白き女神の肖像
鴇澤亜妃子(著)
/東京創元社
作品情報
妻をモデルに描いた肖像画『東方ノ女神』で一躍時代の寵児となった画家ショーン。だが、妻のディアーナはモデルを務めるうちに、奇妙な感覚を覚えるようになっていた。夫が描いているのは自分ではない――。しかし夫も周囲の人々もディアーナの不安を理解せず、思い悩んだ彼女は次第に憔悴し、謎の死を遂げる。そして、彼女に代わってモデルとなったローズマリーも同じことを口にするように・・・・・・。第2回創元ファンタジイ新人賞受賞『宝石鳥』の著者がおくる、描くことにとり憑かれた画家と、彼を取り巻く女性たちをめぐる幻想譚。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 白き女神の肖像
- 著者
- 鴇澤亜妃子
- 出版社
- 東京創元社
- 書籍発売日
- 2020.12.11
- Reader Store発売日
- 2020.12.10
- ファイルサイズ
- 1.7MB
- ページ数
- 273ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.2 (6件のレビュー)
-
あまりにも美しい表紙と耽美な装丁に吸い寄せられて手に取った。
「あなたは、誰?」
この一文でこの幻想譚は始まる。
1800年代後半から1900年代前半まで活躍した画家(もちろん架空の人物であろう)…ショーンは、妻のディアーナをモデルに描いた「東方ノ乙女」という肖像画で、一躍時代の嬰児となった。ショーンの画風は見たままを見たまま描くといったもので、作中では「天使派」と呼ばれている。
そんなショーンの作品を見ようと、1970年に今は古びた無人の赤煉瓦の屋敷…かつてはショーンの自宅兼アトリエであった屋敷・通称「夢幻の館」に、美術研究家カーライルが足を踏み入れた。
そこで見つけた未完の肖像。
その肖像には、顔が描かれていなかった。
描きかけというわけではない。この絵は一体…?
そのような謎を残して、舞台はショーンたちが生きていた時代のアイリノス(嘆きの花の町)へ。
かつてはショーンを中心にたくさんの芸術家たちが集っていた夢幻の館。
賑やかななか、訪れる皆から美しい、本物の女神のようだ、モデルになってくれと懇願されるディアーナはなんともいえない思いをする。
「東方ノ乙女」を見ながら、この絵にあるのはやはり私ではない。ショーンが描いたものはもちろん、他の誰がディアーナを描いても、やはりディアーナにはそれが自分とは思えない…
私を通して、私ではない何かを他の人たちは見ている?
そしてまたショーンも、取り憑かれたようにディアーナを描き続けずにはいられなかった。
その不思議な現象について、最後まで読んだうえでわかるような、わからないような…でもなんなのだろうこれはと、読後も考え込んでしまう。
これは、幻想的な女神譚、とでも言えばいいのだろうか。
それとも私がこの本を通して読んで想像してきたのは、果たして「女神」と呼べるものだったのだろうか?
作中の人物たちとともに翻弄され、頭を抱えているのだろうか?
美しい、とは、なんなのだろうか?
第三章・魔都の女神のエピソードが他の章の中でも異質で、それでいてこの物語の答えを一番表現しているように思えた。
わからないと思うなら、ただのよくわからない物語と一蹴してもいい。
でも、私はつい、白き女神の肖像というタイトルを眺めながら考えてしまう。
見たままを描いたはずのものが「見たまま」ではなかったら?少し身震いがする。それ以外にも思うところはあるのだが、うまく言葉にならない。
正直バッドエンドなのか、幻想的なよくある物語なのかすらわからない。
でも読後もどこか惹きつけられる。自分の目に映る世界が全てではないような気がしてくるからか?
なぜなのか誰か教えてくれないか?
いろんな人の感想がききたくなるお話だった。
美しい表紙の貴女は誰なのだろう?続きを読む投稿日:2022.06.27
美しき絵は、人を呑み込む。
それはまるで、我が子を喰らうサトゥルヌスのように。
凝った造りの装丁に胸がときめく。
絵画と画家と、モデルたちの物語は、ファンタジーそのものだ。
「天使派」と呼ばれる芸術家…集団たちは、目に見えるものを、美の神の使者として、キャンバスに描く。
しかし、その絵に描かれたのは、モデルであってモデルでない。
現在から過去へ戻り、また現在に戻ってくる物語の構造はオペラ座の怪人のようだ。
美に取り憑かれ、しかしてその美は神なのか、それとも悪魔なのか、画家にも、見るものにも分からない。
もしかしたら、ただ1人だけその正体に気づいていたかもしれないが。
よく言えば余韻の残る、悪く言えば少しわかりにくい終わり方をする。
個人的には仮面劇のシーンは面白かったが、結局女神とはなんだったのか、もう少し迫っても良かったように思う。
また、絵画のタイトルが、今ひとつ垢抜けないように感じた。
現実世界の画家を思わせないようにしたのかもしれないが、イメージがラファエル前派だったので、少し寄せても良かったのでは。続きを読む投稿日:2023.04.16
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。