戦後日本経済史(新潮選書)
野口悠紀雄(著)
/新潮選書
作品情報
比類なき高度成長を成し遂げ、石油ショックにも対処できた日本が、なぜバブル崩壊の痛手からは立ち直れないのか? その理由は太平洋戦争直前、革新官僚によって導入された「戦時経済体制」にある! 1940年代に構築された巧妙なシステムから戦後経済を読み直し、古い産業構造から抜け出せない日本経済の本質を解明する。 ※新潮選書に掲載の写真の一部は、電子版には収録しておりません。
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商品情報
- シリーズ
- 戦後日本経済史(新潮選書)
- 著者
- 野口悠紀雄
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮選書
- 書籍発売日
- 2008.01.25
- Reader Store発売日
- 2017.08.18
- ファイルサイズ
- 8MB
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この作品のレビュー
平均 4.0 (29件のレビュー)
-
・仮にあなたが、高校卒の銀行員だったとしよう。出向先の地方銀行で定年を迎えようとしていた矢先に、中堅商社の社長になっている昔の上司から声がかかり、その会社に就職することができた。早朝から深夜まで粉骨砕…身で働き続けたのが認められ、専務にまで取り立てられた。
あるとき、社長が得体のしれない人物を連れてきた。会社の役員にするのだという。そして、その人物が手掛けている得体の知れない事業をあなたが担当するよう命じられた。あなたなら、それを断れるだろうか?(イトマン事件)
・なぜ山一だけが破綻したのか。営業特金(法人の資金を一任勘定で預かり、利回りを保証する。自由に売買できるので手数料は稼ぎ放題だった。)を行っていたのは山一だけではない。バブル崩壊によって巨額の損失が発生したことも各社共通の事情である。違ったのは、それへの対処法だ。
原理的には、
①顧客先企業に損を含めて引き取ってもらう。
②顧客先企業に引き取ってもらうが、損失は証券会社が補てんする(法で禁じられてからは、訴訟を起こしてもらって裁判所主導で和解する形でこれを行った)。
③証券会社が引き取り、損失を償却する。
④引き取った後に簿外処理して隠蔽する。
事が考えられる。大まかに言えば、野村証券は①を、大和と日興は②を中心として解消した。山一だけが④を選択したのである。つまり、各社とも同じ問題に直面し、山一以外の会社は何とかそれを表面化させて解消した。山一だけが、ひたすら隠蔽する事を選択したのである。これは、「経営不在」以外の何物でもない。
・集中排除法は当初325社を分割の対象として指定していたにも関わらず、実際に分割されたのは日本製鐵、三菱重工業、大日本麦酒、王子製紙などの10数社にとどまった。しかも、分割された企業のほとんどがその後合併して復活した。
しばしば、「何がなされたか」より「何がなされなかったか」の方が重要である。とくに重要なのは、銀行業に対して集中排除法が適用されなかったことだ。戦後の日本の企業が、銀行を中心とした企業グループを形成したことはよく知られているが、これは、戦時中に作られた仕組みだった。また、中央省庁、マスメディア、教育制度、土地制度なども戦時体制が戦後に残った。そしてこれは戦前から継続されたものでは無い。だから高度成長は一般に信じられているように、戦後の経済民主化改革によってもたらされたのではないのだ。そしてこの戦中体制によって石油ショックへうまく対応できた(企業ごとの労組で賃金上昇圧力を抑えられた)事で、戦中体制が長く維持され、バブルで力尽きた。しかし、日本式経営と呼ばれるものの中に根強くその考えは残り、組織体は変革されていない。続きを読む投稿日:2012.07.07
このレビューはネタバレを含みます
戦後に、B円が流通することを阻止した。B円はごく一部と沖縄で流通した。
レビューの続きを読む
銀行に対しては、集中排除法の適用がなく、銀行を中心にした企業グループが残った。
アメリカの猟官制の弊害を排除するため、公務員の職…階性、人事院設置などが採用された。
シャウプ勧告で直接税中心の税体系を作った。戦前は間接税を中心とするもの。シャウプ勧告より前に、40年度税制改革で法人税親切、源泉税制度ができた=戦費調達のため。
財政投融資はうまくできている。一般会計の負担がない。国会の承認なしに融資ができる。
高度成長は、外需依存ではなく国内市場の拡大。
比較優位があった繊維産業ではなく、重工業に力を入れた先見の明のおかげ。耐久消費財の需要は所得弾力性が高く、お互いを高める高度成長になりやすい。繊維や食品とは違う展開になる。
戦前の世界企業は鐘ヶ淵紡績。戦後は政府の規制と保護によって鉄鋼自動車電機が成長した。
安保闘争、バブル、郵政民営化、はいずれも根拠なき熱狂。
労使協調路線は日本型企業の本質。戦後の経営者は内部昇進者であり、経営者と労働者が未分離、企業内組合。
法人税課税の退職給与引当金と社宅の建設費によって、正社員を増やすことの促進が働いた。
戦後は、額面発行が主だった。企業は銀行にたよった。
株式会社は利益よりも拡大を求める組織になった。
日本列島改造論が地価上昇の原因ではない。その前から工業化と都市化により上昇していた。
田中角栄による2兆円減税。給与所得控除を大幅に増やした。社会福祉元年。
予算書は、対数表の次に誤植が少ない書籍。
欧米諸国では物価スライド条項を含む賃金協定が一般的=インフレなら自動的に賃金が上昇する。不況でも同じ。これがスタグフレーション。
日本では、企業内組合のために、不況時に賃金上昇を抑えることができた。石油ショックの時にいち早く乗り切れた一因。
田中角栄のときの道路整備特定財源制度と給与所得控除拡大は日本経済に大きな影響があった。
戦時経済から始まった農地解放、財閥解体、借地借家法は資産家を直撃し、平等な社会づくりに寄与した。続きを読む投稿日:2022.07.29
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