Reader Store
金田一耕助ファイル2 本陣殺人事件
金田一耕助ファイル2 本陣殺人事件
横溝正史/KADOKAWA
作品詳細ページへ戻る

総合評価

196件)
3.8
39
74
61
5
1
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    獄門島を読む前に、こちらを読みました。 個人的には読みにくかったなという印象です。 黒井戸はなぜ軋るが1番好きでした。

    0
    投稿日: 2025.10.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    本陣殺人事件一本立てかと思いきや車井戸はなぜ軋る、黒猫亭事件の三本立てで読み応えがあった。車井戸と黒猫、量が少ないから読みやすいのに満足感がある

    0
    投稿日: 2025.10.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    金田一耕助を出版順に読もうと思い、まずは第1作目のこれから読みました。何回か読んだので筋はあらかた知っていますが。細かいプロットが見事で密室殺人の名作です。クリスティーの「そして誰もいなくなった」と同レベルの傑作です。

    0
    投稿日: 2025.08.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    引き込まれる不気味な雰囲気がありながらも、リズミカルさとコミカルさもある。 トリックやストーリーが面白いのはもちろん著者の表現、全体バランス、思わず没頭してしまう表現力、全てが最高。

    0
    投稿日: 2025.07.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    本陣殺人事件 横溝正史の密室殺人の代表作。日本家屋での密室を作り上げるトリックは、何度読んでもすごい。 車井戸は何故軋る アリバイのトリックと顔の無い屍体 の変型作品 金田一がいつ登場するか引っ張って最後に登場するまで、何か起きるのではないかと引き寄せるストーリー。 黒猫亭殺人事件 顔の無い屍体 の見本的な作品。一人二役のトリックに犯人の綿密な計画が有ることで、驚きがある。

    0
    投稿日: 2025.07.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    金田一耕助シリーズの中で、密室殺人がテーマとなった作品です。 この作品は、映像化されたものを見ていたので、密室トリックがすんなり理解できましたが、文章だけだと大枠は分かるけど、細かい部分がイメージしづらいかなと感じました。 かなり前の作品なので、時代背景とか現代感覚だと理解しづらい部分もありましたが、登場人物の雰囲気も含め楽しめた作品でした。 この本には、作品タイトルにもなっている「本陣殺人事件」以外に「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」の二つの中編作品も収録されており、両作品とも読み応えのあるものでした。

    0
    投稿日: 2025.07.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    なんだか視点人物がころころ変わって読みづらい。金田一耕助以外もキャラクターが立ってるのでそれで興味は持続するけど、肝心のトリック部分についてはいまいちイメージが浮かばず、何となくでしか状況をつかめなかった。反面、動機には、外面を大事にする風習、国民性があったり、冒頭にはクリスティのあの作品と類似した作品であるかのようなひっかけが用意されていたり、短いながら見所が多く、ごちゃついた印象はそのせいでもあり、完成度の面から考えると及第点。 他、犬神家の習作とも言える『車井戸はなぜ軋る』、獄門島へと続くような内容の『黒猫亭事件』を収録。

    3
    投稿日: 2025.07.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ☆4.6 大林宣彦の映画をアマプラで観た。 中尾彬が金田一耕助だった。 大林さんのキネマ・マジックに魅せられてしまった。 素晴らしい映画でした。 原作は読んでますが、これはこれで傑作。

    11
    投稿日: 2025.06.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「本陣殺人事件」初めての横溝正史、そして初めての金田一耕助シリーズ。披露宴の晩、琴の音と共に悲鳴つんざく離れ家に駆け付けると、そこには刀でズタズタに切り付けられ絶命した新郎新婦の姿が。現場は密室、周囲の雪の上に犯人の足跡はなく。一家の周りをうろついていた三本指の男のものらしき指紋が見つかり、光明が差したかに思えたが…。めちゃくちゃワクワクする展開なのに動機でズコーッとしてしまった。いや納得感ある書き方はしてたけども…。馬鹿馬鹿しくなってしまったので次作に期待。 「車井戸はなぜ軋る」ほぼ同時期に生まれた腹違いの兄弟。瓜二つの相貌とは逆に、二人の境遇はあまりに違い…。大戦を生き延びたのは果たしてどちらか。気になり過ぎて一気読みしてしまった。不穏な事象が重なり続けて読者の心も疲弊していく感じが堪らない。しかし動機がまた理不尽な×××でちょっとな〜 「黒猫亭事件」真夜中、酒場「黒猫」の裏庭を掘り返す僧侶を巡回中の警察が発見し…。所謂「顔のない死体」もの。え、まさか、まさかこんなヌルい真相じゃないよね…?と一瞬不安になったが流石横溝正史、予想を裏切る結果で大満足。この本が縁で西浅草のカフェ「黒猫亭」にも足を運べて嬉しい。甘味とお酒が両方置いてあり素敵なカウンターが印象的なお店、また行きたい。 金田一耕助シリーズ、書かれた時期もあって戦中戦後の動乱の様子が分かって良いな。復員後、妻に新しい相手が出来ていたというよくある話から、銃後の女性達の境遇の違い、戦後の後継ぎの問題などなど。

    0
    投稿日: 2025.06.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    金田一シリーズが、今更ながらにじっくりと読めるいい推理ものなことを知りました。 長編でもサラッと読めるし、意外と人の心理をうまく突いている内容がおおくて楽しめた。

    0
    投稿日: 2025.05.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「本陣殺人事件」 金田一耕助の初登場作品。面白かった。動機もかなりイカれていて、それはそれでよかった。三本指の怪しい男と、指が三本あったら、琴が弾けるという話など、思わせぶりな小道具もニクイです。伝聞調の語り口もよかったなぁ。特に最後の物悲しい余韻が素晴らしいです。 「車井戸はなぜ軋む」 「犬神家の一族」を思わせる道具立て。というより、これが元ネタ? ただ道具立ては同じような感じでも、途中からの展開は違っていて、こちらはこちらで楽しめました。手紙と新聞記事だけで、話が進むのが面白いです。 「黒猫亭事件」 顔のない死体という道具立て。加害者と被害者の入れ替わりと思わせて、そこからもうひとひねり加えてきます。たくさんの登場人物が出てきますが、それぞれきちんとキャラが立っていて、しっかり読み分けられています。最後のアクションシーンもいいですね。金田一耕助とY(横溝正史)氏の出会いが語られるのも面白い。

    0
    投稿日: 2025.03.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    古い作品ではあるがトリックなどは現代でも通用するのではないだろうか 日本語の使い回しなどが昔の作品のため読みづらい点はあるが内容はスーッと入ってくる

    0
    投稿日: 2025.02.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    基本的に金田一耕助シリーズは、ミステリーで一番最初に読んだシリーズだったのでどの作品も楽しみました!

    8
    投稿日: 2025.01.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    初の横溝作品に挑戦 記念すべき金田一耕助シリーズの第一弾 以下三作品を収録 『本陣殺人事件』☆3.6 金田一シリーズ全体に抱いていた「おどろおどろしさ」というイメージはここから顕在 中でもミスリードが巧みに行われていて犯人は自分的にかなり意外な人物だった。犯人の動機に共感できるかで賛否が大いに変わる作品な気がするが、現代ではほとんどの人が理解しがたいように思う 『車井戸はなぜ軋る』☆3.9 金田一はほとんど登場しない ある主要人物の手記で物語が進んでいくので日付が進むにつれての臨場感が凄まじい これまた犯人は予想外の人物でした 『黒猫亭事件』☆4.0 自分的には一番好みだった 金田一やY先生(作中における横溝先生を投影した人物)が「顔のない死体」とはいかなるトリックなのかと解説してくれてミステリ初心者にも易しい作り 後半ちょっとだけハラハラする劇的な展開もありで非常に楽しめた

    0
    投稿日: 2025.01.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    金田一耕助が初登場した回。 犯人の動機は現代の感覚では納得できないもので、当時の価値観を理解できるか否かで評価が分かれそう。(当時としても異常性が高い動機だが) また、他に中編が2作収録されているが、中でも『車井戸はなぜ斬る』は出色の出来。 これらの中で描かれる陰湿さや田舎の因習、土着的要素は後の作品にも繋がっているかのように思えた。

    0
    投稿日: 2025.01.13
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    金田一耕助デビュー作 時代/舞台がザ・昭和で単語や文化を咀嚼するのが中々難しい...。 内容についてもこれまた時代か凄くドロドロしてます。 ノンフィクションっぽい書き方は凄く新鮮で面白く、他のミステリーを引用して 読者に挑戦する姿勢を感じる。しっかり短編含めて騙されましたけど...。 密室・日記調・顔のない屍体と様々なテーマが使用されており、型にはめない工夫を感じてこれも読者への挑戦を感じて読みごたえがある。 最後に、今は新装されたみたいだけれど、杉本一文の表紙が素晴らしい。 作品の雰囲気をしっかり表現している。

    3
    投稿日: 2024.12.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     金田一探偵の華々しいデビューである、本陣殺人事件と他2編の小説が描かれています。どれも魅力と謎に溢れていて普通に楽しく読めました。相当古い小説ではあるものの、まだまだ色褪せない名作といった感じです。

    1
    投稿日: 2024.12.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    密室殺人事件 処女じゃないからって狂った旦那が自殺する話 人物描写がもう少し面白かったら良かったなと思う

