Reader Store

総合評価

94件)
3.5
11
34
34
6
3
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読む勧めて行くうちに登場人物それぞれの関係性や、亡くなった四歳のこの真相が明らかになる話。 先が気になる感じで面白かった。

    18
    投稿日: 2025.10.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    じわじわと真相へ近づくにつれて、関係者の抱えてる心の闇や身勝手さが露呈する、救いのない話 面白かったけど、作品全体の陰湿な雰囲気とも相まってかなーり後味が悪かったので、再読は暫くないかな

    0
    投稿日: 2025.08.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ある暑い夏の日、幼い女の子が殺され、庭に埋められてしまう。関係者は内面を吐露しその家族の闇が露呈してゆき… 再読感想、とにかく救いが無く只々悲しい話。 大人たちの身勝手さ心の闇が少しずつ暴かれる度に見えている世界が変わっていく作者の筆致に巧みさを感じる。

    5
    投稿日: 2025.04.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     平凡な家庭で起きた幼女の殺害事件から次々に浮かび上がる家族一人一人の異常さとおぞましい真相が家庭を崩壊させていくミステリーで読後に「犯人は分かったけど真犯人は誰だったんだろう?」という奇妙な感覚に囚われた。ひたすら被害者の女の子が可哀想だった。

    1
    投稿日: 2025.03.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    幼子が殺害され、家族全員に動機があったその事件について各々が語る話。登場人物が増えるたび闇やドロドロ具合が濃くなり、幼子が犠牲になった辛さが浮かび上がる。大人の身勝手さ。家族の歪みと圧倒的悪意に飲み込まれる、ほんっとに幼子が可哀想で。

    0
    投稿日: 2025.01.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    それぞれ登場人物が怪しく、全員身勝手! でも、なんだか薄気味悪い絶妙な雰囲気が読んでいて癖になりそう。 著者の本をもっと読んでみたい。

    10
    投稿日: 2024.12.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「連城三紀彦」の長篇ミステリ作品『白光』を読みました。 ここのところ「連城三紀彦」の作品が続いています。 -----story------------- ごく普通のありきたりな家庭。 夫がいて娘がいて、いたって平凡な日常――のはずだった。 しかし、ある暑い夏の日、まだ幼い姪が自宅で何者かに殺害され庭に埋められてしまう。 この殺人事件をきっかけに、次々に明らかになっていく家族の崩壊、衝撃の事実。 殺害動機は家族全員に存在していた。 真犯人はいったい誰なのか?  「連城」ミステリーの最高傑作がここに。 ----------------------- 朝日新聞出版が発行する季刊小説誌『小説トリッパー』の1998年(平成10年)秋季号から2000年(平成12年)冬季号に連載… その後、2002年(平成14年)に単行本化され、その後、文庫化された作品です。 真夏のある日、ありふれた家庭で四歳の少女「直子」が殺され、庭に埋められた… 事件をきっかけに、平凡な家庭の裏側に隠されていたものが次々と明らかになる、、、 「直子」を苦手に思っていた伯母の「聡子」、その夫の「立介」と娘の「佳代」、ボケの始まった舅の「桂造」… 「直子」の母で「聡子」の妹である「幸子」とその夫の「武彦」、そして「幸子」の浮気相手の「平田」、全員に殺害動機はあったのだ…… あの夏、死んだ少女のために― 家族の交錯する思惑と、悪意が招いた「救いなき物語」。 複数の登場人物の独白を利用して多層的に組み上げることで意外な真相を導き出す… という展開の作品でしたね、、、 真相が二転三転するミステリ要素だけでなく、不倫疑惑を軸に進むドロドロの愛憎を描く恋愛小説的な要素、人間のダークな内面を浮かび上がらせる心理描写等々… 「連城三紀彦」らしい作品でした。 ひとつの事件が二つの家族の問題や、それぞれが抱える秘密をあぶり出すのですが… それぞれの感情が噛み合わないところや、いたいけない少女が惨殺されたのに誰も悲しまず、保身に走ったり、事件を冷静に分析したりと、人間の闇の部分、人間が生まれ持った罪深い部分が巧く描かれていたところが印象的でしたね、、、 家庭は安心できる場所、家族は癒しを与えてくれる存在という既成概念が崩される展開だし、悪意が強調されているので好き嫌いが大きく分かれる作品かも… 元祖イヤミスなのかもしれませんね。 以下、主な登場人物です。 「聡子」  主婦。 「立介(りゅうすけ)」  聡子の夫。 「佳代」  聡子の娘。 「桂造」  聡子の舅。 「昭世」  桂造の妻。 「北川幸子」  聡子の妹。 「北川武彦」  幸子の夫。 「北川直子」  幸子の娘。被害者。 「平田直樹」  幸子の浮気相手。大学生。 「山野」  刑事。

    0
    投稿日: 2024.01.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    思ったより面白く、イッキ読みしました。 救いよう無さすぎて、お腹いっぱいです笑 各人物の心情を中心に進んでいくので、思い込みをしてしまって惑わされたり、多層構造的になっていて、置いてかれないようにスタミナがいりました。 人間の闇な部分が丸出しになってるし、何より怖いのが、殺されてるのに誰も悲しまない、演技をしているという点。 文体も純文学を読んでいるかのような読み応えでした。

    5
    投稿日: 2023.06.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    皆さん言ってますが、何て救いのない話。 幼い子供が殺されてるのに、深い悲しみなどなく互いに疑心暗鬼になりながら保身のことを考えている。 自分が精神的に元気というか丈夫なときに読むことをお勧めします。

    5
    投稿日: 2023.06.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    後味がマジで悪い!最高〜 個人的には(内容には関係ないけど)文字が小さいのか文章の間が狭いのかでやや読みにくさを感じたので、目が悪いとつらいかも?

