2030 半導体の地政学(増補版) 戦略物資を支配するのは誰か
太田泰彦(著)
/日本経済新聞出版
作品情報
●経済安全保障をめぐる知られざる攻防戦
ベストセラーになった『2030 半導体の地政学』が2021年末に刊行された後、半導体をめぐる世界のパワーゲームは一段と激しい動きを見せています。わずか2年の間にロシアのウクライナ侵攻が勃発。台湾海峡をめぐる米中の軍事衝突の現実味が高まり、イスラエルとアラブ武装勢力ハマスとの衝突が世界を震撼させました。
日増しにきな臭くなる国際情勢の中で、各国は国家の存亡をかけて半導体の争奪戦を繰り広げています。
なりふり構わず台湾、韓国の企業を囲い込む米国。経済制裁で追い込まれて国内生産に走り出す中国。そして日本では台湾積体電路製造(TSMC)の熊本工場の建設が驚異的なスピードで進み、次世代チップの開発を目指し新会社ラピダス(Rapidus)が電光石火の如く設立されました。
半導体をめぐり世界の裂け目が広がっています。その先に現れるのは、いったいどんな世界なのでしょう・・・・・・。増補版では、2023年末に至るまでの国際情勢を踏まえて大幅に加筆、修正。理科系出身で国際報道の最前線に立つジャーナリストの著者が、世界地図の解像度を高めて半導体の地政学を読み解きます。
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商品情報
- 著者
- 太田泰彦
- 出版社
- 日経BP
- 掲載誌・レーベル
- 日本経済新聞出版
- 書籍発売日
- 2024.02.16
- Reader Store発売日
- 2024.02.16
- ファイルサイズ
- 5.2MB
- ページ数
- 356ページ
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この作品のレビュー
平均 4.7 (3件のレビュー)
-
以前から半導体不足の話をよく聞いていたが、本書を読んでものすごく納得できた。デジタル技術の進歩が加速度的に進み今後も止まらないのは明白な未来であり、半導体サプライチェーンがますます重要になっていくのは…明らかすぎる。
まさかアルメニアとアゼルバイジャンの紛争も、半導体に一端関係あるとは、、(すべてが半導体のせいというわけではない)
半導体という観点で世界を見るとこんなにも色んなことが知れるのかと、驚きがあった一冊でとても面白かった。続きを読む投稿日:2024.03.15
アメリカが先端半導体の技術を中国に渡さないように締め上げつうサプライチェーンの国内化を目指し、中国は自国での先端技術開発に死力を尽くし、欧州は最先端半導体製造装置における圧倒的優位性でチョークポイント…を押さえにいくなど、経済、国防の両面で戦略的重要物資となった半導体を巡る地政学的な勢力図と各勢力の戦略がよくわかった。その中で、日本はかつてのメモリ半導体王国の地位を失い、資本の論理でキオクシアの売却先が決まるなど戦略的でない動きもある一方で、IBMの最新技術を実現するためのラピダスの設置や多額の補助金を提示してのTSMC工場誘致成功などの戦略的な取組も奏功しはじめている。さらに、専門特化型のチップの設計を担い半導体チップ設計の民主化を目指すソシオネクストの存在や、富岳に使われた高性能CPU「A64FX」を開発した富士通、TSMCと組んで半導体の研究開発ラボを電光石火で設けた東大、光論理ゲートでこれまでの電気信号ベースの情報処理を覆す革命を予感させるNTTのIOWN構想など、今後に向けた期待の技術開発が日本で行われていることに希望が持てた。重要なのは、半導体を「使う」画期的なプロジェクトを生み出す力(結局は強力な需要があるかどうかがサプライチェーンの強さを決める)と、アメリカが通商政策における指導力を失った現状において日本がどのような戦略的構想と影響力を発揮できるかである。続きを読む
投稿日:2024.05.26
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