    1
    投稿日: 2024.12.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    横溝の中でもベスト3に入れたい大好きな作品。もはや何度読んだことか… 何を書いてもネタバレになりかねないので、ここでは名作であるとしか言えません。 「車井戸はなぜ軋る」と「黒猫亭事件」の二作品も収録されてますが、この二作品がまた名作。

    1
    投稿日: 2024.09.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    テレビ放送があれば必ずと言っていいほどみているけれど、文章で読むのは初めて。書かれた時代に比して、読みやすさに驚いた。小学校の頃ハマった江戸川乱歩・少年探偵シリーズなどは、もっと読みにくい印象だったけれど…。某私立大学を中退後、渡米。麻薬中毒になりかけたものの、ある事件を解決し、そこで得たパトロンの出資で大学を卒業、帰国後、更にしれっとパトロンに全額出資させ、探偵事務所開設…という金田一耕助の経歴も初めて知る。 収録の『本陣殺人事件』『車井戸はなぜ軋る』『黒猫亭事件』には、いずれにも、恥、体面、自尊心、名誉、長男の面目、末弟の鬱屈、劣等感など、昭和初期に特に色濃かった価値観が強く事件に影を落とす。 猜疑心のスパイラルが生む悲劇を描く『車井戸はなぜ軋る』は、金田一耕助の活躍はほとんどないものの、私の中では(テレビで見ている限り)殺人事件をゲームのように楽しむ言動が不謹慎な印象の金田一耕助の、意外にも、思いやり深さを感じられる作品。

    4
    投稿日: 2024.09.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    中編と100ページほどの作品が2つ。 長くないけど面白く読めた。 タイトルの作品は金田一初登場作品。 残りの2つにも出てきます。 タイトルと「黒猫亭事件」は映像化されてる。

    1
    投稿日: 2024.09.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「本陣殺人事件」江戸時代から続く宿場本陣の旧家一柳家。その婚礼の夜に新郎新婦が離れ座敷で血まみれになって惨殺されていた。金田一耕助初登場の作品。密室殺人のミステリー講義もあり面白い。 「車井戸はなぜ回る」は、急成長遂げた本井田家と没落していった秋月家を中心に、男女の愛や嫉妬や憎しみが交差してこの中では一番面白い。 戦地から帰還した兄は本当の兄なのか?疑心暗鬼の家族の葛藤が描かれ読ませてくれます。 2024年9月1日読了

    1
    投稿日: 2024.09.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    『獄門島』から金田一耕助のデビュー作へ。 本陣殺人事件、車井戸はなぜ軋る、黒猫亭殺人事件の三作が収録されており、特に前二作にはかなりの衝撃を受けました。 ちなみに『獄門島』を読んでいる時から、地の文の”私”は誰なのだろうと確証が得られなかったのですが、「黒猫亭殺人事件」を読んで納得。作家であるYこと横溝先生が、知り合いの金田一から伝え聞いた話……という体裁を取っているのですね。 「本陣殺人事件」は、前々からあらゆるミステリーランキングで目にしていた作品。 横溝先生は人物を魅力的に書き上げるのがうまく、賢蔵と克子の婚礼の儀を読みながら、このまま誰も殺されることなく、普通の小説として読んでみたいなぁなんてことも思い浮かびました。 なので、金田一によってあれが他殺ではなく自殺だったと明らかになった瞬間は、まるで世界がひっくり返ったかのようでした。 そして動機についても、あぁそれなら仕方ないか……と納得。もちろん今の時代に照らし合わせると理解はできないのですが、そこに至るまでの数十ページの描写で、すとんと腑に落ちるほどの人物の作り込みがされていましたから。 私はミステリーをエンタメとして楽しんでいるので、事件が起きることも、集まってくる証言や証拠も、謎解きもすべてパズルのピースがはまっていく感覚で読み進めています。 だからつい忘れがちなのですが、人が他人の命を奪うのにはそれだけの理由があるのです。それを、横溝作品を読んでいるとまざまざと思い知らされる気がします。 ところで、『アクロイド殺し』をはじめ、海外の有名ミステリーへの言及があったのにはヒヤヒヤしました。 ネタバレは踏まなかったものの、こういうことがあると、内外問わず有名な作品にはできるだけ触れておかないとと思いますね。笑 次の「車井戸はなぜ軋る」はかなりずどんと来た作品。なかなか感想を言葉にするのが難しい……。 あえて表現すると、もし私が物書きを志す人間だったら、この世にこんな作品があることを知ったら自分の才能なんてと投げ出していたと思うんですね。 それくらい、疑心暗鬼に陥っていく本位田家の荒んでいく様や、それを書簡に綴る妹の健気さ、そして真相のやるせなさには、強く打ちのめされてしまいました。横溝先生は女言葉で書くのもうまいんだなぁ。 最後の「黒猫亭殺人事件」は人の入れ替わりがちょっと複雑。誰が誰だ?と混乱したまま読み進めました^^; ただ、パトロンの銀造さんもそうでしたが、金田一さんが意外と知り合いが多くてどこの現場でも溶け込めてしまうのがなんだか微笑ましかったですね。風間さんにはぜひ再登場してほしい。 ということでだいぶ長くなってしまいましたが、『本陣殺人事件』にも唸らされっぱなしでした。 もうすでに胸がヒリヒリする読書体験なのですが、横溝先生の激重作品はまだまだこんなものじゃないとのこと。びびりながらも、次の作品へと手が伸びつつある私なのでした〜。

    15
    投稿日: 2024.08.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    初、横溝正史。 クリスティー攻略本で何度も横溝正史の名前が出てくる。「横溝正史はクリスティーを愛好していて作品が相似している」と書かれているので読みたくなった。 作中で作者である横溝正史が、あることを読者に説明するのに、「アガサ・クリスティー女史の『○○』から学んだのである」と語っていた。 作中で名前まで出してるー!突然クリスティーの名前が出てきて何だか嬉しかった。 トリックの使い方や名家一族みんなが何かを隠していて怪しい感じは、クリスティー作品から影響を受けているのかなと感じたけど、横溝正史初心者の私にはそこまで似ているかどうかわからなかった。 『本陣殺人事件』が1番好きだった。 おどろおどろしい雰囲気に謎の不審者の存在が気になり、一気に心を掴まれた。 1946年なのでクリスティーと同じ年代なのに、クリスティーの作品では絶対にあり得ない動機で、当時のイギリスと日本の文化の違いも面白く感じた。 Audibleにて。 次のAudibleは迷いに迷って、『ストーンサークルの殺人』に決めた。 以前に少し聴いたけど、グロが苦手なので途中でやめていた。ブク友さん達の評価も高いので再挑戦。

    90
    投稿日: 2024.08.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    本陣殺人事件 密室の謎が犯人や動機にも繋がっていくのが面白かった 岡山行って聖地巡礼もしたので思い出に残った 車井戸はなぜ軋る 人物が入れ替わっているのかいないのかの謎を引っ張って最後に意外な犯人が待ってるのが良い 黒猫亭事件 顔のない死体と一人二役を組み合わせてのトリックが面白い 時代を感じる舞台も好き

    2
    投稿日: 2024.08.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    江戸時代より続く旧家の婚礼の夜、新郎新婦が惨殺されて発見された。密室となった離れ座敷、悲鳴とともに聞こえてくる琴の音、得体のしれない三本指の男。岡山の農村で起こった不可解な事件に、金田一耕助が挑む。名探偵・金田一耕助の初登場作品。 同じく農村で起こった殺人事件を書簡形式でつづった『車井戸はなぜ軋る』と、東京近郊で起こった「顔のない屍体」の事件を扱った『黒猫亭事件』の二編を併録。 最初の二編は村や一族の来歴に加え、田舎の旧弊さが強調されていて、日本的な陰険で不気味な雰囲気がただよっている。どれも金田一耕助の行動が直接描かれているわけではないので、表立って活躍している印象がないのが意外だった。

    1
    投稿日: 2024.04.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    『陰摩羅鬼の瑕』を読んだら、どうしても『本陣殺人事件』が読みたくなってしまった。 随分久し振りの再読だったので、金田一耕助シリーズの語り手がY氏……もとい、横溝正史本人と気付くのに少しかかってしまった。そうか、伝聞調でストーリーが進むのだったっけ。 3編からなる1冊。表題の『本陣殺人事件』はまさしく『陰摩羅鬼の瑕』につながる部分がありつつも、趣きは180度違う。機械仕掛けのトリックも、物語の装飾如何で受け取る印象も深刻になる。琴と不審人物と雪……事件の背景としてこれ以上のものはないよなあ。 『車井戸〜』も『黒猫亭〜』も、人間の業の深さというか、ムラ的因縁とか、その辺の湿っぽさが壮絶だ。謎やトリックはもちろんのこと、そういった人間的背景が時代感も伴って物語に陰影を与えてるように感じる。 それにしても…………金田一耕助というキャラクターは、魅力的でずるいよなあ。事件の合間を飄々と飛び回る。「金田一耕助」だからこそ、この一連の事件簿はたまらなく面白いのだろう。他も改めて読み直してみようかな。

    15
    投稿日: 2024.03.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     日本を代表する名探偵、金田一耕助のデビュー作「本陣殺人事件」を含む三編が収録された一冊。カーに影響を受けた鮮やかな密室トリックの「本陣殺人事件」は勿論、顔のない死体をテーマにした(一風変わった)「黒猫亭事件」も面白く、読みやすかった。

