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砂塵に抱かれて
砂塵に抱かれて
リズ・フィールディング、佐藤利恵/ハーレクイン
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総合評価

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    このレビューはネタバレを含みます。

    淡々と流れる話で、大きな盛り上がりもなく、ロマンス小説らしいエモーショナル描写もない。 ただ、若いシングルマザーの女性と砂漠の王国の王太子がたまたま出逢い、互いに激しく惹かれ合いながらも、その立場と境遇のありの違いゆえに、それぞれの想いに正直になれないというだけの話。 だが、私は逆に、その平坦な現実的な物語が何故か、とても心に残った。 恐らく、この広い地球上のどこかでは、このような秘めたるロイヤルロマンスが現実に起こり得るのではないかと容易に信じられるーそのリアリティさがとても良いと思ったし、ちっとも俺様でも強引でもないヒーローと、自分の恋より家庭や幼い我が子を優先し守ろうとする慎み深いヒロインにも好感が持てた。 また、ヒロインがただ慎ましいだけでなく、意外にお喋り好きで陽気なところもかえって人間味があって好ましい。 身を焦がすような情熱的な恋を描くのに、何も必ずしも官能的シーンが必須というわけではない。 このように、当人たちが秘めよう、抑えようとすればするほどに切ない眼差しや一人の物想いの描写からも、激しい恋情を表現することはできるのだと学べる。 逆に、その手の描写が一切ないからこそ、この物語は一種の清々しさや二人の切なさがより感じられるのではないか。 恐らく物語りの冒頭からラストまで、二人が出逢って数日程度の時間しか流れていないのではないかと思うが、運命に導かれるようにして出逢い、一瞬で恋に落ちた若い二人が真実の想いから眼を背けようとしつつも、互いを恋する心に抗いがたい様子がよく描かれていた。 まさに、二人の出逢いも結婚も、「アッラーの思し召し」だったに相違ない。

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    投稿日: 2025.10.07