Unaken66さんのレビュー
参考にされた数
51
このユーザーのレビュー
-
わかっちゃいるけど… シャボン玉の頃
青島幸男 / 文春文庫
爆笑必至
1
青島だァ! なんてギャグ、若い人は知らないんだろうなぁ。でもこの本、若い人が今読んでも文句なしに面白いはずですよ。
この本には、昭和30年代後半、テレビ黄金時代の爆笑エピソードがたくさん詰まっています…。筆者の青島幸男は、売れっ子放送作家であり、タレントでもあり、クレージーキャッツのヒット曲の作詞家でもあるという、いわゆるマルチタレントの走りみたいな才人でした。人気番組「シャボン玉ホリデー」の台本を通じて、その青島氏や、全盛期のクレージーキャッツの活躍ぶりが活写されているのですから、ツマラナイわけがない!
青島氏が、社会風刺や世相批判が多いという自身のコントの作風に触れて、「権力を批判したり、常識をくつがえしたりすることに異常な喜びをもつタチ」と自分を評しているのには大いに感心。さすが、青島だぁ!! ……って、そんな人が都知事になったらダメでしょうに!
続きを読む投稿日:2015.02.07
-
平家伝説
半村良 / 角川文庫
読まないともったいない!
1
伝奇ロマンの旗手・半村良先生には「◌◌伝説」というタイトルの著作が多くありますが、この「平家伝説」もその一冊。主人公が銭湯へ行く……というありふれた日常の場面から物語は始まり、ロマンスあり、平家の財宝…をめぐる謎解きあり、そしてラストへと、一気に引き込まれます! マジメで慎ましい主人公が、富める者達から取り残されたような焦りを感じ、もがく姿は、高度成長期に書かれた「時代」を感じます。筆者はその高度成長期に、人類に本当に必要なものはなにか、あるべき心とはどんなものなのか、予見していたように思われます。古い作品ですが、文句なしに面白いので、読まないともったいないですよ! 続きを読む
投稿日:2015.01.13
-
雀鬼五十番勝負
阿佐田哲也 / 角川文庫
文句なしに楽しめます
1
阿佐田哲也さんの大大大ファンで、紙で出た本はほぼ全て所有しています。しかし、せっかくなので電子書籍でも読みたい。紙の本があるからもったいない気もするけど、自分へのご褒美に一冊だけ買う!(大げさ)……っ…てことで選んだのがこの「雀鬼五十番勝負」です。タイトル通り五十の短編が収められており、仕事の合間にREADERでちょこちょこ読むにはぴったりの一冊。麻雀の名勝負を楽しめるのはもちろん、勝負のアヤ、人生の悲哀まで感じられる、文学的にも意外と奥深い一冊となっています。一点だけ残念なのは、牌活字って、READERを使っても拡大表示はできないのですね。テキストが読みやすいだけに、そこだけ残念、でもしょうがないか。 続きを読む
投稿日:2014.12.11
-
きまぐれロボット
星新一 / 角川文庫
大人も子供も楽しめる
1
ファンなら誰でも知っているでしょうが、星新一さんの文章は、「平易な文体で、難しい漢字や言い回しを使わず、誰が読んでも分かりやすい」という美文で書かれています。だから大人は勿論、子供が読んでも楽しめます…! 感受性の強い子供時代や、若い時に、是非この本を読んでみてほしいものです。
この「きまぐれロボット」の、特に後半の収録作品は、ジュブナイル色が強いものがならんでいます。気になって初出を調べてみると、『新しい童話』の題で新聞の日曜版に書かれたもの、学年誌に発表された物などが多い由。なるほど、確かに「新しい童話」といった作品群です。電子書籍化にあたっては、できればそういった初出などの情報や、かつての文庫版の解説、挿絵などもデータとして残してほしいと感じました。 続きを読む投稿日:2014.08.13
-
季節のない街
山本周五郎 / 新潮社
忘れがたい場面がいくつも
0
不勉強な話ですが、本書が、黒澤明監督の映画「どですかでん」の原作であることを知りませんでした。「変なタイトルの映画だよなぁ」とは思ってたのですが、そのいわれが、本書の第一話を読んで初めて分かりました。…
短編集、しかもストーリーテリングの名手・山本周五郎作……なのですが、本書に収められたお話は、キレイにオチが付いたり、理に落ちたり、という話は少ないです。その分、頭の中で何度も「場面」や「各キャラクター」の味を反芻させられることになり、忘れがたい作品となりました。切ない話、泣ける話、とぼけたユーモア、いろんな場面、いろんな人間の、リアルな味わいを感じられる小説です。 続きを読む投稿日:2015.09.12
-
なつかしい芸人たち(新潮文庫)
色川武大 / 新潮文庫
紙の「新潮文庫版」がお勧めです
0
本書、電子書籍版「なつかしい芸人たち」は、平成元年刊行の単行本を底本にしていると思われます。同じ新潮社より、平成20年に復刊された文庫版が手元にあるのですが、昭和芸能史としての資料的な価値をお求めの方…には、この「紙の文庫版」の方を強くお勧めします。
その理由:文庫版に収録されている以下のものが、電子書籍版では収録されていないからです。
1)南伸坊画伯によるイラスト/今となっては資料も少ない芸人達、その特徴をよく捉えたイラストです。
2)各芸人達が出演した、映画や、舞台のスチール写真など
3)矢野誠一氏、吉川潮氏による、ダブル解説/どちらも筆者の人となり、素顔をよく伝えており、筆者の芸人に対する想いをよく理解できる名文です。
もちろん、「本文さえ読めればよい」という方には、この電子書籍版で十分なのですが。 続きを読む投稿日:2017.01.12