    1
    投稿日: 2024.02.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    久保銀蔵や磯川警部といった金田一耕助シリーズの主要人物達が登場する作品。 久保銀蔵は金田一の支援者で、本陣殺人事件の被害者である花嫁克子の叔父。 私はこの銀蔵氏がとても好きなのだ。彼はこの時代にアメリカへ渡り苦学してカレッジを卒業している。渡航すること自体大変なことだろうに、さらにあちらで働き生活をしながら自力で学校を卒業したのだ。物語の人物だとしても、とても尊敬できる人物である。また、金田一がアメリカにいた頃に彼の学費の面倒をみたり、帰国後も何かと気にかけて援助をしたり、金田一が「おじさん」と呼ぶところを見ても彼と金田一の信頼関係がよく分かる。

    5
    投稿日: 2023.11.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    日本家屋での密室物理トリックを成立させた初作品。 金田一探偵、初登場作。若い。 登場人物が刑事も含めて素朴な感じがあって、時代を感じる。 しかしトリックや伏線はさすがの名作。 これをきっかけに他作も読みたくなる。

    2
    投稿日: 2023.11.03
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    【本陣殺人事件】 これが…噂の本陣殺人事件……⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝ なるほどなるほど…!! 横溝正史と言えば……!? 『犬神家の一族』 『悪魔の手毬唄』 『八つ墓村』 と並ぶほど有名な『本陣殺人事件』 アメリカから帰国した金田一耕助初登場の作品である———。 ……アメリカっ?!((( ;゚Д゚)) 金田一耕助はサンフランシスコのカレッジを卒業していたのですね〜。 シリーズ6冊も読んでて知らなかった…(^▽^;) 刊行順に読まないのは如何に恐ろしいことかが分かりますね笑笑 そしてお恥ずかしながらググる。 本陣とは……江戸時代以降の宿場で、身分が高い者が泊まった建物。大名や旗本、幕府役人らが利用した。 原則として一般の者を泊めることは許されておらず、営業的な意味での「宿屋の一種」とはいえない。 宿役人の問屋や村役人の名主などの居宅が指定されることが多かった。(Wikipedia) ふむ。 とにかく格式高い家柄での殺人事件てことで。笑 当主(賢蔵)の元に嫁入りしてくる女は、小作人の娘。 明るく教養があり、女学校の教師である彼女に惹かれ、周りからの反対を押し切り結婚を決める。 しかし婚礼の夜、事件が起こる。 3本指の指紋が残る現場。 嫁の叔父(久保銀蔵)とアメリカで知り合った金田一耕助が現場に赴く——。 この作品は読んでおきたい作品。 ミステリーを読む上で、知識としてよく挙げられている。 読んでみて理由がわかった(。-∀-) これはすごい。 何がすごいって——って書きたいが、書けない笑 1箇所ものすごく気に入った点が……♡ 書けないけど笑笑 他作品にはない魅力が満載。 【車井戸はなぜ軋《きし》る】 めちゃめちゃ面白い(°д° )!! 父親が同じ腹違いの息子2人。 この2人は、目が二重と一重以外は見分けが付かないほどそっくり。 大助は金持ちで本家の息子。伍一は分家で育ての父親が自殺した貧しい息子。 伍一は大助に嫉妬していた。 この2人が戦争へ。やがて復員したのだが、伍一は戦死。 大助は両面を負傷し義眼で帰ってきた——。 大助の妹、鶴代が、兄、慎吉に対して送っていた手紙の内容で話が進む。 登場人物の状況と事件の真相が少しずつ描かれ、どうなるのかが気になり一気読み。 二転三転する真実に驚愕でした。 おもしろい!! 【黒猫亭事件】 黒猫亭で起きた顔無し死体のトリック! お見事(*゚∀゚)!! 改装中の黒猫亭の庭先で、女性の死体が掘り起こされる。 その死体の顔は判別不可能であった。 金田一耕助の小説を公認で執筆するY氏の話から始まる。 金田一との出会いが書かれており、ここから始まったのかぁ〜と感慨深い。 顔無し死体と言えば…とのトリックを語る2人だったが、ある日金田一が類似の事件に携わり、Y氏に手紙を送ってきた。 小説内のこんなエピソードがすごく好き♡ 実在するかの様な2人のやり取りが堪らない。 私が読んだ事のあるシリーズモノで初めてだと思う。(〃´-`〃)♡ 顔無しトリック+タイトルからポーを連想させるのも、ミステリーにおいてミスリードさせる要因かなと警戒する。 犯人当てはとっくにあきらめていますがね(^▽^;) 金田一シリーズ、次に読むのはいよいよ『犬神家の一族』かな。 楽しみ(*´艸`)♡

    31
    投稿日: 2023.10.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    言わずとしれた金田一耕助シリーズ第一作。 陰鬱でおどろおどろしい雰囲気。なのですが、神秘的な雪密室で起きた惨劇と事件に用いられた様々な日本古風なガジェット、それらを合わせる事で、どことなく美しく妖しい雰囲気を醸し出していて夢中になって読んでしまった。 横溝作品は未読だったんですが、他のシリーズも早く読みたい。

    25
    投稿日: 2023.10.02
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    かの有名な本陣殺人事件。探偵の証拠集めと解決編の描写は好みの問題だと思うのですが、これは☆4くらい。獄門島に期待。

    0
    投稿日: 2023.09.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    初の横溝正史作品。 本陣殺人事件は、あーなるほどねー、そうかー、という感じ。 黒猫亭事件は、面白かった。

    0
    投稿日: 2023.09.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    金田一シリーズの1作目。 自分にとっても初横溝作品。 3つの中編からなる小説。 どれも殺人事件。 内容を書くとネタバレになってしまうの書きませんが、今読んでもしっかりとミステリーしている良作。 悲しい話が多かったです。

    16
    投稿日: 2023.08.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    『本陣殺人事件』は自選集で読んでいたので再読。『車井戸はなぜ軋る』と『黒猫亭事件』は初読み。初期の作品なので金田一の設定が分かるというのが嬉しい。読者に挑戦的な感じも面白いなと思いました。昭和の時代にリアルタイムでわくわくしながら楽しんでいた人たちがいたのだろうなと想像してしまいます。

    0
    投稿日: 2023.08.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    今読んでるミステリガイドで改めて横溝に触れ、ホラー寄りっていう季節性も合わせ、このタイミングでついに読了。自分にとっては意外にも、3つの中編を収めたものだった。表題作も良かったけど、黒猫もなかなかだった。旧家とか、古びた山村とか、そのあたりがホラーと相性が良く、かつあまり古臭く感じないポイントかな。社会派と冠される清張が全く楽しめず、横溝がそれなりに楽しめる原因は、そのあたりにあるのかも。

    0
    投稿日: 2023.08.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「横溝正史を1,2ヶ月に1冊のゆるいペースで読み返していこう」と決意しての記念すべき一冊目は金田一耕助最初の事件『本陣殺人事件』他中編2編でございます まぁ、話の中身については淳水堂さんや地球っこさんが素晴らしいレビューをあげていますのでそちらを読んで下さいw あとおそらく近いうちにおびーが良いのあげんじゃね?(鼻ホジホジ) もう私のレビューなんて淳水堂さんへの中継地点で十分です むしろ使命感を持って中継地点の任を果たしたい あーでもさすがに最初の事件だけあって、まだ金田一耕助のキャラクターがふわふわもこもこしてたかなくらいは書いておこうかな いやもこもこはしてないわ! それにしてもやっぱ横溝正史は角川文庫やわ〜 角川文庫がしっくりくるわ〜 まぁできれば杉本一文氏の表紙が良かったんですがね 横溝正史ファンの方たちには絶対同意して頂けると思うんですが、横溝正史と言えば杉本一文氏の表紙ですよね まとめサイトとかあるんで懐かしく眺めたりしております というのも、わい全部持ってたんよな〜 横溝正史の角川文庫 100冊くらい? プチ勘当中に親父に全部捨てられちゃったんだよね〜 惜しいことしたな〜 凄い数の海外の古典の探偵モノとか秘蔵のエロ本コレ○○ョンとかも全部捨てられちゃったんよ(伏せ字が意味ないとこ!) ほんともう犯罪だわ ハヤカワのクリスティ文庫とかも全部揃ってたのに! うん、ゆっくり読み返していこう 先は長いぜ!

