- 最新巻
怪盗ニック全仕事6
エドワード・D・ホック(著)
,木村二郎(訳)
/創元推理文庫
作品情報
1966年、斑の虎を盗むために登場して以来、40年以上にわたり「価値のないもの、誰も盗もうとは思わないもの」ばかりを盗み続けてきた怪盗ニック・ヴェルヴェット。天下無双の大泥棒の活躍譚も、ついに最終巻を迎える。巨大な石像の首、結婚式で飛ばす鳩、空っぽのペイント缶などを意外な方法と思わぬ理由により盗み出す通常営業から、恋人グロリアとの出会いや〈白の女王〉サンドラ・パリスとの共演などファン必読のエピソードまで、本書には本邦初訳8編を含む全14編を収録。シリーズ全87作品を発表順に収録した文庫版全集、堂々の完結。/解説=木村仁良
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商品情報
- シリーズ
- 怪盗ニック全仕事
- 著者
- エドワード・D・ホック, 木村二郎
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 東京創元社
- 掲載誌・レーベル
- 創元推理文庫
- 書籍発売日
- 2019.01.25
- Reader Store発売日
- 2019.01.21
- ファイルサイズ
- 1.5MB
- ページ数
- 457ページ
- シリーズ情報
- 既刊6巻
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この作品のレビュー
平均 4.0 (4件のレビュー)
-
「泣いても笑ってもこれが最後」と訳・解説の木村二郎さんの言うとおり、『怪盗ニック全仕事』シリーズ完結。怪盗ニックの活躍する短編は全て読んでしまったということになる。寂しいけど、文庫全六巻と手頃な達成…感は嬉しい。そして最高に面白かった!
六巻には一九九七〜二〇〇七年までの発表作品が収録されている。「この二十一世紀に…」というような台詞もあるし、ニックもサンドラもインターネットを使う。麻薬やダイヤではなく「マイクロチップ」が価値を持ったりもする。ただ、「インターネットで調べたのさ」とお爺さん(?)ニックが自慢げに言う様子から見ると、作者のホックさんもそっち方面が得意とは思われず、情報収集が多少しやすくなった程度の変化であり、シリーズ全体を通して大きく価値観が変わるようなことは起きていない。そこは安心して読める。
この短編集は東京創元社が独自に編んだものなので、作者が“ニック最終巻”のつもりで書いたわけではないのだが、老いてきたニック、自分なりの社会参加を深めているグロリア、終盤にかけて登場回数がどんどん増えていくサンドラ・パリス、一応顔を見せてくれるチャーリー・ウェストンといったレギュラー陣それぞれの経年変化の様子がどれも好ましく、最終話も、最終話と意図して書かれたのかどうか不明だが、最後の会話などなんだかとても良い終わり方だった。
『グロリアの赤いコートを盗め』では、グロリアとニックの出会いが明かされる。グロリアから見た初対面時のニックの印象(容姿)が描かれるなどこの上なく興味深いエピソードだが、この上ない矛盾を孕んでいる!
※以下はネタバレというか、事件の真相やトリックの話はしませんが、ニックとグロリアについて余計なこと知りたくない方はご注意を。
この矛盾こそ、五巻の解説で木村二郎さんが予告していた話か〜、と思ってワクワクして解説を読んだが、解説ではグロリアの姓の矛盾しか指摘されていなかった(私はそっちは気づかなかった)。そうじゃなくて、「〜そういうわけで私は恋人の仕事が政府関係の極秘任務だと知りながら一緒に暮らしているのよ」的なまとめになっているけど、いやいや、一巻の頃はグロリアはニックの仕事を「工場用地を探す仕事」と聞かされていましたよ!「政府関係の(何かスパイめいた)仕事」という認識も、途中でグロリアが勝手に勘違いして得たものだったはず。まあよくある矛盾として流していいしニックシリーズへの愛は変わらないが、グロリアに対する秘密がだんだんなくなっていく過程を楽しんでいた私としては、グロリア別人説を考察したくなるくらい、引っかかるものがある。続きを読む投稿日:2023.12.17
怪盗ニックの第六作。
「グロリアの赤いコートを盗め」が最大の驚き。
ニックとグロリアのなれそめだった。
途中で政府の仕事と言い訳する話が合ったが、
これが元だったとは。
ニックの嘘を随分簡単に信じる…なー、とは思ったけど、
この時の説明があったからなのか。
しかもグロリアが推理力を発揮して、
自分の赤いコートを盗ませた犯人とその理由をつきとめるとは。
ニックの仕事には無関心だった最初の頃に比べると、
グロリアのイメージがだいぶ変わった。
他にもライバルのサンドラ・パリスも登場する話が出ていた楽しかった。
グロリアと協力して盗んだアップルパイの話も。
これが最後の作品とは残念。続きを読む投稿日:2019.11.16
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