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不確定世界の探偵物語
不確定世界の探偵物語
鏡明/東京創元社
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総合評価

14件)
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    こんな凄い作家さんがいたとは…! 解説によると鏡さんは〈日本SF界最大の巨人〉だそうです。…巨人!? * タイムマシンで過去を変えたら未来が変わる、というのはバックトゥザフューチャーでもおなじみですが、 もしも誰かが過去をいじることで、現実が不確定に変わり続ける世界に生きているとしたら…?? 本書はそんなややこしい世界でさらにややこしい職業、探偵をしている男の物語です。 不確定に変わる世界で昨日や証拠に何の意味があるのか…。 作者はそんなややこしい設定をあえて行い、ラストは見事に回収するという離れ技を行います。 * 日本SF界最大の巨人… 単純に一番長身の星新一さんよりも背が高かったから、だそうです。なるほど。

    7
    投稿日: 2024.10.27
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    タイムパラドクス上等、な世界での探偵物語。 過去が堂々と変わる上に、変わった自覚が存在する世界っていう設定は紛れもなく SF なのですが、実際に読むとあまり SF っぽさを感じませんでした。 どちらかというと、できの悪いハードボイルドを読んでいるって感じ?(^^; オチの話が割と好みだったのであまり評価を下げないことにしましたが、なにが面白いのかわからないって人もある程度いるかもしれませんね。

    0
    投稿日: 2019.01.19
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    そういえば鏡明の本を読んだのは初めてかもしれない。訳書は別にして。 ここの所昔のSFを読み返している流れで手に取った。タイムトラベル物として鏡明らしい捻くり具合が楽しめる。もっとサービスシーン入れてくれても良かったかな。 この流れだと次は広瀬正に行かざるを得ないな(^^;)

    0
    投稿日: 2017.06.02
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     この連作短編型の長編が書かれた1980年代初めは、伝説のSFファン鏡明が小説をものし始めた時期で、私も大いなる期待を持ってSFマガジン連載の『我らが安息の日々』を読んだりしたけれど(いまだに単行本化されていないのだ)、『不確定世界の探偵物語』のほうは新書で出版されてもなぜだか読まずじまいだった。タイムマシンの実用化によって過去が改編され続けて現在が不確定になってしまった世界における探偵物語という設定には大いに魅力を感じた(赤川次郎への皮肉?)が、しかし、そんな世界で探偵は不可能ではないか。  そこで設定ではタイムマシンはただ1台だけ、しかも世界一の大富豪ブライスが所有し、世界の改良のためだけに使っているという設定になっている。世界の変化は起こりうるが、常時起こっているわけでもなく、世界が変わっても変わる前の世界の記憶はおぼろに残っている。主人公の探偵ノーマン・ギブスン(『ニューロマンサー』のギブスンへのオマージュ?)は、日本人の孤児で養子のためこんな名前。彼の故国は既に『日本沈没』している。などと、いろいろとくすぐりがある。各短編は独立しているものの、ブライスの正体は何か、ブライスにとってギブスンは何か意味がある存在なのか、ブライスに敵対する者たちは何者か、といった謎がばらまかれ、他方、ブライスのもとから派遣され、探偵助手に収まるジェニファーとのロマンスが横糸を張り、読者を引っ張っていく。  ハードボイルド探偵ものの体裁だが、ギブスンはまったく腕っ節が弱い(でも、打たれ強い)。その代わりジェニファーが滅法強い。ハードボイルドのお約束で、彼はひどく感傷的でもある。そのあたりの味わいがいい。  20年を超えて古びていない作品である。

    0
    投稿日: 2016.02.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    [ 内容 ] ただ一人の富豪が所有する、この世に一台きりのタイムマシンが世界を変えてしまった。 過去に干渉することで突然、目の前の相手が見知らぬ人間に変わり、見慣れた建物が姿を変えてしまうのだ。 おれは私立探偵。 だが、常に歴史が変わる―現在が変わりつづけるこの世界で、探偵に何ができるというのだろう。 そのおれが、ある日、当の富豪に雇われた。 奴は何者? 空前絶後の時間SF。 [ 目次 ] [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]

