間 文理さんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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人生が深まるクラシック音楽入門
伊東乾 / 幻冬舎新書
危険な本です。
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私のような無学な人間には、とてもためになりました。音楽の変遷と、西洋史との関連は、実に刺激的でした。中学校のとき、もっと音楽を勉強しておけばよかったなと、真剣に後悔させられる、危険な本です。
また、あ…れも、これも、とCDを買いたくなる、危険な本です。
でもきっと、聴いている時間がないんだろうなあ。。。Walkmanを買っても。。。 続きを読む投稿日:2016.04.27
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「学力」の経済学
中室牧子 / ディスカヴァー・トゥエンティワン
読みやすく、よい本です。
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子育て中、または子育て準備中の方には熟読をお勧めし、教育関係者、政策立案者でこの手のことをあまりご存じない方は、今のうちにこそっと読んでおくことをお勧めします。
多分、専門家にとっては、ほんの触りだけ…なのでしょうが、素人にはありがたいまとめです。
ところで、「経済学」、とついているので、物事を金銭勘定してしまう人々を呼び集めてしまい、そして詰まらん本だ、となってしまうかもしれない、と懸念しています。教育は、金銭勘定の話ではありません(どうも米国では、心理学と経済学の親和性が高いのでしょうか、なぜか経済学、とついてしまうのかな)。専門家の勝手な個人的意見ではなくて、自分の子どもに、地域の子どもに、日本の子どもに、世界の子どもに、どのように大人が接することで、子どもたちがより頭を使って考えることができるようになるか、というエビデンスの話です。
日本の教育界には、声の大きい、エビデンスの無い、自分の意見を声高に叫ぶ、政権に近い方々が力をお持ちのようですが、それに対する理論武装として、子育て中の皆様、是非、手にお取りください。 続きを読む投稿日:2016.03.16
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京都ぎらい
井上章一 / 朝日新書
大阪生まれ、大阪育ちで、
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この30年近く京都に住んでいるわたしにとって、違和感のある書き出しでした。確かに、京都にいると、「なんでこいつら関西人のくせに東京のまねしてエレベーターで左に寄るんや、どうせまねするんやったらロンドン…のまねして右に寄れよ」などと未だに思うのですが、それは、大阪大国主義の現れなのでしょう。。。京都の方にとって、大阪に習うなど、論外なのでしょう。でも、東京に習わなくってもいいじゃない。。。
それはさておき。最初の4分の3ほどは、2点にしてやろう、と思っていたのですが。最後の方、日本の古代の人々の思いに寄り添い、近代の自己防衛的で他者に攻撃的な流れを、本当の意味での日本の古くからの保守とはちがうのではないでしょうか、という提示には深く共感しました。
ので、3点。読む価値あり。
でも、やっぱり京都に関係なければ、あまり面白くないかも。その上、最初の書き出しがショッキングなせいで、書いてある歴史の流れを、信じていいのやら歴史の素人には、判断できなくなってしまいました。。。 続きを読む投稿日:2016.03.03
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神が愛した天才数学者たち
吉永良正 / 角川ソフィア文庫
数学に興味を持つことと、数学者に興味を持つことは、同じではないのでしょう。
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私は、数学に興味はあるけれども、十分には理解できない方です。人間には興味があるけれども、それは数学者である必要はない。
ということで、どちらの観点からも、少し中途半端な感じでした。もう数を少し絞って、…詳しく書いてもらったら、嬉しかったかも。
筆者の意図とは違うかもしれないけど、数学に興味を持っている若者が、数学と格闘している合間に、これを読んで気分転換するのには、いいかも。 続きを読む投稿日:2017.03.02
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自閉症の僕が跳びはねる理由
東田直樹 / 角川文庫
全体が、一つの詩です。
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なぜ自閉症という特徴を持った個人が、なぜその行動をするのか、なぜその行動しないのかを、深い自己への洞察に基づいて記載していて、一つ一つ、その内容が納得できます。そして、その多くが、自閉症という特徴を持…たない個人にも、共通する部分があると気付かされます。
自閉症という特徴を持つ人を理解したいと感じる人にとって、本当にありがたい、貴重な本となるでしょう。と同時に、自閉症という特徴を持つ人々に、敬意を持つことでしょう。
言語的なコミュニケーションの障がいにより、自己の内面と他者との間の障壁を持つが故の、その深い自己及び他者の探求によるものでしょうか、全体が詩のような美しさを有しています。 続きを読む投稿日:2017.01.24
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日本会議の研究
菅野完 / SPA!BOOKS新書
ああ怖かった。。。この話が本当だとすると、中村うさぎの、イノセントなみに、怖い。。。
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世界で3番目の経済規模を持つ国の宰相が、少数の宗教的信念をもった方々のつよい影響下にあるだなんて。。。ぶるぶる。
一部の人が、善意で宗教的信念をお持ちになるのは、結構なんです。それは、善意なんだから。…でも、一国のリーダーが、人類社会の営々と成し遂げてきた社会の進歩を、少数者の宗教的信念に基づいて、無視したらいかんでしょう。
人類は、環境を変えるようになって、進化を止めた(ラリー・ニーヴンだっけ)。自然科学は指数関数的に進歩する。そのギャップを埋めるのは、人文科学。と私は思う。
家長を重んじ、家を重んじ、女性を下に置き、他民族や性的マイノリティーを排外する。そして支配階級が富を独占する。これは、古い社会では当然だったのでしょう。そのような形態の繁殖をする動物は、そこそこいそうな気がします(そんな野蛮な動物はいない?)。その古き”良き”(私にとっては古き悪しき時代ですが)時代を取り戻すべき、という善意に基づいた宗教的信念は、あり得るでしょう。
しかし、そのような人々をおいといて、人類は進歩をし、その本能を克服し、少数の支配階級ではなく、より多くの人が幸せになれるよう、個人を、女性を、他民族を、LBGTを、意見の異なるものを、尊重する社会を作ろうとしているのです。その人類の進歩を、無かったものにしようとするのは、どうかと思います。
ちなみに、著者が自分で書いているけど、連載をまとめているので、構成がよくなく、少し読みにくいです。内容は平易ですが。 続きを読む投稿日:2016.07.23