
総合評価
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powered by ブクログ独特な空気感だった。抗うことのできない不条理への対抗という矛盾。なぜ失われる必要があるのか、それに答えがないところが重く、やりきれない。
0投稿日: 2010.08.16
powered by ブクログ秀作。私は、となり町戦争よりも面白いと思いました。ココでのレビューを読むと、あまり評判はよくないようなので、びっくりしました。 でも、よくよく考えると、私はともあれ不条理というものが好きで(好きという物言いに語弊があるとすると、興味があってといっても良い)、しかし不条理を扱った小説は、驚くほど評価を二分するのもまた事実である。もはや、現代社会において、なにがしかの暴力的な事故を「不条理」の一言で片付けるのは、いささか乱暴にすぎるという傾向があるようだけれど、しかし世の中は、まっとうに見ても、かなり不条理に満ちている。町が忽然と失われてしまうことだって、絶対にないとは言い切れない。そしてそこには理由が、あるかもしれないけれどまだないのだ。文明が発達し、科学が進歩した現代で、たしかに、すべての事象には科学的根拠をと求める声は高い。だけど、ちょっと前まではそうじゃなかった。そうじゃないことが、当たり前として横行していた。そういう世の中のことを、蔑むべきではない。現代だって、ぜんぜんさっぱりわからないことだらけなのだ。人の生き死にというのは、点と点を線で結んでできるような、そんな簡単なものじゃない。 なので、この小説において、町の消失に関して、なんら説明がなされないことは、まったく何の問題もない。それはそこにある事実として、それを受け入れるべきなのだ。物語なのだから。そこを追求することは、ドラクエの世界で「何でコイツ、魔法なんて使えるのか。説明がなく、不十分である」というような、野暮なことだ。読書には、ある種の粋が求められる。それがなくなってきているから、ちょっとした差別用語なんかを、細かく叩かれる。町はなくなるのだ。魔法使いは火を生むのだ。ドラえもんはポケットから不思議道具を出すのだ。それは、そこにある事実として捕らえよう。物語の真価は、そこから先の話。 失われた町の記録を神経質に排除していく様子は、私に癌の治療を思わせる。あちこちに散らばってしまった、小さな癌細胞を、執拗に叩きのめしていく様を。そのせいで、健康な細胞が少しずつ消耗していくのだ。人々は一様に苦しみ、何かを失い、それでもそれ以上の悲しみを背負うことのないよう、懸命に戦う。命そのものを守るために、小さな傷をたくさん抱えている。この作品で書かれているのは、優しさと強さだ。それらは、悲しみから生まれるものであり、誰もが本来持っている生きる力のように思える。そして、どれほど優しく強くあろうとも、まったく得体の知れない、ただただ命を奪うためだけの力もまた、誰もの頭上に平等に注ぎ落ちる。しかして、これこそが人生である。私はそう思う。
0投稿日: 2010.07.30
powered by ブクログ30年毎に町が消滅する世界のお話し。 ゆったりしたペースで話が展開しているかと思いきや、急展開したり、また戻ったり、置いていかれてる感を味わうかもしれません。 エピローグに始まりプロローグに終わる構成で、読みきった瞬間、再度エピローグを読み返しました。読み返すことをオススメします。 しかし、誰もが読みやすい本ではないなと感じました。
0投稿日: 2010.07.30
powered by ブクログとなり町戦争を読んで、ついでにこの話も読んでみたけどこっちのほうがぜんぜん面白かった。設定もこっちのほうが理解しやすかっし、話に起伏があってよかった。
0投稿日: 2010.07.25
powered by ブクログ2010年6月14日 読了。 「街(の住民)が消える」という現象が起こるファンタジィ。設定を把握するまでがけっこう辛いが、一度飲み込めればさくさく読めるかな。 キャラクタがそれぞれ個性的なので、ころころ変わる視点についていけるようになれば楽しめると思います。 『となり町戦争』『バスジャック』を先に読んで気に入ったのでかなり楽しみにしていたんですが、個人的には『バスジャック』のが好き。
0投稿日: 2010.07.01
powered by ブクログ独特の世界観に則った「専門用語」が多用されるため、最初はなかなかストーリーに入り込めなかったのですが、徐々に物語の奥深くに進むにつれ、頁を繰る手をとめられなくなりました。 で、読み終わった今、なんなんだろうこの消化不良な感じ。 「望みをつないでいくこと」がひとつのテーマだったのかもしれないけど、最終的には『町の消滅』という設定に手を余しちゃった印象が否めなくて残念でした。 人間ドラマも悪くはないんですが、そもそものこの物語の舞台装置たる『町の消滅』という現象について踏み込んでほしかったな。
0投稿日: 2010.06.14
powered by ブクログ三崎さんの作品は、構成や設定が独特でうまい。 だけど、となり町戦争より読みづらかったなぁ。語りがあまりにも変わりすぎて把握しづらかった。
0投稿日: 2010.05.31
