マーケティングの本。 ストーリーになっており、読みやすい。 個人的には、ストーリー仕立てが好きではない。

前のシリーズと関連しながらも、前シリーズとの間に新たに認識された理屈等がキチンと織り込まれていた。分かりやすく、新情報も多く、マーケティングの入門としては良かった。

マーケティングに関する入門書です。物語になっているので、とても読みやすい著書でした。理論に基づく戦略・戦術を考えるフレームワークも図とともに紹介されていました。巻末に各章で紹介されている理論や事例に関する参考文献が掲載されています。これから、マーケティングを学ぶ方々にとって有益な情報となっています。

配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。 https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=10292878

有名な本だと思うが新装版となって平積みされていたので購入。単なる理論の解説書ではなく、ストーリー仕立てで、マーケティングやブランディングの考えを丁寧に教えてくれる。 STP, 4Pといった理論も使い方を知らないと宝の持ち腐れ。ウォンツの見つけ方、TAMの広げ方、PRと広告の違いや使い分け、ブランドの築き上げ方を改めて学ぶことができて、楽しかった。

ストーリーとしてはちょっと現実離れしている感もあるが、要所要所に出てくるマーケティング理論はためになる。ビジネスマン必読。

本書の概要と「アニマルスピリット」：失われた野心を再発見する 本書は、ベストセラー『100円のコーラを1000円で売る方法』の続編・改訂作であり、現代のビジネス環境に合わせて書き下ろされたマーケティング入門書です。中心テーマの一つは、経済学者ジョン・メイナード・ケインズが提唱した**「アニマルスピリット」、すなわちビジネスの原動力となる「野心」や「情熱」**です。日本が「失われた30年」で見失ったものとも指摘されるこの精神は、積極的な行動と失敗を恐れない挑戦を通じて、ビジネスの成否を左右する重要な要素であると本書は示唆しています。UDサービスという大企業の社員である主人公・日吉慶子が、新規事業開発チームの仲間とともにイノベーションを生み出し、強大なライバルと戦い、成長していく物語を通して、現代のマーケティング、ビジネス戦略、そしてリーダーシップの要諦が解説されています。 プロローグ：マーケティングの覚醒と価値創造の重要性 物語は、日吉慶子が大手IT企業トライアンフ社の港未来との屈辱的な商談から始まります。日吉はかつて憧れたUDサービスの現状に失望しつつも、顧客に徹底的に尽くす「ローラー作戦」で成果を上げていました。しかし、新規事業開発チームで途方に暮れる中、マーケティング研究者マルクスから、日吉の営業スタイルが「ビジネスと無関係」だと批判されます。マルクスは、顧客の**「ウォンツ」（顧客自身も気づいていない潜在的な欲求）を見つけること、そして既存の仕組みを新しく組み合わせる「イノベーション」の重要性を説きます。イノベーションは顧客の困りごとを解決し、行動変容を促すことで成功するのです。マルクスは、日本の低迷は「安く売ろうとする考え」にあるとし、価格が高くても顧客の大きな悩みを解決する「価値創造」**こそが重要であり、「マーケティングなくして、経済成長なし」だと断言し、日吉のマーケティングへの意識を覚醒させます。 ストーリー2, 3, 4：顧客開発、イノベーション、そして「創造的破壊」 マーケティングの重要性を認識した日吉たちは、ローラー作戦で中小企業を訪問し、「一人情シス」問題という共通の悩みを突き止めます。これは、中小企業で情報システムを管理する担当者が一人で、クラウドサービスの無駄や機密データ管理のずさんさが深刻な課題となっている状況です。このウォンツを解決するため、天才情シス担当の多摩川園子が開発した自動検出プログラムを元に、高付加価値の新サービス**「影武者」のプロジェクトが立ち上がります。影武者は、顧客の潜在課題と既存技術の組み合わせによるイノベーションであり、最小限の機能を持つMVP（Minimum Viable Product）**として試用提供され、好反応を得ます。また、Airbnbの成功事例も、顧客の言葉だけでなく「行動に注目し、試行錯誤を重ねる顧客開発モデル」の重要性を示すものとして紹介されます。