
総合評価
(574件)| 215 | ||
| 199 | ||
| 84 | ||
| 15 | ||
| 4 |
powered by ブクログ刷新されたカバーの文言に惹かれて購入したが、読了後に納得。 これはある青年の次への一歩を後押ししてもおかしくないな本だ。 それくらい読者の中に「何か」を残す本だと思う。 設定は少々奇天烈で、始めの方はその奇想天外ぶりに少々戸惑う。 違和感を覚える見た目に加え、内向的な少年は子供たちの社会の中で孤立していた。 しかし、彼がある事件の後に訪れた廃バスの中で人生を捧げることになるものに出会う。 それが「チェス」だった。 その後、彼は廃バスの住人である「マスター」の元でチェスの修行を積み、やがてもっと広大なチェスの世界に漕ぎ出すことになる。 物語は終始淡々と進み、いわゆる大事件は起きない。 多分映画にしてもほとんど見栄えのしないものになってしまうだろう。 しかし読み進めると、彼の経験する世界から目が離せない。 最後の最後は涙があふれてきて、彼の生き様が問うたことに思いを馳せることになった。 個人的には、慎ましい事は美しい事である。 という、現在ではあまり振り向かれる事の少なった美学を思い出せてもらえた。 こんな作品を世界に残せるなら人生の意義があるだろうなと思わせるほどの本だった。
3投稿日: 2023.12.16
powered by ブクログ降り積もった言葉が堆積して、あたたかく柔らかく光る琥珀となる、そんな作品。 読む側も息を潜めてしまう。それでいて浮遊感もある。 読んでいるうちになんだか溺れそうだ。 どこの国の物語か、年代はいつ頃なのか、そんな具体性はゼロのまま。そのため夢の中にいるような、おとぎ話を聞かされているような感じになる。 またそれとは矛盾するかのような閉塞感が一方にはある。囲われた世界がそこかしこに散りばめられている。物語全体がチェスボードなのかもしれない。 人形を操ってチェスを指させ、チェス盤下に身体を縮こまらせて入り、駒を采配する天才棋士リトル・アリョーヒン。 大きくなることを怖がったアリョーヒンは、11歳のまま成長が止まり、生まれつき閉じられていた唇にはうぶ毛が生えている。手術で無理矢理開けられて、足の脛の肉が移植されたからだ。 チェスを教えてくれたマスターは、250kgの巨漢で脂肪の塊。かれの遺体はその大きさゆえに住処としていた廃バスから出られず、ショベルカーで吊り上げられたほどだ。 なんという奇っ怪。ふたりの奇形は、サーカスを彷彿とさせる物悲しさと滑稽さを演出し、物語の通低音となっている。歪さを超越する人とのつながり、それがこのお話の美しさだ。 デパートの上から降りることが出来なくなったほどに大きくなった象のインディラとか、壁に挟まれて死んでミイラとなった女の子とか、不遇のまま亡くなったものを友とするアリョーヒン。かれは忘れ去られてしまったものへの優しさや愛を持ち合わせているからこそ、孤独であることを選ぶ。かれにとってはチェスも、相手を負かすための戦いではなく、相手を知るための会話のようであった。 亡くなった母をはじめ不在ではあるが愛情を注ぐ対象がたくさんあったり、育ての親の祖父母をいたわったり、アリョーヒンは出会う人のほとんどに惜しみなく愛を向けることができる。人物のあたたかさに読み手は十分に心地よくなり、降ってきた突然死に傷ついてしまう。物語はレクイエムの様相を呈して幕を閉じる。 幸福というのは、短い生に愛をどれだけ注げられるかによるのではないだろうか、そんなようなことを考えた読書だった。
11投稿日: 2023.12.11
powered by ブクログ1人の人生を過ごしたような清々しさをとてつもなく感じました。 読んでよかった。また、私にとっては読書が好きになるリハビリになりました。
0投稿日: 2023.12.09
powered by ブクログしん、としている。 最初から最後まで、物語は静かで、空気が冷たく澄んでいる。 当然、事件は起こるし、悲劇もある。けれど、物語はそれをすべて包み込む。 結末が気になって仕方ない、展開にドキドキする、ということはないが、読んでいてなんとなく心地が良い。そんなお話でした。
1投稿日: 2023.12.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
リトルアリョーヒンが奏でる棋譜きふは、対戦相手を包み込むような優しく温かみのあるものだったことが伝わってきた。地下での人間チェスでミイラとリトルアリョーヒンに起こった悲劇がリアルだった。終盤で2人がする手紙チェスが美しい。
0投稿日: 2023.11.26
powered by ブクログ文章が美しい 静かで穏やかで心の中にすっと沁み込んでくる 内容は想像していたものと違ったけど豊かな表現のおかげでスイスイ読めた 老いることへの恐怖と寡黙でいることの美しさを学んだ 最後は衝撃だった リトルアリョーヒンとミイラの手紙、泣ける ひと単語書くのに何日も費やすって愛だなあ
0投稿日: 2023.11.19
powered by ブクログこの作者のことを好きだなあって思った。お話には感動させよう心温めようとする作為的ないやらしさってものが無い。主人公が行く先々でいい人と会って、その人と交流するっていうそれだけの物語なんだけれども、人々の善性というか、正の側面を素直に描いていて、読んでいても負の感情を抱かずに自然と内側からポジティブになれる気持ちのよい小説で、こういう話を書ける人はきっといい人だろうなあと感じさせる。 語はタイトルから想像していなかったのだけれども、チェスを題材にした物語。タイトルの”象”っていうのはビショップのことである。主人公は猫のポーンを胸に抱きながらチェス盤の下に潜り、音と盤上の駒のイメージを基にチェスを指す。その腕が認められて、カラクリチェス人形のゴーストプレイヤーになった主人公は、チェス倶楽部や老人ホームでチェスを打つようになる……。というお話。 チェスが題材と言っても、主人公がライバルと切磋琢磨して大会優勝を目指す!!とかそういった形式の話ではなくて、チェスは人間模様を切り取るための触媒である。あくまで主人公とその周りの人たちのお話なんだけれど、そこにチェスが要素として混じるだけで、お話が独特な形に膨らんでいって読んでいるこちらを引き込んでくる。 チェスのような,ある人にとっては他愛の無いものが、他の人にとってはその人の個性を引き立てる特別なものになりうるという発見をさせてくれた。とても良い発見だった.
0投稿日: 2023.11.15
powered by ブクログチェスをやったことがあればもっと面白く読めたかもしれない。それでも多彩な表現のおかげで、持ったこともないチェスの駒を手に握っているような感覚になった。 人それぞれの自由と人それぞれの居場所があるということを感じさせてくれた。自分自身の人生をどう捉えるかはその人次第で、世間体とかではなく人は皆自分の価値観の中で優雅に閉じこもっていられる。決して悪い意味ではなく。言葉にするのが難しいが、とにかく良い刺激を受けたと思う。 地名や人名などが詳しく示されないので、舞台が日本なのか外国なのかは分からず、想像できる情景は明らかに現実世界の話でありながら時折不思議な空間に連れていかれる物語だった。読んでいてすごく愉快だったと思う。 読み終わった後にチェスをやってみたくなったが、手に残る感覚を消してしまいそうで怖い。こんな気持ちになるのは間違いなくこの物語を読んだ証拠だろうと思う。
0投稿日: 2023.11.11
powered by ブクログ静謐で少し残酷で温かい。チェスのことがまったく分からなくても大丈夫です。 奇妙で綺麗な世界観、やっぱり唯一無二だなと思う。
0投稿日: 2023.10.20
powered by ブクログ読み終わった。 とても不思議な物語でした。 チェストともに生きたリトルアリョーヒンの 物語ですが、静かに淡々と流れます。 終わり方もとても穏やかで。 読みやすく読後感もあるのですが、 ちょっと期待した物語と違いすぎましたね。 でもよい作品です。
0投稿日: 2023.10.17
powered by ブクログ読み終わった後、何故か分からないが涙が出てきた。感動でも悲しいでもない不思議な気持ち。愛しい愛しいリトルアリョーヒン。この素敵な作品を生み出してくれた小川洋子さんと、手に取るきっかけになる帯を書いてくれた入社3年目の方に感謝!