powered by ブクログ突然に町から住民が消失する「町の消滅」が起こる別の世界の話。 読み解かないとついていけないかもしれないけど、 その世界に入り込むことができたらとても面白い本だと思った。
0投稿日: 2010.05.16
powered by ブクログ相変わらず不思議な世界を作り出す作家さんです。 日常の中にボコッと非日常の(今回は町の全住民が消失する)シチュエーションを突っ込みます。その現象の理論的説明は無いのでSF的では無いし、ファンタジーと言うには周りが日常過ぎるし。 最初は「当り!」と思ったのです。 でも読み進めるうちに、色々不満も出てきました。一言で言えば「やり過ぎ」です。古奏器、西域、消滅耐性、電域など特殊な熟語を用いて雰囲気を出すのは面白い手法ですが、余りに多用しすぎて小道具感がして来ます。さらには登場人物の造形も面白いのですが、少々カリカチュアライズされ過ぎて浅く見えてしまいます。 ともあれ、なかなか面白い作品でした。
0投稿日: 2010.05.08
powered by ブクログどうやら新刊で出た直後にもらってそのままずっと積読になっていたらしい。本棚整理で発掘、10年たってやっと読了です。 タイトル通り、失われた町と残された人。 冒頭の「プロローグ、そしてエピローグ」は何のことかさっぱり分からなかったけど、最後まで読んでから戻ったら、そんな伏線いろいろ書いてあったんだと気づく。 町がなくなって人が消えるっていうテーマって今だと書けないんでしょうね。ちょっと引っかかる。
0投稿日: 2010.04.29
powered by ブクログ設定が細かすぎ、初めは小説世界に入るのに時間がかかったが、途中から読みやすくなりなかなか面白かった。
0投稿日: 2010.04.17
powered by ブクログ物語に入り込むまで時間がかかりました。となり町戦争が期待以上に面白かった為、読んでみたのですが、同じ感覚で挑んでしまった自分にも問題あるとは思われます。 本を開いてみると、そこはジョージ・オーウェル的世界で、そのギャップの為かなかなか入り込めず。尻上がりに盛り上がっていくものの、結局“消滅”とはなんなんだという消化不良が大きく残りました。 軽く読んで、軽く楽しめる種類のものではありませんね。
0投稿日: 2010.04.03
powered by ブクログ30年ごとに「町」がそこに住む住人を消滅させる世界。 設定に入り込むのに最初苦労したけど、中盤からは一気読み。 なぜ町が失われるのかは解明されないけど、余韻の残る感じのラストは結構好き。 続編、読みたいような、このまま終わってもいいような。
0投稿日: 2010.03.24
powered by ブクログまず世界観に入りこむのに少し苦労し、 そこは三浦亜記だから…という期待感で乗り切る。 ほのぼのした初盤。 中間、ファンタジーめいた独特の世界にちょっと乗り切り切れず… 終盤、一組のカップルのファンになり話が一気に楽しくなる。 彼等を含め、全員のプロローグまで、プロローグ後が知りたい気持ちで、 最後のエピローグを読む。 この終わり方がなんともにくい。
0投稿日: 2010.03.20
powered by ブクログ30年ごとに町が意思を持って、そこに住む住人たちを消滅させる。 普通の小説かと思ったら、SF小説に近い感じ。 続きの「刻まれない明日」も読みたいな。
0投稿日: 2010.03.10
powered by ブクログ内容が把握しづらく あれっとおもいながらも いっきに読んだ 突然に喪失・・・そのことに向けての準備 そして心の再生・・・・の物語 ある日突然 大切な人と死別をむかえるとき 人はどのように受け入れ 立ち直っていくのだろうか ふとそんなことが頭によぎった 内容の発想はとても面白いだけに もっと重みのある内容を期待してしまう 引き付けられたフレーズが多かった 「失われたものの癒しなど存在しない 人は皆欠落した断面の手探りを日々確かめながらそれを日常として歩き続けるしかないのだから」
0投稿日: 2010.03.04
powered by ブクログしんどかった。全体的には面白かったけど、ところどころ「うん??」と思うところもあり、なんか色々消化不良な感じ。
0投稿日: 2010.02.28
powered by ブクログ最初は?という感じでしたが、途中から話にグイグイ引き込まれていきました。世界観に関する説明がもう少し欲しかったかな…続編があるならば読みたいです。 面白かったのですが、何か物足りない印象があるのはなんでだろう。自分でも理由をうまく説明できません。
0投稿日: 2010.02.23
powered by ブクログ日本の日常的な風景と似ていながら、非なるファンタジー世界。強制的に理不尽な設定に置かれているところがホラーのようだけど、独特の世界観と各登場人物が繋がっていく展開に一気に読んでしまいたくなる作品。
0投稿日: 2010.02.20
powered by ブクログちょっと読み切れません。 他の作品にも興味があって、今回買ってみたけど、世界に入れないな〜。 SFとか最近読んでないし、そういうものがダメになってきたのかな? スンマセン
0投稿日: 2010.02.01
