チョッピーさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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フィッシュストーリー
伊坂幸太郎 / 新潮社
伊坂さんらしさが詰まった短編集
1
伊坂さんらしさの詰まった短編集でしたが、個人的には後半に向けて盛り上がった感じがあり、表題作は少々「やり過ぎ」かなと思いつつ、最後の「ポテチ」の持つ「救われ感」が個人的にはお気に入りでした。題材的には…もしかしたら「どろどろ系の昼ドラ」ネタなのかも知れませんが(笑)。伊坂さん独特の「正義」に対する感覚にいつもどこかで共感してしまう自分がいますが、今作も大いに共感した一冊でした。 続きを読む
投稿日:2014.08.29
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博士の愛した数式
小川洋子 / 新潮社
切なく心に刺さる物語。
1
「博士」と「家政婦の親子」が多分双方共自分等の中に欠落している「何か」を求めて相手に寄り添っていく描写が、そこはかとなく示される「過去」も絡めながら、切なく心に刺さってくる物語でした。「阪神タイガース…」「江夏豊」という「世俗的」な要素が、色々な関係をうまく「現実的」な所に落としこむ役割を果たしているようにも思えます。 続きを読む
投稿日:2014.08.29
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真夜中のマーチ
奥田英朗 / 集英社文庫
上々のスラップスティック小説
1
泥棒小説(というジャンルは無いと思いますが)として非常に面白く読了しました。相変わらずの読みやすさに加え、こういう物語が個人的にツボだという事が改めて分かった小説でした(笑)3人の登場人物がそれぞれの…思惑がある中で手を組んでの「泥棒」となる描写のドタバタ感が楽しくてたまりません。「悪人」と呼べるような凶悪な人物が出ない所もコメディ感を一層増している感じでした。余韻に浸る、というような小説では全くありませんが、読書で楽しいひと時を!という目的にはピッタリの小説だと思います。 続きを読む
投稿日:2014.08.24
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ドミノ
恩田陸 / 角川文庫
ただただ面白い!
7
おや?と思う出だしからの、次から次へと登場する人物、出来事、生きているもの、生きていないもの(笑)が繋がって繋がって、それぞれがそれぞれの所に落ち着くというただただ面白い小説でした。登場人物がしっかり…と描き分けられている為、登場人物の多さにも関わらず混乱無く読める点も流石の素晴らしさでした。考えてみると、ちょっと気になる最後ではあったような気もしますが、そういう点も作者の狙いなのでしょうね。ひたすら面白い小説が読みたい方は是非。 続きを読む
投稿日:2014.08.24
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誰もいない夜に咲く
桜木紫乃 / 角川文庫
力強い物語の数々
0
ひたすら「厳しい」としか思えない世界の中で、特に女性の「生きる力」を感じる事が出来た短編集でした。他人が思うような一般的な「哀しみ」や「孤独」のような「記号」に埋もれず、ある意味「クール」で颯爽として…いすらあるそれぞれの登場人物の姿に、読み手である自分も凛としていたい、と思わせる力を持った物語だと思いました。それぞれの登場人物の気骨溢れる姿を際立たせる為の背景としての北海道という舞台も物語として素晴らしく機能していると思います。 続きを読む
投稿日:2014.08.24
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ヒトリシズカ
誉田哲也 / 双葉文庫
エンディングに物足りなさが・・・。
1
警察を舞台にした「短編集」、と漠然と読み始めた本書でしたが、2編目から一人の人物が中心となって繋がっていく連作短編である事が分かり、面白く読了しました。主人公たる「シズカ」に何故か『エデンの東』のキャ…シーのイメージが重なりましたが(大袈裟ですが)、伏線を張った各編に比べ、物語の結末が性急且つあっけなく思われ、主人公の物語としては少々物足りなく思えました。 続きを読む
投稿日:2014.08.24