0投稿日: 2023.10.08
powered by ブクログリトル・アリョーヒンがミイラとの対局を長く味わうことを望んだように、ずっと作品を読んでいたい気持ちになりました
5投稿日: 2023.08.28
powered by ブクログきれいな文章と描写。童話を読んでいるような不思議な感覚を持ちながら読み進めた。1本の映画を観終えたような満足感。 屋上の象インディラ、壁からでられなくなった少女であり白い鳩をいつも肩にのせたミイラ、バスで暮らすお菓子好きな太ったチェスのマスター、猫のポーン、チェスの名手老婆令嬢、チェスを打つカラクリ人形リトル・アリョーヒン。登場人物を並べるだけでも絵本のようにワクワクする。しかし、全体を通して、静かな詩のような空気感のある物語だった。
3投稿日: 2023.08.19
powered by ブクログ小川洋子さんの1冊。幾重にも折り重なったお話を思春期青年期の少年の視点からも老人の視点からも読める、読者の内的世界をいかようにも広げてくれる読みものだと思う。ミーナの行進の心温まる世界が私の好きな小川洋子さんの世界である。この「猫を抱いて象と泳ぐ」は悲しみもはかなさも強く感じてしまう、もろ手を挙げて喝采を送れる話ではない。しかしものを究めていく人々の中には、このような心温まるエピソードがたくさんあってほしいと思える力を持った小説である。
1投稿日: 2023.08.13
powered by ブクログ最初から最後までとても静かで、切ない雰囲気が漂っている作品。他の人が気にもとめないようなことを恐れ、密かに何かに怯えているような弱々しい主人公を見ていて、ずっと胸が締め付けられるような思いで読み進めていました。たいそう物静かで、頼りない主人公がチェスと出会い、決して華やかでないながらもチェスと出会い、少しずつ自分を表現していく様子に、安直な言い方にはなってしまいますが、勇気をもらいました。自分の信じるもの、大好きなものは大切にしたいと思います。
0投稿日: 2023.08.09
powered by ブクログ半分くらい読んだけど…ここ一週間くらい動かなかったしおり 申し訳ないけど、積読に移動しました 人質の朗読会もそうだったけど、ちょっと私には静かすぎるかな 久々にハラハラドキドキを読みたい衝動に駆られてます! さぁ、伊坂ワールドにでも行こうかな〜
4投稿日: 2023.08.08
powered by ブクログ非常に読みやすい文章で、スラスラ頭の中に文字が入ってきた。 蜜蜂と遠雷もそうだが、口で語らずチェスの手やピアノ等の芸術性で語るタイプの小説が好きなのかもしれないなと思った。 小説の最後は予想もしない結末だった。小説の中に感情移入していたのもあって、個人的にはもう少し幸せな結末であって欲しかったなと思った。 2023/8/7 評価4.4
1投稿日: 2023.08.07
powered by ブクログ屋上の遊園地から出られない象。それが少しずつ、世界を知り、そして果てて行く。切なくて、美して、文章にできない感情を抱かせてくれた。
0投稿日: 2023.08.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
3.8くらい 小川洋子は全部読んだわけじゃないけど、初めて読んだ『博士の愛した数式』で魅力に気づいてその後も何冊か読了した 博士では特に何かが起こるわけではないけどなんか切なくてなんかいいみたいな、純文の核心みたいなところを突いてた感じがしてすごく好きで(話が目まぐるしく展開していく本はエンタメによりすぎててあんまり好きじゃない)かなり好きな作家になったからあんまり文句は言いたくないけど、感想だから素直に書くね 本作は中盤の海底チェス倶楽部に所属してたところくらいまではほぼ動きがないんだけどそこから話が割とリズム良く進んで、最後少年が死ぬのはいかがなものかと思った。小川洋子は本人が書かれてる『博士の本棚』にもある通り、ポールオースター、村上春樹など終末を綺麗に心地よく書く人を読んでこんなに素晴らしい作家になったのだと思うけど、少年が死ぬと言うのは綺麗で心地いい最後ではないと思う。ただ展開を求めて、終わり方を自己満足的に気持ちの良いものにしたみたいなエゴにしか感じられなかった。あとがきがあればその真偽について書いてあっただろうけどそれがないと言うことはご本人はそれで最善だと思われただろうけど、俗っぽい言い方をさせてもらうと、純文学的ではなかったしもっと言うと小川洋子的ではなかった
0投稿日: 2023.07.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
棋譜を詩に例える場面の文体が美しかった。心洗われるような透き通る心地がした。読み終わったあと、おもわず目を瞑って余韻に浸ってしまった。 マスターとのチェスの部分が1番好きだった。回送バスの窓からさす柔らかな日差しに照らされる小さなほこり、お菓子の甘い香り、チェステーブルに座るマスター、そのテーブルの下でポーンを抱き蹲る少年。それらが鮮明に脳裏に浮かんでくる。 「大きくなること、それは悲劇である」 少年の知る「大きくなること」はいつも少年にとって受け入れ難い悲劇をもたらしてきた。インディラしかり、マスターしかり。 リトル・アリョーヒンが最大限を発揮するチェスの盤下の世界を小さくなって見てみたい。
4投稿日: 2023.07.18
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
博士の愛した数式でおなじみの小川さんの著作。物語の美しさだったり、現実とはちょっとかけ離れた感じが代表作と似た匂いを感じた。評価を星5にするのは迷ったが、とても面白かった、というか良い物語だった。チェスをしたいな。 祖父母と弟と暮らした男の子が太ったマスターからチェスを教わり、海底チェス倶楽部で人形の中に入ってチェスをし、チェス会員たちの老人ホームでチェスをする。 大きくなって屋上から降りれなくなったインディラ、太りすぎてバスから出られなくなったマスター、家と家の間に挟まってしまったミイラなどが出てくる。 切ないような美しいような、そんな文章で引き込まれる。 小川さんの別の話も読みたくなりました。
1投稿日: 2023.07.16
powered by ブクログそのまま身を委ねたくなるほど綺麗な文章だったなあ、というのが最初の感想。 一人ひとりがなせることはわずかでもそれが折り重なることで永遠に残るのかもしれないなとふと思った。離れていても二度と会えなくてもきっとみんなどこかで生き続けていてほしいな〜 チェスのルールさえ知らないのですが、学びたい欲がもっと増した、、
3投稿日: 2023.06.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
静かで優しくて、少し不思議で切なくて。 ラストシーンでさえも悲しくて温かで、良いお話でした。 リトル・アリョーヒンが盤下でじっと動かないでいる時 家族はじっと、ただただ待っていた。 子供が立ち止まってしまった時 私は不安で待てなかった。。。。 信じて待てることは強さなんですね。 チェスをもっと知っていたら さぞかし味わいが深まっただろうと思いましたが 流れるような文章の優雅さに チェスの素晴らしさも感じられたような気がします。
7投稿日: 2023.06.04
powered by ブクログ小川洋子さんの物語は、読み手の心にしんしんと静かに降り積もる雪のよう‥。静謐で哀切を帯びた見事な筆致は、崇高さも同居し読み手を惹きつけ離しません。心に染みる上質の作品で、本書もまさしく傑作だと思いました。 本書は、チェスに魅せられた一人の内向的な少年の人生を描いた物語です。閉じた世界は幻想的で、言葉一語一語が美しく滋味溢れ、ゆっくりと時間をかけて読み味わいたいと感じさせます。 少年の才能を見出し、チェスの世界に導いたマスター。その教えが、少年にとって生涯を通して警句となり灯台となり支柱となるのでした。 大切な人との出会いと別れ、才能が開花しても決して表舞台には現れない運命、けれども純粋に勝負や名声を超越した、チェスの宇宙を自由に旅する喜びを知った少年‥。時に残酷で切なく、慎ましく優しい少年の物語は、まるで詩か芸術のようです。 チェスの盤上で紡がれる世界の広大さや奥深さは、そのまま言葉の世界を探索する小川洋子さんと重なり、その著者の世界観に圧倒されました。 チェスが解らなくても十分楽しめますし、三人称で描く物語は、説明過多にならず静かに語りかけてくる感触です。 小川洋子さん作品は、『博士の愛した数式』以来2冊目の読了でしたが、いずれも素晴らしかったです。個人的には「タイトルの秀逸さも含めて本書を〝推し〟たい」と思える、充実した読書の時間がもてました。また新たな素晴らしい本との出会いに感謝したいと思います。
71投稿日: 2023.05.26