powered by ブクログSFを思わせるエピローグがいきなり来て初めは世界観を掴むのが大変でした。謎が多い作品だけどそれぞれの章がけっこう独立していてそれぞれが複雑に絡み、中盤からはのめり込みました。エピローグの意味もだんだんわかっていって読み終わったあともその世界観に浸ってた。個人的には傑作だなと思ってます。
0投稿日: 2010.01.30
powered by ブクログ私には理解できません。最後にはもしかして解き明かすのかも…と読み進めたが、なんてことはない。「SF」とはいえ、なにがしかのリアリティが必要だと思うが、何も引っ掛からない。
0投稿日: 2010.01.15
powered by ブクログとっても不思議な感じでした。 物語の中でまったく関係ないような人たちが最後には知り合いになって協力して、すっきりまとまってていいとおもった。 このあとどうなったのか知りたいなっておもいます^^
0投稿日: 2010.01.04
powered by ブクログとなり町戦争よりファンタジー度高め。 スーパーとか商店街とか出てきて今の日本と同じ世界なのかと思わせながら、結構ちがう。 異国の感じが好き。 あと、小川洋子の『密やかな結晶』を思い出した。 町が失われるという事象はファンタジーだけど、 圧倒的な何かに対峙したときの人々というのが丁寧に書かれてると思う。 てかこれ書いたの女の人かと思ってた・・・。
0投稿日: 2010.01.03
powered by ブクログはじめは、その荒唐無稽な設定が取っ付き辛く、 ちょっと敬遠してたんだけど、 すごく丁寧に登場人物の感情を描いていて 読み終わる頃には、その設定に感情移入してしまう。 「となり町戦争」でも言えたことだけど、 年月が経っているせいか、説得力パワーアップで やっぱり力のある作家さんだなって。 次回作が文庫で出たら、読んでみよ
0投稿日: 2009.12.30
powered by ブクログやはり三崎亜紀は凄いなーって思わせる一冊。 長編などで三崎ワールドががっつり楽しめます。 その一方で、ストーリー的にスッキリする内容ではないので(最後は丸投げ)なので苦手な人もいるかもしれませんね…
0投稿日: 2009.12.25
powered by ブクログ小説ならではの自由な設定。日本語だけど日本ではない国の話。読み始めは意味不明の概念・用語が多数登場するが、いつの間にかすっきりと読み進める。 作者は19700年生まれの男性。他の著作も読もうと思う。
0投稿日: 2009.12.10
powered by ブクログ三十年ごとに起きるといわれる、町の「消滅」。町の住民達は自分達が消滅することを事前に察していながら、恐れ戸惑うこともなく、淡々と消滅の事実を受け容れていた。「消滅」は悲しみを察知してさらにその範囲を広げていく為、遺された人々は悲しむことを禁じられ、失われた町の痕跡は国によって抹消されていった。 タイトルと内容紹介に惹かれて購入^^ ジャンルとしてはダークファンタジーなのかな?? 何故「消滅」が起きるのか、そのメカニズムの解明には全く主題を置いてません というか最後まで「消滅」の説明は一切されません 「消滅」の他にも「分離」という現象が出てくるのですが、一種の超常現象?みたいなものが物語の世界の中では科学的に根拠がある、というニュアンスなので、不可思議性は曖昧にぼかされた世界観です 純粋な謎解きを求める人には不向き? 「消滅」の後に残された人々の悲しみや戦いが、数名の女性を機軸に描かれています 時系列が最初混乱しますが、特にプロローグとエピローグの配置は絶妙だと思います 読み進めていくにつれ、プロローグを読み返したくなるし、最後にエピローグに辿り着いた時にはお涙頂戴にならない切なさが良い読後感を残してくれます 感情に訴えるような深刻な内容でありながら、いい意味で抑揚がつきすぎていない筆致にも好感が持てます そのせいで若干登場人物達も現実離れした淡白さを持ち合わせている印象は受けますが、パラレルワールドの話なので違和感はありません ただ、最後の潤くん以降の描写は蛇足な気もしました 読み物としては及第点以上 満足です^^
0投稿日: 2009.12.04
powered by ブクログ三崎亜記の失われた町を読みました。30年に一度、町に住んでいる人が全て消えてしまう、「消滅」という不可解な現象がおきる。家族、恋人、親友、などの大切な人を「消滅」により失ってしまった人たち。その人たちは、悲しむことによって「消滅」の汚染を広げてしまうため、悲しみを表現することも出来ない。そして、この「消滅」に立ち向かい、次の「消滅」を防止しようとする人たちの活動が淡々と描かれています。登場人物たちは感情を抑えたタッチで描かれていますが、それがかえって登場人物たちの悲しみを浮き出させているのでした。この本はすでに文庫が出ていますが、私は古本屋で単行本を買いました。町の絵にビニールのカバーが掛けてあって、ビニールには人間が印刷されています。カバーを外すと町が失われてしまうわけです。この装丁もとても気に入りました。物語の雰囲気が、なぜか村上春樹の小説の中で一番好きな「世界の終りとハードボイルドワンダーランド」を連想させました。何度も読んでみないと分かりませんが、この物語も私のお気に入りの1冊になる予感がします。
0投稿日: 2009.12.04
