かたみ歌(新潮文庫)
朱川湊人(著)
/新潮文庫
作品情報
不思議なことが起きる、東京の下町アカシア商店街。殺人事件が起きたラーメン屋の様子を窺っていた若い男。その正体とは・・・・・・「紫陽花のころ」。古本に挟んだ栞にメッセージを託した邦子の恋が、時空を超えた結末を迎える「栞の恋」など、昭和という時代が残した“かたみ”の歌が、慎ましやかな人生を優しく包む。7つの奇蹟を描いた連作短編集。(解説・諸田玲子)
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商品情報
- シリーズ
- かたみ歌(新潮文庫)
- 著者
- 朱川湊人
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮文庫
- 書籍発売日
- 2008.02.01
- Reader Store発売日
- 2022.10.28
- ファイルサイズ
- 0.6MB
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この作品のレビュー
平均 3.7 (283件のレビュー)
-
朱川湊人 著
朱川湊人さんの本はこの作品が初読書です。
ブク友さんのshukawabestさんの本棚のご紹介で手に取り読むことが出来て良かったです( ˘͈ ᵕ ˘͈ )ありがとうございます。
情緒…あるって言葉がぴったりくるような作品に出会えた気がして、とても良かったです。
下町の商店街を舞台にして起きる物語りは下町の情緒溢れるというだけなく、そこに息づく人間や得体の知れぬものの正体にさえ現れる雰囲気と感覚が情感に触れてくる。
不思議なことが起きる、東京の下町アカシア商店街。昭和という時代が残した“かたみ”の歌が、慎ましやかな人生を優しく包んでくれる7つの奇蹟を描いた連作短編集。
古本屋の芥川龍之介似の店主である老人が、ストーリーテラーのような役割で物語りは進んでゆく。
そしてラストでその鍵を握る人物こそ…、、
短編でありながら連作の形をとっているこの物語の中ではアーケード商店街アカシアと覚智寺のお寺近くに住む町の住人に起きる日常に、まさかの現世と黄泉をつなぐ謎が静謐に描かれている。
時代背景や流れる歌などは知らなくて懐かしいという感覚ではないにしても、時代が変わろうが、人がもつ切なくて悲しい思いは変わらないと感じさせてくれる。死に別れた人にもう一度会いたい気持ちも…幽霊という魂の不滅にゾワリ背中が冷たくなる感覚もそれすら越えてしまう忘れられない感情が切なくて温かい。
アーケード商店街って憧れる。
色んなお店が軒並みにあり商売人の顔やお店独特な顔が見えるようで…人と人の温度が感じられる気がする。
文中にあった古本屋の店主が言った
「袖擦り合うも他生の縁ですから」言葉が印象的だった。
今どき、そんな言葉を聞いたこともなければ、昔からある酒屋さんや野菜屋さんやお肉屋さん等、色んなお店が軒を並べるアーケード商店街も見かけなくなり、大型スーパーやモール店に変わるはやさと言ったら尋常じゃない(-_-;)
私は15年位前にバスで15〜20分くらいのところに、アーケード商店街を見つけた๑⃙⃘'ᵕ'๑⃙⃘
寂れた感じはあったが、私の理想とする野菜、果物屋、薬屋、お肉屋、衣料品店、お菓子屋、帽子屋、お茶屋etc…そんなお店が軒を並べており、商店街の横道それると市場まであったのだ꒰◍︎⍢︎◍︎꒱۶(地元の方に聞くと、随分昔から100年前くらいからあったのではないかと思う)
一気に盛り上がりましたよ♪独りごちて(^.^)
何の用もないのに、時々訪れては、果物買ったり、珍しく豆腐屋さんが自家製豆腐を綺麗な水の水槽みたいなところから一丁取ってくれるのには感激した( ˶ˆ꒳ˆ˵ )お肉屋でコロッケをその場であげてもらい、紙に一個ずつ包んでもらい、商店街近くの公園で食べるのが至福の時だった⁽⁽ଘ( ˊᵕˋ )ଓ⁾⁾
あ〜懐かし、いやしんぼ(๑´ڡ`๑)だった頃を思い出す。
とはいえ、自分も近所は大型スーパーが沢山あり、駅に隣接のモール店などの近場で一度にすべてが揃うお店で買物する方が多く、簡単だし、自分の中でも商店街への魅力を感じなくなる頃…久しぶりに訪れたアーケード商店街は昔からの商店はなくなり侘しくなっていた( ᵒ̴̶̷̥́ _ᵒ̴̶̷̣̥̀ )もう、5、6年前?もう少し前なのか…(コロナの時期の空白のような時間が最近では時をはやめ年数時期感覚がかなりおかしくなっている)
市場はすべて閉店していた( ˙-˙ ; )
打って変わり、そこには新築マンションが建ち並んでいた!このマンションに住む人たちは目の前に商店街があっていいなぁ…(´・з・`)
と思いたいところだけど、その商店街さえ15年前に見つけた時のなりをひそめ、様変わり…荒んだ状況だ( ・᷄-・᷅ )
変わっても当たり前のようになる時代だ。
長々と私情挟んでしまったが、本作の中には変わらぬ心情や人同士の身近な付き合いがあり思いやりがある。下町商店街の良さを引き出しているが、近い存在であるからこそ、嫌な気分になったり辛く切ない思いも近いのかもしれないって思った。
でも、人に素直に興味を持つことや親しみを感じることがすんなりと自分の心に沁みた。
そして、やっぱり人は不思議な感情を持つことは大切だって気がした。
ブクログで紹介されている朱川さんの他の作品も読んでみたいと思いました。
7つの連作短編集、どの作品も切なく哀しいけれど救われた思いにもなる良作でした。
ただ、”夏の落とし文”の啓介のお兄ちゃんのことがずっと気がかりのままだった。続きを読む投稿日:2022.12.08
平成生まれだけどどこか懐かしい感じがする。映画Alwaysが好きなので街並みはそれを想像しながら読んだ。
投稿日:2024.03.13
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