powered by ブクログ大きくなる事でデパートの屋上から降りられなくなった象、壁に挟まって出られなくなったミイラ。 自ら進んでチェス盤の下に収まる主人公。 他者からは不自由で可哀想にしか見えない無口な彼らだが、静かで謙虚な立ち振る舞いの中に潜む雄弁で荘厳な価値観に心が震える。 チェスを通じて相手の深い人間性を掘り下げ、受容し、敬意を払う姿勢が美しい。
4投稿日: 2023.05.25
powered by ブクログ作品に色んなキーワードや重要な要素が散りばめられているけど、それらが全て有機的につながっていて作者の緻密さや構想の綿密さに驚きます。 短編集『約束された移動』では、みんな移動する人が描かれていたけどこちらはその真逆。成長しすぎて屋上から降りられなくなった象のインディラ、肥満により廃バスから降りられなくなったマスター、壁と壁の間に入り込んで抜けられなくなった少女の亡霊ミイラ。みんな移動しない・動かないことが共通しています。 これらの出来事は、リトル・アリョーヒンに「大きくなること/成長すること」に対する絶対的恐怖を植え付けました。その一方で、インディラもマスターもミイラも、リトル・アリョーヒンを見守り助けてくれる存在でもあります。彼らは随所随所で、リトル・アリョーヒンの前に警告としてまたは守護霊として繰り返し登場します。 それゆえ、リトル・アリョーヒンの祖母が老衰によって体が浮腫んで大きくなっていき、それに対してリトル・アリョーヒンが恐怖を感じるという描写には感銘を受けました。祖母が息を引き取ると、浮腫が取れて体が小さくなっていき、この出来事はリトル・アリョーヒンの大きくなりたくないという思いをさらに強くします。 チェスに馴染みがないので楽しめるか不安だったのですが、全く問題ありませんでした。 小川洋子らしい静かで美しい世界観の作品でした。
6投稿日: 2023.05.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「自由は仕方ない事情の内にある」、まったくその通り。。 それぞれの静かな諦めが調和していて、悲しくもあり、幸福感もあり。
4投稿日: 2023.05.17
powered by ブクログ小川洋子さんの小説を初めて読みました。 読み始めたときから、読んでいるときも、読み終わったあとも、常にふわふわと宙に浮かんでいるような不思議な感覚でした。 哀しい予感が次々と現実になっていくのは正直辛かったですが、主人公を愛する人たちの温かさに救われました。 万人に受け入れられる物語ではないかもしれませんが、最後まで引き寄せられるように読みました。
3投稿日: 2023.05.16
powered by ブクログ博士の愛した数式は映画で見たことしかありませんでした。著者の作品を読むのはこれが初めてです。 博士の愛した数式は理系から見たらツッコミどころ満載だったように記憶しているので、多分チェスに詳しい人からしたら本作も色々粗はあるのでしょう。 しかし、数学やチェスは題材に過ぎず、著者の本の楽しみ方はその雰囲気や静けさを感じることにあるのだと思います。 細かいことは気にせずに、たおやかな文章に身を任せることをおすすめします。読書の海に潜らせてくれる傑作だと思います。
3投稿日: 2023.05.15
powered by ブクログ唇を持たぬまま生まれてきた内向的な少年は、バスの中で暮らす"マスター”と出会い、チェスの海へと潜り込んでいく。 幻想的な雰囲気の小説だった。大きくなることに忌避感を持っている主人公。狭いところから出られない、固有名詞を持たない登場人物たち。老いや死が静かに描かれる、物悲しいけれど、綺麗なお話。未知だったチェスの世界に興味が沸いた。
1投稿日: 2023.05.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2010年(第7回)。5位。 生まれた時に唇がつながっていた。そのままでは生きていけないので、脛の皮膚を移植。貧乏だが愛ある祖父母に育てられ、マスターと出会い、チェスを知る。隙間に挟まれたミイラ。屋上で一生を終えた象。成長を止めたのは、ブリキの太鼓を思い出す。からくり人形に入り、チェスをする。チェスの棋譜は美しい、らしい。チェス知らんからなw リトル・アリューヒンの幸せはある日唐突に終わる。
0投稿日: 2023.05.06
powered by ブクログ詩的表現が多くて苦手な文章だった チェス全然わかんねえからハマんなかったけど興味は沸いた 皆人知れずチェス盤の中で死んでいったな 猫も
0投稿日: 2023.05.01
powered by ブクログチェスの戦略的面白さというよりは、魅力的な世界観や駒の特徴をうまく小説に盛り込んでいる作品。 主人公周りの人物を駒に当てはめて表現したり、チェス独特の言葉遣いを現実世界に例えていたりなど、話の筋だけではなく人物や言語表現まで美しく表されている。大変満足です。
0投稿日: 2023.04.30
powered by ブクログ静かで切なくて優しい小川さんの世界。一文一文がとても美しく、心に染みいる。 猫を抱いて象と(ミイラと)泳ぐ。 デパートの屋上に取り残された象のインディラ、壁と壁の狭い隙間に挟まって動けなくなったミイラ、肥えすぎて廃バスから出られなくなったマスター。仕方のない状況を仕方ないと受け入れた彼らと供に、リトルアリョーヒンは盤下に潜り、果てしないチェスの海に身を委ねながら詩を刻んだ。
11投稿日: 2023.04.29
powered by ブクログ11歳のまま成長が止まった少年は、狭い狭い盤下に潜りチェスを指した。チェスを愛しチェスに愛され、そして―― まるで児童文学のような純粋さ、温かみのある描写。ルールは一切分からないのに、天才の一手に導かれあっというまにチェス盤の海に魅せられてしまった
6投稿日: 2023.04.28
powered by ブクログチェスをする少年と生と死。 読んでいて面白いと思いつつも、刺激が少なく、どんでん返しもなく、学びもなく、淡々と進んでいくのでちょっと物足りなかった。
0投稿日: 2023.04.22
powered by ブクログ静かに始まり 静かにかき乱され 静かに物語が終わっていく… 言葉にしようとすると消え去っていくものや 儚く消えていくしかない瞬間を 美しい言葉で表現してくれている 今回の作品も ふぅ~と切なく幸せな吐息がもれた… えも言われぬ感情を 言葉という枠になんと的確に 表現してくれているのだろう… 伝説のチェスプレーヤーである リトル・アリョーヒンの密やかな奇跡が描かれている_ 触れ合うことも 語り合うことさえできなくても… 彼の描く美しい棋譜は 一つの広大な交響曲を聴いたようでもあり そして雄弁な言葉を 贈られたような心地にもなる… なんて静謐で美しい世界観なのだろう… 今日は世界の片隅に取り残され 忘れ去られた一筋の暗闇を思いやりながら眠りにつきたい
5投稿日: 2023.04.08
powered by ブクログチェスと共に生きた青年の、とても静かで気高い物語。 「チェス盤の中にいれば、飛行機で旅をするよりもっともっと遠くまで旅ができる」と話す彼は、幼い頃に偶然出会った名人にチェスの手解きを受けながら、自身の哲学や情緒、自我や感性、記憶や未来など兎に角全てをそのチェス盤に落とし込んでいく。 勝つ事よりも、チェスの勝負そのものから何を感じ取るのかという事に重きを置いたストーリーからは、チェスに対する新しい価値観を教えもらったような気がする。 とても良い作品でした。
3投稿日: 2023.03.26
powered by ブクログ五年後、十年後、読み返したらどんなことを思うのだろう。 みんな自分の場所で、出来ることを精一杯やっていたように思う。しかもその場所はあまり良くは見えないけれども。文句も言わないで、本当に頭が下がります。 どんなところにいたって、そこをいい場所にするか悪い場所にするかは自分次第なのかな? でもそれはどうやって? 五年後、十年後の私がどういうふうに考えるのか気になるなぁ。“自分”の扱い方が大きな要素になるような気がするけども。
4投稿日: 2023.03.23
powered by ブクログ小川洋子さんらしさがたっぷり詰まった長編。チェスをテーマにした現代のファンタジー。11歳の体のまま大きくならない少年や太り過ぎのマスター、白く儚げなミイラなど不思議な登場人物がファンタジー感を演出、その極め付けがチェス人形の"リトル・アリョーヒン"。 不思議な舞台設定の中で、静かで優しい物語が語られる。回送バス、海底チェス倶楽部、エチュードと事件をキッカケに舞台が変わって行くが、マスターとの関係やミイラとの関係がとても優しい気持ちになれる。 「大きくなること、それは悲劇である」というのはピーターパンシンドローム的な意味合いなのかな?リトル・アリョーヒンにとってのチェスのように人生の拠り所があれば、辛い人生でも乗り切れるのかもしれない。決して人生を切り開く、と言った力強いものではなく、水面に浮かぶ落ち葉のように人生の流れに抗うわけでもなくただそこに浮き続ける感じが、印象的だった。
8投稿日: 2023.03.19