    60
    投稿日: 2023.08.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    金田一耕助が最初に登場した『本陣』をはじめとする初期の三つの事件。 この三つの事件から分かった金田一耕助の来歴はこんな感じ。 ●十九歳で、同窓生の風間俊六(『黒猫亭』に登場)と共に東京に出て大学に通う。 ●1930年代:なんかふらりと渡米してしちゃった。アメリカでは毎日ぶらぶら暮らして危うく麻薬中毒患者となりそうなところを日本人街で起こった殺人事件を見事に解決!それを見た日本人実業家久保銀造(『本陣』の関係者)が耕助のことを気に入り、パトロンになった。この時耕助はアメリカのカレッジの学費を出してもらってる。金田一耕助はアメリカの大学を卒業していた!!もじゃもじゃボサボサよれよれだけどアメリカの大学卒業って、この時代にすごい経歴ですよね。 ●1930年代半ば:日本に帰り、久保銀造から費用をせしめて探偵事務所を開設する。初めは「門前雀羅(もんぜんじゃくら)、事務所には閑古鳥」状態だったけれど、大阪で起きた大事件を見事解決し、日本中にその名前を轟かせ、警察の上層部とも知り合いになる。 ●1937年(昭和12年):24、5歳で『本陣殺人事件』を解決する。この時知り合った磯川常次郎警部とは、今後も岡山県で起きる事件で組むことになる。 『本陣殺人事件』は、「疎開中の横溝正史が、村の人々から聞いた話」という体裁となっている。 ●1940年くらい:召集されて、中国や南洋の戦地を転戦する。(終戦後、そのまま「獄門島」に向かう。) ●1946年(昭和21年) :34、5歳。『獄門島』事件の帰りに、岡山に疎開していた探偵作家・Y(横溝正史)を訪ねる。ここで横溝正史は正式に金田一耕助の記録作家になり、親交が始まる。 『車井戸はなぜ軋る』もこの年の事件。 ●1947年(昭和22年):探偵事務所はもう閉めたらしい。召集時に閉めたのかな。 終戦後、同郷で同窓生の風間俊六と再会する。風間俊六は建築業の親分となり、茶目っ気と男気があり、鋭さも若々しさも持っている男で、金田一耕助は、風間の二号だか三号だか十七号だか…がやっている旅館に住まわせてもらっている。(『黒猫亭事件』) 金田一耕助のパトロンは、久保銀造と、この風間俊六の二人に増えました 笑 なお、金田一耕助が警察と合同捜査できるのは「警察上層部の推薦状」を持っているからということ、そして人を惹きつける性質のためついついみんなが助けてしまうという人柄のため。 金田一耕助の捜査方法は、「警察による足跡捜査や、指紋検出から得た結果を論理的に分類総合して推理する」という方法です。 『本陣殺人事件』 終戦を迎えた横溝正史は「これからは本格小説一本でやっていこう」と決意する。 横溝正史が取り上げたテーマは「日本家屋における密室殺人」。どうやらこれが日本の推理小説初の密室殺人事件のということ。 昭和12年。 江戸時代には宿場の本陣であった一柳家で、40歳で当主で賢蔵氏と、27歳で元女学校の教師の克子の婚礼が行われた。 その明け方に鳴ったまるで引っ掻くような琴の音。そして悲鳴と倒れるような物音。 人々が夫婦の別宅に飛び込むと、そこには惨殺された夫婦の死体があった。 入り口はすべて閉ざされ、庭に積もった雪には足跡もない。 そこへ登場した金田一耕助という探偵。そしてまた琴の音が響き…。 === 動機が、没落する田舎の旧家で代々の気質が組み合わさって起こったかなり特殊なものになっている。それでも当時の閉鎖的な村の因習やら、登場人物たちの気質やらを考えると、この時代の本人たちにしてみたらそうなるしかなかったのか…と思えてしまう。 犯人は密室にするつもりはなかったのに、偶然の出来事と、犯人の心理が大きく動いたたために結果的に密室になった、ということがより劇場的になっている。 『車井戸はなぜ軋る』 K村の名家本位田家は、先代夫婦が車井戸に身を投げたことにより没落を辿っていた。 現当主の庄次郎は名家の跡取りとして鷹揚に育っていた。しかし彼には母親違いで小作人の伍一がいた。 二人は出兵し、庄次郎だけが戻ってきた。だが彼は盲目となり、人が変わったように暴力的な性格となっていた。はたして帰ってきたのは本当に庄次郎なのか。 『黒猫亭事件』 横溝正史は金田一耕助に「”顔のない死体”の推理小説って、だいたいが入れ替わりなんだよね。それだけじゃない”顔のない死体”推理小説が書きたいなあ、なにかいいネタないかい?」と聞いてみた。すると金田一耕助がこんな事件を提供してくれた。 色町の酒場「黒猫」の裏庭で、顔の判別がつかない女の死体が見つかった。「黒猫」の女将のお繁かと思われ、亭主の大伍の行方が捜索される。 だがこの夫婦にはそれぞれ密会の相手がいたらしい。お繁の男は建設業の親分の風間俊六。大伍の囲い女はお艶。 それではこの死体はお艶なのか、お繁なのか?

    27
    投稿日: 2023.07.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    昔ながらの推理小説って感じで大好き。 短編の推理小説が3作あったんだけど、自分的にはミステリってやっぱり長編の方が読み応えがあるんだよね。短編だと結末までがあっさりしてしまうというか。 それを差し引いても面白かったっす。

    2
    投稿日: 2023.07.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    昔の雰囲気を味わいたい時に横溝正史の小説を読む。金田一耕助が主人公だと思うのだけど、語り手が居てその人によって物語が事件が話されていく。読みづらいわけではなく、むしろ私自身も語り手と一緒になって事件を覗いているような感覚になる。今回の物語は、そこまで怖くなく、むしろその人物たちの人間模様が描かれている。

    0
    投稿日: 2023.04.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    あまりにも有名すぎて読む気が起こらなかった金田一シリーズ。。 個性豊かな人間たちの意味深な関係や、田舎特有の鬱屈とした雰囲気づくりが巧みで物語に没入できた。時々登場する少女のしおらしく可憐な様子が薄暗い感じを助けていて一層よかった。 とにかく作風が好みだった。 この筆者と、「一族」とか「獄」とか「村」の雰囲気はかなり相性が良さそうなので他の作品も読んでみたい。

    3
    投稿日: 2023.03.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    記念すべき第一回探偵作家クラブ賞(現日本推理作家協会賞)受賞作品。 再読のはずだが、例によって犯人もトリックも動機も全く覚えてない。ただ、横溝作品に濃密にただよう猟奇的な雰囲気のみをよく覚えていて、再読したのもそれを楽しみたかったから。 改めて再読して動機の部分では、今ではありえないものであるのに驚いた。とは言っても80年くらい前の話であるので、日本のその後の変わりようが凄まじいと言わざるをえないが。 上記のように古臭さはあるが、お話はそのものはよく出来ているし、同時代の事件を描いた併録の二作品も楽しめた。横溝作品は手元に何冊か積読状態であるので、また楽しみたい。

    9
    投稿日: 2023.03.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    ガストン・ルルーの『黄色い部屋の秘密』が引き合いに出された時点で、他殺ではない、と予測がついてしまった。横溝先生、それでいいんですか、と読者としてツッコミを入れたくなるけど、、、ミステリーマニアのおこした殺人事件なんだから、あのルルーとかの探偵小説談義に花を咲かす場面はある意味重要な伏線だったんだあ、、、と読み終わったあとに感じた。 とうぜん横溝先生もこれら洋物のミステリーを読み込んでおられたわけだし、それを換骨奪胎して和のミステリーを書き上げようとした横溝先生の気概が伝わる。結果として金田一耕助という魅力的な探偵シリーズものを作り出したのだから、先生大成功ですよと拍手をおくりたい。

    2
    投稿日: 2023.02.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    金田一耕助初登場作品。 元々は東西ミステリーベスト100で1位の『獄門島』を読むつもりでしたがまずはシリーズ第1作を読まねばと思った次第です。 『本陣殺人事件』 終戦後間もない1946年に書かれた作品です。 日本家屋に関する言葉の意味が分からなさすぎて、現場の情景が浮かばず、その都度スマホで画像検索しました。枝折り戸、四つ目垣、格子戸、戸袋、欄間、鴨居…等々。 約200ページの話ですが、金田一耕助が出てくるのは70ページを過ぎたところ。 登場時点(昭和12年の事件)で25、26歳の青年だけど、20歳の頃にアメリカに渡って麻薬常習者になってたという話が出てきて、じっちゃんってそんなファンキーな人だったの!?と驚愕しました。 『金田一少年の事件簿』に漂うおどろおどろしさはじっちゃん譲りなんですね。トリックも思った以上に大掛かりで、これだけの話が戦後間もない時代に既に考えられていたことに驚きました。 (小説を読んだ後に連続ドラマ版(古谷一行主演、1977年)をU-NEXTで観ました。あの大掛かりなトリックが映像だとどう表現されるのかが一番の目的でしたが、見事に原作通りで、家屋等のロケ地もよく見つけたなという感じだし、犯行動機の改変も説得力があり、面白かったです。また、推理小説をそのまま映像化するのは難しく、どう取捨選択するかが大事であることがよく分かりました。映像化する時はトリックの詳細な説明よりも犯行動機などの抒情的な部分を強調した方がドラマとして受け入れやすいのでしょうね。あと70年代の女優さんは本当に美しいですね。) 『車井戸はなぜ軋る』 見事に騙されました。物語冒頭で僕は「事の真相はこうだろうな。ちょっと簡単すぎじゃないかな」と思って、実際そういう方向で進んでいくのですが、終盤の怒涛のどんでん返しに圧倒され、読み終わった後の脱力感が凄かったです。 これ金田一必要ないんじゃない?と思って調べてみたら、元々は1949年に発表された作品で、1955年に改稿して金田一ものにしたという経緯だったそうで、なるほどーと思いました。 『黒猫亭事件』 こちらも見事に騙されました。冒頭で事件の真相に触れていて、途中でなるほど、そういうことかと思ったのですが、終盤でさらにどんでん返しがあり、そのことも最初から堂々と書いてあることに気づいた時の衝撃が凄まじかったです。 金田一耕助は実在の人物で、横溝正史は彼が関わった事件の話を本人から聞いて、それを小説にしているという設定なんですね(『本陣殺人事件』の時は無許可で名前を出してるのはどうかと思いましたが)。次はいよいよ『車井戸はなぜ軋る』『黒猫亭事件』でも名前だけ出てきた『獄門島』を読みます。

    2
    投稿日: 2023.02.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    金田一初登場作品!機械的トリックが凄い、犯行動機もまた凄い!!日本でしか発想できない日本的推理小説!!!