    1
    投稿日: 2023.04.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    関係者の独白で、誰が犯人か惑わされる。どれも辻褄が合っている様に思われる。世の中にはもしかしたらこんな複雑な家族も存在するのでは無いかと思わされる。で、結末でやられた〜。

    2
    投稿日: 2023.03.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    最初の何行かがまったく頭に入ってこなくて何年か積読状態だったけど、本腰入れて読み始めたら面白いのなんの。なにこの展開?!が何度もあった 聡子にも幸子にも自分と似たところがあって嫌な気持ちになること多数 しかし姉妹っていうのはどこもこんな感じなのかしらね、、、

    2
    投稿日: 2023.02.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    まず最初の印象は、太陽が照りつけるメラメラとした密林やじめっとした日本の夏と、それとは裏腹に現場の部屋の中の冷たさと不気味さでした。温度がすごく伝わって来る感じ? 最後まで犯人が誰だか分からない、ミステリーだと感じながら読んでいたのが、大どんでん返しいつ来るのか、物語が終盤から畳み掛けるように進んでいく模様が面白い。 解説の通り、物語の語り手がコロコロと変わることで真実?事実を見つけていく進み方だが、一人称で告白をしている故、誰一人として嘘をついていないのに読み手からすると大どんでん返しが起きているという不思議な感覚を覚えた。 もう一度読めばまた物語の感じ方が変わるのだろうと思えるので少し時間をあけてまた読みたいと思う。

    0
    投稿日: 2023.02.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    初作者! この物語に「救い」なんて、ひとかけらもない。 というのが、カバーに書いてある。 また、重そうな…で、既に手元に…^^; ハァ〜、仮面だらけや…仮面夫婦… そんな意地とか、プライドとかで、子供を手にかけるなよ〜! 自分らで、決着つけたらええのに…一番弱いところにいくのが、何だかなぁ…って思う。 親、姉妹、その旦那と色々な登場人物の内面を語りながら、進んでいくんやけど、子供死んでも、強烈な浮気されても、みんなどこか冷静な… ドス黒い家系というか、家族達… こんなとこに、住んでたら、多分、狂ってまう! あんたらは、人やない!鬼畜や! はぁ〜!ひたすら暗い… で、面白くないかというと面白い… 私もそんなドロドロの裏側を持ってる? ………

    47
    投稿日: 2022.12.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    最近は意味がわかりませんでした。 読むにつれて理解が深まる話です。 何回か繰り返し読みたくなる面白い本です。

    3
    投稿日: 2022.11.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    今で言う「マウンティング女子」を含めて、登場人物全てがヤバい。 人間の裏の顔が見えてくる。 救われない。

    2
    投稿日: 2022.10.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    本屋で、ひたすら暗いというポップが貼ってあったのでどんな暗さか、と読んだけど、その通りだった。 暗さとか気持ち悪さが残ったのでもう読みたくない。

    0
    投稿日: 2022.10.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    家族それぞれに物語と罪があり、この世に生まれてきて何も悪い事していないのに、家族の誰からも愛されなかったし、殺されてしまった直子ちゃん。 他の家族は皆クズです。 何となく最後はそうだろうと初めから感じましたので、やっぱり嫌な気分で読み進めました。 語りの部分がくどかったりするところは、サラッと読んでも理解出来ました。 後味悪い作品です。 実際にこんな家族が居ないこと祈るばかりです。

    9
    投稿日: 2022.09.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    誰が犯人なんだと振り回されて振り回されて、最後にゾッとさせられた。この罪深い家族の秘密は白昼夢のように惑わせてくる。 家族みんなから忌み嫌われる存在の直子が不憫だ。誰もが少しずつ罪を背負っていて、最初に殺意を持ったのが故人である昭世で、トドメを刺したのがまだ子どもである佳代というのがまた何とも言えない後味。 語り手がどんどん代わっていくのが面白かった。それぞれの真実をそれぞれに信じていて、複雑に絡まって歪な様相を呈している。 直子の最後の言葉は事実なのか、それとも桂造の幻聴なのか、もはや誰にも分からない。これも昭世の、呪いにも似た言葉の結果だろうか。

    2
    投稿日: 2022.09.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    様々な思いが水面下で一人の子供に集中していることが恐ろしかった。色んな感情や出来事が絡み合ってて、真実は一つって感じじゃ無い。人の数だけ真相があった。 視点がどんどん入れ替わることで、登場人物の印象も変わっていく。他の人視点の時は嫌な人だなぁという印象だったのに、その人視点になると思ってたより悪い人じゃ無いなぁみたいな。語り手の主観に引っ張られちゃう。

    1
    投稿日: 2022.07.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    まさかの展開 家族やその繋がりのある人、全ての人が一人の少女に関わっていたなんて、、、 ミステリー好きに読んで欲しい! 特に人間の裏の顔(人の醜さ)がすごいおもしろい

    2
    投稿日: 2022.04.20
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    少女が殺される。その母親、父親、母の姉、その夫、祖父、他界した祖母、母親の不倫相手。その家庭に関係する人々の心の中に潜んでいる闇が暴かれながら事件の真実が少しずつ明らかになる。作者の小説によく描かれるドロドロの人間関係は、文庫本のカバーにあるように救いのかけらもなかった。読後感が悪いかと言えば、そうは言い切れない気持ちになるところが恐ろしい。

    2
    投稿日: 2022.02.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    二十年前の作品。 今や、血の繋がった我が子を餓死させたり、赤ん坊を骨折するほどの力で殴ったり、なんて報道されるだけでもゴロゴロ転がっており、この本の結末を受け入れるのに覚悟なんていらないのではないだろうか。 なんとお行儀のよい人たちだろう。薄く色の付いたセロファンを何枚も重ねて闇を深めるようなこの物語は、もはやメルヘン。現世はヘドロにまみれている。

    2
    投稿日: 2022.02.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    『すぐに門灯がともり、その灯におびえるように周囲の暮色は黒く陰り、花が光って見えるのが、蒸し暑さのために脂汗をしたたらせているかのようでした。』 この家には戦地経験のある桂造、その息子の立介と妻の聡子、娘の佳代の4人が暮らしている。 聡子には幸子という妹がいて、その幸子にも直子という4歳になる娘がいるのだが、最近カルチャーセンターに通い始めたという理由から頻繁に直子を預けに来る。聡子はそれをとても迷惑だと感じている。なぜなのかは、複雑な彼女なりの事情があるのだが、上手く断り切れずにまた直子を預かることになってしまった。その日佳代と歯医者に行っている間に、直子が行方不明になってしまった。やがて、その庭のノウゼンカズラの木の根元に埋められている死体が発見されることになる。 冒頭の文章は、その直子が発見される直前の文章だ。 なんて趣のある文なんだろうと思った。夕暮れの色が暗くなる様を「おびえて黒く陰る」と表現するなんて。前にこの著者の本を読んだときも感じたが、ミステリーなのだが文章がすごくいい。時々はっとさせられる。 語り手が次々と代わるように、もっとも疑わしいと思われる人物も目まぐるしく変わっていき、読み手は非常に混乱させられる。今日はここまで読んで続きは明日にしようと思いながら、気がつけばまたページをめくっている。ずるずると後ろ髪を引っ張るのだ、この本は。 事件の関係者はほぼ全員、少なからず思っている。 「直子は死ななくてはならない存在だったのだ」 だから殺人はこのような形で行われたのだ。 真実と呼ばれるものは、まずは誰に都合のよい角度でその顔を見せるのか。 クラシカルな話が苦手な方でなければ、是非手にとってもらいたい一冊だ。