powered by ブクログとにかく雰囲気が独特であり秀逸。 イメージや描写がとても綺麗で、映像化などしなくても頭の中で世界が作られている。幸せな時間だった。
0投稿日: 2023.03.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
全体的にとても好き。チェスは分からないながら、とても惹き込まれた。マスター、好きだ。死んだときは泣いてしまった。 リトル・アリョーヒンがミイラとの別れを決意したのには個人的に納得いかないというかもどかしく思ったが、物語の美しさも人物も満点だった。死んで幕引きというのは安易なようで最も美しい終わり方なのかもしれないと思わされた。 老令嬢がとても魅力的!!人間チェスはなんというか…不快だった笑 こういう文学を貫いた小説って素敵だね
1投稿日: 2023.03.05
powered by ブクログチェスの話とは驚いた。私は将棋しか分からない。早速本を読み進めながら、チェスのアプリを入れて遊び方を学び始めた。読み疲れするが、なかなか良い作品。 ただ疲れる。星2つと厳しめ。 実写は無理だと思う。とにかくチェス一色の内容。
9投稿日: 2023.03.05
powered by ブクログチェスの本質と向き合っているひとと そうでないひとが顕著に書かれている。本質を理解することは 何事においてもたいせつなこと。
0投稿日: 2023.02.18
powered by ブクログ猫を抱いて象と泳ぐ 小川洋子 自動チェス人形、リトルアリョーヒンの生涯を描いた物語。 口が閉じた状態で生まれた少年は、廃棄の回送バスの中に居るマスターと出会い彼にチェスを教えてもらう。 そのマスターの案内でチェス倶楽部の入試を受けるが失格。しかし失格の所以である机の下に潜るスタイルから自動チェス人形として地下倶楽部へスカウトされる。 しかし地下倶楽部の実態を知ってしまい人形と一緒に避難する。先は老人が住むエチュード。 エチュードに慰問で来た称号者との一局はビショップの奇跡と呼ばれ後年博物館に展示される。 エチュードにて一酸化炭素中毒で急死。 タイトルについて 猫を抱いて→ポーンというマスターが飼っていた猫 象と泳ぐ→チェスは無限に広がる海と喩え、象は幼児期に通ったデパートにいたとされる象。象とビショップを見立てていた。彼が一番好きな駒
0投稿日: 2023.02.15
powered by ブクログなんて静かな物語なのだろう。 廃車になったバスの中で生活をしていて、バス会社の寮の管理人をしているマスターに、彼はチェスを教わった。 彼の人生はチェスと共にあった。チェスを通して心を通い合わせた人達。 悲しいことも多くあった。 彼が最後にたどり着いたのは、チェスを愛した人たちが老後を過ごす場所だった。 ラストはとても静謐で切ない。
2投稿日: 2023.02.12
powered by ブクログ好きなタイプの小説では無い。けど何かこう止まらないタイプの作品だった。本当にずっと鳥肌が立っていた。なんでこんな本をかけるんだろう、このまま読み続けたらどうなってしまうのだろう、という畏怖である。さすが、読書癖のない僕ですら名前の聞いた事がある作家ということか。とんでもない満足感、とんでもない話、とんでもない文章、いやはやお見逸れしました。
1投稿日: 2023.01.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
出だしから、遊具ではなく小さな立て看板に夢中になり、インディラという、今はもういない象に思いを馳せる。大きくなりすぎたために屋上から降りられなくなり、生涯をそこで過ごすことになったインディラ。 マスターは太っていたがために最期は見世物になり、思い出の回送バスは壊され、猫のポーンもどこかへ行ってしまった。 令嬢は逃亡も認めた上で、行き先を提案してくれた。再会を果たす頃には、チェスの記憶はなくなっていた。あなたにチェスを教えていた人みたいな人に私も教わってみたかった。羨ましい、と言っていた令嬢。リトル・アリョーヒンによって、1から教わることができ、それはそれで嬉しかった。 でも静かに終わってしまった。 優しい人たちが優しいまま死んでいくのに私は弱い… 読みながら、3回泣いた。 マスターが死んだ時、 祖母が死んだ時、 リトル・アリョーヒンが死んだ時。 マスターとの出会いや、天井に升目を書いたりした辺りはとてもわくわくした。人間チェスは外道だが、賭けチェスはもう少し見てみたい気持ちもあった。
4投稿日: 2023.01.28
powered by ブクログ書店さんイチオシ!的なポップに惹かれて購入。 海外の絵本のような不思議な雰囲気が魅力な一方、どこか伝記のような淡々とした文章が自分には合わなかった。
0投稿日: 2023.01.27
powered by ブクログチェスと出会った少年が、盤下の詩人として奇跡のような棋譜を生み出していく。寡黙な彼が見つけた言葉のいらない世界。そこでは、駒の動きがすべてを語る。果てしないチェスの海を泳ぐときだけは、彼は自由に輝きを放っていた。 なんて静かで美しい物語なんだろう。どこまでも美しいチェスの世界。哀しみをふわりと優しく包んでくれる言葉。文学も芸術なんだなぁと思った。
39投稿日: 2023.01.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
文章が美しい。内容も調和が取れている。 独特の世界観のため、読み手も想像力が必要で、 文章の海を漂うような心地よさがある。 小川洋子さんは「博士の愛した数式」をかなり前に読んで、これが2冊目ですが、素晴らしい作家さんと再認識しました。 チェスってこんなにも深く、その人の生き様までも表現するゲームなのだと初めて知りました。 (もしかして将棋や囲碁もそうなの?) 通勤時間にいつも読書をするのですが、 最初から美しい文章に引き込まれて、 これは満員電車などではなく 家で猫を撫でながら読みたい と思いました。 しかし、少年がリトルアリョーヒンとして深海クラブでチェスをさすようになってから、満員電車の片隅でぎゅーっとなりながらコッソリ読んでいると 人形の中の少年と同化しているような気持ちにもなるのでした(笑) 電車が正方形であれば完璧だったのですけど。 また、デパートの屋上から降りられなくなったゾウのインディラの話は 映画「マイライフアズアドッグ」の 人工衛星に乗せられたライカ犬の話を思い出しました。好きな映画ですけど、内容はこちらの本の方がずーっと濃いぃ深いぃ美しい気がします。
2投稿日: 2023.01.22
powered by ブクログ素晴らしいね。昔読んですごく好きだった思い出があったが、今読んだら変わらず素晴らしかった。 小川洋子らしい、文字通りの「小さなものの一生」を描く作品だが、チェスという題材がまず効いており、次から次へと印象的な登場人物が現れ、細部の美しさが心を締め付ける。小川洋子の小説を読んでいて一番凄いな、と思うのは、長編小説なのに「ここ弛んでるな」と思うところがなく、隅々まで張り詰めていて文章が常に正しくあるところだ。大抵の長編小説には「ここはダレちゃったのね」と、力を抜いて読めるような一文やら段落やらがある気がするけれど、そういうのが全くなくて驚く。こういう迫力のある小説を書く日本人の作家はなかなかいない、と思う。
6投稿日: 2023.01.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
とある少年がバスの操車場で出会ったマスターにチェスを教えてもらい、チェスと共に生きていく物語。 私はチェスのルールは知らないが文章からチェスの魅力がひしひしと伝わってくる。華麗なチェス師でありながら光を見ない、というより暗い場所を好む少年が不器用ながら生きている様をうまく描写していた。猫を抱いて像を泳ぐというタイトルもしっくりとくる。 最強の一手ではなく最善の一手を打つ、というリトルアリョーヒンがマスターから教わった教えは私にとっても良い教訓になった。この最善は言葉の意味通りではなく自分が最も美しいと思う一手ということだけどこれは万人に刺さる言葉だと思う。 温かみのある話だった。
0投稿日: 2023.01.09
powered by ブクログ静かな森の中の湖畔で読みたくなる静謐で美しい物語。綺麗な言葉だけが並んでいる訳ではないのに、不思議と全体に調和の取れた様はまるで交響曲のよう。狭く小さな空間で紡がれた芸術は、チェスに親しみがない人でも十分楽しめる。棋譜の美しさなどわからないのが残念だが、棋士が読むと頷ける部分が多いのだろうか。 チェスを趣味や生業にする人は決して多くないはずだが、レビューや読了者が多いのはこの小川ワールドに魅了された人が多いからか。『博士の愛した数式』しか読んだことがないが、他も読んでみたい。
9投稿日: 2023.01.06
