死と生(新潮新書)
佐伯啓思(著)
/新潮新書
作品情報
「死」。それは古今東西、あらゆる思想家、宗教家が向きあってきた大問題である。「死ぬ」とはどういうことなのか。「あの世」はあるのか。「自分」が死んだら、「世界」はどうなるのか――。先人たちは「死」をどう考えてきたのか、宗教は「死」をどう捉えているのかを踏まえながら、人間にとって最大の謎を、稀代の思想家が柔らかな筆致で徹底的に追究する。超高齢化社会で静かに死ぬための心構えを示す、唯一無二の論考。
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商品情報
- シリーズ
- 死と生(新潮新書)
- 著者
- 佐伯啓思
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮新書
- 書籍発売日
- 2018.07.14
- Reader Store発売日
- 2018.07.27
- ファイルサイズ
- 0.8MB
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この作品のレビュー
平均 4.0 (4件のレビュー)
-
経済学者・思想家である佐伯啓思が、月刊『新潮45』に連載する「反・幸福論」の2017年7月~2018年4月発表分をまとめたもの。同連載の書籍化は本書が8冊目で、いずれもその時々の時流を勘案したテーマを…論じている。
本書は、日本が、もはやモノを増やして、生活の物質的な向上を求めるような経済段階ではない“高齢化社会”、換言すれば、長い人生の生の意味づけや、やがてすべての人に訪れる死への準備へと人々の関心が向けられるべき “成熟社会”に直面する中で、著者としての“死生観”を様々な角度から語りつくしたものである。
内容は、仏教的な死生観を中心に、トルストイが『人生論』で表した死生観のほか、三木清、ソクラテス、ショーペンハウエル、ハイデガー、『葉隠』、西行、平田篤胤、『方丈記』、鈴木大拙、セネカ、モンテーニュなどの思想を部分的に紹介しつつ考察が展開され、最終章は以下のように結ばれている。
「「生も死も無意味だ」から出発して、その「無意味さ」こそが、自我への執着を否定したうえで、現実世界をそのまま自然に受け止めることを可能にするのです。われわれは、草木のように土から生まれ、また土に戻ってゆき、そしてまた別の命が芽をだす。すべての存在がこうした植物的な循環のなかにあることをそのまま受け止めるほかありません。・・・とすれば、われわれは特に霊魂はあるのかないのか、あるいは来世はあるのかどうか、などということに悩まされる必要はない。確かに、生も死もどちらでもよい、などと達観することはできません。しかし、この達観に接近しようとしたのが日本的な死生観のひとつの大きな特徴だったのであり、それは現代のわれわれにも決して無縁ではないでしょう。」
そして、死を論じることの大切さについて、「人間は死すべき存在である、という命題はまた、人間は死を意識しつつ死へ向かって生きる、ということを意味し、これはまさに生き方を論じることでもあるのです。」と付言されている。
私は、本書の中で繰り返し「私は、人間は死ねばただ土にかえるだけで「無」だと思っています」と述べている著者と同様に、死ねばすべてが終わりで死後には何もないとと考えるタイプである。また、三木清が『人生論ノート』に書いている「死は観念である」ということ、即ち、人は誰も死を経験することはできないということだけは、おそらく普遍的な事実である。それを踏まえて、どのようにして「死」に意味付けをするのか、そして、それを「生」に活かしていくのか、様々な示唆を与えてくれた一冊である。
(2018年8月了)続きを読む投稿日:2018.08.15
佐伯啓思は西部邁とは院生のときから40年来の付き合いだそうだ。その佐伯が反成長主義として、死と生を扱ったのが、この本。なので、西部の自死についても述べている点が、自分にとっては興味深い。仏教的な死生観…なので、自分にとっては、受け入れやすい。仏教の「色即是空、空即是色」といった概念は、自分としては、真実であると思われる点だが、そうだとしたときに、西部は、無を考えることの無意味、無ということすらも言語であること、西部にとって重要だったのは、活動的な生と自分で自分の死を決める、というあたりを重視しての自死だったと説明する。逆に、自分は佐伯に近いが、無であることに思いをいたすこと自体は、有意味だと思う。死んだらおしまいだからこそ、いつおしまいになってもよいように生を充実させる。最後の幕引きも自分で決めるのではなく、いかに無様だろうと、生の時間をきちんとまっとうするということになるのではないか。
自分の多様性理論からすると、日本人が、無に着眼したのに対して、西洋人が、有に着眼して、哲学・思想を構築してきたというとらえ方は、自分にとって新鮮。続きを読む投稿日:2021.02.23
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