    2
    投稿日: 2023.01.29
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    #読了 八つ墓村に続いて読んだ。今回は一冊に三編が入っている短編集?なのかな。それでも一編一篇が充実していて満足感がる。この怪しい雰囲気が本当に好き。なぜもっと早く読まなかったのか。 ドラマなんかで見ると金田一耕助の人となりってあんまりよくわからないんだけど、こうして連続して読んでいくとこういう人間なのかーとわかってドラマとか見直したらまた面白そう。

    0
    投稿日: 2022.12.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    『本陣殺人事件』名探偵金田一耕助の推理が光る。旧家の新郎新婦が惨殺死体で発見された。密室トリックの作り方と、犯人の意外性が良かった。ラストの語り手の記述に嵌められた。 『車井戸はなぜ軋る』本位田家という名家の娘が療養中の兄に宛てた手紙で物語が進む。 戦争から復員したもう一人の兄と、その異母兄弟が入れ替わっているのではないかという疑惑が、サスペンスの雰囲気を醸し出していた。殺人のトリックも井戸を上手く使っていた。 『黒猫亭事件』黒猫という店で相好の分からない死体が見つかった。『顔のない死体』は密室殺人、一人二役に並ぶ探偵小説の大トリックである。警察の捜査は難航するが、金田一耕助は分かっていた。最初の、探偵小説家の「私」と、金田一耕助の会話がラストに効いてくる。一人二役は読者に悟られてはならない、伏せておくトリックである。 金田一耕助は凄い。難事件をいとも簡単に解決する。正に名探偵!

    6
    投稿日: 2022.10.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    表題作では密室殺人、『黒猫亭事件』では顔のない屍体のトリックに挑んでいる。既に作者お得意の、日本の古い伝統、因習の残る社会で起こる殺人事件によって物語に漂う暗く重い、一種独特の雰囲気が出来上がっている。『車井戸はなぜ軋る』は『犬神家の一族』の原型と言っていいだろう。ミステリーファンならば一度は手に取って欲しい一冊。

    0
    投稿日: 2022.09.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    初横溝正史作品。 表紙復刻に魅せられて買ってしまいました。 字体に古さを感じるけど、練られたトリックと、入り乱れた複雑な人間関係は現代でも通用する傑作でした。 表題作よりも、「車井戸はなぜ軋む」が、面白かったです。文通形式で進むタッチは読んだこと無かったので、意外と新鮮な気持ちで楽しめました。 黒猫亭事件は、人間の汚さ、おどろおどろしさが詰まったくらーい話でした。

    3
    投稿日: 2022.07.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    かつて宿場本陣として栄華を築いた一柳家で起きた密室殺人の謎に金田一耕助が挑む。 雪の降りしきる早朝、日本家屋で結婚式を挙げたばかりの新郎新婦が死体で見つかるという、趣たっぷりでワクワクする舞台設定だ。密室のトリックとしては、派手で面白いがかなり無理があるように思われる。実際にやってみたとして成功する確率は極めて低いだろう。 作中、耕助が登場人物の一人と探偵小説について語る場面があり、彼はそこで機械的な密室トリックを批判している。そして、この事件の密室も機械的なトリックで作られており、それを仕組んだのは耕助と語った相手であった。メタ的な視点だが、機械的トリックを好まなかった著者が、あえてそれを使って密室を作ったと考えると面白い。 物語の最後に著者は、必要な情報は与えているし、読者を意図的に騙すようなことはしていないと述べている。読者諸君が勝手に勘違いしただけでしょ、というようなことを言っていて、興が冷めてしまった。この記述は蛇足だっただろう。

    0
    投稿日: 2022.07.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    横溝正史の作品を初めて読みました。 江戸時代からの宿場本陣の旧家、一柳家。 一柳家の長男である賢蔵と女学校の先生をしていた克子。 その二人の婚礼を終えた深夜四時に人々の悲鳴と琴の音が響き渡る。人々が離家に行くと座敷には新郎新婦が血まみれで殺されていた。枕元には、家宝の名琴"おしどり"と三本指の血痕の付いた金屏風が残され、一面に降り積もった雪は、離家を完全な密室にしていた……。 金田一耕助の初登場となる作品! 密室殺人事件の設定やトリック、次々に明らかになる事実に惹き込まれました。 最後まで本当に面白かったです。

    4
    投稿日: 2022.07.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    初横溝正史だったけど、めっちゃくちゃ面白かった……!!!! かなり古い本だから読みづらい部分もあるのかと思ったけど、むしろ逆。すごく読みやすくて、無駄な情報も装飾もなく頭に入ってくる。登場人物多いけど、あっさりこの情報は関係ないって捨てるのが斬新で驚いた。 きいた話を小説に起こすという手法でとられているのね。 有栖川有栖ばっか読んでたからか、淡泊だけど分かりやすい文体なのが印象的なのかもしれない。推理小説の中でもかなり読みやすいと思う。 展開も二転三転して飽きないし、どうなるんだろうって夢中になって一気読み。有休とったからもうちょっとほかのことしようと思ってたんだけど。 おどろおどろしい雰囲気と真相の恐ろしさは当然ながら、金田一のキャッチーさが可愛くてギャップ萌え。 驚いてどもる人を、僕の真似しなくていいですよっていちいち訂正するとこが好き。あと風間も好き。 本陣殺人事件はあまりにもすごいトリックと動機にびっくり。三本指だと琴が弾けるってのと、初夜を押入れに潜んでじっと見てたっていう文章に恐怖。猫の墓のシーンと窯から死体見つけたところ怖すぎた……。 車井戸はなぜ軋る、これはとっても残酷な話だよ。 疑心暗鬼になり崩壊していく名家の話。書簡形式好きなんだよね。聡明な妹がかわいそう。 黒猫亭事件が一番好きかなー。完全に犯人の手の上で転がされていました。金田一が犯人のことを散々な言葉で称するから気になってたけど、まさにって感じ。風間が好き、もう浮気すんな!(笑)猫が死んだ理由とか、鮎子という女とか、糸川の浮気の真相とか、回収がとっても気持ちよかった。 次は獄門島読む! 時々出てくる「あの獄門島事件の」って言葉が気になって気になってしょうがなかったの!

    4
    投稿日: 2022.06.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    表題作のトリックは少し納得がいかなかったが、恐怖心を煽るような不気味な演出は秀逸。 因習的な旧家から滲み出る薄気味悪さ、息の詰まるような閉塞感が凄惨な事件と相まって、良い味を出している。

    0
    投稿日: 2022.06.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「日本ミステリに夜明けを告げた、若き情熱の結晶である」という帯にひかれて購入した。まず、トリックの緻密さ、その意外性が印象に残った。そして、それを見破っていく金田一耕介の推理力、観察力も素晴らしかった。その一方で、登場人物があまり深く描かれていないように感じた。金田一耕介の意外な過去の記述は興味深かったが、他のキャラクターには感情移入できなかった。中編の分量で人物を描くところまで紙幅が足らなかったのかも知れない。それでも、読者もいろいろ考えながら読むことができる。どろどろした恐怖より、トリックが崩されていく過程を楽しみたい人におすすめです。

    0
    投稿日: 2022.04.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    金田一の朴訥とした人柄・風貌と、事件の凄惨さ・奇怪さがケミストリー。いつもながらじっとりとした湿り気をもっている。「本陣殺人事件」は密室殺人、「黒猫亭事件」は顔のない屍体という、推理ものの常套型・公式を破ろうとする試み・挑戦状に思えた。面白かった。

    14
    投稿日: 2022.04.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「東野圭吾」の『名探偵の呪縛』を読んで、本格推理小説の密室モノが読みたくなり、、、 「横溝正史」の『本陣殺人事件』を読みました。 『名探偵の呪縛』の中でも密室モノの例として紹介されていた作品で、名探偵「金田一耕助」の初登場作です。 単純な密室モノでは終わらず、不気味な三本指の男が登場したり小細工が琴に結びつけられたりと、怪奇色が演出してあるところが「横溝正史」の作品らしいですね。 ≪ちょっとネタバレ≫ 本文中にも触れられているとおり、トリック自体は「シャーロック・ホームズ」シリーズの『ソア橋の怪事件』の発展型でしたが、、、 独特の怪奇的な演出により、類似性はあまり感じませんでしたね。 -----story------------- 昭和12年(1937年)11月25日、岡山県の旧本陣の末裔一柳家の屋敷では、長男「賢蔵」と「久保克子」の結婚式が執り行われていた。 式には一柳家から「賢蔵」の母「糸子」、三男「三郎」、次女「鈴子」、分家「良介」と久保家から「克子」の義父「銀造」が顔を揃えていた。 式は「鈴子」が琴を披露するなどして、何事もなく終了した。 その夜遅く、屋敷内に只ならぬ悲鳴と、激しい琴の音が響き渡った。 「銀造」らが夫婦の寝室である離れへ駆けつけると、夫婦が布団の上で血塗れになって斃れていた。 庭の中央には血に染まった日本刀が突き刺さっており、周囲には足跡一つ残っていなかった。 周りに降り積もった雪のために、離れは完璧な密室状態と化していた。 ----------------------- ちなみに文庫本には、 ■本陣殺人事件 ■車井戸はなぜ軋る ■黒猫亭事件 の3篇が収録されています。 顔を負傷して戦争から復員した長男が、異母兄弟とすり替わっているんじゃないかと疑惑を抱く家族。 そんな最中、殺人事件が勃発する… 舞台や設定が、いかにも「横溝正史」作品らしい『車井戸はなぜ軋る』。 「横溝正史」と「金田一耕助」が初めて出会い、本格推理について論じ合うエピソードが収められ、"顔のない屍体"をめぐるトリックが楽しめる『黒猫亭事件』。 『本陣殺人事件』以外の2編も「横溝正史」らしい作品で、3編とも、とても楽しめました。 個人的な好みでは『黒猫亭事件』をオススメします。

