名画の中で働く人々 ――「仕事」で学ぶ西洋史
中野京子(著)
/集英社学芸単行本
作品情報
【描かれた「仕事」で絵画を読み解けば、西洋史の驚きのストーリーが見えてくる!】
「看護師」はひと昔前なら「看護婦」。神話の時代からある仕事とは? 「リケ女」の走りは命がけ! 知っているようで知らない、仕事のルーツや歴史を、『怖い絵』シリーズの中野京子が解説。今まで見えてこなかった、もうひとつの西洋史がそこにある。
収録された絵画、全50点。中世から現代アメリカ絵画まで、幅広いラインナップと驚きのストーリーが「見る」西洋史の世界へ誘います。
<内容>闘牛士 ― 動物虐待か、スポーツか、はたまた神事か
侍女 ― 宮廷の奥深くに入り込む「侍女は見た」!?
香具師 ― 今も昔も変わらぬ騙す騙されの世界
宮廷音楽家 ― ライブが全てだった時代特有の苦労
羊飼い ― 社会のアウトサイダーにならざるを得なかった
女性科学者 ― 「リケ女」のはしりは命がけだった
道化 ― 舞台でおどけて、楽屋で泣いて
警官 ― 絵画の主役にはなりにくい役回り
思想家 ― 簡単なことを難しく考えるのが仕事?
ファッション・デザイナー ― 衣装を見ればどんな時代かわかる
大工 ― イエスと結びつき、神聖化された職業
看護婦 ― プロフェッショナルと認められるまでの長い道のり
政治家 ― ヘンリー八世に仕え、明暗をわけた政治家たち
修道女 ― 神に捧げる一生ですら時代に翻弄されて
船頭 ― 神話世界から続く職業も今や先細り
異端審問官 ― 泣く子も黙らせ、良い子も騙すテクニック
傭兵 ― 世界最古の男の仕事。舞台は戦場。
女優 ― 女はもともと演技上手。その最高峰が・・・・・・
子どもも働く ― 厳しい環境を逞しく生き抜く
天使も働く ― 人間のためではなく神のために働くのは当然
もっとみる
商品情報
- 著者
- 中野京子
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社学芸単行本
- 書籍発売日
- 2022.09.26
- Reader Store発売日
- 2022.09.26
- ファイルサイズ
- 18.1MB
- ページ数
- 224ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.8 (27件のレビュー)
-
芸術の秋 開幕直前スペシャル!みたいな選書になった笑(どゆこと?)
あらゆる時代の西洋絵画が対象で、そこに描かれた人物の職業や社会的地位について分析。あと人物以外にも、最終項では天使という人外も名を連…ねている。(「職業に貴賎なし」と言うけれど、天使はフェアじゃないのでは?笑)
『怖い絵』シリーズの著者だったのか…
極めつきのビビリなのでシリーズには手をつけてこなかったが、本書もところどころがダークだった。目次の職業リストも、ザッと眺めただけでは怖いかどうかが予想できない。しかし紐を解けば、著者のユーモア、というかダークユーモアが込められた解説とコメントが飛び込んでくる。
「著者は猟奇的な絵画がお好き?」と疑われてもおかしくないチョイスでゾッとしたが、不思議と歩みが止まらなかった笑 いわゆる怖いもの見たさか?これじゃ芸術の秋どころかまだまだ夏の怪談である。
猟奇的で言えば、例えば「侍女」の項に掲載されているビゴーの絵画。(敢えてタイトルは伏せておく…)
占領軍大将の暗殺を企てる女性の図で、彼女の傍らには灯りを手に共助する侍女の姿。人物の表情が鮮明なせいで、映像のように動いて見える。
女主人の身の回りの世話に限らず命令とあらばどんなことでもやってのけたと言いたかったんだろうけど、「他にもっと大人しい(?)侍女絵はなかったのか!」とこちらはツッコみたくなる。
全体を通してハッピーな絵は少なかったかも。
心にガツンとくる方が記憶に焼き付きやすいからこんなコレクションになったのかな。「怖い絵」も然りだけど、個人的には「悲しい絵」が一番焼き付いたと思う。
「道化」の項がそれだ。まず意外だったのが、彼らが政治に関わっていたこと。
『リア王』の王に好き放題意見する道化師のように、民草の不満を伝えるのも彼らの大切な役目だったという。笑いを取るのと同様、王の許容範囲を超えないよう計算しながら物申さなくてはいけない。時に「国の良心」にもなりうる道化には、一人では到底抱えきれない憂慮があったんだろうな。