さらに、日吉は高価格戦略が成功する場合があることを学び、影武者も高付加価値提案ゆえに高価格でも受け入れられる可能性があると認識します。 ストーリー4（続き）：強者の「ミート戦略」とUDサービスの不正 影武者プロジェクトの好調に対し、強大なライバルであるトライアンフ社が動きを見せます。製品開発部長に昇進した港未来は、影武者を「悪くない製品」と認めつつ、UDサービスによる直販や他社経由での販売を一切認めず、トライアンフの独占販売とする一方的な条件を提示します。この傲慢な提案をマルクスは拒否しますが、トライアンフは影武者の名前を一部変えた**「鬼武者」を大々的に宣伝し、「ミート戦略」を展開します。これは、強者が弱者の差別化戦略を無効にするために、似たような製品やサービスを出し、同質化を図る戦術です。さらに、UDサービスの副社長である住吉元が、トライアンフからの不当な値下げ要求を受け入れ、多額のリベートを受け取っていた不正**が発覚します。これは、トライアンフの高島部長がUDサービスの担当者である日吉を排除するために住吉を使い、影武者のソースコードを不正コピーさせて「鬼武者」を開発していたことにも繋がっていました。 ストーリー6, 8, 9, 10：不正の露呈、競争戦略、そしてAPIエコノミー UDサービス副社長の住吉の不正が明らかになり、トライアンフの高島も、影武者サービスへのサイバー攻撃を依頼するなど不正手段を弄していたことが露見します。祐天寺社長は、日吉チームに「トライアンフのような巨大企業も恐れる必要はない。顧客のために正々堂々、誠実に泥臭くやればいい」とエールを送ります。マルクスは、企業間の戦い方として、**ポーターの競争戦略（差別化戦略、コストリーダーシップ戦略、集中戦略）を説明し、北海道のセイコーマートを集中戦略の事例として挙げます。影武者の収益化には、Googleマップの事例のように「APIエコノミー」の考え方を導入し、他社のエンジニアが影武者のAPIを使った分だけ料金を支払う「従量制課金」**モデルが提案されます。そのためには開発者向けの支援を充実させ、外部の力を活用してサービスを拡大する必要があります。マルクスは、このパートナー開発者支援チームのリーダーに、技術に詳しくない小杉を推薦し、彼の学ぶ能力と戦略眼を評価します。 ストーリー10（続き）：コミュニケーション戦略とクライマックス トライアンフが「鬼武者」を大々的に広告攻勢する中、マルクスは現代のコミュニケーション戦略として、信頼性が失われた広告よりも、まずPRでブランドを構築し信頼を獲得し、広告でそれを維持する戦略の重要性を説きます。メディア、専門家、消費者という**「三者」による信頼性確保が鍵となります。リソースの限られたUDサービスは広告戦略が取れないため、日吉はパートナーエンジニア支援に徹し、エンジニア向けのイベントを企画します。イベントでの小杉のトラブルと、日吉のメッセージを受けての「本音のプレゼン」**が成功を収めます。一方で、大々的に宣伝されたトライアンフの「鬼武者」は、不正コピーされたコードの使用によりバグが多発し、市場から姿を消します。高島部長は公正取引委員会への苦情と不正行為により逮捕され、トライアンフ社長は「鬼武者」の販売中止を決定します。 エピローグとあとがき：アニマルスピリットの結実と未来への示唆 それから3年後、「影武者」は中小企業の定番サービスとして広く認知され、UDサービスは売上・利益の急成長、給料の向上、社員数の増加を実現し、チーム体制も強化されます。物語の終盤、UDサービスの子会社カケハシ社（影武者事業）に対し、タイタン・ジャパン社から巨額の事業譲渡提案が持ちかけられ、祐天寺社長は新たな野望を抱きます。本書の「あとがき」では、新規事業立ち上げの物語を通して、現代のマーケティング理論やビジネス戦略、特に「イノベーションとリスクへの挑戦」が解説されていると改めて述べられます。現象学の理念（顧客の本心を見抜く直観）、イーロン・マスクのイノベーション、コトラーのマーケティング（ニッチターゲット戦略）、ランチェスター戦略（強者の戦い方）、そしてオーセンティック・リーダーシップ（本物の自分らしさ）といった重要なビジネス概念が掘り下げられます。最後に、成功のためには顧客の声を聞くだけでなく、アニマルスピリットを持ってリスクに挑戦することの重要性が改めて強調され、本書は締めくくられています。