powered by ブクログ第三者から見れば哀しい話かもしれないけど、当人にとっては幸せな話だったのではないしょうか?チェスを知らなくても楽しめる作品。ホントに読んで良かった。もっと早く出会えれば良かったと思う作品。 作品より一番心に響いた言葉。 『つまり、最強の相手が最善とは限らない。チェス盤の上では、強いものより、善なるものの方が価値が高い。だから坊やの気持ちは正しいんだよ。』 連続で読む小川洋子先生。面白くてたまらない。このままだと次もまた小川洋子先生作品になるかもしれないので、強制的にお休み。気持ちを切り替えて他作者作品を手に取ろうと思う。
2投稿日: 2022.12.27
powered by ブクログずっとずっとこの世界で泳いでいたかった 美しかった。何かに縛られて不自由なはずなのに 内なるところで自由になれることの心地よさ
2投稿日: 2022.12.26
powered by ブクログ良過ぎた 夜空のように美しく繊細に、海のように深く広く こんなにもロマンチックにチェスを表現できるのかあ 映画よりも漫画よりも本っておもしろい!て思えた この本に出会えて本当に良かった
2投稿日: 2022.12.03
powered by ブクログ世界観がよかった。静かにチェスの海に潜っていく感じ。 序盤のマスターにチェス教えて貰ってるところはクイーンズ・ギャンビット思い出した。 チェス覚えたくなるなあ。
0投稿日: 2022.11.28
powered by ブクログ静かで美しい、1人の少年とチェスの物語。 チェスというゲームが、ただ勝敗を競うものではなく、相手とのゲームの中で美しい詩を紡いでいく、深くて広いものであることを感じた。 わたしはチェスのルールはわからないけれど、チェスのシーンの息を止めてしまいそうな厳かな雰囲気、一手一手でそれぞれの駒がつくりだす情景、ありありと目に浮かんできて、クラシックを聴いているような、壮大な歴史物の映画を観ているようなそんな感覚であった。 また登場人物たちの触れ合いも非常に印象的だ。 主人公と、彼を取り巻く様々な人物との触れ合いは、穏やかであたたかく、優しさに満ち溢れている。感情の激しい起伏が描かれることはほぼなく、ただ静かに控えめに相手を想う気持ちが感じられる。 静かなあたたかい部屋で、あたたかい飲み物を飲みながら、かみしめて読みたい、そんなお話。
0投稿日: 2022.11.22
powered by ブクログ落ち着いたまるで海底のような本だが、その中に優しさや美しさがあり、少し奇妙なのがまたよく、本当にいい本でした。
1投稿日: 2022.11.06
powered by ブクログ自分の範囲で、自分のできることを、ただ粛々とこなして生きる。 そこには他人の物差しなどなく、どれほど美しい棋譜を描くか、ただそれだけを目指して、妥協せずより自分を磨く世界がある。 なのになぜかとても寂しい。 彼らはそれでなんら孤独を感じている訳ではないのに、なぜかずっと薄っすらと寂しさのベールがかかる。 一つは常に死がまつわること。 象のインディラ、壁のミイラ、プールの運転士、お母さん、マスター、おばあちゃん、キャリーバッグの老人。 もう一つは主人公を含め登場人物の誰一人本名が出てこないことにもあるのだろうか。 身近な人物に感じられない。 チェスが日本のものではないからかもしれないが、何故か物語の舞台が日本に感じられないのも不思議だ。 もう一つ不思議と言えば、唇のすね毛の設定だ。 おばあちゃんの布巾、ミイラの白い鳩もそう。 小川洋子さんは何でこんなけったいな設定を思い付くのだろう。 ちょっと特殊な人達だから、何だか勝手に生きにくいだろうなぁと寂しさを感じ取ってしまうのかもしれない。 そして寂しさを感じ取るもう一つが、こんなに素晴らしい実力を持ちながら、盤下に潜るという特殊な指し方であるという理由だけで、世間に名が知れ渡らなかったことにもあるだろう。 だからこそ、最後に名士との棋譜があそこに飾られたことがとても誇らしく、何とも最後までリトル・アリョーヒンらしかった。 私も世間に広く名が知られなくても、自分の存在を消していたとしても、作品だけは後世に残る生き方をしたい。 さて、私が好きだったシーンはやはりマスターとの日々、そして老婆令嬢が家族の前で“リトル・アリョーヒン”と対決したシーンだ。 リトル・アリョーヒン本人を見守ってくれる存在はとても暖かかった。 一つ難しかったのが、“リトル・アリョーヒン”と盤の構造、身体の折り曲げ方。 図解があるともっとわかりやすかった。
0投稿日: 2022.10.26
powered by ブクログ前半は面白くてすーっと読むことができたのですが、リトル・アリョーヒンがチェス海底倶楽部に入ってからのお話はあまり入り込めなかったです。 特に人間チェスゲームとか、老人ホームにいってからの話は長くて少し退屈でした…。 人の温かさを感じる場面もあるのに、登場人物たちの名前は出てこなくて、淡々としていて冷たさを感じました。寂しくて暗い海底にいるかのよう。 海外ドラマの「クイーンズ・ギャンビット」を思い浮かびました。
6投稿日: 2022.10.24
powered by ブクログ最初はとつつきにくかったが、中盤から引き込まれていった。「理」に真摯に向き合う生き方は美しいと思った。
0投稿日: 2022.10.23
powered by ブクログあらすじに惹かれて読み始めたのだが、少年自身と付き合っていた人はごく僅かでとても小さい世界に思われるのに読み終わったあとに深いなと思って不思議だなと思った。
0投稿日: 2022.10.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
老婆令嬢やミイラとの手紙のやり取りなど、17章・18章は読むのが辛かった。マスターが生きていたら、ミイラにあんなことが起こらなければ、老婆令嬢がまだ元気だったら 起こる出来事のそのどれもがチェスにのみ繋がっていく、海底のように静かな物語だった
0投稿日: 2022.09.17
powered by ブクログ久々に傑作ー!!と声を大にして言いたくなる一冊。混じりっ気のない愛を注いでくれた祖母、チェスを教えてくれたマスター、棋譜という音楽をともに作り上げる好敵手の老婆令嬢などなど。かけがえのない出会いと別れの描写が素晴らしく美しい文章で紡がれ、何度も読みながら泣いたし、最後もめちゃくちゃ泣いた。ミイラに会わせてあげたかったし、もっともっとチェスをさせてあげたかったけど、たぶん彼は振り返ったらこれでよかったと言うのじゃないかな。チェスに生きた主人公の短くも濃密なこのお話を読めて幸せでした。
1投稿日: 2022.08.28
powered by ブクログいいことよりも悲しみから人生観が創られるということに共感した。マスターの死とミイラのこと、老婆令嬢はまあわかるがインディラと壁のミイラについては独特すぎる。笑 しかし、人間は幸せな記憶で辛い時を乗り越えられる。その塩梅がうまいな〜〜〜 心がいっぱいやなあ あまりに ミイラとの関係性も独特だったがとてもよかった。お互いの距離感をお互いにわかっていた。 読者やミイラ目線、最後リトル・アリョーヒンとミイラは会っていて欲しかったのでとても切ないが、リトル・アリョーヒンはミイラを想ってチェスをしていたあの時間を愛していたのであれでいい気がする。 リトル・アリョーヒンの死についても同様に、彼の死は悲劇的だが、彼自身は最期の瞬間までチェスのことを考えて、マスターやミイラに包まれて亡くなっていったので幸せな死に方だったと思う。彼の周囲には彼の理解者が多くいたことも彼は幸せだったんだろうなと思う。 余談 なんとなくだが、クイーンズギャンビットというドラマと似ている…?主人公の天才肌具合や、主人公のチェスの才能を見つけてくれた人、あと寝た時に天井をチェス盤と見立ててイメージすること
0投稿日: 2022.08.24
powered by ブクログ小川ワールドらしい、優しい優しい物語。 チェスを通して、棋譜に刻まれた対局者との会話。そのひとつひとつが、暖かく読み手を包んでくれます。 マスターの「慌てるな」を要所で繰り返し、リトル・アリョーヒンの棋士としての緩やかな成長を感じさせてくれます。 色々な登場人物、動物の最期と重なるようなアリョーヒンのそれは、綺麗にはまっていて、ジグソーパズルの最後1ピースを収めた瞬間でした。
0投稿日: 2022.08.17
powered by ブクログ文章も登場人物の心情も綺麗に描かれていた。傍から見ると不遇な主人公の生涯のようだが、彼の眼の前には素晴らしい世界が広がって、宇宙との一体感、奏でる棋譜の美しさに囲まれて、幸せな人生であったのだろう。清々しい読了感でした4.2
1投稿日: 2022.07.28
powered by ブクログ大きくなることを止め、からくり人形の中でチェスを指すことを選んだ少年が生み出す、奇跡のように美しい棋譜たち。祖父母、弟、チェスの師、友、そして好敵手の誰もが、「仕方のない事情」で生きることになった場所で、しかし、腐ることなく穏やかに生きているのが印象的でした。ストーリーだけをなぞれば、不思議で、哀しい物語な気がするが、読後感は極めて静かで穏やかです。小川洋子さんの傑作ですね。