    0
    投稿日: 2014.10.31
  • 未完(未刊)の帝王、鏡明の幻の作品が甦る

    昔読んだ時には傑作だと思った話が時間が経って再び読見返してみた時に面白いかどうかというと必ずしもそうではない。それは読み手の考え方や知識その他もろもろの背景情報や感性が変わっている為だ。はっきりいって本作は、昔読んだときほど面白いと思えなかった。この小説でいうところの「異化」が私自身に起こったといってもいいかもしれない。 当時トクマノベルズで本作を読んだ時はこんな時間SFがあったのかと感心し、主人公ノーマンのハードボイルドな探偵に惚れたのだが、今回再読して正直に思ったのが連作長編というわりには毎回解決しないことが多すぎるのだ。本来物語が進行するにしたがって当初ちりばめられていた謎が徐々にでも判明していけばいいのだが、その点が毎話思わせぶりなまま(つまり解決しないまま)表面上の犯人が捕まる死ぬなどして終わってしまう。もっと言うと話は展開するのだが、結局何もわからないままもとの鞘に納まっただけで終わってしまう。そのせいで物語としてのカタルシスが得られず中途半端で非常にもやもやしたまま放りだされるのだ。 これは作者が狙った既知の時間SFの概念を覆すというアイデア「過去を変えてはいけないという規則は、現在を守らねばならないという規則に連なる。が、その現在というものが、守るに値するほど素晴らしいものなのか?」が、結局物語をあいまいなものにしてしまい一本筋が通っているべき物語の本流さえも曖昧なものにしている。富豪のブライスを邪魔する敵や当のブライス、主人公ノーマンの秘密と面白そうな謎はたくさんあるのに・・・・・残念である。 とはいえ何十年も前にこんなSF小説が書かれていたこと自体はやはりすごいことだとは思う。

    2
    投稿日: 2013.10.26
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    時間SFってことで手に取ったもの。  荒っぽくいえば、時間を自由に操ることができる勢力がふたつ。そして、過去や未来からの勢力争いに巻き込まれるのが、ハードボイルド私立探偵の主人公。美女も出てくるし、007のイメージかな。  連作の短編集だから、全部通して楽しく読める。SF色はないが、冒険活劇という印象かな。古い作品なのに新鮮に読めるのがうれしい。  作品は以下の通り。  「昨日のない明日」「暗闇の女」「空白の殺人者」「凍った炎」「復讐の女神」「子供の冒険」「真夜中の死」「わが最良の時」。エンディングはきれいにまとまっていい感じだな。

    0
    投稿日: 2012.05.25
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    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 鏡 明 1948年山形県生まれ。作家、翻訳家、評論家。早 稲田大学文学部卒。学生時代よりSF同人誌で活 躍。1970年にメリット『蜃気楼の戦士』で翻訳家 デビュー。同年、短編「オム」を発表し作家デ ビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲 載されていたものです) ただ1人の富豪が所有する、 この世に1台きりのタイムマシンが世界を 変えてしまった。 そんな時代に探偵も足を踏み入れる。 現代で [探偵]というのも時間の流れに多種多様... 宇宙旅行も金さえあれば手に入る時代 出版社: 東京創元社 発売日: 2007/07

    0
    投稿日: 2012.05.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    とてもハードボイルドだった。現在過去と起こったはずの事象ががんがん変わっていきその理由が明かされる過程など時間ものとして嫌いなタイプの話ではないのだけど、"おれ"という一人称の語り口調など、私が苦手な文体でした。

    0
    投稿日: 2012.01.13
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    久々におもしろいSF小説を読んだ。ワンダーマシン、探偵、改変モノ。と聞いただけで涎が…。アンドロイドは電気羊の夢を見るか?(ディック)や猶予の月(神林長平)が好きな人にお薦めです。

    0
    投稿日: 2011.10.15
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    105.初、並、小傷み、帯なし。 2011.7/5.桑名BF。 2007年7月27日、初、並、帯無 2012.8/26.伊勢BF

    0
    投稿日: 2011.07.10
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    タイムマシンによる過去の改変が当たり前となった世界を舞台にしたハードボイルド風味の連作時間SF。過去への干渉により変化を続ける現在、さらにその変化が人々に認識されているという設定が面白い。 提示される謎も魅力的でミステリ読みとしても楽しめる。 「凍った炎」、「復讐の女神」がお気に入り。

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    投稿日: 2011.02.26
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    特にSFが好きでも、ハードボイルドが好きでもない。 でも、これはおもしろい!とゆーかイイネ!!! 最後はハッピーエンドな感じもまた スルッと読めるし、短編が何編かだから、本を読み慣れない人にもオススメ出来ます 期待が少なかった分この点数で

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    投稿日: 2010.11.28
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     まったく,人間と言うやつの順応性には,感嘆するよりない。ワンダーマシンが作動しはじめてから,世の中は,以前の世界とは似ても似つかぬものになってしまった。確実なもの,絶対的なものなど存在しないということを,現実に経験することになったからだ。  たとえば,見なれた町並みが突如として変わったり,目の前で話していた男が,見知らぬ人間に変わってしまうことだって,現実に起きた。もちろん,街が姿を変えるなんて凄まじいことは,滅多にない。おれの記憶では一度あっただけだ。ま,その記憶というやつも,まるであてにはならないわけだが,一回だけというのは定説になっている。そして,それは不用意に過去に手を触れることがいかに危険かという実例として,残っている。 (本文p.18)

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    投稿日: 2009.01.07