    1
    投稿日: 2022.01.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    場面だけでなく登場人物の心情や行動にまで、真夏のジリジリとした暑さとジメっとした湿気をまとっている。愛されていないとは思いたくないが、たしかに「救い」なんてひとかけらもない。

    1
    投稿日: 2022.01.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ある家で幼い姪が殺害され庭に埋められる。その事件を機に両家の家族等が次々に自分の心情と認識を告白していくことで、二転三転しながらも事件の真相が明らかになっていく作品。 1つの真実に対して、誤解や認識不足により登場人物それぞれの事実が存在するため、読者としては情報の上書き、追加を繰り返さなければならない読みごたえある作品だった。 また、姪の殺害には到底無関係と思われる人物まで何らかの闇を抱えており、嫌気が差すくらい人間の闇を見せられる作品でもあった。 帯に書かれているとおり、本当に、この物語に「救い」なんてひとかけらもなかった。

    2
    投稿日: 2022.01.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    * 4歳の直子が殺害されて埋めれたことで 家族が崩壊していく物語。 登場人物全てに動悸があり、 最後まで誰が犯人か惑わせられる。 嘘をついているのは誰か、 本当の犯人は……。 表面にも根深い思いに騙されてはいけない。

    4
    投稿日: 2021.12.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    母に薦められて初めて読んだ連城三紀彦作品。「あ、この文章の感じ好き」というのが読み始め1ページでの第一印象だった。誰かの視点で必ず語られ時間が進んでいくが、不思議と混乱することはない。終盤に差し掛かると、その視点の切り換えも早まるために、独白形式の劇でも見ているような気分がした。話し手のみにスポットライトが当たっているような感じ。最後は、小さな光が主役に温かく寄り添っていた気がしている。

    2
    投稿日: 2021.10.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    一人の幼い少女の死をめぐり、少女の家族・親族や関係者の独白によって事実が語られ真実が明るみになっていく物語。 前読の同著者作品【夜よ鼠たちのために】のレビューでも記したが、著者が描く文章や構成が美しく衝撃的だったため、余韻醒めぬうちにと連読に至った。 本作品の帯には下記文言が綴られている。 ----------------------------------- この物語は人間の心の裏側の醜さを隠すことなく書いたミステリーです。 どんでん返しなどはありませんが、非常にあなたを驚愕させる展開が待ち受けています。 覚悟が出来た方から本編にお進み下さい。 ----------------------------------- 覚悟が決まった今朝方5時半より読書開始、夕刻頃に読了した。 久しぶりに、愛も救いもない作品を読んだ。 読後しばらく経つが、二転三転して辿り着いた衝撃的な結末、結末に至るまでの各登場人物の独白が未だ脳内で遡及されている。きっと私はこの物語を忘れないだろう。それほど心を抉られた。 連城三紀彦、天才だと私は想う。 少なくとも私は本作品で確実に彼のファンになった。 そして今は亡き天才は、私の読書ライフの中で伝説的存在となるのだろう。 解説でも語られているのだが、本作品では『事実』と『真実』は必ずしも同じではないということが描かれている。 各登場人物の語り部は、とても人間らしく主観的で、そこに妬み嫉みが加わることで、思い込みや保身欲も混ぜ合わさった各々の『事実』が創り出される。 無論、それぞれの『事実』は自己都合により形成されているため、各々によってイロもカタチも異なる。 よって『結果』はイコールであっても『真実』とイコールになるとは限らないのだよと、勝手ながらも私は同調しつつ、著者からのメッセージとして受け取った。 愛も救いもない人間観は決して俯瞰ごとではないこと、そして自身の人間観を今一度再確認されたい方に、是非ともご一読いただきたい作品である。

    150
    投稿日: 2021.10.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    一癖も二癖もある登場人物たちの独白によって事件の真相が明かされていく、といった趣のミステリーで、さほど目新しさはないのですが、事件の真相(らしきもの)に至る展開を演出する方法としては結構ハマっており、悪くはないと思いました。 なのですが、彼ら一人一人のとる行動が何だか昭和の2時間サスペンスドラマみたいで、冷静に考えるとかなり無理があるような気が。20年前の作品なのである程度割り引いて考えないといけないのかもしれませんが、子供が殺されたのに皆平然としているとか、妻の不貞を義姉に事細かに打ち明けるとか、文学賞の選考対象になったら間違いなく「人間が描けていない」と言われちゃいそうなくらいに作り物感が漂っているのがちょっと残念でした。

    2
    投稿日: 2021.09.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    いやダークプレイスくらい色々起きるやんとか思ったけど最後の顛末にはグッと掴まれた。色々ありすぎてえええ?ってなったけど、面白かった。女と男と、それらが寄り集まって家族と親類と出来上がっていく中で、その基盤が腐っているという。男女のどろどろが極大化した上で、一つの家族にぎゅっと集約されてるっていう、一番近い肌寒さがあった。幸子好きじゃないなぁ。

    1
    投稿日: 2021.09.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    湊かなえの男性版のような感じでした。 登場人物それぞれの立場で、自分の都合の良いように人を排除したり貶める言い訳をし、それが殺人へと結実する。殺害に関しても耽美的な描写を絡め、恰も正当化するような兆しも感じられ不快。 事件後はお約束のエセ正義感や悲劇のヒロイン症候群が発症します。 解説には、この手の内情描写はキリスト教の信仰告白が由来...といった言及もあったが、結末はどちらかというと禅問答のようで何の救いも解決もなく、読後感も最悪でした。 どこか甘ったれた感じで、作者のマスターベーションに付き合わされている感じは文学風といえるかもしれませんが、私が求めていたのはミステリーの部分であって、文学が読みたければ純文学作品を探して読みます。 作品の良し悪しというより、今の自分には合わない作品で、読み終わる頃には大変疲れましたが、逆にこの手の作品が好きな方には、繰り返し読めてどっぷり浸かれる作品でしょう。

    0
    投稿日: 2021.08.20
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    自分勝手で一方的な考えから、延々とすれ違いを繰り返すもどかしさ。 一人の女の子の死をめぐり、全員が「私が殺したのかも。」と、罪悪感と後悔を滲ませるのに、口から出るのは言い訳ばかり… 一人称で決して交わることがない。どこかで誰かがきちんと向き合っていれば生まれなかった悲劇。人間関係の難しさと怖さを思い知らされた。 驚愕の展開ととそのための伏線が至るところに張られているが、あまりの救いのなさに爽快感はなく、ある程度の覚悟を持って手に取る必要がある。