0投稿日: 2022.07.26
powered by ブクログ読み終えた感想、すごく物語として美しくまとまっていて、良いものを口にした気分になりました。上手く言えないけど。感想書くの下手だな私。 途中まではただ登場人物が全員かなりの癖強というイメージしか無かったのだけど、読み終えた後の後味が良い。 最後の最後まで、リトル・アヒョーリンと読み違えていたら、アリョーヒンだったという痛恨のミス。
0投稿日: 2022.07.18
powered by ブクログチェスというゲームが纏う雰囲気が好きなのは俺だけだろうか。高貴・上品・無機質・孤独・決然。 この手のゲームの最高峰が繰り広げる棋譜や解説を見聞きすると、細かいルールは分からなくても、込み上げてくるものがある。羽生さんとか。 積み上げられたものへの畏怖の念が半分、天才への嫉妬がもう半分。
1投稿日: 2022.07.11
powered by ブクログ描写が丁寧で分かりやすい日本語で書かれているからか、気づいたら引き込まれていた。 派手なストーリー展開はそれほどないが、安心して読んでいける。こんな文章を書きたいなと思える本。
0投稿日: 2022.07.09
powered by ブクログ私達はどうして小川洋子さんの物語に魅了されるのか。もしかしてどんなに悲しい終焉を迎えられても、悲しみだけじゃないからかもしれない。この一冊を読んでいる間はずっとバッハのチェロの無伴奏を聴いていました。小川さんの文字はチェロの無伴奏のように、体中に響き、その音色は血液まで暖かさを齎して、染み渡っていく。 いくつか苦難を経験しても、物語の主人公は静かに騒がず、動じず、ただ運命に身を任せるわけでもなく、かといって全身全霊で抗うことでもなく。ただ辛抱強く、全てをチェスに委ねていた。 最後の最後は、果たして悲劇だったのでしょうか。 私は電車の中、最後の数ページをよみ、一瞬溢れ出しそうだったけど、幸せは、どんな形でもその人にとって、幸せならばそれでいいのではと深く息を吸い、静かに本を閉じた。
1投稿日: 2022.06.04
powered by ブクログ“少年は詩がどんなものかよくは知らなかったが、アリョーヒンの棋譜から立ち上る朝霧のような静けさ、風に震える花弁の可憐さ、一瞬を貫く稲光、大地を吠えさせる風のうねり、暗闇に浮かぶ月の孤独、などを詩と評するのならば、詩というものは素晴らしい宝石であるに違いないと確信した。” 「大きくなること、それは悲劇である」。この箴言を胸に十一歳の身体のまま成長を止めた少年は、からくり人形を操りチェスを指すリトル・アリョーヒンとなる──。 作者の本はこの作品が初読だったのだが、読み始めてすぐに私好みの本だと思った。 物語を紡ぐ言葉ひとつひとつに著者の愛情が伝わり、誰にも気づかれず街の片隅でそっと咲いている一輪の花のような主人公に心惹かれた。 物語のベースは主人公が色々な場所で様々な人とチェスをする話なのだが、チェスの知識がなくても、チェスを航海に例えた表現をしているなど工夫されており十分楽しく読むことができた。 また、この物語の世界にどっぷり浸かることができたのは、登場人物全員の名前が明らかになっておらず、物語の舞台も日本なのか、海外のどこかなのか不明であったことだ。 主人公のリトル・アリョーヒンはどんな見た目をしているんだろう、チェスの海ってどんな海だろう……そんな事を想像しながら読むのはとても楽しくワクワクさせてくれた。 文章も美しくて読みやすいので児童文学としてもおすすめだ。 雰囲気としてはジブリのような世界観で子どもから大人まで楽しめる物語になっている。 きっと何度も読み返したくなるであろう1冊だ。 こんな人におすすめ.ᐟ.ᐟ ・優しい物語が好きなひと ・チェスが好きなひと ・ジブリの世界観が好きなひと ・梨木香歩 【西の魔女が死んだ】が好きなひと ・感動する話が好きなひと
4投稿日: 2022.05.27
powered by ブクログ成長を止めた少年とチェスの物語。 チェス盤に駒が置かれた音や、チェス人形の花梨の指先が駒を握る聞こえない音までも聞こえてくるよう。 しんとした真夜中のようにも、暖かな夕陽に照らされているようにも感じられる美しく静謐な物語だった。
0投稿日: 2022.05.15
powered by ブクログ最初あったかくてそのあと一転してひんやりして、そのあと少し寂しさを抱きながらあったかくて、でも一貫してどこか生々しかったり不安になるような要素もあって。 すげー本だ!友達が、「この本の不気味さの正体は匿名性にある。登場人物の固有名詞がひとつも出てこない」って言っててこいつあたまよ‼️って思った。 これ読んでやっとチェスがさせるようになったと思う。勝ちたい焦りから解放できてよかったわ
0投稿日: 2022.05.06
powered by ブクログーたくさんの人を大切にし、想い、受け入れてきた優しいアリョーヒンだからこそ、 彼自身も人生を通して、多くの人に受け入れられ、 愛され、愛され続けたのだと感じますー チェスのルールなどわからないので 話の世界に入っていけるか不安でしたが、 そんな不安をよそに、チェスと共にたしかに自分の人生を泳いでいく主人公と、周りの優しい人々の世界にのめり込んでいきました。 目次の裏にチェス盤のイラストと各駒のイラスト。 細かなルールなどはなく、ただその駒たちを まるで一つの登場人物のように箇条書きされているのを見て、なんとなく、この物語はチェスをただのゲームとして扱ってはいないものなのかなと予感させました。 読み終わる頃には リトルアリョーヒンを他人とは思えない、すごく愛おしい存在として同じ時間を共に歩んできたような、、 もしくは、リトルアリョーヒンがいた時代を過去として歴史上の人物を知るようなどっちとも言えない愛おしさが残る、そんな感覚になりました。 すごく小さくてすごく壮大な人生のお話。 そんな不思議な感覚です。 登場人物皆どこかが欠けているような、けどそれは悪いことでもなんでもなく、その人のありのままを受け入れて、お互いがそれを優しく包み合い共に生きているその優しい世界に夢中になり心が癒されました。 この本を読む度、またこの優しさに触れられると思うと、とても大切な本に出会えたな、とどこか救われるような気持ちです。 駒を動かす手の形、しなやかさ、試合中の空気感、時計を止める音、緊張感、鋭い視線、美しい試合展開。 小川洋子さんは情景を描くのが素晴らしいと感じていましたが、この作品を読み、それだけではなく空間そのものを詳細に思い描き、それを伝えるのが素晴らしい方なのだと確信しました。 密やかな結晶でも、映画だと舞台美術的なそんな素晴らしく不思議な空間がそこにあって、その感覚が病みつきに。 文字で伝える力と思っていましたが、 今回の作品で、その頭の中に存在する様々な空間そのものがもつ魅力が半端じゃないのだと感じました。 登場人物の会話や情景、物語の展開にハッとさせられるだけでなく、その美術的な部分にもハッとさせられます。 その一つ一つが没入感を高めているなと感じました。 ーーネタバレーー 小川さんが作り出した素晴らしい空間と それを伝える表現力、香りや音、空気や温度 そこでの思い出話、、少年とマスターだけでなくすっかり自分も共有していたつもりだったようで、 バスが取り壊されるそのシーンはひどく辛かった。。 176ページか、 ミイラの率直な感想に チェスの可能性を語るリトルアリョーヒン、、 地球の上だけでは収まりきらないから、 宇宙まで旅をしている、 リトルアリョーヒンという宇宙船に乗ってねという掛け合い、なんだかすごく穏やかな気持ちになり 自然と口角が上がっていました。 優しい空気が満ち溢れつつ、あーこれはでも長くは続かないのかな、、という切ない気持ちにもなりました。 物語終盤、、 匂わせというのが最近ではネガティヴな表現なようでどう表現して良いか分かりませんが、 大きな問題展開はないけれども微妙に先の時間から過去を振り返るような表現の仕方で、 あ、なにか起こってしまうかも、、どうなるのかしら、、というような小川さんのハラハラ感の生み出し方は本当に美しいです。 リトルアリョーヒンの最期は悲しかったですが、 リトルアリョーヒンが生み出した試合のように、 美しく、ミイラとの最後のすれ違いのシーンは空気感含め目に浮かび、生きてる人間との別れをリアルに感じてしまいました。
2投稿日: 2022.05.02
powered by ブクログチェス台の下に潜み、からくり人形「リトル・アリョーヒン」を操ってチェスを指す少年。閉じられた口びると大きくならない体で。チェスって詩的で音楽的だな。チェス盤の上で物語が奏でられているよう。 少年が出会う人たちも、みんなそれぞれ静かなおかしみと悲しみを持っていて、ああそうか、それもみんなそれぞれの物語なんだなあと。
0投稿日: 2022.03.26
powered by ブクログチェスに魅了された少年のお話。個人的には「博士の愛した数式」よりも好き。小川さんの文章は静かな時間が流れている感じがします。オススメ!
