yakitoriさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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機動戦士ガンダム THE ORIGIN(16)
安彦良和, 矢立肇, 富野由悠季, 大河原邦男 / 角川コミックス・エース
ロボット野郎としては
11
今回は、前半からかなりオリジナルのストーリーが展開し読んでいて楽しかった。こういう細かな変更は、オリジナルを観ているファンにはうれしい。特に後半の禁じ手である核ミサイルのエピソードは、TV版とは違い爆…撃機に搭載してのビッグ・トレーへの襲撃。覚醒したアムロの敵ではなかったんですけどね。。。
しかしTV版では、この頃Gメカと合体してガンガン敵をなぎ倒していたのにコアブースターとの連携のみというのはロボット野郎としてはある意味さみしい・・・。(笑)
続きを読む投稿日:2015.12.26
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火星の人
アンディ・ウィアー, 小野田和子 / ハヤカワ文庫SF
ハードSFならぬファームSF
11
火星ミッションの中断により撤退を余儀なくされた主人公が事故により一人火星に取り残される絶望的な冒頭からその場にあるモノで生活圏を構築する前半部分は目が離せない。次々と立ちはだかる難題に主人公のワトニー…が自分語りで冗談を交えながら前向きに危機を乗り越えていく展開に感嘆し共感してしまうからだ。また厳密に火星の環境やNASAの機械郡を描いているハードSFなのだがワトニーというフィルターを通して語られるので難しい技術や物理法則も噛み砕いて説明してくれて非常に読み易い。かなりボリュームのある話なのだが彼の行く末が気になってあっという間に読めてしまいます。
もちろん主人公ひとりで出来ることは限られているので、途中からは彼が生きてる事に気付いた地球側の登場人物も多数登場します。ここからさらに話が面白く転がり出すのですが、後は自分で読んで楽しんでください、損はしませんから。これ、間違いなくハリウッドで映画化されるな・・・。
※数多くの印象的なエピソードのなかで限られた糧食を増やす為、火星の土壌と地球のあるモノを使ってのジャガイモ栽培を始めるのだが、おいおい!ワトニー、火星で農業かい!と思わずツッコミを入れたくなった。
追伸:「オデッセイ」観てきましたが、結末分かっていてもラストは泣いてしまった。映画もオススメ、良い出来です。 続きを読む投稿日:2014.11.28
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神は沈黙せず(上)
山本弘 / 角川文庫
情報過多なエンタメ系SF
10
とにかく半端じゃない情報量でまずその量に圧倒される。出るわ出るわ、次から次へとトンデモ理論にトンデモ話。よくこれだけの話を集めてきたなと感心するぐらいの量で、しかもそのすべてに一応の説明をつけていくか…らすごい。そして神が存在するという現象が登場し、一体この話はどこへ向かって行くのかと結末が気になり出す。作中で語られる主人公の兄が開発したゲーム「ドーキンズ」やエドモンド・ハミルトン作の「フェデッセンの宇宙」が出てきたあたりからこの小説の終着点がおぼろげながら見えてくるのですが、後半はちょと長いかなあとは正直思った。本作は細かなエピソードを積み重ねて物語の面白さや厚みを出す構成なのですが話の終盤まで延々とこれが続くのでいい加減、早く結末を読ませろやと焦れてしまうのだ。
また今の世相を反映してか話自体はかなり暗め。経済崩壊やテロなど主人公たちにもいろいろな災難がふりかかるのですが、最後の方で語られる「ヨブ記」の真実と主人公たちが出した結論は、楽観的かもしれませんが私自身は納得できました。
神ネタではありますが理屈抜きで楽しめるエンタメSF。膨大なる情報の海に溺れてトンデモ話に気持ちよくだまされて下さい。 続きを読む投稿日:2015.02.10
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虐殺器官
伊藤計劃 / 早川書房
伊藤計劃、初の書き下ろし長編。
10
「 SFが読みたい2008年度」の第一位ということで手に取ってみた。作品そのものは、以前から知ってはいたのですが、なかなか初物というのは踏ん切りがつかないもので、、結局、この雑誌に後押しされて読んだ。…
面白い。9.11以降、世界で繰り返されるテロとそれを背景にした大国の正義とは?個人認証によってセキュリティを担保したと考えている世界とは?と現代社会が抱えている問題を取り上げており非常に考えさせられる事が多い小説。表題に関しては、言語・言葉を人間が獲得した「器官」として捉えるというテーマを中心に話は展開するのですが、この手の先駆者である神林長平の「言語兵器」という扱いとは別物でこの点もなかなか良かった。
また初長編とは思えないほど小説の完成度は高い。初っ端なからクールで乾いた文体で語られる虐殺された人々の死体のディテール。その後も主人公の一人称で淡々と凄惨な戦場シーンが語られるのですが、この熱からず寒からずの文体が主人公の性格とマッチしており、謎めいたストーリーと相俟って先へ先へと読んでしまう。不思議な魅力ある文体だった。
とりあえず、SF好きにはオススメ。ミリタリーSFですが、あまりアクションを期待すると駄目。(派手じゃないので)
続きを読む投稿日:2013.09.24
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メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット
伊藤計劃 / 角川文庫
単なるノベライズではない
10
もともとMGSの熱狂的ファンであった伊藤計劃がMGS4をノベライズした本作。単なるノベライズではなくMGSの歴史から主人公たちの考えや想いなどゲームだけでは伝わらない背景や感情を深堀して作品世界を広げ…ている。本作の語り部をスネークではなくオタコンにしている点もGOOD!ゲーム経験者は特に随所に作者のMGSへの愛を感じるはず。。。またゲーム未経験者も本作を読んでぜひ深遠なるMGSの世界へ誘われて下さい。
しかし巻末の小島監督の「あとがき」には泣いたなあ。 続きを読む投稿日:2014.04.01
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機動戦士ガンダム THE ORIGIN(1)
安彦良和, 矢立肇, 富野由悠季, 大河原邦男 / 角川コミックス・エース
真打ち登場。
10
遂に真打ち登場。ファースト世代なら「でがしたカドカワ!」と叫んだ事でしょう。安彦ガンダムはそれだけの価値があります。放送当時におかしかった設定や本来作者がやりたかった事を取り込みつつの再始動。ガンダム…試作1号機との遭遇戦や親父の資料を家で見てたので意外とすんなり操縦出来たアムロとかいい感じにアレンジされてます。そのせいでアニメ第一話分がほぼ一巻分になっているので初読の時は終わるまでに何巻かかるのと不安にはなりましたが二巻以降はスピードアップしますので問題ありません。まあ些末な事は置いといて酔い痴れてください練られた物語に、そして見惚れてください絵師安彦良和の上手さに。 続きを読む
投稿日:2014.06.29