    2
    投稿日: 2021.08.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    話がくどくて、何度も読む手が止まる。 解説を読んで、そういう見方もあるのか〜!と思うけど…ただただ脳が疲れた。

    0
    投稿日: 2021.08.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    何が面白いのかさっぱり分からない。 登場人物が入れ替わり立ち替わり、「私が犯人だ」「私の罪だ」と言ってるだけの小説。 もう誰だっていいよ。

    1
    投稿日: 2021.05.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    うーん、、なんか、 聡子、幸子、武彦、立介、平田、桂造のそれぞれの視点から1つの事件が語られていて、同じ物事でも視点が違うため告白も少しずつ違っていて、事実だと思っていたことが事実じゃなくて、みたいな書き方がこの本の良さであり、テクニックだとは思うのだが、個人的には冗長で飽きを感じてしまった。 あとサラッと書かれてたけど、佳代が直子が埋められている土の上に乗っかってトドメ刺してるの怖すぎて、1番ゾワっとしました、、。

    0
    投稿日: 2021.04.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ある一人の少女の死をきっかけにごく普通の家族がみるみる崩壊していく。 関係者全員の独白により事件前後の詳細が明らかになるが各々の誤解や勘違い、妄想等により二転三転する真相にはお見事としか言いようがない。 不愉快極まりない展開なのに淡々とした語り口によってさらっと読めてしまう。

    1
    投稿日: 2020.12.20
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    読後感はいいものではない。ただ告白めいた文章に引きずられてどんどんはまっていく感じ。誰もが手は下していないが自分が殺したようなものだと思い責める。でも少女が死んだことを悲しむよりもその罪は起こるべくして起きたという気にもなっている。佳代の告白から直子は何人もの手で命をたたれたことになる。そして、殺されることも自分から申し出ていたとは。最後の最後まで考えさせられた。

    1
    投稿日: 2020.11.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    2020/10/30読了。 1人の少女が殺され、その少女を殺した犯人として実の父が自白…と思ったらそれは誰かを庇っていて、その人がまた告白…でもまた… と罪の告白のたたみかけ。一体誰が真犯人なの?となるこの構成は面白いなと思った。 ただ、勢いある構成だっただけに、最後の犯人の独白が長くてテンポが悪く、冗長とすら感じてしまった。似たワードを繰り返すのもまどろっこしい。 それ以外は概ね推理小説として面白かった。

    4
    投稿日: 2020.10.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    女の子が殺されたという事実が軽く扱われすぎて、「もうあんたらの真相なんてどうだっていいわ!!!」と思えてくる。創作なのでそういった視点でかんがえる必要はないのだろうけど。 語り手の告白が真相のようで、次の語り手がまた別の真相を告白する、という展開は面白かった。同じ場面が別の見え方になる。 湊かなえの「母性」みたいな感じ。

    1
    投稿日: 2020.10.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    昔から大嫌いだった妹の、四歳の娘が殺され庭に埋められた。 痴呆の義父と二人きりで留守番している時だった。 身勝手な大人の事情に巻き込まれ、殺されてしまった直子があまりに不憫だった。 それぞれの視点から、殺害のきっかけになるような闇が出てきて、最後にはどれが真実なのか疑心暗鬼になってしまう程。 以前から気になっていた作家さん。 古本屋でいくつか購入したので次の作品も楽しみになった。

    15
    投稿日: 2020.09.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    姉の家に預けていた娘が死体で発見される。 殺したのは誰か。 不倫をしていた母親か、それともその不倫相手か それとも結婚当初からの関係であった姉の夫か それを恨んだ夫の犯行か、はたまた関係に気付いた姉か 戦時中の悲しい記憶に苦しむ認知症のおじいちゃんか それぞれの思惑が交差して それぞれの視点からの主張が独白される それぞれが「あの人が犯人」と思いながら  同時に「自分が殺した」と思っている 直接手をくだしていないだけで 自分が殺したのも一緒だと 途中から 結局誰やねん!てなってくる わかったあとも ほんで結局なんでやねん! てなる みんなが自分中心自己陶酔に思えてくる

    2
    投稿日: 2020.08.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    『藪の中』のような語り口で物語は進む。 誰もが皆、嘘をつき本音を隠し、いや、あるいはそれが真実だと思っている。 誰が本当のことを言っているのか。 いや、語り手にとっては語っていることが全てなのだ。 熱に浮かされたように、譫言のように、たとえ始まりが虚言であっても、それが語り手にとっての真実になっていく。 本書は、芥川の描いた手法を使いながら現代を織り込む。 そこで語られるのは、南の島の情景。 それはパラダイスやホリデイという前向きな言葉の「南の島」ではなく、70年以上も前の、大戦の記憶だ。 行ったきり帰ってこないと分かっていたから、前妻は「この子はあなたの子ではない」と懺悔したのか。 そもそも懺悔だったのか。 本当に、女の子は殺されたのか。 熱に浮かされ、罪悪感が見せた幻影だったのか。 もはや読者には何が現実の出来事なのかわからない。 殺していいのよと誰が言ったのか。 愛などない夫婦、愛していない子供。 家族の姿は、白い光の元で不気味に変化していく。 それとも、初めから整ってなどいなかったのかもしれない。 すべては真っ白な光の中、人を過たせる世界の中の、物語。 だとしても、「南の島」の記憶は、もしかしたらそれだけは本当だったかもしれない。 罪なき人を、殺めた記憶だけは。

    2
    投稿日: 2020.08.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    老人の描写から入るこの作品は、ひどく暗くおどろおどろしい雰囲気をかもし出している。 少女殺害から、それぞれの人間関係があらわになっていくのだが、そんな人間関係とは関係のない少女が殺されることが最後まで不憫でたまらなかった。 いろいろな事情はあると思うが、子どもを巻き込むのはあまりにも大人気ないし、少女殺害きっかけで大人の事情があかるみになったからって、なんの意味があるのだろうと思った。

    1
    投稿日: 2020.07.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ある事件をきっかけに『家族』の秘密が露わになっていく物語。 『家族』といっても夫婦、姉妹、親子、祖父母と孫などいろいろなかたちがある。その登場人物全員が複雑に絡み合い、そして秘密や闇を抱えている。次々と事実が発覚していくが、本当に愛する誰かのために行動するその姿が儚い。 それぞれの視点から少しずつ事件が明らかになっていき、その都度「なるほど」「そういうことだったのか」と納得。全てが伏線となっており、何度も読み返した。真相に近づくたびに鳥肌が止まらない。