    0
    投稿日: 2022.03.28
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    金田一シリーズ、ドラマや映画は何度も観てるのに、原作をちゃんと読んでなかったなぁと思って着手。 雰囲気あるなぁ。昭和前半の日本の生活や価値観、倫理観などもろもろ。面白い。

    1
    投稿日: 2022.03.11
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ああこの陰湿な感じ、まさに横溝作品だな。 おどろおどろしいというか愛憎渦巻くというか纏わりつくような陰気さがある。 トリック自体はそこまで奇抜ではない。 でも死者を取り巻く人間関係が事件を複雑化させる。 全三篇収録されており、手紙を通して語られる『車井戸はなぜ軋る』が特に面白かった。

    1
    投稿日: 2022.02.17
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    『本陣殺人事件』『車井戸はなぜ軋る』『黒猫亭事件』収録。今まで表紙がなんとなく怖くて手を出していなかったのですが、やっと読むことができました。薄暗い雰囲気がいい。密室殺人に誰だかわからない遺体…。3編とも犯人に驚いた。密室トリックもおもしろかった。他のシリーズも読みたい。

    0
    投稿日: 2022.01.31
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    本陣殺人事件・車井戸はなぜ軋る・黒猫亭事件 三遍収録されていました。 長編ではなかったのですね。 知りませんでした。 しかし、ドキドキフンフン時間を過ごさせていただきました。ありがとう横溝正史様。 次回作にも益々期待して居ります。

    0
    投稿日: 2022.01.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    表題作のほか、「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」の三作品を収録しています。 「本陣殺人事件」は、資産家である一柳家の長男である賢蔵とその妻となる克子が、結婚式を挙げた日の夜に密室のなかで死体となっていたのが発見される事件です。克子の伯父である久保銀造が金田一耕助のパトロンで、彼の依頼を受けて金田一が事件の解決に乗り出します。 「車井戸はなぜ軋る」は、戦争で両目を失明した本位田大輔の妹である鶴代の手紙をまとめた形式の物語です。彼女は、復員して帰ってきた大輔が、すっかりひとが変わってしまっていることから、腹違いの兄弟である秋月伍一の成り代わりなのではないかと疑い、次兄の慎吉に手紙を書いて胸のうちの苦しみをつづります。 「黒猫亭事件」は、事件のてんまつが語られる前に、従来のミステリ作品であつかわれた「顔のない屍体」の事件とは異なるトリックを求める作家が登場し、本編ストーリーへの導入となっています。 「本陣殺人事件」は、「八つ墓村」のような閉鎖的な村のありかたに焦点をあてたものではなく、トリックそのもので読者を引きつける本格寄りの内容ですが、トリックが技巧的にすぎる気がします。もっとも、事件の動機に関係しているこの時代の旧家の倫理観にも、こんにちの読者にとって興味をおぼえる要素の一つだと思います。

    0
    投稿日: 2022.01.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    金田一耕助、3話の中編。 ドラマや漫画で読んでいましたが 結構渇愛されているところがあるな、と。 確かにこれを入れると、ちょっと長くなって 説明が面倒だと思える場所でしたが。 結婚式の次の日惨殺された夫婦 屏風の話、黒猫と埋められた死体。 最後だけ、知らない話でした。

    0
    投稿日: 2021.12.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     「八つ墓村」が思いの外怖くないことがわかったので、横溝正史も読んでいこうと思う。本書は中編が3編収録されており、表題作は密室殺人。琴が小道具に使われていたり、古き良きミステリーの様相がどこか懐かしい。密室トリックはうまく想像できず。家柄や清廉潔白などが重視されるところが、時代を感じられて面白い。  今回は金田一が大活躍していたので、一安心。本書は「金田一耕助ファイル2」とあるが、随所に獄門島のワードがちらほら。時系列順ではないのかな?

    0
    投稿日: 2021.10.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

     この本も初出データの記載が無いが、表題作は1946(昭和21)年のようだ。併収されている2編も、その直後くらいと思われる。いずれも金田一耕助シリーズで、表題作はその初登場するもの。  先日読んだ『真珠郎』(1937年)が意外に面白かったので金田一耕助にも手を染めてみた。この探偵の人物的魅力が、よく効いている。角川映画でもあったように、興奮するともじゃもじゃ頭をぐしゃぐしゃとやるのが、いい。  後出の松本清張の本格推理長編小説の方は、このような魅力ある探偵像を欠いていて不満だった。清張の良作はむしろ、サスペンス系の短編小説の方にあると思う。  横溝正史は欧米の本格推理小説をよく読んで、同じような構成を日本的風土の中に持ち込んでいる。本書に収められた3編とも終戦直後の国内の様子が伝わって、それも興味深い。この作家は1981(昭和56)年に亡くなったので、この人の作品を辿っていくと、敗戦後から高度成長期の日本の雰囲気をなぞることが出来るのではないか。  表題作は密室ものだが、このトリックにはちょっと無理があると個人的には思った。むしろ併録の「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」の方が私には良かった。とは言え、いずれも巧みに興味を引きつけられ、ぐいぐいと読ませてくれる。やはり、昭和の代表的なエンタメ作家の一人と言うべきなのだろう。  欧米の本格推理のクラシカル作品を私は中高生の頃に読んで楽しんでいたが、ここに来てやっと横溝正史の面白さに出会い、これからたびたび読んでみようと思う。このエンタメ文学の快感もまた、意味ある読書の楽しみの一つである。

    0
    投稿日: 2021.09.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    『本陣殺人事件』 密室に真っ向から挑んだ傑作。 もう何というかロマンが詰まってる。 トリックは読後に映画版で見るとより分かりやすかったが、本で読んでその光景を思い浮かべるだけでも本当にワクワクする。 そして三本指の男の使い方も面白く、琴などのガジェットも良い雰囲気を作っている。 『車井戸はなぜ軋る』 他二作に比べると少し劣るが、加害者にアリバイがある(移動できない)のならば、被害者が移動すれば良いという発想は盲点をついていて良かった。 濡れている不自然さを無くすため、死体を井戸に入れたという理由も納得。 『黒猫亭事件』 表題作で大興奮し、その他2作は少し気を抜いていたのだが、これも傑作。 「顔のない屍体」と「一人二役」(今作では三役?)というものを別々の型として挙げることで、そのどちらもが使われていることを上手く隠している。 黒猫の使い方、夫が自分を殺す動機を作るために"浮気相手"のフリをするという発想などがとても面白かった。

    5
    投稿日: 2021.07.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    ミステリーを好んで読み、これまで自分に読めるだろうか…と不安を持っていた横溝作品を思い切って読みました。 今まで不安はどこへいったんだ!?と思うくらい読みやすい作品でした。古い作品なので昔の言い回しなどもありますが、それもまた趣があります。 少しばかりイメージが難しい部分はありましたが、それは全く気にならない程人間模様が作り込まれている作品です。 敬遠している方は是非ともお読みください。

    0
    投稿日: 2021.07.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    インテリ女のテンプレを見てる気分だし、当時の倫理観が見えて勉強になる。 車井戸の書簡形式やっぱりいいな………。 犯人が一番読めなかったのは本陣かな…。

    0
    投稿日: 2021.05.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    海外の推理小説(「カササギ殺人事件」)を読んだ後だったこともあって、日本ものでかつ横溝正史はしっくりくるなあと思いました。ただ、「黒猫亭事件」はトリックにこだわりすぎな感じがしました。

    0
    投稿日: 2021.04.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    三つの短編。それぞれテンポよく進み、どれも違う趣向の作品なので、飽きずに楽しめる。横溝の長編にチャレンジする前の肩慣らしみたいに読んでもいいと思う。 「本陣殺人事件」金田一耕助、初登場作品。 「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」併録。

