アンリ三世とその宮廷

アレクサンドル・デュマ(著), 中田平(訳) / デジタルエステイト

作品情報

一般に日本でのフランス・ロマン主義の研究は手薄だが、なかでもアレクサンドル・デュマについての研究は皆無に等しい。デュマと言えば『三銃士』や『モンテ・クリスト伯』といった大衆娯楽作品の印象が強く、また数知れない代作者を使ったという理由で悪名も高い。また、その作品の全体について正確な総数すらわからないほどのいわば濫作者であったからよけいに始末が悪いのかもしれない。いったいどれだけ作品を出版したのだろうか。
カルマン・レヴィー出版社が1920年に出したアレクサンドル・デュマ作品総カタログによる作品分類は以下の如くであった。
(1)歴史小説および歴史研究128作品218冊
(2)小説、短編、個人伝 41作品、64冊
(3)回想録、閑談九作品、11冊
(4)少年少女物語五作品、6冊
(5)旅行記十八作品、35冊
(6)戯曲66作品25冊。以上合計271作品、359冊
アレクサンドル・デュマ協会のウェブサイトでは325作品がリストされている。また、個人のデュマ愛好家が作っているサイトによれば、すべての作品を取り混ぜて688作品としている。
「誰もが皆デュマの話は聞いたことがあるし、彼の作品の何冊かは読んだことはあるが、彼の才能の大きさを意識している人はごく少ない。『アンリ三世』から一夜明けた日の彼の栄光はたくさんの妬み屋のしつこい中傷をひき起した。彼らの言を信じれば、デュマは先人を剽窃し、代作者たちに自分の作品を書かせた無知無学の人間ということになるだろう」(フェルナンド・バッサン)
「『アンリ3世とその宮廷』を研究した人間はデュマの公式が一挙に分かる。彼はまことに多様な戯曲を書く。ところが本質的なものは最初の戯曲『アンリ三世』にある。つまり、民衆的な登場人物、地方色、変化、アクション、情念があるのだ。」(イポリット・パリゴー)この戯曲は、デュマ最初の本格的な五幕散文ドラマであり、スタンダールの理想の実現でもあり、ヴィクトル・ユゴーの『エルナニ』に先立つこと1年、ロマン主義演劇の最初の勝利を獲得した記念碑的作品でもある。
時は1578年7月20日のことである。フランス国王アンリ3世の母、フィレンツェから亡き国王アンリ2世に嫁いだカトリーヌ・ド・メディシスと占星術師ルッジェリは、アンリ3世の寵臣サン=メグランがギーズ公爵の夫人に恋い焦がれていることを利用して、サン=メグランとギーズ公爵の両方から気弱な国王への影響力をそごうと画策する。カトリックとユグノーの殺し合いの宗教戦争の只中で、後にアンリ4世になるナヴァール王アンリを加えて3アンリの戦いと言われる時代である。ルッジェリは眠り薬で眠らせたギーズ公爵夫人とサン=メグランを引きあわせて二人が両思いであることを悟らせる。
新教徒に対抗するカトリック同盟の盟主に自らなって、次期国王の座も狙おうとするアンリ・ド・ギーズのカトリック同盟に盟主の任命という性急な要求に、ブロワの三部会まで待てと諭すアンリ三世。事態は切迫していると反論するギーズ公。甲冑で登場したギーズ公が弾丸が飛んで来ても正面で受けてみせようと豪語するのを、サン=メグランが吹き矢筒でボンボンを命中させる。怒りに燃える両者の間で決闘が決まる。
怒りに任せたギーズ公爵は鉄の籠手で青癒ができるほど夫人の腕を締め上げ、無理強いにサン=メグラン伯爵をギーズの館におびき出す偽手紙を口述させる。
一方、宮廷ではカトリック同盟の盟主の任命決議に入り、「余の権威において余自身を盟主と宣言する」と自ら盟主になることを宣言したアンリ3世。ギーズ公爵はカトリーヌ・ド・メディシスに何事か訴えようとするが、アンリは早く署名せよとダメ押しをする。第1の企みは失敗に終った、埋合せはつけてやる、憤怒のなかで署名するギーズ公の前で会議の閉会が告げられる。
半信半疑でギーズ公爵夫人の元に忍んできたサン=メグラン伯爵は来ないようにと祈る夫人の声を手がかりに部屋までたどり着く。危機一髪で部屋から逃げ出したサン=メグランは待ち伏せした手のものに暗殺される。公爵が最後の台詞を吐く。「よし!さあ、家来の始末はつけた、今度は主人の番だ!」
劇場が興奮のるつぼであった。臨席していたオルレアン公爵は名前も知らない自分の使用人が詩人として聖別されるのをきいたのである。こうしてアレクサンドル・デュマはフランス演劇史にみずからの名前を深く刻んだのである。

もっとみる

商品情報

シリーズ
アンリ三世とその宮廷
著者
アレクサンドル・デュマ, 中田平
ジャンル
文学 - 海外文学
出版社
デジタルエステイト
Reader Store発売日
2016.06.24
ファイルサイズ
2.4MB

以下の製品には非対応です

  • PlayStation®Vita

アンリ三世とその宮廷

  • 試し読み
  • 新刊通知

    • アレクサンドル・デュマ

    • 中田平

    • アンリ三世とその宮廷

    もっとみる

    この作品のタグ

    この作品のレビュー

    平均 0 (0件のレビュー)

    レビューを書く

    0
    0
    0
    0
    0

    新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。

    • ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
    • ・買い逃すことがありません!
    • ・いつでも解約ができるから安心!

    ※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。

    ※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。

    不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)

    ※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。

    ※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。

    お支払方法:クレジットカードのみ
    解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です

    続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。

    • ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
    • ・買い逃すことがありません!
    • ・いつでも解約ができるから安心!
    • ・今なら優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!

    ※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。

    ※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。

    不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)

    ※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。

    ※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。

    お支払方法:クレジットカードのみ
    解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能です

    Reader Store BOOK GIFT とは

    ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
    贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
    ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。

    ※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
    ※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
    ※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
    ※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
    ※ポイント、クーポンの利用はできません。

    クーポンコード登録

    登録

    Reader Storeをご利用のお客様へ

    ご利用ありがとうございます!

    エラー(エラーコード: )

    本棚に以下の作品が追加されました

    本棚の開き方(スマートフォン表示の場合)

    画面左上にある「三」ボタンをクリック

    サイドメニューが開いたら「(本棚アイコンの絵)」ボタンをクリック

    このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

    ご協力ありがとうございました
    参考にさせていただきます。

    レビューを削除してもよろしいですか?
    削除すると元に戻すことはできません。