    1
    投稿日: 2020.07.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    連城三紀彦『白光』光文社文庫。 連城三紀彦の最高傑作との呼び声の高い長編推理小説である。刺激的な紹介文の踊るオーバーカバーを本屋で見掛ける度に気になっていたのだが、たまたま近所の古本屋の100円本コーナーで見付けて購入した。 読み進めば、読み進む程に暗澹たる気分に陥って行くような嫌な味わいのミステリー。登場人物の各々の視点で家族崩壊へとつながるドロドロとした悲惨な事件が描かれる。登場人物の誰もが犯人の可能性があり、家族に関する深い闇を抱えている。二転三転する犯人の正体……絡み合った蜘蛛の糸のような複雑な人間関係と驚愕の哀しき結末…… 老人性痴呆気味の桂造、桂造の息子の立介、立介の嫁の聡子、立介夫婦の娘の佳代の4人が暮らす平凡な家庭で事件は起きる。或る暑い夏の日に、聡子の妹の幸子がカルチャーセンターに行くため、4歳になる娘の直子を聡子の元に預けに来る。直子を預かった聡子は娘の佳代を歯医者に連れて行くため、祖父の桂造に直子を託す。聡子が歯医者から家に戻ると直子の姿が無く、桂造に問い質すと見たことの無い若い男が直子を庭の木の下に埋めたことを夢うつつの状態で話す。果たして、桂造の証言通り庭の木の下から変わり果てた直子の遺体は発見され…… 本体価格620円(古本110円) ★★★★★

    18
    投稿日: 2020.07.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    平凡な家庭で、ほんの僅かな時間のお留守番で、預かっていた幼い姪が殺される。 事件か事故か? 事故なら何があったのか。 事件なら誰がこんなことをしたのか。 家族それぞれが抱えた家族にも言えない思いが少しずつ交差する中で、たどり着いた結末には驚く

    1
    投稿日: 2020.06.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    この本めっちゃすごい。 まず文章がとても美しい。 それから物語全体に流れる不穏な空気感、不気味さ。 夏の暑気やまとわりつく湿度が余計に雰囲気を盛り上げている。 独白形式や少し古めかしいセリフも余計に影を感じさせ、この家族に引き込まれた。 (立介のターンで社内で一番や会社で一番とかいうワードが沢山出てきて、ちょっと笑った。それまで立介についてろくな描写はなかったから親近感が湧いた。) 初めての作家だったが他の作品も読みたい。

    7
    投稿日: 2020.03.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    人間のドロドロとした部分が書かれている。 後半は無限ループの様にその人の裏側が綴られている。 予想していた人物に辿り着いたが、それにも捻りあって何とも言えない重たさが加わる。 救いの無い話ではあるが読むペースは加速していく話である。

    1
    投稿日: 2020.03.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    痴呆症の老人と二人で留守番をしていた幼女が、何者かに殺された。家のなかで何が起きたのか、家族とその関係者の独白で、真相とともにそれぞれの抱える秘密が明らかにされていく。 単行本は2002年とあり、昔読んだ気がすると思いながらも、書店に平積みにされていたので手に取った、久しぶりの連城三紀彦の作品。 表面上はうまくいっているような家族でも、心の内側には闇を抱えている。真相と思われていたものが何度もひっくり返り、何が本当なのか読むほどに迷宮の奥に引きずり込まれていく。 ある意味では、全員が荷担しているともいえる悲しい事件を、ひんやりとした美しい文章で緻密な心理戦として描いた、作者ならではの一冊だった。

    1
    投稿日: 2020.03.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    白光。 連城三紀彦さん。 おもしろかった。 二転三転。 読んだ人しかわからない。 すごいお話でした。

    1
    投稿日: 2020.02.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    美しい文章…情景が浮かぶ、心の揺れも、瞬間的に描かれる。しかし内容はひたすら重かった。苦しい。 人それぞれの思い込みとか信じてるもの、見てるもの、そういうのの組み合わせで世の中は成り立っているのだという事実。 何重もの裏切り。それぞれの裏切りの重なり。でもそれぞれの真剣さでもある…日常に潜む脆さの描き出し、でもあるなぁ。 初の連城三紀彦作品だったけど、とにかく引きこまれた。

    1
    投稿日: 2019.07.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    短い話だが、重くてページがなかなか進まなかった。2転3転・・・ 連城さんの話は10冊くらいは読んでるけど、結構いつも思いイメージだな

    1
    投稿日: 2019.06.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    初挑戦の作家。物語として読み応えのあるミステリーとの評価から手に取ってみました。 独白形式で綴られる手法。書評にもあったけど、芥川の「藪の中」を彷彿とされる。けど、出来事を時系列的に供述するわけではなく、みんな主観的に心情を吐露してる感じで、テーマも相まって重い印象。後、表現が文学的なので、読み応えはあるけどすらすらっとワクワクしながら読み進めるタイプではないかな。 長編から入ってみたけど短編に定評があるので、他の作品もチャレンジしていきたい、と思える内容。

    1
    投稿日: 2018.06.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    4歳女児が殺された。犯人は誰か? 登場人物の独白という形式で進行し、 皆それぞれ「真犯人は私!」と思っている。 最終的に息の根を止めたのが誰か?という部分はそれほど重要視されてないように思う。 何故幼女を殺害したのかという理由も、 登場人物たちの自分勝手な言い分に、 誰にも感情移入できない。 殺された女の子が不憫すぎて読後感は悪い。 でもね~、さすがの連城さん、 読み物としては一気読みできる面白さだった。

    2
    投稿日: 2017.06.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    とても上質な心理ミステリーだった。 祖父である桂造、桂造の長男・立介、長男の嫁・聡子、立介夫婦の長女・佳代。 4人暮らしの家族は、2年前から痴呆の気が出てきた桂造の面倒が大変なくらいで、どこにでもある普通の家族にみえていた。 何かと理由をつけては桂造宅を訪れ、実の姉である聡子に自分の娘・直子の世話を押しつけている幸子の存在が少しずつ桂造の家族を蝕んでいたのかもしれない。 わがままで自由奔放で、何でも自分の考えを押し通し、姉である聡子は子供の頃から我慢を強いられてきた。 あの日も、幸子は不倫相手と会うために桂造宅を訪れ直子を姉・聡子に押しつけていく。 直子が殺された。 桂造宅の庭に埋められ、遺体となって発見されたのだ。 登場するすべての人に直子殺害の動機がある。 それは積極的な殺意だけでなく、「直子がいなくなってくれれば…」といった消極的な願望も含めてだけれど。 はっきりとした殺意があれば、事件が起きて犯人が逮捕されて、責任を追及されて罰を受ける。 けれど、消極的だけれども「消えてほしい、消えてしまえ」という思いのもとの行動した場合は、いったいどうやってその責任は償われるのだろう。 一番弱い立場だった直子。 周囲の者たちが抱く妄想や不満や憤りや苛立ちが、すべて直子に集中してしまった結果の事件のような気がする。 読み終わった後の後味の悪さは超一級だ。 複雑に絡み合い交じり合った感情が、ひとつの事件を引き起こしていく過程は、まるで心理劇をみているようだった。

