
炎の大地(電子復刻版)
西村寿行/徳間書店
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総合評価
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壮絶な世界と苦艱に圧倒されっぱなし
ヒトは恐怖を感じると、背中に悪寒がとり憑くことがある。 本作でもそうだ。ただし、それだけに留まらない。無念さが悪寒となって背中にとり憑いてくる。このため、終始、背中の違和感が解消されない。 心を噛み砕かれる感覚に苦しめられることだろう。きっと、フィクションとノンフィクションの狭間に幽閉された状態から逃れられなくなる。救いがないことに、話が限りなくリアルなのだ。 ――植物を育まない不毛の赤い土(テーラ・ベーリョ)。誰が誰のために建てたのか分からないほど粗末な木片で作られた道端の墓(カンポサント)。赤い大地に這いつくばって生きる貧困が見える。その中で成功を夢見て実直に暮らす少年兄弟がいる。周囲が美しさに圧倒される年齢になった少女もまた必死に生きている。そこへ害意が充満する気配が接近していく……。 西村寿行氏の凄まじい筆力を堪能できる作品。略奪凌辱と牽強付会があまりにも迫真的過ぎて万人には薦められない。 しかし、評価は別だ。隠れた秀作だと思う。文字だけでこんな壮絶な世界を創出した巨匠の偉業に最大の敬意を表したい。迷わず★5つ。
2投稿日: 2013.11.04