15投稿日: 2022.03.21
powered by ブクログリトルアリューシャンは、習慣で身体を小さくしたから、いいなあと思った。チェスをやりたくなった。美しさってこういうのもあるんだなあと知った。でも悲し過ぎはよくない。
0投稿日: 2022.03.14
powered by ブクログ正直よくわからなかった チェスも全くわからないし、描写がとても観念的で私には少しわかりにくかった。素敵な表現はすごくわかるのだけれど、今ひとつ入り込めなかったのは残念だった ただアリョーヒンの純粋なまっすぐな生き方は感銘を受けた
1投稿日: 2022.03.11
powered by ブクログチェスはできないが、将棋を息子が好きなので、たまに一緒にする。将棋をしていると、たまにこの小説を思い出す。何年前に読んだかもわからないが、チェス盤の上に駒が動いている姿、人形の中に人がいる様子を、思い出す。
6投稿日: 2022.02.19
powered by ブクログ独特の世界観。 海外の本を翻訳したような、気遣いが込められながら書かれた文章。 寡黙だけれど、心の中で、盤下で、一生懸命話しかけるリトル・アリョーヒンがとても愛おしく感じました。
8投稿日: 2022.02.08
powered by ブクログこの本を読み終えてから、なかなか次の本を読み始めることができない。この本に描かれた静謐で無常な世界が残す余韻は、それだけ強かった。 一文一文時間をかけて、丁寧に書かれた文章だと感じる。著者は作中の主人公と同様、「最善の一手」を考え抜き、小説という詩を綴ったのだろう。私はこの本のおかげで自分の中の大海を、宇宙を知ることができた。
5投稿日: 2022.02.03
powered by ブクログにじいろガーデンを読んだのはいつだっただろう。 もう1年近く前にうるうるしてしまったのだけれど、それは、はたから見るとコンプレックスに感じるかもしれない登場人物が、世間の目を気にせず、自分のしっかりとした信念をもとに幸せを掴んだ、というところだった。 +++ このお話はどうだろう。 生まれつきのコンプレックスは、そう、恐らく相当なものだっと思われる。 でも、ふとしたきっかけ、ほかの人であればきっかけにしなかったであろう出来事から才能を見出し、そして生きる道を探る。 幸せは他人(ひと)がきめるものではない。 本人だ。本当に。 彼が生きがいを見つけ、人に大事にされ、尊敬されているさまは読んでいて熱いものがこみあげてくる。だからこそ、文通の先にあるものを期待した。 読者はそう感じるだろう。 しかし、結末はいかに。 彼の周りに登場するキーパーソンに共通するもの、タイトルについて、最初はわからなかった。 象であり、マスターであり、総婦長。 何の関係もないようだ、とおもった。 でも、強烈につながるものがあった。
33投稿日: 2022.01.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
小川洋子さんの作品は、どれも言葉の意味が深いように感じられ、その一つ言葉をとっても、長い時間をかけて推敲された最善により構成されてるようで惹かれる。 老婆令嬢がシャワー室での対戦の時にリトル・アリョーヒンに呟いた、”マスターからチェスを教えてもらったことへの憧れ“がエチュードで叶うシーンがとても良かった。ぜひ、総婦長へチェスを教えるところも見たかった。
1投稿日: 2022.01.21
powered by ブクログデパート屋上から降りられない象が可哀そうで、少年は11歳で成長を止めた。マスター死後、絡繰人形を使い盤下でチェスを指す。彼は盤下の詩人「リトル・アリョーヒン」と呼ばれた。印象深い作品。
8投稿日: 2022.01.19
powered by ブクログ静かな静かな世界で同じ日常が繰り返され、そのことが幸せかどうかは本人にしか分からない。 解説に、本当の自由は仕方がない事情の内にあると書かれている。それはそうだよなと思えたから、この本の世界に惹かれるのかも。
14投稿日: 2022.01.05
powered by ブクログ私の大好きな本。 小川洋子さんの文は優しいのに力強いと思います。 この作品は私のとても大切な作品となっています。 人生は自分の居場所を探す旅だといえます。 そこは物理的に狭い空間かもしれません。 しかし何かに夢中になり居場所がみつかれば、深い海でも遠い宇宙へも自由に旅することができます。 自然に笑みがこぼれ、涙が流れました。 これはもうお手上げ、傑作です。
1投稿日: 2022.01.02
powered by ブクログ表紙の色合いが、まさに物語の世界にすうっとなじむ。 一文一文が美しく、静かなトーンのながら決して単調ではなくうねりながら流れてゆく。 時におだやかに時に激しく、チェスという知らない世界も、音楽のような空気感で体全体に伝わってくるよう。 インディラを、心のどこかではうらやましくも思っているという、暗く狭い場をを心安らぐ自分の居場所とするアリョーヒン。 いつまでも、猫を抱いて象と泳いでいてほしい。
1投稿日: 2021.12.30
powered by ブクログ図書館でなんとなく手に取った本。 返却期限に間に合わなさそうで読まずに返却しちゃおうか迷ったけど 読んでよかった!とても素敵な物語だった 暗い森の中とか、作中の描写にも出てくるような深い海の中とか、 そんな落ち着いた雰囲気がずうっと感じられた 陰のある美しさ、不思議なほど魅せられてしまったのはこの陰の部分があるからなんだろうな 有限の中の無限というものをテーマに感じたのだけど、 これはチェスのゲームに限らず、登場人物の皆の生き方にも現れているというか 個人の定め・運命・その他いろいろの制約が課せられたとしても 自分がそれらにどう向き合うか、どのように生きるかということは何者によっても邪魔できないのだなあと 先に書いたことに通ずるところかもしれないけど、いかなる状況でも自身の生を全うしようとしているように見えた彼らはとても美しかった 自分が日々を生きて行く中でも意識したいと思った チェス盤の中で世界中を旅することができる、みたいなことが書かれていた気がしたけど、本当に、リトル・アリョーヒンはチェスに導かれて、バスの中から海底からシェルターまで舞台を変えていったんだなあ
2投稿日: 2021.12.08
powered by ブクログ小川洋子さんの作品の世界観が好きで、『薬指の標本』『シュガータイム』と読み、本作も読了。今回は前2作に比べて長編だったので、より深く長く世界観を味わうことができました。
9投稿日: 2021.11.21
powered by ブクログ綺麗な世界観で素敵な本です。チェスのことは素人なのでルールややり方はよくわかりませんが、それでも面白く読めます。