    2
    投稿日: 2017.04.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    300ページに満たない本なのに内容が内容なので、 ページ数以上にズッシリとした重みを感じました。 幼い女の子が殺され、その子の家族や周りの人たちの中に犯人がいる。 主に登場人物たちの独白から成り立つ物語なのだけれど、読み進めれば進めるほど全員が犯人に思えてくる。 焦らしの天才だな。 親子だろうが夫婦だろうが、相手の気持ちを100%理解する事なんて土台無理な話なんだけれど、 それにしてもこの家族は怖すぎる。そして切ない。 皆から疎まれていた直子が一番可哀想だ…

    1
    投稿日: 2017.04.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    事件そのものはシンプル。その背景に、過去の出来事、家族内の複雑な人間関係、裏切りと報復の連鎖がある。 後半は、各個人だけが知っている事実に基づく多重推理、多重告白の連続。芥川龍之介の「藪の中」を連想した。予想だにしていない人物の意外な告白もあって、意表を突かれた。 真犯人と言うべき人物は、想定外の人。エンディングも情緒があって、すばらしい。 ある意味では、「お互いに協力していないのにも拘わらず、全員が犯人」と言えるような物語。このような不思議なストーリーを実現させた作者の手腕に拍手。

    2
    投稿日: 2016.04.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    姪っ子と認知症気味のおじいちゃんを家に残して外出したら、帰宅すると子供は殺されていた。家族や関係者それぞれの証言により、事件の様相は二転三転。強いライトを当てられたときのように、目がくらんで真相が見えなくなったように見えて、逆にはっきり浮かび上がってくる。

    1
    投稿日: 2015.12.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「白光」連城三紀彦◆平凡な家族が住む家で、幼い姪が殺され、庭に埋められた。徐々に明らかになる家族の本当の姿、そして真犯人は…?一見普通の家族というのが怖いです。文庫の表紙が白い光を浴びるノウゼンカズラでとても美しいのですが、読み終わってから改めて見るとぞわっとします。

    2
    投稿日: 2015.09.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    少女を殺したのは誰なのか。 家族の独白形式で進んでいくけど、皆言ってることが違うから最後まで翻弄された。

    1
    投稿日: 2014.10.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    面白かったのですが、複雑で・・・え?え?え?・・・?? ・・・で、だから何なん!?みたいな感じでした~~~w 暗くて、コワくて、スッキリしなくて、どよーんとなりました。。。

    1
    投稿日: 2014.07.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    流れるような耽美な文章で人間の醜いところを描き尽くす。 誰もが加害者で被害者。 何が本当で何が嘘か。 いやぁ、圧倒されました。

    0
    投稿日: 2014.05.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    その真相を信じてはいけない。 「あの子を殺さないとこの家は大変なことになる」 「少女殺し」の背景にある、あまりに切ない真実。 連城ミステリーの真骨頂。 ある平凡な一家の主婦にすぎなかった。夫がいて、娘がいる。 ある夏の暑い日に、妹が幼い姪を預けに来るまでは。 その日歯科医院から帰ってくると姪は何者かに殺害され、庭に埋められてしまっていた。 真犯人は、ほとんど呆けてしまっている祖父なのか。 家族は次々に独白する。そして次々に明らかにされる新事実。 冒頭からエンジン全開で結末までフルスロットル!無駄な文章がなくところどころの比喩はとても美しかった。 繰り返される新事実に少し辟易するものの、結末の"真犯人"は予測できなかった。 一流のフー&ホワットダニットだと思います。 ミステリ  :☆☆☆☆☆ ストーリー :☆☆☆☆ 人物    :☆☆☆☆ 文章    :☆☆☆☆☆

    1
    投稿日: 2014.04.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    すごい読むのを楽しみにしてた作品。 聡子の妹である幸子の娘である直子がフウゼンカズラの木の下で死体となって見つかった。 話が二転三転するけれど、結局は落ち着くとこに落ち着いた感じで終わってしまった。 唯一驚いたのは、聡子の娘が←名前ど忘れした、も事件に関わっていたこと。憎み合いは怖いね。

    1
    投稿日: 2014.01.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     妹から姪を預かった聡子は苛立っていた。カルチャーセンターに行くと言っていたが、それは嘘に違いない。妹は浮気をしているのだ。片棒をかつぐような真似はしたくないと思いつつ、またしても断ることができなかった聡子は、少しの間なら大丈夫だろうと姪とボケが始まっている舅を家に残し、自分の娘を歯医者に連れて行った。しかし帰ってきた聡子を待っていたのは、姪の変わり果てた姿だった。庭のノウゼンカズラの木の下に埋められていた姪は、一体誰に殺されたのか?  章によって語り手が違うのだが、誰もが少女を殺す動機をもっており、皆が怪しげな行動をとっている。大きな嘘をつくわけでもないのに、独白ごとに新たな真実が見えてきて、実は連鎖によって少女が死に至ったことが明かされる。その中に子供まで入っていたのには驚いたし、それによってさらに物語は悲惨さが増すのだが、読み物としてはとてもうまく、感心させられた。

    1
    投稿日: 2013.12.28
  • がっかり…

    回想?状況説明? 全編が、そんな感じで進み… 結局は最後まで、「?」って感じ。 あと句読点が変なところに ふってあり読みづらかった。 好みはあるけど、僕には あまり良作ではなかった。

    0
    投稿日: 2013.11.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    二、三ヶ所震える場面があった。まだまだ何かあるぞと先が気になって、手が止まらなかった。 しかし、しっちゃかめっちゃかに終わったなぁ。 色んな要素がありすぎて、また基本のトリックが不安定で「これについてはどうでもいい。あれもどうでもいい。」と考える内に、ほとんどどうでもよかった気になり、面白かったかどうかもよくわからなくなってしまった。