    1
    投稿日: 2021.04.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    意外にも、初金田一かも(^ ^; 映画やテレビドラマは見たことあったけど...(^ ^; 「ビブリア」読んでて、無性に横溝作品を読みたくなり購入。 さすがに文体が古いので、慣れるまではちょっと 読みにくいと思っておりましたが... 読み進むと、シンプルに「面白い」(^ ^ 多少無茶めな仕掛けも、警察の稚拙な捜査も、 時代背景を飲み込めさえすれば楽しく読める(^ ^ 「推理作家である作者」が狂言回しとなり、 金田一君や関係者から聞いた話を書き記す... という体が、果たして必要なのか? とも思ったが(^ ^; これはこれで、全体が軽くなり、読みやすくなっているかも。 元々、割と若い人向けに書かれてるのかな(^ ^ 最近のミステリが、伏線を「いかに隠すか」という 傾向にあるのに対して、本作は「引っ張り」が強い(^ ^; 2時間サスペンスの「CM前」もかくや、という感じ(^ ^ これはこれで、エンタテインメントに徹底しようという 心意気の現れとも言え、嫌いじゃない(^ ^ 文体が古めかしいせいか、楽しく読める割に 読後にやや「お腹いっぱい感」が残るような(^ ^; 他の作品も買ってあるが、少し時間を空けて読むかな(^ ^;

    2
    投稿日: 2021.04.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    昔、石坂浩二さんの金田一シリーズが好きで、その時に有名な作品は一通り読みました。中学~高校時代だったので、トリックは理解していたけど、肝心の殺人に至る物語を表面的にしか理解出来ていなかった事を痛感しました。改めて、時間が掛かっても読み返そうと思います。

    15
    投稿日: 2021.03.25
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    金田一耕助の個性が光る作品。それだけでも読む価値がありました。表紙もシンプルで格好良いです。 誰よりも早く事件解決をしたくてノート片手に調書もどきを作って読み進めていましたが、上手くいかないものです。

    0
    投稿日: 2021.02.20
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    金田一耕助シリーズ、ファイル2。前回の獄門島で話に出てきた本陣殺人事件を読んでみたくて早速買ってきた。 昨年はもう少し近代の推理小説にハマって読んでいたけど、どれも途中で犯人がわかってしまい少し熱が引いていた。だが、今作品集は二転三転するからおもしろいし、気味の悪さがストーリーをより良い方へ引き上げており、再び推理小説熱が増してきたようだ。 本陣殺人事件も、車井戸も、黒猫もよく練られており名作であるのは間違いない。 それにしても、殺人の動機ともなる、女性への処女性を求めるこの価値観は不思議だ。もし現在にその価値観が持ち込まれたら世の中、殺人ばかりになりそうだ。逆にこのシリーズを通して、当時の価値観についても興味が湧いてきた。

    5
    投稿日: 2021.01.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    本書は金田一耕助シリーズの一冊で、表題の『本陣殺人事件』、『車井戸はなぜ軋る』、『黒猫亭事件』の三篇が収録されている。以下、一言二言三言コメント。 『本陣殺人事件』・・・「金田一耕助、密室殺人事件に挑む!」という触れ込みだが、やはり特筆すべきはトリックではなく、犯人の動機等事件の背景にある事情だろう。犯人が陥ったこのジレンマにはなんとも共感出来てしまう。旧家のしがらみと自己矛盾からの脱出より生まれたこの惨劇、読了後に感じるのはなんとも言えない寂寥感。 『車井戸はなぜ軋る』・・・『犬神家の一族』を読んだ(観た)人ならすぐ気付くだろうが、「顔面に大怪我を負っていて本人かどうか分からない」、「本人確認を行うために、神社に奉納されている絵馬の手形を使う」という件が同じで、当該作品の原型と言える。元々、金田一耕助シリーズとは一切関係なく、金田一との絡みは後付けらしい。 『黒猫亭事件』・・・これはただただ犯人の豪胆さに驚かされる。「言うは易く行うは難し」とは言ったもので、確かにそのとおり実行すればうまくいくが、実際に出来るかと言われるとあまりにもリスキー。戦後の混乱時期という時代背景だからこそ出来るものかと思わされる。(この作品に限らず、シリーズ全般に言えることかもしれない。)

    0
    投稿日: 2020.11.22
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    本陣は、序盤の雰囲気が怖くてちびちびページが進まなく困った。 でも、ただの雰囲気作りじゃなくて、一つ一つに意味があったのはすごいと思う。 あと、トリックを実際にやってみた映像がYouTubeに上がってて、テンションが上がった。 車井戸は、鶴代が悲惨すぎる⤵︎ビックリ死ってやつなのかな⁇ 黒猫は、一番読みやすいミステリーしてて、読みやすく面白く思った。 金田一耕助はお初だったけど、この名探偵の喋りや頭をかきむしる癖だったり、良いキャラしてんなーって惹かれしまった。 次は獄門島かなー

    3
    投稿日: 2020.10.26
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    読んだのは2回目なんだけど、やっぱり面白い。 病院坂の首縊りの家の読後に読むとまた読んだ感じが違ってくる。

    1
    投稿日: 2020.10.16
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    初めての横溝正史。 角川から出ているシリーズでは今作の前にもう1冊あったのだが、時系列で言えば、この作品が金田一耕助の初登場らしい。 横溝正史はとにかくおどろおどろしいイメージが強く、ホラーは苦手な私は本はもちろんテレビドラマも敬遠してきた。 思い切って読んでみたが、予想に反して意外と大丈夫、しかもとても面白い。 読んだことも見たこともない私でもなんとなく知っている、あの風貌の金田一耕助のキャラが恐怖を和らげているのだと思う。 この本陣殺人事件は、3つの事件が入っているいわば短編集。 短編と言ってもひとつひとつがギュッと濃縮されていてひとつ読み終わるたびに大きく息をつく。 事件のあった家の紹介は時折こんがらがってしまうので、人物相関図などを書きながら読み進めた。 時代が時代ならものすごく話題になるだろうことも容易に想像がつく。初版から40年以上経っても色褪せないこのミステリーにハマってしまいそうだ。

    0
    投稿日: 2020.09.19
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    「本陣殺人事件」「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」 この3つの作品が入っているのですが、どれも面白いです。「密室」「一人二役」「顔が不明の死体」の3種類なのですが・・・ちょっと現実離れしているトリックもありますが、それがまた面白い! 金田一シリーズは読めば読むほど引き込まれていきます。

    7
    投稿日: 2020.04.18
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    表題作はテレビで映像化作品を見たことがあったので、トリックや真相はなんとなく記憶にありさらさらっと読めてしまいました。事件の起こった原因がわかるとその人がそんなことができるのか?ということが気になりましたが、この話では重要なのはそちらではなくトリックなんでしょうね。同時収録されている「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」の方が初読だったこともあるのか、純粋に楽しみました。既に終わったことになっている「獄門島」の事件が気になります。角川文庫の金田一耕助ファイルの順に読もうとしていますが時系列は違うようですね。

    0
    投稿日: 2019.06.14
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    本陣事件殺人事件 車井戸はなぜ軋る 黒猫亭事件 第1回日本探偵作家クラブ賞 著者:横溝正史(1902-1981、神戸市、小説家)

    0
    投稿日: 2019.04.24
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    戦前から戦後にかけての社会を味わいたくなるとつい手に取るのが金田一シリーズ。探偵小説ではあるんだけれども、日本の村社会、風俗、近代であってもおどろおどろしいこの雰囲気が独特でやめられない。 金田一氏の来歴がちょこちょこ出てきてテンションあがった。アメリカ帰りだったのかよ!とか。

    2
    投稿日: 2019.02.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    本陣殺人事件 タイトルに納得。 なるほど手の込んだミスリード。 次男怪しいと思ったんだけどただのいい人だった…… 車井戸はなぜ軋る 登場人物が少なくて読みやすい! その分人間関係がおぞましい。 計算ずくの黒猫亭よりよほど。 黒猫亭事件 仕掛けの面白さと、思いがけず面白い人物が出てくるの。

    0
    投稿日: 2018.12.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    デビュー作込みで3本立てになっている。読んでいる内に横溝正史流、戦中戦後の混乱した世相と保守的に凝り固まった田舎の描写に慣れてきた。「〜かしらん」と普通に使ったり紫色を菫色と呼んだりする昭和感溢れる古風な文章が、人に潜む狂気や病的な部分をより劇的に見せてくれる。 個人的に『車井戸はなぜ軋る』が面白かった。話の筋と屏風のテーマを重ねた妙、語り口の変化がテンポよく話を進めること、お見事。 ルルーだのカーだの探偵小説の古典がよく引き合いに出されるので読みたくなった。

    1
    投稿日: 2018.12.23
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    何となく急に読みたくなったので。 実は、コミック版はいくつか読んでいて、パスティーシュなんかも読んでいたため、トリックとか犯人とかは予め判っていたりします。(^^; 横溝正史の名前から、もっとどろどろとした話の印象を持っていましたが、結構、軽めの印象でちょっとびっくり。 ま、他の長編を読んだら、そうでもないのかもしれませんがね。(^^ タイトル作はもちろん、「車井戸はなぜ軋る」の書簡体も面白いし、期待通りどろどろだった(^^;「黒猫亭事件」もそれぞれ面白かったですね。 やはり、読まず嫌いは良くないってことですな。(^^;

    2
    投稿日: 2018.11.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    初めて読んだ横溝正史氏の作品。かの有名な金田一耕助の初登場作品が本編収録の本陣殺人事件とのこと。 推理小説だが、現代のものに読みなれているせいか少し違和感はある。昭和初期の話で当時の生活様式等の知識が不足しているせいかもしれない。映像で見た方が楽しめる気がする。とはいえ、あっと驚く意外な結末は流石と感じた。