1投稿日: 2021.11.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ハッピーエンドではない作品が読みたくて、もやもやするとの評価だったこの本を読みました。 チェスという狭い盤上のできごとを無限に広がる自由な世界で表現されているのが印象的でした。 本作通して何度もフォーカスされていた脛毛が生えた唇については自分の読解力ではどういった役割や意味を持つのかが分からずピンときませんでした。 また、確かにエンディングもハッピーエンドではないのですがあまりに唐突で何故このタイミングで?と思いました。 リトル・アリョーヒンの物語はもうこの辺りで終わりにします、という突然の展開のように感じました。 本編通したキャラクターの多様さや表現の自由さを読んだ後だと呆気なさを感じるというか、肩透かしをくらったというか…。どんなどんよりとした終わりだろうか、と期待をしすぎたのかも知れません。 様々書きましたが、コマを動かす卓上ゲームをこんなにも言葉多彩に表現されていたのでそれだけで星4つはあります。 感想追記 言葉を話すことと無言のチェスが対比になっている? 言葉は一見自由なように見えて話せば話すほど蛇足的で余計なことであるのに対し、無言のチェスは不自由に見えてそこに無限の宇宙でも海でも広がっているということか? であれば、話すことは不要というように神様から与えられた唇を産まれた瞬間に他者によって作り替えられたリトル・アリョーヒンはチェスを通して本来の姿に回帰しているということなのか。
4投稿日: 2021.10.01
powered by ブクログこの美しく静謐な物語に引き込まれながらも、終わりに近づくのが惜しくなる…作品でした。 心に残った文章(p100) 少年「チェスを指していると、いろいろ不思議な気持ちを味わうよ」 「心のそこから上手くいってる、と感じるのは~(略)~相手の駒の力が、こっちの陣営でこだまして、僕の駒の力と響き会う時なんだ。そういう時、駒たちは僕が想像もしなかった音色で鳴り出す。その音色に耳を傾けていると、ああ、今、盤の上では正しいことが行われている、という気持ちになれるんだ。上手に説明できないけど…」 チェスを教えてくれたマスターはこう言う。 「ああ、分かるよ。よく分かる」 「つまり、最強の手が最善とは限らない。チェス盤の上では、強いものより、善なるものの方が価値が高い。だから、坊やの気持ちは正しいんだよ」 「響き合う」 「最強より最善の手を目指す」 心に留めておきたい。
20投稿日: 2021.09.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
1. ″少年″が人生の師となる人物と出会い、チェスの魅力にみせられてチェスと共に成長していく物語。 少年のチェスに対する想いと情熱、またチェスを通して人と繋がる様は美しかったです。 素敵な文章や表現が多くて、本を閉じたあとに思わずうっとりしてしまいました。 最近読んだ本の中で一番好きでした。 2. 再読。 初めに言いますが、チェスを知らない人でもこの本の魅力は味わえます(私もチェスのことはよく知りませんでしたが、この本は大好きです) 。 表現、言葉選びの美しさにはただただうっとりしてしまいます。 定期的に読みたくなる、思い出す度にうっとりする、沢山の人に読んでもらいたいと思える、そんな作品です。 3. 何度目かの再読。 何回読んでも魅力が色褪せない、とても素敵な物語です。 これを読んでチェスの本を買いましたし、少しずつ勉強しています。 チェスをやっていなくても充分魅力を感じることが出来るけど、チェスをやっていたらもっと魅力を感じることが出来るのかもしれません・・・。 「チェスをやっておけばよかった」と、これ程思ったことはありません。 4. 4度目くらいの再読。 とある少年が人生の師と言えるマスターに出会い、チェスに出会い、チェスを通して成長していく物語。 とにかく美しい作品で、読後に残る余韻がとても心地よく、綺麗な心になることができます。 登場人物が皆、自分をしっかりと持っていて、各々の持つ世界観がとても素敵です。 チェスはやったことないのに、チェスの魅力がとっても強く伝わってくる、大きなパワーを持った不思議な作品です。 とにかく美しい作品です。少しでも多くの方に読んでいただきたいです
4投稿日: 2021.09.17
powered by ブクログチェス盤の下の棋士の話。 この、一見チェスと何ら関係のない、 少々突飛にも思える題名は、 実は彼の旅したチェスの世界そのもの。 人は本当に感動すると語彙力を失うものらしく、 私はこの作品について、すばらしい描写について、 ひたすらに、きれい、と言うしかない。 不用意に触ろうものなら 均衡の取れた静かできれいな世界を 壊してしまいそうだし、 鋭く透き通ったその破片で 手がズタズタになりそう。 だめです、 やっぱり自分の拙い言葉で表しきれない。 リトル・アリョーヒンは8×8の宇宙を 自由に泳ぎ回るんだけど、 彼自身は盤下の小さな世界から出ない。 好き勝手どこへでも行けることが 自由だと思ってしまいがちだし、 おもしろいことはここではないどこかにあって 探しに行かないと出会えないと 思ってしまいがちだけど、 本当の自由も物語も、外じゃなくて 自分の内側にあるんだと気づかせてくれる。 小さな世界が無限に広いことを教えてくれる。 どこに行くか、何を見るかではなくて、 何を感じるか考えるか、 内面の精神の働きが詩を紡ぐのだと、 もっと内側に耳をすませなさいと 言っているように感じた。 小川さんの作品は“取り繕えない人達”と “どうしようもない切ない喪失”を テーマとして強く感じることが多いんだけど、 この作品にも胸が潰れるような喪失が いくつも描かれる。 作中でリトル・アリョーヒンは何度か 「さようなら」と言う。 だけどアリョーヒン、 本当にミイラに、ミイラにだけは、 あそこでさようならを言うべきだったんだろうか。 ミイラはきっと彼を責めないけど、 切なくも優しさに溢れたこの作品世界で 唯一これだけは優しくないと、 独りよがりだと、思ってしまった。
6投稿日: 2021.09.04
powered by ブクログキャリーバッグの老人が言う「口のある者が口を開けば自分のことばかり。….」というとこが何故かすーっと心に沁みた。 主人公がチェスという海を泳ぐ様を読んで、(小説の中で四季は巡れど)全編を通して、とても涼やかな気持ちになれる、夏におすすめの一冊。他の方も書いてる様に、時間帯なら夜がぴったり。 図書館が新しく入ってきた本をまとめて置いてある本棚で見つけたのだけど、すごく良いタイミングだった。ありがとうございます✨
2投稿日: 2021.08.08
powered by ブクログ静かな夜に読むのにピッタリな一冊でした。 チェスはとても面白いゲームなのに、なぜ日本のチェス人口はこんなにも少ないのかと常々思っていたので、この本を読んでチェスを始める人がたくさんいたらいいなー! チェスのルールはシンプルで、万人が楽しめるゲームです。が、作中で、チェスを海に喩えていましたが、その通りで、これまた実に奥が深いです。指す人の性格がもろに出ますよ。 狙い通りに展開した時のドキドキ、相手の思いがけない光る一手に驚愕、追い込まれた時の閃きと、一局の中にいつもドラマが展開されます。 チェスと比べると、将棋は複雑すぎてもう宇宙です。チェスより駒も多くて、その駒がグレードアップもするし、さらに取った駒まで使えるなんて、考える事が多すぎて私なんかは思考停止してしまいます。 物語の感想ですが、全体が小川先生の優しくて上品な雰囲気で綴られていますが、展開が多いので飽きずに読み進められました。 画が浮かぶくらいキャラの立った魅力的な登場人物がたくさん出て来て、面白かったです。 多くの別れを経験しながら成長していく主人公の生涯を描いています。 人との出会いで人生が変わる。そんな出会いをいくつも出来た主人公はすごく幸せだったんだろうなと思いました。 この本に出会った皆さん、チェスをやってみませんか?
2投稿日: 2021.07.10