    1
    投稿日: 2013.02.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     読み始めるなりページを捲る手が止まらなくなって一気読みした……(が、むごい話だった。小さな子が大人たちのエゴの犠牲になる筋なので、その手の話は読みたくないという方は要注意)  これは現代版「藪の中」だなと思った。人は自分の見たいものしか見ない……。

    1
    投稿日: 2013.01.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    最初は不自然に思えるそれぞれにとっての事実・真実が少しずつ繋がり…読み進むにつれて解けてくる謎。最後は少し不完全燃焼感あり、かな。

    1
    投稿日: 2012.09.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    とある夏の日。姪である直子をあずかって、彼女と舅を残し歯医者に行って帰ってくると・・・・直子は何者かに殺害され、庭に埋められていた。 フーダニット的なミステリではなく、なんていうか、登場人物の心の裡を一人ずつ少しずつスポットをあてていって・・・という。二転三転する物語の真実がなかなかに面白い。それぞれの犯行動機を独白している中、一体だれが直子を殺したのか? なんとなく直子を台風の目のようにして、登場人物の思惑がいろいろとうずまいているというか。みんな思うところはそりゃあるんだろうけど、結局のところ投影されている直子は本当の意味での被害者だよなあ、と。いろいろ言ったところで彼女に罪はないわけだろうし。ちょっとしたボタンの掛け違え的なことも積み重なると・・・ということでしょうか。なんとも哀しい・・・ と思って読んだら最後で・・・うーん。

    1
    投稿日: 2012.09.20
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    人間関係もどろどろしてるうちが華だな。 無味乾燥の果てに起こった事件という感じ。唯一人間らしいおじいちゃん。 文章がしっかりしていて良かった。表現が丁寧なのにくどくなくて美しい。

    2
    投稿日: 2012.09.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    『告白』『独白』を多用した傑作。 主観で語られる内容が、真実とは限らない…とても面白い! 少女は何故死ななければならなかったのか? 最後の真相には、だいどんでんが待っている。再読

    1
    投稿日: 2012.09.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    初めての連城三紀彦さん 登場人物の告白によって次々と事実が上書きされていく様が小気味良い ブルータスお前もか。。。てな感じ 人を騙すってのはなんとなくわかるけど知らず知らず自分を騙して事実を湾曲して記憶を書き換えたりしてるのかなーて思った 他の作品も読みたい

    1
    投稿日: 2012.09.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    二転三転、どころか次々に状況が変化し、真相が入れ替わっていく。語り手によって真相が変化する(ように見える)のは芥川龍之介『薮の中』風。 おもしろかった。声を大にしては言えないような、こうした人間の負の部分に焦点を当てた話は好き。

    1
    投稿日: 2012.08.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    連城三紀彦の小説を好きになって27年くらいがたつ。最初に読んだ直木賞受賞作でもある「恋文」は、モラルのない大学生だったころ、渋谷の映画館で拾ったヴィトンのバッグの中にはいってたハードカバーを読んだものだった。ちなみに、一緒にでかけた友人がそのLVのバッグを、もう一人がLVの財布を ボクが本をもらった。中に入ってたお金は、そのあと居酒屋で全部飲んで使ってしまった…。そんな罪深い思い出にまみれた連城だけど、それ以来ずっと好きで読み続けている。(先生すみません) 今回の作品は、ミステリーなのか、ホラーなのか、はたまた彼の得意とする愛情のもつれを描いた恋愛小説なのか… だれにも殺意があり、誰にも愛情があった。誰もが、人間として暗い部分を抱えながら、誰一人として徹底的な悪党などはいない。救いようがない作品と否定的にとらえる向きが多いようだが、ボクには、如何にも人間的な作品に思えた。

    2
    投稿日: 2012.06.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    一人の女の子の死を巡って3つの家族の形が浮き彫りになる悲しくて救いようがないお話。 全員に動機があって、全員が自分を犯人に仕立てあげようと考えたり逃れようと救いを求めたり。憎んだり愛したり。 1つも本当の愛はなかったし誰も救われなかったけれど。 何より1人の小さな命が失われたことに誰も心から悲しまないのが恐怖。 人生は簡単で、運命は勇気を出して新しい一歩を踏み出した物にいつも優しい 歳をとれば、人には過去しかなくなっていく だからその時までに過去になる今を素敵に過ごしたいとわたしは思うよ。 伊坂さんがおすすめしてたけど読んで良かった。

    1
    投稿日: 2012.06.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    各所でおすすめされていたのを知り読んでみた。 が、本当に救いのない話だった。殺された女の子が不憫でならない。 どこまで読んでも犯人がすっきりしない。 すべての登場人物が犯人でもおかしくない。 読んでいて苦しい。 惹きこまれたが、おもしろい話ではない。 評価が難しい作品だと思う。

    1
    投稿日: 2012.04.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    あるブログで紹介されていて 読んでみた 私には 苦手 ミステリーであっても 登場人物が全員、影があって、暗くて なんだかひねくれているみたいで 気持ちが沈んでしまう 作品の出来、不出来というよりも 私の個人的嗜好の問題だけど・・・

    0
    投稿日: 2012.02.21
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ある夏の日、舅と姪を家に残して娘と歯医者へ行った聡子。 帰ってくると、姪の直子がいない。 直子は殺害され、家の庭に埋められていた。 直子の母幸子は都内のホテルで若い男と不倫。幸子は姉を憎み、幸子の夫武彦は妻を憎み。次々に明らかになっていく家族の崩壊、衝撃の事実。 殺害動機は家族全員に存在していた。 真犯人は誰なのか? 家族間での憎しみ、人の黒い部分がよく描かれています。直子が死んだっていうのに誰も悲しまない。 みんな動機があるって、そんな悲しいことありますか?誰も直子を本当に愛してた人はいなかった。後味は良くないです。

    0
    投稿日: 2012.02.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「関係者全員が自分が犯人だと思い込む」というのは先行作品があったはず(思い出せませんが…)。そしてこの結末のどこが驚天動地なのかもよくわかりません…。

    0
    投稿日: 2012.01.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ごく普通の平凡な二つの家族が、一人の娘の死をきっかけにそれぞれの事件や家族に対する考えを吐露していく物語。一人ずつ自分の考えを告白していくと事件の真相は思わぬ姿をあらわしてくる。 一番安心できる相手である家族が、本当は何を考えているのかわからない恐怖がじわじわくる物語でした。告白する者によって事件の真相がコロコロと変わっていく間ずっと、作者に騙されてるなぁ感を味わうことができました。

