまた、悲しい漫才でしかない」とまで記述している。 しかし、このことは、既にいくつか指摘もされているが、全くもって、城山三郎の創作である。いや、この箇所に、引用著作として、花山信勝の著書を挙げていることを考えると、少々悪趣味な、意図を持った創作、言葉悪く言えば、でっち上げとまでも言えるかもしれない。 花山の著書では、「今、マンザイをやっていたでしょう」という広田の言葉はあったようだが、広田が、万歳を一緒にやらなかったという記述はない。 いや、むしろ、「板垣さんの音頭で、大きな、まるで割れるような声で一同は「天皇陛下万歳」を三唱された」という記述からすれば、広田も万歳に加わっていたとみるのが普通ではないか。 もちろん、広田の心の中は分かりはしない。確かに、城山が忖度しているように、自分が、外相、総理時代に苦しめられた軍部と一緒に処刑されることに関しては、何らかの思いはあってであろうことは、想像に難くはない。だからと言って、城山の、広田は万歳をしなかったという記述は乱暴である。 これも、城山の歴史観であろうか。 少々、後味の悪い、「落日燃ゆ」の再読であった。
0投稿日: 2010.09.30
powered by ブクログ「自ら計らわず」を信条に、大戦前の激動で混沌とした政治の世界を生きた広田弘毅を主人公にその半生を描く。 小説上、広田は外交官・政治家として軍部に対抗し、苦しみながら和平を模索するが、結局、戦争への道を閉ざすことができず、さらに皮肉なことに軍人以外の文官で唯一、A級戦犯として処刑されることになる。「自ら計らわず」の通り、積極的な自身の弁護もしないまま・・・。そのギャップが広田への大いなる同情をさそう。 ただし、仮に積極的な作為がなかったにせよ、重大ポイントで広田は外務大臣や総理大臣としての判断をしめしてきた。政治家の判断の重さを感じざるを得ない出来事である。
4投稿日: 2010.09.12
powered by ブクログお国のためという精神ってどこから出てくるのだろう。 国のために命を懸ける。 しかも懸けても、満足した結果が得られる可能性が 低い場合においても物怖じをしないその心っていうのはどういうものなのだろう。 教育だけなのかな。 そうだとしたら教育というのはある一面から見るととても恐ろしい存在に思える。 広田弘毅元首相。 ほっそりとしたイメージだったんだけど、大工の棟梁みたいな顔つき。意外だった。(どうでもいいか) しかし、外交というのは本当に難しい。 俺のように粘りがない人間には到底向かない(笑 しかも決裂したら何百万人もの命が失われる道へ歴史が進んでしまう。 そういう重責を背負えるなんてすごすぎる。 そして、理不尽さをも受け入れることの出来る器の広さ。 その精神はどういうところから生まれてくるのだろうか。 こういう人達の血の上に今の平和がある。それを忘れてはいけない。
0投稿日: 2010.08.15
