サジュエと魔法の本 上 赤の章
伊藤英彦(著)
/文芸社文庫
作品情報
魔導師の家系に生まれたのに、魔法が苦手な12歳の少年サジュエ。ある日、大賢者と呼ばれるおじいちゃんの家で不思議な赤い本を見つけるが、朱の書と呼ばれるその本を狙ってサジュエに魔の手が迫る・・・! 魔導師の少女リアンジュ、“盗み屋”稼業のルイジとリンダ、国際魔導師機構、そして大陸を支配しようと企む邪導師。4つの書をそろえるのは誰か!? 本格ファンタジー待望の文庫化!
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- サジュエと魔法の本
- 著者
- 伊藤英彦
- 出版社
- 文芸社
- 掲載誌・レーベル
- 文芸社文庫
- 書籍発売日
- 2019.12.01
- Reader Store発売日
- 2019.12.15
- ファイルサイズ
- 1.5MB
- シリーズ情報
- 既刊2巻
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.0 (1件のレビュー)
-
・伊藤秀彦「サジュエと魔法の本」(文芸社文庫)を読んだ。おもしろいのだが、その理由の一つは名古屋弁である。登場人物の二人が名古屋弁を使ふ。チュイ人の村長が「なまりのきつい話し方で『森の外から来られた方…々よ、ようこそわれわれチュイ人の村へいりゃあたなも。」(上150頁)と歓迎のあいさつをする。以下も見事な名古屋弁である。次はちよつと違ふかもしれないが、「幻の丘を望む南の岬の家」(下53頁)の、たぶんまだ若い母親ジュファがサジュエに言ふ、「わたし、魔女だからさあ、占いは得意なんだ わね。」(下63頁)だわねの語尾や全体の雰囲気が名古屋弁つぽい感じである。ただ、こちらははつきりと名古屋弁と言へるかどうか。しかし、そんな登場人物がゐるだけでも楽しい。こんな人物がゐるのも作者が準名古屋人だからである。春日井市出身とある。しかも地方公務員、県か市町村かであるが、名古屋弁の中で生活してゐる人であらう。だから、よくある紋切り型の田舎言葉より、かういふ言葉、名古屋弁が田舎言葉として使ひ易いのであらう。と言ふより、大いなる田舎と称された名古屋である。そのまま使へば良いのである(、なんてね)。理由の二つ目は作者が「あとがき」で述べてゐるやうに、「パクったと言われそうな個所なら、ほかにいくらでもありそう」(下350頁)なことである。例へば最後に出てくる邪神、この言ひ方だけでラブクラフトを思ひ出させる。実際にその姿は、「あらゆる生き物がでたらめに混じり合ったような、まがまがしい姿。」(下323頁)であつた。この前に具体的な様相が描かれるが、それは正にクトゥルー神話の邪神そのものである。これもクトゥルー物だと言つてしまつても良ささうな感じさへする。この邪神現るまでのいきさつもクトゥルーにでもありさうで、作者が日頃慣れ親しんだ作品をまねた、パクつたであらうことは十分に察しがつく。こんなのは他にもありさうである。パクる方が悪いのか、パクられる方が罪作りなのか。要するに、良い作品はパクられる、これだけのことであらう。
・物語は、このやうなファンタジーの常として、舞台をヨーロッパ中世あたりにおいてゐることが多いが、これは違ふ。たぶん近未来といふあたり、それも魔法が通用する社会である。魔法的存在も多く、魔術師を魔導師、その黒いのを邪導師といふ。小学校でも魔法を教へるやうで、主人公は12歳、 「歴史に名を残す大魔導師の孫でありながら、サジュエは魔法が大の苦手だった」(上13頁)。それなのにある日副題の赤い本を奪はれさうになつて旅立つて以来……とまあ、お決まりの成長の物語が続く。これはファンタジーの伝統、パクつたなどと言へたものではない。トールキンも、ルイスも、ル=グインも、その他多くの作家達が皆同じことで物語を作つてきた。パクるのではない。正攻法である。そして旅の仲間と出会ひ、ヒロインが現れ……と物語が続いて「最後の戦い」、王の戴冠に至る。最後まで型通り、見事なものである。舞台が近未来ならもつとS F的要素がありさうなものだが、これはあくまでファンタジー、魔法的要素が強い。最後の戦いもさうである。といふより、ここでさういふのが一気に吐き出される。その最果ての邪神であつた。この物語、さういふ型通りを気にせずに読めばおもしろく読める。大家の作品でも似たやうな設定や進行等はあるもので、それでもそれがおもしろければ良いのである。魔法があつてもおもしろくなければファンタジーではない。私にはおもしろかつた。作者も結局は楽しんで書いたのではと想像する。それゆゑにまともなファンタジーと思へる作品であつた。続きを読む投稿日:2020.02.26
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。