    0
    投稿日: 2017.09.30
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    『本陣殺人事件』 一柳家の旦那が結婚した夜、妻とともに、「密室」で死んでいました。三本指の男、生涯の仇敵、琴の音、といった謎がつくりだす雰囲気に引き込まれました。 探偵として、あの有名な金田一耕助が出てきます。初めて金田一耕助が出る小説を読んだため、彼が元麻薬中毒患者だったり、吃ることがあったりすることを知らず、驚きました。しかし、かっこいいタイプの探偵ではありませんが、ちゃんと頭は冴えていました。 『車井戸はなぜ軋る』 本位田家は代々傑物が現れ、さかえていました。しかし、秋月姉弟に恨まれ、復讐されてしまいます。鋭過ぎる頭脳を持った鶴代が、事件の真相を見抜きました。 『黒猫亭事件』 「顔のない屍体」の事件です。予備工作を行うような事件を計画した犯人が恐ろしいです。

    0
    投稿日: 2017.08.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    再読。 初めて読んだ横溝さんの作品が「本陣殺人事件」だった。 婚礼の数日前に突然現れた不気味な三本指の男。 そして婚礼直前に賢蔵に渡された不審な手紙。 事件を感じさせる予兆がじわりと迫ってくる。 雪に閉ざされた離れに響き渡る荒々しい琴の音。 格子戸や雨戸はしっかりと内側から閉められ、庭には足跡ひとつない。 ただひとつ、雪に隠れた地面に突き刺さった日本刀以外には・・・。 殺された新婦・克子の叔父である銀造は、かねてより知り合いだった私立探偵の金田一耕助を呼ぶべく電報を打つ。 この後、多くの作品に登場することになる金田一耕助の初登場の物語だ。 すでに東京で私立探偵を開業している設定になっている。 まだ本格ミステリーなどという言葉もなかった頃、これだけ完成度の高い物語を書いていたとは驚かされる。 見逃しがちな伏線もあり、異様な犯行動機とあいまって、日本家屋という密室になりにくい状況を見事に完璧な密室に仕立てている。 犯行のトリックも独創的で面白い。 金田一耕助のキャラクターが固まりきっていないところも興味深い。 この1冊ですっかり横溝さんの作品にハマってしまった。 どの作品に最初に出会うか。人との出会いと同じで第一印象は大きい。

    0
    投稿日: 2017.03.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    本陣殺人事件は戦争前の金田一耕助の話、あとふたつは戦後、金田一耕助が獄門島を解決してちょっぴり有名になっているのもワクワクする。金田一耕助がただの探偵じゃなく、人物像がはっきりわかるし、背景とか友人関係とかそういうリアルさがこのシリーズの人気を動かないものにしているのかもしれないと思った。シャーロック・ホームズやエルキュール・ポワロと同じでポッと出の探偵じゃなくて、そこに至るまでの経緯もきちんと書かれている。文体は多少古いところもあるけれど、昭和の薫りでとても好き。金田一耕助が出てくるとホッとするし。今まで横溝正史を読んでいなかったのが悔やまれる。

    0
    投稿日: 2016.12.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    常青寮の和田兄が面白いと言っていたので読んでみた。 関係者の人間関係の話が面白く、また、意外にユーモアある文章で楽しく読めた。「誰が、どのように、なぜ」の三要素がバランスよく入っているのも印象的。 ただ、話が複雑過ぎると感じた。それと、本陣殺人事件で言えば精密なトリックが偶然の要素に左右され過ぎているため、無理があると感じた。

    0
    投稿日: 2016.11.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    3作どれもおどろおどろしい雰囲気があるが金田一耕助の語りの軽さが清涼剤として働いて楽しく読めた。物理トリックとあのトリックも使い方が良いし物語の結末がアレなのも良い。次は八つ墓村だな(獄門島から逆走してる

    0
    投稿日: 2016.07.09
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    2016.6.30 本陣殺人事件 昭和12年11月 一柳家 車井戸はなぜ軋る 昭和21年11月 本位田家(犬神家の元?) 黒猫亭事件 昭和22年3月下旬 顔のない殺人

    0
    投稿日: 2016.07.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    日本の古典ミステリの原点  表題作の他、全3話を収録。どれも古き良きミステリが味わえる作品です。  金田一耕助が初登場となる「本陣殺人事件」。この手のトリックは好みではないですが、この時代ならではの人間模様と絡めて描くことで、ただの密室ものとは差別化を図っています。続く「車井戸はなぜ軋る」は、金田一が活躍しないのでやや拍子抜け。「黒猫亭殺人事件」は、顔のない死体の前振りをしながらも、予想の斜め上をいく真相でした。3作の中で一番良かったです。

    0
    投稿日: 2016.03.06
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    突然はじまった『ひとり横溝正史フェア』の二冊目は「本陣殺人事件」。 金田一耕助シリーズとしてなら戦前の若い金田一耕助のはじめて扱う事件。こちらを先に読むのが順序だと思うけれど、「八つ墓村」が読みたいなとはじまった『ひとり横溝正史フェア』なので、この順番でいいのかなと。 こちらは結婚初夜に起きた密室殺人事件を金田一耕助が見事な推理で解き明かすというもの。 読み返して気づいたけれど、本書には「本陣殺人事件」の他に二篇の短編が収録されていた。「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」のふたつ。 数ある金田一耕助シリーズの中では、こちらは正直それ程好みではない。 元々、横溝正史作品での殺人事件では、そこまでやるかといった演出が魅力でもあるので、そこを否定するとどうにもならない。 ただ、「本陣殺人事件」に用いた密室トリックの余りにもアクロバティックな方法が、とてもではないが真実味に欠ける。 事件に意味を持たせる見立て殺人としての演出と、事件のそもそもを問う密室作りとしての仕掛けでは意味合いが違う。見立てはばれても殺人の目的は遂行出来るが、密室の謎は解明されては元も子もない。 そんな大切なところに、こんな一か八かの大勝負を仕掛けるなどといったギャンブラーなことをするというところと、犯人の性格に整合性がないように感じてしまう。 なんてことを置いておいても面白く読めるけれど、ちょっとケチをつけてみました。 同じように「黒猫亭事件」もやや無理があるかなとも思えるけれど、小品としてでここまでの仕上がりはさすが横溝正史という感じ。 個人的には「車井戸はなぜ軋る」は短い作品であるのに、いや、短いからこそピリッと締まった作品に感じられた。 随分斜め上なことを書いてきたけれど、つまらなかったら『ひとり横溝正史フェア』は早々に終了するところを、間に他の作品を読みつつつづいているので、つまりは横溝正史って面白いねということだ。 現在、「獄門島」を読んでいる。 犯人がわかった状態で読む推理小説も、横溝正史くらいになると違った楽しみ方があってこれはこれでいいのかもしれない。

    4
    投稿日: 2016.02.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    金田一耕助シリーズ。 「本陣殺人事件」「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」の3編。 本陣殺人事件のトリックがいまいちわからなかったので映像で見てみたいなと思った。それにしても、女性の貞操問題が殺人事件の動機になり得るのが当たり前みたいな風潮、すごいなと思った。3編の中では「車井戸はなぜ軋る」が一番好きです。横溝作品はそんなにたくさん読んでないけど、田舎の旧家の閉ざされた世界という雰囲気が禍々しくて良い。度々作中出てきた「獄門島」も読まなくては。 それにしても金田一耕助は本当に好人物だなぁ。彼が出てくるとついニコニコしてしまう。

    1
    投稿日: 2016.02.07
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    金田一さん初登場の本作、まだ読んでなかった。本陣の密室のトリック、なんじゃこりゃあー!!!と松田優作もびっくりな(ちょっと古いかww)すごい仕掛けが。。。こんなの、どうやって考えつくの横溝さん?と言いたい。 あとの2編は、黒猫亭が好きかなー。黒猫亭、まんまと騙されたわ(笑)

    3
    投稿日: 2016.01.15
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    『獄門島』に続き、横溝作品二作目。東西ミステリーベスト100、第十位。「獄門島」よりこちらの作品の方が個人的には好きだ。トリックの描写がイマイチ想像出来なかったが、それでも十分楽しめました^^

    0
    投稿日: 2016.01.04
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    旧版(緑304)で読了。『本陣殺人事件』機械仕掛けの密室はあまり好きじゃないが、金田一耕介初登場作品として必読。『車井戸はなぜ軋る』『黒猫亭事件』とあわせて、横溝正史の文体からかもし出されるオカルティックな雰囲気が大好き。

    1
    投稿日: 2015.10.27
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    最近読みたい本が無くなってきたので、日本ミステリーの王道とも言うべき、横溝正史の金田一耕助シリーズを読破しようと思い立ち、まずは本作から読んでみることにしました。 本作は基本となる「本陣殺人事件」とサイドストーリー的な 「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」の三部作から構成されておりましたが、どの話もトリックが秀逸で面白く、その謎を解明する探偵 金田一耕助という図式もいいですね! 次は、この作品と同時期に金田一耕助が謎を解明して、一躍有名探偵となった「獄門島」を読んでみます。

    1
    投稿日: 2015.10.01
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    このレビューはネタバレを含みます。

    若かりし頃のじっちゃん(笑。 世には色々なタイプの探偵による探偵小説があるけれど、あんまりにエキセントリックすぎて好感の持てない探偵よりは金田一さんタイプが好きだなぁと。しみじみ。 刀自(とじ)-年を召された女性に対する敬称。

    0
    投稿日: 2015.09.28