民草の間にいる道化達の絵もハッピーとは言い難い。ホアキン・フェニックス主演の映画『ジョーカー』を想起させた。
名画としてだけでなく、中の名もなき人々の働きぶりがこうして後世に伝わっている…。思えばそれは、伝える側(=絵を描く側)の尽力あってこそだったのではないだろうか。
ナイチンゲールのクリミア戦争従軍の模様は、同行していたタイムズ記者による大々的な報道の賜物だった。絵画の方も、本当に伝えるべきことを多少誇張してまで伝えたから、労働者たちの存在は忘れ去られなかった。伝え方って肝なんだなー…と。
画家が残した誇張だって、当時の人間が感じたことや何を求めていたのかが反映されているってこと。このまま西洋美術展に行っていたら、何一つキャッチできぬまま館を後にしていたかもしれない。続きを読む投稿日:2023.08.30
このレビューはネタバレを含みます
まずはこの言葉を引用したい。
レビューの続きを読む
「人間は自分に与えられた職業を通じて世の中のために少しでも尽くさなければならない。それが人間の義務である。」三船敏郎 小林 淳 著「三船敏郎の映画史」
様々な職業を描…いた絵画を通じて、その時代背景を解説していく。
描かれている職業は
闘牛士
侍女
香具師
宮廷音楽家
羊飼い
女性科学者
道化
警官
思想家
ファッション・デザイナー
大工
看護婦
政治家
修道女
船頭
異端審問官
傭兵
女優
子どもも働く
天使も働く
となっている。
雑多な感想
アリーナは砂という意味。闘技場の血を吸うために敷いた砂からきたという。
ヴィンターハルター「女官たちに囲まれたウージェニー皇后」このドレス、肩ずり落ちないのか。この人、エリザベート描いた画家だよな。
ユーディドって「ユダヤの女」という意味なのか。個人名だと思っていた。いや、個人名なのか?中野さん、アルテミジア・ジェレンティスキのユーディドが好きだよなあ。それともジェレンティスキが好きなのか。
バッハ次男、転職おめでとう。いや、そりゃ、フルート奏者とクラヴィーア奏者でそんなに給料に差をつけられたら、誰でも嫌気がさすよ。
ヒュパティアという女性科学者が古代にいたことを私は知らなかった。調べてみようと思う。マリー・キュリーがガヴァネスをして姉に仕送りをしていたのは有名だが、そこの家の男性と恋愛関係になり失恋した、ということは知らなかった。それも切っ掛けの一つとして、マリーがフランスに旅立ったのだから、人類には良かった、というのは言い得て妙。マリーがパリに出て、たった12年後にノーベル賞を受賞する。ガヴァネスとして雇っていた家はどう思ったか、12年だったら、覚えているのではないだろうか。高校の時にマリーの結婚生活の文を英語のリーディング課題で読んだことがある。女性の英語教師がピエール・キュリーを散々罵っていた。その英文には子育てで大変なマリーにピエールが「夫の世話はしないのか!」みたいなことを言っていたからだ。マリーはうまく宥めていたけど、やはりマリー超人だと思ったことを思い出す。
道化が職業になるのは今と意味合いが全く違うように思う。この書では触れられていないが、私の大好きで強烈な印象を持っている絵にベラスケス「宮廷道化師セバスティアン・デ・モーラ」がある。見世物小屋がかつて日本にもあったことから人を嗤うのは、もう人間の本能なのかもしれない。映画のジョーカーのような化粧がいつからなのか、考えてしまう。
ラ・トゥールと言えば、「いかさま師」と思っていたので、「大工ヨセフ」がラ・トゥールの作とは思えなくて、びっくり。ろうそくの光の描写が見事である。
表紙にも使われている「じゃあ君が最後にお父さんを見たのはいつだったの」。
物語の一場面のような絵。少年の純粋さと狡猾な笑みを浮かべた男性の対比が凄い。慈悲深いと言われる神に仕えるのに、異端者には残酷になることが出来る。宗教に疑問を感じる多くの人が不思議に思うことの一つではないだろうか。
世界最古の職業は男は傭兵、女は娼婦。その傭兵で有名だと言われた「スイス人傭兵」。大変派手である。ハイジのおじいさんが元傭兵、というのは「トリビアの泉」で知っていたけれど、スイスが傭兵供給国から金融国になっていくのは面白い。続きを読む投稿日:2024.04.30
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。