    0
    投稿日: 2011.10.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ドロドロした人間模様。 心の闇。 理不尽な殺人。 そんな小説が読みたくて、この本を選んだ。   「真犯人は一体誰なのか!?」   登場人物全員がそれぞれの「独白」という形式で語られ 真相が二転三転していく。 だから一体 誰が犯人なのよーーーー!  憎悪や嫉妬、我儘、家族の崩壊... 自ら望んで読んだが、読後はどんよりした気分に。 *********************************************************** 内容(「BOOK」データベースより) ごく普通のありきたりな家庭。夫がいて娘がいて、いたって平凡な日常―のはずだった。 しかし、ある暑い夏の日、まだ幼い姪が自宅で何者かに殺害され庭に埋められてしまう。 この殺人事件をきっかけに、次々に明らかになっていく家族の崩壊、衝撃の事実。 殺害動機は家族全員に存在していた。真犯人はいったい誰なのか? 連城ミステリーの最高傑作がここに。

    1
    投稿日: 2011.06.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    連城作品、初めてでした。 長男に勧められて読んでみることに…。 登場人物がそれぞれの心情を告白する方法で表現されていました。 読者としては、二転三転する告白に騙されながら、どんどんはまってしまいます。 ちょっと重い内容ですが、他の作品も読んでみたくなりました。

    1
    投稿日: 2011.06.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    少女を殺したのは真の犯人は誰なのか。家族全員に殺意があり、衝動があることが、章毎に登場人物の視点が変わることで徐々に明らかになっていく。 文章も読みやすく、物語のプロットも面白いと思う。だが、同じ描写の繰り返しが多すぎて途中で飽きてしまい、なかなか一度に読み進められなかった。それに、理由は違えども、一人の少女の存在を皆が皆、疎ましく感じ、殺害されて然りと少なくとも一度は考えていることなど有り得るのだろうか。もし、このような家族によるこのような事件が実際にあるのだとすれば、これほどまでに虚しく救われない話はないと思う。殺された少女があまりにも可哀想だ。

    0
    投稿日: 2010.12.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    一つの事件が様々な視点から語られる、その人物だけ知る事実と己の感情。人の負の部分が強く描かれ、その余りの強さにそこに輝きを感じてしまいそうになった。 重圧な一冊。 ストーリーも一貫された空気と纏まった展開で素晴らしくよく出来たミステリーのように感じました。 個人的な話ですが、京極夏彦の描く作品(「死ねばいいのに」を描いた際の京極)とよく似ていて、若干の仏教めいた臭いをスパイスに交えるとこのような結末(少女)に辿り着くのだろうか…感じました。京極の方がポップですが。

    1
    投稿日: 2010.08.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    登場人物たちの邪な思いが交錯する様子にくらくら。一見「狂気の物語」のように見える本作。けど実は、かなり本格度の強いミステリじゃないかな。後から考えると、しっかり伏線も張られていたし。 二転三転する犯人像、そして動機に翻弄されていると最後で絶句。結局「真犯人」は誰だったのか……最後の最後まで気が抜けない作品。もちろん「犯人がわかってそれで終わり」というわけでもない。重い。

    0
    投稿日: 2010.01.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    白光 怖い。やっぱり怖い。連城氏は人の心理を倫理に捕らわれず真っ正面から見ているように思います。「恋文」のように切なく悲しくも書けるし、この作品のように現実と本人から見たことの差まで描くこともできる。だんだん人間不信にまでなりそうな恐怖。けど、それぞれの行動理由はひどく切実だし、必要なことだったりするんです。自分が登場人物の誰であっても、きっと他の行動なんてとれない。それがどんなに辛い結果を生むとしても…。家庭内の事件で絶望までも書ききる。二転三転する状況以上に、それぞれの「罪」の重さに引き込まれた作品でした。

    1
    投稿日: 2010.01.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    独白。。。 語る本人だけが信じる事実。 騙る本人だけが知る真実。 ある家族を襲う一つの事件と独白の果てに見える真実。 まばゆい白光の向こうにあるものの正体とは? 連城三紀彦が魅せる幻惑の超大作、お楽しみください。

    1
    投稿日: 2009.06.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    次々に明かされる真実!! で、なにが本当かわからなくなります。 最後までわかりません。 とても面白かったので、みんなにおすすめしたいです。

    0
    投稿日: 2009.04.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    事件に絡む人物たちの壊述によって二転三転する真実。 壊述ゆえに、思考の軌跡が細かに綴られる。それにしても、救いがない…。読んでて、苦しい。

    1
    投稿日: 2009.01.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     時計の針がちょうど一時を告げた。  最後にもう一度やはり直子も連れていこうかと迷ったものの,結局は時計の針に押されるように佳代の腕だけをとり,直子を老人のそばに残して家を出たのだった。  数時間後,夜が始まるころには『事件の現場』と呼ばれるようになるその家をーーー。 (本文p.33-34)

    0
    投稿日: 2008.10.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    登場人物それぞれの真相が違っていて、まさに「藪の中」状態で話が進むが、読者にはじわじわ事実が見えてくるという変わった構成。ただ人間のいやらしさに少し辟易する。

    1
    投稿日: 2008.09.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    連城三紀彦の名前と、表紙の写真の美しさに惹かれて買った小説。 聡子が歯科に娘を連れていくため、家を空けたその一時間半のあいだにそれは起こった。 留守番として義父と共に家に置いていった姪が、何者かによって殺され、庭に埋められていたのだ。 警察は痴呆も激しく攻撃的な義父に疑いの目を向けるが、一方で若い男を見たという証言も出てくる。 さらにこの殺された姪は聡子の妹・幸子と聡子の夫との不義の子であることがわかり、家族の誰にも動機があることが明らかになってくる。 犯人は義父か、若い男か、幸子か、その夫か、それとも聡子か、聡子の夫なのか、はたまた他の誰なのか。 くるくると新しい像を結んでいくストーリー展開は見事。 かなり早い段階でひとり目が自首してきたので、これは何かあるだろうなあと勘繰っていたら案の定、真犯人はこの人、いや違うこいつだと、疑いがたらいまわしに。 幸子や聡子が言った「いいのよ」は、プロバビリティの犯罪だなあ、しかし何かもやっとして終わるな・・・、と思っていたらその先にもう一段階あって、最後はものすごく綺麗にオチがつけられていました。 さらに同時に、この物語の人々はそれぞれ矛盾した発言をしているけど、彼ら自身の中ではそれが疑いようのない事実であって、どれも間違いなどではないんだな、ということを痛感し、改めて「客観的な事実」などという言葉の空々しさを感じました。

    2
    投稿日: 2008.09.02